週末大冒険

週末大冒険

ちょっと出かけてみないか。忘れかけていた、ワクワクを探しに。

No.127【北海道】日本最北「宗谷丘陵」!貝殻を敷き詰めた白亜の道があるぞ!走ろう!!

日本の本土の最北端、「宗谷岬」。

 

その岬の背後には緑いっぱいの、WindowsXPのデスクトップ画面みたいな丘が広がっているんだ。

その丘を「宗谷丘陵」という。

 

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その一面が緑の宗谷丘陵にはね、一本の真っ白な道があるの。

白いホタテの貝殻を粉砕して敷き詰めた、おとぎ話のようなファンタスティックな道。

 

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「宗谷丘陵 白い道」・「最北の白い道」・「シェルロード」…。

この道の呼び方は複数ある。

 

うーん、僕はこのブログ内ではなんて呼ぼうか。

あえて、今は少しマイナーになってしまったけども、最初期の呼び名である"最北の白い道"と呼んでみようか、ねぇBLUEayさん

 

では、今回は真夏でも涼風の吹く日本最北の丘の話を、日本4周目から6周目の話をブレンドしつつ語りたいと思う。

 

 

アプローチ方法ご紹介

 

ここにあなたが向かう上で最初に突き当たる障壁。

それは「どこにあるのかわからない」という点であろう。

 

もちろんご存じの方も多いと思うし、コロナ禍で僕が自宅でウダウダしている間にわかりやすい標識だとかが作られたというウワサも耳にしている。

だが、まぁここは書かせていただきたい。立地を感覚で覚えてもらいたいし。

 

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上の図、全部まとめて宗谷丘陵という広大な丘だと思ってもらっていい。

ガチに走り回りたい人以外は、宗谷岬訪問のついでに「宗谷岬公園」から眺めるのが一般的だ。

 

「最北の白い道は宗谷丘陵にある」と表現されることが多く、このことから宗谷岬から白い道を目指そうとする人も多い。

 

確かに目指せる。だけどもちょっと遠い。

それは上図を見ていただければおわかりだろう。

さらに言うと、国道238号と道道889号以外は全部擦れ違い困難な幅の未舗装路だ。

 

オフロードバイクで砂煙を巻き上げながらヒャッハーしたいのであれば、東から行ってもいいし北から行ってもいいだろう。

だが、そうでないなら最短ルートである西側アプローチがオススメだ。

 

 

ただ、ここいらの国道はとんでもなく走りやすいので、気をつけないと分岐をすごいスピードでスルーしてしまうだろう。

国道を反れるポイントについて、上にストリートビューから引用させていただいた。

 

ただ、国道からの分岐を見つけたところで、そのあとも2つほど小さな分岐がある。

これが少しだけわかりづらいのだ。 

 

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これが西側アプローチだ。

「宗谷郵便局」をまずは目指してほしい。

 

その背後にある四差路を間違えないようにするのだ。

ちなみにGoogleマップでは三叉路だ。衛星写真で見ないと、行き止まりの4本目は表示されない。 

だから、「郵便局裏の分岐をとにかく左へ…!」と覚えておくと、行き止まりに吸い込まれるので注意だ。 

 

 

左が行き止まりの道。右が最北の白い道への正解だ。

ぶっちゃけ、まともな神経であればどっちも入り込みたくないくらいに狭いし 激坂である。

 

せっかくなので、左の行き止まりの世界をご紹介しよう。

 

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行き止まりの世界1

もうすんごい傾斜。

でも途中から舗装されているので、ちょっと希望が持てる。

あそこまでガンバレ、と。

 

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行き止まりの世界2

 …と思ったら、舗装ゾーンはたったの20mくらいで終わる。

なんなの!?

 

しかもその先は何かの施設があるだけで行き止まりなのだ。

なんなの!もう、バッカじゃないの!?

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行き止まりの世界3

苦労して切り返した後、下界を見下ろした光景がこれだ。

右の方には拡大すれば宗谷郵便局が見えているし、写真右上に見切れているのが国道238号だ。

 

いいかい、こっちへ来てはダメだ。

四差路では左から2本目の道を登るのだ。

 

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こっちも擦れ違いはできないけどな

 

緑の丘の、白亜の道を走れ

 

さて、白い道への続きだ。

道はエキセントリックなレベルで狭いが、もう少しでホワイトゾーンが出てくるからしばらくの辛抱だ。

 

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シェルロード1

ちなみにHUMMER_H3で突入したときは、本当にドキドキだった。

もう対向車来たら終わる。対向車がバイクでも詰む。

 

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シェルロード2

どうでもいいけど、もう1回写真を掲載する。

 

ここまでの3枚の写真は、それぞれパジェロイオ・HUMMER_H3・パオでの走行シーンだ。 順番に日本4周目~6周目である。

毎回同じ場所で写真を撮っていることが、右手の2つの電柱からわかる。

僕は律儀だ。

 

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シェルロード3

そして始まる白亜の世界。

どうよ、モクモクの入道雲を背に高原を走っているぞ、僕の日産パオ。

我が愛車ながら、かわいすぎる。

 

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シェルロード4

「このまま車のCMに使えないか?」って思えるほどのロケーションだ。

 

もちろん、それは僕の日産パオだからではない。

あなたの愛車もきっとここに来れば最高に輝くであろう。

 

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シェルロード5

ただし白い道は舗装路ではない。

ゆっくりと走ってほしい。ゆっくり流れる車窓からの眺めもまたステキなのだ。

 

そもそもこの白い道の正式名称は、「稚内フットパス」。

フットパスとは、歩行用の道を指す。

つまりハイキングしている人もいるかもしれないのだ。見たことないけど。

なので気をつけて走ろう。

 

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シェルロード6

この白い道には駐車できるスペースがほとんどない。

僕の知る限りではあるが、駐車場として設けられている敷地は無い。

 

最初の坂を上がりきったところに、上の写真のようなちょっとした広場とベンチがある。

ギリギリ車道を避けたくらいの場所には、停まっている車をチラホラ見かける。

もちろんだが、草原の中を車で突撃して行ってはダメだ。
 

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シェルロード7

同じ場所だが、晴れるとさらにすごい。

 

個人的には、3kmの白い道の中で序盤のここが一番のロケーションである。

愛車と緑の丘と海、全部一度の撮影できる。

うまくアングルを工夫すれば海上の「利尻富士」もフレームに加えられるだろう。

 

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シェルロード8

車外で最北の風に当たる。

喧騒に包まれる宗谷岬よりも秘境感がある。

登山の途中、ちょっと景色のいいところで小休止をするかのような気分だ。こういうところでコーヒー飲みたい。

 

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シェルロード9

そして、外に出たからには足元をよーく見ていただきたい。

 

これ全部、ホタテの貝殻なのだ。

白い道の正体、それは砕いたホタテを敷き詰めたことによるなのだ。

 

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シェルロード10

こんな道が3kmも続くんですぜ。

北海道はホタテが名産とは言え、この道を造り、そして維持する労力は甚大であろう。ありがたい限りだ。

 

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竹富島の白い道

そういえば、沖縄の「竹富島」の集落内は珊瑚を砕いて敷き詰めた白い道だったな。

これ結構あるあるなんだけど、日本の最北と最南は、意外と共通点が多いのだ。

ルートビアとコアップガラナも似ているしな…。

 

閑話休題

 

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シェルロード11

そして再び白い道を進む。

すごく大きな見どころは無いが、宗谷丘陵の緑の丘が流れていく様を堪能してほしい。

 

遠くには風力発電のプロペラが無数に回り、そして遥か彼方には宗谷岬のすぐ上の丘にある「アルメリア」という風車のレストランがかすかに見える。

 

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シェルロード12

人工物はこれくらいであり、日本ではないかのような絶景がずっと広がる。

 

走っていて景色が劇的に変化するわけではないし、この広大な眺めを文字でどのように表現すれば良いのかもわからない。だから表現に詰まる。

だけども退屈さは全くない。

ずっと眺めていられる景色なのだ。

 

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シェルロード13

ときどき「そろそろ戻ったほうがいいのではないだろうか?」と不安になる感覚もある。

大丈夫、これも秘境や林道に足を踏み入れる際によくある感覚だ。それも醍醐味。

 

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シェルロード14

3㎞先のゴールに何があるわけでもない。

適当に堪能したと思ったらUターンしてもよいだろう。もっとも、Uターンできる場所自体が少ないので、慎重にだ。

 

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シェルロード15

戻る際、最初に登って来た激坂を下ることになる。

この直前の光景、上の写真のように道がバサッと途切れていてその向こうに最北の海が見える。

 

なかなかいい眺めだから覚えておいてほしい。

 

 

僕らは初めての冒険をする

 

2021年現在は、そこそこ有名なこの白い道。

老いも若きも「白い道、白い道」と呟きながら宗谷の深淵に足を踏み入れる。

 

しかしこの道、歴史はそこまで深くは無いのだ。

2011年の5月、つまり本記事の執筆時からちょうど10年前に完成したのだ。

 

その翌年である、2012年夏の話をちょっとしよう。

 

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「漁師の家」

旅友であるライダーの「katsu君」が以前に教えてくれた店、「ノシャップ岬」の「漁師の家」にて、僕はウニイクラ丼を食べている。

 

その対面に座るのは、BLUEayさんだ。

日産の180SXというゴチゴチのスポーツカーで、1人全国を旅してまわるスゲー人だ。

ちなみに初対面。

 

今朝の段階でBLUEayさんは小樽、僕は旭川近辺。

「お昼に会おう」ってなって設定された場所が、お互いの真ん中ではなくって日本最北の稚内市だ。距離ガバ。

 

で、ランチを食べながら「この後はどこに行きたい?宗谷岬と…。」と僕が訪ねた際に、BLUEayさんの口から出たのが最北の白い道であった。

なるほど、お目が高い。

 

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最初の冒険1

これね、撮影したのは本記事執筆時だけど、そのときお店で僕が開いた実物だ。

「0円マップ」

北の大地を走るライダーのバイブル。

現在は残念ながら廃刊となってしまったが、その最後の号だ。

 

内容は大体全部頭の中に入っている。

ここに最北の白い道が掲載されていたことも覚えている。

 

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最初の冒険2

知名度はゼロで、どんなところか不明だ。

しかし、この時期に訪問したということが、後々のステータスになるかもしれない。

 

じゃあ行こうか。

って思うんだけど、0円マップの地図は縮尺が甘いし大雑把であることが特徴だ。

どこだか全然わからん。

 

併せてツーリングマップルを取り出し、慎重に照合する。

宗谷郵便局近くから始まるダート。これが白い道になったのではないか、と推測した。

 

そこからは冒頭の通り(行き止まりの件)である。

四差路に翻弄されつつも、僕らはそれぞれの車で最北の白い道に到達する。

 

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最初の冒険3

BLUEayさんの180SXだ。

舗装路から白い道に切り替わって50mほどの地点。

 

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最初の冒険4

後ろにはかすかに、先ほど3枚連続で掲載した特徴的な電柱が見えている。

そして水平線には利尻島利尻富士だ。

 

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最初の冒険5

当時の僕の愛車のパジェロイオである。

ダートを走ると喜ぶ子。一緒に数々の秘境・廃村などを探検している子。

 

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最初の冒険6

最高の気分だったので、BLUEayさんに写真を撮ってもらう。

最高の理由はもう1つあって、雲の多い天候であったが左(北側)から青空が広がってきたという点だ。

 

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最初の冒険7

バッチリだ。かっこよすぎる。

あの向こうはサハリンか?

 

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最初の冒険8

この車で全国を旅しているということに驚愕。

しかしそれこそがアイデンティティ。僕も誰も使わないような車で日本一周してみたい。

 

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最初の冒険9

僕も、そしてこの記事をお読みのあなたも、もう知っている。

後年、ここは少し整備されてベンチが置かれたり、駐車できるわずかなスペースができることを。

 

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最初の冒険10

白い道のほぼゴール付近までやって来た。

ここも毎回車を停めている、お気に入りのスポットだ。

 

ところでさっきの0円マップの写真で気付く方は気付かれたと思うが、当初の白い道は2km区間であった。

2021年現在は3kmに伸びたようだ。

 

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最初の冒険11

Uターンして戻る。

 

実はここに来る前に宗谷岬に立ち寄ったりしていたので、太陽は傾いてきた。

しかしすっかり晴れ間が戻ってきたようだ。

この後僕らは、本日2度目の宗谷岬に向かう。

 

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最初の冒険12

後日談ではあるが、僕らがこの白い道を走った頃には、Web上で「白い道_宗谷」などと検索しても、情報は数件しか出て来なかった。

この後で僕が「最北の白い道を走った」とWeb記載したところ、一気にYahooの1ページ目に表示されたりしたものだ。

2012年。そのくらいの最初期のお話。

 

BLUEayさんとは、この後の宗谷岬で別れた。

ときどき情報交換はしているものの、2021年現在も再会はしていない。

 

しかし、インターネット時代かつコロナ禍の旅人は、Web上でも繋がれるよね。

BLUEayさんは僕がこの記事を書くことも知っているし、きっと読んでくれるだろう。

 

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また走ろうぜ

それだけでね、僕の魂は再び最北に戻ることができるのだ。

 

以上、日本6周目を走る旅人YAMAでした。

 

 

住所・スポット情報

 

  • 名称: 最北の白い道
  • 住所: 北海道稚内市大字宗谷村字宗谷
  • 料金: 無料
  • 駐車場: ほぼなし。路肩などを利用。
  • 時間: 特になし

 

No.126【群馬県】カオスでエロい、1人の男が作った謎の楽園!「アダルト保育園」に潜入!

いいか、大事なことだから聞いてくれ。

 

性欲は、何か大きな夢を成し遂げるための大きな原動力となりうる。

たぶんだけど、そのエネルギーをうまく変換すれば蒸気機関車くらいは動く。

 

そのほとばしるエネルギーで、カオスとしか言いようのないB級スポットを作り上げてしまった男がいるという。

そのスポットは、ちまたで「アダルト保育園」と呼ばれている。

 

なんともかんとも、IQの低そうな、失笑をもらいながら存在していそうなネーミングである。

つまり最高だ。

 

オープンキャンパスはいつですか?

えっ、常時ウェルカムなのですか?

なら行く。すぐ行く。

 

 

ジジイは走るのではなく飛ぶ

 

旅友のFUGA君と共に、甘楽郡の山間部をドライブしていた。

目的は冒頭記載の通り、アダルト保育園訪問だ。

 

道はどんどん山深くなり「この先に保育園があるのか?」という不安もあるが、吊り橋効果に伴うトキメキに変換されてしまっているとも感じる。

 

アダルトとも保育園とも無縁そうな平和な山間部の道。

僕は助手席で「あと200m・あと100m…」とカウントダウンする。

 

 

だって、あと100m足らずでアダルト保育園が出てくるような道には、とても思えないからだ。

 

しかしGoogleマップは正しい。

圧巻の光景が僕らの前に現れた。

何も知らない人だったら、ビックリしすぎて事故るんじゃないかと不安になるようなスポットであった。

 

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外観1

情報量が多すぎてめまいがする。

 

  • 『ひろ~いのよ さあー!車から降りてミーナ!』
  • 『そうです!ワタシがヘンなジイさんです(ダ・フンダ!)』
  • 『(祝)日本作詞大賞「嵐を呼ぶ老いら」』
  • 『令和2年 80才のエロ(レ)ジジイー!』
  • 『園児 酒タバコOK』
  • 『正気と狂気の狭間の芸術 圧巻 景観 達観』

 

うん、なに言っているんだコイツ…、ってなる。

大体全部わからないが、オーナーさんが80歳ほどのクレイジーなエロジジイであることだけはよくわかった。

右端には保育園の園歌と思われる歌詞が書かれているが、もう頭痛いよ僕。

 

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外観2

…なんかね、身内にはいて欲しくないタイプのオーナーかもしれない。

わかってはいたけど。

誰かブレーキかけてくれる人はいないのか。いや、誰もブレーキかけられなかったのだな。

 

FUGA君も僕の横で車窓からこれらを見てポカーンとしていた。完全にOSのキャパを超えてフリーズしていた。

降りよう。

気持ちはわかるが、車から降りよう。

 

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外観3

『ジジィのライバル!雄三(加山)と雄一郎(三浦)

 

うん、じゃあその2人に謝ろうな、って思った。

無邪気すぎる80歳児、困ったものだ。

 

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外観4
  • ジジィは走るというより飛ぶ感じ!
  • 駄目ヨ~ダメダメ 猪ちゃんだけーわ
  • アダルトホ!イク!イク!えん
  • ジジィは 今日も元気ダ。あや子様
  • ハチミツもいいけどだんみつネ!

 

ジジィは走るというより飛ぶ感じなのは、今日初めて知ったわ。

異様にゴロがいい。口に出してみたい格言だ。

 

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外観5
  • 『「アダルト保育園」と「野外アート」と「屋内エロス」!』
  • 『驚愕の大規模アート!』
  • 『エラいもん(中條家)カ・モーン!カモン・かもん!ヘイ!家紋!』
  • 『ワァオー!恐竜ダァ!大恐竜!ゴールデンザウルス!怖ーイ!』

 

もう、内容と字面がとんでもなくうるさいですね。

音の出ない騒音。

 

本来であれば秀逸な看板をズームして順次紹介していきたいところだけど、今回はこの距離でカンベン願いたい。圧倒されすぎて近づけない。

 

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外観6
  • 『ナニコレ!珍庭園』
  • 『名勝 楽替園』
  • 『ふれあいセンター 銘酒館』
  • 『どっち こっち あっち』

 

コンセプトが散らかり過ぎて、何がしたいのかまったくわからない。

ホント、我々側が「どっち?こっち?あっち?」と迷子だよ。心の迷子。

 

右端部分を少し拡大してみよう。

 

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外観7
  • 『アート極まる』
  • アートランド 竹林の風』
  • 『巨大石燈篭 竹笹庭園 入口』
  • テレビ朝日 TBSテレビ 日本テレビ
  • 『大型観光バス来たあー! 平成三十年二月二十四日 令和元年七月十三日来たる

 

とりあえず、大型観光バスの立ち寄りスポットになったのが心から嬉しかったようで、読んだこちらも笑顔になる。

 

…てゆーか、絵日記レベルのことを公道に向けて書くんだな、このオーナーさん…。

そしてある意味、Twitterのアナログ版のような行為でもあるな、と感じた。

 

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外観8

唯一「清涼感があるな」と思って近づいた、風でカラカラ回るオブジェは、全て酒の缶だった。クレイジーだぜ。

 

どうだい、この密度。

全部説明していたら、このブログの月間使用容量をオーバーしてしまいそうだ。

にもかかわらず、まだ敷地内には一歩も足を踏み入れていないんだぜ。

 

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外観9

では、いよいよゲートを開けて中に入ろう…。

 

 

テレビ直売・アダルトデンキ

 

公道を敷地を分断する柵のすぐ内側は、ガショガショした感じのメカに溢れていた。

 

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庭園1

うん、わからない。

「東大王」でも、これが何か即答することは困難であろう。

ただ、E.T.であればこれを使って故郷に電話しようとするかもしれない。そんな感じの造形である。

 

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庭園2

…って思ったら、いきなり電話あった。

E.T.はまずここで電話させればいっか。

 

そして剥き出しの家電にミニカーに…。

ここって風雨の影響をモロに食らうが、いいのか? 

わりとメカには厳しい教育方針だ、オーナー…。

 

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庭園3
  • 『テレビ直売コーナー』
  • 『アダルトデンキ』
  • 『家具コーナー(安いよ!)』

 

おっ、こんなところに電気屋さんあった。

値段は知らないし安いのかもしれないが、僕は雨ざらしのTVや石油ストーブは遠慮したいタイプの人間だ。

 

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庭園4

でも、日向ぼっこしている家電たちは気持ちよさそうだ。

その平和な光景に、思わず僕らも笑顔で記念撮影をした。

 

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庭園5

青空の似合う扇風機。

どこを冷やしているのよ、これ…。

 

そして『27年6月12日(金)』のタイムスタンプが意味不明すぎる。

不明すぎて自由過ぎて、もうどうでもいい。
 

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庭園6

アダルトデンキの隣は大人形展だ。

ずるいぜ、このセンス。

 

もう小屋の中にミッチミチに日本人形。

むしろ密になりすぎてそれらが屋外まで溢れている。

 

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庭園7

その向かいは、日本一雑な骨董市みたいになっている。

特等席に黒電話がふんぞり返っているところを見ると、アダルトデンキの影響力がここまで及んでいると推測する。

 

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庭園8

大人形展の隣は、大花見会エリアだ。

 

中央に位置するのは、宝の山桜

しかし、おもくそ普通の物干し竿と、昭和の家にある和室の照明を、それぞれ無理矢理ピンクに塗ったものが括り付けられている。

泣いているぜ、山桜。

 

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庭園9
  • 『老いらの砦』
  • 『園児の楽園』
  • 『園児用の飲み物』
  • 『パワースポット!』
  • 『あだると 生ビール ビヤガーデン』
  • 『スナック・オットピン』
  • 『参拝開運堂』

 

山桜の隣はこんな感じだ。

「花見には酒」と言わんばかりに、園児用ドリンクとしてビールが置いてある。

あとはもう、ツッコみ切れない。酒を飲んでどうでもいい気分になりたい。

 

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庭園10

ビアガーデンの奥は竹林となり、ちょっとしたデンジャーゾーンでもある。

いや、今までも充分にデンジャーゾーンだったのだが、この先は別テイストだ。

 

いきなり『危険!!不発弾!!』の文字が出てくる。

これまでの経験から、ここのオーナーであれば普通に不発弾を所持しているだろうという負の安定感があって怖い。

その前に立つ笑顔のコックが怖さにブーストをかけてくれる。

 

その後ろの犬が首から下げているプレートには『お金ちょうだい』と書いてある。

ナメてんのか。

 

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庭園11

ビアガーデンの隣なので、かつてのアメリカ大統領が、明らかに出来上がった顔で迷い込んでしまっている。

不発弾につまずかないかどうか、ハラハラしてしまう。

 

なんという愉快な庭園だ。

欲望まみれのディズニーランドみたいだ。

屋外アトラクションはこれで大体見て回った。次は屋内アトラクションか?

 

 

壇蜜を探してごらん、ほらいたよ

 

最後の項目だ。

いよいよ僕らは心臓部への扉を開けることとなるのだ。

 

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壇蜜1

振り返ろう。

オーナーのご老人は、特定の何名かの有名女性の名前を書き殴る傾向があるが、ことさら壇蜜さんの名前は頻出する。

 

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壇蜜2

絶対壇蜜大好きなのだ。これテストに出るぞ、抑えておけ。

 

TVをほぼ見ないし芸能界にも疎い僕であるが、これを機に壇蜜だけは覚えた。

今でも壇蜜の名前を目にすると、このアダルト保育園のことを思い出す。

なんてこった。 

 

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壇蜜3

各所に壇蜜⇒』の表示がある。

 

僕は壇蜜さんことを良く知らないが、好きな人であればゴキブリホイホイならぬ壇蜜ホイホイみたいになるであろう。

ま、僕も興味本位で矢印の方向に行くのだがね。
 

てゆーか『総合記念館』ってなんだよ。

そして壇蜜さんもこんなところに自分の部屋 が造られているなんて、1ミリも知らないだろうな。

 

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壇蜜4

壇蜜の部屋 アダルトセクシールーム』

 

矢印は1つのプレハブ小屋を示す。

まずは外側を見て回ったら、なんかムフフな文言が書いてあった。

さらに奥へと進もう。

 

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壇蜜5

AKB48 壇蜜 藤あや子 記念館 入口』

 

プレハブの中は二重構造でセキュリティやや高めであった。

いや、扉も鍵も無いんだけどさ。

 

ここが記念館とやらだ。

奥の方にはファンキーな字で『ご自由にお入りください』と書いてある。

 

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壇蜜6
  • 『だんみつを見ずして帰るアホかいな』
  • 『だんみつをさがしてごらんホラ居たよ』
  • 壇蜜を覗かず拝まず帰る人よ(アー!)お気の毒!』
  • 『だんみつ→』

 

とにかく壇蜜愛が暴走を起こしていることは理解した。

 

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壇蜜7
  • 『だんみつの部屋』
  • 壇蜜在室中』
  • 壇蜜と密…』

 

うおっ。部屋の前に立った時点でエロスが溢れ出しそうになっているので、ちょっと黒いマスキングを使わせていただいた。

このブログは老若男女、安心して見てほしいからな。

壇蜜、コイツはヤベーぜ。

 

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壇蜜8

よいしょーーッ!!

なんか肌色が多めの写真だらけの部屋!!

ちょっとこれリアルにR18なので、画質を極端に落としてわからないようにした。

 

なんだこれ…。

マジに中学生がそのまま大人になってしまったかのうような世界観だ…。

アダルト保育園の名前の真髄、しっかり腹落ちしたよ。

これ以上のネーミングなんて、きっとこの世に存在しないよ。

 

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壇蜜9

中に入れる小屋は他にも何点かある。

その1つが、上記である。

 

  • 『走れ!ジジィー』
  • 『走れエロス!』
  • 『老い等の老い楽』
  • 『のぞいて見る?!』
  • 『ヤバイヨやばい。』
  • 『ほんまヤバイ 』

 

 もちろんここも、中はカオスだ。安定品質だ。

 

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壇蜜10

(他と比べれば)一見まともそうな小屋内だが、テーブルの上に置かれているものがまともではない小屋もある。

 

日本の秩序とか常識は、ここではあまり通用しないのだ。

僕らは確かに今、異世界にいる。

ディズニーランドは夢と魔法の国なら、ここは混沌とエロスの国なのだろう。

 

 

カオスとエロスの集会場

 

僕らは、ここのオーナーさんには出会えなかった。

 

しかし、ここまでに記載した通り、令和が始まったころに約80歳の、バイタリティ溢れるおじいちゃんがオーナーさんだ。

名前が「中條さん」であろうことも、ここまでの記事や写真を見ていただければ推測できたことと思う。

 

保育園の一角には、オーナーさんがこの施設の建設に着手し、どんどんカオス化が進む様子、そして観光客なども訪れている様子などがパネル展示されていた。

 

もともとはここは、地域の集会場としてオーナーさんが整えたのだ。

地域の納涼祭・花火大会などを実施したときの資料・展示物・記念写真なども一緒に掲示されていた。

 

そのうちにどんどん趣味が高じてこじらせて、廃材アートと壇蜜の含有率が増えていったようだ。

Googleマップストリートビューを見ると、まだ僕の訪問時よりもおとなしい。

そして、Webサイトを訪問しても、そのときそのときで看板の内容が異なり、サグラダファミリアのように進化し続ける施設であることがわかる。

 

奥さんは、そんなカオスとエロスの城の成長を黙って見守っているそうだ。

 

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自宅の壁がこんなになっても。

 

そのうち夫婦間にとんでもない事件が起こりそうで、そっちも怖いな。

いや、80歳まで連れ添っているのだから、オーナーさんのことを全て把握しているのか。

 

好きなことをとことん突き詰める。

それはドライブと旅が好きである僕にとっても理想の生き方だ。

 

ただ、ある程度 自分を客観的に見ておくのも必要だ。

しかし、こじらせるなら、とことんこじらせるのだ。

 

僕の行きつく先は、いったいどんななんだろう?

僕もたいがい「子供っぽい」と言われる。

何保育園を作ろうか、今から考えておくのも悪くないかもしれない。

 

以上、日本6周目を走る旅人YAMAでした。

 

 

住所・スポット情報

 

  • 名称: アダルト保育園
  • 住所: 群馬県甘楽郡甘楽町秋畑576
  • 料金: 無料
  • 駐車場: 路肩に若干スペースあり
  • 時間: 不明。だが個人の敷地につき日中訪問を推奨

 

【特集】日本の国土の極地!八方位観点からの斜めの突端!まだまだ最突端は奥が深いぞ!

誰しも端っこには興味がある。

 

旅人はより遠く、大地の果てに行きたがる。

電車に乗っていてもふと、「この電車の始発駅や終着駅はどこだろう?」と気になることがある。

過去の偉大な人の存在を知ったとき、その人の幼少期や晩年について知りたくなる。

 

全部端っこである。

端っことは、始まりであり終わりである。

これを知ることで、物事の輪郭がよりくっきり見えてくる。

「知識の解像度が上がる」とでも言っておこうか。

 

僕もあなたも、無意識のうちにこの端っこを知ろうとしているのではないかと、僕は推測するのだ。

 

では、日本の端っこはどこか。

 

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以前にこんな記事を書いた。本土最突端16岬だ。

日本の本土を形成する四島の東西南北端の岬のご紹介である。

気になる方は、以下の【特集】から詳細をご確認いただきたい。

 

drive-ns.hatenablog.com

 

…しかしだ。

記載の通り上記はあくまで「本土」である。

そして「東西南北端」である。

 

人間の欲求はそんなにシンプルではないのだ。

今回はもう少し踏み込んだ、日本の突端・極地のご紹介をできればと思う。

 

 

突端・極地の一覧化

本当の意味での日本の端 

 

さて、日本という国の本当の端からまずはおさらいしていこうと思う。

 

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はい、こんな感じだ。

 

 

択捉島」は北方領土であり、日本は「ここまでが我が国だ!」とは言っているものの、2021年現在日本人が普通に行くのは無理。

 

ja.wikipedia.org

 

南鳥島」は自衛隊気象庁や施設メンテ業者じゃないと行けない。日本最東端の碑ならある。

 

ja.wikipedia.org

 

沖ノ鳥島」 は小さすぎて施設ナッシングだし、一般人は当然行けない。日本最南端のプレートならある。

 

ja.wikipedia.org

 

与那国島」は、「西崎」が長年日本の最西端とされていて、そこは一般人も行ける。

ただし2019年に国土地理院の地図が更新され、西崎より260m沖の「トゥイシ」という岩が最西端となった。まぁ行こうと思えば行ける。

 

ja.wikipedia.org

 

…とはいえ!!

 

ここで僕がやりたいのは地理の勉強ではないのだ。

あくまで僕やあなたのような一般人が、旅をしながら気軽に踏める最果ての話をしたいのだ。

 

だから、カモイワッカ岬も与那国島のトゥイシとやらも、一旦はナシで。

 

実質今(2021年)の日本最北端も北海道の「宗谷岬」だ。

宗谷岬の沖合に弁天島という無人島があるぞ」と得意気に言ってくる人もいるかもしれないが、うん、知っている。でも今はそういう話ではないのだ。

 

申し訳ないけど、もっと地理とか国土とか政治的観点からの突端の話をしたい方も、僕の目線までそのレベルを下げていただきたい。

 

 

一般人の行ける極地とは

 

前項をご理解いただいたうえで。

じゃあ一般人が行ける究極の地を、可能な限り洗い出そうではないか。

東西南北のみならず、北東とか南西とか、八方位も混ぜてみようか。

 

ただし注意点だ。

僕は勝手に定義を作らない。

自治体が「突端です」って言っていたり、現地に突端を示す碑があったり、あるいは一定以上の突端としての知名度がある場合に絞り、僕もそれを突端としてご紹介しよう。

 

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ザッと洗い出せたのが、こんな感じだ。

 

本島四島内に記載のあるスポットは、「○○本土の最○端」、そうでないものは「離島も含めた…」という風に認識してほしい。

ここまで上の地図に書き込むとゴチャついてしまうので、止むなくこうした。

 

また、書き出した基準は「日本の…」あるいは「本土四島(例:本州)の…」というくくりとしてある。

だから「能登半島最北端の禄剛崎が無いぞ」とか「伊豆半島最南端の石廊崎が無いぞ」とか言われても、そりゃ確かに無いのである。

 

この項目では、少し大きく四角で囲ったスポットをご紹介したい。

その他の岬(本土最突端16岬)について知りたい場合は、以下のリンクから別ページに飛んでほしい。

どれもオススメなので読んでほしいぞ。

 

  1. 北海道本土最北端:宗谷岬
  2. 北海道本土最東端:納沙布岬
  3. 北海道本土最西端:尾花岬
  4. 北海道本土最南端:白神岬
  5. 本州本土最北端:大間崎
  6. 本州本土最東端:トドヶ崎
  7. 本州本土最南端:潮岬
  8. 本州本土最西端:毘沙ノ鼻
  9. 四国本土最北端:竹居観音岬
  10. 四国本土最東端:蒲生田岬
  11. 四国本土最西端:佐田岬
  12. 四国本土最南端:足摺岬
  13. 九州本土最北端:太刀浦埠頭
  14. 九州本土最東端:鶴御崎
  15. 九州本土最西端:神崎鼻
  16. 九州本土最南端:佐多岬

 

 

日本の極地・マニアックな突端

 

遅くなったが、ようやく本題だ。

以下の極地・突端についてご紹介していきたい。

※もう一度言うけど、「一般人到達可能な極地・突端」ですからね…。

 

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本土最北東端:知床岬

 

北海道の本土、つまりは日本の本土の最北東端の岬は「知床岬」である。

そして初っ端から大変に申し訳ないが、この岬の先端だとか灯台の立つ地まで一般人が行くのは、かなり困難だ。

 

行けなくはないが、道なき道を、ヒグマの襲撃を躱しながら片道2泊3日の徒歩だ。

ガチのサバイバル。途中で海の中を歩くような部分もあったりなかったりだ。

 

正直に言えば、すごく憧れる。

本気で行こうと考えたこともある。

しかし、日程の確保や、さすがに1人では何かあったときに生死に関わることからも、2021年現在は実現に至っていない。

 

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知床岬1

しかし、行けるところまで行ってみてほしい。

だからこの項目を設けた。

 

車道のある限界の地。まさにエンド・オブ・ザ・ロード

それは知床半島にある「相泊」という名の集落だ。

上図の通り、ここで道は終わる。

 

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知床岬2

碑だって一応ある。

しかしご覧の通り、いつ撤去されてもおかしくないような管理状態だ。

 

改善を祈るが、僕ごときの祈りが通じるとも思えないので、なるべく早めに見に行った方が賢明かもしれない。

 

 

詳細情報については、以下を読んでいただけると嬉しい。

 

drive-ns.hatenablog.com

 

 

日本最北限:礼文島_スコトン岬

 

「最北限ってなんだよ!」と鼻息荒く僕に突っかかってくるのは辞めてほしい。

しょうがない、ここが最北限だと名乗っているのだから。

 

そこは日本最北の有人島である「礼文島」の最北端の岬である。

 

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スコトン岬1

うーん、 何とも言えない雲の多い天気だな…。

3回行って3回ともこんな感じのクライディな天候であった。

このあと晴れるのだがね、朝は曇りやすいのかな、ここ…??

 

さて、ここは日本本土最北端の「宗谷岬」よりも6,500m南にある。

しかし、昔はその差が明確に測量できていなかったのだ。

「どっちも最北。どっちも1番。」とされていたのだ。

 

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スコトン岬2

しかし測量技術が進み、スコトン岬は最北ではないと判明した。

それを受けて、最北ではなく最北と名乗ることにしたのだ。

 

有人島としては最北端の岬であるは事実。

そして観光地化されて車やライダーさんがジャンジャン来る宗谷岬と比べても、地の果て感は各段に上である。

 

是非、あなたにもこの北限の景色を味わっていただきたい。

 

 

詳細情報については、以下を読んでいただけると嬉しい。

 

drive-ns.hatenablog.com

 

 

本州本土最北東端:尻屋崎

 

青森県下北半島にある、「尻屋崎」。ここが本州最北東端だ。

現地には最北東端を示す碑などは無いが、自治体などのWebサイトにて、最北東端を名乗っている旨を確認できる。

 

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尻屋崎1

現地にあるのは、「本州最涯地」の碑だ。

"最涯(さいはて)地"は、僕がここでしか目にしたことのないカッコイイ言葉だ。

 

同じく下北半島の「大間崎」が本州最北端であり、それと絡めてドライブで回れると最高であろう。

大間崎とは全く違ったテイストの楽しみ方ができるのだ。

 

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尻屋崎2

大間崎がお土産物屋あり、グルメありでドッカンドッカンとフィーバーしているのに比べ、尻屋崎は静かだ。

 

青い海・緑の芝生・そして白い灯台、ここに生きる寒立馬という馬たち。

すごく絵になる。

 

大間崎がアミューズメントパークであれば、こっちは美術館。

文字通りの「岬」を堪能したいなら、こっちの方が勝るかもしれない。

美しい青森の岬、 それをご覧いただきたい。

 

 

詳細情報については、以下を読んでいただけると嬉しい。

 

drive-ns.hatenablog.com

 

 

本州本土最北西端:川尻岬

 

本州のもう1つの斜めの端っこは、山口県の「川尻岬」だ。

本州最西端の「毘沙ノ鼻」と絡めて巡ることもできるだろう。

ちゃんと、最北西端を示す碑が現地にあるのもありがたい。

 

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川尻岬1

駐車場からそんなに距離の無いところにこの碑が現れる。

 

ただし、駐車場から歩いてくるとこの碑は背を向けていて文面に気付かない。

最初に訪問した際は「碑はどこかなー」とこの前をスルーし、延々岬の先端の方まで行ってしまった。

まぁ散策できてよかったけども。

 

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川尻岬2

荒々しい波の打ち寄せる、強風の岬というイメージ。

釣り人がポツポツいて、そしてキャンプ場がある。

 

しかし割とローカルな場所にあるので、アプローチはやや大変だし観光客もあまり見かけたことは無い。

突端マニアですら、僕は自分以外に見かけたことは無い。

 

結構マニアックな岬なのかもしれないが、それがいい。

自分だけの価値を見出せよ、旅人。

 

 

詳細情報については、以下を読んでいただけると嬉しい。

 

drive-ns.hatenablog.com

 

 

九州本土最北西端:波戸岬

 

九州の本土における再北西端の岬、それが「波戸岬」だ。

玄界灘へ、「壱岐」の島に向かって突き出す岬である。

 

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波戸岬1

この岬の特徴は、観光用の海中展望台があることだ。

 

日本国内には2021現在で海中展望台は8つあるが、日本海側にあるのは国内で唯一なのだ。

これは相当レアだぞ。

ちなみに僕はまだこの海中展望台には入ったことは無い。 次回のお楽しみとしている。

 

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波戸岬2

これが波戸岬にある碑だ。

『The northwest end.』

そしてこの碑の足元は、「N」と「W」との歯車がガッチリ嚙み合った造形をしているぞ。

つまりは最北西端ということだ。なんともオシャレよ。

 

僕はこの碑の元で、朝日を見たこともあるし、夕日を待ったこともある。

玄界灘、朝日も夕日も最高なのだ。

 

遥か西の地から見る太陽は、感慨深い。

ただし気をつけろ。ここは恋人の聖地だ。ハート型のオブジェもある。

あなたがもし1人で行くのであれば、このオブジェを視界に入れるな。心を折られるぞ。

 

 

詳細情報については、以下を読んでいただけると嬉しい。

 

drive-ns.hatenablog.com

 

 

橋で結ばれた日本最西端のみなとまち:平戸島_宮ノ浦

 

さぁ、ひときわ異彩を放つ、飛び道具的な定義が飛び出した。

しかし定義は読んで字のごとくだ。

 

日本本土の最西端は前述の「神崎鼻」である。

しかし、本土と橋で繋がった島はどうなるか。自走で行けるのだし、もう本土と肩を並べてもいいように感じる。

 

船などに乗らず、本土を走る人たちがそのまま自走で到達できる日本の最西端。

その地にある港町の名前が、「宮ノ浦」なのである。

 

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宮ノ浦1

長崎の陸地から、「平戸大橋」で「平戸島」に渡り、延々走った最先端にあるのがこの港だ。

 

小さな港であり、着いたところでやることも何も無く、妙な達成感だけがあった。

観光客皆無の漁港で、おそらくいつも通りに黙々と働く漁業関係者の方々の前で、僕は小さくガッツポーズをした。

 

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宮ノ浦2

尚、近年は少し困ったことがありまして。

 

この港の近くに「本土と繋がった道の最西端」というスポットが出来た。

2021年現在は碑もなく、バキバキの未舗装路が海の直前で終わっているのみだ。

しかし、なんという旅情だよ。

行ってみたいが、僕はまだ未達なのだ。とても行きたい。

 

 

詳細情報については、以下を読んでいただけると嬉しい。

 

drive-ns.hatenablog.com

 

 

日本最北西端:対馬_棹崎公園

 

離島を含んだ日本の最北西端にあるのは、「対馬」だ。

その北端付近では、天気が良ければ海の彼方の韓国も見えるのだ。韓国の釜山との距離、49.5km。

釜山の花火大会の碑に、その花火を超遠望で撮影するのが写真家たちの間で流行っているよな。

 

www.jalan.net

 

ちなみに申し訳ないが、僕自身はまだこの岬に未達である。

従い、多くを語る資格がない。

じゃらんnet」さんの情報を上記にリンクさせていただきたい。

 

Wikipediaさんにはこの「棹崎公園」の個別ページは存在しない。

従い、「日本の端の一覧」内で表記されている情報を以下に抜粋する。

 

「日本最北西端の碑」を設けている(ただし、『北東から南西にかけて斜め45度に引いた対角線上においての最北西端』と定義した場合、北海道礼文郡礼文町のスコトン岬一帯が最北西端となる。

また、大韓民国に実効支配されている竹島も、棹崎公園より"北西"に位置する。

よって、棹崎公園は、『本土から距離があり、一般的な交通手段で国内より到達可能な場所』としての最北西端であることを留意する必要がある)。

(引用元:「Wikipedia」)

 

棹崎公園のみならず、八方位観点(つまり斜めの突端)は、この概念が難しいのだ。

斜めの定義に正解は無いのだ。

だからこそ僕は、自分自身で定義せずに、公となっている情報を基に今回の記事を執筆している。

 

とりあえず、いつか行きたいぞ対馬

 

 

 

日本最南端:波照間島_高那崎

 

日本の有人最南端の島は、「波照間島」である。

石垣島」から小船に揺られ、結構死にそうな思いをして到達したのが、僕の最初の到達であった。まぁその話は追い追い。

 

常夏の小島、波照間島では自転車を借りて島内をサイクリングして回った。

そこで外せないスポットの1つが、日本最南端の碑であった。

 

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高那崎1

サトウキビ畑を抜け、青く輝く海を見ながら疾走した日本最南端。

最後に現れたのが、この碑であった。

武骨なハンドメイド感の溢れるこの碑が、とても味わい深く感じた。

 

もうこの南には、島は無いのだ。

どこまでもどこまでも、青い青い海なのだ。

 

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高那崎2

すぐ脇にはボリューム感タップリの「日本最南端平和の碑」もある。

両方で記念撮影しておけばカンペキだ。
 

脇には「星空観測タワー」という日本最南端のプラネタリウムを有する施設がある。

すっごく小さなプラネタリウムで座席すらないけど、カーペットに寝っ転がって眺める星空は最高であった。

 

もちろん、本物の星空もすごい。

出会った旅人たちと、ここで眺めた南十字星は、一生忘れることはできない。

 

 

詳細情報については、以下を読んでいただけると嬉しい。

 

drive-ns.hatenablog.com

 

 

日本最西端:与那国島_西崎

 

最後は、与那国島にある日本最西端の「西崎(いりざき)」である。

知っていないと"にしざき"と読んでしまうのだろう。

 

ちなみに与那国島の最東端は「東崎(あがりざき)」という。

「太陽は東からあがり、西にはいる」と覚えておけば、この読み方に戸惑わなくなる。

 

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西崎1

ここで日本は終わるのだ。

この先はすぐに異国なのだ。そう考えるとドキドキする。

 

前述の通りトゥイシという、この岬から半分繋がったような岩が本当の日本最西端だと国土地理院から発表されたが、やっぱ旅人としての最西端は(2021年現在は)ここであろう。

 

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西崎2

台湾との距離は約111㎞である。

石垣島」と与那国島の距離が約127㎞なのだから、石垣島よりも台湾に近いのである。

石垣島の時点で本土から見ると遥か西なのに、それよりもさらにさらに西である、まさに国境の島。

 

年間わずか数回ではあるが、天気のいい日には台湾が見えるのだ。

灯台の脇の展望台には、台湾が見えたときの様子が描かれている。

僕もいつかここから、遥かなる台湾を見てみたい。

 

 

詳細情報については、以下を読んでいただけると嬉しい。

 

drive-ns.hatenablog.com

 

【コラム】「住むとしたらどこ?」日本一周人が受ける質問あるあると、僕の本音を公開!

こんばんは、【週末大冒険】のYAMAです。

 

気温40℃に迫る日々が続く日本列島。

アツいのは、オリンピックだけではなかったようです。

みなさん、ちゃんと水分取っていますか?

 

drive-ns.hatenablog.com

 

さて、当ブログ開始から2番目の特集である「日本一低い山」の全執筆が完了したので、ここで再びコラムのコーナーを開催しようと思います。

 

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あなたは、自分の身近に自走で日本一周した人がいたとしたら、どのような質問をしてみたいですか?

 

今回は、僕自身が多く受けた質問と、それに対する回答・本音を少しだけご紹介できればと思います。

あくまで、僕自身のケースです。

旅人によって千差万別ではありますが、ちょっとだけ参考になればと思います。

 

 

「それって全都道府県を巡ったってこと?」

 

人に寄るのかもしれないですが、僕は「全都道府県を巡ったよ」と回答します。

ニュアンス的には少しだけ「そうに決まっているだろ」というテイストが入ります。

 

drive-ns.hatenablog.com

 

上記リンクの中で、僕自身の日本一周の定義を書いてありますので、よろしければご覧ください。

 

やはり海岸線は大体外周を抑えたいし、かといって内陸県を飛ばすのもその県の人に悪いなって思います。

従い、結論から言うと全県を巡るのです。

 

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以前も掲載したことがありますが、これが日本3周したときのルートです。

青字が一般道で走行したルートです。

これに、上図には無いですけど沖縄県が加わるイメージです。

 

日本一周の定義は旅人によって異なります。

都道府県を巡らずに、沖縄や内陸県を飛ばす人もいます。

それはそれで良いでしょう。厳密な定義は無いですので。

 

でも、日本を何周もしている僕がこの質問を受けるのであれば、胸を張って「もちろん日本何周もしているからには、全都道府県に足を踏み入れているに決まっているじゃないか」と言いたいのです。

 

 

「一番良かったところはどこ?」

 

非常によく聞かれる質問です。

僕は「北海道の道東や道北の地平線、あるいは沖縄の八重山諸島の青い海かな」みたいに答えます。

 

「お手本のような回答だな」って自分で思います。

もちろん事実です。どちらも最高なのです。

 

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この2つを挙げる根拠は、まずは万人にわかりやすく共感を得られやすいという点です。

 

次に、もし相手が多少マニアックな人だったら、そこから話を広げやすいのです。

もし相手がマニアックでなくっても、食いついてきたら「こういう景色が最高でね…」って言語で表現しやすい点が挙げられます。

 

いずれにしても、「景色」を軸に「良かったところ」を語るのが特徴です。

 

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ただ、本当は現地の良さっていうのは景色だけではありません。

 

グルメであったり、文化であったり。

あるいは宿での交流、現地の人との交流、困難を乗り越えてルート取りしたり、一生のうちでそう何回も経験できない体験が出来たり…。

そう考えると、どんな都道府県の旅も本当に貴重で楽しいものなのです。

 

しかし話を戻すと、北海道や沖縄への旅は、遠方なので長期になりがちです。

そうなると、いろんなエピソードが発生しやすく、思い出深い旅となるのです。

やっぱり僕、北海道と沖縄が好きなのだと思います。

 

 

「一番おいしかったものは何?」

 

よく質問されますが、これは「一番良かったところ」以上に回答が難しかったりします。

誰とどんなシチュエーションで食べるかによっても、大きく変化するからです。

砂漠でカラカラになった状態で飲む水は、きっと世界一おいしいでしょうし。

 

それに、相手の期待もあります。

「北海道の…」って僕が言い始めたら、相手はきっと「おっ、海鮮かな?ジンギスカンかな?」みたいに思うでしょう。

ここで僕が「納豆だよ」と言ったら、少し周囲の気温が下がります。

例え事実であっても、「求めている答えはそうじゃないんだけどなー」という空気感になります。

 

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今回は空気を読まずに敢えて言いましょう。

ピザです。(僕はすんごいピザ好きです)

 

北海道は羽幌の「吉里吉里」。

40年以上も続く、伝説のカフェ&旅人宿です。僕も何度も宿泊しています。

しかし、ランチタイムのみで提供されるピザが本当に絶品なのです。

このためだけに道北に足を延ばしたこともあります。

 

2021年夏、旅友の「FUGA君」が北海道を走っているとき、ちょうど宿の前でライダーさんを送り出すオーナーさんご夫妻を目撃したと言っていました。

遠い地で、コロナ禍の中、吉里吉里さんは頑張っているのでしょう。

会いたいよ、オーナー。

 

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「車の年式と排気量は?」

 

車好き、バイク好きの人から良く聞かれる質問です。

うん、正直うろ覚えです。

「ちょっと車検証を見てきていいか?」と言いたい気分になります。

 

多分世間一般の旅に車を活用している旅人は、車は相棒であり、そのスペックをしっかり把握しているのでしょう。

しかし僕は、車をスペックで選んでいるわけではないのです。

 

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乗っていて楽しいか。

これに尽きます。

 

もっと言うと、車中泊しやすいかとか、長距離運転しやすいかとかも加味しますが、なんだかんだでそういう条件はさておいて見た目で選んでしまうタイプです。

しかも車はとっかえひっかえなので、これが対異性だったらとんでもない暴君ですね、僕。

 

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結論を言いましょう。

現在(日本6周目)の車である日産パオは特殊な販売期間の限定車なので、「平成元年式」と覚えています。

しかしその他の要素は歴代の車含め、ほとんど覚えていません。

 

いいんです、僕。

車は動けばいいのです。

もっと言うと、例えば交流のある旅人であっても、本名も年齢も知りません。

逆に僕の本名や年齢も教えません。

大事なのは、「存在している」ってことですので。

 

 

「オススメのスポットはどこ?」

 

これは相手によって慎重になってしまう質問です。

 

  • 相手の人の乗り物は何か(車・バイク・公共交通機関
  • 相手の人は何を目的に旅するか(景勝地・施設・温泉・グルメ)
  • 相手の人はどのくらいの経験値か(時間をかけてでもマニアックなスポットに行きたいか)

 

ザッと考えてもこのようになります。

SNSなどを見ても「オススメはありますか?」などの質問をよく見かけますが、軽はずみにご紹介してご迷惑になってしまってはよろしくないなって思い、ちょっと慎重になってしまうのです。

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もちろん、ある程度知っている仲だったら、その人に合ったスポットをご紹介できます。

充分にコミュニケーションが取れるのであれば、「もし国道○号を走っていて数10分ほど寄り道ができるのであれば…」という感じで具体的に条件を示しつつご紹介もできます。

 

誰しも忙しい中で、貴重な休みを活用して旅をしていると思うのです。

力になりたいと思う反面、余計な情報を与えてしまわないかと思ってしまうのです。

 

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しかしね、実は僕自身はそういう紹介は嬉しいタイプです。

 

正直、「知っているよ」というスポットもあるし、「興味ないな。むしろ返信がメンドウ。」と思うことだってあります。人間だもの。

だけども、そういうやりとりができる人が存在することが嬉しいのです。

それが現実世界でも、Web世界であっても。

 

矛盾してしまっていて、申し訳ないです。

そんな葛藤の中を生きているのだと、軽く受け止めていただけると幸いです。

 

 

「住むとしたらどこ?」

 

これもしばしば質問されることがあります。

…が、「旅するのと住むのって全然別問題だよ」って思っています。

それを踏まえたご質問なのか、そうでないのかが気になります。

 

僕はあくまで旅人です。

帰る場所があっての「旅」なのです。

旅とは非日常です。これを日常にしたいとは思っていません。

 

つまり、「北海道の大自然が好きだー!」とか言ってますけど、僕がやっているのは最高の季節にただ走って宿に泊まって酒を飲んでいるだけです。

北海道の冬の厳しさ、就職の困難さ、買い物や病院などの利便性など、何も知りません。

お客としてチヤホヤされているだけです。

 

そんな僕が「北海道に住みたい」とは言い出せません。

「ナメるな」の一言で終わりです。

 

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例えば、いろんなグルメを巡る人に対して「で、日本料理屋をやってみたい?それとも中華料理人になりたい?」と聞いているようなものです。

 

食べるのが好きで料理人になる人ももちろん多いでしょう。旅でいい思い出を作り、その地に居住する人もいるでしょう。

しかし、相当運命的な出会いがない限り、そういうのは難しいのかもしれません。特にビビリの僕においては。

 

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僕だって、表の顔(旅)と、裏の顔(仕事&プライベート)があります。

裏の顔のほうであれば、ある程度の規模の町で、周囲に必要な施設が揃っているところがいいかなって思っています。

 

そうですね…。

具体的には1位が横浜、2位は神戸~明石くらいの雰囲気が好きです。

コンクリートに囲まれすぎないレベルの町で、そこそこの歴史と緑と海が程近くにある…、そんな場所でオシャレなカフェとベーカリーを見つけられたら、最高ですね。

 

*-*-*-*-*-*-*-

 

さて、前回の記事と今回の記事との間で、僕は新天地に引っ越しをしました。

「どこの町か」とかは明言はしませんが、しばらくはこの地を拠点として、ワクワクを探してみようと思います。

 

twitter.com

 

Twitterもやっています。

3500人ほどのフォロワーさんと共に、旅のワクワクを語らい合う日々です。

コロナ禍で思うように動けませんが、よろしければ一緒に夢を語りましょう。

 

2021年夏、 あなたにとってもアツく思い出深い夏になりますように。

No.125【福井県】武生市に行ったらボルガライスを食べるべき!…どんなものか知らんけど!

旅行に行ったら、その土地の食べ物を味わうといい。

 

その土地で獲れたものを食べられると最高にハッピーではあるが、「その土地にしかないメニュー」っていうのも面白い。 

同じ日本だけど、ちょっとだけ文化が違うのだ。

あなたの住んでいる土地と、旅行先の土地とでは、少しだけ常識が違うのだ。

 

それがとても面白い。

旅先の駅だとか、旅先のスーパーを覗いてみると、"当たり前のように"それを使っている人がいる。 

 

そりゃそうだ。それがその人の日常なのだから。

それを見て、「あぁ、自分は違う世界に来たのだな」と感じる。

そういうの、たまらくなく好き。

 

さて、今回は福井県の武生(たけふ)市とそのご近所だけで、"当たり前"と言われているグルメをご紹介したい。

 

待ってろ、ボルガライス

 

 

総社大神宮

 

福井県の海岸線沿いを走っていた。

僕は「しおかぜライン」と名付けられた、この海沿いの道のドライブが好きであった。

 

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武生へ1

しかし、途中で「この絶景にかまけている人生ではダメだ。何か新しいことをしなければ。」と思い立ち、急遽内陸部に向けてハンドルを切ったのだ。

 

ランチにしよう。

今までは「福井県は海が多いから、海鮮系を食べたい」みたいに単純な思考しか持っていなかった。

もちろん福井県リアス式海岸の特性から豊富な魚介が獲れる。当然うまい。

 

毎回海鮮でもいいけど、ときには違う冒険も必要だ。

地元の人は毎日海の幸を食べているわけでもないだろうから、他にもきっとおいしいものはあるのだ。

 

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武生へ2

 

 『武生に来たらボルガライス

 

 

今回のお目当てはこれだ。

ボルガライス。たぶん福井県外の人はあまりなじみのないネーミングだろうし、福井県民であっても武生市以外の人だと知名度はガクッと落ちるのではないかと考える。

だからこそ、武生でこれを食べてみたい。

 

というより、漫画家「池上遼一さん」が描いた、このポスターの顔の濃い人が気になる。

2021年現在から見ると、ここ数年は「○○を擬人化してみた」みたいな企画が多い世の中になっていると感じる。

 

ボルガライスを擬人化するとこんな感じの、顔の濃い人になるのだろうか。

だとするなら、僕もちょっと顔濃いめになるのだろう。それもいいかもしれない。

 

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武生へ3


ボルガライスが気になる方は… [武生に来たらボルガライス][検索]』

 

ポスターの標語と全く同じ内容を検索ウィンドウの中にも記載する、丁寧なお仕事。

ボルガライスも気になるが、今この瞬間はこの顔の濃い人の方が気になる。

だけどもやっぱり気にしなければならないのは、ボルガライスの方だ。

 

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武生へ4

「総社大神宮」というところに辿り着いた。

 

ボルガライスを提供している「ヨコガワ分店」を目指してきたら、なぜか神社に到着したのだ。

ま、冷静に見渡したら神社の参道みたいなところにヨコガワ分店はあったんだけど。

 

お店は11:30~の営業。

しかし今は11:20。なので神社でもお参りしておこう。ヒマだし時間潰しだ。

 

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武生へ5

"総社"というのは、「そのエリアの神様がここに全員集結する」っていうスポットなのだそうだ。

 

大化の改新とか勃発した今から1400年くらい前って、都道府県とかの概念はなく"国"っていう自治体が全国にあったんだけど、その国ごとの神様をまとめて祀っちゃうというありがたい神社。

 

だから「ボルガライスの店が開店するまでヒマだから時間潰しのためにお参りしよう」だなんて人はバチ当たりかもしれないからな。誰だよ、そういうことするの。

 

 

ヨコガワ分店

 

開店と同時に入ろう。

ボルガライス食べよう。

 

ここで、ボルガライスとは何なのかを説明しよう。

ボルガライスっていうのは、オムライスの上にトンカツを乗せてデミグラスソースをかけたもの。

 

最初に聞いたときは「根室エスカロップに似ているな」って思ったけど、エスカロップにはオムライスの"オム"要素がない。

ボルガライスにはさらに卵が追加されているのだ。

 

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これは根室エスカロップ

ボルガライスは、「オムライス+トンカツ+デミグラスソース」なのだ。

なんというゴキゲンなコラボレーションよ。

洋食界の大化の改新かなって思った。

そりゃ日本海沿いからワクワクしながら内陸まで走ってくる意味もあるってものですよ。

 

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ヨコガワ分店1

ヨコガワ分店さん。

1969年創業だというからそこそこの老舗である。

…が、リフォームしているのかすごいかわいい外観。看板の文字など、大変エモい。

 

ところで、「"分店"とついているということは本店もあるのか?」 というところが気になるが、実は本店は無い。

かつては存在していたのだが、とっくに閉店してしまったのだそうだ。

 

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ヨコガワ分店2

店内は、開店直後なので僕1人。

カウンター席が厨房を取り囲んでいる。カウンター席のみのお店。カッコイイ。

ちなみに店内も厨房も恐ろしくピッカピカ。

 

料理は親子2代で実施しているそうだ。

僕がボルガライスをオーダーすると、オーナーさんと息子さんと思われる方との連携プレーが始まる。

 

カウンター越しに調理風景を見れていて楽しい。

オーダーを受けてから、カツを揚げ、そしてチキンライスを丁寧に炒める。

そしてフライパンの上で玉子にチキンライスをサッと包むのだ。

 

最後に、長年つぎ足しながら使っているという秘伝のデミグラスソースをかけてできあがり。

 

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ヨコガワ分店3

うん、このビジュアルでうまくないハズがない。

トンカツさんだってホラ、思わずオムライスにハグしているじゃないか。

 

あ、うまい。

ひとくち食べて、そう思った。

 

トンカツは揚げたてサクサク。

そんなにボリューミーではなく、やや薄めでサクッとした食感。

デミグラスソースもしつこくなく、ほどよい酸味なので食べ疲れはしない感じ。

玉子も生地が薄くて食べやすい。

 

オムライス・トンカツ・デミグラスソース。

一見バラバラのようにも見えるこれらのパーツだが、1つ1つがやや控えめであるからこそ、これらのコラボレーションが綺麗に完成しているように感じた。

 

結果、ペロリと完食だ。

満足感がほとばしる。

 

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ヨコガワ分店4

ごちそうさま。

お店の人の接客もとても丁寧で、好感の持てるお店だった。

 

人生初のボルガライス、100点。

 

 

ボルガライスとは

 

ボルガライスっていうのは、オムライスの上にトンカツを乗せてデミグラスソースをかけたもの。

それは前項で書いた。

 

しかし、どこでどう生まれたメニューなのだろうか?

改めて、冒頭で出てきた『ボルガライスが気になる方は… [武生に来たらボルガライス][検索]』を実施してみよう。

 

volga-rice.jimdofree.com

 

すると、「日本ボルガラー協会公式ホームページ」に行きつく。

ボルガラー…。

深淵を感じさせる単語なので、ここはスルーしておこう。

 

ボルガライスの起源について、このWebサイトに記載があるので、そのまま引用させていただく。

 

【名前の由来その1 ロシア料理説】

ロシアにたまごを使った「ボルガ」という料理があり、同じたまごを使った料理ということで「ボルガライス」とした。

 

【名前の由来その2 イタリア地方説】

イタリアのボルガーナという地方で食べられていた料理に似ているということがから地方名をとり「ボルガライス」とした。

 

【名前の由来その3 ボルガ川連想説】

ボルガライスのオムライスの部分がロシアのボルガ川でそこをわたるイカダがトンカツという見た目から連想して「ボルガライス」とした。

 

そのほかにもボストンライス説、ロシアの車「ボルガ」説、ボルガ店名説など様々な説が飛び交っており、そのためかYouTubeには、ボルガライスに関するわけのわからない動画までアップされている!

 

こんな感じで、ボルガライスの由来はとんでもなくフワフワとしているのだ。

あと、末尾のYouTubeには、ボルガライスに関するわけのわからない動画までアップされている!』で噴いた。 

 

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由来も漠然としたボルガライスだが、そこからの派生もまた自由だ。

どうやらドリア風ボルガライス、うどんの上に具材を乗せる鍋ボルガ、ホットドッグにするパターンや押し寿司にするパターンもあるらしい。

概念ゆるゆるで素晴らしい。

 

もともと、「コレとコレを一緒にしたらおいしいのでは?」という理論から誕生したであろうボルガライス

誕生後の進化の可能性もまた、無限大なのであろう。

 

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*-*-*-*-*-*-*-*-

 

2021年8月現在開催されている東京オリンピックだって、きっとそうだ。

 

いろんな国・いろんな文化の集結、そしてそこからの進化。

こうやって世界は、次の時代を切り開いていくのだろう。

コロナに負けず、躍進してほしい。

 

…そして僕も、次の時代を切り開こう。

ここしばらく更新頻度に少し間隔があいていたのは、引っ越しをするためだったのだ。

この記事も、ダンボールの山の中で書いた。

 

もう間もなく搬出の時間だ。

僕自身の次の時代、楽しみだな。

 

以上、日本6周目を走る旅人YAMAでした。

 

 

住所・スポット情報

 

  • 名称: ヨコガワ分店
  • 住所: 福井県越前市京町1丁目4-35
  • 料金: ボルガライス¥980他
  • 駐車場: あり
  • 時間: 11:30~23:00(火曜定休)

 

No.124【青森県】2019年に爆誕した名所「とまりのトトロ」!そのアプローチ方法を公開だ!

「とりのトトロ」。

 

決して「とりのトトロ」ではない。

なぜなら隣(となり)にはいないからだ。泊(とまり)にいるからだ。

 

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2019年、トトロのシルエットが浮き上がる洞門が発見された。

場所は下北半島の泊という小さな集落。

SNSでは結構なバズりっぷりだったらしい。

 

僕もそこを訪問した。

なかなかのマイナースポットであり、そこに到達するには少々骨が折れた。

実際にとまりのトトロを訪問した人はまだまだ稀であり、Webを探しても詳細なアプローチ方法を紹介しているサイトがほとんどないのだ。

 

…では!

僕がつたない文章と共に紹介してみようか。

 

「ほんとだもん! 本当にトトロいたんだもん! ウソじゃないもん!」

 

 

トトロに出会いました

 

少し手前に愛車の日産パオを停めた。

 

ここに至るまで、このスポットを示す案内板などは一切ない。

まだ観光地として成り立っていないのだ。発見されたてのホヤホヤなのだ。

 

初めてだが、僕は確信している。

この先にトトロがいることを。

そして予想通り、僕の前に洞門が姿を現した。

 

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トトロの洞門1

はい、あった。

 

次に、洞門のかたちがトトロに見えるように、立ち位置を整える。

上の写真の通り、洞門から10mちょっと離れ、道の左端に立つ。

あとはセンチ単位で調整していこう。

 

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トトロの洞門2

 

トトロが現れた。


わかっているとはいえ、このシルエットが見えたときの感動は、ちょっと言葉ではいい表せない。

「知っている」のと「やってできる」のとは違うのだ。

何事も経験と実践、大事。

 

サツキやメイと同じように、浮かれて「夢だけどー!夢じゃなかった!」とハシャギまくりたい衝動に駆られた。

 

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トトロの洞門3

浮かれたついでに、ヘタクソなトトロを描いてみた。

洞門のかたちとピッタリだ。奇跡の融合。

この洞門、「宮崎駿監督」の怨念が宿っているとしか思えない。

 

ちなみに、どうやらベストな撮影をするにはもう少しだけ立ち位置を変え、耳を細くするのが良いみたいだ。

Web検索で出てくる画像も、大概僕の撮影時よりも耳が細い。

耳太めなトトロになってしまい、すまない。

 

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トトロの洞門4

一緒に記念撮影しようとすると、こうなる。

 

まぁ工夫すればお腹にしがみついたり、傘をさして一緒に並んだりすることもできるかもしれないが、それはあなたが勝手にやってほしい。

他の人も見ていたので、メンタル的に僕はこの程度が限界だった。

 

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トトロの洞門5

洞門を抜けた先は、海である。

漁業関連の小屋などがいくつか立ち並んでいる。

 

もう少し進んだ先には「滝の尻大滝」という滝がある。

最初と最後に"滝"がつくという不思議なネーミングだ。

 

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トトロの洞門6

洞門を振り返ると、こうなる。

反対側から見ると、トトロではない。まぁ当然だ。

 

ちなみに、この洞門の正式名称は「弥次郎穴」である。これが古来からの呼び名。

風や波で削られて自然にできた、いわゆる海蝕洞なのだそうだ。

 

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トトロの洞門7

洞門の向こう側から軽トラが現れて、「うわっ!」ってなった。

地元の漁師さんなどが使用することもある道路なのだ。要注意だ。

 

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トトロの洞門8

ギリギリだ。ワイルドだ。

 

随分前からこうして生活道路に使われていたのだろうが、とまりのトトロが発見されたのは、冒頭の通り2019年。

やっぱトトロは近くにいるけど、なかなか気付かれない存在なのだな。映画の通りだ。

 

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トトロの洞門9

内部をご覧に入れよう。

見よ、ゴッツゴツのワイルドな岩盤が剥き出しである。

海蝕洞の迫力、すっごい。

 

こうして洞門を一往復し、最後にトトロのシルエットを振り返るのだ。

トトロ、ホントにいたんだね。感動した。

 

 

トトロに会う方法

 

とまりのトトロはどこにあるのか。

 

少なくとも2021年現在は、非常にアプローチしづらい。

観光客向けの案内は皆無なのだ。…というより、まともな道すらない。

Web上の情報も非常に少ない。

 

ちょっと僕と一緒に確かめてみようか?

 

 

①:クライミングルート

 

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アプローチ1

まずはGoogleマップを出してみよう。

検索すればとまりのトトロは出てくる。

 

下北半島の主要国道である、国道338号・394号の重複区間から直線で200mも離れていない。

しかも上の地図を見ての通り、道路のすぐ脇にとまりのトトロがあるようだ。

Googleマップでナビ検索しても、上の図のような赤い矢印のルートが表示される。

 

でもこれ、行けなくはないけどオススメはしたくない。

 

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アプローチ2

衛星写真でお見せしよう。

とまりのトトロの目の前まで行っているように思える道が、実際は存在しない

 

なんというホラーな展開だよ。

僕も現地で「どういうことだよ…」って混乱したさ。

 

かわりに、青枠の通り駐車場があった。

衛星写真では存在しないんだけど、実際にはあった。

 

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アプローチ3

こんな感じの駐車場だ。

そこから1分歩く。車道は行き止まりでどこにも行けないように思えるが、実は遊歩道が存在する。
 

 

パッと見ではわからないだろうが、実は軽自動車の目の前に遊歩道がある。

覗いてみたら、なかなかの急斜面だ。ロープが設置されているレベルの斜面だ。 

 

僕が元気で気候も良ければ崖を下って行ってもいいかもしれない。

しかし今は真夏である。暑いので体力が心配だし汗をかきたくない。

しかも、この下にとまりのトトロがあるとの確証もない状態であった。

 

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アプローチ4

地図に記載するとこんな感じだ。

僕は使用しなかったが、もしあなたが興味があるなら行ってみてほしい。

 

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アプローチ5

海岸沿いから見た、クライミングルートの出口だ。

 

ここはとまりのトトロのすぐ脇。

おめでとう、到着だ。

 

 

②:フラットルート

 

僕が実際に使用したのは、なるべくトトロの近くまで車で行く方法だ。

先ほど洞門を通過する軽トラックの写真を掲載した。

その軽トラックが使ったであろうルートだ。

 

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アプローチ6

結論から言うと、こういうルートだ。

途中から道なんてなく、ご覧いただいてもワケわからないであろう。

 

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アプローチ7

僕個人としては、特にこのあたりの軌跡が秀逸だと思っている。

衛星写真でお見せしよう。

 

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アプローチ8

こうだ。

左から右へとやってくる舗装路。

赤い線の通り真横に行っても、道に沿って右下にカーブして行っても、前ブレもなく道がブツリと途切れるのだ。

この消失点が衛星から見てても笑える。

 

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アプローチ9

先ほどの赤い矢印の通り、左から右へと来た道の突き当りにて、上を向いた瞬間の写真である。

陸橋に沿って少しの区間だけ舗装路があるが、もう目の前で砂利ダートが始まろうとしている。

 

で、砂利ダートだけならまだいいんだけど、道なのかなんなのかわからない広大な空間が広がって戸惑う。

とりあえず陸橋をくぐり、そのまま海沿いに進行方向に進む。

 

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アプローチ10

すると少し道幅が狭くなり、そして前方にボロッボロのガードレールが現れる。

写真では道をふさぐようにガードレールがあるが、実はこれは急な左カーブである。

それにそって左にハンドルを切るのだ。

 

砂利が不得意な車であれば、ここいらで駐車してもいい。

とまりのトトロまでは、もう徒歩で3分もかからない平坦な道だから。

 

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アプローチ11

ガードレールに沿って左に曲がると、このような道になる。

 

PCから見ないとわかりづらいと思うが、進行方向に小さく神社の社が見えている。

社のすぐ手前に駐車した写真を次に掲載しよう。

 

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アプローチ10

ここがとまりのトトロの50mほど手前の地点である。

赤く見えていた社は、写真には写っていないが車の左側にある。

 

洞門を通過して海に出ようとか思わない限り、つまりはとまりのトトロが目的でここまで来た場合、ここが最後の駐車しやすいスポットになると判断する。

 

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アプローチ11

ご覧の通り、岩の裂け目に鳥居がある。

神様がいる。

トトロも森の主だもんな。ここ一体、神聖な場所なのかもしれない。

お参りをした。 

 

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アプローチ12

同じ場所を車の頭方向から見ると、こうなる。

 

僕が来たのは写真左奥の方向である。

…が、右奥から来るルートもあるようだ。

陸橋をくぐった先のフリーダムなエリアで選択したコースによっては、右奥から出てくるのだろう。

ま、ただしこちらは深い水たまりがあった。左奥から出てきて正解だったと振り返る。

 

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アプローチ13

鳥居からとまりのトトロが見える場所まで、徒歩30秒だ。

もう少しだ。

 

写真に写っている男性は、とまりのトトロを撮影している。

あのあたりか、もう少し左の道路が濡れている部分がベストな立ち位置である。

 

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アプローチ14


こうして、冒頭の写真に繋がるわけだ。

道路の濡れている部分が、もう僕の目の前1mのところにある。

 

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とまりのトトロ

こんにちは、トトロ。

 

 

*-*-*-*-*-*-*-*

 

青森県下北半島

秘境が多く存在するその地の、見過ごしてしまいそうな小さな集落の中に、トトロは確かにいる。

 

僕が訪問した際、他に2・3組の観光客がいたが、撮影に気付くと道を開けてくれたり撮影を譲り合ったりと、とても良い関係を築けた。

 

静かにそっと訪ねてみてほしい。

雲のかたちや岩のかたちが何か他の物に見えて、それだけでハシャいだ子供時代。

 

そのときの気持ちが残っているならば、きっとトトロはあなたの前に姿を現してくれると思うのだ。

 

以上、日本6周目を走る旅人YAMAでした。

 

 

住所・スポット情報

 

  • 名称: とまりのトトロ
  • 住所: 青森県上北郡六ヶ所村泊焼山
  • 料金: 無料
  • 駐車場: 数10m~100mほど離れたところにスペースあり
  • 時間: 特になし

 

No.123【長崎県】佐世保バーガー最古の店!?夜のみ営業・店内狭い・バーガー逆さまだぞ!

妖しく光る、夜のネオン。

それを見上げて僕は覚悟を決めた。

 

今夜、僕はこの扉を開ける。

10年以上止まっていた時計の針が、今動き出す。

 

いや、別にオトナの階段を昇ろうとかそういうのではないのだ。

ハンバーガーを食べに来ただけよ。

 

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その店の名は、「ブルースカイ」。

 

佐世保で一番の老舗と言われている店だ。

そして、夜しか営業していない。 

 

 

ハンバーガーの町、佐世保

 

ハンバーガーの町、佐世保

義務教育のごとく、みんな知っている。

駅前にも巨大なハンバーガーのハリボテがあった。

 

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佐世保バーガーの巨大さに驚き、ブレる

どうやらマクドナルドなどが日本に上陸し、ハンバーガーが日本人にとってメジャーな食べ物となる前から、佐世保の人々はパンとパンの間に肉を挟んでいたらしい。

偉大な人々である。

 

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出会った人にどこがオススメか聞いたら「BigMan」と言われた

佐世保アメリカの海軍基地がある町。

 

ほら、アメリカ人って三食ハンバーガーかピザじゃないですか。

だから海軍の人を通じて、早い時期に日本にハンバーガー文化が入っていたというわけなのだ。

 

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これでBigな男になれると信じていた時代

佐世保の人たちは空気のようにハンバーガーに慣れ親しんでいたので、「あれ?もしらして自分らってハンバーガーへの依存度が著しい??」って気付いたのが1999年ごろ。

 

2003年に「佐世保バーガー」というブランドを立ち上げ、日本中に佐世保ハンバーガーの町であるとアピールした。

 

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「LOG KIT」には2回行った

ちょうどその頃、ご当地グルメブームも来ていて、佐世保バーガー知名度は一気に全国区となった。

 

もちろん、僕もホイホイ釣られた。

佐世保に通い、パンとパンの間に肉を挟んでもらうことを至上の喜びと感じた。

 

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巨大さと重さに圧倒された

いや、マクドナルドさんも安定して美味しいよ。僕の期待のジャストなところを的確に突いてくれるよ。

 

しかし佐世保バーガーは違うのだ。

スケールがアメリカン。1店舗ごとに全然テイストが違う。

なのにどこも美味しい。

 

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最古の店の1つ「ヒカリ」。隣は「LOG KIT」

何店舗か回って僕はわかった。

「これが文化ということなんだな」と。

 

いろいろあって、それが全部正しくって、それらが町のアイデンティティになっている。それこそが文化。

すごいぞ佐世保。すごいぞハンバーガー。

 

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ハンバーガーを通して町の歴史を学ぶ

その中で1店舗、10年も気になりつつもアプローチできていない店があった。

 

それがブルースカイ。

今回ご紹介するお店だ。

 

 

前哨戦:「Sasebo C&B Burgers」


日没後。

クッタクタに疲れた僕が佐世保の町にやってきた。

 

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前哨戦1

大分県の国東半島から、一般道で海岸沿いにここまで観光しながら走ってきたのだ。

1日でこれは結構疲れる。

 

しかも、明日以降の旅路で悩ましい問題がたくさんあるのだ。

まぁ、これは今話すことではなかったな。やめよう。

※ヒント:以下の記事の夜のことである。

 

drive-ns.hatenablog.com

 

コインパーキングに車を停めた僕は、日本一の長さの商店街という「さるくシティ4〇3アーケード」に入る。

全長960mだ。なかなかに長い。

 

この商店街から脇道に反れたところにブルースカイがある。

何度も前を歩いているので場所は知っている。

 

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前哨戦2

しかし、すぐにはブルースカイには行かない。

なぜなら、ブルースカイの営業時間は21:00~深夜2:00である。

そこが今までなかなかそのお店に訪問できなかった理由の1つでもある。

 

※Webサイトによっては「20:00~」と記載されているものもあります。

どちらが本当かはわからないが、当時の僕自身の認識として表記します。

 

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前哨戦3

ちなみに今の時間は19:50。

開店予想時刻まで1時間だ。

 

じゃあ何をして時間を潰すか。

佐世保バーガー食べながら時間を潰そう。

 

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前哨戦4

この近辺では、歩いていれば佐世保バーガーの店が目に入る。

今回選んだのは、ここ「Sasebo C&B Burgers(佐世保・シーアンドビー・バーガーズ)」というお店である。

 

「艦これ」はさておき、アメリカンな店構えが期待をUPさせてくれる。

 

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前哨戦5

「なんでオメェ、ハンバーガーを食べる前にハンバーガーを食べているんだよ」と突っ込まれるかもしれないが、思惑がある。

 

1つに、次に佐世保を訪問できるのがいつになるかわからないからだ。

やれることはやれるうちにやっておきたい。

 

もう2つは、巨大なことがアイデンティティになりつつある佐世保バーガーではあるが、ブルースカイのものは小ぶりなのである。

腹ペコな今の僕は、小ぶりバーガーであれば2つ食べられるくらいの獰猛さを持っている。

 

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前哨戦6

メインディッシュがハンバーガーなのであれば、オードブルもハンバーガーだ。

そういう世界線からやってきたのだ、僕は。

 

そんな意気込みで店内に飛び込んだ。

わーお、オシャレ。

 

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前哨戦7

ベーコンバーガーに、ポテト・ドリンクセットとした。

ちょっと調子に乗りすぎたかもしれないが、今の僕のテンションはこうであった。

欲望の赴くままだ。

1時間後の未来については、1時間後のYAMAさんがどうにかしろ。

 

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前哨戦8

はい、これを絶対正義と呼びます。

「美味しさ」が具現化した姿だ。

レタス・トマト・ベーコン、全部ワイルドに「コンニチハ」している。

 

佐世保バーガーの定義は、地元食材を使い、注文を受けて作り始めるこだわりハンバーガらしい。

ちまたではどんどん巨大化している佐世保バーガーだが、大きさは関係ないのだ。

 

ここも特にすごく大きくはない。

野菜のみずみずしさの効果ですごく食べやすく、ペロリであった。

 

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前哨戦9

ちなみに、店内には日本地図と世界地図が貼ってあった。

来た人は、「どこから来たのか」をここにピンで示せるのだ。

 

日本は見事に関東から九州北部にかけて、横一直線にピンが密集している。

これさ、小学校の社会の時間で習った「工業地帯の太平洋ベルト」だ。一緒。

東北と北海道の空白が物悲しいね。

全国から持ってくればいい。コロナが明けたら。

 

それでは、ごちそうさまでした!


 

本戦:「ブルースカイ」突撃!

 

20:30。まだ開店予想時刻よりも30分早いが、僕はお店の前にフラリとやってきた。

何か嗅覚が反応したのだ。

 

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ブルースカイ1

お店、やってた。

妖しげなネオンがついている。

こういうお店って、気まぐれで開店・閉店時間が前後することがあるので、念のため見に来てよかった。

 

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ブルースカイ2

10年ほど前に存在を知ったお店。 

最初の項でご紹介した「ヒカリ」と並ぶ、佐世保ハンバーガー店の最古であり元祖である。

 

何度か店の前まで来たこともあるが、営業していなくって入店の機会が無かった。

あと、「なんか小さくて入りづらいお店だな」って思って、そこまで熱心にアプローチしようとも思っていなかった。

 

だけども、やっぱ入ってみたい。

月日が経って思い直した僕は、スケジュールを合わせて、こうして夜の時間帯に佐世保にやってきたのだ。

 

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ブルースカイ3

だからこそ、この見上げる昭和レトロな看板が尊い

 

僕はそっと合掌したさ。

あ、この場合の合掌は仏教的なものではないぞ。

ハンバーガー教の合掌は、パンとパンが重なる様を表現しているのだ。知らんけど。

 

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ブルースカイ4

ちょっと勇気を出して、扉を開けた。

カウンターのみの6席ほどの、狭い店内であった。

 

先客が1人だけいた。

どうやら持ち帰りでハンバーガー10数個をオーダーしているようだった。

店主のおばちゃんが、カウンターの上にバンズを並べ、黙々とハンバーガーを作っていた。

 

カウンターのすぐ横で、僕はその様子を眺めていた。

慣れた手つきで大量のハンバーガーが完成し、先客は手さげバッグいっぱいのハンバーガーを持ち帰った。

今夜はハンバーガーパーティーか?なんか想像しただけでワクワクする。

 

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ブルースカイ5

さて、僕の番だ。

ここで初めて、寡黙なおばちゃんが僕にオーダーを聞く。

僕はベーコンチーズエッグバーガーをオーダーした。

 

おばちゃんは「はい」とだけ言って作り始めた。

食べログとか見ると、「おばちゃんすごく無愛想」・「戸惑う」などのコメントで満ち溢れている。

 

まぁ、これマジであろう。おばちゃんはクールだ。

しかし、ちゃんとこちらとの距離感を取ってくれている、とも表現できる。

おばちゃんはハンバーガー職人なのだ。

僕らはハンバーガーをオーダーし、それが完成するのを待てばよい。

 

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ブルースカイ6

ハンバーガーが運ばれた。

「はい」と無表情で僕の目の前に置かれた。

 

さぁ、試練の時だ。

 

緊張で写真がブレた。それはなぜか。

ここからハンバーガーをひとくち食べるところまでが、この店で一番緊張すべきタイミングだからだ。

 

そんなことを書くと、あなたは下記の記事を思い出すかもしれない。

 

drive-ns.hatenablog.com

 

最初のひとくちで客が次から次へと退場宣言になったと言われる伝説のラーメン屋。

まぁ今日の昼ごはんがそこだったんだけど、夜も夜でなかなかの緊張だ。

 

しかし、僕はWebで予習してきている。

おばちゃんが無愛想ながらも僕の所作を注意深く観察しているであろうことを、僕は視界の隅で捉えている。

 

いいか、あなたに言っておく。大事なことだ。

このハンバーガーは、裏返しだ。逆さまなのだ。

 

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ブルースカイ7

それを知らないと、このあと大惨事間違いなしだから、ちゃんと知っておこう。

 

そして次に、このハンバーガーの持ち方だ。

これもお店のルールがあるからちゃんと守らなければならない。

 

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ブルースカイ8

 

まず、あなたはハンバーガーとお皿との隙間に、両手の人差し指から小指までをゆっくりと滑り込ませるのだ。

ポイントは小指だ。小指までしっかりとバンズに触れるように差し込まなければならない。

 

なんかカウンターの向こうでおばちゃんも「小指もよ」とエールを送って来た。無愛想なエール来た。

ありがたい。がんばれ、僕の小指。

 

そして、残った親指をバンズの上に軽く乗せるのだ。

上の図のようになったハズだ。いいぞいいぞ…。

 

そしたらな、そのままゆっくりとハンバーガーを上昇させる。

落ち着け。ゆっくりとだ。

 

ハンバーガーが顔の近くに近づいてきた。

もうかぶりつきだろう。しかしちょっと待て。最後のアクションだ。

直前で手首返しだ。クルッとハンバーガーを逆さまにしてくれ。

 

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ブルースカイ9

 

つまり、かぶりつく一瞬だけ、ハンバーガーが本来の上下となる。

再びお皿に置くのなら、またハンバーガーを天地返しして、逆さまの状態でお皿においてくれ。

 

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ブルースカイ10

ふぅー…。

最初のミッションを終えた。

ようやく心も平穏になり、ブレない写真を撮れた。

 

カウンターの向こうのおばちゃんも、表情は変えないながらも、心なしか肩の力が抜けたように見える。

 

このイニシエーション(通過儀礼)が大事なのだ。

一見さんだと、ここで食べ方を間違って、おばちゃんに厳しめに指導を受ける人が多いと聞く。

某ラーメン屋のように退店騒ぎにはならないものの、緊張走る儀式である。

 

ちょっと面倒かもしれないが、「このように食べるとハンバーガーが崩れにくい」ということから、これを徹底するのがこのお店のルールなのだ。

 

…しかし、ここは不器用なO型の僕である。

後半になるにつれてハンバーガーが崩れてくる。

それでもとりあえず頑なに持ち方は順守する僕。

 

手首返しの動作のせいで、なんか具材が落ちたりズレたり、大変な惨事だ。

もうこうなると、おばちゃんも飽きれて指摘はできない。

「ほら、ティッシュ使って」と無愛想なフォローをいただいたのみだ。

 

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ブルースカイ11

無事に食べきり、退店。

入れ違いで4名ほどのメンバーがお店に入ってきて、 店内はなかなかにギュウギュウになった。

 

ちなみに肝心のハンバーガーの味であるが、確かにおいしかった。

…なんだろう?

ひとくち食べて感動するようなインパクトのあるおいしさではなかった。

しかしおいしいのだ。

 

バンズはフニフニの白パンみたいな感じだし、ソースも塩コショウとマヨネーズがべースでかなりシンプルなのだ。

具材の質がいいのか、それともすべての食材が合わさったことで奏でるハーモニーなのか。

 

伊達に夜だけの営業で50年続いているわけではない。

確かな実力がそこにあるのだ。きっと。

 

 

佐世保最古のこだわり

 

僕は、ブルースカイを「佐世保バーガーの店」とは表記しないように注意してきた。

また、店内でもそのような発言をしないように注意した。

おばちゃんはそう言われるのを嫌うという話を、Web情報から事前に仕入れていたからだ。

 

これは推測だが、広島の人が「広島焼き」と呼ばずに「お好み焼き」と呼んでいること、そして明石の人が「明石焼き」と呼ばずに「玉子焼き」と呼んでいることと同義なのだろう。

 

自分たちにとっては、日常のものなのだ。

地域名を冠して呼んでほしくない、って思っているのかもしれない。

地域の人にとっては佐世保バーガーではなく、ハンバーガーなのだ。

 

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佐世保バーガーボーイ

佐世保バーガー認定店というのがある。

冒頭の項目で紹介したお店らは、全て認定店だ。

 

上記のようなキャラクターが店の前に立っている。

佐世保バーガーボーイ」という名前で、アンパンマンの作者である「やなせたかしさん」がデザインしたキャラクターだ。

 

ブルースカイにはこのキャラクターは立っていない。

店主のおばちゃんの意思は不明だが、 この企画に乗っからないこだわりがあるのかもしれない。

 

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夜の佐世保

食後、お店の外観の写真を撮っていたら、1人の女性から声をかけられた。

 

「中で食べてきたの?」・「いいわねぇ。私はいつもタイミングを外していて開店していなくって。あなたラッキーよ」・「今日は開店しているけど、混雑しているようでどうしようかしら」・「あなた九州一周しているのすごい!」などといろいろ言われた。

 

たぶんまだ1・2席の空きがあるから、がんばって突撃してみてはどうかと勧めてみた。

 

僕は入店できずに10年過ごし、今回ようやく入れた。

でも、もたもたしているうちに閉店してしまったお店もたくさん知っている。お店はいつもそこにあるとは限らない。

後悔しないためにも、行けるときに行くのが賢いのだ。

*-*-*-*-*-*-*-*

 

…2021年現在、コロナ禍の中で、改めてそう思う。

 

コロナが世に出る数ヶ月前の旅の物語。

 

早くまた、あのときのようなワクワクする旅ができますように。

僕の佐世保バーガー巡りの旅は、まだまだ途中なのだから。

 

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またいつか

…青空が見えない時間帯の営業なのに、店名が"青空"なお店を訪問した物語。

 

以上、日本6周目を走る旅人YAMAでした。

 

 

住所・スポット情報

 

  • 名称: ブルースカイ
  • 住所: 長崎県佐世保市栄町4-3
  • 料金: ハンバーガー¥430他
  • 駐車場: なし。近くのコインパーキングを使用のこと。
  • 時間: 21:00頃~翌2:00(日曜定休)

 

No.122【大阪府】知名度トップクラス!?日本一低い「天保山」は、山かどうかすら謎だ!

もしあなたが、町ゆく人1万人ほどに「日本一低い山はどこか?」と尋ねたとしよう。

都道府県、まんべんなくこの質問をしたとしよう。

 

たぶんだけど、回答結果で最多となるのは大阪の「天保山」だ。

自称日本一低い山というのは日本で7つほどはあり、その概念も様々なので一概に正解不正解はない。

なんだったら標高だけなら天保山より低い山も複数ある。3つある。

 

しかし、やっぱここは天保山なのだ。

残念ながらソースは無いが、旅人として多くのスポットを巡り、いろんな情報を見聞きしてきた僕は、そう判断する。

 

標高わずか4.53mにして大阪の誇る名峰を、今回ご紹介したい。

 

 

遊園地の喧騒の片隅で

 

さて、先ほどはいきなり『自称日本一低い山というのは日本で7つほど』と書くことで、あなたを混乱させてしまったことを反省している。

ちょっとここからご説明したい。

 

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これが、僕の知る限りの日本一低い山である。

 

日本一低い山とは、様々な定義から複数存在している。

だから低ければいいものでもなく、どれもがいずれかのジャンルでナンバー1を獲得していると認識いただければと思う。

 

詳しくは、僕の書いた以下の【特集】をご参照いただきたい。

 

drive-ns.hatenablog.com

 

ちなみに件の天保山であるが、僕は3回ほど登山はしているのであるが、残念なことに一度も快晴の中の登山には至っていない。

言い訳だが、山の天候は変わりやすいのだ。

 

従い、「映え」という点ではガッカリさせてしまうかと思い、あらかじめそれを謝罪しておく。

 

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天保山ハーバービレッジ1

年の瀬である。寒いのである。

「は?7月だし。梅雨明け直後で危険な暑さじゃないか。これから東京オリンピックもやるんだよ!」と怒りのお言葉をいただきそうだが、年の瀬である

 

なぜだか知らないが、僕が天保山に向かった3回とも、全てえらく寒い時期なのである。

イルミネーションに彩られた公園を、僕は歩いていた。

 

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天保山ハーバービレッジ2

ここは「天保山ハーバービレッジ」というらしい。

 

その中でも有名な施設は、「海遊館」だろうか。

世界最大級の水槽を持つ水族館であり、魚類最大のジンベエザメだっているのだ。

ワクワクしかない。

 

他にも、ショッピングモールとかフードコートとか、遊覧船とかなんでもある。

ユニバーサルスタジオジャパン」と抱き合わせで、2日間遊びまくることができる。

 

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天保山ハーバービレッジ3

あと、ひときわ目を引くのは「天保山大観覧車」だ。

 

直径100mもある、文字通りの大観覧車だ。

夜になるとこの巨大な円をすべて使い、独創的なイラストが浮かび上がったりするぞ。その演出は僕は直接この目では見たことは無いのだが、世界で初の試みだったのだとか。すごい。

 

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天保山ハーバービレッジ4

年末の夜を花火のように彩っている。

 

きっと浮かれたカップルが、僕を見下ろしている。見下している。

いや、違うか。きっと眼中にすらなのであろう。

 

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天保山ハーバービレッジ5

…大丈夫。

それはお互い様なのだ。

僕も観覧車にはそれほど興味はない。一瞥しただけだ。

 

実は女性と共に来たことだってあるけど、そういうロマンチシズムは今は不要。

即座にきびすを返すと、隣接する暗がりの公園へと入っていった。

 

目的はこっちだ。

天保山への登山だ。

 

 

天保山に登ってみよう

 

写真だけではわかりづらいので、まずは天保山周辺のMAPをご覧いただきたい。

 

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不思議な登山1

ここを「天保山公園」という。

展望台を中心に、緩い丘状となっている公園だ。

 

あなたは「よーし、確かに低い丘だが、展望台に登ろうぜ!」と息巻くと思う。

間違いだ。

 

天保山はそこではない。MAPの左隅なのだ。

公園全体の中でも、特に高くはない場所だ。だけども山なのだ。

脳がバグるかもしれないが、とりあえず今は「そういうことで手を打ってくれ」としか言えずに申し訳ない。

 

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不思議な登山2

僕は今、公園の中を天保山山頂に向けてテクテク歩いている。

傍から見たらそうは見えないかもしれないが、れっきとした登山だ。

 

あなたは「これから右側の階段を上るのかな?」と思われるかもしれない。

いやいや、何言ってんだ。階段を上るだって?

天保山に登るのに、そんな疲れることするわけないじゃないか。

そんな高いところに登ってどうしよってんだよ。

 

現在地を見てくれ。

 

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不思議な登山3

ほら、山頂は正面なのだよ。

右の階段なんて登る必要はないのだ。

 

あなたはキョトンとしてしまっているかもしれないが、実は山頂は既に見えているのだ。

先ほどの写真の突き当りに。

 

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不思議な登山4

立派な塔が立っているのが山頂の目印だと思われるかもしれないが、これもまた違う。

それは「明治天皇観艦之所碑」だ。

明治天皇が、昔ここから軍艦を眺めた記念碑なのだ。

 

では、山頂はどこか。

ちょっと写真を拡大してみよう。

 

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不思議な登山5

 

あそこが山頂だ。

マジか。

 

ゆるーいスロープを登って行く。

 

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不思議な登山6

はい、山頂だ。

足元をご覧いただきたい。

ちゃんと二等三角点が埋め込まれている。まさにこの場所が山頂の証。

 

正直に言おう。

山頂に立っているという実感が皆無だ。

キツネに化かされているかのような気分だ。

 

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不思議な登山7

別アングルからの写真である。

 

山頂より高いものがドッサリとある。

明治天皇観艦之所碑・その台座・頭上を通る阪神高速…。なんだったら、山頂のすぐ後ろにある植え込みの花壇も山頂より少し高いし。

 

そして前述の通り、この公園の展望台は山頂よりもはるかに高い。

今この写真を撮っている僕も、その展望台へと続く遊歩道から撮影しているので、山頂を見下ろしている。

 

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不思議な登山8

備え付けのプレートを撮影してみた。

 

天保山の形状とはちょっと乖離の大きめのゆるキャラが、「この広場が山頂だよ」と、注意喚起をしている。

その言葉の裏には、「間違って丘を登って展望台まで行くんじゃねーぜ」っていう意思が込められているに違いない。

 

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不思議な登山9

さらに昔に、夜間に登山したときの写真である。

 

簡素な木の看板で山頂を示してある。

「マジかよ…」と思った。真っ暗な中で、フラッシュを焚いて撮影し、ようやく山頂を確認できた。

 

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不思議な登山10

一応山頂到達記念の撮影をしたが、しょっぱい表情になった。


ハーバービレッジ方面の灯りと喧騒がうらやましいと感じてしまった。

先ほどは強がって「そういうロマンチシズムは今は不要」とか書いたが、アレはどうやら強がりだったらしい。

 

なんだこの登山…。

 

 

天保山って、なんなんだ?

 

天保山、わけのわからないことだらけである。

そもそもなぜこんなに低い山なのか、なぜ隣の丘のより低いのに山頂なのか、天保山より低い山はあるのになぜ日本一低いと名乗っているのか…。

 

山の成り立ち

 

1831年天保2年)のことだ。

大阪の物資輸送の要である、「安志川」の航路。

これのおかげで大阪の町はギャンギャンに栄えるんだけど、ひとつ困ったことがあった。


この川は上流から大量の土砂を海に向かって運んでくる。

みんな「土砂、マジでジャマ」って思っていたそうだ。


なので、これらの土砂を河口の横にどけて小山にしてしまおうと。

なんだったら、土砂をこんもり積むことで川の入り口の目印にもなって良い感じになるんじゃないかと、ポジティブなリユース案も飛び出した。それ、採用。

 

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天保山を語る1

こうしてできたのが、天保山だ。

今も、天保山の目の前は安志川だ。川の向こうにUSJが見えている。

 

ちなみに当初は文字通り「目印山」と呼ばれていたそうだ。

標高20mほどだったそうだが、いい目印になったのだね。

 

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天保山を語る2

頭上を通る阪神高速も、この斜張橋で安志川を渡っているのだ。

 

幕末には砲台を設置するために山を随分削り取られたらしい。

ゴソッと標高が低くなった。

その後は公園として整備されたり、さらに地盤沈下で標高が低くなったりして、現在に至った。

いろいろあったのだ。

 

 

日本一低い山とは


前項でご説明した通り、天保山は人工の山だったのだ。

これを築山(きずきやま)と呼ぶ。

 

「人工の山を"山"と認めていいの?」と思われるかもしれないが、結論人工の山も山と呼んでいい。

国土地理院という国の組織も「いいよ」と言っている。

ま、なんでもかんでもOKしているワケではないが、ちゃんと山としての歴史があったり、地域の人に親しまれていれば山だと認めてくれるのだ。

 

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天保山を語る3

色々な遍歴をたどった天保山であるが、一時期国土地理院国に認められた地形図に掲載された山としては日本で一番低い時期があった

これが、日本一低い山と言われる由縁である。

 

現在、国土地理院に登録されている日本一低い山は宮城県にある「日和山」である。

この日和山もドラマチックな ストーリーを歩んでいる。

気になる方は以下の記事を読んでみてほしい。

 

drive-ns.hatenablog.com

 

そして、天保山日和山の歩んだ日本一争奪戦のデッドヒートを以下に記そう。

見づらかったら拡大して見てほしい。

 

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天保山を語る4

 

つい数年前まで確かに天保山は日本一低い山だったのだ。

東日本大震災日和山が大きく削り取られ、日本一低い山の地位を明け渡すこととなったのだ。

 

今は残念ながら日和山には劣っている。

国土地理院登録の山としては、日本で2番目に低い山だ。

国土地理院登録以外の山も含めたら、もっと負けてしまう。

 

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天保山を語る5

でもね、人気で言えば低い山の中で1番かもしれない。

 

かつて、土砂を積み上げて日和山を作るとき、人々はそりゃもうテンションが高く、連日お祭り騒ぎのようにエンジョイしながら作ったそうだ。

そんな稀有な土木工事。

 

なんだそれを聞いて、大阪の良さが詰まった山だなって感じた。

だからこそ、今も大阪の人々に愛されているのだろう。

 

いや、実際カップルたちはハーバービレッジ側に行くよ。

こんな夜の公園とかを歩く人は少ないよ。

 

それでも、人々は天保山が日本一低い山だと知っているのだ。

それ、すごく大事だしステキなことなんだと思う。 

 今後も大阪湾で輝け、天保山

 

 以上、日本6周目を走る旅人YAMAでした。

 

 

住所・スポット情報

 

 

No.121【新潟県】市街地のビルの隙間を練り歩く巨大な弘法大師像!!踏み潰されるなよ!

あれは、新潟市内をドライブしていたときのことだった。

 

ビルの隙間を、「弘法大師」が練り歩いていたのだ。 

 

日本仏教の祖と言ってもいい立ち位置の、弘法大師

その彼が、電線の張り巡らされた雑居ビルの間で穏やかな顔で立っている。

なんというミスマッチだよ。

 

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「こんなシーンをどっかで見たな」って思った。

 

たぶん「ゴーストバスターズ2」だ。

ビル群の間を自由の女神が歩くのだ。そのシーンがフラッシュバックした。

 

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いかんせん昔の映画だし、そもそも僕はゴーストバスターズ2を見たことすらない。

なぜゆえ記憶の奥底からサルベージできたのかは謎だが、仮にそれが明確であったにしてもあなたの興味を得られるとは思えないので、本題に行こう。

 

 

弘法大師を探せ

 

僕はこの日、「人情横丁」を歩いていた。

新潟の中心地に終戦直後に造られたという商店街だ。

 

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人情横丁1

およそ160mの長さの、ギザギザ屋根の長屋のような商店街。

現在も38店舗ほどが営業中だという。

 

…が、行った日が悪かったのかな?シャッターが目立つ。

新しいカフェもあるし、アメリカンな雑貨屋もある。

チラホラ興味をそそられるが、いかんせん人が少ないな、と感じてしまった。

 

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人情横丁2

これも新型コロナウイルスの影響なのだろうか?

 

何事においても「もしコロナが無かったら…」と考えたいところだが、もうこの地球はウイルスに汚染されている。どうしたものだろうか?

少なくとも、人情だけは失いたくは無いものだが。

 

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人情横丁3

閑話休題

 

僕はこの商店街も見たくて来ているのだが、もう1つ大きな目的がある。

この近くにデッカい弘法大師像が聳えている、というものだ。

 

場所は…、あんまりよくわからないや。

なんとなくの方向はわかるので、歩いて探す。

 

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古町

「ふるまちモール7」だ。

名前の通り古い歴史を持つ、新潟の繁華街だ。

 

歩いているうちにお腹が減ってきたので、レンガ調のクラシックなカフェで美味しいグラタンを食べたりしたのだが、その話は関係ないので割愛しよう。

 

とりあえず、なかなか弘法大師が見つからずに、「こっち方向のはずなんだけど、全然そんな雰囲気無いじゃないか」・「あの坊さん、どこほっつき歩いている?」 と、若干言動も荒くなりつつあるとき、発見した

 

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弘法大師1

 

イエロー・ビッグガイ

 

ようやく会えたぞ、弘法大師

ビルの背後にその姿が見えたとき、思わず「おぉぉぉ!!」って叫んだ。

 

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弘法大師2

たぶんだけど、大昔は仏教とかお坊さんってのは、幸せに暮らす上でなくてはならないものだし、なんなら死後の運命まで左右するような大事なものだった。

だけども現代においては、そこまで崇める対象ではなくなってしまっている。

 

そんな現代だが、弘法大師像をようやく見つけて「うおぉぉ!」とか叫んでいる僕は、まさに古代人の感覚なのかもしれない。

このカタルシスよ。迷って逆に良かったかもしれぬ。

 

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弘法大師3

よーし、常にビルがジャマだなー。

そして電線の本数もえげつないなー。

 

生活感モリモリのビルから我々を見下ろす黄色い弘法大師

どういう感性であればこれを造れるのか、ちょっとナゾすぎる。僕には無理だ。

 

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弘法大師4

角度を変えて見上げてみた。

 

レーザートラップか。

セキュリティガッチガチの美術館に深夜に忍び込む弘法大師か。

…失礼。

弘法大師はそんなことしない」というテレパシーを受信した。
 

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弘法大師4

「手編みのマフラーを作ろうとしたけど、糸がグッチャグチャに絡まって、手元に出来上がったのはゴリゴリのダークマター(電柱)」、…みたいな角度の撮影もできた。

 

もうね、どこから見てもビルの電線に包囲されているのだ。

実に庶民的だ。親しみしか感じない。

弘法大師が開いた、真言宗の総本山の「高野山」とか何度も歩いているが、あそこのキリッと張り詰めたような荘厳な空気と真逆だ。

 

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弘法大師5

ビルに登ったりしない限り、このくらいが一番全身が見える角度であろう。

 

いろいろ調整し、コインパーキングに足を踏み入れながら撮影などし、付近を歩く人からは奇異の目で見られた。

いやいやいや。あなたが奇異の目で見るのは僕ではない。あのとんでもない弘法大師であろう。…そう力説したかった。

 

 

弘願寺の謎

 

では、弘法大師の足元に注目してみよう。

するとあなたは気付くはずだ。

弘法大師は地に足をつけているわけではない。建物の上に立っているのだと。

 

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弘願寺1

写真中央の「道後温泉本館」みたいなビジュアルの建物、あれが弘法大師の足場になっているのだ。

ちょっと近づいてみよう。

 

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弘願寺2

ビルとビルの間にミチッと建てられている。

 

この建物の名は、弘願寺。そう、お寺なのだ。

建蔽率とかすごいことになっていそうなお寺だ。今まであまり見たことのないタイプ。

 

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弘願寺3

しかし貼り紙を見ると、ちゃんと「真言宗 新潟山 弘願寺」の文字。

弘法大師の開いた真言宗の文字がある。

 

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弘願寺4

左右にはちゃんと仁王像も立っているぞ。なかなかの迫力なのだ。

 

しかしお寺の拝殿(?)そのものは、ゴッチリした石造りで要塞や蔵のようであり、異様な雰囲気である。

 


kokontouzai.jp

 

…で、ちょっと僕個人の調査力では解明に及ばないので、こちらのWebサイトや、その他いくつかのサイトを参考にさせていただいた。

 

どうやらこの建物は元からのお寺ではない。

「オリオン座」というストリップ劇場&キャバレー施設だったそうなのだ。

うおぉ、いっきに香ばしくなってきたぞ。

 

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弘願寺5

そういう先入観で建物を改めて見ると、不思議とそれっぽく見えてしまう。

 

しかし、なぜにストリップ劇場などという煩悩の塊みたいな施設が、いきなりお寺になったのか。

その理由は、管理者が同一人物だったかららしい。

「ストリップ劇場のオーナー」=「弘願寺の住職」。

 

なんとも奇妙な転職だ。

…って思ったけど、ストリップ劇場のオーナーが病気で死にかけたとき、夢枕で「お寺を作りなさい」みたいに言われて、こんな感じにドデカい弘法大師を造っちゃったらしい。1955年ごろのお話だそうだ。

 

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弘願寺6

財を成した人間も、最終的には病になるし、そうなったら神にすがるのだ。

法大師に健康をうのだ。

だから弘願寺っていうのかな。うまい。

 

弘法大師の高さは約9mほど。

仁王像は人間国宝の「松久朋琳」の策と言われている。

これらの総費用は1億2500万円だったが、寄付等には一切頼らなかったそうだ。

 

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弘願寺7

そして、先ほどもご紹介した貼り紙の通り、不動明王毘沙門天の命日である毎月28日には護摩供養をしているのだ。

いたって真面目なのである。

 

最初から煩悩の入り込む隙間の一切ない、神聖な神社仏閣もいいだろう。心が真から清められる。

 

しかし、一度煩悩にドップリと使った人間の造ったお寺もよいかもしれない。

少なくとも僕はね、人間的にこっちのほうが近いかもしれない。

(しかも、まだ煩悩を捨て去るつもりはさらさらない)

 

以上、日本6周目を走る旅人YAMAでした。

 

 

住所・スポット情報

 

  • 名称: 弘願寺の弘法大師
  • 住所: 新潟県新潟市中央区西堀前通六番町
  • 料金: 無料
  • 駐車場: 付近のコインパーキングを使用のこと
  • 時間: 見上げるだけなら、特になし

 

No.120【三重県】究極の卵かけご飯を求め…!「コケコッコー共和国」で、いざ卵食べ放題!

TKG(卵かけご飯)。

 

これは、その最高峰を目指した二人の男たちの物語である。

 

その絶品卵かけご飯を提供してくれるのは、「コケコッコー共和国」。

なんというグローバルな響きよ。

その国の国民食が、卵かけご飯なのだ(と推測)。

 

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それを我々に提供してくれるのだから、これは一大国家プロジェクトに違いない。

胸が高鳴るぜ、国際コミュニケーション!

 

 

コケコッコー共和国、入国へ…!


残暑の厳しい初秋のある日であった。

琵琶湖を巡る旅をしていた僕は、かねてからの旅友であるふじふじと合流することとなった。

 

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プロローグ1

このときから遡ること6年ほど前、僕は日本最北の有人島である「礼文島」にてふじふじと出会った。

その後、京都や大阪でふじふじと再会し、一緒に観光したり酒を飲んだり、鴨川に飛び込んだりしている。

11月の鴨川の水は冷たいが、僕らはアツい魂を持っているのでそこそこ大丈夫だ。

 

ふじふじは、原付で分割日本一周をしている旅人である。
この度は、ちょうど伊勢エリアでふじふじと会えそうな日程であるため、「じゃあ会おうか」となった次第だ。

 

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プロローグ2

伊勢のとある温泉施設でふじふじと合流すると、二人でひとっ風呂浴びた。

 

暑くて汗だくだったので気持ちがいい。

全部割愛するが、実は本日僕がここにやってくるまでの間も、いろいろ冒険があったのだ。人生冒険だらけなのだ。

 

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プロローグ3

ふじふじのバイクを見せてもらった。

各地のステッカーが貼られたり剝がれたりしていた。

 

これで分割日本一周か、すごいな。

日本一周を始めたのはかつての僕の影響だと言っていた。申し訳ない。

 

このあとも一緒に観光したりするのだが、ひとまずその話も割愛だ。

 

そして昼飯を食べようという話になった。

そこでふじふじの口から出たスポットが、コケコッコー共和国であった。

 

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プロローグ4

僕はパスポートとか持っていないので少し心配になったが、どうやらそういうものは不要らしい。

ふじふじは「卵かけご飯を食べるのだ」と、力強く言っていた。

こぶし、握りしめていた。たぶん。

 

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プロローグ5

ブンブン唸るふじふじの原付に僕のHUMMER_H3がついて行くという異様な光景が実現した。

 

ほどなくして国境付近に来たようだ。

卵かけご飯、卵食べ放題390円の看板が、入国者の心を躍らせる。

 

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プロローグ6

そして、無事に入国。

入国審査とかもなかった。全人類ウェルカムな文化だ。

 

 

卵、それは命!

 

こんにちは、コケコッコー共和国。

 

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国内視察1

2台並べて駐車した。

丘の上の、緑あふれる山々が見渡せるロケーションの国だ。

 

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国内視察2

伊勢自動車道の勢和多気ICがすぐ目の前に見える。

 

実際に高速道路に乗るにあたっては、迂回しながら行く必要があるが、それでも相当に近い立地だぞ。

高速ドライブ中でも気軽に立ち寄れる。

 

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国内視察3

コケコッコー共和国は、ニワトリが飼育され、そして有精卵・卵や鶏肉の加工食品などが販売されている施設と、食堂とがある。

あとはアスレチックエリアなどがあるらしい。

 

 

Googleマップさんからの衛星写真を添付する。

勢和多岐ICとコケコッコー共和国の位置関係がわかりやすい。

そして、おそらく長屋のようにズラリと並んでいるのが鶏舎だ。すんごい規模。

 

ひとまず、僕らの目当てはランチだ。

「山の駅よって亭」という名の食堂にめがけて突進する。

鶏肉も食べられるそうだぞ、イェイイェイ!!

 

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国内視察4

…が、食堂は満席だったそうだ!

 

どうやら席数はそんなに多くは無いらしい。

まぁそれ以上に、卵かけご飯や鶏肉が魅力的すぎるからだろう。そりゃそうだ。みんな食べたいに決まっている。

 

受付に名前を書いておき、その間にまずはお土産屋を見て回ることとした。

 

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国内視察5

一日一個の元気 健康を保つ 

全国有数の平飼い有精卵を扱っています

太陽の光を十分に浴びて育った平飼い有精卵

 

ちょっと写真のフレームから文字が切れてしまって、全文読めない部分もあり恐縮だが、このような文言が読み取れる。

「なんかスゲーんだな」ってことが伝わればいいんじゃないかと思う。

 

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国内視察6

卵は鶏の大事な一つの命なのです。

産み立てだからかたいけど、これが昔の味なんです。 

 

もうね、これらってコケコッコー共和国での必修科目である、「道徳」の授業だよね。

僕らはこれから卵をいただくのだ。有精卵だ。

それすなわち命である。

 

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国内視察7

危なかった。

 

待ち時間なく食堂に入っていたら、普通に「卵うめー!」みたいに喜ぶだけだったであろう。

命の尊さ、これ大事。事前に改めて学習できて感謝。

 

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国内視察8

思わず空を見上げたよね。

秋のうろこ雲が綺麗であった。

うろこの1つ1つが純白の卵にも見えた。

 

そして、それは命の価値を知っている人が大事に育てた鶏の卵なのだ。

これは生命の宝石と言っても過言ではないだろう。

卵かけご飯への期待も爆上がりする。 

 

 

絶品の卵と鶏肉のランチ!

 

30分ほど待機していたであろうか。僕らの名前が呼ばれた。

いよいよランチの時間である。 

 

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鶏と卵の競演1

そのとき僕とふじふじは、「八ッ場ダム」に沈んだ群馬県の「川原湯温泉」の話で盛り上がっていた。

あと、「竹田城」の雲海を薦められた僕が「よーし、行ってやる!なんだったら来週にでも行ってやる!」と豪語していた矢先であったが、とりあえず食堂に移動することとする。

 

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鶏と卵の競演2

30人ほど入れると思われる食事スペースだ。

ワイワイ気さくにランチを楽しめるような、ハードル低めの空間だ。ステキ。

 

まずは卵かけご飯だ。

390円である。当然それをそれぞれオーダーする。

 

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鶏と卵の競演3

鶏肉も2人で1つオーダーしよう。

かためとやわらかめがあり、どちらも410円だ。

 

かなり迷ったが、ここはやわらかめだ。

通ならかためにするのかもしれないが、通じゃないのでわかりやすい方を選んだのだ。

いいのか悪いのか、平成時代以降は「やわらかさが正義」みたいになっているので、しょうがない。

 

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鶏と卵の競演4

卵がやって来た。

テーブルの上にドンと卵いっぱいのカゴが置かれたのだ。

ここから自由に取って食べるシステム。

 

8個ほど入っているように見えるが、足りなければまたお替り頼めるのだ。

まぁご飯はおかわり自由ではないので、ご飯と卵の比率を考えるとそんなに何個もは使いづらいだろう。

 

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鶏と卵の競演5

卵。

黄身の黄色がすごく鮮やかで、そして白身はしっかりと立体を保とうとしている。

これが生命力というヤツなのだろう。そう僕は思った。

 

卵の味、濃厚だ。小宇宙だと思った。

ご飯に軽く纏わせて食べれば、ただただ至福よ。

 

本能にまかせるのであれば、このまま「ガガッ」と汚く掻き込みたい。そんな衝動に駆られる。

しかしここはパブリックスペースだし、ご飯のお替りはできない。

上品に丁寧に、卵を味わった。

 

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鶏と卵の競演6

そして鶏肉である。

約400円とは思えないほどのボリュームに僕らは驚いた。

一家族のおかずになるわ、これ。

 

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鶏と卵の競演7

焼く前にこのお皿の上の味噌だれとよく絡め、そして炭火で焼くのだ。

おいしくないはずがない。

ちょっとした暴力だ。味の暴力。

 

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鶏と卵の競演8

この写真を見れば、たった一皿の鶏肉がどれだけボリューミーかわかるだろう。

かためとやわらかめの2皿をオーダーしなくてよかった。

危なく2皿頼みそうであったが、1皿で充分であった。

 

もし2皿オーダーしたなら、これ中ジョッキ絶対必要ですもん。

そしたら僕ら、もう今夜はここで車中泊せざるをえないですもん。

 

顔をお見せできなくって残念だが、ふじふじはすっごい悪い顔して笑っている。

わかる。

楽しみ過ぎるのだ。炭火で肉を焼き始め、香ばしい匂いが漂っているのだ。
 

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鶏と卵の競演9

 

はい、うまーい!!

 

 

鶏肉ね、やわらかい方にしたけども、やっぱ身の引き締まり方が違うのよ。

噛んでいて程よく「ギュッギュッ」ってなる。

ずっと噛んでいたいと思う。

 

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鶏と卵の競演10

そして卵かけご飯だ。

「卵→鶏→卵→鶏」 のデリシャス・ルーティーンだ。

 

卵、マジでうまい。

いい親鳥から産まれた卵なんだろうなぁ。

親の顔を見てみたい。

 

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鶏と卵の競演11

正直、結構腹いっぱいになった。

あとはゆっくり鶏肉を焼くのだ。

 

まるで焚火を囲んで語り合うかのように、僕らは炭火で焼けていく鶏肉を見ながら語り合ったさ。

 

礼文島が大きな災害に見舞われた話、そこにある日本一クレイジーな宿「桃岩荘」もいろいろ大変だった話など、ふじふじが島の情報をいろいろくれた。

桃岩荘には、日本9周目でまた訪れたいと考えている。

「ただいま!」と言って帰るのだ。それまで元気に営業してほしい。

 

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鶏と卵の競演12

ごちそうさまでした。

卵は1人3つずつ食べた。

 

1人あたり600円でこのパラダイス。

満足しかない。


 

そして僕らの旅路は分岐する! 

 

では、ここでさよならだ。

ここから先はまた、それぞれの旅路だ。

 

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それぞれの旅路1

僕はふじふじに声をかける。

 

「今回はありがとう。手段もスタンスも違うけど、この先もお互いが日本国内を走っていれば、またいつかどこかで再会することもあるだろう。

そのときはまた、礼文島の話で盛り上がろう。」

 

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それぞれの旅路2

最後に記念撮影をした。

そして僕は、ふじふじを見送ってから出発することとする。

 

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それぞれの旅路3

…このときから少し時間は流れた。

 

僕はこのとき以来、2021年現在に至るまでふじふじとは会えていない。

一度、ふじふじが「あとは鳥取県の海岸沿いを走れば日本一周達成!」って言いながら鳥取を走っているとき、僕も近くを旅していたのだ。

 

連絡を取り合ったが、ニアミスであった。

それぞれの旅路を優先させたので、惜しくも出会えなかったのだ。

それでもいい。

きっとまたどこかで会えるから。

 

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それぞれの旅路4

 

…さぁ、あなたも三重県を旅することがあるのであれば、コケコッコー共和国に立ち寄ってみてはどうだろうか?

 

コケコッコー共和国の公式Webサイトを開くと、こんな表示も出てくるぞ。

 

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『三重 ツーリング中の休憩に』

この国は、ツーリングライダーの訪問を待っている。

旅人の訪問を待っている。

 

以上、日本6周目を走る旅人YAMAでした。 

 

 

住所・スポット情報

 

  • 名称: コケコッコー共和国
  • 住所: 三重県多気多気町丹生4409
  • 料金: 卵かけご飯¥390他
  • 駐車場: あり
  • 時間: 10:00~17:00(毎月第2火曜日定休)

 

No.119【北海道】日の出は朝の4時台!!早起きして霧の「摩周湖」から絶景朝日を見よう!

僕は写真を撮るのがヘタだ。

 

少なくとも、プロの写真家と対比すれば、とんでもなく低い場所に位置する。

腕も悪いしカメラも安物だし、時間をかけて延々何10枚もの写真を撮ろうとも思っていない。

 

なぜかっていうと、僕は写真を撮るために旅をしているわけではないからだ。

そりゃ写真も好きだけど、さまざまな要素を自分好みにブレンドして、自分の求める旅を作り出している。

 

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ここに1枚の写真がある。

摩周湖」からの朝日だ。

"霧の摩周湖"の異名があるので、霧の中から太陽が出ている。

 

プロの写真家であれば、同じシチュエーションから撮影した1枚の写真で、閲覧者を充分に魅せられるであろう。

しかし、僕にはそれは困難だ。

 

でも、この1枚の写真を撮るに至ったドラマであれば、語れる。

だって旅人だもん。

 

同じ時間に同じ場所で写真を撮っていた人もいた。

たぶんその人の方が写真が上手だ。三脚とか使っていたし。

その人にもその人の物語があるだろうが、僕にだって僕だけの物語がある。

 

旅人として、今回の記事を書く。

 

 

旅人は朝日に思いを馳せる

 

道東、弟子屈の町。

未舗装の砂利道を進んだ森の中に、一軒の旅人宿があった。

 

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ひとつぶの野望1

そこで僕は久々に、ライダーのkatsu君と再会した。

以前に道東で出会い、一緒に走ったり・東京で飲んだり・山梨でキャンプをしたりした仲だ。

 

今回同時期にお互い北海道を1人旅しており、北海道半周分くらいを追いかけて、旅の終盤にようやく合流したのだ。

 

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ひとつぶの野望2

宿は簡素な男女別の相部屋だ。

何もないけど、この空間は旅人たちが輪になって地図を広げ、これまでの行程を共有したりオススメスポットを紹介するのにうってつけなのだ。

 

明日は稚内以外は大体くもりだという。

僕は日本3周目の残りの海岸線が道南に少し残っているので、明日のうちに函館近辺まで走るつもりだ。

katsu君は「層雲峡」に行くと言っていた。

 

他のライダーさんも交え、こんな話をする。

それぞれが旅人。またどこかで会うこともあるかもしれないが、基本的には一期一会だ。

 

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ひとつぶの野望3

ちなみにこの宿、1泊2食で3000円。大変にありがたい価格だ。

以前ここに泊まったときはもっとすごくて、2000円台の上にお寿司食べ放題だった。

 

夕食を食べ、そして飲み会タイムだ。

お酒もオツマミも無料。あとはお土産を買ってきた人、カンパがある人はそれを振舞ったりと、自由だ。

 

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ひとつぶの野望4

僕は今日は早々に飲酒を制限し、「明日は早起きして朝食前にドライブしようかな」と言い出した。

明日は道南に向けて一気に走る。観光よりも走行を重視する日なのだ。

 

だから朝のうちに「摩周湖」とか「硫黄山」とか見ておこうかなって思っている。

摩周湖の第一展望台は普段有料だけど、早朝だったら料金所も閉まっていて無料なのだ。早起きは三文以上のお得なのだ。

 

そしたらkatsu君が、「どうせなら摩周湖で一緒に朝日見ましょう。」って提案してき
た。

「いいぜ」って言いながら弟子屈の日の出時間を調べたら、4:30だった。ヤベェ。

 

ちなみに夏至だと3:40くらいの日の出だ。ハンパねぇ。

 

 

未明の弟子屈は霧の中

 

3:45に起きた。当然部屋の中は真っ暗だ。

横に寝ているkatsu君を起こす。

そして、他の人を起こさないように静かに窓辺まで行き、天気をチェックする。

 

窓の外は真っ暗で何も見えないんだけど、なんだかポツポツと雨が降っているよう
な音がする。

えっ!?まさか雨っすか!?

 

一瞬固まる。これは朝日を見に摩周湖まで行ったところで無駄足になるんじゃな
かろうか。


katsu君と話し合う。そして結論が出た。

行こう。せっかくこんな時間に起きたんだから。

 

そして、例え朝日が見れなかったとしても、それはそれで旅の思い出。

笑い話のネタくらいにはなるだろう。

笑えるなら、それでいいのだ。旅なんて、そんなもんだ。

 

ジャージのまま、最低限の所持品だけで外に出た。

 

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未明の冒険1

外に出ると、モヤの中に薄っすらと月が見えた。

ちょっと安心。

分厚い雲が出ているわけではなさそうだ。

 

そして雨も降っていなかった。

さっき聞こえたのは夜露の音だったのだろうか?ナゾだ。

 

愛車の助手席にkatsu君を乗せ、摩周湖を目指して出発した。

周囲は全ての有無だった。

街中に出たが、当然のごとく町は静まり返っていた。


弟子屈の町の中心地の自販機で、缶コーヒーを買った。

8月とは言え道東の未明はとても寒いので温かいのを飲みたかったんだけど、冷たいのしかなかった。

濃霧の中、我慢して飲む。体はさらに冷えたが、目は覚めた。

2人でワハハと笑う。

 

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未明の冒険2

市街地を抜け、道道52号を摩周湖に向かって北上していると、早くも空が明るくなってきた。

 

弟子屈の町の中はずっと深い霧だったけど、「摩周湖」への峠道はちょっと霧が晴れている。

これはもしかしたら日の出を見れるかもしれない!

テンション上がる!

 

…と思いきや、またすぐに深い霧の中に突入してしまった。

絶望しかない。

 

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未明の冒険3

霧の中を慎重に走っていると、右手に摩周湖の第一展望台が見えてくる。

霧で駐車場自体がよく見えないくらいな状態。

ダメだ、今回の人生…。

 

しかし、僕にはまだわずかながらも希望があった。

希望の火は、まだ消えてはいない。

 

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未明の冒険4

これが、摩周湖の西岸にある2つの展望台の位置関係だ。

 

あなたは第2展望台がないことに首をかしげるかもしれない。

昔は、第1と第3の間にあったそうなのだが、遊歩道を歩いて出ないと行けない上、現在は完全に閉鎖されて歴史の深淵に沈んでいる。

 

まぁそれは置いておいて、重要なのは標高差だ。

現在地である第1展望台よりも、3㎞ほど北にある第3展望台の方が、標高が120mも高い。

 

もしかしたら、第3展望台は霧の上かもしれない。

 

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未明の冒険5

 

霧を突き抜けた。

 

 

第3展望台のわずか300mほど手前で、一気に視界が晴れたのだ。

そして頭上には再び月が輝く。

katsu君と共に「うおぉぉぉーー!!」って咆哮したよね。

 

さぁ、間もなく空が焼けるぞ。

 

 

雲上の幻想世界にて

 

4:24、僕らは摩周湖第3展望台に到着した。

空はボンヤリと明るくなってきてはいるが、まだ太陽が昇る気配はない。

 

日の出は4:30であり、海が見える立地であればもう空は真っ赤であろう。

しかし、ここは山間部だし下界はスッポリと霧で覆われている。

まだ時間はかかるだろう。

 

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雲海の上で1

…「硫黄山」だ。

かろうじて雲海の上に顔を覗かせている。

 

こんなにおとなしい硫黄山は初めてだ。 

小さいながらもカッカしている硫黄山、今は白いお布団を掛けてスヤスヤ寝ている…。

 

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黄山

ちなみにこれが、快晴のときに下から見上げた硫黄山だ。

ボコンボコン噴火して、すごい迫力なのよ、これ。

 

では、摩周湖側を眺めてみよう。

反対側の硫黄山ばかり見ていたら、後ろでkatsu君が「湖が朝焼けに染まってきたー!」と僕を呼んでいるので。

 

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雲海の上で2

あ、すっごいこれ。

雲の大海原だ。雲海とはよく言ったものだ。

 

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雲海の上で3

呑みこまれそうだ。

信じられるかい?この下は一面の湖なんだぜ。

その湖面を分厚い霧がしっかり覆っている。

 

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雲海の上で4

本当に、ギリッギリで雲の上にいるのだ。

あと10mも下だったら、全く何も見えなかったかもしれない。

 

霧の町釧路の海で発生した大量の海霧が、地形に沿って80㎞も内陸の摩周湖までやってくる。

そして、この摩周湖のすり鉢のような窪みにカポッとハマるのだ。

 

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雲海の上で5

僕は、日本3周目に至るまでに何度か摩周湖は見ている。

しかし、スッキリ晴れ渡っているシーンが多かった。霧の摩周湖は久しぶりだ。

 

尚、晴れている日の摩周湖の話は、機会があれば別記事としてご紹介したい。

それはそれですんごいから。

 

普通であれば湖面が見えないとガッカリするのだろうが、今はこれが嬉しい。

湖に雲海だもんよ。

こんなシチュエーション、他にあまり知らない。

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雲海の上で6

何枚だって写真を撮るさ。

今日はこの後、曇り予報なのだから。

今のうちに絶景を堪能しておかねばならない。

 

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雲海の上で7

さらに言うと、僕はこの旅で日本3周目が終わる。

てゆーか、明日の夕方のフェリーで北海道を離れるので、本当にクライマックスなのだ。

 

旅が終わったら、日本3周目の後半を担当してくれた愛車のトヨタbBとも別れる。

何もかもが終わるを迎えるのだ。

だからこそ、今日のこの朝が感慨深い。

 

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雲海の上で8

僕ら以外にはカメラを構えたおじさんが1人いるのみだったが、空が明るくなるころには7・8人に増えた。

みんな頑張って早起きしてきたのだな。霧の中、ここまで車を走らせてきたのだな。

仲間よ。

 

「日が昇りますよ…!」

katsu君が山の稜線を指さした。


摩周に金色の朝日射す

 

4:45。

 

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朝日1

静かに朝日が昇った。

映画のワンシーンかな。…って思うほどのドラマティックなシーンだ。

 

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朝日2

かすかに風が吹き、雲海がうねる。

寒すぎない程度のそよ風が、向こうから朝日を運んでくる。

 

僕らは、ただ無言であった。

 

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朝日3

katsu君が朝日の方を向いたまま、口を開いた。

「正直、あの天気で朝日は見れないと思っていた…。YAMAさんが『行く』と言わなければ1人でここまでは来なかった。だからこそ、感動です。」

 

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朝日4

僕も、1人だったら来なかったかもしれないな。

いずれにしても、旅先で誰かと一緒に朝日を見れるってのは貴重だ。

 

マジ、ありがとうだぜ…。

 

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朝日5

湖とは思えない、まるで深い山脈にいつかのようなこの絶景。

僕の人生の中でも有数の朝日だ。

 

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朝日6

これで日本3周目が終わる。

僕はこれを機にドライブ人生を引退しようかと思っているが、もしかしたらまだ続けるかもしれない。

 

だけども、これを超える朝日を見れるだろうか?

少なくとも、今日のこの日のことはずっと思い出に残したい。

 

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朝日7

摩周湖が真っ赤に焼けた。

一発逆転だ。

 

これにてミッション終了!

 

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朝日8

帰り際に見た、道路の反対側の硫黄山は、さっきよりも少しだけ頭が出ているように思えた。

なんだか天空の城の「竹田城」みたいな構図だな、これ。

 

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朝日9

宿に戻ろう。

車を走らせるとすぐに、また霧に包まれた。

 

摩周湖第1展望台もまだ霧の中だった。

僕らは本当にラッキーだったのだ。

宿に戻ってからも、興奮でなかなか寝付けなかった。

 

*-*-*-*-*-*-*-

 

そしてチェックアウトのとき。

層雲峡に向かうkatsu君と、函館を目指す僕とは途中までは同じルートだが、別々のタイミングでの出発だ。

 

僕らそれぞれに自分だけの旅がある。

自分のタイミング、自分のペースで走るのだ。

「また会えたら会おう」と握手をして、バイクで走り去るkatsu君を見送った。

 

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「阿寒湖」や「オンネトー」を観光しつつ足寄の町まで来たら、偶然バイクを走らせるkatsu君を見かけたりしたんだけどね。

一瞬であったが、お互いピースを交わした。

 

バイバイ。

君の行き先に栄光があることを祈る。

 

以上、日本6周目を走る旅人YAMAでした。

 

 

住所・スポット情報

 

 

No.118【大阪府】一等三角点を有する日本一低い山「蘇鉄山」!標高7m弱のエリート山だ!

一等三角点。

これを有するものにどれだけの価値を見出すかは、人それぞれであろう。

 

しかし、多かれ少なかれ、重みをもつキーワードであることは確かだ。

「有名国立大学の出身である」くらいのパワーはあるのかもしれない。

その肩書をその後に生かせるかどうかは本人次第だが、1つのステータスの指標にはなるだろう。

 

今回は、「蘇鉄山」の話をしたい。

一等三角点を持つ山としては、日本一低い山である。

その標高は、わずか6.97m

 

まずは、山と呼んでいいのかどうかすら疑わしいスケールだ。

 

 

大浜公園にその山はある

 

日本一低い山。

オンリーワンを特定するかのような表現ではあるが、実は日本一低い山はたくさんある。

7つくらいある。

 

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これが僕が今まで訪問した「日本一低い山」だ。

何がホンモノで何がウソだ、とかではなく、いろいろあって全部正しいと僕は思っている。


詳しくは、僕の書いた以下の【特集】をご参照いただきたい。

 

drive-ns.hatenablog.com

 

上記に列挙した中では、蘇鉄山は2番目に高い。

…とはいっても標高6.97mなのだから、山の概念を覆すほどの低さではあるが。

 

2番目に高いというステータスを持ちつつも「日本一」を名乗る理由は何か。

それは、「一等三角点を有する山としては日本一低い」からである。

 

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大浜公園へ1

まぁこの概念が成り立ってしまうと、「山小屋がある山としては…」とか「山頂に松が生えている山としては…」とか「冬季に冠雪する山としては…」みたいに、概念が無限にできてしまって危険ではある。

 

だが、僕は「日本一低い山」と自称しており、それがある程度世間一般に認知されている山というところから、上記のリストを作成した。 

 

本記事はあくまで、日本一低い山を名乗る山はたくさんある、というご紹介が目的があるとご認識いただきたい。

 

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大浜公園へ2

さて、前置きが長くなったが、僕は今堺市の「大浜公園」に来ている。

この公園内に蘇鉄山があるのだ。

 

ヤベー、ナメていた。

もっと庶民向けののほほんとした公園かなって思ていたら、割とガチだ。

プール・相撲場・体育館・テニスコートサル飼育場…。

アスリートの聖地みたいな複合施設だな。サル以外は。

 

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大浜公園へ3

そんな中に目指す蘇鉄山があるのだ。

なるほどなるほど。アスリートの表彰台みたいな感じで、あそこに立ちたい。

 

ちなみに、最初に僕が蘇鉄山を目指したのは、年末の日没後であった。 

本来であればこの公園には広い駐車場があるのだが、閉鎖されていた。

年末だからか夜だからかは知らないが、ちょっと困った。

 

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大浜公園へ4

園内は街灯がついているし、すごく綺麗に整備されている。

しかし寒いし人がいなくて寂しい。

散歩している人が1人2人いたりしたが、それはそれで怖い。

 

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大浜公園へ5

園内の立て札だ。

いろいろ気になる表記もおありかと思うが、とりあえず蘇鉄山に登ることだけを考えよう。

 

冬山でかつ夜間の登山である。

普通の山だったら絶対に遭難するパターンである。

小雨も降っているし、僕は蘇鉄山は初めてだ。山をナメている。こんな記事を書いて、炎上しかねやしないかとヒヤヒヤだ。

 

標高が7mでよかったという話だ。

 

 

蘇鉄の生える丘へ

 

僕は蘇鉄山の登山口に立った。

 

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蘇鉄山登山1

「日本一低い一等三角点 そてつ山 登り口」と書かれている。

 この時点ではまだソテツは見えない。

なだらかな山の斜面にポツンポツンと松が映えているのが印象的である。

 

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蘇鉄山登山2

ちなみに、蘇鉄山への登山ルートは複数ある。

バラエティルート豊富な山だ。

 

僕も登りと下りは別々のルートを楽しむようにしている。

あなたも機会あってこの山を登るのであれば、ぜひいろんな道を辿り、この山のいろんな顔を楽しんでいただきたい。

 

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蘇鉄山登山3

では、登山スタートだ。

 

登山道には階段が設置されている。しかし綺麗にされすぎてはおらず、適度にナチュラルな山の装いを見せてくれている。

早い話が、ハイキングとしてちょうどいいロケーションだ。

 

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蘇鉄山登山4

周囲の展望はイマイチではあるが、松林の中を踏みしめながら着実に山を登っていく過程が楽しいのだ。

僕はこの山が好きだ、と感じた。

 

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蘇鉄山登山5

ちなみに前述の通り、真冬の日没後の小雨の中を登ったことがある。

しかも1人だ。

このときは「怖い。オバケが出そうだ。」と怯えっぱなしだった。それでも登ったけどな。好奇心と恐怖心がずっと戦っていた。

 

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蘇鉄山登山6

それでも、山頂に近くなると不思議と周囲が明るくなるのだ。

月夜でもないのに。

その幻想的な光景に、僕は心を打たれた。

 

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蘇鉄山登山7

例えば、ですね。

あのモーゼさんは「シナイ山」の山頂で神から十戒を授かったというではないか。

 

山頂にはね、そういう神々しさがあるんじゃないかと思うのだ。 

「さてさて、僕は神から何戒を授かるのかな?ワクワク。」とかするではないか。

 

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蘇鉄山登山8

ま、普通に山頂に街灯があるだけなんだけどね。

 

しかし考えて見てほしい。

山頂に街灯があり、煌々と照っているのだ。そんなにありがたい山、あまりないぞ。

ありがとう、神よ。

 

 

山頂と一等三角点

 

山頂だ。

ここまで長々と書いたが、一度ダッシュしてその時間を計測したら9.5秒だった。

他の日本一低い山よりはずいぶん時間を要したが、それでも人類の歴史からしたら一瞬だ。

 

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山頂にて1

ソテツの木、見えるよね? 

このソテツがあるから蘇鉄山というのだよ。

 

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山頂にて2

だから「小さい」とか「他の木の方が大きい」とか、「小さなハンバーグが片隅にあるだけで"ハンバーグ弁当"と名乗っているのを見たことがある」とか、言わないでおくれよね。

 

そういう心無い言葉を投げかけると、ソテツ枯れるから。

 

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山頂にて3

石碑もあるので記念撮影しよう。

漢字ばかりで中国語のようで意味が分からないが、裏にはちゃんと日本語もある。

 

『旅人の 宿りせむ野に 霜降らば
あが子はくくめ 天の鶴群』 

 

…と書いてある。

うん、僕は学が無いのでこれでもよくわからない。残念だったな。

 

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山頂にて4

ここが山頂オブ山頂だ。

説明板が設置されており、その横にはマスコットキャラのようなこんもりしたソテツが鎮座しており、写真の下ギリギリのところに三角点が見えている。 

 

日本一低い一等三角点がこの山のアイデンティティであるが、そもそも三角点ってなんなのだよって話。

…ということで、僕のつたない知識からご説明する。

 

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山頂にて5

三角点とは、明治時代に日本にやってきた測量法で使う、マストアイテムである。

これを三角測量法というのだが、かなり便利なのだ。

 

なにしろ、遠くに見えている地点までの距離とかわかっちゃう。

なんだったら、目の前の木の高さとかもわかっちゃう。

ではでは、僕が致命的に苦手な算数のお時間だ。

 

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基準となる線が地上にある。

この長さはもうわかっている。

だとすれば、点ABから点Cへと向かう角度さえわかれば、AやBからCへの距離もわかるよね。

 

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応用すれば、基準線の上に立ち、そして自分からCが何時何分の角度にあるのかわかれば、自分からCへの距離もわかるよね。

これ、すごい。

 

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つまり、こんなものを造って、 分度器同士の距離さえ測っておけば、気になる対象物(ポスト)までの距離も計算できるのだ。

 実はこれ、僕は小学6年生のときの夏休みの自由研究で作ってみた。懐かしい。

 

www.gsi.go.jp

 

この仕組みに気付いちゃった明治政府は、「日本全土をこの三角で覆っちゃおうぜ!」って勢いづいたのだ。

 

まずは40km間隔で一等三角点を全国に1,000個設置。

もうちょっと細かく二等三角点を5,000個設置。

さらに詳細に位置情報を確定させるため、三等三角点を32,000個設置した。 

 

映画にもなった、「劒岳 点の記」ってご存知ですか?

明治政府が日本地図最後の空白地帯を埋めたいと思い、前人未到の「剣岳」に三角点を設置するアドベンチャーよ。

どれだけ本気だったか、わかるよね。

 

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山頂にて6

そんな、全国に1000個しかないエリート三角点の1つがこれなのだ。

 

「なんで高い山に設置しないの?」と思われるかもしれないが、思い返して見てほしい。
あくまでC点を観測することで、距離を求めるのだ。

 

C点があまりに高い山だと、天候が悪かったり雲の中に入っちゃたりして思うように観測できない。

だから本当は高い山に一等三角点などは置きたくない。止むを得ない場合だけ置いている。

 

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山頂にて7

説明板を読んでみよう。

 

蘇鉄山は大阪湾(ちぬの海)に面し、幕末には黒船来航に備えてお台場(砲台)が築かれた場所を明治12年(1879年)に大浜公園として開放され、展望の良い築山として整備されたところです。

この付近は明治・大正・昭和初期にた関西有数の海浜リゾート地として海水浴・潮湯・少女演劇・水族館や料理旅館街などで賑わいました。

 

この蘇鉄山の300m東南にあった御蔭山の頂に近代地図作成のための基準点となる一等三角点が明治18年(1885年)に設定されました。

その後、御蔭山が削られ、昭和14年(1939年)にこの蘇鉄山の標高6.84mのところに移設されたものです。

現在、一等三角点の設置されている山としては日本一低い位置になります。

かつてここから大阪城天守閣昭和6年廃点)・生駒山葛城山・俎石山・六甲山などが展望できました。

 

一等三角点が元あった御蔭山は天保年間に港と水路浚渫により造られた山で、同時期に川浚えの土砂を積み上げてできた大阪の天保山とは兄弟にあたります。

 

ぶっちゃけ標高は低い。

そして元をたどれば自然の山ではなく、築山という人工の山である。

 

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山頂にて8

だけども、歴史があり、そして見晴らしがよくて一等三角点を設置するのにふさわしい場所であった…ってことがおわかりいただけたのではないかと思う。

 

 

こんな山でも遭難するよ

 

ちなみに、先ほど僕は「蘇鉄山で遭難なんてするはずない」というニュアンスの文を書いた。

重ね重ね、山をナメている発言だ。

だからか、バチが当たったこともある。

 

あれは確か、3回目の登山のときであった。

僕は余裕であった。

 

「3回目だし昼間だし、迷うはずなどない」と豪語しながら大浜公園内を歩いていた。

悪い役人のようにガハハと高笑いしながら、肩で風を切って歩いていた。

 

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遭難1

そして「この辺であろう。小高いし階段あるしな。」と独り言をいい、適当な園内の丘に登った。

 

はい、遭難した。


「ここ、どこですか?」と、途端に捨て犬のように切ない顔になった。

 

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遭難2

歩いても歩いても頂上が出てこないのだ。ずっと山の稜線を歩いている。

あれ?蘇鉄山って山脈だっけ??

 

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遭難3

山の麓を見下ろすと遠くに遊具が見え、子供の歓声がわずかに聞こえた。

切ない。

真冬に公園のはじっこ登った丘に登って1人でキョロキョロして、いったい僕は何者なのだろう。

 

まぁそんなこんなで、一旦丘を降りてから蘇鉄山に改めて登ったんだけどね。

標識くらいは確認しような、僕。

 

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遭難4

今は人工衛星もあるし、測量技術もすごく発展した。

1980年代くらいから、三角点を使った測量機会は劇的に減ってしまったらしい。

 

しかし、今も全国に三角点はある。

100年以上前、日本が近代化に乗り出した際に埋め込んだ、歴史の足跡だ。
 

その最上級である一等三角点を気軽に踏める、蘇鉄山。

かっこいいではないか。

 

これからも、大阪の歴史を見守ってほしい。

 

以上、日本6周目を走る旅人YAMAでした。

 

 

住所・スポット情報

 

  • 名称: 蘇鉄山 
  • 住所: 大阪府堺市堺区大浜北町4・5(大浜公園内)
  • 料金: 無料
  • 駐車場: あり
  • 時間: 特になし

 

No.117【栃木県】その名も「ピラミッド温泉」!!B級テイスト溢れる温泉宿に泊ってみた!

秘湯マニアよ、刮目せよ!

あなたが「いや、秘湯って…、そういうことを言いたいんじゃないんだけどな…」とモゴモゴしてしまいそうな物件を、今回ご用意させていただいた!

 

那須にある「ピラミッド元氣温泉」!!

もう宿に対峙した時点での最大瞬間風速がハンパない!

 

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試合開始のゴングがなると共に、いい感じの右ストレートが顔面に炸裂した気分だよな、これ。

 

那須の温泉宿。

そこにスフィンクスとピラミッドを持ってきやがった。

2文字で表現するなら「暴挙」である。

温泉にもエジプトにも失礼だ。食べ合わせとか考えないタイプの宿だ。

 

こんな宿に泊まる人なんているのか。

僕だ。

 

では、ご紹介しよう。

 

 

那須のエジプトへようこそ

 

那須の温泉宿でゆっくりお風呂に浸かり、そしてお酒を飲んで眠りたい。

いいじゃないか。

極めて健康で文化的な旅行イメージである。

 

僕だって人の子だ。

たまにはそういう平和な旅行をしてみたい。車中泊もいいけど、温泉宿もいい。

 

ただ、それを実現するプロセスに甘さがあった。

旅行を企画したのが直前すぎて、「那須塩原温泉」だとかの有名どころの宿は全部満室であったのだ。

 

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不穏の道中

梅雨真っ盛りの7月の19:00。

この空気の重さは、梅雨の湿気によるものか、それとも夕闇によるものか、はたまた人里をどんどん遠ざかる不安によるものか…。

 

実は、那須エリアに2箇所だけ宿の空きがあったのだ。

1つはどこにでもありそうなビジネスホテルだ。

もう1つはピラミッド温泉だ。

 

せっかくの旅行であれば、忘れられない思い出にしたいじゃない。

じゃあ、どっちだ。

うん、そうだね、ピラミッド温泉だ。

 

その選択はある意味正しいが、ある意味で身を滅ぼしかねない諸刃の剣だ。

 

薄暗く人家も車の通りも無い木立の中をひたすら走って行く。

本当にこっちでいいのか心配になる。

そんな道をしばらく走ったところで、前方に奇怪な建造物を発見した。


…うん、間違いない。あそこが今回の宿だ…。

うわぁ…。

 

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前哨戦1

温泉宿の外観で「うわぁ…↓↓」ってなったのは、初めてかもしれない。

 

スフィンクスの後ろに連なる2つのピラミッド。

それが今夜の宿だ。

 

いや、ある意味すごいんだけど。

僕の中には5歳男児くらいの人格もあるから、その彼は手放しにはしゃいでいるんだけど、同時に社会の多くの人と接するサラリーマンとかの人格もあって、その彼は「このあとどういう顔をしてスフィンクス股間をくぐればいいのか」と思案しているのだ。

 

ちょっと周辺を見渡して、心を落ち着けよう。

中和できるものをくれ。

 

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前哨戦2

倉庫。異国情緒。

スフィンクスがここにもいる。

背後にはピラミッドを思わせる四角推が、無駄に遠近感を以て描かれている。

 

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前哨戦3

 薄っすらと、ラクダと旅人だ。

何と形容したらいいのかうまい言葉が思いつかないが、なんだか心がザワザワする絵柄だ。

 

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前哨戦4

身も心も活性化!

世界初のピラミッド温泉

 

入苑料 … 平日¥550 土日祝¥650

宿泊料 … 2食付 湯治 一般 ¥5,100~

    素泊まり …  ¥2,500~  安い

 

すごいね。

"世界初の"ピラミッド温泉。そうであろう。

てゆーか、改めてピラミッド温泉ってなんなんだ。

 

そして、書いてある通り安さがほとばしっている。

今回は素泊まりなのだ。2500円だ。

 

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前哨戦5

いらっしゃいませ

大浴場・露天風呂

ピラミッドパワールーム

 奇木・奇石・美術館

 休憩室・個室・集会室・食堂・釣り堀・野外バーベキュー

 

息もつかさないのキラーフレーズのラッシュで、宿に入るのが3倍怖くなった。

ピラミッドパワーか。

彼が出てくるってことは、今宵は荒れるぞ。

 

しかし、僕もかつては考古学者を夢見た身。

冒険なくして発見はない。

 

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前哨戦6

そんな感じでカクゴを決めた。

 

では、突撃だ。

スフィンクスの脇はガラ空きだが、ここは神社の鳥居と同じように、スフィンクス股間を通っていくのが礼儀だろうか?

知らんけど、足の間の通路を通って宿に入った。

 

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前哨戦7

…ただ、スフィンクスは上半身だけで、下半身はなかったけどね…。

 

ちなみに、そのスフィンクスの後ろには2体のミニスフィンクスがいた。

宿のエントランスの左右を、まるで狛犬のように守っていた。

なるほど、意味不明だ。

 

ガラガラとスーツケースを転がす音が静かな那須の大地に響き、その音が周囲に僕の存在をアピールしているようで恥ずかしかった。

 

 

めくるめく黄金郷

 

薄暗くて神秘的なロビーの受付。

そこで、チェックインの手続きをする。

対応してくれたのは、オーナーの「伊藤雄次郎さん」ご自身である。

 

伊藤さんにご案内され、長い長い廊下を歩いて部屋へと向かう。

途中、話のネタに「ここは何年くらいやっているんですか?」って聞いてみた。

なかなかに昭和な雰囲気だったので、40~50年くらいの回答が来るものと期待をした。

 

しかし、意外なことに平成の建物だった。

1994年(平成6年)に伊藤さんが作ったらしい。

研修施設として建築し始めたけど、途中で温泉が湧いたので温泉旅館にしたそうだ。

 

エジプト要素がどこで入り込んだのか聞き忘れたが、アクロバティックな路線変更をものともしない伊藤さんの柔軟な思考であれば、いつどこでエジプトが現れようとも柔軟に取り込めるのだろう。1人で納得した。

 

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エルドラド1

部屋の鍵の開け方にはコツがいる。

 

昔ながらの、鍵穴が押しボタンを兼ねているヤツだ。

ちょっと古いと、鍵と共に鍵穴も回ってしまい、一生入れないヤツだ。

 

伊藤さんと共にガチャガチャやり、ようやく開いた。

ついでにコツも伝授してもらった。

 

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エルドラド2

 

部屋が金色。

 

 

部屋も柱も、ブラインドまでゴールドなのですが。

畳やちゃぶ台の茶色まで、ゴールドと脳が判断してしまうような黄金郷が広がっていた。

この衝撃は「中尊寺」の金色堂以来である。

こんな部屋で安眠できるのか、僕は?

 

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エルドラド3

金色部屋のわけ?

本館ピラミッド塔から発する「氣のエネルギー」を多量に受け取るために金色にしております。

 

短くて簡潔な文章だ。

でも5箇所くらいわからない。まぁいいけど。 

早速温泉に入りに行こう。

 

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エルドラド4

休憩ロビーを通って大浴場へと向かう。

 

人の気配はゼロだ。

ここまでの周囲の喧騒からして、どうやら宿泊しているお客さんは少なめな模様。

 

僕の宿泊した部屋の並びには部屋が10部屋くらいあるけど、確実に人がいると分かったのは、他に1部屋だけだったし。

那須塩原温泉の他のホテルはあらかた満室だったのだが、ここは相当な穴場なのだ。

 

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エルドラド5

大浴場に繋がる通路の前にいるのは、ピラミッドのマスコットである「レオちゃん」だそうだ。

ひたすらスフィンクスを推してくる。

 

あと、「大浴場 パワースペース」のプレートが気になる。

パワースペースに行きたいんだっけか、僕?

 

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エルドラド6

傍らのガラスケースには、様々な宝石や水晶などが展示してある。

右隅の暗がりには、気になる人物が見えているな。

 

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エルドラド7


ファラオ、風呂への通路に座っている。

 

マスクのデザインからして、「ツタンカーメン」をイメージしたものだろうか?

その足元にはアヌビスがいる。

 

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エルドラド8

さらにその奥には信楽焼のたぬきがいる。

暗闇から控えめに、こちらを覗いている。最高過ぎる。

 

drive-ns.hatenablog.com

 

以前に執筆した、信楽焼の記事へのリンクを貼っておく。

これを踏まえて上の写真を見ると、たまらなく愛おしい気持ちになった。

 

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エルドラド9

その奥には、黄金の展示物がきらめくショーウィンドウだ。目がチカチカする。

「奇木」と書かれたコーナーではあるが、どちらかというと木彫りだ。

 

あと、ショーウィンドウ上部のキラキラしたライティングが、小学生のころに自宅に飾っていたクリスマスツリーに巻き付けていたヤツみたいで、懐かしかった。

 

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エルドラド10

その奥に壁画。

 

もう、いろいろとヤバすぎる。

このショーウィンドウや壁画の前を、僕は浴衣姿でお風呂セットを持って歩いているのだよ。

場違い感が甚だしい気もするが、温泉なのだからしょうがない。

 

 

ピラミッド温泉入浴

 

この温泉には、チェックイン直後と翌朝の2回、入浴した。

今回ご紹介する写真は、翌朝に撮影させていただいたものである。

 

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温泉1

お風呂の中は、外の雰囲気と比べるとまだ普通だと感じた。

不思議な像が立っていたりするけど、もうそういうのを気にしているような次元は突破している。

 

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温泉2

「水辺で舞う天女」という作品名通り、僕が湯舟に使っている横で天女が躍っているが、もう気にはならないのだ。

 

お湯はいい感じだった。

源泉かけ流しの天然温泉なのだ。それはありがたい限りだ。

 

pyramid-onsen.com

 

ピラミッド温泉の公式Webサイトを見ると、このように書かれている。

 

ピラミッドで集めた宇宙エネルギーと、1.2km深層水の地殻エネルギーをコラボした、生命力強化出来る次世代型温泉です。

心の安らぎを得られ、体の治癒の強化がはかれる環境を整えたモールです。

 

宇宙のエネルギーと、地下のエネルギーのコラボレーションだ。

それをつなぐのが、このピラミッドなのだ。

なんだかよくわからないけど、ここに来てから心の安らぎはあまりない。ドキドキしっぱなしだ。初恋かってくらいだ。

 

 

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温泉3

朝のことなんだけどね、シャワーを浴びようとして蛇口をひねると水が出てきた。

冷たかった。他の蛇口も全部水だった。

 

「なんなんすか、これ。ボイラー壊れたんすか?」って思った。

でも相談する人もいないので、水で体を洗った。

真夏とは言え、少し寒かった。

しかしお蔭で目が覚めたし、湯舟の暖かさをありがたく感じることができた。

 

ちなみに女湯は普通にお湯が出たらしい。

 

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温泉4

浴室内には、気柱という柱がある。

触るとピラミッドパワーを受け取れると書かれていた。

 

「普通にこれ、ピラミッド型の建物を支える大黒柱だろ?」とかツッコみそうになった。

しかし、前述の宇宙と地下をつなぐ媒介となっているのがこの柱だ。

めちゃくちゃすごい氣がこの中を取っているのかもしれない。

 

だが、別にそういうパワーはいらないし、って思った。

僕は意外にドライであった。すみません。きっと早死にする。

 

 

さよならワンダーランド

 

夜の入浴後は金ピカの部屋の中でコンビニ弁当を食い、そして缶ビールをしこたま飲んださ。

旅先でのお酒は、酔いが回るのが早い。普段の3倍酔う。

キラキラした部屋が、なおさらそれを加速させてくれた。

 

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チェックアウト1


では、チェックアウトである。お世話になりました。

 

建物を出て、振り返ったその世界観はやはり異世界である。

ここに泊まった自分自身の勇気をたたえたい。

 

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チェックアウト2

この施設は、伊藤さんの思いがこもっている。

伊藤さんは若いころからエジプトを訪問し、ピラミッドを実際に目視し、さらにピラミッドパワーの勉強などをしたそうだ。

 

さらに、この背後のピラミッドは「クフ王のピラミッド」を正確に10分の1にしたサイズ感なのだそうだ。

ピラミッドの屋根の直下には瞑想室もあり、有料ではあるが一番ピラミッドパワーを受け取れる空間で過ごすこともできるらしい。

 

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チェックアウト3

僕は、それらを根っから信じるほどの心の余裕はないタイプの人間だ。

しかし、そうした信条の元で突き進む人間を応援したり、その人の想いを感じる余裕だったらある。

 

不思議な世界ではあるが、とても楽しめたと思う。

 

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チェックアウト4

敷地内の小屋にはクジャクもいる。

僕個人の勝手な統計ではあるが、不思議スポットではクジャク率が高い。

不思議な人に好かれる鳥、クジャク。神秘的な容姿だしな。

 

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チェックアウト5

別棟である「いやしの和楽座」。

女将がこのシャッターの絵に描いてあるような衣装で舞踊ショーを見せてくれたり、カラオケ大会を開催したりもするそうだ。

楽しそうだな。

 

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チェックアウト6

あまり大声で名前を呼べないネズミも2体いる。

これ以上のことを書いてしまうと、僕も深夜の来訪者に連れていかれて、以降のブログ更新が出来なくなってしまうので、ここまでとさせてほしい。

 

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チェックアウト7

これも別棟の、「太陽の船」と書かれた施設。

 

Webサイトによると「Solar boat・とり専」という鶏肉料理のレストランだそうだ。

しかし、コロナ禍のためか2021年現在は営業を見合わせているらしい。

早くコロナが収まり、また観光業界が活性化してくれることを心から願う。

 

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チェックアウト8

宿泊客や来訪者のため、さまざまなエネルギーを集結させて楽しんでほしいし癒されてほしい。

そういう思いが根底にあることは、しっかりと受け止めた。

 

しかし、僕の主観を言わせてもらおう。

珍スポットである。

ごちゃ混ぜのカオスな世界観である。

万人受けは決してしない。

 

だからこそ、楽しめた!

だからこそ、ありがとな!

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チェックアウト9

車に乗り込んでアクセルを踏むと、あっというまに異空間は見えなくなった。

 

広がるのは、那須ののどかな緑である。

一夜限りのアラビアンナイトのような体験談。

今となっては、それは夢か幻か…。


以上、 日本6周目を走る旅人YAMAでした。

 

 

住所・スポット情報

 

  • 名称: ピラミッド元氣温泉
  • 住所:  栃木県那須塩原市接骨木493-4
  • 料金: 素泊まり¥2900~
  • 駐車場: あり
  • 時間: 日帰り入浴は10:30~21:00