誰しも端っこには興味がある。
旅人はより遠く、大地の果てに行きたがる。
電車に乗っていてもふと、「この電車の始発駅や終着駅はどこだろう?」と気になることがある。
過去の偉大な人の存在を知ったとき、その人の幼少期や晩年について知りたくなる。
全部端っこである。
端っことは、始まりであり終わりである。
これを知ることで、物事の輪郭がよりくっきり見えてくる。
「知識の解像度が上がる」とでも言っておこうか。
僕もあなたも、無意識のうちにこの端っこを知ろうとしているのではないかと、僕は推測するのだ。
では、日本の端っこはどこか。
以前にこんな記事を書いた。本土最突端16岬だ。
日本の本土を形成する四島の東西南北端の岬のご紹介である。
気になる方は、以下の【特集】から詳細をご確認いただきたい。
…しかしだ。
記載の通り上記はあくまで「本土」である。
そして「東西南北端」である。
人間の欲求はそんなにシンプルではないのだ。
今回はもう少し踏み込んだ、日本の突端・極地のご紹介をできればと思う。
突端・極地の一覧化
本当の意味での日本の端
さて、日本という国の本当の端からまずはおさらいしていこうと思う。
はい、こんな感じだ。
「択捉島」は北方領土であり、日本は「ここまでが我が国だ!」とは言っているものの、2021年現在日本人が普通に行くのは無理。
「南鳥島」は自衛隊や気象庁や施設メンテ業者じゃないと行けない。日本最東端の碑ならある。
「沖ノ鳥島」 は小さすぎて施設ナッシングだし、一般人は当然行けない。日本最南端のプレートならある。
「与那国島」は、「西崎」が長年日本の最西端とされていて、そこは一般人も行ける。
ただし2019年に国土地理院の地図が更新され、西崎より260m沖の「トゥイシ」という岩が最西端となった。まぁ行こうと思えば行ける。
…とはいえ!!
ここで僕がやりたいのは地理の勉強ではないのだ。
あくまで僕やあなたのような一般人が、旅をしながら気軽に踏める最果ての話をしたいのだ。
だから、カモイワッカ岬も与那国島のトゥイシとやらも、一旦はナシで。
実質今(2021年)の日本最北端も北海道の「宗谷岬」だ。
「宗谷岬の沖合に弁天島という無人島があるぞ」と得意気に言ってくる人もいるかもしれないが、うん、知っている。でも今はそういう話ではないのだ。
申し訳ないけど、もっと地理とか国土とか政治的観点からの突端の話をしたい方も、僕の目線までそのレベルを下げていただきたい。
一般人の行ける極地とは
前項をご理解いただいたうえで。
じゃあ一般人が行ける究極の地を、可能な限り洗い出そうではないか。
東西南北のみならず、北東とか南西とか、八方位も混ぜてみようか。
ただし注意点だ。
僕は勝手に定義を作らない。
自治体が「突端です」って言っていたり、現地に突端を示す碑があったり、あるいは一定以上の突端としての知名度がある場合に絞り、僕もそれを突端としてご紹介しよう。
ザッと洗い出せたのが、こんな感じだ。
本島四島内に記載のあるスポットは、「○○本土の最○端」、そうでないものは「離島も含めた…」という風に認識してほしい。
ここまで上の地図に書き込むとゴチャついてしまうので、止むなくこうした。
また、書き出した基準は「日本の…」あるいは「本土四島(例:本州)の…」というくくりとしてある。
だから「能登半島最北端の禄剛崎が無いぞ」とか「伊豆半島最南端の石廊崎が無いぞ」とか言われても、そりゃ確かに無いのである。
この項目では、少し大きく四角で囲ったスポットをご紹介したい。
その他の岬(本土最突端16岬)について知りたい場合は、以下のリンクから別ページに飛んでほしい。
どれもオススメなので読んでほしいぞ。
- 北海道本土最北端:宗谷岬
- 北海道本土最東端:納沙布岬
- 北海道本土最西端:尾花岬
- 北海道本土最南端:白神岬
- 本州本土最北端:大間崎
- 本州本土最東端:トドヶ崎
- 本州本土最南端:潮岬
- 本州本土最西端:毘沙ノ鼻
- 四国本土最北端:竹居観音岬
- 四国本土最東端:蒲生田岬
- 四国本土最西端:佐田岬
- 四国本土最南端:足摺岬
- 九州本土最北端:太刀浦埠頭
- 九州本土最東端:鶴御崎
- 九州本土最西端:神崎鼻
- 九州本土最南端:佐多岬
日本の極地・マニアックな突端
遅くなったが、ようやく本題だ。
以下の極地・突端についてご紹介していきたい。
※もう一度言うけど、「一般人到達可能な極地・突端」ですからね…。
本土最北東端:知床岬
北海道の本土、つまりは日本の本土の最北東端の岬は「知床岬」である。
そして初っ端から大変に申し訳ないが、この岬の先端だとか灯台の立つ地まで一般人が行くのは、かなり困難だ。
行けなくはないが、道なき道を、ヒグマの襲撃を躱しながら片道2泊3日の徒歩だ。
ガチのサバイバル。途中で海の中を歩くような部分もあったりなかったりだ。
正直に言えば、すごく憧れる。
本気で行こうと考えたこともある。
しかし、日程の確保や、さすがに1人では何かあったときに生死に関わることからも、2021年現在は実現に至っていない。
しかし、行けるところまで行ってみてほしい。
だからこの項目を設けた。
車道のある限界の地。まさにエンド・オブ・ザ・ロード。
それは知床半島にある「相泊」という名の集落だ。
上図の通り、ここで道は終わる。
碑だって一応ある。
しかしご覧の通り、いつ撤去されてもおかしくないような管理状態だ。
改善を祈るが、僕ごときの祈りが通じるとも思えないので、なるべく早めに見に行った方が賢明かもしれない。
詳細情報については、以下を読んでいただけると嬉しい。
日本最北限:礼文島_スコトン岬
「最北限ってなんだよ!」と鼻息荒く僕に突っかかってくるのは辞めてほしい。
しょうがない、ここが最北限だと名乗っているのだから。
うーん、 何とも言えない雲の多い天気だな…。
3回行って3回ともこんな感じのクライディな天候であった。
このあと晴れるのだがね、朝は曇りやすいのかな、ここ…??
さて、ここは日本本土最北端の「宗谷岬」よりも6,500m南にある。
しかし、昔はその差が明確に測量できていなかったのだ。
「どっちも最北。どっちも1番。」とされていたのだ。
しかし測量技術が進み、スコトン岬は最北ではないと判明した。
それを受けて、最北端ではなく最北限と名乗ることにしたのだ。
有人島としては最北端の岬であるは事実。
そして観光地化されて車やライダーさんがジャンジャン来る宗谷岬と比べても、地の果て感は各段に上である。
是非、あなたにもこの北限の景色を味わっていただきたい。
詳細情報については、以下を読んでいただけると嬉しい。
本州本土最北東端:尻屋崎
現地には最北東端を示す碑などは無いが、自治体などのWebサイトにて、最北東端を名乗っている旨を確認できる。
現地にあるのは、「本州最涯地」の碑だ。
"最涯(さいはて)地"は、僕がここでしか目にしたことのないカッコイイ言葉だ。
同じく下北半島の「大間崎」が本州最北端であり、それと絡めてドライブで回れると最高であろう。
大間崎とは全く違ったテイストの楽しみ方ができるのだ。
大間崎がお土産物屋あり、グルメありでドッカンドッカンとフィーバーしているのに比べ、尻屋崎は静かだ。
青い海・緑の芝生・そして白い灯台、ここに生きる寒立馬という馬たち。
すごく絵になる。
大間崎がアミューズメントパークであれば、こっちは美術館。
文字通りの「岬」を堪能したいなら、こっちの方が勝るかもしれない。
美しい青森の岬、 それをご覧いただきたい。
詳細情報については、以下を読んでいただけると嬉しい。
本州本土最北西端:川尻岬
本州のもう1つの斜めの端っこは、山口県の「川尻岬」だ。
本州最西端の「毘沙ノ鼻」と絡めて巡ることもできるだろう。
ちゃんと、最北西端を示す碑が現地にあるのもありがたい。
駐車場からそんなに距離の無いところにこの碑が現れる。
ただし、駐車場から歩いてくるとこの碑は背を向けていて文面に気付かない。
最初に訪問した際は「碑はどこかなー」とこの前をスルーし、延々岬の先端の方まで行ってしまった。
まぁ散策できてよかったけども。
荒々しい波の打ち寄せる、強風の岬というイメージ。
釣り人がポツポツいて、そしてキャンプ場がある。
しかし割とローカルな場所にあるので、アプローチはやや大変だし観光客もあまり見かけたことは無い。
突端マニアですら、僕は自分以外に見かけたことは無い。
結構マニアックな岬なのかもしれないが、それがいい。
自分だけの価値を見出せよ、旅人。
詳細情報については、以下を読んでいただけると嬉しい。
九州本土最北西端:波戸岬
九州の本土における再北西端の岬、それが「波戸岬」だ。
この岬の特徴は、観光用の海中展望台があることだ。
日本国内には2021現在で海中展望台は8つあるが、日本海側にあるのは国内で唯一なのだ。
これは相当レアだぞ。
ちなみに僕はまだこの海中展望台には入ったことは無い。 次回のお楽しみとしている。
これが波戸岬にある碑だ。
『The northwest end.』
そしてこの碑の足元は、「N」と「W」との歯車がガッチリ嚙み合った造形をしているぞ。
つまりは最北西端ということだ。なんともオシャレよ。
僕はこの碑の元で、朝日を見たこともあるし、夕日を待ったこともある。
玄界灘、朝日も夕日も最高なのだ。
遥か西の地から見る太陽は、感慨深い。
ただし気をつけろ。ここは恋人の聖地だ。ハート型のオブジェもある。
あなたがもし1人で行くのであれば、このオブジェを視界に入れるな。心を折られるぞ。
詳細情報については、以下を読んでいただけると嬉しい。
橋で結ばれた日本最西端のみなとまち:平戸島_宮ノ浦
さぁ、ひときわ異彩を放つ、飛び道具的な定義が飛び出した。
しかし定義は読んで字のごとくだ。
日本本土の最西端は前述の「神崎鼻」である。
しかし、本土と橋で繋がった島はどうなるか。自走で行けるのだし、もう本土と肩を並べてもいいように感じる。
船などに乗らず、本土を走る人たちがそのまま自走で到達できる日本の最西端。
その地にある港町の名前が、「宮ノ浦」なのである。
長崎の陸地から、「平戸大橋」で「平戸島」に渡り、延々走った最先端にあるのがこの港だ。
小さな港であり、着いたところでやることも何も無く、妙な達成感だけがあった。
観光客皆無の漁港で、おそらくいつも通りに黙々と働く漁業関係者の方々の前で、僕は小さくガッツポーズをした。
尚、近年は少し困ったことがありまして。
この港の近くに「本土と繋がった道の最西端」というスポットが出来た。
2021年現在は碑もなく、バキバキの未舗装路が海の直前で終わっているのみだ。
しかし、なんという旅情だよ。
行ってみたいが、僕はまだ未達なのだ。とても行きたい。
詳細情報については、以下を読んでいただけると嬉しい。
日本最北西端:対馬_棹崎公園
離島を含んだ日本の最北西端にあるのは、「対馬」だ。
その北端付近では、天気が良ければ海の彼方の韓国も見えるのだ。韓国の釜山との距離、49.5km。
釜山の花火大会の碑に、その花火を超遠望で撮影するのが写真家たちの間で流行っているよな。
ちなみに申し訳ないが、僕自身はまだこの岬に未達である。
従い、多くを語る資格がない。
「じゃらんnet」さんの情報を上記にリンクさせていただきたい。
Wikipediaさんにはこの「棹崎公園」の個別ページは存在しない。
従い、「日本の端の一覧」内で表記されている情報を以下に抜粋する。
「日本最北西端の碑」を設けている(ただし、『北東から南西にかけて斜め45度に引いた対角線上においての最北西端』と定義した場合、北海道礼文郡礼文町のスコトン岬一帯が最北西端となる。
また、大韓民国に実効支配されている竹島も、棹崎公園より"北西"に位置する。
よって、棹崎公園は、『本土から距離があり、一般的な交通手段で国内より到達可能な場所』としての最北西端であることを留意する必要がある)。
(引用元:「Wikipedia」)
棹崎公園のみならず、八方位観点(つまり斜めの突端)は、この概念が難しいのだ。
斜めの定義に正解は無いのだ。
だからこそ僕は、自分自身で定義せずに、公となっている情報を基に今回の記事を執筆している。
とりあえず、いつか行きたいぞ対馬。
日本最南端:波照間島_高那崎
日本の有人最南端の島は、「波照間島」である。
「石垣島」から小船に揺られ、結構死にそうな思いをして到達したのが、僕の最初の到達であった。まぁその話は追い追い。
常夏の小島、波照間島では自転車を借りて島内をサイクリングして回った。
そこで外せないスポットの1つが、日本最南端の碑であった。
サトウキビ畑を抜け、青く輝く海を見ながら疾走した日本最南端。
最後に現れたのが、この碑であった。
武骨なハンドメイド感の溢れるこの碑が、とても味わい深く感じた。
もうこの南には、島は無いのだ。
どこまでもどこまでも、青い青い海なのだ。
すぐ脇にはボリューム感タップリの「日本最南端平和の碑」もある。
両方で記念撮影しておけばカンペキだ。
脇には「星空観測タワー」という日本最南端のプラネタリウムを有する施設がある。
すっごく小さなプラネタリウムで座席すらないけど、カーペットに寝っ転がって眺める星空は最高であった。
もちろん、本物の星空もすごい。
出会った旅人たちと、ここで眺めた南十字星は、一生忘れることはできない。
詳細情報については、以下を読んでいただけると嬉しい。
日本最西端:与那国島_西崎
最後は、与那国島にある日本最西端の「西崎(いりざき)」である。
知っていないと"にしざき"と読んでしまうのだろう。
ちなみに与那国島の最東端は「東崎(あがりざき)」という。
「太陽は東からあがり、西にはいる」と覚えておけば、この読み方に戸惑わなくなる。
ここで日本は終わるのだ。
この先はすぐに異国なのだ。そう考えるとドキドキする。
前述の通りトゥイシという、この岬から半分繋がったような岩が本当の日本最西端だと国土地理院から発表されたが、やっぱ旅人としての最西端は(2021年現在は)ここであろう。
台湾との距離は約111㎞である。
「石垣島」と与那国島の距離が約127㎞なのだから、石垣島よりも台湾に近いのである。
石垣島の時点で本土から見ると遥か西なのに、それよりもさらにさらに西である、まさに国境の島。
年間わずか数回ではあるが、天気のいい日には台湾が見えるのだ。
灯台の脇の展望台には、台湾が見えたときの様子が描かれている。
僕もいつかここから、遥かなる台湾を見てみたい。
詳細情報については、以下を読んでいただけると嬉しい。