日本一高い山は?
知っている。「富士山」だ。
もっとも、胸を張って答えたところで驚かれもしない知識だが。
日本一低い山は?
言える人は少ないだろう。
一箇所くらい言える人はそこそこ多いかもしれないが、3・4箇所ポンポン言える人は、極めて稀だろう。
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そんなあなたに朗報だ。
僕と一緒に日本一低い山を巡ってみよう。
そう、日本一低い山は1つだけではないのだ。
この時点でなんだか説明は矛盾しているが、正解はいっぱいあったほうが、なんだか優しい世界って感じがする。
さぁ、登山靴の紐はしっかり結んだか?
非常食のチョコレート、コンパス、ゴアテックスのレインウェアやピッケルは持ったか?
では行こう!日本の高みへ!!(それとも低み?)
- 大潟富士(標高:0m)
- 旧・日和山(標高:6.05m)
- 新・日和山(標高:3m)
- 弁天山(標高:6.1m)
- 御山(標高:3.6m)
- 蘇鉄山(標高:6.97m)
- 天保山(標高:4.53m)
- 笠山(標高:112m)
大潟富士(標高:0m)
さぁ、僕にはわかっちゃったぞ。
あなたが上の地図を見て一番気になったのが「大潟富士」であろうことが。
「標高0mなのに山って、どういうこと?」って小首をかしげたことまでわかるぞ。
この山は、秋田県の「八郎潟」という干拓された巨大な湖の中にある。
干拓した土地だから、ちょっと土地が低いのだ。
海より低い。
そこに海抜ピッタリ0mになるように作った人工の山なのだ。
ちなみに周囲の事件からの高さは富士山の1000分の1である3.776mだ。
「秋田県測量設計業協会」が創立20周年記念で作った山。
さすが、技術の粋が凝縮された、丁寧な設計だ。
小さいけれども、その内に秘めたる魂は富士山だ。
詳細情報については、以下を読んでいただけると嬉しい。
旧・日和山(標高:6.05m)
残念ながら、2021年現在は大きく景観を変えてしまったので、「旧・日和山」と呼ばせていただきたい。
なぜ旧なのかというと、2011年の東日本大震災で消滅してしまったからだ。
もちろん多くの人が亡くなったことや町への被害も悲しかったが、この山が消えてしまったことも僕はとても悲しく思った。
この先、Web上で取り上げられることはどんどん少なくなるだろう。
だから僕が思い出を振り返るのだ。
14段の階段を上った先は、小さな山頂広場だ。
そこからは太平洋を眺めることができる。
6mほどの標高でも、遠くまで見渡せた。
かつては国土地理院に認定された、日本一低い山。
しかし大阪の天保山が地盤沈下でこの山より低くなったため、1996年に日本一の座を受け渡したのだ。
詳細情報については、以下を読んでいただけると嬉しい。
新・日和山(標高:3m)
前項の旧・日和山は、東日本大震災の津波で焼失したとニュースで聞いた。
悲しかった。
しかしその3年後の2014年4月だ。すごいニュースが舞い込んできた。
日和山、復活したと!
あのときは本当に嬉しかったなぁ。
はるばる車を走らせて仙台まで見に行ったりした。
確か住宅地の奥に小山が聳えていたと思うのだが、津波の被害で一面の荒野。
家の基礎だけが延々続く先に、山とも言えないような山があった。
「新・日和山」と呼ばせていただこう。
どことなく旧・日和山を彷彿とさせるデザインなのも、またいい。
津波の被害により、高さは半減して3mとなった。
その後も僕は、この山の情報を追い続けた。
国土地理院が再びこの山の存在を認めたことで、一度は負けた大阪の天保山をさらに下回って、日本一低い山に正式に返り咲いたこともリアルタイムで知っている。
原因が東日本大震災だから、手放しでは喜べないけど。
でも、いい山なんだよ。
詳細情報については、以下を読んでいただけると嬉しい。
弁天山(標高:6.1m)
次は、徳島県からこの山をご紹介したい。
「弁天山」だ。
どの山も好きなのだが、個人的にはこの山が一番ワクワクしてしまう。
さらに言うと、僕が数々の低山を登るきっかけとなった最初の山がこれなのだ。
「山」というからには、やはり人工ではなく大自然が生み出した造形物であってほしい。
そして、山頂に立ったときに「あぁ、確かに自分は登山したのだな」という充実感・達成感が欲しい。
その2大欲求を、この山は満たしてくれる。
美しい…。
赤い鳥居。
木々がこんもり茂った三角形のシルエット。
そして、山頂の祠がチラリと見えている。
しっかり一歩一歩踏みしめながらのハイキングを楽しみたい山だ。
もっとも、ダッシュで登ったことも当然あるが。
詳細情報については、以下を読んでいただけると嬉しい。
御山(標高:3.6m)
常に各地の最新情報に目を凝らしている僕だが、2005年にビックリするニュースをキャッチした。
「なにそれ意味わからない説明してくれ」と、とりあえず現地に向かったのが初回の訪問であった。
まだ誕生直後で情報も世間に出回っておらず、僕も手探りで情報を集めながら行ったのだ。
はい、これ山。
このときの僕は、いったいどんな顔をしていただろうか?
おそらくだが、犬の糞を踏んだときのような顔をしていたのだろう。
この山の名は、「御山」だ。
発見の経緯は、ある年の台風で水浸しになったときに、一番高い地点を測量。
そのとき、一番高い場所と明治時代の資料を見比べてみると、「実はここ、明治時代は山と表記していた」と判明。
なるほど!
これを山と呼ぶ勇気を称える!!
詳細情報については、以下を読んでいただけると嬉しい。
蘇鉄山(標高:6.97m)
国土地理院に山として認められたくらいでは、まだ山としては下っ端という意見もある。
例えるとアレだ、中学のときは野球の才能を認められてチヤホヤされ、野球強豪高校に入ったところまではいいが、そこには全国の猛者が集っており、自分はまだまだ井の中の蛙であった…、みたいなパターンだ。
では、真のエリートとは何なのか。
それは、一等三角点を有するということではなかろうか。
さぁ、そこで大阪府の「蘇鉄山」の出番だ。
栄えある一等三角点を持つ、日本一低い山だ。
鬱蒼とした、山らしい山である。
しかもバリエーションルートが豊富なのだ。4種類はあっただろうか?
登山と下山で違うルートを選べるのは、とても楽しい。
さらに山頂には名前の由来となったソテツの木が植えられており、なかなか目にも楽しい光景が広がっている。
人工の山ではあるが、充分にハイキングを楽しめるオススメの山だ。
詳細情報については、以下を読んでいただけると嬉しい。
天保山(標高:4.53m)
大阪からもう1つ、「天保山」だ。
関西の人にはとても有名な山だ。
…いや、関西の人も僕の知る限り、山というより観覧車のある公園と認知していたり、「海遊館」の隣っていう認知の人が多いようにも感じられるが…。
江戸時代から、数々の絵画に登場した、由緒ある人工の山である。
しかし開発が進んで山ともども周囲がガチガチに整備され、もはやどこが山なのかもわからない風貌である。
山頂より高い地点も周囲にいくつかある。
ちょっと手元にいいアングルの写真が無くって申し訳ない。
後日に差し替えるかもしれないが、山頂がこれだ。
公園の片隅にあり、散歩する人はそこが山頂であることなど気にも留めずに通過していく。
僕だって知らなければ気付かないであろう。
地盤沈下で前述の旧・日和山を下回り、1996年に日本一低い山に認定されたが、新・日和山がさらにそれを上回り、2014以降は2番目に低い山となっている。
詳細情報については、以下を読んでいただけると嬉しい。
笠山(標高:112m)
最後は山口県の「笠山」である。
112m!!
ここまで読んでくると、まるで子供のケンカに大人が乱入してきたかのような気持ちになるが、しかし所詮112mなのである。
「東京スカイツリー」が634mであることを考えると、遥かに低い。
この山は、実は日本一低い火山と言われている。
ただし、火山の定義は少々難しい。
火山として世界最小(あるいは東洋最小、日本最小とも)などと称されることもあるが、火山の定義や地形学的分類により捉え方は様々であり、その序列を断定的に呼称することは無意味である。
(引用元:Wikipedia)
ほら、Wikipediaさんにも「無意味」とか、やたら クールな評価を受けている。
しかし、一番を追い求める姿は、完全に無意味だとは思わない。
もともと「日本で一番低い山」の定義がさまざまあるのだ。
火山の定義もさまざまであり、その考え方の1つによっては「日本で一番低い火山」となる。
それでいいではないか、と考える。
僕にとっては、学術的なものではなく、半分エンターテインメントだ。
旅人だから。O型だから。
小さいながら火口もあり、お鉢めぐりもできるし、冷えた溶岩を間近に見ることもできる。
地球の鼓動を感じられる山だ。
詳細情報については、以下を読んでいただけると嬉しい。
- 名称: 笠山
- 標高: 112m
- 日本一の根拠: 日本一低い火山(火山の定義は諸説あり)
- 国土地理院: 登録あり
- 成り立ち: 自然
- 登山時間: 測定不可(中腹まで車で行けるため)