日本の本土の最北西端。
つまりは九州本土の最北西端。
それはどこかと言えば、佐賀県の「波戸(はど)岬」と言われている。
最北端でもなければ、最西端でもない。
斜めである最北西端だ。
斜めの突端は少々珍しい。
いや、斜めの突端も僕やあなたが日本地図を広げて、「たぶんここだな」みたいにピンを立てることは容易だ。
しかし、「ここが斜めの突端です」と公表している場所は国内でもかなり少ない。
そんな貴重な岬、波戸岬について語りたい。
それは禁断の果実
今回の記事は、日本の突端をいろいろご紹介する以下の【特集】の一環として執筆する。
本記事のみならず、どうぞ心行くまで突端を味わってほしい。
さて、そんな中でも今回特筆したいのは、冒頭から連呼している通り、日本の本土の最北西端の波戸岬だ。
いったいどこにあるのか、まずは以下の地図でイメージしてほしい。
よし、ゴメン、わかりづらかったな。
岬があるのは佐賀県だ。もう少し佐賀県にフォーカスしてみたい。
ここだ。ここが日本本土の最北西端だ。
斜めの概念には正解がなく、定義がとても難しいと聞く。
僕であっても、仮に「九州の一番左上を指さして」と言われて何も考えなければ、「平戸島」に繋がるあたりを示すであろう。
波戸岬はある位置は、すごく北とも言い切れず、すごく西とも言い切れない。じゃあ斜めに突き出しているのかと言えば、そうでもない。
乱暴な言い方をすれば、「言ったもの勝ち」の世界なのかもしれない。
例えば、ちょっと前に上記の通り本土最北東端の「知床岬」の記事を書いた。
知床岬は北東に鋭く突き出しているので、かなり理解を得られやすい岬だ。
しかし波戸岬は…。
…おっと、これ以上余計なことを言うと、僕は闇組織に命を狙われることになりそうだから、このくらいにしておこう。
僕はこういう地理的なことを真剣に考えるつもりは無いのだ。
最北西端と名乗りたいなら名乗ればいい。オシャレな碑でも作ればいい。
僕はそれを喜んでホイホイ見に行くから。
そして事実、2021年現在で4回だか5回だか忘れたけど、それなりの回数ここまで見に行っているから。
それも、ここが最北西端を名乗っているからこそ足しげく通った、といっても過言ではないだろう。
ただ、いずれにしても"斜め"とは迂闊に手が出せない、だけどもうまく活用すれば観光資源にもなる、禁断の果実なのだ。
だからこそ面白い。奥が深い。
斜め物件のメリット
斜めの岬のいいところ。
それは、(大概)朝日も夕日も見えるということだ。
イメージは上記の通りだ。
まぁそりゃ、最北端と最南端も東西どちらにも開けている。
しかし、斜めメンバー4個所は、もれなく全員が東西に展望が効くのだ。
斜めって素晴らしいのだ。
話は反れるが、家だってピッタリ南向きで立てるよりも45度くらい斜めの方が、1日の中で四辺全部に日が当たっていい感じなのだ。知らんけど。
そして続けて悲しい情報なんだけど、僕はそのメリットに踊らされすぎて、日の出時間と日没時間しか波戸岬に行ったことがない。
だから、あんまり広がりのある記事を書けない。
この岬には日本海側で唯一の海中展望塔もあるのですが、「へぇー、そうですか」としか言えない。
サザエのつぼ焼きのお店も並んでいるのだが、何度行っても営業しているシーンを見たことすらない。
だからいざ執筆しようって思った段階で「しまった!」と思った。
僕はこの岬のことをあまり知らない。
だけれども、これ大事なことなんだけど、個人ブログで重要なのは情報よりもエピソードだ。
情報では、専門Webサイトや観光ガイドに絶対に勝てない。
現地に行ったからこその生々しい体験こそが、個人ブログの生き残る道だと信じている。
では、この記事で味わってほしい。
朝方と夕暮れの、曇ったりそうでなかったりしている波戸岬を。
早朝に東へ歩く
前項でも書いたが、サザエのつぼ焼きが名物の岬だ。
駐車場の周囲をグルリとサザエのつぼ焼き小屋が取り囲んでいる。
すっごい包囲網だね、これ。
営業時間中に行ったら、もうどこにも逃げられないほどのにおい攻撃なのだろうな。
サザエの他にも牡蠣・アワビ・イカなどもあるようだ。
もし夕方の営業時間内に到着したらさ、ここでビール飲んでイカ焼いて食べて、そして夕日見てからそのまま車中泊できちゃうよね。
考えただけでパラダイスで、もう佐賀県住みたい。
僕の訪問の際は、いつだって施設類は営業していないので、目指すのは基本的には1点のみ。
本土最北西端を示すモニュメントだ。駐車場からは徒歩で、300mほどある。
途中、左手に砂浜が見えたりする。
いきなり天気が不穏になったが、これは別の訪問時に撮影したからだ。
「寒いな。そしてこの天気じゃ朝日は期待できないな。」とボヤきながら歩いた。
まだわりと距離があるけど、上の写真の赤囲みした部分。
あれが本土最北西端の碑だ。
この写真、右が東であり左が西だ。
実は岬はまだまだ西に突き出ているし、最北西端の碑なのになぜか東に寄せて建てられている。
そんなアイデンティティを無視した立地に僕が憤慨するかと思いきや、別にどうでもいい。
ちゃんと突端を示す碑があることが大事なのだ。
その碑が真の端っこにあろうとなかろうと、別にかまいやしない。
シンボルっていうのは、「シンボルであること」そのものに意味があるのだ。
逆に、突端なのにそのシンボルが無いと人はどういう反応を示すか。
そんな貴重なデータについて以前書いたこともあるので、興味があったら読んでみてほしい。
さぁ、ついたぞ。
これが日本本土最北西端の地の碑だ。
最北西端(The northwest end.)
「The northwest end(ザ・ノースウェスト・エンド)」。
帰国子女の僕であるが、慣れない横文字を並べてしまった。
北西突端の地、という意味だ。
それが英語でカッコよく、このモニュメントに刻まれている。
棒の先に円形のプレートがくっついた、バス停の進化系みたいな不思議なデザインのモニュメントである。
その背後、海に向かって伸びるのは「玄海海中展望塔」だ。
冒頭でちょっとご紹介した、日本海唯一の海中展望塔なのだ。
これについても語りたいが、僕はあそこに入ったことは無い。
むしろ他の海中展望塔にも入ったことがない。
僕は、水面下で何が起こっているのか知る由もない、哀れな人間なのだ。
気を取り直して、northwest endの碑の足元部分をご覧いただきたい。
うっかりしていると気付かなかったりするだろうが、大きな円形の「N」と「W」がある。
これは「North(北)と「West(西)」の頭文字だ。
北と西が歯車状にガッチリと組み合わさって、北西を示しているのだ。
ちょっとだけ意図が分かりにくいが、言われてみればなるほどだろう。
せっかくの歯車という映えるモチーフを使っているので、もう少しだけ配置やデザインを工夫すればもっとエモくなるだろうが、これもまた良しと思う。
この写真を0.1秒チラッと見ただけで、僕は確実に「波戸岬だ」と気付けるのだから。
シンボルって、そういうのが大事。
岬を探索、ハートオブジェもあるよ
最後の項目では、ちょっと岬の風景などをご紹介したい。
灯台は岬の本当に先端にあり、本土最北西端の碑からもそれなりの距離さらに500mほどを歩かねば到達できない。
すっごい絵になる灯台っていうわけでもないし、そして歩行距離も長いためか、このあたりはあまり人がいなかった思い出がある。
じゃあみんなが何を岬に求めているのかと言うと…、
恋人の聖地。
はい、すごいの来た。僕の苦手なヤツ来た。
一人旅でこのフレーズを見るたび、僕のメンタルは少しずつ削られていくのだぞ。
僕は、望まれない存在なのだろうか…、って。
岬の敷地内に、ハート型のオブジェまである。
ここで記念撮影をするカップルもいる。
僕はあそこには近づけない。心が蝕まれてしまうから。
かなり遠くからズームを効かせて撮影した。
過去の写真を見返したら、2回撮影していた。
それも、たぶん全く同じ位置からだ。違うのはズーム比率の違いだけだ。
全然意識しないでこの結果はすごい。
ただ、ある程度の年数を経ているにも関わらず、僕はあの禍々しいオブジェに接近できる距離が全く縮まっていないことを露呈してしまった。
僕は全く成長していないということだ。悲しみ。
ただ、景色は綺麗だ。広大な芝生が広がっている。
霞の空が夕方で赤く染まる光景もよかった。
まだまだ暑い9月の九州にて、朝の太陽が高い位置に来るまでボケッと眺めていたのもよかった。
時間が経つにつれ、さらに海は青く色づいていた。
次ここを訪問したときには、まずは海中展望塔に入ろうか。
まだまだ僕の知らない魅力が、この岬にはある。
旅に出るごとに、「これができなかった、次はこうしたい」・「帰って来てから調べて、〇〇があったことに気付いた、悔しい」などが生じる。
必ずそうなる。誰であっても100点の旅など無いのだ。
だからこそ、また出かけようと思うことができ、それが明日への活力となる。
…ま、でもそれをやり過ぎてはいけない。
日本を何周もするという、常軌を逸した事態にもなりかねないから。
以上、日本6周目を走る旅人YAMAでした。
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