日本の本土。
そこを西の果てまで愛車と共に走って行こうと思ったら、僕らは一体どこまで行けるのであろうか?
…うむ、かすかに「長崎県の神崎鼻だよー…」という声が聞こえた。
確かにそうだ。
僕は以前に、本土最突端16岬のシリーズの中で、日本本土最西端は「神崎鼻(こうざきばな)」であると書いた。
もちろん、長崎より西には沖縄もあるし、八重山諸島もあるし、最も西には「与那国島」がある。
だけども冒頭に記載の通り、「本土を愛車と共にどこまで西に走れる?」の観点で語りたい。
えっ、でも神崎鼻が本土の大地の一番西なら、それ以上は行けないんじゃ…。
いや、違った。
大地が無くても車は走れる。
大地の無くても走れる方法。それは橋。
橋は繋がるのだ!さらに西の世界へと!
本土と繋がる西の果ての世界
今回の記事は、日本の突端をいろいろご紹介する以下の【特集】の一環として執筆する。
本記事のみならず、どうぞ心行くまで突端を味わってほしい。
さて、上記に引用した記事の中でも特殊な存在。
それが、今回ご紹介したい「宮ノ浦」という漁港だ。
その肩書は「橋で結ばれた日本最西端のみなとまち」。
読んで字のごとくではあるが、なかなかトリッキーな肩書だな。
しかし見てくれ!
めっちゃ西だ。
もう神崎鼻がかわいそうなくらい、西に世界は広がっていたのだ。
結構ノンキしていた僕も、この世界観にはビビった。
日本2周目で神崎鼻のみを踏んで満足していた自分を悔いた。
さぁ、僕の目の前に架かるのは「平戸大橋」だ。
深紅の橋、カッコ良すぎるとは思わないか?
この橋が、僕らをさらに西の世界へといざなってくれるのだ。
全長665mの橋。
つまりは本土と平戸島との距離は、660mも離れていないのだ。
これはもう、本土とか島とか言っている場合じゃない。行けるところまでいかないとダメだろっていう気分だ。
そりゃもう、平戸島もいろいろ巡ったさ。
「平戸城」とかベタなところももちろん行っているが、例えばこれは快走路で有名な「川内峠」だ。
日本2周目のころから訪問しているが、一度もスッキリと晴れてくれない憎き快走路だ。
まぁ、なんなら曇天でも気持ちいいからいいけど。
「平戸ザビエル記念教会」だ。これも何度か訪問したな。
ディズニーランドっぽいと表現したら失礼だろう。むしろ本家はこっち側だから。
しかしこの点に聳えるデザイン、なんとも言えないグリーンの色遣いは秀逸だ。
そんな僕に対し、キリストも両手を広げて「ウェルカーム!」だ。
…いや、でも目が笑ってねー!
なんなら顔も笑ってねー!
怖い。
「生月島(いきつきしま)」にだって、車に乗ったまま行けてしまう。
僕のかつての愛車の背後に架かる、めっちゃカッコいいトラス橋が、平戸島と生月島を結ぶ「生月大橋」だ。
橋のある景色。橋の袂の漁港から撮影した。
これらすべて、神崎鼻で満足していたら見れなかった景色だ。
橋、ありがたすぎる。
この島には、デカい観音様がいる。
島を1人で制圧できちゃうくらいに大きな観音様だ。
その名前は「生月大魚籃観音」。
僕も間近でその姿を拝見したが、あえて今回は民家の裏からヒョッコリな画像をご紹介する。ファーストコンタクトの衝撃をあなたにも共有したいから。
ダイナミックな柱状節理。「塩俵の断崖」だ。
駐車場からポカポカの朝の陽気の中、緑の丘の中の遊歩道を歩いてここまでやってきた。
最高だった。日本じゃないみたいだ。
長崎西部をドライブする人、ツーリングする人、ぜひ生月島までもう一足伸ばしてほしいって心から思う。
だって海、すごい綺麗だからな。
これ、飲めますよね?飲んでいいですよね??
…もう少しで若気の至りが暴走するところであった。
極めつけはここ、生月島最北端の岬である「大碆鼻(おおばえ)灯台」だ。
カッコ良すぎる。
ここ、右側のイーゼルみたいな看板と一緒に撮影するのが恒例だから、あなたも覚えておくと良いです。これ込みでカッコいいのだ。
振り返れば、塩俵の断崖へと続く荒々しい断崖。
「ジュラシックパーク」の世界かな?…ってくらいにワイルド。
小さい島なのに、ポテンシャルは限りなくビッグなのだ。
…さて、興奮して語り過ぎた。
いよいよ自走で行ける最西端に向かおうか。
漁港を目指してひた走れ
結論から言う。
橋で結ばれた日本最西端のみなとまちである宮ノ浦の漁港を目指すには、そこそこストイックな精神が必要だ。
「チクショウ、なんだこの土砂降りは!」って叫びながら運転したこともある。
おまけにもう夕方だった。
テンションの上がりようがなかった。
そんな行程を1時間だ。
平戸島のほぼ最北部から南端付近まで走ると、最短ルートもでこのくらいかかる。
天気が良いのであれば最高かもしれないが、土砂降りの夕方では常人なら心が折れているかもしれない。
ワイパーの激しく動く車窓から、特徴的なかたちの山が見えていた。
あれが「志々伎山(しじきさん)だな」、と僕はつぶやいた。
天気がいい日にも攻略したことがある。
窓を開けて運転すると春の風が吹き込み、とても気持ち良かった。
まだ朝早い時間だということも爽やかさを感じられた要因だ。
島の中央部を縦断する国道383号には、特段これといった景勝地なども見つけられず、そして景観もそこまで開けず、おまけに車も少ない。
そんな道であったが、走ることがただただ楽しかった。
ちょっとボケてしまったが、ハイライトはこの写真だ。
そして、こんなことを言っては平戸島南部の方に怒られるかもしれないが、なかなかに遠い。やっぱ1時間はそこそこの時間だ。往復で2時間だし。
僕は橋で結ばれた日本最西端のみなとまちに立ち寄るためだけに、この距離・この時間を走る。
それなりのカクゴが必要だ。
この時間を九州一周コースに充てていれば、今頃僕はもっともっと先まで進んでいる。
そうまでして行きたいのか。自問自答を繰り返すと自信を失う。
願わくば、「酒を飲んだ勢い」みたいなテンションで行ってしまいたい。
グダグダ言っているうちに、なんとか到着した。
この港が宮ノ浦漁港だ。
パッと見、どこにでもあるやや小規模な漁港である。
『がんばろう 車にたよらず 登下校』という標語がある。
学校、きっと遠いのだね…。
試しにGoogleマップのストリートビューで見てみたら、結構寂しい道を乗り越えないと学校のある集落まで行けない感じであった。
さて、ここでの目的は1つだ。
これな。
橋で結ばれた日本最西端のみなとまちの証明。
この1枚の写真のために、走って来た。
他の日本の突端には旅人とか岬好きだとかいろいろいたりするけど、ここには部外者はきっと僕1人。
港で働く人も、「なんだあの人?」的な目線で僕を見ている。
でもいいんだ。僕は本望だ。
雨ザーザーのときも、愛車と写真を撮った。
外に出ることも憚れるような状態だったので、本当に一瞬だ。
なかなかに大変であったが、これって相当に贅沢な時間の使い方をしたよな。
人生ってのは、こういう選択も必要だ。
そして、突端好きでもなかなか踏めない地を踏んだというステータスを得ることができた。
この事実はもう一生覆せない。それが大事だ。
これを僕は「誇り」と呼ぶ。
…とカッコつけたところで、最後にちゃぶ台をひっくり返そう。
見てくれ。
宮ノ浦から直線距離で1kmほど南西部。
「本土と繋がった道の最西端」。
マジか。
こんなスポット、僕の訪問時には無かったぞ…。
ストリートビューでも行きつけない僻地。
どうやら未舗装で擦れ違いもできない過酷すぎる道らしい。
しかし、冒頭で書いた通り「自走で行ける最西端」は宮ノ浦ではなくここであろう。
まずは新たな最西端誕生おめでとう。
僕は行ったことがない。
悔しいが、これは大いなる目標だ。逆に嬉しい。そう思おう。
スポットは増減する。
概念は変わる。
時間は流れ、歴史も変わる。
そんな変化を見れるのも、日本をグルグル走る醍醐味であろう。
また必ず行くよ、平戸島!
以上、日本6周目を走る旅人YAMAでした。
住所・スポット情報
s