日本本土の最西端。
人は太陽を追いかけ、そして太陽の沈む西の彼方に夢を抱く。
「西遊記」では三蔵法師や孫悟空も、文字通り西の果ての天竺を目指したし。
「Go West」という歌もあるし。
つまりは本土で最後の夕日が拝めるスポットだろうか?
陸で繋がる日本本土の西の最果て。
どんなところか行ってみようじゃないか。
クネクネ道と集落
北海道・本州・四国・九州。
日本の本土と言われるこの4つの大きな島、それぞれの東西南北端がある。
詳しくは、僕の書いた以下の【特集】をご参照いただきたい。
この中でも最も西に位置するのが、今回ご紹介する「神崎鼻(こうざきばな)」である。
学校で地理の授業を受けただけでは、きっと耳にすることはないだろう。
しかしね、旅人の地理の授業としては、是非とも知っておくべきスポットだ。
アプローチルートは少々地味かもしれない。
岬にも華々しさはあまりないかもしれない。
しかし見ていてくれ。
最西端のモニュメントと日本列島の巨大地図は、必ずやあなたの記憶に刻まれるだろうから。
佐世保市の中心地から、海沿いのクネクネ道を北上する。
長崎県を地図で見ればおわかりかと思うが、大小無数の島々がとっ散らかっている。
特に佐世保市はバラッバラだ。
そんな海岸線を走るのだから、当然ルートは狭くてクネクネなのだ。
泣き言をいうべきではない。
海岸線を、その体で感じ取れているのだから、むしろ喜ぶべきだ。
さぁさぁ、いよいよ近づいてきたぞ!
心臓の鼓動も高鳴る。
海が近いのになんだか山深い集落。
それが、本土最西端の小佐々町楠泊の集落。
あんまり標識は無いけど、なんとなく走っていけば、最先端の神崎鼻方面へと向かうことができる。
少なくとも僕は、毎回そんなアバウトな生き方(行き方)を選択している。
集落内の街灯には「日本本土最西端のまち」と書かれ、最西端に立つモニュメントの絵が描かれている。
かわいいぞ。こういうの好きだぞ。
最後にちょっとだけ不親切かなって思うのが、ここだ。
本土最西端の漁港。
この中に突っ込むルートが正解。
しかし、この写真を行き止まりまで進んではダメだ。
左に入る分岐が見えているだろう。そっちが正解だ。
僕が初めてここを訪れた2005年とかはね、立て札もそこまで充分になくって行き止まりまで行ってしまい、「あれあれ??」ってなった。
左に曲がれば、10台分ほどの「神崎鼻公園」の、公衆トイレつき駐車場が見えてくる。
本土最西端のモニュメント
公園の駐車場からは、本土最西端のモニュメントまで150mほどだ。
ウキウキしながら歩こう。
ちなみにだが、最西端のモニュメントに行くルートは1つある。
上記の遊歩道を辿ると、公園内の綺麗な光景を見ながら丘の上に出る。
丘の上には碑があったり日本地図があったりするが、それは後述しよう。
僕はかつてより、海側からのルートを好んでいた。
先にそちらのご紹介をさせていただきたい。
これが海沿いルートだ。
ゴツゴツした磯を見ながら進む、武骨なルートだ。
足元ではフナムシが僕の進行に怯えてカサカサと逃げていく。
まさに蜘蛛の子を散らすように。
いつぞやのゴールデンウィークには、この磯ではたくさんの人が遊んでいた。
小魚とかカニとかいるっぽい。
うらやましい光景だ。僕には遊ぶ相手がいない…。たいていは1人だ。
あ、そんな僕を慰めるためか、1人だけカニがこっちにきてくれた。
ありがとう、カニ。
西の海に目を向けると、いくつかの小島が浮かんでいる。
さらにその向こうに霞んでいるのが、「平戸島」だろう。
ここで1つマメ知識だ。
実は九州本土と平戸島は、「平戸大橋」という橋で繋がっている。
島だから"本土"ではないけども、車やバイクで橋を渡ってシームレスに島に行けるのだ。
つまり、橋で繋がった地も含めると、まだ西への世界が広がっている。
時間があれば、あなたもそちらにも足を運んでほしい。
平戸島のさらに西の端の集落には、「橋で結ばれた日本最西端のみなとまち」である、「宮ノ浦漁港」があるから。
そこを訪れた話は、またいずれ…。
さて、そうこうするうちに、本土最西端のモニュメントが見えてきた。
モニュメントは、海を見下ろす絶壁の中腹に設置されている。
なんとも形容しがたい、はんぺんみたいな白い物体と、球と円で構成されている。
だれか、このモチーフを教えてほしい。
あぁ、かっこいい。マジかっこいい。
僕は、コイツを見るために遠路はるばるここまで来たのだ。
感動も一塩。
「日本本土最西端の地」。
旅人が見ただけで狂喜乱舞するフレーズが、しっかりと金字で刻印されている。
ありがたい、ありがたい。
もう、1日かけて拝み倒したい。
磯を見下ろし、そして遠くに平戸島を臨むモニュメント。
しかしね、2020年現在はちょっとロケーションが変更されているのだ。
たぶん2013年ごろにリニューアルされた。
今回は日本3周目~6周目で立ち寄った、計4回の写真を織り交ぜてご紹介しているが、ここまでのモニュメントは日本3周目・4周目だ。
そして、もうしばらくこの、過去のモニュメントをご紹介させていただきたい。
かつてのモニュメント。
注目すべくは、僕の立つ"山側"には本土最西端の文字が無いことだ。
だから、みんな海側から記念撮影をしている。
上の写真でも、その1つ前の写真でも、海からカメラを構えた人が確認できるだろう。
そういう人たちに場所を譲り、1人寂しい僕は裏側からこうして撮影していたのだ。
なんて思い出だ。
しかしこうして、見上げるような構図で、青空をバックにモニュメントの撮影ができる。
この構図は結構好きだった。
真横から見ると、グルグルの昔ながらの蚊取り線香みたいなのが、はんぺんに挟まってしまった旨がよくわかる。そうなってしまった理由は全然わからないけど。
山側から見たモニュメント。
背景は一面の海。
うわー、なんか最果て感がある!それでいて、温かみのある写真だ!
僕はこの写真が好きだ!
…では、次は日本5周目と6周目での写真を掲載しよう。
なんかガッチリとしたデッキができている!!
「あれ?モニュメントは?」って一瞬不安になったが、バルコニー的な部分からチョコンと頭を覗かせているのが確認でき、安堵した。
早速階段を上ってみよう。
以前は岩場をガシガシ登っていたので、階段はラクチンかつ安全だ。
おぉ、ご立派になられて…。
そんな言葉が思わず口から出てきた。
張り出しバルコニーの中央にモニュメントが佇んでいた。
壮麗なお姿だ。
はい、注目。
山側に『日本本土最西端の地』のプレートが設置されたぞ。
後付けで、斜めにカッティングしたオシャレな石がこうやって追加されたのが、Boforeバージョンと対比するとよくわかる。
斜めから撮影すると、テカり具合の若干の差から、後付けである旨と材質の違いを確認できる。
でも極力元の雰囲気を壊さない、石のプレートと文字のデザインよ。ありがたい。
そして、デッキができたことと石のプレートの追加設置により、撮影は海側からではなく、山側からがメインとなる。
これがその根拠よ。
写真の右端を見てほしい。カメラやスマホを設置するための台座ができている。
テーマパークや、チャラチャラした観光地だったらともかく、わりとローカルで硬派なイメージのある神崎鼻でこれを早い時期から取り入れたのが意外であった。
なので、「カメラ設置スタンドを撮影する」という、設置者の意図を無視する行動に出てしまった。
もちろん、このあと本来の意図でも使わせてもらったが。
引きでのショット。
以前のようにモニュメントの背面全てを海にするような構図はできなくなった。
だが、これはこれで良いと思う。老若男女に優しい設計になったし。
そして、佐世保市の外れに当たるエリアだが、お金をかけて綺麗に整備することができているってことは、喜ばしい話だ。
公園と日本地図
さてさて、モニュメントから階段を上ってきたので、一度話をグンとさかのぼる。
冒頭近くで、「駐車場から遊歩道を歩いて公園内部に行くルートがある」と話した。
モニュメントからの階段を上ると、その道に合流する。
すごく綺麗に保たれた、芝生の広がる公園だ。
海に向かう斜面が美しい。
磯で遊ぶもよし、芝生でゴロンとするもよし。
最高かよ。
そしてこれ、ちょっと記憶が定かではないが、2010年以前にはなかったと思われる。
『日本本土最西端の地』と書かれた石碑だ。
静岡名物の黒はんぺんのようなフォルムである。
さっきからはんぺんはんぺんと連呼して大変恐縮だが、執筆しているタイミングで結構な寒波がやってきて急に冬らしくなったし、だからおでんも数回作ったし、僕ははんぺん大好きなんだからしょうがない。
では、ちょっとだけ駐車場方面に戻ろう。
「四極交流広場」。
なんというパワーワード。
四天王揃い踏みっていうか、サミットというか。
四極というのは、以下を指す。
さながら、ヒーロー夢の共演だ。
四極交流盟約書もある。すごい同盟だ。
そして、市町村のロゴマークがヒーローバッヂみたいだ。
きっと最終回当たりで、とんでもないラスボスに立ち向かうために、この4人のヒーローが初めて一堂に会し、闘うのだと思う。
視聴率、爆上げだな、うむ。
そして、巨大な円形の広場の中に、日本地図。
ここに四極の所在地が描かれている。
こういうの、たまらんね。好き好き。
これまで走ってきた行程、これから訪れたい地。
それらに思いを馳せる。
日本って小さいけど、広いよな。
北と南。東と西。
気候も景色も風土も、全然違うのだ。
そういういろんな地を走り回れる、この人生に感謝する!
以上、日本6周目を走る旅人YAMAでした。
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