週末大冒険

週末大冒険

ちょっと出かけてみないか。忘れかけていた、ワクワクを探しに。

No.350【青森県】90歳のばあちゃんの焼きおにぎりが絶品!路地裏の小屋「はるえ食堂」へ!

青森駅からほど近い路地に、「はるえ食堂」という小さな小さなお店がある。

戦後の闇市みたいな雰囲気を残す本当に狭い路地に、バラック小屋がギュギュッと並んでいる中の1つだ。

 

"食堂"という名前ではあるが、4畳ほどの広さしかなく惣菜等の持ち帰り販売のみを行っているお店だ。店主は「はるえばあちゃん」という90歳のおばあちゃん。

 

手前がはるえ食堂、奥が後述の奈良商店

このばあちゃんが七輪で焼いてくれる焼きおにぎりが絶品だというのだ。

Webを見ても、「何度でも食べたい」・「ばあちゃんの人柄に心を打たれた」・「おにぎり食べるためだけに青森まで行く」などの愛のあるコメントがあふれている。

 

焼きおにぎりのレジェンドに会いに行こうではないか。

2023年の夏、僕は動き出す。

 

 

プロローグ:雪の日の奔走

 

実は僕は2023年の春に一度このはるえ食堂についてブログで取り上げている。それが以下だ。

特に読まなくっても本記事には影響しないが、たぶん読んでくれた方がカタルシスを感じられるし僕も喜ぶ。

 

drive-ns.hatenablog.com

 

ザックリと説明するならば、レジェンド焼きおにぎりのウワサを聞きつけた僕が2023年初頭に雪を踏みしめてはるえ食堂へと向かう。だけどもお店は休業中。

横の「奈良商店」のおばちゃんに聞いたらはるえばあちゃんは骨折してしまったそうで。

 

奈良商店さん

では来月は…、と考えて1ヶ月後に訪問しても休業中。じゃあさらに1ヶ月後は…って思ってさらに訪問しても休業中。

行くたびに横の奈良商店のおばちゃんに「はるえばあちゃんはどうしているかなぁ?」って聞きながら惣菜を買わせてもらっていたので、奈良商店のおばちゃんとも仲良くなってきた。

 

雪の吹き込むはるえ食堂

しかし気になるのははるえばちゃんのことだ。ばあちゃんはもう90歳になるというし、これで引退してしまったのかな…。

って思った矢先、2023年ゴールデンウィークごろに営業再開したという嬉しいニュースを耳にした。

 

僕はスマホを握りしめて「うぉぉ!」と獣のように歓喜した。

行くしかない。それもなるべく早くに、だ。

 

 

青森名物、しょうが味噌おでん

 

2023年初夏。僕は再び青森の地を踏んだ。

あぁ、季節は流れたのだ。前回は周囲すべてが銀世界であったが、今は暑くもなく寒くもなくでとても爽やかな気候だ。首都圏とは全然違う、湿度の少ないカラッとした空気。胸いっぱいに北国の空気を吸い込んだ。

 

のっけ丼で有名な魚菜センター

「青森魚菜センター」。のっけ丼のお店と言った方がピンとくる方も多かろう。市場風の店舗の中を白米の入った丼片手に巡り、好きなお刺身を乗せてオリジナル海鮮丼を作れるのだ。

 

いや、しかし今回の目当てはのっけ丼ではない。

目的地はその奥、既に見えている。ブルーシートに包まれた一角だ。

 

戦後の闇市みたいなゾーン

「あれ?ここは戦後間もない時代かな?」って思ってしまいそうなバラック小屋が連なっている路地。

でも初夏の日差しでブルーシートも生き生きしているように感じた。真冬の豪雪の時期に来たときは、もう肩を寄せ合って寒さをしのいでいるように見えたもん。雪すごくって、道幅もこれの半分くらいだったし。僕は滑ったし。

 

店名より大きい、ねまがり竹アピール

ブルーシート群が始まるところに、各店舗の店名プレートが掲げてある。看板を出して言いないお店もあるので、店名はここでしか確認できなかったりする。

その中の真ん中に、僕の目指す"横山はるえ食堂"の文字もある。もう、たまんねぇな。この年になると涙腺緩くなるよ、まったくもう。

 

各店舗、日差しの中で生き生きと

僕は内心ドキドキしながらこの店舗群の枠を歩く。

はるえ商店まではあと3区画かな…?やっていなかったらどうしようって思っている。2023年だけですでに3・4回、こうしてドキドキしながら歩いては、誰もいない店舗の前でガックリ肩を落としているのだ。

再開したというニュースは聞いているものの、90歳のおばあちゃんなのだから体調に波もあるかもしれない。営業していないかもしれない。そのカクゴも必要だ。

 

小さなお店の中の小さなおばあちゃん

 

営業していた!はるえばあちゃん、いた!

 

 

嬉しいぜ。以前はガランとして寒風が吹き込む店舗を眺めていたが、営業しているとこんなにも賑やかな店内よ。

しかし小さな店舗。僕はこの写真をお店の入り口から撮影しているが、左右の壁も写っているし奥行きもそれほどないのがわかるだろう。

広さは4畳ほどだろうか?全方位に物がギッチリ置かれており、中央にいるはるえばあちゃんはほとんど歩くことなくそのすべてに手が届く感じだ。

 

僕が来たとき、はるえばあちゃんは店の入口に腰かけたマダムと談笑しているところだった。「こんにちは、焼きおにぎりはありますか?」って聞いてみた。

残念ながらまだお昼だというのにおにぎりはないそうだ。では明日の朝とかならあるのかな?そう聞いてみると「朝はご飯がまだ炊けない。でも明日の昼なら準備できるよ。何個ほしいの?」って聞いてくれた。

 

実際は半分くらいしか聞き取れず、マダムが通訳してくれた。ありがとう、マダム。あなたに出会えたことはビギナーズラック。

ついでにはるえばあちゃんに「写真撮っていいですか?」って聞いたのもマダムが仲介してOKをいただいた。

 

青森のしょうが味噌おでん

ただ、ここままのこのこ帰る僕ではない。

なぜなら店舗の隅で火にかけられたお鍋では、おでんがいい匂いを充満させているのだ。

ちなみにその奥の七輪でおにぎりを焼いているらしい。そのおにぎり、食いたかった…。

 

おでんはこんにゃく・玉子・厚揚げの3品を購入した。

はるえ食堂は"食堂"という名前はついているものの、店舗が狭すぎることもあって中で食べることはできない。昔はイートインできたというウワサはあるけど。

何にせよ今回はテイクアウトだ。宿で食べようか。

 

春うららの包み

おでんは新聞紙で包まれていた。

"春うらら"と書かれ、見つめあうサルの親子の記事。僕は新聞紙の包装の場合、どんな記事が見えているかで占うよ。はい、これ大吉。いいチョイスだ、はるえばあちゃん。

 

おでんパーティー

では、おでんを食べよう。あ、左に写ってるのは僕の好きな泡の出るドリンクです。おでんを楽しむには必須だと思って購入しました。

 

しょうが味噌おでんの魅力

パックの中には味噌だれがたっぷり入っていて、しょうがの香りがした。青森市の名物であるしょうが味噌おでんだ。

戦後、青森の厳しい寒さで凍える人をちょっとでも温めようと闇市のおでん屋さんで始まったのがルーツだ。

あぁ、温まるよ。心が確かに温まる。

 

 

念願の焼きおにぎり

 

翌日の昼のことである。僕は再びはるえ食堂に向かう。

昨日約束したんだもん。絶対行かねば。もう焼きおにぎりを食べるまでは青森を去るわけにはいかないと心に決めていた。

 

焼きおにぎりハンターの心得

はるえ食堂を覗き、ばあちゃんにご挨拶。

「昨日ご挨拶したものです。焼きおにぎりを買いに来たいんですけどー。」と言うと、はるえばあちゃんは「あいよー、あるよー。」みたいな感じで返事をしてくれた。

 

愛しの焼きおにぎり

店内のトレーに焼きおにぎりある!6つある!やった!

なんかゴマがいっぱいまぶしてあるっぽいな。うまそうだ。2つほしいと頼んだ。上の写真は、その残りの4つを撮らせていただいたものだ。

 

ばあちゃんが新聞紙におにぎりを包んでくれている間、僕はばあちゃんに冬からのことをちょっと語ってみた。

年始から何度も足を運んだこと。骨折したと聞いて復活できるのか、正直不安に思っていたこと。復活したと聞いて、ばあちゃんの絶品焼きおにぎりを食べられるこの日を待ちわびていたこと。

 

ばあちゃんと焼きおにぎり

ばあちゃんは「そうかいそうかい、ありがとねー…」と目を細める。

僕は骨折した腕の調子はどうか聞いていた。「まぁまだ痛いけどね。大丈夫。」とばあちゃんは微笑んだ。

そうか、どうかご無理をなさらぬよう。お会いできて本当によかった。

 

この喜びをだれに伝えようか。よしっ、隣の奈良商店のおばちゃんに報告しよう。

1m隣の奈良商店のおばちゃんに声をかける。…というより、どちらのお店も建物の前面に壁もドアもないので僕がはるえばあちゃんと話していた声も丸聞こえだったかもしれないけどな。

 

「おばちゃん、およそ3ヶ月ぶりの僕です」と奈良商店のおばちゃんに声をかける。おばちゃんはどうやら僕のことを覚えてくれていた気配で、「あぁ、お久しぶりね」と言ってくれた。

「あのとき何度も訪問したはるえ食堂、やってたの!」・「おばあちゃんもいたの!」・「おにぎり買ったの!」と小学生女子みたいなテンションで口早に報告した。

おばちゃんも「よかったわねぇ」と合わせてくれた。

 

奈良商店でも惣菜を買っていこう。カレイとサワラを購入した。

はるえばあちゃんがいない間に何度も僕と話してくれた奈良商店のおばちゃんにも感謝だ。このおばちゃんが僕に親身に接してくれたから、きっと僕はまたここに来ることができたのだ。

 

青い森公園

ぶっちゃけガマンできない。なぜなら僕の手の中にあるおにぎりがほんのりと温かいのだ。すぐに食べたい。

歩いていて見つけたのは「青い森公園」。青森らしい、いい名前の公園だ。ここで食おう。

 

新聞は奥入瀬渓流の記事

石段に腰かけて新聞紙に包まれたパックを取り出した。

奥入瀬渓流」の新聞紙だ。あぁ、奥入瀬渓流行きたいな。奥入瀬渓流は春夏秋冬全部行ったことあるけど、今の時期が一番新緑がきれいで好きだよ。

 

焼きおにぎりと対面

焼きおにぎりはこんなビジュアルだ。

正直言うとね、想像していたのとちょっと違った。焼きおにぎりと言えば表面に醤油を塗ったセピア色のもの、っていう先入観があった。

 

しかしこれは違う。塩とほぐした鮭を混ぜたご飯にたっぷりのゴマをまぶし、丁寧に七輪の炭火で焼きあげているのだ。

 

僕にとっての宝石

一般的に想像するもの一線を画す、このバージョンの焼きおにぎりはちょっと他では食べられないぞ。

 

ひと口食べるとゴマの風味が口いっぱいに広がり、そして次に芳ばしさが脳からドーパミンを放出させてくれた。さらには鮭の奥深い味わいが訪れる多重奏よ。

もちろん外側はややカリッとしており、中はもちっとしている焼きおにぎりオリジナルの食感は、あなたの想像通りだ。

 

県庁&裁判所をバックに

至福。とりあえず半分だけ食べ、残りは夕食にする算段だ。

…そして夜である。

 

儀式の準備は整ったぞ

暗い宿泊地の魔法陣(円形テーブルとも言うね)に、儀式のための供物を並べる。魚は奈良商店で買ったカレイとサワラだ。

こういう儀式には酒も捧げるのが常だそうなので、トリスハイボールも用意した。

ふふふふ、完璧だ。

 

うめぇうめぇ、酒もおにぎりもおかずもうめぇ

僕は自分の身に食欲の神を降臨させると、供物をムシャムシャ食べた。そしてトリスハイボールを飲んだ。

幸せである。これで今年も来年も、日本はきっと平和になるであろうぞ。

 

 

盛夏の再会、そしてまたいつか…

 

青森には梅雨はほとんど存在しないと聞いたことがある気もするが、その日は今にも雨が降りそうなドンヨリ天気であった。おっかしいな、天気ではそんなこと言っていなかった気がするのに。

 

梅雨空とバラック小屋

前回からおよそ1ヶ月後、再びはるえ食堂を目指していた。

霧が立ち込めたかのような路地。雰囲気がムンムンである。

 

できたて焼きおにぎりがたくさん

お店を覗くと、焼き立てのおにぎりがたくさんトレーにあった。ナイスタイミングだ。2つ購入し、また温かいうちに青い森公園とかで食べようと思う。

はるえばあちゃんは「あら?見た顔ね。また来てくれてありがとうね。」と嬉しそうに笑ってくれた。

 

雨の降りだす青森市

お店を出たとたん、パラパラと雨が降り出した。これは公園で食べるわけにはいかないな。かといって、せっかくできたての焼きおにぎりを冷ましてしまうのももったいない。どこかいい場所はないものか。

 

上の写真の中央に写っているのは、はるえ食堂から徒歩2分くらいのところにある八百屋さんなんだけど、そこに軒下にベンチが置いてあるのを発見。ここを活用させてもらおう。

ところで上の写真、一番奥にかすかに「田中惣菜」という僕のお気に入りのお店が写っている。

 

drive-ns.hatenablog.com

 

この記事に興味を示してくれた人は間違いなくこっちも気に入ると思うから、よければ読んでみてね。

ちなみに前章の魔法陣の中に設置した惣菜も、ここで購入したものだったのだよ。

 

ありがたきフリーベンチ

話を戻そう。本日は営業をしておらずシャッターを閉めていた「ヤオケン」という名の八百屋さんの店先。

『ご自由にお座りください』と書かれたベンチに腰掛けた。

 

食欲そそる見た目だな

ワクワクしながら新聞紙を開く。アツアツの焼きおにぎりの登場だ。

ひと口食べれば幸せがこみ上げる。

新聞に書いてあるサラリーマン川柳を読みながら食う。雨が目の前でパラパラと音を立てて降る中で食う。

 

こういうのがね、幸せなんですよ

こういうささやかな幸せ、忘れたくない。

否、なんとなくの確信だけども、僕は今日のこのときのことを生涯忘れることはないだろう。雨の中、八百屋の軒下で食べた、はるえばあちゃんのおにぎりのことを。

 

…また少しだけ時間は流れる。

こっから先は、この記事のエピローグだと思って読んでいただきたい。

 

青森の夏もそこそこ暑い

あぁ、暑いね。関東や関西と比べると湿気がなくって快適だけども、それでも暑いものは暑い。

はるえ食堂の並びの商店群は、ドアもないしエアコンもないだろうから真夏は大変だろうなぁ…。狭い場所で火を使うから熱気もこもりそうだし。

 

屋根も商品も、緑がまぶしい季節

はるえばあちゃんは今日も元気に営業していた。

僕は今回も焼きおにぎりを2つ買う。ただ、今回は家まで持ち帰る魂胆だ。このはるえばあちゃんのおにぎりの味を、家族にも味わってもらいたい。

 

これから急いで帰路について、家まで5時間くらいだろうか?今は昼だから夕食には余裕で間に合う。夏ではあるが、保冷剤で冷やしていけば大丈夫だろう。

 

またね、はるえばあちゃん

今日も焼きおにぎりはできたてだった。

その場で食べたい衝動にも駆られるが、お土産にして一緒に食べたい人がいる。我慢だ我慢。

 

はるえばあちゃんに「またいつか来ます。お体に気を付けて。」とお伝えした。

手を振って見送ってくれるばあちゃんに別れを告げ、僕は家路につく。

 

遥か東北のおにぎり

その日の夜、家でおにぎりを開封した。衝撃だとかで焼きおにぎりは三角というよりパックのかたちに馴染むような感じに形状を変えつつあったけど、大丈夫だ。

冬からの探訪劇、そして夏の数回の思い出などを語りながら2人でおにぎりを食べた。

 

またいつか

焼きおにぎりを噛みしめた。

しばらくは僕は青森を訪れることはないだろう。でも、またいつか食べたいなぁ。

 

以上、日本7周目を走る旅人YAMAでした。

 

 

住所・スポット情報

 

  • 名称: はるえ食堂
  • 住所: 青森県青森市古川1
  • 料金: 焼きおにぎり¥150他
  • 駐車場: なし。近くのコインパーキングを使用のこと。
  • 時間: 9:00~16:00(日曜定休)

 

No.349【広島県】レトロ自販機の「五洋売店」!埋立地の工場地帯で爽やかな朝を満喫した!

広島港にほど近い、埋め立て地の工場地帯の中にある小さな商店。そのお店の店頭に昭和時代に栄華を誇っていた、アツアツのうどんが出てくるレトロな自販機がある。

今ではもう取り扱っているお店も少なく、すごく貴重な自販機だ。

 

それを求めて全国を旅する僕がそこにやってきた。

今回ご紹介するお店の名は「五洋商店」。

 

 

普通だったらついつい見過ごしてしまいそうなほどの小さな商店で、かけがえのない思い出を作れたあの春の日のことを、僕は忘れることがないであろう…。

 

 

朝、広島港の工場地帯を目指して僕は走る

 

清々しいほどに晴れ渡った、ある春の朝のことであった。僕は五洋商店を目指してアクセルを踏んでいた。

朝ごはんにレトロ自販機のうどんを食べたいと思っていたからだ。いち早く食べたい。空気がきれいな朝のうちにうどんを空気のように吸い込みたい。そう思っていた。

要するに腹が減っていただけなのだが。

 

工場地帯の商店へ1

最寄りは広島南道路の出島ICだそうだ。僕は前のめりになりすぎて宇品ICで降りてしまったが、まぁ大した誤差ではない。O型はこういう細かいことは気にしない。

こうして瀬戸内海に突き出た埋め立て地の出島エリアへと入っていく。

埋め立て地の工場地帯だから、当然住宅地などはなくダイナミックな工場や倉庫ばかりが立ち並ぶエリアだ。場違い感がスゲーぞこれ。

 

工場地帯の商店へ2

こんなところに小さな商店なんてあるのか。レトロ自販機なんてあるのか。

…そう心配になってきそうではあるが、大丈夫でしょう。日本には、ホントここにそっくりな工場地帯に小さな商店があり、そこにレトロ自販機があるようなスポットが他にあるのだから。

それは僕の大好きな、神戸の「石田鶏卵」なんだけどな。あそこのうどん、また食べに行きたいよな。

 

おっと話が反れてしまった。僕は今いるのは広島だ。

慎重に地図を確認しながら進み、勢い余ってちょっと通しすぎてしまい、その区画を一周して戻ってきつつ五洋商店に到着した。

 

工場地帯の商店へ3

良い。工場地帯の真っただ中。平らでストレートで広い道が交差する角地にあり、大きな赤い屋根がその存在感を主張している。

だけども全然やぼったくはなく、無機質な工場に赤という名の彩りを添えてくれるような、ほっとできる存在のように感じた。

 

赤い屋根には『たばこ 弁当 ジュース』と書かれている。

僕の訪問時は朝だったので商店は営業開始前だったが、どうやらお弁当やパンや新聞などが売られており、付近の工場で働く人々の憩いの場となっているらしい。

 

工場地帯の商店へ4

なるほど、こういうところのお弁当も食べてみたかったな。それは次回以降の楽しみに取っておこう。

ところで本題のレトロ自販機はどこにあるのだろうか?左側からお店の裏方面に回り込んでみた。

 

工場地帯の商店へ5

あった。ブルーシートの陰となってわかりづらかったが、お馴染みの富士電機製のレトロ麺類自販機がたたずんでいる。

このお店のこの自販機を見るのは初めてだが、いつだって僕はこの富士電機のレトロ自販機を見ると、10年来の旧友に久々に再会したときのような気持ちになるぜ。

ただただ、出会えてうれしい。ここにいてくれて、ありがとう。

 

 

春うららかな自販機うどん、うまいに決まってる

 

さて、それではこの富士電機製の麺類レトロ自販機をまじまじと拝見しよう。

 

レトロ自販機うどん1

同じ規格で作られた自販機であっても、40年も50年も経つとそれぞれに個性が生まれる。それは汚れや傷や劣化であったり、貼り紙やカスタマイズであったり様々だ。

もう、自販機を見ただけで全国のどこの店舗のものかすぐにわかるマニアも多い子おtだろう。僕もその1人かもしれんな。

 

レトロ自販機うどん2

達筆な縦書きの貼り紙が渋い。

しかし食後の器を放置したりゴミを散らかす人もいるということなのだろう。心が痛む。

レトロ自販機の維持は大変なのだ。1日でも長くオーナーさんが自販機うどんを提供できるよう、僕らは感謝しつつ綺麗に店舗を使わねばなるまい。容器やゴミの放置、ダメ、絶対。

 

レトロ自販機うどん3

メニューは2種類。肉うどんと天ぷらうどんであり、前者は300円で後者は250円だ。んーと、天ぷらうどんにしようかな。

お金を入れてボタンを押すと、20秒ちょいのカウントダウンが始まる。そして0になるとともに取り出し口からアツアツホカホカのうどんの登場だ。この瞬間が人生で最も幸せだ。

 

あ、うどんの写真はちょっと待ってね。席についてから公開するから。

 

レトロ自販機うどん4

お箸や薬味などは自販機のすぐ脇にセットされている。容器や残り汁の回収用のバケツもある。

ご覧の通り、とても心がこもった親切な設備だ。自販機は無機質なものかもしれないけど、レトロ自販機はその向こうにオーナーさんの人柄も見えるように感じる。

お店はまだやっていないしオーナーさんがどのような方かはわからないが、きっとレトロ自販機を愛するいい人だ。感謝。

 

レトロ自販機うどん5

このお店にはテーブルは無いものの、座って食べるためのベンチならある。簡易的な屋根のあるあそこのベンチに座って食べようか。

僕はうどんを持ってそこへと移動した。

 

レトロ自販機うどん6

これが天ぷらうどんだ。ふふふ、七味唐辛子をなかなかヤンチャなボリュームでかけてしまったよ。好きなんだ、七味唐辛子が。

 

具はかき揚げとかまぼこ。かき揚げはふっこふこの衣で綺麗な円を形成している。なにこのゆるキャラみたいなフォルムは。食べるのを躊躇しちゃうくらいにかわいいじゃないか。

こんなまるまるとした自販機うどんのかき揚げは、他には徳島県の「横田自販機コーナー」くらいでしか見たことないかな。あそこのレトロ自販機、もう廃業しちゃって残念な限りだな。そんなことを考えながら食べる。

 

レトロ自販機うどん7

ダシは濃い部分が底にたまっているので少しかき混ぜてから食べるのがおススメだ。

朝の胃腸にもジワッと優しく染みわたるようなダシ。春のこの日差しとさわやかな風にとてもよく合う味わいだ。麺ののどごしも爽やかだ。

 

まだ静かな工場地帯の朝。ポカポカの容器の中で僕はレトロ自販機のうどんをすする。ちょっとこれさ、かなり幸せ。

こういう旅の朝を迎えられたことが、今心から嬉しい。

 

 

オーナーさん変更を乗り越え、今後も生きる

 

後から知ったことだが、ここは2021年にオーナーさんが代わったらしい。

2021年の8月にオーナーさんが亡くなられてしまい、それ共にこのレトロ自販機もいったんは稼働を停止した。存続の危機だった。

 

自販機復活劇1

しかし五洋売店は復活した。別の方がオーナーを引き継ぎ、そしてその年(つまり2021年)の11月にレトロ自販機も再開してくれたのだ。

レトロ自販機の運営ってすごく大変だそうなのに、なんというありがたい話よ。

 

僕の訪問はその半年後だったわけだが、まだ上記のような再開を知らせる貼り紙がしてあった。

当時は「故障でもしていたのかな?」って思っていたが、こういう理由だったわけだ。

 

自販機復活劇2

しかも朗報が1つある。

2024年現在は、この写真の一番右側にあたるところにもう1つ富士電機製のレトロ麺類自販機が設置されているのだ。

2022年初頭には設置されていたというWeb情報もあるので僕の訪問時にはなぜなかったのかナゾだが、結論として2024年現在は2つある。

 

神奈川県の「中古タイヤ市場 相模原支店」のように多くのレトロ自販機をジャンジャン導入して半ばアミューズメント施設化しているようなスポットだったらともかく、こういう昔ながらの個人商店でレトロ自販機を増大するというニュースはほぼ耳にしたことがない。

だからこそすごくうれしい情報だ。

 

自販機復活劇3

僕が食べ終わるくらいのタイミングで、続々と4組くらいの人たちが自販機麺を目当てにやってきた。

「これがレトロ自販機。美味しいのよ。」とほかのメンバーに紹介する複数名グループ、慣れた感じでササッと購入して車内で食べるタクシー運転手、笑顔で丼を運ぶ父子…。

 

先代オーナーさんの意思を受け継ぎ、現在のオーナーさんもしっかりと自販機を管理してくれている。その様子は前章に語った通りだ。

だからこそ、こうして今も変わらず地元の方に愛されているのだろう。

そんな光景を垣間見れて、僕は朝から幸せだ。

 

出島西公園1

最後に、五洋売店とは直接は関係ないが、お店から出島の埠頭をさらに500mほど先端方面に進んだところにある「出島西公園」をご紹介しておこう。

 

食後にあまりにも満ち足りたので、埋立地を走行時にふと目に入ったここの公園でしばしくつろいだのだ。

 

出島西公園2

新緑がまぶしくて、風がさわやかで。グラウンドもあり、遠くで子供たちが球技にいそしんでいた。

僕はベンチに座り、レトロ自販機うどんの余韻に浸る。春の朝、なんて平和なのだろう。

 

出島西公園3

こうして僕は旅を再開する。

ありがとう五洋売店。次は日本7周目にて、2台目の自販機から麺類を購入するとしようじゃないか。

 

以上、日本7周目を走る旅人YAMAでした。

 

 

住所・スポット情報

 

  • 名称: 五洋売店
  • 住所: 広島県広島市南区出島2-14
  • 料金: 天ぷらうどん¥250他
  • 駐車場: あり
  • 時間: 特になし

 

No.348【青森県】三陸海岸最北端「葦毛崎」!古城のような展望台は戦時中の軍事施設だ!

"三陸海岸"って大体誰もが耳にしたことあるよね?

リアス海岸で有名だ。僕も小学校の頃から社会の時間かなんかで習い、「海岸ギザギザじゃねーか!すげぇ。いつか僕も現地でギザギザを実感したい。」と思っていた。

 

ところでその三陸海岸はどこからどこまでを指すのかご存じだろうか?

これは諸説あるのだが、青森県八戸市の鮫角(さめかど)から宮城県石巻市万石浦までを指すのが一般的のようだ。その距離、総延長で600kmだ。

おおまかに地図で示すと以下のようになる。

 


鮫角は明確なスポット名ではない。

これが示すとすれば「鮫角灯台」、あるいは灯台のすぐ側にある「葦毛崎(あしげさき)」を指すこととなるそうだ。

 

では、今回はその葦毛崎と鮫角灯台について執筆しよう。

とりわけ葦毛崎については好きなスポットで、10数年通っている。全部の訪問時の写真をご紹介するとえらいことになっちゃうので、うち5回分の訪問記録をミックスしてお届けしようと思う。

 

これが最南端の万石浦

あ、せっかくなので最南端の万石浦の夕焼けを撮影した写真もオマケで掲載しておくね。ここもいいスポットだぞー!

 

 

西洋の古城のような展望台

 

僕が葦毛崎を好きな理由の1つ。それは展望台がとってもカッコいいという点だ。

展望そのものも大事だが、展望台のデザインも大事。まずはその「葦毛崎展望台」にスポットを当てたい。

 

要塞展望台1

寒い寒い時期の、少しどんよりした写真をまずはご用意した。そりゃ青空の展望台も大層ステキなのだが、ここは曇っていても絵になると勝手に思っている。

 

どうだい?なんとなく西洋の古城のように見えてこないかい?そして僕の勝手なイメージなのだが、西洋の古城ってこんな感じのドロドロした天気がとても似合う」と思ったりしている。曇っている方が「過酷な運命に立ち向かう」って感じで力強さを感じるっしょ。

 

要塞展望台2

ほとんど同じ構図だが、これは夏の早朝5時ちょっとすぎに撮影した。

さて、この展望台はなんでこんなデザインなのか。「石造りにしたらカッコいいかなー?」って感じでたまたま造ったのか。それとも本当に西洋の古城などをモチーフにしたのか。

 

実は、ここは幕末に国外の船を監視するために砲台が設置されており、さらには第二次世界大戦のときには軍がレーダーを設置していたそうなのだ。

つまりはガチの軍事施設を居抜いて展望台にしたのだ。

そんな名残があるからこそ、この物々しいテイストの景観なのだ。

 

要塞展望台3

夏の昼間の濃霧の中で撮影したお気に入りの写真である。

この近くに「蕪島」っていう3万羽のウミネコが舞うとんでもない神社があってよく行くんだけどね、そこはすごい晴れていたの。そこからここまでのわずか2㎞でメタクソにガスった。なにこれ。

 

ただね、霧は濃いけど、霧の中の岬ってのも絵になるね。幻想的。

夏の野に咲く花と一緒に撮影したらすごくいい感じになった。このあと再び走り出したらまたすぐに霧は晴れたし、ここだけ粋な演出してくれて今は感謝している。

たぶんだけど、この岬の北と南で地形が大きく違うから、気温や気候も違っていて、それがぶつかり合って霧になっちゃっただけなんじゃないかな?

 

要塞展望台4

日本6周目の真冬の夕景。耳がちぎれんばかりの寒風の中で見上げた要塞展望台。いつきてもここは心を打つような景色を見られる。

にもかかわらず、そんなに観光客は多くない。駐車場も大抵は充分なゆとりがある。もっとみんなに知ってほしいスポットの1つだ。

 

要塞展望台5

これは日本6周目の終盤、直近で訪れた際のものだ。

文句なしの快晴。あぁやっぱ快晴はいいよね。なんだか見上げているこっちまで誇らしい気持ちになるよ。

長い戦いの時代を終え、平和を勝ち取った後のお城のようだ。物語のエンディング。

 

要塞展望台6

ここまで似たような写真をモリモリご紹介してきたが、何気に展望台の上部の写真はこれ1枚しかなかった。

中央に円形のベンチのある広場。どうだい、爽快感があるだろう。ここからの眺めについては次章でお見せしよう。

 

 

遥かなる三陸海岸の始まりを臨む

 

冒頭でご説明した通り、葦毛崎から南側にリアス海岸の日本代表である三陸海岸がスタートすると言われている。展望台からその始まりのポイントを見ることはできるかなぁ…?

 

三陸海岸の始まり1

これは南側を眺めたときのものだ。

付近は遊歩道が連なっており、「種差海岸」というこれまた僕のお気に入りの景勝地まで歩くことも可能だ。寒いし風が強いので歩かないけど。車で行くけど。

 

目線が低いからあまりよくはわからないけど、沿岸の地形はそこそこワイルドなようにも感じる。少なくとも浜辺で海水浴ができるような平和的な気配は感じられない。

 

三陸海岸の始まり2

続けて北側の写真。とてもギザギザで危険極まりないシルエットだ。

もうすでにこの展望台のちょっと来たからリアス海岸が始まっているのかもしれない。2㎞北の蕪島はまだ穏やかな顔をしていたから、ホントここのすぐ近くで大きく海岸の様相が変わったのだろう。

このギザギザが、ずーっと宮城県石巻市まで続くそうなのだ。600㎞も。壮大な物語だな。

 

三陸海岸の始まり3

例の霧の日の写真がこれだ。海霧で手前部分しか海は見えないが、岩礁は光に照らされてコントラストがクッキリしている。

この時の写真、全部好き。

 

三陸海岸の始まり4

霧の中の岩礁にフォーカス。霧の中に牙をひそめているようだ。打ち寄せる波が白く砕け散っているところからも、その荒々しさを感じさせる。

海水浴はおろか磯遊びをするにも危険なレベルの岩礁だ。リアス海岸、攻撃力が高ェぞ。

 

三陸海岸の始まり5

そんな荒々しさを絶妙にマイルドにしてくれ、そして色鮮やかにまとめ上げてくれるのが手前の草原だ。黄色いのはハマナスの花かな?

夏の早い時期に行くとこんな光景を見ることができる。北国の海沿いの夏を感じさせるひとこまだ。

 

三陸海岸の始まり6

快晴で穏やかな日の海。申し分ないほどに綺麗だが、せっかく三陸海岸を見るなら風のある日、波の打ち付ける姿を見るのが粋かなって思ったりもする。

 

…って感じで、「明確にここのポイントから三陸海岸が始まる。地形が変わる。」って程にはわからない。

しかし、確かにここ近辺から岩礁地帯が始まるのは、周辺をドライブしつつこの展望台に登れば感じ取ることができるんじゃないかな。

 

駐車場のホロンバイル1

最後は後ろを振り返って駐車場を眺めよう。緑豊かでのどかな立地。

右端にオシャレな建物が見える。あれは「ホロンバイム」というカフェレストランだ。カレーやパスタもあるけど、観光客は店頭で気軽にソフトクリームを買っていくケースが多いように感じられる。

 

駐車場のホロンバイル2

今回の写真では取り上げていないけどさ、僕もすっと昔、初回にここに来たときは同行の仲間と共にここでソフトクリームを食べてひといきついたんだ。そんな思い出のお店。

ソフトクリーム片手に展望台から眺める三陸海岸は、なかなかにいい記念になるかと思うぜ。

 

 

日本の灯台50選、鮫角灯台へ

 

冒頭で書いたが、三陸海岸北端の地は"鮫角"と定義付けられている。この鮫角という名前を持つスポットは鮫角灯台であり、この灯台三陸最北端のポイントとなっているのではないかと考える。

つまり、「地形的な最北」は葦毛崎だけど、「名称的な最北」は鮫角灯台みたいな感じなのではなかろうか。

お互いの距離はとても近いので、一緒に訪れてみるといいかもしれない。

 

葦毛崎からの鮫角灯台2

どのくらい近いかというと、若干ズームはしているものの葦毛崎の展望台から見た鮫角灯台がこんな感じだ。

直線距離で200mちょっとしか離れていないところにある。とはいえ葦毛崎から行くには大きく迂回しなければいけないのでアプローチがやや厄介ではあるが。

名前こそ"葦毛崎”・"鮫角灯台”と関連性はないが、"葦毛崎灯台"という名称でも妥当な位置にあるのだ。

 

葦毛崎からの鮫角灯台2

道がわかりづらいくで面倒なので、僕もここには葦毛崎ほどには頻繁には訪れてはいないが、それでも数回は行ったことがある。

 

初めて行ったときは、北側にある蕪島から南下しつつ向かったんだったよな。

走っていると『鮫角灯台 1㎞』という看板が出てきて、「あぁたった1㎞だったら行ってみるか」ってなったのだ。

 

鮫角灯台1

その1㎞がまぁまぁハードコアでストロングスタイルだった。

いきなり分岐が出てきたの標識が標識がなかったりして出鼻をくじかれたけど、大体の予測で進路を決めた。

サラブレッドを育成している「タイヘイ牧場」の横を通過するんだけど、そこは未舗装だったりして。

 

鮫角灯台2

海の近くなのにその気配がゼロ。この先に灯台があるのかかなり不安になるようなロケーション。

それに対向車が来たらすれ違いも無理だ。もっとも、対向車はおろか灯台周辺で他の人を見かけたことすらないんだけどな。すごく静かな立地なのだよ。

 

鮫角灯台3

こうして辿り着いた、鮫角灯台の駐車場。そこそこ広くて自販機もある。

 

…ただ、一点注意だ。Webを見ると「駐車場がない」・「10分歩いた」・「5分歩いた」のようなコメントが散見される。

おかしいな、僕は毎回灯台の足元まで車で行っていたんだけどな。直近の日本6周目でも行けたんだけどな。

ルールが変わってしまっている可能背尾もあるし、曜日によって異なる可能性もある。なのであなたが行く際には少し時間に余裕を持っておくとよいな。

 

鮫角灯台4

灯台を見上げる。こうして写真で見ると大きいように感じるが、実際は22.73mで特段大きくはない。

灯台の足元からの眺めもすごくいい…って程ではない。葦毛崎展望台と比べてしまうと、どうしてもね…。

 

しかし驚くなかれ。この灯台はすごいのだ。

なぜなら「日本の灯台50選」に選ばれている貴重な灯台だから。これすごいんだぞ。周囲全部海で、かつ岬だらけで灯台だらけの日本において、そのTOP50に入る風光明媚でかつ価値のある灯台ということなんだから。

 

鮫角灯台5

どうやら「八戸港」を行き来する船の目印になっている灯台ということもあり、航海上の価値は非常に高いらしい。それは納得。

 

岬の知名度が高いわけでもないし、アプローチがややわかりづらいし、灯台自体が高くて大きいわけでもないし、人がたくさん来るわけでもないし、灯台の周囲に何もないけども。それでも50選なのだ。それが尊い

 

鮫角灯台6

実は、冬以外の週末は一般人も登れる灯台である。

常に公開されているわけではないので、日本に16基ある”参観灯台”には残念ながら含まれないが、準参観灯台と言っても良いだろう。

 

あなたも行く機会があったら登れる日を目指してみるといい。

僕は登ったことはないが、この灯台に登ればきっと葦毛崎を含めたリアス海岸を見下ろすことができ、三陸海岸の北端もしっかり判断できるかもしれない。

そんな報告を待っている。

 

 

エピローグ

 

最後に、自己満足のために書かせていただきたい項目がある。

あれは2022年初秋、日本6周目で2回目の葦毛崎展望台を訪問したときのことだ。

 

遥かなるシルバーフェリー1

展望台から左に鮫角灯台、そして右には八戸市街の沖合を臨む構図で写真撮影をしていた。
その際に「あっ!」って思った。写真の赤丸の部分だ。次の写真でズームしてみるね。

 

遥かなるシルバーフェリー2

八戸港と北海道の苫小牧港を結ぶシルバーフェリーの船である。

何を隠そう、僕は数時間前まであの船に揺られていた。そして八戸港に到着後、朝市でご飯を食べたり蕪島を観光しながらここ葦毛崎展望台に辿り着いたのである。

 

僕を乗せた船が遥か北海道へと帰っていく。僕の北海道を巡る旅がこうして終わる。

いいタイミングでお世話になったフェリーの後姿を見送ることができ、胸が熱くなった。

 

以上、日本7周目を走る旅人YAMAでした。

 

 

住所・スポット情報

葦毛崎

 

  • 住所: 青森県八戸市鮫町日蔭沢
  • 料金: 無料
  • 駐車場:あり
  • 時間: 特になし

 

 

 

鮫角灯台

 

  • 住所: 青森県八戸市鮫町小舟渡平
  • 料金: 無料
  • 駐車場:あり
  • 時間: 特になし

 

No.347【青森県】麺2玉分で400円!!吹雪の中、焼きそば専門店「後藤食堂」で満たされた!

この令和の時代においても、焼きそば並盛(麺2玉分)がわずか400円で食べられる焼きそば屋さんがあるという。

それを聞いて胸の奥が「キュン…♡」ってときめいた。

 

この国には数多くのラーメン専門店はあるが、焼きそば専門店はそこまで多くはない。家で食べる焼きそばもおいしいが、外で焼きそばを食べたいのだ。

安ければ尚のこと嬉しい。

 

「小」で充分に満腹

お店の名前は「後藤食堂」。

"食堂"って名前からしていろんな料理が出てきそうな気はするが、ストイックな焼きそば専門店だ。

 

僕は日本6周目においてこのお店を2回訪問する。

特に思い出深いのは、今からおよそ1年前の2023年2月の吹雪の中で目指したときのことだ。

では、2回分のエピソードをマージして執筆するので聞いてくださいまし。

 

 

吹雪の中をひたすら歩いて

 

青森市内はドカ雪だった。いや、地元の方々から見たら恒例なのかもしれないが、少なくとも僕にとってはこれまでの人生の中でなかなか見ないレベルの積雪だった。

 

雪中行軍1

僕はスーツケースを引きずりながら後藤食堂を目指して歩いていた。あぁ、車は訳あって近くにはない。少なくとも青森駅から後藤食堂までは歩くのだ。

 

雪は降り続ける。ここいらの人みんなそうなのだが、雪のときに傘はささない。フードを被る。傘をさすと片手が埋まるし、雪は縦横無尽に舞うので意味がない。

フードがあれば、あとでサラサラの雪をはたくだけで全く問題がないのだ。だから僕もフードを被ることを覚えた。

 

雪中行軍2

なんかさ、駅から遠ざかるにつれて歩道のコンディションが悪くなってきているんだけど…。

そりゃそうか、周囲を見てもだんだんと歩いている人が減ってきた。序盤の1.5kmほどはアーケードつきの商店街だったんだけど、今はもう足元には"白"しか見えない。

 

こんなところをスーツケース引きずるのはハードモードすぎる。

スーツケース自体が雪を全部抱き込んでくれている。重てぇ。なんだこれ。キャスター仕事しろ。

 

雪中行軍3

ゲラゲラゲラ。見てよコレ。歩道の中に細いスラローム出来てら。

どうやら雪降った次の日は最初に歩く人がフロンティアとなってこういう道を作るらしいね。車道を除雪した雪が歩道に積もっているポイントなどは、ご丁寧に雪の階段ができていたりもする。職人がいるのだな、雪の。クリエイター的な。

 

これだけ狭いと、こちとらスーツケースあるか対向から人が来たらマズいんだけど、歩いている人全然いないからいいや。

スーツケースの幅ギリギリなんだけど、かまわず左右をゴリゴリぶつけながら歩く。

 

雪中行軍4

ふぉう!なんて美しい除雪!これも歩道だよ。

だけどもこれは明らかに除雪機を使っているね。轍みたいな跡があるし。

歩きやすくて感謝。これぶっちゃけ後藤食堂に向かう道ではないんだけど、歩いてみたいから歩いた。

 

青森駅東側MAP

わかりやすいよう、ちょいと地図を書いてみた。

現在地のあたりで、もう歩道の除雪もあまりされていないゾーンとなった。無理矢理歩道をスーツケースを引きずって歩くより、車通りすら少ない車道を歩いたほうがいいかもしれないぞ…。

 

周囲に注意しながら車道の脇を歩くんだけど、ところどころ圧雪されていて足を滑らせそうになる。

車道で転んでもしタイミング悪くそこに車が来たら死ぬから注意だ。

タクシーが運良く来たら拾いたい気持ちにもなるが、タクシーも見かけないし。

 

雪中行軍5

終盤の難所、川に架かる橋だ。歩道がない!車道も雪で相当に狭くなってきている!

そしてこの橋、微妙に高低差があって中央に向けてゆるーく弧を描くように高くなっているタイプだ。ほんの数10cmの高低差の坂道なのだろうが、雪道ではそれがシンドい。

横を通る車も僕をチラチラ見て警戒しながら通り過ぎてくれる。気を使わせてゴメン。

 

ふひぃー、疲れた…。

橋の攻略後は後藤食堂まであとわずかなのだが、雪の降り方が激しくなってきた。

 

雪中行軍6

後藤食堂が見えた。2回目の訪問だから遠目でもわかる。写真の右端の建物だ。

しかしもう雪が深くて足はもつれるしスーツケースの制御が大変だし。左に見えているバス停付近まで来たときにちょうど路線バスが後ろから来て、「あれ?乗るの?乗らないの?」みたいな感じで僕のすぐ脇をゆーっくりと走っていて怖いし。

 

雪中行軍7

最後の200mにえらい時間をかけたが、ようやく後藤食堂の交差点正面まで来た。

ちゃんと暖簾が出ている。よかった、泣きそう。これで営業していなかったら僕、立ち直れないところだったよ。

 

 

もちもち絶品焼きそば

店内もなかなか渋いぞ

 

後藤食堂1

ようやく辿り着いた後藤食堂。感無量。

ひたすら降り続ける雪の中でも見える青い暖簾のなんとも心強いことか。

 

…というより、この1年半くらいで暖簾のデザインを変えたようだな。前回訪問した2021年夏はグレーの暖簾だった。青の方が雪の中で目立つので好き。

 

後藤食堂2

『後藤(太)やきそば』って書いてある。店名は"後藤食堂"だけども、焼きそば屋さんなのだ。

(太)ってどういう意味だろう?太麺ってことか??

 

ちなみにだが駐車場は店から同をを挟んだ斜めくらいのところにある。前回は車でここまで来たのだ。駐車場の位置はお店の外壁にイラスト入りで丁寧に書かれているよ。

 

後藤食堂3

これは初回訪問じの写真だが、入口から見た店内はこんな感じだ。カウンターが5席ほど、そしてその後ろに4人掛けのテーブルが3つほどの規模のお店だ。

 

まずはお店のおばあちゃんに「スーツケースで来たんですけど、入口付近とかに置かせてもらえますかー?」と聞く。

おばあちゃんは目を丸くした後、「大変だったわね。そこいら辺に好きに置いていいですよ。」と優しく答えてくれた。

 

後藤食堂4

店内一番奥のテーブル席からの光景がこれだ。

昼どきなので4人ほどの先客がいた。この天気でも普通にみんなここに来るのだ。大体半数くらいの人は持ち帰りにしていたよ。

 

では、メニューをご紹介しよう。

 

激安焼きそば1
  • 焼きそば 小 300円
  • 焼きそば 並 400円
  • 焼きそば 大 450円
  • 焼きそば 大々 500円
  • 卵焼きそば 小 350円
  • 卵焼きそば 並 450円
  • 卵焼きそば 大 550円
  • 卵焼きそば 大々 600円

 

以上だ。安い。

"大々"っていう表現、なかなかレアだな。そして大以降は卵代が50円から100円にUPしている。倍の量の卵を使ってくれるのかな?

 

ところで、「これだけ安いのだから大にしようか…」みたいな考えはかなりデンジャーなのでご注意いただきたい。

 

激安焼きそば2

"並"でも麺の量が2玉なのだ。当然食品ロスを出さないようにオーダーしないといけないのだ。

僕は"小"以外のサイズを頼んだことがなく、他のお客さんのをチラ見した程度であるが、並は「めっちゃ食うぞー!」みたいなテンションだったり普段から大盛に慣れている人が頼んだ方がいい。普通の1人前は"小"だと思っておいた方がいい。

"大々"は…。アレはもう山だよ。4玉あるらしい。

 

僕は2回とも卵焼きそばの"小"だ。

卵っていう単語に弱くてね。しかも50円だ。つけない手はないであろう。

 

 

卵焼きそば小サイズ

 

激安焼きそば3

厨房の中でおばあちゃんが大きな中華鍋で丁寧に焼きそばを作る。先客の方の分を作り中なので10分待機した。

 

あ、ところであなたがここに行く際の注意なのだが、くれぐれも時間に余裕をもって訪問してほしい。多分これは雪の日で相当に空いていた。

初回訪問時は夏の週末の昼間という繁忙時間帯だったが、たぶんラッキーで空いていた。

タイミングを誤ると40分待ちなどザラであり、ひっきりなしに持ち帰りオーダーの電話が鳴り続けている状況だというのだ。

このお店はそういうレベルの大人気店なのだ。

 

…ってことで出てきたのがこの焼きそばである。

 

激安焼きそば4

初回訪問時の焼きそばの写真も貼っておくね。同じメニューだからわざわざ掲載する必要もないんだけど、あなたの食欲を煽りたくってさぁ。

 

"卵"とは、薄焼き玉子を指す。表面にテローンとタオルケットのように優しく掛けてくれるのだ。ユニークだ。うまそうだ。

 

激安焼きそば5

ふぁはっ!うっま!!

やや太めの麺に、ちょっとだけ濃いめの味付け。写真だと少しギトついているように見えるかもしれないがそんなことなく、サクサク食べ進めることができるアッサリ食感だ。

具は豚肉とキャベツだけかな?麺にほんの少し青海苔をまぶしているようにも感じられる。

 

基本シンプルなのにすごくおいしく感じられるのは、ソースや麺にこだわりがあるから?それともここまでの苦労で感極まっているから??

 

激安焼きそば6

卓上にはいくつかの調味料がある。

一番大きいのはソースかな?そういえばお店のおばあちゃんは、お持ち帰りのお客さんにもソースが必要か聞き、追加で必要な人には小さな使い捨てボトル入りのソースを入れていた。

僕は追加ソースは不要だな。これだけで充分味がある。ほしいのは紅ショウガだ。アイツはいいアクセントになるぞ。

 

激安焼きそば7

色も味もいいアクセントとなった。うますぎ。

こんな安くてうまいお店が近くにあったら、そりゃ通うよな。地元の人が続々と来る理由がとてもよくわかるぜ。

 

激安焼きそば8

※ 執筆しててまた食べたくなった。メチャ行きたい。

 

 

雪を乗り越え、市街地へ

 

食べ終わった僕は考える。これからの帰り道はどうしようかと。

まぁ行きと比べると道や雪の状態も把握できているしエネルギーもチャージできたので少し難易度は下がるかもしれない。

でもぶっちゃけ言うと、もう嫌なんだ。雪道でスーツケースと一緒にヨタヨタしたくはないんだ。駅まで2.5kmもあるしな…。

 

青森市街地へ1

おばあちゃんに「ごちそうさま。おいしかったです。」と言いながらお皿を下げ、ついでに「もう帰りは歩くのが嫌なんでとりあえず青森駅までタクシーで行こうと思うんだけど、一番近くのタクシー営業所はどこですかねぇ…?」って聞いてみる。

 

おばあちゃんは「だったら私が電話してあげるわ」と提案してくれた。おばあちゃんマジ優しい。

結果、10分ほどでお店の前までタクシーが来てくれるようだ。

昼のピークを過ぎたためか、もう店内にはお客さんはいない。このままここで待たせていただくこととした。

 

夏の思い出1

待っている間、おばあちゃんと語らった。

1年半前の夏に初めてここにきて衝撃を受け、また是非来たいと思っていたのでこの雪の中でも頑張ってきたということを話した。

おばあちゃんはその話を嬉しそうに聞いてくれた。

 

夏の思い出2

このお店は1964年創業で、実に60年近く営業をしている。

もともとの発祥は戦争直後で、さっき僕がツルツル滑った橋のあたりに模擬店がたくさん出ていたんだって。そこでソース焼きそばの屋台もいくつかあったことから、今でも青森市内にはポツポツと焼きそば専門店があるのだそうだ。

なるほど、青森市DNSには焼きそばが染み付いているのだね。

 

夏の思い出3

そしてその焼きそばの値段は25年ほど変わらないという。すごい…。

今は息子さんがお店を回していることもしばしばあるみたい。僕は前回・今回共におばちゃんに会ってお話でき、おばあちゃんの焼きそばを食べられて良かったよ。

 

さぁ、ドアの外にタクシーが到着したようだ。出発の時間だ。

しっかりと上着を着てマフラーを巻き、スーツケースを掴むとおばあちゃんにお礼を言って引き戸を開ける。

 

青森市街地へ2

外はもちろん雪景色である。それでも暖かく感じたのは、お店の室温が快適だったからだけではないハズだ。

では、またいつか、後藤食堂。

 

*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-

 

エピローグを少々。

タクシーのおじさんに、行きは延々歩いたことを話したらえらい驚かれた。「夏ならともかく、この雪の中をスーツケースを持って…!?」って言ってた。

後藤食堂のおばあちゃんも同じ反応していたな。

 

青森市街地へ3

駅前、すっげぇ雪。笑えてくる。

都市(人口10万人を指す)の中では正解一の豪雪と言われる青森市。ハンパねぇ!

 

青森市街地へ4

寒い時期は温暖な沖縄とかに逃げたくなるのが性分だけど、こうやって厳しい面も含めた四季の姿を見ておくのも大事だよね。いやしかしすっごい雪。

 

ジターヌ1

とりあえず駅前のコーヒー飲めそうなお店に飛び込んだ。

「Cafe des Gitanes」っていうらしい。読めない。「ジターヌ」って表記しよう。

 

茶店ではなく、店内でも飲めるコーヒー店と言った方がいいだろう。好みを聞かれたので「とびきり苦いヤツで」と言った。

渋いおじさまが丁寧にドリップしてくれた。

 

店員の方お二人に後藤食堂往復のくだりを話し、またまた驚かれた。

 

ジターヌ2

うまいな。キリッとしたクセの無い苦みが気分を高揚させてくれる。

気に入ったのでドリップパックを数個買い、そして雪の町に再び出た。

 

以上、日本7周目を走る旅人YAMAでした。

 

 

住所・スポット情報

 

  • 名称: 後藤食堂
  • 住所: 青森県青森市茶屋町18-1
  • 料金: 卵焼きそば(小)¥350他
  • 駐車場: あり
  • 時間: 10:00~18:00(月火定休)

 

No.346【青森県】県内で一番早く日が昇る!そこは青森県最東南端、小舟戸海岸の階上灯台!

「〇〇で一番早い日の出が見られる地」っていうステータスが存在する。

なんだかワクワクするフレーズだよね。輝かしい1日が一番最初に始まるのだから。

それは反対に言うと「〇〇で一番早く夜が来る地」なんだけど、やっぱ"夜"よりか"日の出"の方が、より多くの人の心を射止めるのではないかと思う。

 

さて、青森県で一番早い日の出が見られる地っていうのはどこなのだろう?

結論から言うと、青森県の「小舟戸(こみなと)海岸」というスポットである。

※"みなと"って読むのだ。初見では絶対無理。

 

ちなみにこの場所、「階上灯台」って言った方がピンと来る人もいるかと思うので併記しておこう。

 

 

現地にはこんな石碑がある。ちょっとそそられるでしょ?

じゃあ行ってみようか、階上町へ!…ってわけで、僕がここを訪れたエピソードを3回分、ダイジェストでお届けする。

 

 

朝日を見に行こうぜ

 

僕が一番最初にこの小舟戸海岸を目指したのは2011年、つまりはあの東日本大震災が発生した夏のことだった。

宮城・岩手・福島などと比べるとまだ被害は少なめだが、それでもところどころに津波の跡が見られる光景に胸を痛めつつドライブしていたときのひとこまである。

 

 

場所はここ。岩手県との県境がすぐ南側にあるのがわかるよね。

ピンを立てた階上灯台のところがちょっと海に突き出ているけど、岬ではないらしいんだ。小舟戸海岸という名前がついているんだ。

 

県境から階上町へ

東北地方を縦断する国道45号を北上してきた場合、青森県に入ったらすぐに海に向かって右折する。

そのままストレートに走った先が小舟戸海岸。

ただ、少なくとも当時は小舟戸海岸や階上灯台を示す標識とかは無い。それでも大体真っすぐ行けば大丈夫だ。

 

海沿いの遊歩道1

朝の5時台。夏とはいえ早朝は冷える。そんな中での到達。

 

これは途中で振り返って歩んできた道を撮影したもの。

車を停めたのは、遊歩道の延長にある小さな小屋のあたり。そこから数分歩くと広大な芝生の丘があり、その上に階上灯台が立っている。

 

海沿いの遊歩道2

地震 津波がくるぞ 高い所へすぐ避難』

…という看板があった。ここは海岸からそこそこ近いような気がする。東日本大震災のとき、ここはどうだったのだろうか。

この高さであれば波を被りそうなのだが、パッ見たところ被害を受けたような痕跡が無い。無事だったのかな。だったらいいな。

 

遊歩道を歩いた先、階段を数10段登ったところに灯台を発見。

その周囲は海を見下ろす広い芝生地帯になっていた。

 

階上灯台1

青森県で一番早い日の出が見られる地だというから、ここで朝日を見られたらうれしいなって思ったんだけど、ご覧なさい太陽どこですか?

むしろ「海もどこですか?」ってくらいに周囲がホワイトアウトしている。

 

とりあえず、先に石碑を拝もう。上の写真にも石碑は写っている。灯台の右手だ。

 

最東南端の碑1

青森県最東南端の地』の碑。

こういう斜めの端っこってなかなか数も少なくて珍しいよね。さらに青森県の最東南端なんて、日本地図レベルで見れば別に出っ張っているわけではないから、失礼ながら地味めな存在だと思うんだ。

 

そこにこんな碑があるから心に刺さる。碑があって当然のロケーションにあるのではなく、「おぉ!こんなところにあるのか!」ってなるのが良いのだ。

 

最東南端の碑2

ここに来れてよかった。

実は僕がここの存在を知ったのは5年くらい前なのだ。とにかくいろいろなスポット情報を調べるのが趣味な僕は、その過程でここを知った。

 

しかしそのときは1都道府県の斜めの端っこには特に興味はなくってね。「でもそういうのも面白いかもな」って思ったのはつい最近だった。

 

階上灯台2

うーん、いまだに空は霧で覆われている。

 

それでも、たぶん今日は曇りではなくて晴れなんだ。まだ早朝だから朝霧でモヤっているけど、もうちょっと経てば放射冷却で晴れ渡ると思うんだ。

だから10分ほど空を見上げていたけど、晴れるまではまだ数10分はかかると判断した。

 

もう今回はこんな感じの天気でいいや。これで満足しよう。

また近いうちにここに来ればいいや。

 

予想通り晴れた

 

 

2ヶ月後の再訪

 

…その2ヶ月後のことだ。僕はまたも小舟戸海岸を再訪することとなる。

被災した岩手県の海岸線を確認しつつ、青森県に足を踏み入れるところまでを走行する目的であった。

 

快晴のアプローチ1

時刻はやや太陽が西に傾いてきた時間だ。朝日とは程遠いが、別に朝日とかはもういい。むしろ前回は霧だったので、晴れ渡った小舟戸海岸と階上灯台を眺めたいっていうのが第一目標だ。

 

快晴のアプローチ2

これは国道45号を反れて真っすぐに海に向かっているときの絵だ。

快晴だと爽快感が違う。少し開けた窓から吹き込む風も爽やかだった。春や秋の東北は、ドライブしているときの風が最高に気持ちいいよね。

 

快晴のアプローチ3

突き当りにあるちょいと貧相で駐車場と呼んでいいものかどうか迷うような駐車スペースに愛車を停める。

…これさ、正しい駐車スペースってここでいいの?誰か小舟戸海岸に詳しい人がいたら教えてほしいぜ。

 

海沿いの遊歩道3

2ヶ月前の自分の姿と重ねるように、灯台を目指して歩く。前回は振り返って撮影したけど、こうやって青空と灯台を入れて撮影した方が遥かに絵になるよな。お気に入りの1枚だ。

 

海沿いの遊歩道4

こんなにも水平線がくっきり見えて。空も海も青くて。

でも、もうしばらくは太平洋を見て胸が苦しくなるような日々が続くのだろう。

僕自身が東日本大震災で被災したわけでもなく被災地に所縁があるわけでもないのにこんな気持ちになるのだから、なんらか関係性のある方々の苦しみは筆舌に尽くし難いのであろうな…。

 

海沿いの遊歩道5

遠く、海を臨む少し突き出た芝生の高台に、石碑2つとブイがあった。思いっきりカメラをズームしてこれを撮影。

 

ごめん、実は2024年の執筆現在もこの碑がなんであるかは僕は知らないんだ。Webでも調べたけども、出てこなかった。

なんで2011年当時に近くまで行かなかったかというと、ここまで岩手県の被災地をずっと見て来たので少し心が重い状態だった。横にブイがあることからも「大津浪記念碑かな?」って思ったけど、そうであるとまた少し心が重くなる。

だから遠望だけですませてしまったのだ。

 

階上灯台3

さて、話を明るい方向にシフトしていこう。丘の上の灯台だ。芝生がまぶしい。

灯台を取り巻く背の低い柵がオシャレだ。

 

最東南端の碑3

西日を受ける最島南端の石碑。

こういう端っこだとか真ん中だとか交点だとかを示す石碑やオブジェが大好きでね。もしこの碑がここになかったら、僕は2024年現在に至るまでもここに来ることはなかったかもしれない。

場所を示すことって、大事なのだ。示したこと自体が魅力となり、マニアがそこに訪れるきっかけにもなるから。

 

最東南端の碑4

ちなみにこの石碑、意外と小さい。チャーミング。

 

 

寒風にさらされながら

 

ここで一気に時系列を飛ばし、直近の日本6周目にて訪問したときの写真を最後にご紹介したい。

真冬のすんごい寒い中で、僕はここに訪れている。

 

寒風の小舟戸海岸1

"東北"というフレーズが出ただけで「雪がすごいんでしょ?」という方が多いが、雪がすごいのは日本海側とか山間部だ。

太平洋側は積もるときはそこそこ積もることもあるが、基本的には積もらない。山脈が西からの雲を堰き止めるから、太平洋側は基本冬場は晴れるのだ。そして仮に降ったとしても、海沿いの町は風が強いから少々の雪は全部吹っ飛んでいく。

 

なので上の写真もあまり寒そうではないかもしれないが、実際は指がちぎれ飛びそうなほどに寒い!さすが真冬の青森!ちょっとナメてた!夕方だしなおさら寒い。

しかも風通し抜群の丘の上なので、分厚いコートのフードもしっかり被って震えながら灯台を目指した。

 

寒風の小舟戸海岸2

灯台の右手に建てられている看板には『三陸復興国立公園 階上海岸 小舟戸園地』と書かれている。震災後に新設されたものだ。

東北の太平洋沿岸の多くの景勝地三陸復興国立公園として、未来に向かって歩んでいる。

 

寒風の小舟戸海岸3

あまりに寒くて、この石碑を撮影して早々に引き返した。これで満足だ。

 

…ただ、もしかしたらまたいつの日か再訪し、日の出チャレンジするかもしれない。

灯台から少し南側に歩いた川の中には、岩手県との県境を示す『境』と書かれた石があるそうで、それは見たことないし面白そうなので見に行くかもしれない。

 

おそらく地元の方以外にはかなり知名度の低いこの青森県最東南端。

あなたも国道45号をスルーするのではなく、ちょこっと立ち寄ってみるとよいです。

 

以上、日本7周目を走る旅人YAMAでした。

 

 

住所・スポット情報

 

  • 名称: 小舟戸海岸
  • 住所: 青森県三戸郡階上町道仏廿一
  • 料金: 無料
  • 駐車場: あり
  • 時間: 特になし

 

No.345【愛媛県】海を見ながらのレトロ自販機うどんがうまい!いざ漁港施設の自販機へ!

全国津々浦々のレトロ自販機を巡ってきたが、きっと海から一番近いレトロ自販機がここだと思う。

漁港にて、漂ってくる磯の香と共に食べたレトロ自販機のうどんは、そりゃあもう旅情をくすぐるものだったよ。

 

 

ここに至るまでは(主に自販機さんの境遇に)なんやかんやがあったのだが、今回はそれを僕の旅のエピソードに絡めて少しお話しできればと思うのだ。

そんなわけで今回の舞台は穏やかな瀬戸内海を望む「大久保自販機_三島販売所」なのである。

 

 

【日本5周目】そびえる工場群の隙間で

大王製紙の中でうろたえる

 

数年前の真冬のことだ。

僕は少しでも温暖なエリアをドライブしたいと思い、瀬戸内海沿いを走っていた。そして、そのついでに四国内にあるレトロ自販機を全部巡ってやろうと考えていた。

 

工場群1

レトロ自販機を目指しているとは思えない、すんごい光景が眼前に広がっていた。

 

ここは「大王製紙」という紙を作っている工場だ。エリエールが有名だね。あなたの家にもあるよね?無いなら、2024年ももうすぐ花粉が飛ぶ季節だから買っておくとよいよ。僕もファンだ。

もう地図を見ると道沿いしばらく大王製紙関連。右も左も大王製紙。盛り上がってる。

 

工場群2

とりわけ「大王ですねー」みたいな存在感の煙突を見上げてみた。

雲1つ無い晴天の青空に立ち上る煙突からの煙がまぶしい。ゆらゆら揺れながら空に溶け込むその煙は、見ていて飽きないな。

 

工場群3

…いや、違うんだ。煙突を見たくて停車したわけではないんだ。

このすぐ近くにレトロ自販機があるそうなのだが、そういう雰囲気じゃないよね…って不安になって停車したのだ。

 

調べたところこの道から少し反れたところにあるそうなのだが、少しでも反れたら大王製紙の敷地じゃないの?

もし警備員に「何しに来たの!?」とか詰め寄られたら気弱な僕、「エリエール買いに来ました」ってウソついちゃうかもよ。「レトロ自販機があると聞いて…」って正直に言って頭のおかしいヤツだと思われたくはないから。

 

レトロ自販機と対面1

着いた。まぁここに来るまではいろいろ大変でしたよ。

工場関係者しか通らないような道に入っちゃって僕以外はトラックと関係者の車のみで完全に浮いちゃったり、激狭の住宅地に入ってUターンすらできない危険性を感じたり。

一瞬あきらめようかとも思ったけど到達できてよかった。

 

 

場所はここだ。僕の写真では海が写っていなくってロケーションがわかりづらいので、GppgleMAPから引用させていただく。

もう背後は全部海よ。海以外は周囲全部工場よ。相当目立たないので知らなければ見過ごす立地。というより、工場関係者じゃなければこのエリアにすら絶対に入らないであろう立地。

 

 

よかったらストリートビューで視点をグリグリ動かしてほしい。

さっきの(勝手に名付けた)大王煙突も見えているから。

そんな埋め立て地の埠頭、巨大な倉庫にピッタリと背中を寄せて自販機が立ち並んでいたのだ。

 

 

埠頭で食べたうどんはうまかった

 

駐車場という名の駐車場は特にないけど、工場地帯の埠頭の一部なので適当な場所に駐車可能のようだ。愛車を停めた。

では、改めて自販機群を見ていただきたい。

 

レトロ自販機と対面2

ほとんどが飲料自販機。それが若干ヨレヨレした青いトタン屋根の下に並んでいる。

おそらくは付近の工場で働く人たちのために設置されているのだろう。だが一応公道だから一般人も利用可能だ。

 

自販機群のほぼ一番右、そこに目指すレトロ自販機がいる。あぁ、キミに会いたかったよ。

 

レトロ自販機と対面3

富士電機製のレトロ麺類自販機。

メニューは天ぷらうどん一択のみ。そして価格は250円。安い。

硬貨を投入し、ボタンを押す。わずか20秒で出来立てアツアツのうどんが登場するのだ。レトロなのに現代でもあんまり見ないこのギミックに僕は虜になり、こうして日本中を走りまわっている。

 

レトロ自販機と対面4

おいおいおいおい、正気かこの自販機。

天ぷらとお揚げが一緒に入っているぜ。こんなの他のレトロ自販機で見たことはちょっとないぜ。タヌキとキツネが同棲してる。盆と暮れが同時に来たようなお祭り騒ぎだ。

今しがた『メニューは天ぷらうどん一択のみ』とか書いたけど、実質2つ分のフィードバックだ。歓喜

 

レトロ自販機と対面5

ここは、レトロ自販機販売スポットとしては珍しく飲食スペースが設けられていない。

大体こういうスポットってテーブルやイスがあったりするんだけどね。工場の人を対象とした自販機とかで、みんな工場内かトラックの中とかで食べる想定なのかな??

では僕も車の中でいただくか。

 

レトロ自販機と対面6

食べてみると、自販機麺とは思えないほどにしっかりコシがある。

ダシはさっぱり系。ごくごく飲んでも罪悪感のないタイプだ。おいしい。この寒い時期に車の中で食べているから、一層おいしい。

 

車の中で、隣の埠頭でモクモクする大王煙突の煙を眺めながら、僕は真冬にあたたかいうどんをすすった。こういう旅路、いい…。
(「ティッシュがエリエールじゃないじゃないか!」みたいな目ざといツッコミは禁止ですよー…)

 

 

【日本6周目】第2の人生は海の近くで

2021年の撤去危機を乗り越えて

 

今でこそ笑って話せるかもしれないけどな、このあとこの大久保自販機_三島販売所には大ピンチが訪れたのだ。

 

それは2021年4月のことだった。

詳細は大人の事情なのかWeb検索してもわからなかったが、設置場所の都合上撤去せざるを得なくなったという事件だ。

1965年から56年間も、ここでずーっと自販機麺を提供してきたというのに。(←途中で自販機は変わったりしているけども)

 

終盤、自販機には以下のような貼り紙がしてあったという。

 

この度、四月をもって撤去する事に成りました。永らくの御愛食ありがとう御座いました。

設置場所を検討しております。御希望の方はご連絡下さい! 

大久保

 

おぉぉぉ…!まだ自販機は生きようとしている!まだまだ自販機は、これからも色んな人にうどんを提供しようとしている。

僕も当時、SNSで最後の様子をハラハラしながら眺めていた。

そして2021年4月末、自販機は撤去された…。

 

…がッ!!

次の設置場所が決まったようだ。朗報!!嬉しさで号泣ですわ。エリエールで拭いた。

そこは「三島漁港」。これまでの設置場所から500mほどの距離だろうか?

撤去からおよそ1ヶ月後には、早くもそこで営業再開となったようだ。

 

めでたい。僕も見に行きたいが当時はコロナだ大流行。

少し待機し、翌年である2022年に腰を上げた。

 

 

漂ってくる磯の香と共に

 

季節は違えど、あのときのように雲1つない快晴なのである。

 

再び工場群1

あぁ、懐かしき大王煙突よ。大王製紙は今日も休むことなく稼働しており、周辺は相変わらずトラックなどが多い。活気づいている。

 

再び工場群2

三島漁港の場所は、西向きに走っていると工場群を通り過ぎた直後。

国道11号沿いにあるようにも見えるが、実は一本裏道に入る必要があり、スイスイ流れるこの国道においてその脇道に入っていくには少しタイミングが必要かもしれない。

 

三島漁港にて1

これが三島漁港の建物だ。堅牢な感じだ。

さて、あの埠頭の倉庫群からやってきたレトロ自販機はどこだろう…。あなたは気付いたかな?

 

三島漁港にて2

丸囲みしたところにあるのが例の自販機だ。

「一般人があそこまで行って自販機でうどん買っていいのかな…?」ってちょっと躊躇した。日陰にあることが、より一層に行きづらさを感じさせた。

だけどももう先人たちはあそこのうどんを食っている。だからいいのだ。

僕も勇気を出して、漁港のうどんを食おう。そのためにここまで来たんだもん。

 

三島漁港にて3

自販機のすぐ左はリアルに漁港内の作業スペースで、このときも数名の人が黙々と働いていた。

この建物に沿って設置されている自販機群も、ほぼ従業員の方専用みたいなスタンスなのであろうな。お邪魔にならないようにササッと撮影しつつ購入しよう。

 

三島漁港にて4

よぉ、お久しぶり。第2の人生はどうだい?エンジョイしているかい?

 

うどんの取り出し口のプラスチックカバーは取れてどこかに行ってしまったようだ。

自販機時代の右下の部分も、たぶんダシがこぼれてしまったりした影響からかずいぶんと錆びてきている。…ずっと頑張ってきているんだもんな、それもしょうがない。

 

三島漁港にて5

ボタンは手書きの『うどん』になっていた。"天ぷら"とはもう書かれていない。天ぷらではなくなってしまったのかな??

しかしお値段はかつてと変わらず250円だ。

 

硬貨を入れて出てきたうどん。どこで食べようか。イートインスペースはなく、そして自販機の前で食べたら漁港の人の邪魔になってしまうかもしれない。

 

三島漁港にて6

だから三島漁港の建物の正面、海を眺めるこの駐車場で食べようと思うのだ。

車内で食べてもいいけど、せっかくのポカポカの気候だからな、もう立ったまま食べちゃおうぜ。

 

三島漁港にて7

お揚げと天かす。以前はタヌキとキツネが同棲していたけど、タヌキ瀕死ですな。

でもうまい。麺はもちもち。ダシはさっぱり。

 

…だけどもな。正直味なんて二の次だ。

大事なのは、この自販機と再会できたということ。こんな素敵なロケーションでレトロ自販機のうどんを食べられているということ。

ザザッ、ザザーッと打ち寄せる波の音が心地よい。どこからかカモメの鳴き声もする。

 

三島漁港にて8

つまり…。また冒頭と同じ文を書いてしまうことになりますが。

 

漂ってくる磯の香と共に食べたレトロ自販機のうどんは、そりゃあもう旅情をくすぐるものだったよ。

 

以上、日本7周目を走る旅人YAMAでした。

 

 

住所・スポット情報

 

  • 名称: 大久保自販機_三島販売所
  • 住所: 愛媛県四国中央市三島中央1-11-17
  • 料金: うどん¥250
  • 駐車場: あり
  • 時間: 24時間

 

No.344【青森県】24時間食堂「エンデバー」!テーブルはレトロゲーム内蔵でお年寄り集う!

雪深い青森の町で、24時間営業するパワフルなレストランがある。

そのお店の名前は「エンデバー」。

 

店内はちょっとレトロで、昭和時代にスペースインベーダーとかができて大ブームとなったテーブル型のゲーム機がいまだに多数現役で、地元のおじいちゃんやおばあちゃんがずーっとそこでゲームに興じているんだよ。シニアの楽園だね。

 

ゲーム集中エリア

ただ、当然シニアじゃなくっても気軽に入れるし、いろんなフードメニューがあってボリュームもそれなりで、かつ24時間なのだから覚えておくと確実に人生お得になれるお店なのである。あなたも今のうちにブックマークしとけよ。

 

だからもちろん僕も気になってちょいちょい行っちゃいますわ、エンデバー

今宵はそんなお店をご紹介したい。

 

 

豪雪でも決して消えない光

 

1月末から2月の上旬って、一番雪が降りやすい気候ではなかろうか?少なくとも青森市においては。

 

銀世界での出会い1

あたり一面真っ白で、ゆっくりゆっくり車が走る。

ちなみに歩く場合についてだが、首都圏のように雪はベチャベチャしておらず滑りにくい。まぁ滑ることもあるけど雪がフカフカだから別に痛くもない。

 

エンデバーがあるのは、ちょっとオトナなお店の立ち並ぶエリアだ。

向かっているときに何名ものお兄さんに勧誘の声掛けをされた。全部断ったけど、寒い中お疲れ様ですって思った。

こういう界隈だから、エンデバーも24時間営業なのかもしれないね。

 

銀世界での出会い2

あ、エンデバーを発見。その看板は少し雪に埋没してしまっている。『エンデバー』と書かれたのトゲトゲしい字体に、このお店のやる気を感じる。

看板には『軽食喫茶』とも書かれているが、めちゃガッツリメニューもあるからな、ハラペコの諸兄よ、早まってページを閉じることなかれ。

 

どうやらこのお店の看板のすぐ後ろが入口のドアのようだが、そこに至るまでの歩道が雪でモッフモフだよ。スブスブと靴を埋没させながら歩くべきか…。

…と思ったんだけど、反対側にもお店の入口がありそうなのでそちらを目指す。

 

銀世界での出会い3

はい、青信号のすぐ後ろで輝いているのがお店のメインゲートだ。

雪に埋もれていたのは向かって右奥の部分。こっちも普通に使えることは使えるけど、券売機が遠くってうろたえると思うので、初回は正面を使うのをおススメする。

 

この店の光は、24時間消えない光だ。豪雪だろうと吹雪だろうと、灯台のように僕らの進路を照らしてくれるのであろう。

 

銀世界での出会い4

窓やドアからは内部が一切見えない。この界隈の雰囲気も相まって「大丈夫なお店かな?普通にご飯食べに入っていいのかな?」って思うかもしれないけど、大丈夫だ。エンデバーはあなたの食欲に正面から答えてくれるから。

 

銀世界での出会い5

ただしエンデバーはマスク着用に若干厳しい。

上の写真は1年前、つまりまだコロナウイルスが5類に移行する前のものなのでしょうがない。5類移行後もマスク着用をやんわりお願いする旨の貼り紙がしてあったから、これから行くあなたも一応ポケットにマスクを忍ばせておこう。

 

では、全く想像の付かないこのドアの向こう側の世界に行こうか。

 

 

トイレ以外はいたって落ち着く空間

 

正面から入ると、まずはそのすぐ左手に券売機があるので食券を買おう。このお店は食券制なのだ。

 

券売機1

見切れてしまっているが、一番左が僕の入ってきたドアだ。マスク着用をうながす貼り紙があったドアの裏側だ。

 

券売機2

これが魅惑のメニューだ。目が泳ぐね。全部食べたい。

そしてどれも良心的な価格。モーニングもある。朝限定でこれを食べることができるのだろう。それも気になる。

あと、アルコール類はない。健全なのだ。

 

食券を購入したらカウンターに持っていこう。お店の中央にカウンターがあり、大体スタッフの方がそこにいるからすぐに気づくはずだ。

 

券売機3

バッチリとカウンターが写った写真は手元にはないが、上の写真の左奥がカウンターだ。

ここに座れる勇気があるのは常連さんだけだろう、きっと。

店内はおそらく70席分くらいあるが、僕の訪問時のお客さんは大体3~7名程度だ。だから1人であっても悠々と4人掛けテーブルに座れるのだ。

カウンターはスタッフの方とおしゃべりする目的がないと座りにくい。常連さん以外が座っているのを見たことがない。

 

店内風景1

食券をスタッフの方に渡したら、好きな座席を選ぼう。

 

店内は広々としていて、そして落ち着いた空間。お客さん同士の距離感も適度な感じに取られていて、そして各所の観葉植物がオシャレで、ついつい長居してしまいそうな世界である。

あ、ちなみにだが喫煙はOKなのでそこだけ苦手な方は注意ね。

 

店内風景2

あぁ、いい眺め。僕はちょっと奥まったスペースであり、内窓越しにカウンターが見えるこの席が好きだよ。最多回数座った。

 

店内風景3

8人ほどが座れる巨大なボックスシートもある。

ただ、印象としては1人できている人が大多数だった。後述するゲーム機で遊ぶおじいいちゃんおばあちゃん、あるいはご飯を食べにくる老若男女様々な年代の人たち。その中には近所で働いていると思われる夜のお仕事関係のお兄さんもいたな。

 

そんな方々を相手に24時間、このお店は家族経営で回していると思う。たぶんだけどもホール1人、厨房1人とかそんな感じだ。すごい。

 

こういう落ち着く純喫茶風のテイストのお店だけなのだが、トイレだけは異次元だから気をつけろよ。

 

トイレ1

 

赤い!! 広い!!

 

 

どうしてトイレだけデザインが突き付けてしまったのか、すごく謎だ。入った瞬間に圧倒されること間違いなしである。

 

トイレ2

個人的に厄介だったのが上の写真だ。

ドアが2つある…のではない。鏡に映り込んでいるのだ。ドアは1つだ。しかし鏡がピッカピカに磨き上げられているので、あたかもそこに世界があるように感じる。

だからね、まずはトイレに入った瞬間に鏡に映る自分にビビり、そして出るときにもう一度ビビる。

背景が赤でいきなり人影がトイレの中に写り込むんだから、そりゃ心臓も止まりますわ。

 

トイレ以外は落ち着くけど、トイレは落ち着かないお店。

「ご飯の紹介の前にトイレの紹介かよ!」って思われるかもしれないが、最後は平和に物語を締めくくりたいからこのタイミングで書いたのさ。

 

 

どれもボリューミーで満腹・満足

 

では、満を持してエンデバーのメニューの一部をご紹介していこう。

 

焼うどん1

まずはこれが僕のスペシャル・チェアだ。

初回入店時は「1人席がいいのかな…」と思ってキョロキョロし、壁に向けて設置してある昭和時代のゲームテーブルを見つけたのでそこに着陸した。

写真をよく見てほしい。テーブルの中でお姉さんが「いらっしゃいませ」的な顔をしてくれている。これで注文もできたら一気にモバイルオーダー確率で令和時代に追いつく。

 

焼うどん2

すぐに冷たい麦茶が出てきて、そしてオーダーした焼うどんも出てきた。

吹雪にもかかわらず冷たい麦茶なのだが、店内温かいので全然気にならない。むしろシャキッとする。

でもテーブルの液晶画面の切り替わりが若干チカチカする。

 

焼うどん3

極太麺の焼うどんの上でカツオ節が踊っている。味はややあっさりめで、ノンストレスでスイスイ食べ進めることができる一品だ。

あぁ、雪の夜に焼うどん。なんて心安らぐチョイスをしたのだろう、僕。自分で自分を褒めたい。

 

ホットコーヒー

ホットコーヒー。なになになに?なんか目線を感じるんですけど!

恐ろしいなゲーム機テーブル。昭和のみなさんは落ち着いてご飯食えていたのか、こんなもので。

 

親子丼1

普通のテーブルとゲーム機テーブルのハイブリッドみたいな座席もある。

真ん中に座るとご覧の通りガタついて具合が悪いので、どっちかに寄るような感じで座ろうね。

 

親子丼2

親子丼。隣のお味噌汁と比べてわかる通り、丼はかなりのジャンボサイズだ。

スプーン付き。「ガッツキたければ遠慮なく飛び込みなさい」というお店からのメッセージを感じる。まぁ僕は育ちがいいからお箸使いますけど。

 

親子丼3

程よい固さの玉子。大ぶりだけどもちゃんと火が通って甘味があふれるタマネギ。鶏肉も噛み応えがあって旨味あふれる。

「もうちょっとお茶が欲しいな」って思うといいタイミングでスタッフの方が麦茶を入れてくれる。最高だ。

 

モーニング1

500円のモーニングが気になったので朝も来てみた。巨大なプレートでモーニングが登場した。これでコーヒー付きで500円。

 

モーニング2

見えにくいけどもサラダはなかなかの量で、キャベツの山の向こう側には厚切りトマトも2つある。トーストは4枚切り程度の厚みがあり、2段に重ねられている。

なかなかのコスパではないか。

 

モーニング3

醤油さしがセットで出てきた。目玉焼きにかけろということだね。普段は塩コショウ派の僕だけど、醤油もいいよね。

目玉焼きに、慎重にちょこっと醤油をかける朝のひとときが尊い

ナポリタン1

ナポリタンいくぞ!

店の看板には『軽食喫茶』と書いてあった。たてつけは喫茶店風のお店なのだろう。だとすればナポリタンを食わないわけにはいかない。喫茶店と言えばナポリタンだからだ。

これも大皿で来た。タバスコ・チーズをお好みでかけられるのもうれしい配慮だ。

 

ナポリタン2

これでもかってほどに刺激的な赤い色のナポリタンがうまい。細切りピーマンがアクセントになっている。

今回は裏山のトマトもちゃんと激写してやったぜ。

 

しょうが焼き1

しょうが焼き定食。ご飯はなかなかの大盛だ。

昭和の時代、ゲームテーブルでカフェメニューを食べた人は多かろう。でもこんなガッツリした定食を食べられるようなお店にゲームテーブルが置いてあるケースはあまりなかったんじゃないかな。もしそうであれば貴重な絵だ。

 

しょうが焼き2

思っていたのとちょっと違うビジュアルのしょうが焼き。とりあえず野菜がとても生き生きした色彩だし、ひと口大で食べやすい。

ただ、ものすごくおなか一杯になるぞ。これで850円。この令和のご時世、これだけ食べて1000円行かないのはありがたいと感じる。

 

からあげ1

からあげ定食頼んじゃった!しょうが焼きで若干いっぱいいっぱいだった時点で、同じことになるだろうと結果は見えていたのに!むしろしょうが焼きよりもハードル高いくらいなのに!

 

からあげ2

でもあなたもわかるよね?どうしてもからあげを食べたい夜もあるじゃない!

見てご覧なさい、これ。カリッと揚がっていて、噛めば肉汁ジュワーですぞ。たまらんて。誠に罪深き食べ物ですって。

正直ボリューミーなので終盤は食べ飽きてきたが、幸せは勝ち取れた。

 

カレーライス

みんな大好きカレーライスだ。なるほど付け合わせは紅ショウガなのか、珍しい。

キーマカレーのように挽き肉を使っている様子。そんなに辛くもなくって食べやすく、そして「カレーだったらこのくらいご飯があっても普通だよね」みたいな感覚で、スイスイと食べることができた。うまかった。

 

まだまだラーメンとか気になるメニューもあるのだが、ひとまず今回はこのへんまでとしておこう。

 

 

シニア世代のゲームセンター

 

エンデバーはご飯を食べても満足なところだが、多分もう1つの魅力はレトロゲームが現在も稼働しているという点。

 

少し雪が溶けてきたある晩

僕はそこそこレトロ好きで、これまでもゲームテーブルの設置してある喫茶店などはそこそこ行ったことがある。

ただ、ゲームテーブルってたぶん全盛期は1970年とかそのくらいでしょ。40年も50年も経過すると、それがキチンと稼働しているケースは非常に少ない。非稼働の筐体が1つ置いてあるだけでも「おぉ!」ってなるレベルなのだから。

 

ゲームセンター1

それなのにこのお店はこれな。

ラーメン「一蘭」の"味集中カウンター"みたいなテイストで、ゲーム集中エリアが設けられているのだ。

もちろんゲームテーブルは全部動く。このエリアだけではなく、見た感じ店内の10基ほどあると思われるもの全部だ。そんなの初めて。ここは昭和かな?

 

ゲームセンター2

だからか、店内にはゲームに興じるシングルのお年寄りが散見される。

どうみてもご飯を食べ生きているとかお茶を飲みに来ている雰囲気ではないので。とにかく真剣なまなざしでゲームに夢中になっている。

ゲームがメイン。喉が乾いたらドリンクを頼み、腹が減ったらフードを注文しているのかもしれない。

 

ゲームセンター3

残念ながら僕はゲームそのものにはあまり興味がないので、どんなゲームが内蔵されているかとか、そのゲームがレアなのかどうかとかはわからないのだが、骨董品レベルのものであることは間違いないだろうと考えている。

 

ゲームセンター4

あ、でもたぶん大半が麻雀ゲームなのであろう。上でご飯食べていてなんとなくそう判断した。

 

ゲームセンター5

店内にの壁にはいたるところに『当店のゲームは換金できません』という旨が書かれている。

こんなにも書くということは、「これだけ勝ったのだから金くれ。食事をタダにしてくれ。」という人がチラホラいるのだろうか…。それって普通の感覚なの?昭和はそうだったの??

ゲームセンター6

でもゲームは頭も使うし手も使うし、高齢者の脳の活性化に最適だという話も聞く。

お年寄りたち、みんな元気に日々通ってゲームテーブルにお金を投入していれば、このお店も安泰だよね?

 

そんな24時間レストランのエンデバー

Webを見ても驚くほど詳細情報や口コミが少ないお店。入りづらいからかな?

勇気を出してドアを開ければ、なかなかいいお店なのだがね。

 

いつの間にか季節は夏へ…。

あなたも青森に行く際には、ちょっと立ち寄ってみてほしい。

そしてトイレのデザインに驚愕してほしい。

 

以上、日本7周目を走る旅人YAMAでした。

 

 

住所・スポット情報

 

  • 名称: エンデバー
  • 住所: 青森県青森市本町2-7-1
  • 料金: 焼うどん¥600他
  • 駐車場: なし。付近のコインパーキングを使用のこと。
  • 時間: 24時間

 

No.343【青森県】吹雪の日に宿泊したレトロな「尾野旅館」!女将の即席晩酌セットに感謝!

年始早々の津軽地方は、そりゃもう寒くてさ。

前日は頑張って車中泊したのだが、今晩は暖かい布団で寝たいと心に決めたのだ。

 

こうして出会ったのが、鰺ヶ沢駅前にある「尾野旅館」である。

五所川原から鰺ヶ沢の間で素泊まりできて安くて、そしてヴィンテージなエクステリア。そんな条件を満たしていたのでここに決めた。

 

そういうわけで、今回は凍てつく寒さの中でも温かくてハートフルな思い出をくれた尾野旅館のお話をしたい。

 

 

雪の津軽で出会った旅館

 

19時過ぎとは思えないほどに、鰺ヶ沢は静かだった。木枯らしから身を守るために完全防御体制に入っているんじゃないかってほどに、駅前ロータリーも静寂であった。

 

尾野旅館へ1

そこから尾野旅館を目視で発見。

かろうじて玄関に灯りはついているようだが、飛び込むには少し勇気が入りそうなほどに夜の闇に溶け込んでいる。

いいぞいいぞ、雪の夜はこういう宿でひとり静かに過ごしたい。

 

とりあえず愛車を宿に横付けした状態で中に入り、出てきた女将さんに挨拶しがてら「車はどこに停めればいいですか?」と聞いた。

 

尾野旅館へ2

玄関脇の車庫をガラガラッと開けてくれた。そこにかわいく収まる愛車の日産パオ。

レトロな旅館にレトロな車。いいコラボレーションができたな。

ありがたい、これで夜に雪が降っても車に積もることはないし、霜で凍りつくことも防げるな。

 

尾野旅館へ3

人間用の玄関はこちら。

失礼ながら、さっきは駅前ロータリーから見て暗そうだと思ってしまったが、ちゃんと正面に立つと「ピッカー!」ってくらいに明るい。まばゆい。

 

尾野旅館へ4

そんで一歩中に入ったロビーがこちら。

おぅふ。渋いね。一転してあまり明るくないが、こういうのスゲー好みだぜ。

照明なんて最低限でいいのよ。自分を見つめ直す時間に光なんて不要なのよ。知らんけど。

 

尾野旅館へ5

暗い廊下を女将さんに案内されて辿り着いたマイルーム。

昭和レトロでいい雰囲気!特にハンガーをぶら下げているヤツが好き。名前は知らないけど。

ワクワクしてきた。そして充分に部屋を暖かくしてくれていて、かつこのポカポカ毛布!うれしー!誰だよこのクソ寒い時期に車中泊なんてしようとしていた人は。

 

 

女将の気まぐれ晩酌セット

 

僕は女将さんに「ちょっとこのあと近くにご飯食べに行きますね。車でここに来るとき、徒歩圏内で営業していそうなラーメン屋とか何軒かあった気がしたから。」って言った。

 

背景をご説明しよう。

実は五所川原で夕食にしたかったのだが、ありつけずにここまで来てしまったのだ。

「バスラーメン工藤」というボロボロのバスの中で食べられるラーメン屋があってね、そこに行きたかったのだがどうやら数ヶ月前に廃業していたようで。

 

ここに来るはずだったバスラーメンは永久に来ない…

暗くなりゆく中、来ないバスを待っていた時間は切なかったぜ。40年続いたバスラーメン工藤にほんの数ヶ月間に合わないって、なんというタイミングの悪さ。人生おもしろ。

 

あとは五所川原の駅のほど近くに「鹿内そば屋」という、ワンボックスカーでおでんやそばを食べさせてくれる高齢のおばあちゃんがいてね。

それも目視はしたんだけど準備中だったので素通りしちゃった。

だから僕は飢えているのだ。

 

話が長くなるので館内の画像を挟みます1

…というわけで僕は女将さんにラーメン宣言をした。

そしたら女将さん、「近くのラーメン屋さんにわざわざ行くんだったら、何か簡単なものを作ってあげる。お正月の残りとかを使う感じになるけど、そっちの方がオススメよ。お酒に合うものを作ってあげる。」と言うのだ。

 

「えっ!でもいきなりお願いするのも悪いし…」とモジモジしてみたいのだが、「大丈夫!」というお返事だったので、お言葉に甘えてお願いすることにした。

せっかくの旅だもんな、なるべくレアな選択肢を選びたい。素泊まりの予定だったこの宿でご飯を食べられるんだぜ。素敵じゃないか。

 

駅前に買い物へ

そういうわけで、女将特製メニューはおよそ1時間後に受け取る約束をし、とりあえず僕は駅前のスーパーにお酒を買いに行くことにした。

駅前って言っても、徒歩1分だけどね。「鯵ヶ沢ショッピングセンターパル」だ。駅のロータリーにはブサカワ犬として一世を風靡した「わさお」のパネルもあった。わさおはこの町に住んでいるのだ。

 

買い物から帰ってからは冷えた体をお風呂で温めた。厳冬期のお風呂、最高。

 

水回り

この共同の洗面台もいいなぁ。ステンレスなのがいい。床が赤じゅうたんなのもVIP感があっていい。

ちなみに僕の部屋のある2階のこの洗面台はお湯が出ない。階下の洗面台だけお湯が出る仕様だった。

 

廊下を歩く

…静かだな。僕以外にお客さんはいないのかな?

賑やかな旅館もいいけど、深夜とか閑散期の静寂さを感じられる旅館の雰囲気も好きだ。

さいころ、両親が寝静まった後にふと目が覚めてしまい、忍び足で廊下を歩いた、あの足の裏の感覚をまだ覚えている。そして辿り着いた冷蔵庫をそっと開けたときの、冷蔵庫の中からの光がまばゆいことよ。で、急に冷蔵庫が「ヴゥゥーン…」って言って心臓止まるんだよね。

あ、話が全然関係ない方に行っちゃった。

 

そして1時間経過。

女将さんが僕の部屋に食事を持って来てくれた。うおぉ、持って来てくれるのか。ここで食べていいのか。なんか本格的なテイストになっちゃった。

 

女将セット1

おぉぉぉ!なんかすごいの来たー!

女将さんは「ホントありあわせでごめんなさいね」とか言っていたけど、僕は踊り出しそうだ。

特に蕎麦のボリュームすげーぞ。立ち上る湯気にフワッと醤油の香りが乗っていて食欲をそそる。

 

女将は「明日の朝食も準備できるけど?」と言ってきたので、「お願いします」と即答したよね。

 

女将セット2

うめぇ。蕎麦は体の芯から暖まる。

この寒い日の夜、しっかりお風呂に入り、湯上りに温かい蕎麦、そしてビール。笑顔がこぼれるに決まっているじゃありませんか。

塩辛もうまい。おにぎりも食う。ダブル炭水化物か、望むところよ。

 

すんごい満腹になって天国のような気持ちで就寝した。

 

 

優雅な朝食時間を満喫しよう

 

朝を迎え、部屋の窓を開けてみた。

 

旅館の朝

目の前が鯵ヶ沢駅のロータリーである。こうしてみると本当に近いのだな。

残念ながら曇天…というかこの時期の日本海側はあんまり晴れることはないので全然ショックでも何でもない。

しかしあの遠くに裾野だけ見えている山は、「岩木山」だよね?あの津軽富士と呼ばれる美しい山だ。あぁ、それが見えないのはショックだよ。

いや、冬以外の岩木山は見ているし車でグイグイ登ったこともあるけどね。冬の岩木山も拝みたかった。

 

トイレ1

トイレ。見ていただきたいのは隅っこにある小さな手洗いコーナーだ。

青緑色のバケツ。これが手洗い用の水の入ったタンク。珍しいなって思って写真を撮ってしまった。

呼び名はこの執筆時の1年くらい前にようやく知ったんだけど、"衛生水栓"というらしい。昭和時代に流行していたものだそうだ。

 

トイレ2

下に突き出た棒のようなものを手のひらで押し上げると、中の水が一定量出てきて手を洗える仕組みだ。

他にも普通に水道管の通っている蛇口でもこのように突き上げて水を出すタイプや、蛇口の真下にあるハンドルをひねることで水が出るタイプもあり、それらも衛生水栓だ。

手で触れる部分に強制的に水がかかることで清潔を保てるから"衛生"っていうらしいよ。

 

8時ちょうど、女将さんが朝食を持って来てくれた。

 

朝食ゴージャス1

わぁ、お盆が2つ来た。

和風寄りで行くのかと思いきや洋風も負けじと食い込んできて同時にゴールインしたようなすごいメニューだ。

おかずだけでも相当なボリュームだが、ご飯がお櫃ですぞ。女将は僕のことをプロレスラーかなんかだと思っているのかな?チビなインテリメガネボーイなのに。

 

女将さんは「ふふ、ときどきいるのよ、このくらいペロリと食べちゃう人が」と言って去っていった。

まぁいるでしょうね。世の中にはね。僕じゃないですけどね。

 

朝食ゴージャス2

それでもありがたいことこの上ない。

正直昨夜のご飯がまだ消化しきれていないんだけど、おもてなしっていいよね。食うよ。こういう女将さんがありあわせの品で作ってくれるご飯がうれしいんだよ。

…ただ、食べるペースは落ちてきたけど。

 

朝食ゴージャス3

TVでは今年は雪が多いと言っている。

昨年が2cmのところ今年は39cmだそうだ。んっと、それはどこだっけ?聞きそびれた。青森市だったらもっともっとアホみたく積もると思うしな。五所川原あたりの情報?

 

そんな天気予報も終わったが、僕の朝食タイムが終わらない。食べ終わらない。

TVは情報バラエティみたいな番組になり、なんでもかんでも低温調理するとうまいとか専門家が言ったりしている様を「ふーん」とドライな眼差しで眺めたりした。

 

結局1時間ずっと食べ続け、食べ終わったら9時になっていた。

お櫃のご飯は軽めに1杯のみ。これが限界。

 

ありがとう、尾野旅館

チラチラと雪が舞う。風もある。寒い。

女将が「ありがとうね」と言ってくれた。

 

こちらこそです、お蕎麦おいしかったです。真冬の津軽で、いろいろ温かいものに出会えたよ。

女将に手を振り、愛車の日産パオのアクセルを踏む。

 

木枯らしと共に

この数分後に僕がどこに行ったのかというと…。

まぁ気になる方は以下のリンクを辿ってみていただきたい。

 

drive-ns.hatenablog.com

 

以上、日本7周目を走る旅人YAMAでした。

 

 

住所・スポット情報

 

  • 名称: 尾野旅館
  • 住所: 青森県西津軽郡鰺ヶ沢町舞戸町下富田32-5
  • 料金: 1泊2食¥7000~
  • 駐車場: あり
  • 時間: 不明

 

No.342【奈良県】なんと美しい親子丼…!激渋「涌本食堂」で大将と語り飯を食った冬の日!

いつからだろう。昭和レトロな大衆食堂に興味を持つようになったのは。

日本1周目のころはグルメ自体に興味がなく、「コンビニのパン1つあれば2日は運転ができる」とかアホなことを言っていた。

その後はいっぱしにご当地グルメに目覚めたりもした。

 

今ももちろんご当地グルメは巡っているが、地元の人が昔から通い続ける食堂でご飯を食べ、お店のご主人と語らうっていうのもとても楽しいなって思うようになった。

 

あれも真冬の寒い日のことであった。

僕は「涌本(わくもと)食堂」という名前の激渋食堂を訪れたのだ。

 

後光がさす

うん、後光がさしていたね。

尊い。実に尊い体験ができた。その思い出を少しだけ語りたい。

 

 

北宇智駅よりトイレの方が大きい

 

五條市をドライブしていたら腹が減り、キョロキョロしていたら渋い食堂が目に入った。それが涌本食堂だ。

 

しかしまだ暖簾が出ていない。

ただいまの時刻は11時ピッタリ。食堂って大体11時からオープンするイメージがある。まだ開店前なのかな?それとも臨時休業なのかな?

 

ほんの少し時間をおいてから再訪してみたほうがいいかもしれない。

涌本食堂から200mほどの距離にある、小さな「北宇智(きたうち)駅」を訪問してみることにした。

 

北宇智駅付近にて1

「駅舎だ!」って思って撮影したけどすまん、これ右側に写っているのはトイレだ。ホントの駅舎は左奥。トイレの方が大きいような気配がする…と言ったらさらに失礼に当たってしまうかもしれないが、正直な話そう思った。

 

北宇智駅はJR和歌山線の駅で、2007年までこの駅に来た電車はスイッチバック方式でターンしていたんだってさ。それは珍しいな。

 

北宇智駅付近にて2

無人駅の駅舎。電車を待つ間の雨風をしのぐくらいの機能しかないのだろう。

スイッチバックの廃止と共にリニューアルしたというから、まだ15年ほどしか経過していない駅舎。かわいい。ちょっとしたログハウスのようでほっこりする。

 

11時を10分近くすぎた。涌本食堂に向かってみようと思うが、僕はチキン野郎でしょ?

再び行って暖簾が出てなかったらガッカリしてそのまま諦めてしまうかもしれない。ダメ元でドアを開ける勇気なんてないかもしれない。

現にそういう弱き心の持ち主だから北宇智駅に立ち寄っているのだから。

 

なので念のため電話した。

電話に出た人、第一声がすっごい慎重な名乗りで、僕が「今近くにいるんですけど営業していますか?」って聞いたら「え?あ…、はい…」って感じだった。

あれ?なんかマズかったのかな?招かざる客なのかな?まぁいいや、やっているなら行くさ。

 

北宇智駅付近にて3

ほんのちょっと先に進んでから適当なところでUターンしようとしたら、すんごい住宅地の狭路に入ってしまった。

ターンできそうな空き地もあったのだが、なんかちょうどケガ人がいて近所の人があるまり、救急車も来ていたのでターンどころではなく、さらに奥に行くしかなくなった。

 

北宇智駅付近にて4

そしたらやたら開けたけども農道みたいな感になり、相変わらずターンできるようなところはない。

しばらく枯草を眺めながらのドライブを楽しんでしまった。

 

ようやく無理やりターンし、救急車の脇をすり抜け、北宇智駅を「よしっ、トイレより小さい」と指さし確認し、涌本食堂の駐車場に愛車を停めた。

 

激渋食堂へ1

ゴチゴチにハードテイストな、涌本食堂の駐車場。

勢いあまって頭から入れてしまったので、これはきっと出るときに大変なんだけど、未来のことは未来のYAMAさんが考えてくれるだろうから、今の時間軸の僕はさほど気にしない。

さぁ、腹減ったな、メシだ!

 

 

そこで旅を愛する者が繋がる

 

よかった、今度は暖簾が出ている。

しっかし良いビジュアルだな。ここのお店の存在に気づいてよかったぜ。

 

激渋食堂へ2

緑と黄色の軒がなんだか酒屋さんのような商店のような味わいを見せている。そして2階にデカデカと掲げられた「涌本食堂」のパネルが存在感をアピールしている。

 

ガラス戸をガラリと開け、「いらっしゃい!」と迎えてくれた大将に、僕が先ほど電話した者である旨を打ち明けた。

「あぁー!そうなんだ。ウチは暖簾は11時に出しているけど、近所の人は朝から勝手に入ってきたりするからさ、あんな電話をもらってビックリしちゃったよ!」って言われた。

 

なるほど、そういう理屈か。つまりは地域にドップリ根差した食堂で、観光客はあまり来ないということかな。うってつけだ。

 

激渋食堂へ3

大将には、ブログ掲載することを前提に店内の写真を撮らせていただいた。

こういう老舗食堂って、カウンター周りにひさしがついていたり柱があったり、ちょっとした社みたいじゃない。それが好きなのだ。

 

「えぇ…??こんなどこにでもあるようなお店の写真なんて撮らないでくださいよ…」って最初は苦笑していた大将だが、僕が「渋いお店を巡るのが好きな旅人なもんでして…」とか言っていると、だんだんスイッチが入ってきた。

 

激渋食堂へ4

先代店主であるお母様をご紹介いただいたりもし、挨拶をした。

あぁ、このニコニコしている小さい体のおばあちゃんが、きっと長年このお店を守ってきたのだろう。

創業何年だか聞きそびれたが、地元の人に何10年も愛されてきたお店にハズレなしだぜ。

 

激渋食堂へ5

では何を食べようかな。どれも安くてお得感があるぞ。

僕は大体初めての食堂だとカツ丼か、もつ煮定食だ。ここにはそれらはない様子なので、親子丼にしよう。麺ではなく、ご飯を食べたい気持ちだ。

 

激渋食堂へ6

親子丼620円。これも良心的な価格だ。

 

待っている間、大将から「今回はどのような旅をしているの?」と聞かれた。

日本6周目の本土で残っている海岸線を塗りつぶす目的の旅だと答えた。でも残っている海岸線は愛知県と静岡県の西半分なのに、なぜか関西エリアをグルグル巡ってエンジョイしてしまっている旨を伝えた。そういうテキトー系な旅人。アドリブ大好きな旅人。

ちなみに昨日は「高野山」まで行ったけど、あっちは山間部なので雪ですごかったよ。

 

激渋食堂へ7

大将は「そうそう、旅人と言えばねぇ…。群馬県から何度もウチに通ってくれている人がいて。その人が手作りの旅行記を頻繁にウチに送付してくれるんだよ。」と言い出した。

「待っている間に見てみないかい?」と言われたので「喜んで」と返答した。

 

旅人の便り1

重厚な封筒がテーブルに置かれた。この群馬の旅人の名刺も見せていただいたのだが、個人jy方法だからここでは伏せるね。

心のこもった達筆な字。向かって右側は『わきもと食堂』になっているね、惜しい。僕も訪問後ときどき”わくもと”なのか”わきもと”なのか混乱したから、気持ちはわかる。

 

旅人の便り2

すんごい丁寧に製本された旅行記だ。しかもNo.16。このシリーズ、なかなかの長編ですぜ。

直近はコピー版だが、このころは原本が送られてきていたそうだ。魂を感じる。

 

現代はなんでもWebで調べられるし、スマホからでもPCからでも気軽に執筆できるし追記も修正も簡単だ。しかし20年ほど前は手書きでこうやって作っていた人も多かったろう。

 

旅人の便り3

ガイドブックを読み、パンフレットをコピーし、余白に思い出を連ねる。

苦労して作ったからこその味、手書きだからこその感情が見えるようだ。

 

遠い昔、小学生のころに僕も岩手に旅行に行き、奥州藤原氏について調査したことをこんな感じに夏休みの自由研究としてまとめたことがあったよね。まぁ文章考えたのはほとんど母親なんだけどさ。

それでも、そのときの旅行で源平合戦について興味を持ったし、「仏像かっこいいー!」ってなってずっと中尊寺金色堂の仏像群の写真を眺めていたのはよく覚えている。

うむ、余談でした。

 

旅人の便り4

この旅人はちょいとご年配の人だろうか?旅の先輩かな?

正直文字は達筆すぎてすべては読めないが、読むんじゃないんだ、感じるんだ。それに僕も行ったことのスポットもチラホラ出てきて感情移入。

あと、僕の親子丼まだですか?

 

 

トロトロ親子丼がうまかった

 

ようやく親子丼が運ばれてきた。

大将、「遅くなってすみません。ご飯が炊けていなかったもので…」と言っていた。なるほど、時間がかかった正体はそれか。しかしOK。待ち時間も楽しめたから。

 

親子丼1

なんかいいぞ。なんかエモいぞ、この写真。

窓から差し込む冬の低い日差しを受けて、丼がスポットライトを浴びた美術館の作品みたいになっている。

むしろこれ、骨董品のようだ。この番組が「開運!なんでも鑑定団」で、僕が鑑定士の「中島先生」だったら、「これは素晴らしい唐の時代の丼ですね」とか笑顔でほめたたえ、300万くらいの査定額を出しちゃう。

 

親子丼2

ふたを取った。黄色いじゅうたんのような玉子が現れた。プルプルツヤツヤでソフトなタイプだ。

誠に罪深い親子丼よ。このビジュアルでいったい何人の地元民を虜にしてきたのやら。

それではいただきます。

 

親子丼3

うめぇ。

「これは飲み物ですかな?」ってくらいにスイスイ入っていく親子丼。ダシがしっかり感じられ、かつジューシー。玉子部分だけ永久にすすっていられるな。風邪引いてても食えそうだし、遭難から何とか帰還して最初に食べるものとしても最適だと思う。

鶏肉もプリップリの弾力で、噛むごとに肉汁があふれる。ご飯も進むぞ。

 

冬の日差しを浴びたテーブル席で、1人ハフハフしながら親子丼を搔き込む。

大勢でワイワイとご当地グルメを食うのもいいけど、今のこのようなシチュエーションも狂おしいほど好きなんだよ、僕は。

一期一会かもしれないこの味、五感でしっかいr受け止めようぞ。

 

親子丼4

おぅ、すっげぇつゆだく。いいじゃないか。最後はもはや雑炊だ。丼の底にたまった汁には、この世の森羅万象が溶け込んでいる。この老舗食堂の歴史が溶け込んでいる。

アツアツのまま完食できた。至福だ。この人生に悔いなし。

 

少しだけ時をさかのぼるが、僕がご飯を食べていると常連と思わしきおじさんが入ってきた。

慣れた様子で新聞を広げ、早速お酒を飲み始めていた。

 

語らい1

常連のおじさんにも旅の話をし、そこに大将も交じって「これからどこに行くんだい?これまではどこを走っていたんだい?」みたいに聞かれた。

今夜は伊賀あたり、明日は名古屋とかかなぁ…。

 

おとといの夜に大阪中心地にいた話をしたら、「えべっさんをやっていたろ?行かなかったのか?」と聞かれた。ふむ、今までえべっさんとは何かすら知らなかったわ。

1月10日前後に行われる十日戎なのだね。「通天閣」の少し北の「今宮戎神社」もその舞台だったのだね。

僕、通展開までは行ったけどもそこまでは足を延ばさなかったわ。通天閣の南側をウロウロしていたわ。えべっさんはまた機会があたたら行くね。

 

語らい2

おじさんや大将には、いくつか大阪のおすすめスポットも教えてもらった。

「なかなかあそこまでは行けないんだけどな」って言ってた。だよね、ここは奈良県だしね。結構静かな町で、大阪の繁華街とは雰囲気全然違うしね。

 

話はまだまだ尽きなさそうだが、もうずいぶん長居をしてしまったのでそろそろ出発しよう。

おじさんと大将に「気を付けてこの後も旅を楽しんでな」って見送られ、お店を後にした。

 

語らい3

静かな町の小さな食堂。観光客の目をとりたて引くようなものでもないし、僕がした会話もたわいのないものだったろう。

それでもこうしてこのお店のことをブログに書きたいって思ったってことは、心に響いたってことだ。

 

語らい4

そういう”自分だけの旅”を見つけるのが、僕は好きだよ。

その魅力を言葉にしたり文章にするのはとても難しいんだけど、記憶が薄れる前にかたちに残しておきたいと思ったんだ。

 

「このお店は素晴らしい」とか「このお店はおススメだ」っていう表現はできない。そういうベクトルでは全然ないんだ。

でも、この体験が誰か1人にでも響いたら幸せだよ、僕。

 

以上、日本7周目を走る旅人YAMAでした。

 

 

住所・スポット情報

 

  • 名称: 涌本食堂
  • 住所: 奈良県五條市住川町 住川
  • 料金: 親子丼¥620他
  • 駐車場: あり
  • 時間: 不明

 

No.341【山口県】池のほとりの不夜城「長沢ガーデン」!レトロ自販機のうどんが沁みるぞ! 

ドライブイン全盛期を知らない僕が言うのもアレだが、「長沢ガーデン」が最も僕の中において完成されたドライブインである。

レストラン・自販機・スナックコーナー・宿泊・お風呂などがそろっており、しかも続々とトラックやバイクがやってくるという賑わい。昭和のドライブイン全盛期ってこんな感じだったのだろうか…とか想像してしまう。

 

僕はレトロ自販機ハンターである。

この長沢ガーデンの存在も、今から10年以上前ではあるがレトロ自販機のあるスポットとして知ることになった。

 

さて、では僕の訪問記録を3回分ほど振り返ってみようか。

 

 

【日本4周目】不夜城との出会い

 

最初はいつだったかな?今から10年ちょっと前だったかな?

肌寒さが心地いいくらいの時期、夜にこの長沢ガーデンを目指して国道2号を突っ走っていたのだ。

 

僕の印象ではあるが、国道2号のこのあたりはポツポツと町はあるものの、町と町の間はひたすらに暗いバイパス的な直線道路で、少し不安になるほどだった。

その暗がりの向こうに、煌々と輝く建物が見えてきた。

 

不夜城との出会い1

あぁ、なんてあったかい…。

例えると、暗く寒い夜に家路を急ぎ、ランプの灯る我が家に入るとお母さんが温かいシチューを用意して待ってくれていたかのような、ホッと一安心できるスポットだなって感じた。

 

ワクワクするようなまぶしさ。

見たところ一番大きな建物には昔懐かしい雰囲気のレストランが入っていて、さらにはその裏側で同様の雰囲気のホテルとも合体しているドライブインのようだ。


そんな施設にもかかわらず、と言ってしまって誠に失礼なことは重々承知だが、ここはかなりの車で賑わっている。今までの経験上、こういう施設はガラガラで寂れていることがほとんどなのに、だ。

なんだなんだ、ここは最高かよ。

 

不夜城との出会い2

今回僕がここに立ち寄ったお目当ては、レトロ自販機なのである。

2011年にレトロ自販機というものがこの世にあると知り、それ以降は有名どころや興味を持った店舗から順々に訪問している。いずれは日本全国のレトロ自販機店を済めて立ち寄る所存よ。


屋外の飲食エリアにてそのレトロ自販機を発見した。

あぁ、いいなぁこの景観。少し寒いが、温かいうどんを食べるのだから、この屋外の
飲食エリアで大丈夫だ。いや、寒くたってここで食べたい。風情を感じたい。

 

不夜城との出会い3

富士電機の麺類自販機が仲良く2台並んでいる。

よく見るとそれぞれ、パネルの赤と黄色の配色の位置が違うのだ。右のタイプって、ここ以外では国内どこにもないよね?どうかな??

 

不夜城との出会い4

肉うどんをチョイス。280円だ。安くてありがたい。

肉うどんは関西の自販機麺では定番だが、関東では少ない。だから関西でなるべく肉うどんを食べておきたいと考えたのだ。

 

『お菓子の自販機におむすびがあります うふどんといっしょにいかがですか?』っていう貼り紙がある。

なんだろう、この書き方とイラスト、すごくハートにキュンキュン来る。食べたい衝動に駆られるけど、そこまで空腹ではないのでまたいつかね。

 

不夜城との出会い5

わずか20秒ほどでアツアツのうどんが出てきた。

なんかこの麺、すごく美しくない?まるで打ちたてのようだ。それが夜の光に照らされてツヤツヤと光っている。

ちなみに自販機内ので湯切りのときに落ちないように、具は麺の下に入っているんだよ。

 

不夜城との出会い6

写真撮影前に具を底から引っ張り出して上に乗せてみた。最高のビジュアルである。

 

ひと口食べてみた。

おいしー!アツアツ!冷え込んできた屋外で食べるから、なおさらおいしい!薄めの上品なダシ、コクのあるお肉!食べ応えのあるマッチョな麺!そのすべてが僕にとってありがたい!

これからもうしばらくハンドルを握る僕にとって、これはこの上ない栄養ですぞ。身も心も充実する。

 

実はこれ、隣のドライブインの板前さんが作っている本格派のうどんなんだ。

ありがたい夕食だ。

 

夜風に吹かれ、静かな屋外のテーブル席でツーリングマップルを広げながらすすった温かいうどん。旅っていうのはこういうことを指すのではなかろうか。最高。

 

 

【日本5周目】春の雨に打たれて

 

数年後、小雨の降る肌寒い春の日に再訪した。

 

近年はレトロ自販機にもスポットが当たり始めているそうだ。ここも関東をはじめとした全国からレトロ自販機ファンが来るほどの聖地となっているのだそうだ。

まぁそれだけ現代に残るレトロ自販機の数が少ないということもあるのだろう。ぜひこれからも長く続けてほしいな。

 

春の雨に打たれて1

明るい時間には初めて見る長沢ガーデン。そびえたつ巨大な緑の看板に描かれたピクトグラムインパクト絶大である。

近年の高速道路のSAやPAはメッチャ綺麗で最高だけどさ、このくらい尖がったコンセプトのSAやPAがあっても面白いと思うんだ。レトロブーム来ているから、刺さる人には刺さると思うぜ。

 

drive-ns.hatenablog.com

 

ちょっとメタ的な発言になってしまうが、そういう意味では僕のブログ内では三重県の「伊賀上野SA」の記事が安定して人気があるから、あなたがもしまだ未読だというのであればぜひ読んでくれよ。胃袋に響く記事になっているぜ。

 

春の雨に打たれて2

2台の自販機は元気だ。おむすぎをおススメする貼り紙も相変わらずだ。

ちなみにこの自販機、前回訪問時に35・6年経過しているものだと聞いた。現時点ではもう40年近いのかな?

骨董品級だ。ファンタジー映画に出てくるような、古代のブリキのロボットのような存在だ。

 

現時点でのメニューは、肉うどん・きつねうどん・天ぷらうどんだ。全て290円。

前回から10円値上げされたね。時代の流れだ、しょうがない。むしろ10円程度の値上げで大丈夫かと心配になる。

前回は肉うどんだったので、今回は天ぷらうどんにしてみた。

 

春の雨に打たれて3

おっ、なかなかに具沢山。特に刻みネギの多さが他では見られないレベルだ。

かき揚げも巨大で厚みがあるぞ。パワフルになれるボリュームだ。

 

前回同様に麺は極太でもちもち。ダシは上品な薄味。でもかき揚げのおかげで食べ応えは充分だ。

うん、うまいうまい。290円でこのクオリティよ。コストパフォーマンスも高いし、顔も知らない板前さんに感謝の気持ちしかない。


雨は降り続けているけど、元気が出た。引き続き山陽地方を走り続けるぞ。

日本5周目の山口編は、こうして進んでいった。

 

 

【日本6周目①】夕暮れはエモい

 

2022年、日本6周目でまた訪れた。3回目である。だから今回はちょっと趣向を変えて書こうじゃないか。

 

総合アミューズメント施設1

晴天のドライブイン。充分な広さの駐車場。17時を大きく回り既に西日だが、ツーリングライダーさんたちがひっきりなしに訪れている。

 

まるでここだけずっと時が止まっていたかのように、初回訪問時から同じ光景だ。

いや、きっとベテランの常連さんからしたら僕なんてヒヨッコすぎだよね。10年どころか数10年前から時間は止まっているのしれない。

 

総合アミューズメント施設2

駐車場から本館に向かう際に現れる、写真真ん中の立て札。

左に行くと一般浴場と旅館があるそうなのだ。そっちの方向には行ったことはなかったな。

話には以前から聞いているが、一般浴場も旅館もどこにあるのか知らない。1回目は夜だし2回目は雨だったので、あまり敷地内をウロウロしたことはなかったのだ。

 

総合アミューズメント施設3

小さな文字で日帰り温泉は400円、旅館は1泊3500からだと書いてある。安いじゃないか。いいじゃないか。機会があれば宿泊してみたいな。

 

今回の記事には写真はないけど、この長沢ガーデンって「長沢池」っていう大きな池に半島のように突き出した立地にあるのだ。オーシャンビューならぬレイクビューな部屋とかあるんじゃなかろうかね。昭和レトロな宿泊所でそんな朝を迎えてみたい。

 

総合アミューズメント施設4

これが旅館棟かな?ちょっと暗めな入口。簡素なガラス戸が見えている。

僕好みだ。落ち着いた夜を楽しめそうな雰囲気じゃないか。日本7周目で再度訪れいた際には宿泊してみようかな。

 

総合アミューズメント施設5

あ、仕出し部って書かれた看板ある。そしてドアが限りなく簡素。

仕出しもやっているのかな?その建物に通じるドアなのかな?いろいろやって大体賑わっている。改めていいドライブインだ。

 

総合アミューズメント施設6

「板さんの店 長沢ガーデン」とナイスなフォントで書かれたレストラン。板前さんが料理を作っている、長沢ガーデンのメイン施設だ。前章までに取り上げたレトロ自販機は、この建物の向かって右側を回り込んですぐのところにある。

 

今回ここで食事をする予定はないが、せっかくなのでちょっとディスプレイを眺めていこうぜ。

 

総合アミューズメント施設7

うむ、ドライブインの王道をしっかりと抑えてきているようなメニューだ。手ごろなものからちょっと贅沢したい気分にうってつけのものまで、うまく取り揃えてあるように感じる。

肉うどんは自販機で売られているヤツの、ちょっとゴージャス版なんだろうね。

 

僕、長沢ガーデンをレトロ自販機スポットとして知り、過去2回はレトロ自販機だけを利用してきた。

しかしまだまだ奥が深いのだ。これからやること、多いぞ。ワクワク。

 

 

【日本6周目②】ラスポテト

 

では、お馴染みのレトロ自販機を確認しに行こうね。

 

ラスポテト・ハンター1

前回からさらに数年が経過したので、若干くたびれた雰囲気になってきたレトロ自販機。もう40年以上は確実に経っているもんな。風雨にさらされつつも頑張っているよ。

 

右側の自販機はパネルがかなり色あせた?それとも光の差し込み具合?自分の目で見ているハズだがちょっと記憶から抜け落ちてしまったわ。

そして麺類の値段は350円に。おむすびおススメの貼り紙は無くなっちゃったな。

 

まだ最後の1つであるきつねうどんを食べたことがないのだが、今回はレトロ自販機は使わない。

もう1つ、ある意味レトロ自販機よりもレアなものがここにはあるのだ。

 

ラスポテト・ハンター2

「メリーランド」という名前の、敷地内の小さな売店

たこ焼き・カレー・回転焼き・スフとクリームなどの軽食を店頭販売している。よくあるミニ売店であり、僕も今までスルーしていた。

だがうかつだった。ここにはラスポテトがある。ラスポテトがあるんだよ、ラスポテトが。

 

ラスポテト・ハンター3

ラスポテトが何かというと、オランダ生まれのフライドポテトだ。ジャガイモをそのまま細切りしているのではなくって、粉にした後に整形して作られている。

 

どうやら昭和後期には模擬店や商業施設などで目にすることも多かったらしいが、時代と共に廃れてしまっているという。

Web情報なので正確性はわからないが、令和時代の現時点では沖縄ではそこそこ食べられるお店はあるものの、それ以外では4・5店舗しか提供店がないらしい。

マジか、激レアの絶滅寸前じゃあないか。

 

ラスポテト・ハンター4

店舗の奥に控えめに「Ras オランダ生まれの… スーパーフライポテト」と書かれている。もうスーパーって付いた時点でレギュラーレベルではないってことだよね?特別ってことですよね?それすぐに僕に食わせろ。

 

ラスポテト・ハンター5

売店がまだ営業していてよかったよ。店頭販売の小さな売店なので、17時で閉まっている可能性も考えていた。閉まっていたら僕、長沢池のほとりで夕日を見ながら泣いたでしょうね。

 

窓口の横の券売機に200円を入れてポテトのボタンを押すと、緑のカードが出てきた。なるほどこれが食券なのね、何も書いてないけど。ガチめな横浜家系ラーメンと同じシステムね。

窓口のおばちゃんに渡し、待つこと数分。ラスポテトを入手した。

うれしいな。おばちゃんちょっと無愛想気味なクールキャラだけど、僕はうれしすぎてニコニコ笑顔で受け取ったよ。

 

ラスポテト・ハンター6

200円でこの量。ちょっとわかりづらいけどもマクドナルドのポテトのMサイズくらいのボリュームはあるのかな?なかなかコスパいいと思うよ。

そしてごらんなさい、西日に照らされてゴールデンに輝いておりますぜ。

 

ラスポテト・ハンター7

あ、この写真の方がボリュームわかるかな?結構大きな袋。

家族4人で1つのラスポテトを囲み「今夜のディナーはこれだ」って感じの構図だが、実際これを食うのは僕1人だ。僕1人のものだ、1本たりとも他人には渡さん。

 

ラスポテト・ハンター8

食べてみた。

ザクッ…!といい音がした後に、ほっくりモチモチした感じの噛み応え。そして油のジャンクな香りが口いっぱいに広がった。

 

なにこれ最高。僕の乏しい経験で例えると、コンビニやスーパーで普通に売られているポテロングってあるじゃない。あれが一番近い。

最初のザク感と、何とも言えないジャンクな味わいがアレに近い。でもラスポテトにはそれに続くモチモチ感もある。さらには絶妙な塩味。

これは止まらないな。いや、無理やり止めよう。そして残り半分は今夜の晩酌のおつまみにしよう。

しかしこれが絶滅寸前だって?冗談でしょ?全員好きだろこんなもん。

 

またここに来てラスポテトを食べねばな。

いや、他のラスポテト店を巡ってみるのも楽しいかもしれないな。

 

また来るよ

長沢ガーデン。山陽地方の瀬戸内海沿いを走る国道2号に面したドライブイン

中国地方の大動脈の1つなので、目にする人も多いだろう。しかし今までスルーしていた人多いだろう。

 

今のうちに行っておいた方がいいぞ。昭和な要素がいくつもある。でもいつまで続くかわからない。

人は未来には行けるが過去には戻れないからな。未来へのお土産、経験しておくといいと思うのだ。だから僕はまた行くのであろう。

 

以上、日本7周目を走る旅人YAMAでした。

 

 

住所・スポット情報

 

  • 名称: 長沢ガーデン
  • 住所: 山口県山口市鋳銭司2296
  • 料金: 肉うどん¥350他
  • 駐車場: あり
  • 時間: 特になし

 

No.340【佐賀県】田園にそびえるエッフェル塔!高さビル7階分!もはや立派な佐賀の名所!

2024年、今年のオリンピックの舞台はフランスである。フランスと言えばパリであり、パリと言えば「エッフェル塔」なのである。

…ならば!2024年は僕もエッフェル塔の記事を執筆すべきであろう!そうに決まっている。

 

だが残念ながら僕はフランスには行ったことがない。

でも心配しなくていい。「佐賀のエッフェル塔」になら行ったことがあるので、それを書けばいいのだ。

 

 

うん、もうよくわかんない理屈だけど、突っ走ろう。だってオリンピックイヤーだもの!

 

 

田園の中のパリ

 

世界中の誰もが華のパリにあこがれる。昔も今もそうに違いない。

そして僕も例外ではない。パリではないけど、佐賀のエッフェル塔を目指してアクセルを踏んでいるのだから。

 

 

地平線まで続くかのような田園の中の道は、ちょっと僕のパリのイメージとは違うような気がするが、たぶんこれが佐賀の「シャンゼリゼ通り」。

だからもうすぐエッフェル塔が見えてくるに違いない。興奮してきた。

 

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興奮しすぎて道を誤り、なんかえらく狭いところに吸い込まれたりもした。落ち着け落ち着け。

そしてなんだこの道路の文字は。逆側から見ているからということもあるが、なんて書いてあるのか皆目見当がつかない。フランス語かな?

 

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/y/yama31183/20240121/20240121144632.jpg

 

で、これが佐賀のエッフェル塔だ。

唐突に到着してしまってすまない。実は地平線の向こうからこの尖塔が見えてきたときは興奮もひとしおだったんだけど、ドライブレコーダーからその映像を引っ張り出すのも面倒だなって思っているうちに画像保存期間が終わったからな。その光景は僕の心の中だけで再生するよ。

 

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/y/yama31183/20240121/20240121144606.jpg

 

ほとんど同じ構図だ。うれしくって似たような写真を何枚も撮っていた。

現地の僕は有頂天だが、いざ冷静にブログ執筆する段階になると「もっと工夫して撮影できなかったのかよ」と過去の自分を責めたくなる。

でもいいや。さっきまでドロドロに曇ってのに青空が出てきただけで満足のいく光景だから。

 

そしてごらんなさい。塔の足元にはたくさんの車が停まっている。さすがエッフェル塔、観光客が続々と詰めかけている。

…のではない。「馬場ボデー」という車の板金工場だよ。ここの工場の社長さんがエッフェル塔を作ったんだよ。

 

きわめてのどかな田園の中の板金工場。その敷地にエッフェル塔

仕上がってるな、このロケーション。最高。

 

 

手造りエッフェル塔

 

では、ドキドキしながらエッフェル塔に近づいてみよう。

てゆーか、馬場ボデーさんの敷地内に車を停めてしまったが大丈夫だったのかな?

板金するつもりはないのだが、観光目的で駐車してエッフェル塔の写真を撮っちゃって大丈夫なのかな?でも近くに駐車できるようなスペースもないし…。

 

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しかしエッフェル塔の下には『写真撮影はどうぞ、ご自由に。ありがとうございます。』って書いてあったので大丈夫であろう。

「ありがとうございます。」って、なんて丁寧なんだ。お礼を言いたいのはこっちだよ。僕がここに来て写真を撮っても馬場ボデーさんにとっては1ミリも利益はないだろうに。

 

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それでも気になってチラッと工場の方の様子を窺う。

あわよくば馬場社長にお会いしてエッフェル塔を作るに至った逸話とか聞ければなぁとか思うが、数人の人が忙しそうに働いていてとても声を掛けられる雰囲気ではない。

 

むしろ仕事に集中しているからこそ、わざわざ先ほどの看板に「写真撮影はどうぞ、ご自由に」って書いてあるのかもしれないな。

ではお言葉に甘えてエッフェル塔を見学しよう。

 

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無骨なデザインがいいね。男子が好きなタイプのソリッドなデザインだ。

このブラウン一色で飾り気がないのにオシャレなたたずまい。三角形に空を一直線に刺すシルエット。

 

「東京タワー」はエッフェル塔をモチーフに作られたでしょ?東京タワーは今でこそ「東京スカイツリー」にちょっと勢力を握られちゃったけど、長らく日本のシンボルだったでしょ?

だから日本人、潜在的エッフェル塔が好きだと思うのだ。ほら、富士山のかたちにも似ているしな。

 

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塔の真ん中には階段が付いており、上の方に行くとハシゴになるのだが、ある程度の高さまでは登れる構造になっている。

もちろん勝手に登ったら怒られるだろうから僕は下から見上げるだけだが、もし登ったら景色はいいだろうなぁ。田園地帯が足元にどこまでも広がっているのだろうなぁ。

 

このエッフェル塔、高さは23mあるという。本場のエッフェル塔が320mであり、本場の15分の1ほどの高さ。

ただし周囲が田園なので相当なインパクトがある。23mといえば、ビルで6階か7階分くらいもあるもんな。なかなかのスケールだ。

 

なのにみんな普通にこのエッフェル塔の横を車でブーンって普通に通り過ぎているから、僕は「おいおいおいおい、みんなこの光景に違和感を感じないのかよ!」って思ってしまう。

逆に田んぼの脇でカメラを構えている僕自身が、ドライバーたちに不思議そうな目で見られているよ。違う違う不思議なのは僕じゃない、エッフェル塔だろ。気は確かか、お前ら。

 

 

なぜこれを作ったの?

 

なぜ馬場社長はこんなものを作ったのだろうか?実際にお話を伺うことはできなかったので、Web等から情報を収集させていただいた。

 

それによると、馬場社長は若いころにエッフェル塔を見て感動し、「自分でこれを作ってみよう」ってなったらしい。

板金工場をやっているので、鉄の加工は得意だったのだろう。それでも5年かかったそうだ。

 

ちなみに今回僕が訪問したのは2代目のエッフェル塔。初代より大きく、年数もかけて7年半使った大作なのだそうだ。

仕事の合間にコツコツ作ったらしい。

 

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一個人が作れるもんなんだな、エッフェル塔って。しかも仕事の片手間に。

でもこの馬場社長、こういう加工技術はすさまじい腕をお持ちのようで、以前は零戦を精巧に作り上げ、それは映画「永遠のゼロ」にも使われたそうだよ。すごい。映画は見てないけど原作なら読んでいる。

 

さて、序盤からあなたが気になっているであろう、主塔のサイドにくっついている2つの小さな塔。

「あんな両翼の塔は本場のエッフェル塔には無いぜ。勝手にくっつけやがって。」とあなたが息巻いているのが画面越しに僕にも伝わる。いや、落ち着いてほしい。

 

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実は本場のエッフェル塔ね、このようになる案もあったのだ。

 

もともとエッフェル塔は、1889年にパリで開催された「第4回万国博覧会」の目玉として建造された。

当時って世界一高い建物は240mとか260mとか、そのくらいでしのぎを削っていたので、それを大きく上回る300m超の建物を作ろうぜってなってできたのがエッフェル塔なのだ。

 

万博も無事に終わったので取り壊しの案も出たけど「いい感じだからもうちょっとこのままにしておこうか」ってなったり、10年くらいして「なんか新しいことやってみない?」ってなって両翼の小塔を作る案が出たのだが、資金が足りずに幻に終わった。

 

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馬場社長がその話を知り、幻のリニューアルを実現させたのがこれだ。すごい。ある意味本場よりも先を行っている。リニューアル案を出したのに採用されなかったデザイナーがこれを見たら感動で泣くぞこれ。

 

エッフェル塔万国博覧会というイベントのアピールのために作られた。

それから13年経った今もフランス・パリのシンボルであり、2024年はそこを舞台にオリンピックが開催される。

かつてを彷彿させるイベントじゃないかな。

 

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佐賀の田園地帯を眺めた。これは敷地の端からエッフェル塔とは反対側を眺めたときの写真だ。

 

確かにここは田園だし、エッフェル塔は本場よりはるかに小さい23mだ。

でも、珍スポットマニア垂涎もののスポットだし、地元でも有名だし、Googleマップにも”佐賀のエッフェル塔”として掲載されている。

 

2024年のオリンピックイヤー。あなたもこのエッフェル塔の下でパリを感じてみないか?僕は一足早く感じてきたぞ。最高だった。

 

以上、日本7周目を走る旅人YAMAでした。

 

 

住所・スポット情報

 

 

No.339【東京都】「江古田コンパ」って何!?少し怪しく愉快な空間に1人で3回突撃した!

東京の下町っぽいテイストを残す江古田駅

その駅前にバブリーなビジュアルのお店がある。

「江古田コンパ」。

 

なんだコンパって?

お店の外観を見たことがあっても、中まで入って真相を確かめた人は多くはないだろう。

今回はそんなあなたのために3回ほど突撃し、心を込めて執筆したから読んでいただきたい。

 

あの虹をくぐってみないか?

 

輝くアーチをくぐろうか

 

江古田コンパ、結論から言うとバーのようなお酒を飲めるお店である。

しかしまずは外観が怪しいのだ。赤ちょうちんに誘われてフラリと居酒屋に入る人はいても、この江古田コンパの外観に誘われてフラリと入る人はいないだろう。そんな人がいたらいろいろ心配になる。

 

怪しいアーチが呼んでいる1

昭和レトロなビルに「いらっしゃい」的なムード満載な黄色い電飾アーチが張り付いている。しかしその電飾アーチが怪しさ全開で、逆に本能が「やめておけ」とささやいてくるだろう。

 

僕もさすがに少しだけ事前調査した。

これでエロいお店だったりボッタクリのお店だったりしたら、少なくともこのブログ内にて大きな声では語れなくなるもんな。

 

怪しいアーチが呼んでいる2

しかしそこだけは安心めされよ。女性1人で入ってもまぁ大丈夫なお店だ。

ただ名物ママの長島さんが下ネタしか言わないので、そこだけご留意いただければ良い話だ。

 

…さて、初回のことである。

開店が19時だというのでその数分後に江古田コンパの前に行った。

別に待ちきれないほどワクワクしていたからではない。開店からしばらく時間が経つと、お客さんも増えてお店の雰囲気がいい感じに出来上がっちゃうでしょ?

 

その前に入っておいた方が自分を保ちつつお店の空気に馴染めるからだ。

お湯の中にカエルを入れるとビックリして跳び上がるが、水から徐々に温度を上げると気づかずに茹でられる…という残酷な例え話があるでしょ?僕は後者でありたいのだ。ビックリは危険。

 

怪しいアーチが呼んでいる3

ブッ…!閉まってるじゃねーか!!

当然ながらアーチの電飾も点いていない。

 

江古田コンパはいきなりしばらく休業したり、臨時休業することもあるとウワサで聞いている。ママは高齢だそうだしな…。

こりゃ空振りかな…。でもせっかく来たのだから数分ウロウロしてみようかな…。

 

怪しいアーチが呼んでいる4

しばらくお店の付近にいると、1人のおばあさんがトテトテ歩いてきた。そしてお店のシャッターをガラガラと開けた。

あっ!きっとこの人が名物ママ「長島さん」だ!

 

「お店に来たんですが、これから開店ですか?」って声をかけた。

すると長島さんは「これから準備するわよー。10分くらい待ってから来てね。着替えてお化粧して綺麗になっておくから。ムフン♡」と言って階段を登って行った。

 

怪しいアーチが呼んでいる5

とりあえず「マジかー。そりゃ楽しみですー。」って若干棒読みで返答しつつ、階段を登る長島さんの背中を見送った。

 

ロングドリンクス 自分で作る 処方

カクテル教室 コ ン テ ス ト

創作カクテル シェーク

 

アーチの左下にはそう書いてあった。なんだかわかるようなわからないような。日本語不自由なのか、この文面考えた人は…?

 

怪しいアーチが呼んでいる6

お店の入口で待っているのも、通行人から怪しい人だと思われかねないよな。江古田コンパのことをエロいお店だと思っている人もいるかもしれないし。

 

だからちょっと離れた自転車置き場の影から監視していたら、数分後にお店の電飾がビガガッと点灯した。

そのせいだかどうかはわからないが、自転車を発進させようとした若いお母さんが僕の横でズッコケ、助け起こしたりした。そのお持ち帰りの牛丼、崩れたりしていないですか?大丈夫ですか?

 

怪しいアーチが呼んでいる7

約束の10分が経った。…行くか。

いや待て。何で僕はおばあさん約束なんかでドキドキしているんだ。違う。これはときめいているんだじゃない、ビビっているのだ。

 

この昭和の歌謡曲番組の歌手登場ゲートみたいなのを、1人でくぐっておばあさんに会いに行くんだぜ。どういうテンションでいればよいのか。待ちゆく人の目には、僕はどのように映っているのか。

 

怪しいアーチが呼んでいる8

行くしかない。モジモジしていたらマジにヤバい人だ。

僕は無表情で煌びやかなゲートをくぐると、スタスタと階段を登り2階の店舗入口を目指した。

 

 

豪華なカウンターとカラフルな瓶

 

階段を登る。1階に何があるのかは知らないが、店舗は2階なのだ。

 

店内すごいぞ1

ペンダントライトが複数本ブラブラしている空間。向こうにマリリン・モンロー。あそこが店舗の入口だ。

 

店内すごいぞ2

根拠はよくわからないが、昭和テイストのあふれるドアだ。

丸い取っ手がそう思わせるのか。それともハンドメイド感のある花の絵柄がそう思わせるのか。…どっちもだな。

さて、店内はどんな様子なのだろうか。ドアを引く。

 

店内すごいぞ3

 

か、かっこいい…!!

 

すまん、心のどこかでこのお店をナメていた。

どうせおばあちゃんが自分の好きなように内装を整え、結果「物であふれた昭和の実家」みたいなノスタルジー空間が出来上がっているのだろうと、たかをくくっていた。

 

しかしここは違う。

左右に張り巡らされた重厚な黒いカウンター、赤い絨毯、酒の瓶の並ぶライトアップされたバックバー。

洗練らされた、文句無しにオーセンティックな空間だ。

 

店内すごいぞ4

長島さんが「お待たせ。さぁこっちに座って。」と言いながら現れた。

キチッとバーテンダー衣装に身を包んでいる。こちらも襟を正さねばならぬ。

 

あ、このタイミングで長島さんに許可を取り、店内の写真をいろいろ撮らせていただいたよ。

開店直後、他にお客さんのいない今が最大のチャンスだものな。

 

店内すごいぞ5

店内入って左側、中央付近のイスに座った。誰もいないときは基本ここになるぞ。

目の前には青くライトアップされた棚があり、まるで暗い水族館の中の水槽のように不思議な心地よさがある。

 

店内すごいぞ6

さらにその奥には、同一規格の瓶の中に色とりどりのお酒の入っている棚がある。

ちょっと他のバーでは見ない光景だ。

アメリカのお菓子屋さんでさ、カラフルなジェリービーンズをセルフサービスでスコップでワシャワシャ取るコーナーあるじゃない。アレを思い出したよね。ワクワクしてきた。

 

店内すごいぞ7

さっきの同一規格の瓶もバラバラの規格の瓶も、テプラが貼ってあってナンバリングと内容が書かれている。

あ、これはおばあちゃんっぽいぞ。

普通のバーだったらちょいとダサいが、このあとこのお店の空気を知った後は一周回って「クールだな」って思えた。

 

店内すごいぞ8

500円のおつまみを一品選べる。そしてチャージ料金は400円だ。

おつまみ不要な場合はチャージ料が900円になる。

 

どのみちドリンク以外に900円かかるのだから、おつまみオーダーしておけよって話だ。つまみ一切無しでお酒を飲むことを人生目標にしている人以外であれば。

 

店内すごいぞ9

お酒は基本的にショートカクテル。

所さん・日芸・ムサシ大学・令和・ながしま…。

 

???

お酒の名前に聞き馴染みがないぜ?そもそもこれ、お酒の名前なのか…??

 

 

ショートカクテル・チャレンジ

 

長嶋さんが「そんじゃアンタ、何が飲みたいんだい?どれもすんごくうんめェぞ?えぇオイ!?」って、独特のテンションで絡んできた。

一応好みだとかは聞いてくれるが、僕の経験上なんとなく”江古田の夜”という名物カクテルに誘導されることとなる。

 

僕は記念すべき1杯目を”ヨコハマ”にした。

 

カクテル1

「おぉ、なんだい。アンタ見る目があるじゃぁねぇか。」と長島さんが言い、後ろの棚の「ヨコハマ」と書かれたビンの中身と氷をシェイカーに入れてシェイクしだした。

そうなのだ、この店のカクテルはあらかじめ調合されてビンに入っている。

バーテンダーの役目はそれを氷と共にシェイカーの中で混ぜて冷やすことだ。

 

カクテル2

「はい、うめぇぞ、ヨコハマは」と言われて提供された。

ホテルニューグランドで発明されたカクテルだな。今でもニューグランドで飲めるけど、あそこで飲んだら2000円以上はする。ウチではたったの800円なんだ。800円でいろいろ本格的なカクテルを飲めて、すげぇんだからな。」と、いちいちドラゴンボールの悟空を彷彿させるイントネーションでしゃべりかけてくる。

そっか、オラなんだかワクワクしてきたぞ。

 

ちなみにこれとほぼ同じ説明は1時間ほどの滞在時間で5回は聞いた。

 

カクテル3

バーテンダーのおじさん、原さんが出勤してきた。

長島さんは「シャケトバをお願いね」と、僕のおつまみを原さんにオーダーした。ささやかなボリュームではあるが、鮭とばはうまい。

 

2杯目は名物の”江古田の夜”だ。このカクテルの創作者は長島さん。

カウンターの上には「アルコール度数80%」と書いてあるが、実際はもちろんそんなではないよ。80%のあったら喉が燃えるね。

 

原さんは「これ、作ったのでどうぞ」と生チョコを出してくれた。マジでうまい。

原さんはご機嫌になり、市販のチョコからいかに簡単に生チョコが作れるのか熱弁してくれた。物静かだが女子力高いおじさんだ。惚れる。

 

カクテル4

メニュー表に”ばった(蝗虫・ミント)”と書かれたお酒がある。

これ、グラスホッパーだよね、間違いなく…。バッタと表記されるとは…。なんだか虫の汁みたいじゃないか。

 

しかし僕の好きなデザートカクテルなのだ。長島さんに「グラスホッパーのことですよね?」と確認を取り、オーダーした。

 

カクテル5

うん、うまい。バーでこれで締められると幸せな気持ちになる。

いい感じに酔い、僕は2軒目を探してまた江古田の町を1人徘徊し始めたのだが、それはまた別の機会に書くとしよう。

 

別の日の訪問時のメニューを書いていくぞ。

 

カクテル6

ブルームーン”である。有名なカクテルだよね。ジンベースでスミレとレモンの香りのするスッキリかつフルーティーなカクテルだ。名前もよい。

 

カクテル7

おつまみにはナッツをオーダーした。僕はナッツが大好きなのだ。リスと同じくらいにナッツが好き。

長島さんは「ショートカクテルつぅのはよ、3口でグイっと飲むもんだ。でもアルコール度数が高いから必ずチェイサーの水が一緒に出てくる。ショートカクテルと一緒に水が出ない店は偽物だからな。」と謎に息巻いている。

 

モタモタしているとカクテルがぬるくなるから、昔はそのように言われていたよね。

僕はそこまで職人気質ではないので3口で飲むことは少ないが、おいしさが持続しているいうちに飲むようにはしている。

 

カクテル8

”所さん”という名のカクテル。

所ジョージ」がこのお店に来たときに調合したレシピで作られているカクテルだ。このお店、自分でオリジナルカクテルを作ることもできるのでね。

よくわからないが、黄色ってなんだか所さんっぽいよね。幸せ色。

 

カクテル9

”グラッドアイ”。グリーンミントの香りがほとばしる、さわやかさ全開のカクテルだよね。グラスホッパーと同じく、僕はデザートカクテルとして飲むことが多い。

 

3回目の訪問時は、”令和”という名のカクテルで幕開けとした。

 

カクテル9

レシピはよくわからない。僕は特にレシピを知りたいとも思わないタイプで、見た目と味わいと雰囲気だけを重視する。

ラムっぽい?よくわからないが、おつまみのポッキーのチョコ味にとても合う。

 

カクテル10

メニューにはないが、この店に”ニコラシカ”があることは、以前近くにいたお客さんのオーダーを見て知っている。よしっ、ニコラシカ行くか。

 

これは原さんが作ってくれる。

ニコラシカはブランデーを注いだグラスの上にカットレモンと砂糖を乗せたものだ。レモンごと砂糖を口の中に入れてしばらく嚙み、そのあとブランデーを一気飲みする。こうして口の中で完成するカクテル。当然結構強い。

 

オーダーすると長島さんは「うほほー!知ってるねーアンタ!」と喜ぶ。

そして「飲み方知ってるかい?そうだよ、知っているのか、すごいね!30回は噛むんだよ!」とコメントしてきて、ちょっと離れたところにいる原さんに「30じゃ多いよ。20でいい…。」と冷静なツッコミを受けている。

 

ニコラシカはうまいが、一気に飲むから口から胃まで熱が一気にこもるぞ。

 

カクテル11

”サンダークラップ”をオーダーした。

長島さんは「サンダークラッ」という惜しいところで切れてしまったビンを手元に引き寄せるが、他のお客さんとの会話に夢中になり、「サンダークラッ」のビンが一本だけ寂しそうにたたずんでいた。

 

しばらくしてこのビンの不自然さに気づいた長島さんが「?」って顔をして本来の位置に戻そうとする。

すかさず「あ、それ僕がオーダーしてまだいただいていないヤツです」と説明した。

急かすことも焦ることも無いのだ。江古田の夜は長い。ゆるく行こうぜ。

 

カクテル12

雷鳴という意味のなかなか強いカクテル。しびれるぜ。最高だ。チェイサーの水もうまい。

 

あと、メニューにはないが”レインボー”という7層に分かれたとんでもないカクテルがある。作るのに非常に技術のいるカクテルを原さんが作ってくれる。

それなりに高価だが、あなたがもし興味あるならオーダーしてみるといい。

 

それとさっきちょこっと触れたとおり、この店ではオリジナルカクテルを作ることもできる。

長島さんとお客さんの会話が弾んだとき、あるいはこっちから会話を振ると専用のメニュー表を見せてくれる。

 

カクテル13

僕はやったことないので知らない。自分でやると失敗しそうなので手を出すつもりもない。

だけども興味のある方はやってみると楽しいと思うよ。自分でカクテルの名前もつけられるし。

 

1年に1回でその年の大賞を確定させ、大賞になると店内に貼りだされる。正規メニューになる可能性もあるから夢があるよね。

 

 

愉快なばあちゃんと仲間たち

 

…とまぁ、ここまでは江古田コンパのカッコいいところをメインに取り上げてきた。

ただし避けて通れないのが長島さんのキャラクター。むしろこのキャラクターを受け入れられなければ江古田コンパニの敷居はまたげない。

 

江古田の夜1

事前にほんのちょっとテイストは知っていたが、実際に話すと強烈なクセしかない人だな、長島さん。

初回、「江古田の夜をください」と言うと、「そっかそっか!江古田の夜か!♂♀だなー!」と謎の反応を示された。ちょっと待て、今なんつったよ、このばあさん??サラッと放送禁止用語言ったよね。

 

まぁ息を吐くのと同じくらい普通に下ネタを言う。

手持ち無沙汰になると「♂♀!♂♀…!」って、蒸気機関車の走行音みたいなリズムで繰り返している。

男女グループが来たときなど、♂♀の数でカウントしている。

 

江古田の夜2

イケメンが来ると素直にメッチャ食いつく。経験を聞いた来たり「今どきの…」とか言い始めたり、「みんな学生時代にここに来てお酒のことも性のことも勉強して大人になっていくんだ!」と語りだしたりする。

 

このノリが苦手だったらこのお店は向いていないだろう。

僕は別に好きではないし1人で入店するからワイワイと盛り上がることはできないけど、一緒にいるお客さんや長島さんとほどほどに歩調を合わせることならできるし楽しい時間を過ごせるから大丈夫だ。

 

常にクールで真面目な原さんとのギャップがまたいい。原さん、きっと何10年も長島さんと組んでいるからか、下ネタを聞いても眉1つ動かない。

 

江古田の夜3

でも、長島さんは半分ホスピタリティ、半分天然であろう。

触ってくるようなことはなく、あくまで客商売の一環としてやっている。

まぁ京都名物の生八つ橋を口に突っ込まれたことならあったけどね。常連の女性のお土産の生八つ橋がふるまわれ、「”あーん”しなさい!私がアンタに食べさせてやりてぇんだよぉぉ!」と言われたので。

 

江古田の夜4

10数年ぶりに食う生八つ橋が、こんな店でばあちゃんに口に押し込まれたものだったとはな。人生って何が起こるかわからんよね。

 

江古田コンパは創業70年ほどであり、長島さんは40年以上ここを営んでいるという。

「みんなでワイワイ飲みましょう。それがコンパの意味。もともとはドイツ語。」・「かつては日本のいたるところにコンパがあり、学生とか若い人であふれていた。みんなそこで大人の社会の勉強をした」・「今ではコンパという形態のお店は日本でここだけ」と長島さんは語った。

 

バーともスナックとも居酒屋とも違うこの空間。なるほどこれがコンパか。うまく表現できないけど、これを表す言葉がコンパなのかな?

旅人宿に悪酔いするメンバーが集結してしまったときの夜に近い雰囲気だ。

 

江古田の夜5

隣のグループと旅の話で盛り上がったこともある。

僕が日本を何周もし、車中泊したり旅人宿で出会った人と飲んだりしているスタイルを大興奮しながら「すげーすげー!」と聞いてくれた人もいた。

こういう出会いがいいよね。旅人宿での出会いもいいし、こういうお店での出会いもいい。

 

江古田の夜6

初回訪問時、長島さんは「すげぇんだから。江古田は学校がいっぱいある町だから、そのうち女の子がガンガン来るんだから。」と言っていた。

「えっと、武蔵と日芸と…」と早々に詰まり、あとは原さんが淡々と引き継いでいた。

 

「そんで男女が出会ってカップルが誕生したりしてな。今まで25組が…」って自慢気に話していた。

その話は1時間ほどで5回ほど出たが、出るたびに「23組が…」・「21組が…」と減っていっているのが謎だった。新手の怪談みたいにカウントダウンされているぞ?

 

江古田の夜7

初回は結局女子は現れず、男性客が数名来ただけだった。長島さんは「そのうち来るぞ!そのうち来るぞ!すっげぇんだから!」と言っていたが。

 

長島さんが過去の賑やかだったころの時代の妄想に取りつかれてしまっているだけかもしれない。それとも本当にたまたま静かな夜だったのかもしれない。

つまりは一度だけでの訪問ではこの店の本質を見極められない。だから僕はもう何度か通っていることにした。

日本で唯一のコンパという店、もうちょっと知りたかったのだ。

 

江古田の夜8

こうして2回目以降はワイワイした空気、2つあるカウンターの両方が埋まるような状態となって、長島さんが忙しそうに「♂♀・♂♀!ベロベローー!」とか言いながら走り回るカオスな様子も見ることができた。

 

間を空けて3回目では「あら?見たことあるわね。」・「そうなのね。遠くからまた来てくれたので、うれしいわ、うふん♡」と言われたりもした。

 

江古田の夜はこれまでもこうして何10年も続き、そしてこれからも続くのだろう。

時代と共に人も形態も少しずつ変わるかもしれないけど、長島さんのあの元気で暴走する姿はいつまでも変わりなくいてほしいものだ。

 

 

店を出るとさっきまでの熱気が嘘のように、木枯らしが吹いていた。

ふりかえった黄色いきらびやかなアーチが、夢の終わりを告げていた。

 

以上、日本7周目を走る旅人YAMAでした。

 

 

住所・スポット情報

 

  • 名称: 江古田コンパ
  • 住所: 東京都練馬区旭丘1-67-7
  • 料金: チャージ&おつまみ¥900・ショートカクテル¥800
  • 駐車場: なし
  • 時間: 19:00~25:00(日曜定休)

 

No.338【宮崎県】海が十字に裂けている「クルスの海」!!ここで願えばきっと夢も叶う!

十文字に切り裂かれた海。そんなかっこいいビジュアルの景勝地が日向市にある。

その名も「クルスの海」だ。

僕は中二病だから十文字とかクロスとかって単語を聞いただけで「ヒョー!かっけぇぇ!」ってなる。英語だとクロスだが、あえてポルトガル語でクルスだ。うぉぉ、ダブルかっけぇぇ!!

 

 

細島半島にあり、「日向岬」の一部に属しているとも表現できる。

この日向岬ってヤツが大変魅力的でしてね、日向岬とクルスの海をセットで1つの記事にに執筆しようか三日三晩悩んだ。

だけどもそれだと書きたいことが多すぎてボリューミーになっちゃうから、とりあえずクルスの海だけをピックアップすることにした。

 

 

日向岬の話はまたいつかね。

 

 

トロピカルワールドにようこそ

 

そんな日向岬から1.5㎞ほど。車で走れば一瞬だ。そこに「クルスの海展望台」がある。

…が、まずはもったいぶって日向岬からクルスの海に向かう道中の光景をご紹介したい。なぜならそこがトロピカル感あふれていて大好きだからだ。

 

 

これは日本3周目。正確には日向岬の先端付近からクルスの海方面を眺めた図だ。もう画角にヤシの木が入ると脳は「ここは南国である」と勘違いする。僕は「その通りだよ、きっと」って口に出して答える。

 

 

この道なのだ。このとびきり晴れた日にここをゆっくりと走るのが好きなのだ。

ほんの1㎞ちょっとの道ではあるが、僕にとっては夢が詰まっている。こんな南国植物の並木道がたくさんあるから宮崎県、好きだぜ。

 

 

全く同じ構図を早朝撮影するとこうなる。

まさにハワイアンな常夏サンセットであり、オシャレにフルーツを盛りつけたジュースなんかを飲みながら眺めたい景色である。

 

ただ、実際はハワイじゃなくって宮崎県であり、夏じゃなくて真冬であり、サンセットではなくサンライズであり、僕はフルーツは食べられない。

あべこべだろ?誰がこの事態に収拾つけるんだい?まぁいっか。景色きれいだから。

 

 

ここが駐車場。ここもトロピカル樹木に囲まれていい雰囲気だ。

写っているのは僕の日本4周目の愛車のパジェロイオだ。

 

ちなみにだけどもここは充分な広さの駐車場があるが、自分以外の車が停まっているところを見たことが一度しかない。なぜだ。みんなここには来ないのか?こんな素敵なスポットなのに。

 

 

これは夕暮れの時間の写真。日本6周目、当時の愛車の日産パオで訪問した。

もう日が沈んでしまった後ではあるが、木々のシルエットが夕暮れ空にほんのり浮かんでいい雰囲気だった。

 

 

最後に日向岬とは反対側から駐車場を撮影してみた。あぁ、芸術的なまでにナイスなカーブを描いているじゃないか。

どこから見ても絵になるのだ。まだ駐車場の前後の道を紹介しているだけなのに、うっとりしてきた。クルスの海はまだ1ミリも出てきていないのに。

 

 

十文字に割れた海を見下ろす

 

それでは本題である。駐車場から海ギリギリの展望所までほんの少し歩き、柵ごしに絶壁の下にある海を見下ろす。

 

 

その図がこれだ。東西・南北と、それぞれ岩礁によって約200mずつ海が割れている。岩礁の高さは10mほどあるそうだ。

 

これが日本3周目で初めて僕がクルスの海を見たときに撮影した記念すべき写真。

なお、日向岬には日本2周目から通っているんだけど、そのときはクルスの海の存在をまだ知らずにスルーしちゃったのだよ。

 

 

日本4周目では、ほんの少しだけ引きのアングルで撮影してみた。

なんで海がこんな形になっちゃったのかというと、波や風による浸食だな。

 

もともとね、日向岬もなんだけども柱状節理っていう地形なのよ。

ここいら一体はマグマが冷えて固まってできている。マグマがゆっくり固まるとき、体積が縮んで縦に無数の割れ目ができるの。上から見ると蜂の巣のようにきれいな多角形に。これを柱状節理と呼ぶ。

 

 

柱状節理と言えば福井県の「東尋坊」だとかが有名だけど、とりあえず僕のブログで過去取り上げたスポットだと京都府の「やくの玄武岩公園」だとかかな。上の写真がそれだ。

 

やくの玄武岩公園、僕の記事の中ではアクセス数少なめで寂しい記事なので、この機会にアクセスしてみてほしい。下にリンクを貼っておくね。

 

drive-ns.hatenablog.com

 

そんな柱状節理だから崩れやすく、しかもここいらの海岸線はリアス海岸的な要素もあるから、波で壊れてまたまた十文字になってしまったというわけだ。

いくら柱状節理だからといってそうそう簡単に十文字になれるわけではなく、僕も日本中の奇岩スポットを巡っているが十文字の海なんてここだけだ。すごいのだ。

 

 

朝日を浴びるとより陰影もクッキリ写っていい感じでしょ?

日向岬で朝日を見るか、クルスの海で朝日を見るか悩んだけど、日向岬の先端で朝日を見ることにしてね、その後マッハでここに来たのだよ。

 

 

波が強い日は十文字部分に波がゲボゲボ入り込んで大変なことになっていた。こうやって長い年月をかけて岩のかたちも海のかたちも変わっていくのだ。

向かって左上の三角の岩、数100年後にはきっと削れてなくなるぞ。そうしたらもうクルスじゃなくなっちゃうから、そのときどう呼べばいいのかあなたも考えておいてほしい。

 

 

願いが叶うスポットとは…?

 

ここね、日向市の公式WebサイトGoogleマップでは名称が「願いが叶うクルスの海」ってなっているのよ。

前からそうだったっけ?10年前とか、そんなゴテゴテした名前だったっけ??

なんだか今はそれが正式名称だそうだが、当ブログでは"クルスの海"と表記させていただこう。

 

さて、なぜ願いが叶うと言われているのか。それは””の字をよく見てほしい。十文字に”口”が追加されると”叶”になるでしょ?

それを踏まえてもう一度クルスの海を見下ろすと…。

 

 

お、おぅ…?

なんとも言えないリアクションをしましたね、あなた。眉間に少しシワが寄りましたね、あなた。大丈夫、僕もだ。「”口”はどこ…?」ってなるよね。

 

 

これは現地の説明版を撮影したものだ。"口"、すげー小さい。マンボウも体に対して口がすごく小さい生き物だけど、クルスの海の口はもっと小さい。

それに海のかたちが"口"の半分も形成できていないし、説明版のように真上から見るなら百歩譲って解釈できるかもしれないけど、展望台からの斜めのアングルだとなかなか理解しがたいなって感じた。

 

 

ただし諸君よ、物事ってのは信じるところから始まるんだと思う。これ、人間関係も同じなんだと思う。知らんけど。

不信を信念に変えてくれるいいオブジェがここにあるのだ。

 

 

その名も「願いが叶うクルスの鐘」!!名称がまんまだ!必死だ!好き!!

これを鳴らせばきっと願いも成就するし、カップルも幸せになれるというぞ。

 

 

この鐘のオブジェは、人と人が支えあうような構図をイメージしているものらしい。助け合い・支えあい、大事。

残念ながら僕は何度も通いながらも一度も鳴らしたことはないが、縁起がいい地なのは確かだ。あなたが行った折にはぜひぜひブチ鳴らしてみてほしい。

 

 

オブジェの向こうの残照が徐々に消えゆく景色も眺めた。海際の断崖の上のオブジェ、これだけでなかなかに絵になる景色だ。

 

 

反対側の空から朝日が昇り、周囲を真っ赤に染めていく景色も眺めた。最高の1日が始まりそうな予感に胸が高まった。

 

僕は”恋人の聖地”的なスポットでは鐘は鳴らさない。ときどき誰もいないときに「どんな音がするのかなー」程度の興味本位でカランコロンすることはあっても、その動作に特別な願いは乗せない。ここクルスの海でも同じくだ。

 

でもね、僕の願いはここに来てこの雄大な景色を眺めた時点で、大体叶ってしまっているんだよ。そのくらい満足感のある景観なのだよ。

 

 

フェニックス並木のゆるいカーブを疾走しながら、次なるスポットに夢を馳せる。

以上、日本7周目を走る旅人YAMAでした。

 

 

住所・スポット情報

 

  • 名称: クルスの海
  • 住所: 宮崎県日向市細島
  • 料金: 無料
  • 駐車場: あり
  • 時間: 特になし