いいか、大事なことだから聞いてくれ。
性欲は、何か大きな夢を成し遂げるための大きな原動力となりうる。
たぶんだけど、そのエネルギーをうまく変換すれば蒸気機関車くらいは動く。
そのほとばしるエネルギーで、カオスとしか言いようのないB級スポットを作り上げてしまった男がいるという。
そのスポットは、ちまたで「アダルト保育園」と呼ばれている。
なんともかんとも、IQの低そうな、失笑をもらいながら存在していそうなネーミングである。
つまり最高だ。
オープンキャンパスはいつですか?
えっ、常時ウェルカムなのですか?
なら行く。すぐ行く。
ジジイは走るのではなく飛ぶ
旅友のFUGA君と共に、甘楽郡の山間部をドライブしていた。
目的は冒頭記載の通り、アダルト保育園訪問だ。
道はどんどん山深くなり「この先に保育園があるのか?」という不安もあるが、吊り橋効果に伴うトキメキに変換されてしまっているとも感じる。
アダルトとも保育園とも無縁そうな平和な山間部の道。
僕は助手席で「あと200m・あと100m…」とカウントダウンする。
だって、あと100m足らずでアダルト保育園が出てくるような道には、とても思えないからだ。
しかしGoogleマップは正しい。
圧巻の光景が僕らの前に現れた。
何も知らない人だったら、ビックリしすぎて事故るんじゃないかと不安になるようなスポットであった。
情報量が多すぎてめまいがする。
- 『ひろ~いのよ さあー!車から降りてミーナ!』
- 『そうです!ワタシがヘンなジイさんです(ダ・フンダ!)』
- 『(祝)日本作詞大賞「嵐を呼ぶ老いら」』
- 『令和2年 80才のエロ(レ)ジジイー!』
- 『園児 酒タバコOK』
- 『正気と狂気の狭間の芸術 圧巻 景観 達観』
うん、なに言っているんだコイツ…、ってなる。
大体全部わからないが、オーナーさんが80歳ほどのクレイジーなエロジジイであることだけはよくわかった。
右端には保育園の園歌と思われる歌詞が書かれているが、もう頭痛いよ僕。
…なんかね、身内にはいて欲しくないタイプのオーナーかもしれない。
わかってはいたけど。
誰かブレーキかけてくれる人はいないのか。いや、誰もブレーキかけられなかったのだな。
FUGA君も僕の横で車窓からこれらを見てポカーンとしていた。完全にOSのキャパを超えてフリーズしていた。
降りよう。
気持ちはわかるが、車から降りよう。
『ジジィのライバル!雄三(加山)と雄一郎(三浦)』
うん、じゃあその2人に謝ろうな、って思った。
無邪気すぎる80歳児、困ったものだ。
- ジジィは走るというより飛ぶ感じ!
- 駄目ヨ~ダメダメ 猪ちゃんだけーわ
- アダルトホ!イク!イク!えん
- ジジィは 今日も元気ダ。あや子様
- ハチミツもいいけどだんみつネ!
ジジィは走るというより飛ぶ感じなのは、今日初めて知ったわ。
異様にゴロがいい。口に出してみたい格言だ。
- 『「アダルト保育園」と「野外アート」と「屋内エロス」!』
- 『驚愕の大規模アート!』
- 『エラいもん(中條家)カ・モーン!カモン・かもん!ヘイ!家紋!』
- 『ワァオー!恐竜ダァ!大恐竜!ゴールデンザウルス!怖ーイ!』
もう、内容と字面がとんでもなくうるさいですね。
音の出ない騒音。
本来であれば秀逸な看板をズームして順次紹介していきたいところだけど、今回はこの距離でカンベン願いたい。圧倒されすぎて近づけない。
- 『ナニコレ!珍庭園』
- 『名勝 楽替園』
- 『ふれあいセンター 銘酒館』
- 『どっち こっち あっち』
コンセプトが散らかり過ぎて、何がしたいのかまったくわからない。
ホント、我々側が「どっち?こっち?あっち?」と迷子だよ。心の迷子。
右端部分を少し拡大してみよう。
とりあえず、大型観光バスの立ち寄りスポットになったのが心から嬉しかったようで、読んだこちらも笑顔になる。
…てゆーか、絵日記レベルのことを公道に向けて書くんだな、このオーナーさん…。
そしてある意味、Twitterのアナログ版のような行為でもあるな、と感じた。
唯一「清涼感があるな」と思って近づいた、風でカラカラ回るオブジェは、全て酒の缶だった。クレイジーだぜ。
どうだい、この密度。
全部説明していたら、このブログの月間使用容量をオーバーしてしまいそうだ。
にもかかわらず、まだ敷地内には一歩も足を踏み入れていないんだぜ。
では、いよいよゲートを開けて中に入ろう…。
テレビ直売・アダルトデンキ
公道を敷地を分断する柵のすぐ内側は、ガショガショした感じのメカに溢れていた。
うん、わからない。
「東大王」でも、これが何か即答することは困難であろう。
ただ、E.T.であればこれを使って故郷に電話しようとするかもしれない。そんな感じの造形である。
…って思ったら、いきなり電話あった。
E.T.はまずここで電話させればいっか。
そして剥き出しの家電にミニカーに…。
ここって風雨の影響をモロに食らうが、いいのか?
わりとメカには厳しい教育方針だ、オーナー…。
- 『テレビ直売コーナー』
- 『アダルトデンキ』
- 『家具コーナー(安いよ!)』
おっ、こんなところに電気屋さんあった。
値段は知らないし安いのかもしれないが、僕は雨ざらしのTVや石油ストーブは遠慮したいタイプの人間だ。
でも、日向ぼっこしている家電たちは気持ちよさそうだ。
その平和な光景に、思わず僕らも笑顔で記念撮影をした。
青空の似合う扇風機。
どこを冷やしているのよ、これ…。
そして『27年6月12日(金)』のタイムスタンプが意味不明すぎる。
不明すぎて自由過ぎて、もうどうでもいい。
アダルトデンキの隣は大人形展だ。
ずるいぜ、このセンス。
もう小屋の中にミッチミチに日本人形。
むしろ密になりすぎてそれらが屋外まで溢れている。
その向かいは、日本一雑な骨董市みたいになっている。
特等席に黒電話がふんぞり返っているところを見ると、アダルトデンキの影響力がここまで及んでいると推測する。
大人形展の隣は、大花見会エリアだ。
中央に位置するのは、宝の山桜。
しかし、おもくそ普通の物干し竿と、昭和の家にある和室の照明を、それぞれ無理矢理ピンクに塗ったものが括り付けられている。
泣いているぜ、山桜。
- 『老いらの砦』
- 『園児の楽園』
- 『園児用の飲み物』
- 『パワースポット!』
- 『あだると 生ビール ビヤガーデン』
- 『スナック・オットピン』
- 『参拝開運堂』
山桜の隣はこんな感じだ。
「花見には酒」と言わんばかりに、園児用ドリンクとしてビールが置いてある。
あとはもう、ツッコみ切れない。酒を飲んでどうでもいい気分になりたい。
ビアガーデンの奥は竹林となり、ちょっとしたデンジャーゾーンでもある。
いや、今までも充分にデンジャーゾーンだったのだが、この先は別テイストだ。
いきなり『危険!!不発弾!!』の文字が出てくる。
これまでの経験から、ここのオーナーであれば普通に不発弾を所持しているだろうという負の安定感があって怖い。
その前に立つ笑顔のコックが怖さにブーストをかけてくれる。
その後ろの犬が首から下げているプレートには『お金ちょうだい』と書いてある。
ナメてんのか。
ビアガーデンの隣なので、かつてのアメリカ大統領が、明らかに出来上がった顔で迷い込んでしまっている。
不発弾につまずかないかどうか、ハラハラしてしまう。
なんという愉快な庭園だ。
欲望まみれのディズニーランドみたいだ。
屋外アトラクションはこれで大体見て回った。次は屋内アトラクションか?
壇蜜を探してごらん、ほらいたよ
最後の項目だ。
いよいよ僕らは心臓部への扉を開けることとなるのだ。
振り返ろう。
オーナーのご老人は、特定の何名かの有名女性の名前を書き殴る傾向があるが、ことさら壇蜜さんの名前は頻出する。
絶対壇蜜大好きなのだ。これテストに出るぞ、抑えておけ。
TVをほぼ見ないし芸能界にも疎い僕であるが、これを機に壇蜜だけは覚えた。
今でも壇蜜の名前を目にすると、このアダルト保育園のことを思い出す。
なんてこった。
各所に『壇蜜⇒』の表示がある。
僕は壇蜜さんことを良く知らないが、好きな人であればゴキブリホイホイならぬ壇蜜ホイホイみたいになるであろう。
ま、僕も興味本位で矢印の方向に行くのだがね。
てゆーか『総合記念館』ってなんだよ。
そして壇蜜さんもこんなところに自分の部屋 が造られているなんて、1ミリも知らないだろうな。
『壇蜜の部屋 アダルトセクシールーム』
矢印は1つのプレハブ小屋を示す。
まずは外側を見て回ったら、なんかムフフな文言が書いてあった。
さらに奥へと進もう。
プレハブの中は二重構造でセキュリティやや高めであった。
いや、扉も鍵も無いんだけどさ。
ここが記念館とやらだ。
奥の方にはファンキーな字で『ご自由にお入りください』と書いてある。
- 『だんみつを見ずして帰るアホかいな』
- 『だんみつをさがしてごらんホラ居たよ』
- 『壇蜜を覗かず拝まず帰る人よ(アー!)お気の毒!』
- 『だんみつ→』
とにかく壇蜜愛が暴走を起こしていることは理解した。
うおっ。部屋の前に立った時点でエロスが溢れ出しそうになっているので、ちょっと黒いマスキングを使わせていただいた。
このブログは老若男女、安心して見てほしいからな。
壇蜜、コイツはヤベーぜ。
よいしょーーッ!!
なんか肌色が多めの写真だらけの部屋!!
ちょっとこれリアルにR18なので、画質を極端に落としてわからないようにした。
なんだこれ…。
マジに中学生がそのまま大人になってしまったかのうような世界観だ…。
アダルト保育園の名前の真髄、しっかり腹落ちしたよ。
これ以上のネーミングなんて、きっとこの世に存在しないよ。
中に入れる小屋は他にも何点かある。
その1つが、上記である。
- 『走れ!ジジィー』
- 『走れエロス!』
- 『老い等の老い楽』
- 『のぞいて見る?!』
- 『ヤバイヨやばい。』
- 『ほんまヤバイ 』
もちろんここも、中はカオスだ。安定品質だ。
(他と比べれば)一見まともそうな小屋内だが、テーブルの上に置かれているものがまともではない小屋もある。
日本の秩序とか常識は、ここではあまり通用しないのだ。
僕らは確かに今、異世界にいる。
ディズニーランドは夢と魔法の国なら、ここは混沌とエロスの国なのだろう。
カオスとエロスの集会場
僕らは、ここのオーナーさんには出会えなかった。
しかし、ここまでに記載した通り、令和が始まったころに約80歳の、バイタリティ溢れるおじいちゃんがオーナーさんだ。
名前が「中條さん」であろうことも、ここまでの記事や写真を見ていただければ推測できたことと思う。
保育園の一角には、オーナーさんがこの施設の建設に着手し、どんどんカオス化が進む様子、そして観光客なども訪れている様子などがパネル展示されていた。
もともとはここは、地域の集会場としてオーナーさんが整えたのだ。
地域の納涼祭・花火大会などを実施したときの資料・展示物・記念写真なども一緒に掲示されていた。
そのうちにどんどん趣味が高じてこじらせて、廃材アートと壇蜜の含有率が増えていったようだ。
Googleマップのストリートビューを見ると、まだ僕の訪問時よりもおとなしい。
そして、Webサイトを訪問しても、そのときそのときで看板の内容が異なり、サグラダファミリアのように進化し続ける施設であることがわかる。
奥さんは、そんなカオスとエロスの城の成長を黙って見守っているそうだ。
自宅の壁がこんなになっても。
そのうち夫婦間にとんでもない事件が起こりそうで、そっちも怖いな。
いや、80歳まで連れ添っているのだから、オーナーさんのことを全て把握しているのか。
好きなことをとことん突き詰める。
それはドライブと旅が好きである僕にとっても理想の生き方だ。
ただ、ある程度 自分を客観的に見ておくのも必要だ。
しかし、こじらせるなら、とことんこじらせるのだ。
僕の行きつく先は、いったいどんななんだろう?
僕もたいがい「子供っぽい」と言われる。
何保育園を作ろうか、今から考えておくのも悪くないかもしれない。
以上、日本6周目を走る旅人YAMAでした。
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