週末大冒険

週末大冒険

ちょっと出かけてみないか。忘れかけていた、ワクワクを探しに。

No.171【静岡県】キミが苦労して登る、その坂の先に栄光あれ!!超絶景「薩埵峠」突撃!

どいつもこいつもさぁ、「富士山」を見せておけば日本人は喜ぶと思っていやがる。

 

正解だよチクショウめ!富士山最高だろ!

この国に富士山が無かったら、それはもう日本とは呼べないだろ!

 

…では、今回は富士山の絶景スポットを訪問する話だ。

そのスポットの名は「薩埵(さった)峠」。

 

名前を知らない方もいるかもしれないが、そうであってもここからの写真をどこかで見たことがある方も多かろう。

 

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間もなく冬が始まろうとする日。

早くも沈もうとする太陽に照らされて赤く染まる富士山。

 

それはもう、息を飲む美しさだったよ。

 

 

東名高速はドラマティックに

 

今回の舞台がどこにあるのか、最初に頭に入れておいていただきたい。

 

 

…ここである。

ちょっとこの縮尺だと富士山は入らなかったな…。

 

ちなみに富士山は北東(右上)の方角にある。

そこそこの距離はあるものの、海を挟んだ向こう側に富士山が見える点もこの峠の素晴らしさの1つだ。

 

もう少し拡大しよう。

 

 

薩埵峠、東名高速道路に面していそうだがそうではなく、海沿いを走る国道1号に面してそうだが、そうでもない。

 

2次元的に考えればメッチャ近所なのだが、この辺りは海ギリギリまで山が迫り出している地。

薩埵峠はそんな海を見下ろす山の中腹にあるのだ。

 

どれだけその山が険しいのかは、上の地図にてまともな道路が東名高速国道1号しかないことからおわかりいただけるであろう。

大金積んでドカンと作ったこの2本の道路以外は開通困難なレベルで山深いのだ。

だからアプローチもひと癖ある。

 

そのようなヘビーでちょっと人を寄せ付けない立地ではあるが、東名高速道路でこのエリアを走ったことがある方はみんな、この薩埵峠の片鱗を味わっているはずだ。

 

 

あえて100mほど手前のシーンをGoogleマップストリートビューから拝借した。

 

愛知県側から神奈川県側に向かう、東名高速道路

これまで山しか見えなかったエリアから、トンネルへと入る。

そのトンネルを抜けた瞬間、進行方向の眼下に太平洋が広がり、続いて雄大な富士山が姿を現す。

 

東名高速道路で屈指のドラマティックな場面だ。

よかったらその感動を一緒に味わうべく、上のストリートビューをあなた自身の操作で2・300m進んで見てほしい。

 

このトンネルの名前、ご存じか。

「薩埵トンネル」だ。

ここを走った人、脳が記憶したかどうかはさておき、トンネルの銘板が目に入っていたはずだ。

 

そしてこのトンネルの上のさらなる高みから絶景を眺めるのが、薩埵峠なのだ。

 

 

あえての由比側攻略

 

国道1号線を西に向かって走っていた。

助手席から「後ろに富士山が見えてきたよ!」と声が聞こえた。

ただ、運転席の僕が見えるはずもなく、撮影だけ頼んでおいた。

 

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激坂攻略1

ここ数時間、雲の中にお隠れ遊ばせていた富士山が、ちょうど姿を現したのだ。

やった。

富士山の見えない薩埵峠を目指すことに残念さが滲みだしていたところだが、これで僕の人生は盛り返せる。

 

さぁ、ここから薩埵峠に登るぞ。

ルートは東西の2つある。

 

  • 東ルート(由比側):距離長く道狭く激坂。擦れ違い困難。
  • 西ルート(興津側):距離やや短く、ややなだらか。擦れ違いなんとか可能。

 

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激坂攻略2

あなたは東西どちらがお好みか。

ちなみに僕は、もう既に東からニョロッと狭路に入り込んだ矢先だ。

 

国道1号を反れて一本山側に入っただけで、信じられないほどのローカルな世界観が始まるぞ。

 

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激坂攻略3

距離にして、ここから3㎞ほどであったろう。

しかし、なかなか印象深い3㎞であった。ワクワクドキドキの充実した時間をありがとな。

 

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激坂攻略4

国道1号から山側に、100mほど狭い登り坂をウオンウオン言いながら上る。

愛車の日産パオは馬力が無く、既にもういっぱいいっぱいだ。

すると上の看板だ。左に2.9㎞で薩埵峠とのことだ。

 

この先は、家の立ち並んで歴史のある狭い街道エリアと、ミカン畑を掠めるローカルなエリアとかが小刻みに連続する。

 

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激坂攻略5

このくらいであれば、以前の愛車のHUMMER_H3でもなんとか行けるかもしれない。

擦れ違いもまだできそうだ。

 

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激坂攻略6

左手を見ると、東名高速国道1号

ついでに鉄道の東海道本線がチラリと見えている。

 

この東西を結ぶ大動脈の3つをギュッとまとめてここに通さねばならないような立地なのだ。本当に海ギリッギリに作ったのだ。

 

この3本はすぐ左手に見えてはいるが、あっちとこっちを直接繋ぐ道は極めて少ない。

こちらのほうが、もうかなり標高が高いからだ。

 

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激坂攻略7

圧迫感のある家の隙間を通っていく。

今でこそ海側に国道1号があるが、この道こそが古くからある東海道だ。

ずーっと昔から、物流・旅人、何もかもがこの道を利用していたのだ。

 

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激坂攻略8

右側の山肌がえげつない。もともと右から左にかけて、すっごい斜面なのだ。

そんな中をクネクネと街道が通っている。

 

「なんだかんだで、あんまり傾斜は無いではないか」と思われるかもしれない。

まぁそれも今のうちだ。

この先の狭路や激坂にビビったところで、ちょっと車を停めて徒歩で行けるような駐車場はもうないぞ、たぶん。

 

いきなり目の前に現れた壁に、僕は一瞬「マジかよ…」って車を停めた。

 

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激坂攻略9

なかなかにゴキゲンな角度だ。

 

「左に反れる道が正規ルートであってほしい」と祈ったが、薩埵峠を指す標識はしっかりと右側…ってゆーか上を示していた。

坂もすごいし擦れ違いは100%無理だな。腹くくるか。

 

 

記念にGoogleマップストリートビューからも、同じ場所の写真を掲載しておこう。

 

「狭い狭い」と言いながらやってきた道が、いきなりさらに半分くらいの狭さになるわ、天空に向かい始めるわで、笑い止まらんですワハハ。

 

 

激坂・激狭、目指せ天空!

 

とんでもない斜度の坂だ。

非力な愛車のパオが「わ"ーーーッ!!」って聞いたこともないようなエンジン音を出している。

僕もだ。「わ"ーーッ!!」と叫んで共鳴した。

 

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激坂攻略10

すごいな、パオでこの坂を登れるということは、世の中の軽自動車であっても大概は登れる。

どんな車も大抵は薩埵峠まで行けるということだ。

 

ゆっくりゆっくり登っていく。

無理したら本当に、パオちゃんが事切れる。

 

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激坂攻略11

一気に随分高いところまで来た気分だ。

ただ、道は細いしガードレールが無い。

これもし対向車来たら、僕は左に目いっぱい道を譲り、そして太平洋に転げ落ちるだろう。

 

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激坂攻略12

左側を覗き込んでみた。

ごらん、東名高速がもうあんなに下に見えているよ。

なんかゾクッとするような怖さと美しさよ。

 

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激坂攻略13

ガードレールが出てきた。少し心が軽くなる。

 

だが道は狭い。

途中でミカン畑の作業をしている軽トラの脇をギリギリで擦り抜け、そして道の端に置いてあったであろう作業棚が壊れて倒れている脇をもっとギリギリで擦り抜け…。

 

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激坂攻略14

このくらい道幅があるとホッとする。

斜度もさっきのようにアホみたいなレベルだったのは200mほどであり、その後は安心して走れるレベルとなった。

 

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激坂攻略15

ただ、まだまだ標高は順調に上がっている。

東名高速道路がミニチュアみたいになってきたので、それが理解できた。

 

よくご覧いただきたい。

もうこの辺りは海沿いの平坦な土地がなくなっちゃっているので、地面は鉄道や国道1号に譲り、東名高速海上を走っているのだ。なんてこった。

 

もうすこし西(右側)を見てみよう。

 

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激坂攻略16

ため息が出るような、美しい東名高速国道1号のクロスだ。

この角度を見れるのは当然、由比側からのアプローチ時だけである。

 

国道1号は険しい薩埵峠をギリギリ迂回して海側を擦り抜ける。

東名高速は勢いよく山肌に突き刺さっているように見える。

 

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激坂攻略17

そうなのだ。

かろうじて見えてはいないが、画面右端に冒頭でご紹介した薩埵トンネルの東側出口があるのだ。

 

トンネルを抜け、海に飛び出た車たちは、眼前に聳える富士山にことどとく感動するのだ。

そんなおめでたいスポットが見えている。

 

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激坂攻略18

さぁ、もう少しだ。

時刻はまだ15時台だが、この時期の日没はとんでもなく早い。

 

太陽はもちろん薩埵峠の反対側に隠れてしまっているが、東側の富士山が夕日に照らされているうちに絶景スポットに到着したい。

 

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激坂攻略19

ようやく駐車場、見えてきた。

ゴールだ。

1台分だけ駐車場に空きがある。満車だったら泣いていたところだ。よかった。

 

 

ミカン無人販売と遊歩道

 

ミカンの木に囲まれた小さな駐車場に到着した。

たぶん駐車可能台数は8台か9台。なかなか狭い。

駐車場内にトイレがあるのはありがたい。

 

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展望台へ1

絶景展望台に行くには、ここから遊歩道を徒歩で数分だ。

車道から見ると駐車場を挟んで反対側。

富士山とは逆側に歩くのだと覚えておいてほしい。

 

遊歩道の入口にはミカンの無人販売所があった。

時間はちょっと前後するが、ここでミカンを記念に購入した。

 

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展望台へ2

『おいしいよ ありがとう』

『あまくておいしいよ ありがとう』

『みかん 1袋200円』

 

こんなにありがとうを繰り返す人の造るみかんが、おいしくないわけないですよね。

買うさ。

 

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展望台へ3

1袋に5個入っていた。

僕はミカンの善し悪しはわからない人間だが、後程食べた同行者が「おいしい」と言っていた。

その言葉だけで充分だ。

 

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展望台へ4

土地が瘦せていても、傾斜地でも育つのがミカンだ。

だから激坂の土地でミカンを見ることが多い。伊豆とか山口とか愛媛とか。

 

ミカンの特産地は激坂が多い。

これ覚えておくとお得。

 

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展望台へ5

駐車場からの眺めは悪くは無いのだが、高速道路や国道1号がほとんど見えない。

富士山の前に広がっているはずの海もあまりよく見えない。

やはり展望台に急がねばならない。

 

遊歩道の入口には木の杖が用意されていたが、健常者であれば不要と思う。

道はほぼ平坦だし、サクサク歩けば3分ほどだからだ。

 

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展望台へ6

こんな感じだ。よく整備された遊歩道。

 

しかし実はこれが東海道だ。

この遊歩道は由比側とは反対である興津側の下界からずーっと続いているのだが、それこそが東海道

東海道は駐車場を経て、ミカン畑の激坂を降りて、僕の今回のレポートの冒頭に繋がるのだ。

 

Googleマップで追いかけると、この遊歩道や興津側の下界の住宅地の中をクネクネと進む東海道の表記が見られる。

面白いからヒマな方はGoogleマップで追いかけてみてほしい。

 

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展望台へ7

そして展望台に着いたー!

 

あまり広い展望台ではない。

でも例の絶景を見ることができる唯一のスポットがここなのだ。

待ってました!!今までの苦労は全て、この瞬間のためにあった!!

 

 

東海道の絶景を見よ!

 

展望台に駆け上った。

もう何度もWebやポスターなどで見た光景が、目の前に展開された。

それはもう、カンペキに出来上がった、非の打ち所の無い構図であった。

 

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薩埵峠1

最高かよ。

 

上半分は赤い富士山。

下半分は既に日陰で青みを帯びる道路と青い海。

この対比が美しすぎる。

 

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薩埵峠2

本当にね、ほんの30分前までは富士山は見えなかったのだ。

しかしみるみるうちに姿を現した。

駿河湾越しの山々のさらに向こう、最背面から赤く幻想的に、この構図の全てをまとめてくれている。

 

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薩埵峠3

ちょっとズームしてみた。

霞の中から聳える赤富士は、もう威厳しかない。

 

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薩埵峠4

もっとズームしてみた。

富士山の山頂直下のジグザグな登山路が見えた。

急勾配と酸欠と闘う、シンドいところだよな、懐かしいぜ。

 

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薩埵峠5

目線を少し右にずらす。

円を描くように駿河湾が広がり、その向こうに工場地帯と山々。

富士の製紙工場と、箱根山地だろうね。

あそこはまだ夕日に照らされている。

 

さらに右を見てみよう。

 

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薩埵峠6

水平線に浮かぶ陸地は島ではない。

伊豆半島だ。

中央の盛り上がっている部分が「天城越え」に当たる部分だろう。

駿河湾越しに全部見えている。

 

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薩埵峠7

足元も見てみよう。

左から鉄道・国道1号東名高速だ。

淡々と走って行く車や電車はまるでジオラマのようで、ずっと見ていられる。

 

前述の通りだが、東西の交通の要(かなめ)がこんな狭いところに集結しているのだ。

台風の日には、海水が鉄道部分にまで飛んでくるぞ。

 

でも、これでも相当がんばって開発したのだろう。

だって昔は今僕の立つここが東海道だったのだから。

 

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薩埵峠8

展望台に掲示してあった説明板の絵を掲載しよう。

 

東海道五十三次」の1つ、薩埵嶺の絵だ。

まさにここからの構図を、「歌川広重」が絵に描いて残している。

左上の激坂に佇む旅人が、この峠の険しさを体現している。

絶景ではあるが、東海道随一の難所だったのだ。

 

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薩埵峠9

今と昔とをこうして対比できる地。

交通の進化を感じ取れるけれども、ずっと変わらない富士山も同時に眺められる地。

なんてステキなのだろう。

 

幸いなことに、こんないい眺めなのにここにいる人は数人で、僕はゆっくり数10分ほどこの景観を堪能できた。

遠景だし見る場所はほとんどここ一択なので、構図に動きはない。

だけれども、時間と共に変わりゆく絶景は全く飽きなかった。

 

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薩埵峠10

三脚を設置して長期戦の構えの人もチラホラいたが、夜景まで待つつもりなのだろうか?

それもまたいいかもしれない。

 

だが、僕は暗くなる前に山を下りることにした。

また由比側の激坂を使って下ろうと思っているしね。

 

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薩埵峠11

徒歩でも車でも、ちょっとアクセスの難しい薩埵峠。

ましてや富士山をしっかりと見ようとするなら、運も味方につけないといけないかもしれない。

 

そんなあなたへ…。

さっきの僕の展望台の写真に、チラリとライブカメラが写っているのに気付いていただけただろうか?

「薩埵峠_ライブカメラ」で検索すれば、誰でも""今"の薩埵峠を見ることができる。

 

かつて東海道を難所を乗り越えた旅人よ。

令和時代の東海道がこれだ。令和時代の富士山がこれだ。

雲の上からなのか、はたまたライブカメラの向こう側からなのか、世界に誇れるこの景色を見守っていてほしい。

 

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以上、日本6周目を走る旅人YAMAでした。

 

 

住所・スポット情報

 

  • 名称: 薩埵峠
  • 住所: 静岡市清水区由比西倉沢
  • 料金: 無料
  • 駐車場: あり
  • 時間: 特になし

 

No.170【岡山県】瀬戸内海に太古の世界が広がる!カブトガニと恐竜の住む世界にようこそ!

予備知識ゼロの状態で、瀬戸内海沿いをフラフラ走っていたときのことだ。

ちょっと間違えて狭い道に入ってしまったなって思ったら、視界にいきなり恐竜が飛び込んできて焦ったのだ。

 

免許を取る際に教習所で「"かもしれない運転"をしなさい」と言われたが、正直僕は「運転中に恐竜が出現する"かもしれない"」までを考えてハンドル握っていなかった。

不覚。

 

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恐竜の近くに愛車のHUMMER_H3を停めた。

なんだなんだ?ここはジュラ紀白亜紀か?

 

今回は、そんな真冬の出来事を執筆しようと思う。

 

 

カブトガニ博物館

無料の恐竜公園を探索しよう

 

経緯は前項の通りだ。

場所は笠岡市の瀬戸内海沿い。

 

本当は近くの県道を走ろうかと思っていたのだが、このあたりは少し道が複雑で、一本反れてしまったようなのだ。

それにすぐに気づき、Uターンしようかと周囲をキョロキョロした瞬間、遠くにティラノサウルスの頭があるのが目に入った。

 

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恐竜公園1

「何ごと!?」って思って、僕は一瞬フリーズしたさ。

 

だけどもそこは、幼稚園時代から恐竜大好きな男の子。

「よし、行ってみよう!」ってなってティラノサウルスの元まで車を走らせた。

1人旅はテキトー&フリーダムなのだ。

惹かれるものがあったら全部駆け寄る。

 

www.city.kasaoka.okayama.jp

 

さて、駐車場に到着して判明したのだが、ここは「カブトガニ博物館」という施設の一部だ。

屋外が「恐竜公園」となっており、この屋外エリアは無料で誰でも入れる。(博物館の開園日に限る)

 

なるほど、以前からカブトガニ博物館の存在は知っていたし、このすぐ近くの県道も何度か走ったことがある。

だけれども、こんな恐竜がいるとは知らなかった。

今回は道を間違えて良かった。

 

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恐竜公園2

とりあえず、一番インパクトのあるティラノサウルスの足元にやってきた。

なかなか大きい。

 

ティラノサウルスの下にいるのが、この僕だ。

ティラノサウルスは柵で囲ってあるので僕の方がやや前面にいるという遠近法にはなっているが、それでもティラノサウルスがかなり大きいことがわかるだろう。

 

横にはソテツ、そして後ろには「ビッグサンダーマウンテン」みたいな岩山があり、雰囲気もたっぷりだ。

 

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恐竜公園3

ティラノサウルス、喉や首が真っ赤だな。

こういうタイプのティラノサウルスは初めて見た。

 

ジュラシックパーク」で歓喜した世代としては、体格や模様にちょっと違和感があるけど、少なくとも化石から色や模様はわからないしね。

自由なのだ。恐竜はイマジネーション。

 

そしてさらに、岩山をよく見ていただきたい。

 

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恐竜公園4

プテラノドンがいる。

ちょっと翼がコッチコチに固まっていそうな雰囲気であるが、今は2月だ。

彼らも寒さでコッチコチ。非常に納得である。

 

園内の説明板を改めて見てみた。

この恐竜公園には、7種類8体の恐竜がいるとのことだ。

 

そして公園は3つのエリアに細分されている。

今僕がいるのが砂漠ゾーン。他には海ゾーンと森林ゾーンがあるという。

わかった、全部行く。

 

ちなみにここ砂漠ゾーンには2体のプロトケラトプスがいたのだが、小さくてあまり迫力なかったので、写真には納めなかった。今は後悔している。

 

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恐竜公園5

海ゾーンだ。

実際はやや小さめの池のようではあるが。

 

そこにいるのは1体のみ、エラスモサウルスである。

青いなー、すごい青み。

 

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恐竜公園6

そんで切羽詰まったお顔をしてらっしゃる。

絶対に「あ"あ"あ"あ"ぁ…!!!」とか言っている。

 

言わんこっちゃない、2月の池になんか飛び込むからだ。

そんなことやってるから、あんたら滅びたんだぞ。

 

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恐竜公園7

最後は森林ゾーンだ。

首のカーブが美しい、ディプロドクス。

大きいしカッコイイ。さすが最大規模の恐竜だ。

 

ただ、首や体部分の模様がキリンぽくって、顔を見ない限りは何となくキリンをイメージしてしまう風貌だ。

 

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恐竜公園8

池の向こうにいるのはアパトサウルスだ。

この池には、さっきのエラスモサウルスもいる。

 

あっちにはどう行けばいいのだろうか?

ちょっと周辺を見渡してみたが、わからなかったので池越しの撮影に留めた。

少なくとも敷地の整備の人とか、絶対に行けるようにはなっていると思うのだが。

 

そしてアパトサウルスも独特の模様があるね。

このザックリした黒と白のカラーを見ると、なんとなくマレーバクを彷彿とさせてしまう。

実際のバクとは模様はずいぶん異なるのだが、このずんぐりした体格もあり、「バクみが強いな」と感じた。

 

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恐竜公園9

林の中にいるのはイグアノドンだ。

木々の葉っぱを食べている。

一番森林ゾーンっぽいシチュエーションだ。リアルな木をうまく利用した配置も見事だ。

 

そしてもう1匹、木立の中でゴソゴソうごめく気配が…!

 

いや、そんなハズはないのだが。

撮影しなかった2体のプロトケラトプスを含め、これで8体すべて見たのだよ。

さらに、ここの恐竜は実際に動くようなギミックは無いはずだ。

 

…って思ったら、芝刈りしているおじさんだった。

ビックリした。

そうだよね、のどかな平日の昼下がりで観光客も少ないから、ここぞとばかり芝刈りだよねー。ごくろうさまです。

 

 

恐竜にかける熱い想い

 

カブトガニ博物館の公式Webが、恐竜公園のかっこいい動画を作っているので、まずはそこへのリンクを貼らせていただこう。

 

www.youtube.com

 

…まぁ、この動画の中でもプロトケラトプスの扱いが小さいことにお気づきいただけるであろう。

そりゃ僕も写真を撮らずにスルーするわ。

ごめん、プロトケラトプス。

 

さて、そもそもなんでここに恐竜たちがいるのか。

このカブトガニ博物館のWebサイト内に説明がされているので、要約してご紹介したい。

 

ひとまずこの恐竜たち、実際に岡山県にいたものではない。

カブトガニの時代のイメージをよりパワフルにするため、ヨーロッパからアジアにかけて生息していた恐竜たちを再現したのだ。

 

そしてこれらは遊具的に楽しんでもらうものでは無く、ガチに真面目に作っている。

恐竜にかけては国内で第一人者である教授だとか、アメリカの博士だとかが検討を重ね、筋肉・シワ・ポーズに至るまで考えぬかれたものなのだそうだ。

 

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でね、現地で僕がディプロドクスを見て「キリンみたいだ」って思ったけど、これもあえての配色だったらしい。

 

「同じような場所で同じような生活をすれば、同じような模様になるかもしれない」と考えた結果とのことだ。

そんな感じで、これまでの恐竜図鑑に描かれていたものとはちょっと異なる再現となったそうだ。

 

そして、こういう本格的に作った恐竜公園としては、国内初なんだって。

そりゃスゲーです。

 

参考までに恐竜公園がいつできたのか調べようとしたけど、明確にはわからなった。

カブトガニ博物館ができたのが1990年なので、きっと同時なのだろう。

 

 

カブトガニの育つ地

 

ここはカブトガニ博物館。

あくまで主役はカブトガニである。

そして僕もカブトガニ好きだけどさ、ちょっと先を急ぎたかったので中には入っていない。

従い残念だが、内部のことまでは語れない。

 

だが、この周辺は野生のカブトガニが生きる貴重なエリアである。

そのあたりを少しだけご紹介しよう。

 

ja.wikipedia.org

 

…あ、その前にあなたはカブトガニはご存じか。

あの2億前から姿の変わらない、生きる化石だ。

甲羅がカッコいいが、裏返すとちょっとグロいヤツだ。

気になるならWikipediaさんに教えてもらうといい。

 

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神島水道へ1

はい、雑な周辺MAPだ。

このカブトガニ博物館の周辺の深い入り江、「神島(こうのしま)水道」ここが日本で最大のカブトガニ生息地域である。

 

ここは干潟である。

ドロドログチャグチャな感じで、でも汚いわけではない綺麗な干潟。

そんな泥の中でカブトガニは生きている。

 

でもこういうところってどんどんコンクリートとかで固められていくし、ゴミとか漂流物で汚れていき、カブトガニは絶滅間際なワケだ。

 

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神島水道へ2

そんな中でも、キチンとカブトガニの育つ環境を維持できている神島水道とその周辺。

そこを何度か僕は走った。

上の写真は神島水道の少し東、「沙美海岸」で車中泊から目覚めたある春のときの写真だ。

 

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神島水道へ3

まずは温暖な瀬戸内海の気候を好みで感じ取れ、そして海を見てその綺麗さに心を奪われるよね。

瀬戸内海、荒波を四国がブロックしてくれるので本当に穏やかなのだ。

 

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神島水道へ4

徐々に明るくなる海岸を散歩するのは楽しい。

ちょっと雲が多い日だが、それもそれでいい。

 

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神島水道へ5

ちょこちょこ車を停める。

 

ここは「青佐浜」というらしい。

どうやら穴ジャコ釣りで有名なところなのだそうだ。

 

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神島水道へ6

シャコって、なんか怖い見た目だよね…。

この当時の僕は、まだシャコを食べたことが1回しかない。(2022年現在でも2回しかない)

 

シャコも確か沿岸部の泥の中の生物。

カブトガニの後輩。こうやって瀬戸内海で繋がっているのだろうな。

シャコの魅力はよくわからないが、感慨深い。

 

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神島水道へ7

こうして神島水道に差し掛かると、防波堤にカブトガニ繁殖地を示す標語などが出てくる。

 

2憶年前から地球に生きる生物が、この防波堤のすぐ向こうにいるのだ。

恐れ多くてドキドキするわ。

 

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神島水道へ8

…と思ったら、すんごいデフォルメされたカブトガニのキャラクター。

全然恐れ多くない感じだった。親しみやすいデザインだった。

 

これ、カブトガニ博物館のマスコットキャラクターで、「カブニ君」というらしい。

その後、メスの「カブ海」と2016年に結婚して今は2匹の子供がいて…、みたいなサクセスストーリーがあるようだが、そこはよくわからん。

 

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神島水道へ9

ちょっと干潟の中を覗き込んでいた。

でもそんな簡単に見つかるものでも無いよね。

 

どうやら産卵シーズンだとパッと見つけられることもあるそうだが。

絶滅間近なんだから、巧妙に隠れていただいて正解。

 

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神島水道へ10

そう長い時間ではなかったが、こうして僕は笠岡市を去る。

すぐ西にはゴチゴチの工場群や埋立地が現れる。

 

ただほんのひととき、わずかな時間であるが、僕は2億年前を垣間見ることができた。

途方もない過去から現在に生きる、貴重なカブトガニ

彼らがこの先も生きていける環境を守っていきたいね。

 

彼らの時間軸で考えると、それは千年先・1万年先・1億年先になるのかもしれないが、それが1日1日の積み重ねであることが、人間だってカブトガニだって同じだ。

 

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神島水道へ11

1日1日を大切に。

そして…。

 

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神島水道へ12

 

★KABUTOGANI WO TAISETSUNI★

カブトガニを大切に

 

 

(…なんだこの終わり方は…)

 

以上、日本6周目を走る旅人YAMAでした。

 

 

住所・スポット情報

 

  • 名称: カブトガニ博物館
  • 住所: 岡山県笠岡市横島1946-2
  • 料金: ¥520(恐竜公園は無料)
  • 駐車場: あり
  • 時間: 9:00~17:00(休館日が不規則にあり、Webサイト参照のこと)

 

No.169【長野県】道がない!遭難危機!日本の中心「辰野ゼロポイント」を目指した冒険!

道なき山中を、GPSを握りしめて彷徨っていた。

 

とりあえず帰り道を見失わないように、木々には持参したスズランテープを巻き付けつつ歩いてきた。

心もとないが、それでも僕は前進したいのだ。

 

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目指すは北緯36度00分00秒・東経138度00分00秒の交会点!!

それは「辰野ゼロポイント」と呼ばれるスポットだ。

 

そしてさらに、そこは ― …。

 

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少なくとも僕の訪問時のGoogleEarthの日本版初期画面においての初期位置であったポイントだ。

 

時は2011年春。

 

ひと昔前の話で恐縮ではあるが。

当時の僕は、設立されて間もない辰野ゼロポイントの標柱を踏破し、観光客として最初にここを訪れた記録をWeb公開するという野望を抱いていた。

 

そんな若き日のチャレンジを振り返って行こう。

 

 

日本の中心に立ってみたい

辰野ゼロポイントとは

 

今回の舞台である辰野ゼロポイントとは、たくさんある日本の中心の1つである。

あと、「日本の地理的中心"00ポイント"」とも呼ばれている。

 

おっと、「いきなり何言い出すんだコイツ」みたいに思わせてしまって申し訳ない。

確かに日本の中心は1つしかないと思われるのが一般的な思考であろう。

 

ただ実は中心の定義って曖昧で、定義次第で日本の中心も無数に乱立しているのが実状だ。

ぶっちゃけ30箇所くらいある。

 

drive-ns.hatenablog.com

 

詳細については上記リンク先の【特集】をご覧いただきたい。

そしてこの無数の日本の中心を全部巡ってみたいと夢見ているのが、この僕だ。アホでしょ。

 

今回のターゲットの場所は以下の通りだ。

 

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北緯36度00分00秒・東経138度00分00秒。

 

日本には、端数の無い緯度と経度が、本土の陸地上で交差する点が40個ある。

(頑張って上の地図を作ってみたが、いかんせん手造りなので少し歪んだ部分は寛大な心で許してほしい。)

 

その40個の中心に当たるのが、辰野ゼロポイントだ。

…だが、なにをもって中心と呼ぶのか。

南北に分けても東西に分けでも真ん中にはならない。

だけども脳内でそれらを優しい気持ちでミックスすると、確かにここが日本の中心になりそうな気もする。

 

 

爆誕した日本の中心

 

あれは忘れもしない、2011年の1月のことであった。

僕はWeb上で1つのニュースを仕入れたのだ。

これ、2022年現在も残っているのでリンクを貼ろう。

 

www.town.tatsuno.nagano.jp

 

以下のように記載されている。

 

 辰野町と下辰野区は平成23年1月11日、北緯36度と東経138度が0分00秒で交差する大沢地籍の区有林内にある通称・ゼロポイントに「日本の地理的中心」と記した、高さ2mの標柱を建立しました。

 この地点は大城山山頂の北約1キロ地点にあり、上平出地区からは湖北衛生センターのほぼ西約500mの山中にあります。

設置作業には区役員と町産業振興課職員らが参加して行い、位置の特定はハンディタイプのGPS装置を使用しました。

 

(引用元:辰野町 Webサイト)

 

僕が、もうPC画面に穴が開くほどに何度も読み返し、咀嚼した文章だ。

だから10年以上経った今でも鮮明に覚えている。

 

さて、この記事から読み取れる辰野ゼロポイントとは、どこか。

 

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ツーリングマップルを開いた。

「湖北衛生センター」と「鶴ヶ峰」、「ゼロポイント」については少なくとも当時のツーリングマップルには掲載が無いので、僕が追記した。

 

あと、「日本中心の碑」というのが気になるかと思うが、これは別物だ。

また機会があったらこれについても語りたい。

 

上記の通り、ツーリングマップルには緯度や経度の線が縦横に薄く入っている。

従い、ポイントだけはすぐにわかった。

 

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すげー行きたい。誰よりも早く行きたい。

…ただ、どうやって行けばいいのか。

車道もないし、点線表記の歩道もそこまでは伸びていない。

 

そして、東から攻めるべきなのか、西から攻めるべきなのか。

これは等高線を見て西からの攻略がいいだろうと判断した。

 

すぐにでも行きたいが、長野県の山間部はドチャクソに雪が積もる。

ゼロポイントの標柱の設置作業も、雪の中ヒーヒー言いながら行われたそうだ。

春になったらすぐに行こうと思っていたら、東日本大震災が起きた。

 

drive-ns.hatenablog.com

 

そんなこんなで僕は被災地に複数回ボランティアに行くのだが、今回の冒険はボランティアの合間で行われたものだ。

被災地でガレキやヘドロ撤去してからわずか数日後の、まだ筋肉痛も言えない状態でのアプローチとなった。

 

 

第1次攻略戦

林道を走れ

 

 僕は辰野の町にやって来た。

実は過去に複数回、前述の日本中心の碑を攻略しているので、この付近の土地勘は多少ある。

 

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林道攻略1

まずはお馴染み、日本中心の碑を踏んでこうと思う。

景色が良くて好きな場所という理由もあるし、もう1つの理由もあるが、それは後述する。

 

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林道攻略2

狭い狭い住宅の中の狭路を抜けると、「林道王城枝垂栗線」に入る。

結構ガレガレのダートだ。

そして道は狭いし登り坂も急だ。

 

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林道攻略3

こうして日本中心の碑に到着した。

今回の記事の主役ではないから敢えて詳細は書かないが、でも実は僕の思い入れのある、大好きな日本の中心だ。

 

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林道攻略4

ここで着目頂きたいのが、碑に刻んである緯度経度である。

  • 北緯 36度00分47秒
  • 東経 137度59分36秒

 

僕は、自分のガラケーを取り出す。GPS機能があるのだ。

ガラケーGPSで緯度経度を測れば、全く同じ表示になるに違いない。

実は初めて使用するのだが、精度確認だ。

 

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林道攻略5
  • 北緯 36度00分58秒
  • 東経 137度59分26秒

 

うわっ、違う!しかもそれぞれ10秒も違う!!

これって痛くない?ヤバくない?

もー、盛り下がるわー、これーーー!!

 

でもここまでもう来ちゃったんだからしょうがない。

脳内で補正しながらゼロポイントを探すしかない。

 

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林道攻略6

プランは上記の通りだ。

現在地は左上の「絶景」と書いてあるところなので、しばらく車で移動する。

駐車予定ポイントにそこそこの広さの空き地があることは知っている。

 

そこからは徒歩だ。

上の図の青い矢印を見てほしい。

前半は点線の遊歩道がある。後半は遊歩道も無いが、等高線が右に突き出しているので傾斜は緩やかだ。

きっと尾根沿いに歩けば、ゼロポイントのすぐ近くまで行けるであろう。

 

では、行こう。

 

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林道攻略7

印象深いすんごいヘアピンカーブ。

そこに広場がある。何度も走ったことのある道だからな。

 

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林道攻略8

愛車のパジェロイオを停めた。

そして、今まで気にも留めていなかったのだが、ここから始まる獣道みたいな遊歩道がある。

今回はそこに入っていくのだ。

 

いざ!

 

 

たった1人の捜索戦

 

僕はもう20分歩いている。

変わり映えもしなければ、展望も効かない獣道がずっと続いている。

 

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山間部捜索1

誰もいない。全く人の気配がしない。

右も左も注意しながら進み、なんらかの手がかりを得ようとしているんだけど、何もない。

 

僕はさらにこの先、どこかしらから遊歩道を反れなければならないのだ。

その目印もないだろうから、とても不安だ。

ときどきGPSで現在地を確認してみる。

 

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山間部捜索2

なんとなく近付いていることは確認できた。

ただ、この先どうすればいいのかは示してはくれない。

 

ちょっと辰野の町役場に電話してみるか。

山の中から電話する。

どうやら週末だから観光担当の人はいないみたいだけど、代わりに出た職員のおじさんが「私にわかることであれば…」と言ってくれた。

 

「ゼロポイントを探しているのですが」と僕は言う。

おじさん自身は行ったことはないけど新聞等々で情報は僕よりも得ている様子であった。

  • 「車で行けるようなところではなくてね…」
  • 「大城山から天竜川方面に下った沢の近くの斜面だと聞いていますが…」
  • 「まだこれから遊歩道を作るので、かなり行きづらいと聞いていますよ…」

 

あまり有力な情報は得られなかった。

だけども行こうと思えば一般人でも行けることだけはわかった。

 

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山間部捜索3

数分歩くと「水晶岩」に続く分岐と鳥居が出てきた。

こんなところに神社があるのか…。

 

さらに進むと遊歩道は左右に分岐した。

そんなにはツーリングマップルには記載が無いぞ。

とりあえず右にも左にも行かず、直進して道なき道に入った。

GPSによれば、たぶんこっちなのだ。

 

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山間部捜索4

途中で腹が減ったのでランチにした。

 

食後、さらに道なき道をガンガン歩く。

ここは左右共にも比較的フラットなので、目指すゼロポイントの標柱が見えたりしないか周辺にを配りながら進んだ。

 

GPSから現在地を割り出すと、当初のゼロポイント想定位置とかなり近い。

しいて言えばここからもう少し北か。

 

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山間部捜索5

なんか周囲にロープが出てきて、「キノコ山だから入山禁止」と貼り紙が出てきた。

僕はその境界線を越えないように気をつけて捜索する。

 

そのうち、入山禁止ロープに阻まれて進みたい方向に行けなくなってしまった。

ゼロポイントがあったとしても入山禁止エリアでは標柱を立てられまい。

つまり、この付近にはゼロポイントはないのではないか。

そう判断し、僕は来た道を遊歩道まで戻る。

 

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山間部捜索6

遊歩道に戻り、来た道とは違う方向に歩きながら周辺をキョロキョロ見渡すと、綺麗で広い山道を発見。

方角を調べると大城山に向かいそうな気配だ。

 

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山間部捜索7

写真の下部に大城山の存在が見て取れる。

一旦向かってみるか。

 

町役場の人が「大城山から天竜川方面に下って…」って言っていたのを思い出したのだ。

大城山まで行くことでまた新たな手掛かりを得られるかもしれないし。

 

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山間部捜索8

大城山の近くまで来たら、林の中に廃ホテルがあった!

 

すげー!この向こう側には車道はあるものの、さっき僕が走っていた荒れ果てたダートだぞ。

そんな道を走らないといけない山深くにこんなホテル!

 

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山間部捜索9

そして大城山の山頂!!

 

すっげー絶景!!

初めて展望が開けた!!

僕は眼下の町から、ダートを延々登ってここまで来たのだ!

 

とりあえず、スカッとした気持ちになった。

ゼロポイントを発見できていないのに。

 

 

考えろ、推理しろ

 

「大城山から天竜川方面に下った沢の近くの斜面」。

僕は役場のおじさんの言葉を反芻した。

 

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推理1

少なくとも、ここ大城山からいきなり天竜川に下るポイントではないな。

天竜川は眼下に見えているが、緯度経度的にも違い過ぎる。

 

そういえば、よく聞き取れなかったが、おじさんからは「岡谷側」っていうフレーズも出ていた。

つまり、ここから北東側ってことなのだろう。

とりあえずそれらを総合すると今まで僕が歩いてきた遊歩道が、一番妥当性の高い近いルートってことだ。


もう一度注意しながら戻ってみるか。

 

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推理2

遊歩道の東側って、軒並みすっごい崖なのよ。

斜度50~60度とか、そんなレベル。


しかし冒頭の引用文の通り「大城山の北1km・衛生センターの西500m」とすると、この遊歩道から300~500mは東に行かないといけないと思うのよ。

それが可能なのか。

いや、あのキノコバリケードエリアを除いては難しいと思う。

だったら、むしろ「衛生センター」からの方が無難にアプローチできるのではないだろうか。

ずっと考えていたんだけど、標柱を立てた人たちも、大城山側・衛生センター側のどちらから標柱を立てに向かったのかニュース記事に書いていない。

 

もしかしたら後者なのかもしれないね。

さっきの町役場のおじさんのコメントも正しいとは限らないし。

じゃあこのあと衛生センターに向かってみましょうかね。

 

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推理3

いや、違うな!!

その判断は間違っている!!

 

あぶねー、マジで衛生センターに行こうと本気で考えてしまった。

Webの引用文には、実は続きがある。

 

同地点から北西の鶴ケ峰には、昭和45年(今から約40年ほど前)に建設された「日本中心の標」と展望台があります。

地元と町では、両地点を結ぶトレッキングコースを整備し、小野のしだれ栗森林公園と併せて「塩嶺王城県立公園」の誘客強化を図りたいと考えています。

 

(引用元:辰野町 Webサイト)

 

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推理4

冒頭の地図を再び引用しよう。

鶴ヶ峰とゼロポイントを結ぶトレッキングコースを作るのだ。

多少階段などはあるかもしれないが、人が歩けるレベルの道を作れるのだ。

 

さらに僕は、この遊歩道の規模を推測できる情報をWebから見つけた。

遊歩道の予算だ。

  • 案内板の設置:20万
  • 遊歩道の整備:25.5万
  • 技術者等謝礼:3.6万

 

遊歩道、安いな!!(謝礼、もっと安いな!)

この予算は、大掛かりな階段など作れるようなものではあるまい。

 

つまり、僕の今歩いている点線遊歩道のどこかからか、必ずゼロポイントに行ける!!

 

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推理5

…いや、そんなこと言っておいて、見つからなかったんだけどな。

延々引き返し、また愛車の元に帰ってきてしまった…。

 

僕の孤独な捜索が終わった。

僕の負けだ。見つからなった。

 

悔しい。

でも、実際歩いて推理したことは無駄にはならない。

次こそは…!!

 

 

第2次攻略戦

必ずリベンジするために

 

辰野ゼロポイントめ、待ってろコノヤロ。

僕が踏むまで、誰にも踏まれるんじゃねーぞ、コラ。

 

まだWebにゼロポイント踏破の記録は皆無。

僕はまだ"1人目"を狙える。

 

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リベンジ戦1

あれから11日後、僕は再び辰野町にいた。

この11日間、ちょっと別の冒険もしていたりしたんだけど、ゼロポイントリベンジ作戦ももちろん考えていた。

 

まずは、辰野町役場の人と何度か電話でやりとりをした。

今度は実際にゼロポイントの標柱を設置した人と会話ができたのだ。

 

  • 大城山の駐車場からスタートしたほうが早い。
  • 水晶岩の正面から歩道を反れる。
  • しかし尾根沿いなので比較的歩きやすい。
  • 最後の数10mはすさまじい傾斜。ここが非常に見つけづらい。
  • 明確に場所を知っていれば、大城山から徒歩で30分。
  • 実はGoogleEarthの初期画面を拡大すると辰野ゼロポイントなんだよ。

 

わー、めっちゃありがたい。具体的な情報だ。

 

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水晶岩

水晶岩ね、前回見つけていたのよ。

ちょうど遊歩道を反れて尾根道に入るんじゃないかと予測していた当たり。

てゆーか、実際にそうやって尾根道に入ってパン食ったし。

やはり僕はかなり近づいていたのだ。

 

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GoogleEarth

GoogleEarth情報も嬉しいね。

実際に僕もGoogleEarthを起動させ、初期画面がゼロポイントであることを確認して、さらにリベンジの想いを募らせた。

 

あと、ゼロポイントを示した地形図を町役場が持っているとのことだ。

「それ、欲しいんですけど。日曜日にもらいに行ったら誰かいますか?」って尋ねた。

だけど、当然土日市役所はやっていないのでダメだった。

 

「仮にあげたところで、しっかり現地の実際の地理が頭に入っていないと難しいよ。だけども頑張ってくださいね。」って言われた。

 

うん、ありがとう。

地図が無いのはちょっと残念だけど、これだけ情報があればたぶん到達できる。

心当たりのルートが想像できた。

 

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リベンジ戦2

今度は役場の人に言われた通り、大城山近くの廃ホテルの駐車場に車を停める。

そして南側から徒歩でのアプローチだ。

 

仲間も2人誘った。

ちゃんとGPSを持っているメンバーもいる。

複数名であれば心強い。

 

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リベンジ戦3

わずか11日間ではあるが、季節は進んで山は少し緑が見えて来ていた。

最初に大城山から絶景を眺め、テンションMAXになってから捜索開始だ。

さぁ、がんばろうぜ!

 

 

ダブルGPS作戦

 

あのあといろいろ試してみたけど、ガラケーGPSはこういう山の中だと受信状況が悪くて、あまり精度の高いデータが出なかったりするようだ。

ちょっと位置を変えて何度か計測することで、かなり精度の高い位置情報を割り出す
ことができる。

 

今回は僕と仲間のぐちくんGPSを持っている。

この2台を同時使用し、適宜中間地を割り出すことで誤差を少なくしようと思う。

 

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リベンジ戦4

緯度や経度についても、ちょっと確認してきた。

前回はボランティアでパツパツで、本当に何も調べずに前日に行くと決めて突撃しちゃったので、ありゃあ準備不足だったよな。

 

緯度は地球上どこでも「1秒=31m」。

経度は地球が球状の都合上、赤道付近になるほど間が開いちゃう。

じゃあ今回僕らの目指す北緯36度だとどうなのかというと、たぶん計算式は以下の
通りだ。

 

2*π*r*cos(36)/360*60*60*1000

うん、全然わからね。

 

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リベンジ戦5

ま、結論は以下の通りだ。

 

◆1秒あたりの距離

  • 緯度 31m
  • 経度 25m

さて、これをもとに上の写真の位置情報とゼロポイントの乖離を算出してみよう。

ゼロポイントは「北緯36度・東経138度」なので、こんな感じだな。

  • 緯度: 7.5秒不足 = 7.5*31 = 北に232.5m
  • 経度: 19秒不足 = 19*25 = 東に475m

 

この計算をGPS2台で誤差を埋めながら着実に進んでいけば、かなりの精度を保ちつつゼロポイントを目指せるんじゃなかろうかね。

 

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リベンジ戦6

前回も見かけた「一杯水」という標柱を通り過ぎ、そして目印となる水晶岩の前までやって来た。
ここの判断、重要だぞ。

 

改めて、ツーリングマップルを目いっぱい拡大した地図を掲載する。

 

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リベンジ戦7

うん、ここで間違いないはずだ。

 

前回リポートした通り、東側に行こうとするとここ以外はは相当な急斜面。

人が歩けるようなロケーションじゃない。

町役場の人も"尾根"と表現していたし、消去法でここしかない。

 

問題は、GPSによればゼロポイントの緯度がここよりさらに北を指し示しているという点。

東には行けそうだけど、どうやって北に行くのよ。

かなりの急斜面を降りなければいけないことが、上の等高線からも予想できる。

 

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リベンジ戦8

わずかに残った道らしき形跡を踏み間違えないように進む。

しかし道に誘導されないように、ところどころでコンパスやGPSを見て現在地をチェックする。

 

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リベンジ戦9
  • 緯度: 4秒不足 = 4*31 = 北に124m
  • 経度: 9.5秒不足 = 9.5*25 = 東に238m

 

前回の僕のお昼スポット辺りまできた。

 

しかしここで懸念していたもう1つの問題が浮上する。

前回の僕が書いた通り、ここから先の入山禁止エリアについてだ。

前回の僕は引き返した原因の1つもこれ。その場所まで、今回の僕らは到達した。

 

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リベンジ戦10

前回の僕は、ピンクの矢印の通り、南側を向かされる下り斜面に対して「こりゃ違うわ」って思って引き返してしまった。

そこ以外にはもう道と呼べるようなものも存在していなかったし。

しかもキノコバリケードが北東方面を塞いでいたので、なおさらそっちには行けなかったのだ。

 

今回、僕は見つけてしまった。この入山禁止テープの切れ間を。

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リベンジ戦11

もちろんお読みのあなたは「開いているからと言って入っていいの?」と眉をひそめるだろう。

 

大丈夫。それを見越して調査済みだ。

役場の人に確認してもらってある。

キノコのシーズンは7~11月。春である現在は入山禁止ではなく、そして巡視もないとのことだ。

「ちゃんと合法的に辿り着けるよ」とコメントもらっている。

 

行こう。入ろう。

ゴールまではもう少しだ。

僕は新たなる一歩を踏み出す。

 

 

激坂の果てに見たもの

 

ここからはかなりの急斜面。

たぶん尾根沿いの道を外れ、北東部に向かっている状況なんだと思う。

道、無いです、わからないっす。

 

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ゼロポイントへ1

同行メンバーのぐちくんとさかもとに、軍手装備を薦めた。

これを想定し、あらかじめ準備してもらっておいたのだ。

 

木々に捕まらないと歩きにくいほどの急斜面だし、地面に手を付いたほうがいいような箇所もあるからだ。

 

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ゼロポイントへ2

キノコバリケード後はもう道が無いので、僕はそこから先は目印を設置していっている。

今回はスズランテープを一巻き持ってきたのだ。


それを10m間隔くらいで木々に巻きつけながら歩く。

これを辿ればきっと戻って来れるはず。

ちなみに、帰るときにはちゃんと自分で設置したテープは回収していく所存。

 

水晶岩で遊歩道を外れてから、20分ほどが経過した。

ぐちくんが、「緯度経度両方とも1秒切った!」と言って立ち止まった。

 

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ゼロポイントへ3
  • 緯度: 0.77秒不足 = 0.77*31 = 北に23.87m
  • 経度: 0.03秒不足 = 0.03*25 = 東に0.75m

 

うおぉ、近いな!!

もう付近に起伏が無くて木々もなかったら、確実に標柱が見えている距離だ!

 

さぁ探せ!

ここのちょっと北側だ!

栄光はもう、すぐそこにあるんだ!!

 

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ゼロポイントへ4

で、結果的に僕が一番最初に見つけた。

このすさまじい斜面の下の方にチラリと見えているのを発見したのだ。

 

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ゼロポイントへ5

この状態で僕は写真を撮り、「あったぞー!!」と咆哮した。

 

さぁ、あなたには標柱がどこにあるかおわかりだろうか?

我ながらよく見つけたと思っている。

 

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ゼロポイントへ6

同じ写真にて、標柱の部分を丸く囲った。

これでギリギリわかるだろうか?

 

僕が一番最初に目ざとく発見できたのは、とにかく全神経を標柱の発見に集中させていたからだ。

思いがハンパない。

 

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ゼロポイントへ7

そして、ぐちくんとさかもとには協力いっぱいしてもらっておいて恐縮だが、やはり自分が最初に発見したかったのだ。

 

この物語の主人公は、やっぱ僕なのだ。

だから発見できて感無量だ。

 

これが夏場であれば、葉が生い茂ってさらに発見は困難であっただろう…。

 

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ゼロポイントへ8

この先、傾斜は50度くらいだろうか?

さかもとは「こんなところ降りるの?」って言ってきているけど、降りる。

そのために来た。

 

しかも設置者のおじさんたちはこの標柱を担いだり作業用具を持ってここを降りたのだ。

重装備のおじさんにできたのに、軽装の僕らができないはずはない。

 

だから降りる。

まずは僕が先頭切って斜面にダイブします。

転げ落ちたほうがラクなぐらいだけど。

ちゃんと2人がついて来て来れているか後ろを振り返ると、2人とも後ろというより「上」にいたけど。

 

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ゼロポイント到達1

着いたー!

斜面を駆け下りてその標柱にタッチしたら、若干「グラッ」っとなってスゲー焦った。

ヤバ、これまだちゃんと基盤を固めてない。壊すところだったよ。

 

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ゼロポイント到達2

 

日本の地理的中心 "00(ゼロゼロ)ポイント"

 

 

立ててからあまり期間が経っていないから、まだ真っ白で綺麗だ。

裏側には『二○一一年一月十一日 辰野町下辰野区』って書いてあった。

 

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ゼロポイント到達3

事前調査によると、2011年1月11日の11時11分を目処に立てたらしいよ。

 

1並びにこだわりましたか。

こだわるあまり、えらく寒い時期に頑張りましたな。

そういう無駄な努力、スゲー好き。

 

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ゼロポイント到達4

標柱の横に寝転んで、空を見上げてみた。

 

GoogleEarth初期画面の空。

この空の上からこっちを見下ろした人は何100万・何1000万人といるかもしれないが、逆にこっちから向こうを見上げたことのある人は、おそらくいても10数人なんだろうな。

 

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ゼロポイント到達5

いやぁ、感無量だなぁ。

そして寝転んだので背中、すっごい汚れました。すみません、土を払ってください。

 

たぶん、ここには2011年中にそこそこの遊歩道ができるであろう。

町役場の人も「雪が降り出す前に頑張って道を作ります」って言っていたし。

 

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ゼロポイント到達6

しかし、僕が求めていたのは道じゃなかった。

せっかく早期にキャッチした情報なので、今しかできない冒険をしたかった。

今しか見れないゼロポイントを見たかった。

 

僕だけの物語だ。

 

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ゼロポイント到達7

最後にぐちくんがを取り出す。

  • 北緯 36度00分00秒
  • 東経 138度00分00秒

 

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ゼロポイント到達8

ピッタリだ。

 

こうして僕らの冒険は終わる。

 

*-*-*-*-*-*-

 

2022年現在。

ちゃんと遊歩道もできたし、台座の上に碑が置かれているけど、この辰野ゼロポイントはまだまだマイナー観光地だ。

ま、僕はこのとき以来再訪していないので詳しくは知らないが。

 

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TV番組「チコちゃんに叱られる」では、数ある日本の中心…の中心を求め、それがこの辰野ゼロポイントの数m隣となったらしい。

「日本の中心チコちゃんポイント」の碑が建てられたそうだ。

 

これはいつか行ってみたい。

 

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*-*-*-*-*-*-

 

大好きな日本のことが、またさらに好きになった。

だから元気出せ日本。

 

帰り道、東日本大震災の被災地の話を2人に語った。

さかもとが次の南相馬ボランティアに同行したいと言ってくれた。

おぉ、じゃあ一緒に行こう。

 

drive-ns.hatenablog.com

 

こうしてまだまだ、僕の冒険は続く。

 

以上、日本6周目を走る旅人YAMAでした。

 

 

住所・スポット情報

 

  • 名称: 辰野ゼロポイント(日本の地理的中心 "00(ゼロゼロ)ポイント")
  • 住所: 長野県上伊那郡辰野町平出
  • 料金: 無料
  • 駐車場: 大城山付近にあり
  • 時間: 特になし

 

No.168【千葉県】打倒コロナ!その駄菓子屋は手動自販機でお菓子やハンバーガーを売る!!

またコロナ蔓延だ第6波だ、毎日感染者数最多更新で、おちおち遊びにも行けやしない…!

 

…って気落ちしている方がほとんどだと思うが、そんな逆境の中でも頑張って活路を見出そうとしている駄菓子屋さんに出会ったので、ご紹介したい。

 

どんなお店なのか、もう冒頭でネタバラシしちゃうぞ。

 

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自動販売機から駄菓子セット!!

 

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自動販売機からハンバーガー!!

 

 

…って、僕は一瞬そう認識してしまったのだが、ちょっとだけ尚早だ。

この販売機をよくよくご覧いただきたい。

 

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なんか変だぞ!この機械!!

本当に使えるのか!!?

 

 

…答えを言おう。

これは"手動"販売機だ!!!

 

断じて"自動"ではない。

裏では駄菓子屋のおばあさんが会計し、商品を取出口に入れてくれ、そしてお客さんと会話もする。

 

このコロナ禍でなるべく対面にならないように考え抜かれた、ハイセンスなアナログギミックなのである。

最高にユニークだ。

アメリカ人なら「クール・ジャパァーン!」と言いながら口笛吹くと思う。

 

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そんなお店を訪れたのだ。

折しもコロナ第6波が蠢きだし、世間がザワつくギリギリのギリなタイミングであった。(充分な感染対策をしつつお出掛けしました)

 

今宵は、そのときの思い出を力いっぱい語りたい。

 

 

夢と現の境界を越えて

 

さっきまでの渋滞と町の喧騒がウソのように静かになった。

なんだか急に周囲が田園風景になり、「おや?」って思った。

あとから思い返せば、ここが令和と昭和の境界だったのかもしれない。

 

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まぼろしの世界1

この田園の先に集落はあったが、瞬く間に通り過ぎてしまった。

再び静寂に包まれた竹藪の中の坂道。

どうやら僕が目指すスポットは、ここにあるそうなのだ。

 

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まぼろしの世界2

今回の僕の目的地は、「駄菓子屋まぼろし堂」。

 

「トトロいたもん!」みたいな心の清い子供にしか見えなさそうなネーミングであるが、ご安心いただきたい。

僕のようなちょっと濁った心の持ち主でも、ちゃんと見えるお店。

 

なんだったらもう、上の写真の右手が駄菓子屋さんの敷地だ。

いや、全然そうは見えないし、知らなければ通り過ぎてしまうだろうけどさ。

 

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まぼろしの世界3

敷地の入口。

普通の人が見たら工事現場のようだ。僕も正直、一瞬ためらった。

 

だけどもここが正解なのだ。

入ろう。そうすれば僕らは束の間のまぼろしを見ることができる。

 

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まぼろしの世界4

敷地内にあるあの建物、あれが駄菓子屋まぼろし堂だ。

 

駐車場に車を停めた時点では、お店はシーンとしていて「あれ?営業していないのかな?」という不安に駆られた。

僕より一瞬先に到着したと思われるおじいさんが、困ったように店舗の近くをキョロキョロしていた。

 

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まぼろしの世界5

店舗の前には年季の入ったカッパの顔はめパネルがある。

まぼろし堂に来ちゃった!!』って書いてある。

 

このまぼろし堂のマスコットキャラクターは、カッパの「ヤッペ君」。

いたるところにカッパがいるのだよ。名前はまぼろし堂さんのWebサイトから確認した。

 

その後ろのバス停、「まぼろし堂 思い出入口」も味があっていいね。

 

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まぼろしの世界6

冒頭で書いた通り、ここは駄菓子屋さん。

もともとは、たぶんだけど正面の赤い自動販売機のところが入口だ。

そして奥に売り場が広がっていたはずだ。

 

コロナ禍となってまともな営業が出来なくなり、いろいろ考えた結果、こうして自動販売機を設置した販売方法を取ったのだ。

(…おっと、ここではまだ"自動"販売機と呼ばせてもらうぜ)

 

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まぼろしの世界7

店舗前にはレトロなゲーム機が並んでいるが、どれも少し寂しそうな感じだった。

…やっぱ子供がいないからかな?

駄菓子屋は子供がキャッキャしているところまで含めて、1つの絵だからかな。

 

ここまで近付いてきたとき、急に劇場開幕だ。

「いらっしゃ~い」と自動販売機がしゃべりだしたのだ。

機械音声では無いぞ。生声でだ。

 

なにこれ!

夢かまぼろしか!!

 

 

駄菓子販売ギミック

 

「いらっしゃ~い」と自動販売機が言う。

おばあちゃんの声だ!

自動販売機がおばあちゃんの声で話し出す、メルヘンでファンタジーな世界だ!!

 

僕は元気よく「こんにちはー!」と返事をした。

 

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駄菓子販売機1

これが、人間の言葉を話す自動販売機である。

 

まぁ僕はこのウワサは知った上で来たんだけどさ、ここで驚いてしまったのが先客のおじいさんである。

まだ店舗の周りをウロウロしていたのだが、この自動販売機がしゃべりだしたことで「えっ…、どういうことだ…!!」とわかりやすくフリーズした。

もしかしたら「駄菓子屋のおばあさんの人格をデータ化させて自動販売機に組み込んだ、新手のサイボーグか…!」くらいまで妄想していたかもしれない。

 

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駄菓子販売機2

おじいさんが自動販売機に接近してきた。

自動販売機に向かって話しかける。

 

おじいさん:「ど、どういうことだ…」

自動販売機:「こういうことです」

おじいさん:「駄菓子屋の店舗は…。もう入れないのか??」

自動販売機:「そういうことです、コロナですから」

おじいさん:「この自動販売機で買うのか?セット販売のみ?」

自動販売機:「そうです、3種類です」

 

上の写真にある通り、駄菓子の詰め合わせが3種類。

それと下段にはまぼろし堂のグッズがある。

 

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駄菓子販売機3

駄菓子は3種類だ。

  • お父さんの家呑みセット  500円
  • 遠足お任せ300円パック  300円
  • お土産にどうぞ 菓子弁当  500円

 

おじいさんは迷った末に「お父さんの家呑みセット」を購入していた。

「あれ?ここにお金は入らない?あれ?」みたいになり、自動販売機からのレクチャーを受けながら購入してた。

 

おじいさんはこの近所の人で、久々に来たら駄菓子屋の装いがずいぶん変わってしまって戸惑ったとのことだ。

「あなたはどこから?」と言われたので答えたら、おじいさんも自動販売機も「えー!そんな遠くから!?」と驚いていた。

いや、僕からしたらショートドライブなのだが。(関東地方で、日帰り可能なエリア)

 

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駄菓子販売機4

おじいさんは大事そうに紙袋を抱えて帰って行った。

今日は家飲みですかな、楽しんでね。

 

そして僕の番だ。

それぞれのメニューの下に「押せ」というボタンがあるが、これは不要だ。

別途「ご購入される方はこのボタンを教えて店員にご注文をお伝えください」という呼び出しボタンがあり、本来の正解はこっちだ。

 

だけどもそれも今は不要だ。

完全に自動販売機内のおばあちゃん人格が起動状態だから。ログインしているから。

 

僕は「遠足お任せ300円パックをください」と伝えた。

 

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駄菓子販売機5

僕は文明社会に生きる人間の常識として、駄菓子の対価を支払おうとした。

しかし、お金を入れるべきところがなんか変なのだ。

これは絵だ。ちょっとチープな絵だ。

お金を入れられない。

 

しかし、上の写真よく見てほしい。

下の方に「お会計の際にはこちらが開きます」と書いてある。

 

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駄菓子販売機6

「はーい、お金をここに置いてねー」と自販機が言い、温かみを感じさせるトレーが出てきた。

機械みたいにシューッと出てくるのではなく、人力みたいにズズズ…って出てきた。

 

「お金置きましたよー」と僕が言うと、「はい、ありがとう。待っててねー。」とトレーが引っ込む。

 

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駄菓子自販機7

そして数秒後、一番下段の取り出し口に紙袋が置かれた。

一瞬、人間の手が見えた。いや、まぼろしか?

 

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駄菓子販売機8

遠足お任せ300円パックを購入!

ワーイワーイ!!

楽しい自動販売機だ!会話が楽しい!買うのが楽しい!

 

キャッキャ喜んでいると、自動販売機が「ふふふ…。実はね、こちらからはあなたの顔もよく見えているのよ。」と言った。

ファッ…!?どういうこと!??

 

 

舞台裏のコックピット

 

自動販売機が「ふふふ…。実はね、こちらからはあなたの顔もよく見えているのよ。」と言った。

マジか!僕は驚いた。

 

「ふふふ…、じゃあ特別にこちらをご案内しましょうか…?」

そんな声が聞こえ、横の建物からおばあちゃんが姿を現した。

 

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コックピット1

自動販売機の声は、生身のおばあちゃんだった!

実はすべておばあちゃんが販売している、手動販売機だったー!

 

ここまでお読みいただいたあなたにはバレバレだと思うが、一応驚いたふりはしておいてほしい。演出上。

 

そして自動販売機の裏側を見せていただいた。

 

…いいかい、ここでよく聞いておいてほしい。

僕が裏側を見れたのは、特別だ。

平日の閑散時間であったし、おばあちゃん側からご提案いただいたし。

 

何よりコロナ禍の接触を避けるための手動販売機なので、お客さん側が「見たい見たい」と言っては本末転倒だ。

だからあなたがもし気になっても、まぼろし堂さんに「見せて」とは言わないでね。

約束だ。

 

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コックピット2

はい、これがおばあちゃん司令官の鎮座するコックピットだ!!

 

ハンドメイド感がたっぷりだけどもカッコいい!

実際に購入した後に見ると感動もひとしおだ。

ちゃんとモニターで外を監視できるようになっているぞ。

 

…いや、でもここ寒くないか?

よく見るとここは店舗内ではなくって、店舗のひさしの部分。

イスの下も砂利だ。

 

心配して「寒くないですか?」と聞いてみると、おばあちゃんは「これがあるから大丈夫!」と、傍らのストーブを叩いた。

でもストーブ、ついていなかった。

今日すんごい寒いぞ、ホント大丈夫か!?

 

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コックピット3

さらにその奥、駄菓子屋の店舗内も見せていただけた。

こんなコロナ禍ではなければ、ここに子供たちがひしめき合っていたのだろう。

 

「レトロでいい感じでしょ。もう商品も少なくなっっちゃったけどね。」というおばあちゃんは寂しそうだった。

 

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コックピット4

天井まで活用され、所狭しと陳列された商品の数々。

これは子供だけではなく、大人が来たってワクワクする空間のはずだ。

 

どんどん昭和の痕跡が失われていく中で、こういう空気に触れることができるのはとても貴重だ。

 

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コックピット5

おばあちゃんは夜なべをして、ここで駄菓子を紙袋に詰めていると語っていた。

寒い中ありがとう。

 

「駄菓子屋なんて、全然儲からないけどね。儲けなんて考えたらやっていけないの。」とおばあちゃんは言う。

しかし店舗を紹介してくれるおばあちゃんからは、本当に好きで駄菓子屋を続けているんだなっていうのがひしひしと感じ取れた。

 

 

また来るよ!(数時間後に)

 

さらにおばあちゃんは、その他の手動販売機についても説明をしてくれた。

うん、これらも手動なのだ。自動のものはここには無いのだ。

 

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まだまだ販売する1

上の写真をご覧いただきたい。

販売機はあと2種類あるようだ。

 

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まだまだ販売する2

向かって左側は、レトロなハンバーガー自販機…を模したもの!!

僕の大好きな機種だ。

 

これまた手動ではあるのだが、このハンバーガーすごく食べてみたい!

…しかし残念ながら、今の時間は提供できないのだとおばあちゃんは言う。

 

このハンバーガーを担当しているのは、おばあちゃんの息子さん。

しかし今は不在であり、夕方になってからの登場予定なのだ。

むぅ、残念。

 

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まだまだ販売する3

その他、ドリンク類の手動販売機もあるが、これは本日お休み。

コーヒーやラムネ、ブタメンなどのメニューがある。

なかなかイカしたデザインであるが、どう動くのか予想ができない。

 

これもとても気になる。

コーヒー好きの僕としては、特にコーヒー飲んでみたい。

 

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まだまだ販売する4

おばあちゃんはいろんなことを語ってくれた。

こんなコロナ禍でも、なんとか営業しようといろいろ考えたのが息子さんであること。

これら数々のギミックを作成したのも息子さんであり、こんな才能があったのかと驚いたこと。

 

なるほどな、じゃあこれもう、息子さんに会わないわけにはいかないじゃないか。

また夕方にここに戻ってくるわ。

そんでハンバーガー食べるわ。

 

ひとまずここを出発する前に、おばあちゃんと記念撮影することにした。

 

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まだまだ販売する5

おばあちゃんは店内からカッパの手人形を持ってきてくれた。

 

おばあちゃんは、僕の愛車の日産パオも「かわいいね」と興味を持ってくれたのでご紹介した。

僕もレトロな物が好きだし大事にしたいから、この日産パオと出会い、レトロ自販機と出会い、その流れでこのまぼろし堂さんを知ることになったのだ。

巡り合わせに感謝。

 

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まだまだ販売する6

カッパのヤッペ君も入れて記念撮影した。

愛車の日産パオも一緒に入れるべく、店舗の前まで移動させた。

 

「子供たちと直接話すことはできなくなっちゃったけど、販売機横の窓からこの人形を使って語りかけると、小さい子は本当に喜ぶのよー。」とのことだ。

間違いないね。最高だね。

 

こうして僕は、いったんおばあちゃんに別れを告げた。

 

 

黄昏バーガー

 

太陽が西に沈む頃、僕は再びまぼろし堂にやって来た。

自転車でやって来た地元の高校生2人がうまいうまいとハンバーガーを食べており、その彼らが立ち去るのと入れ違いのタイミング。

 

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夕暮れの再訪1

ちょうど外に出ていたおばあちゃんが、「おかえりなさい、息子にちゃんと伝えてハンバーガー用意してもらっているよ」と言ってくれた。

わざわざ伝言していただいており、誠に恐縮。

 

では、ハンバーガー販売機の前に立とう。

 

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夕暮れの再訪2

「いらっしゃ~い!」と、ハンバーガー販売機の横の小窓からヤッペ君が出てきた!

裏にいるのは息子さんだ!

いや、もうここからは親しみを込めて"お兄さん"と表記させていただこう。

 

わー、楽しみ楽しみ。

お兄さんがいてくれて嬉しい。内心、「もしいなかったどうしよう」と思いつつ再訪したのでね。

 

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夕暮れの再訪3

改めてメニューを確認しよう。

 

この3種類だ。

同行者がおり2名なので、2種類オーダーしよう。

チーズバーガーとハラペーニョバーガーだ。

 

支払い方法はさっきの駄菓子販売機と一緒。

ヤッペ君の指示に従いお金をトレーに置き、支払い完了だ。

 

このあと2・3分、裏でお兄さんが調理をし、「できましたよー」と声が聞こえたので販売機前に行くと、下の取り出し口にハンバーガーのケースが置かれた。

 

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夕暮れの再訪4

しっかりガッチリしたケース。

でも、ケースの外側からでも中のハンバーガーがホカホカなのが実感できる。

 

さぁ食べよう。

ここはあえて外のテーブル席で食べよう。

車内の方が暖かいが、それじゃあ風流じゃない。

この夕暮れの空を眺めながら、外で食べたい気分なのだ。

 

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夕暮れの再訪5

おーし、アッツアツだぞー!!

チーズバーガーの方は、チーズがとろーりはみ出して存在感を主張してくる。

 

レトロ自販機のデフォルトサイズよりも、ずいぶん大きめのハンバーガーだ。

2倍くらいか、それ以上の質量があるかもしれない。

ガッツリ系だ。

 

だけども素材はレトロ自販機のものに近い気がする。

似せて作ってくれているのだろう。嬉しい限りだ。

 

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夕暮れの再訪6

ハラペーニョもしっかり辛いぞ。

辛党の僕は喜んだ。

 

よーし、せっかく再訪したからには駄菓子ももう1セット買っちゃうかー。

おばあちゃん、買うよ!

まだハンバーガー食べ途中だけど、思いついたから即買わせてくれ!

販売機越しに声を掛ける。

 

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夕暮れの再訪7

今度は、お父さんの家呑みセット(500円)だ。

これを口実に飲もう。

 

駄菓子をツマミに飲む。

大人の特権だ。にもかかわらず、実施した記憶がちょっと無い。

これを機会にやらずにどうするってんだ。

 

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夕暮れの再訪8

さっきの遠足お任せパックに比べ、ずいぶん大きいサイズであった。

期待が高まる。

 

今日の買い物はここまでだ。

菓子弁当やコーヒーなどは、また次回に取っておこう。

宿題があったほうが旅は盛り上がるのだ。

 

 

まぼろし堂は夕闇の中へ

 

ハンバーガーを食べているうちに、みるみる空は暗くなっていった。

まだまだこの時期、日没が早い。

 

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夕闇彩る1

ただ、この光景はステキだ。

なんだったら再訪した理由の1つが、この夕暮れ時の店舗を見てみたいというものであった。

 

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夕闇彩る2

販売機も暗くなると照明がつくんだね。

完全アナログではなかった。実は電気が通っていた。

 

お兄さんとおばあちゃんが店舗の外に出て来てくれた。

コロナ対策で充分に距離を取りつつ、僕らは会話をした。

 

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夕闇彩る3

お兄さんは、最近ではここが各メディアなどに出て盛り上がって来た話、今も次の取材のための対応作業をしている話、そしてツーリングするライダーさんの集合・解散場所としても活躍している話などをしてくれた。

 

すごいね。

ホント最近はレトロブームが来ている。

 

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夕闇彩る4

ただ、コロナが与えたダメージも甚大だ。

 

今までは多くの子供がこのお店に来て、おばあちゃんやお兄さんと話をしていた。

中学生女子とかもおばあちゃんに恋愛相談しに来るケースが多かったらしい。

そして、月1回はこの敷地に100人くらいの子供が集まり、みんなでビンゴ大会などして楽しんだそうだ。

 

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夕闇彩る5

それもこれも、コロナでできなくなっている。

2020年なんかはほとんど営業できなかったと聞く。

…そんなお兄さんの話を、複雑な思いで聞いた。

 

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夕闇彩る6

せっかくこの地で育まれた文化が、コロナのせいで中断されてしまうのは残念だよね。

駄菓子屋文化のロストジェネレーション世代が、ここに生まれてしまうのかもしれない。

 

…いや、それは杞憂であろう。

僕は直前の自分の懸念を訂正する。

 

今日、おばあちゃんやお兄さんと話してわかった。

接し方がちょっと異なったとしても、駄菓子屋がそこにあり、この町に子供がいる限り、この絆は無くならない。

お二人のこの人柄があれば、どんな世の中でもきっと大丈夫だ。子供の笑顔は無くならない。

 

そして、僕ら大人も。

駄菓子でワクワクするのは、子供だけではないのだ。

子供時代にワクワクした記憶は、きっと一生忘れることなく、今日の僕のようにまたときめくことができる。

とても大事なことだ。

 

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夕闇彩る7

おばあちゃんとお兄さんは、手を振って見送ってくれた。

胸が熱くなった。

その後に、田園地帯を走る車中から眺めた残照はとても綺麗だった。

 

以上、日本6周目を走る旅人YAMAでした。

 

 

-*-*-*-*-*-*-*

 

P.S.

この度、貴重な内部を見せていただいた上、撮影及びWeb掲載のご許可をいただきましたまぼろし様に、深く感謝いたします。

早くあの店舗内の売り場が復活し、敷地に子供たちの歓声が響きますよう祈っています。

 

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遠足お任せパック

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お父さんの家吞みセット

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戦闘モード

 

 

住所・スポット情報

 

  • 名称: 駄菓子屋 まぼろし
  • 住所: 千葉県八千代市桑橋116-3
  • 料金: 遠足お任せ300円パック¥300他
  • 駐車場: あり
  • 時間: 13:00~19:00頃(月金曜定休)

 

No.167【群馬県】山間部の小屋の中はレトロ自販機ワールド!「丸美屋自販機」へ行こう!

自動販売機・自動精算機・券売機・ATM…。

これらは温かみや人情とは真逆の、無機質で冷たいイメージがある。

 

どんどん無人決済化が進んでいくこのハイテク時代、便利で素晴らしいのは確かだけれども、どことなく寂しい気持ちもある。

 

いや、だけれども全ての自販機が無機質だと決めつけてしまうのは、まだ早いかもしれない。

群馬の結構山奥に、僕のお気に入りの自販機があるのだ。

 

その名は「丸美屋自販機コーナー」。

 

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昭和の中期~後期の、コンビニが無い時代に栄えたレトロ食品自販機。

昨今のレトロブームのおかげで、あなたもこういう自販機が存在していることは見聞きしているかもしれない。

 

だけどもね、ここはさらにひと味違うのだ。

自販機のそのもっと裏側、オーナーさんの人情をひしひしと感じることができるのだ。

 

では、1年で最も寒いこの時期、あなたの身も心も温かくなりますよう、今回の記事をお届けする。

 

 

【冬】 雪降るある日の物語

 

バリバリに凍結した真っ白い世界にて、僕は愛車HUMMER_H3のハンドルを握っていた。

 

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冬編1

相当に怖い道のりだ。

この先にある山間部の「草木ドライブイン」まで雪景色を見に行こうと、旅友のニコル君と共にドライブしていたのだ。

 

その途中で立ち寄って暖を取ろうと考えているのが、丸美屋自販機コーナーだ。

 

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冬編2

ここだ。ここで僕らはランチにする。

お世辞にも立派とは言えないプレハブ小屋である。

なんだったら、「地元の人か工事業者が重機を格納している小屋かな?」みたいに感じてしまったほうが正しい判断とも言えるようなビジュアルだ。

 

しかしそれがいい。

旅ではなるべくいろんなジャンルの非日常を楽しむべきだ。

手堅い選択なんて、日常の暮らしの中だけで充分なんだ。

 

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冬編3

これが内部構造だ。

壁一面に自販機が並んでいる。

そして反対側の窓側はカウンターテーブルだ。

 

この光景、圧巻である。これだけレトロ自販機が並ぶ光景は、そうそうない。

いや、2022年現在は神奈川県の「中古タイヤ市場 相模原店」っていうレジェンドがあって、100台くらいのレトロ自販機が並ぶという別次元の世界だけども。

僕もそこ、大好きだけども。

 

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冬編4

しかし、中古タイヤ市場がレトロ自販機営業を始めるまではここがTOPクラスだったんじゃないかな?

千葉・京都・高知の有名ドライブインと共に、四天王と呼んでもいいくらいの自販機数だったんじゃないかな?

 

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冬編5

なにより、ここは歴史が古い。

1975年創業だ。今から47年も前だ。

このレトロ自販機たちがレトロではなく、時代の最先端だった時代だろう。

そんな時代から現代まで、ずーっと同じように営業を続け、そして残っていることがすごいのだ。

 

さて、グダグダ言っていないで食べよう。寒いし。

 

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唐揚げラーメン1

僕は唐揚げラーメンにしてみよう。

今まで全国のいろんなレトロ自販機を巡っているが、唐揚げラーメンは他では見たことない。

レアなメニューを優先的に攻略したい。

 

料金は300円だ。

コインを入れてボタンを押す。

 

ニキシー管のカウントダウンを見ながら待つこと10数秒…。

 

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唐揚げラーメン2

はい、出てきた。もちろんホカホカだ。

ちょっといろいろ乱れているのは、自販機の中でアグレッシブな湯切りが行われた名残だ。

だから最初に少し整えてやると良い。

 

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唐揚げラーメン3

こうなった。ステキだ。

大きな唐揚げ2つ、煮卵、メンマ、ナルト、ワカメだ。なかなかに贅沢。

 

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唐揚げラーメン4

実は煮卵は全てに入っているわけではなく、ランダムだ。

上の貼り紙の通り、もし入っていたら大当たり。やったね。

 

ラーメンに唐揚げを入れる文化とは無縁の人生を歩んできた僕だが、食べてみると普通にうまい。

まぁ味はラーメンと唐揚げ。それ以上でもそれ以下でもないが、想像通りうまいってヤツだ。

煮卵も食べられて幸せだ。

 

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ツナマヨトースト1

一方のニコル君はトースト自販機からツナマヨトーストを買っていた。

これは200円であった。

 

このトースト自販機は、もう西日本には高知県の1つしか残っていないし、東日本においても絶滅間際のレア筐体だ。

ボタンを押すと60秒ほど内部でパンがこんがりと焼き上げられてから登場する。

 

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ツナマヨトースト2

ニコル君はレトロ自販機にあまり興味を持っていなかったので、僕は熱弁した。

唐揚げ食いながら熱弁した。

 

どれだけこれらの自販機がレアなのかを。

今ここで自販機メシを食えているということが、どれだけ幸せなのかを。

そして僕は煮卵をムシャムシャ食った。

 

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ツナマヨトースト3

パンは10枚切りくらいの、ちょっと見たことがないレベルの薄さだし、ツナマヨというネーミングに反してツナの主張が弱くってマスタードが目立つ。

…だからどうしたというのだ。

 

ニコル君はちょっとションボリ顔であったが、僕は「そんなもんだ」と雑なフォローをし、そしてまた唐揚げを食べた。

 

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冬編6

来訪ノートに、今日の思い出を書いておいた。

ちょっと身元特定されそうなところだけマスキングしておくよ。

 

そんな静かな自販機コーナー。

僕ら以外には、「コショウが出ないよ、そっちはどう?」って聞いて来るおじいさんが1人いただけで、全ての音は雪に吸収されそうな静かな空間であった。

 

 

【春】桜を見ながらひもかわうどん

 

車中泊し、お花見スポットを巡りながらドライブをする旅をしていた。

その途中にここに立ち寄った。

 

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春編1

うーん、最高。

待ちに待った春。そして愛車と自販機コーナー。

なんてのどかな絵だよ。もう一生春のままでいい、って思った。

 

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春編2

自販機コーナーは、今日も元気だ。

開け放たれたドアから、数枚の桜の花びらが舞い込んだ。

 

今日、僕は飢えた状態である。

麺類2杯を所望する。

もともと自販機麺はそんな大きなサイズではないので、成人男性であれば2杯は普通にいけるであろう。

 

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天ぷらうどん1

まずは激から青唐辛子入りの天ぷらうどんだ。

辛党としてこれは経験しておきたい一品だ。

『大当たり・エビ天 中当たり:カボチャ又はサツマ芋』って書いてある。

 

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天ぷらうどん2

よし、ではエビ天よ来い!

祈る気持ちで250円を入れてボタンを押し、うどんが作られるのを待つ。

 

そして…。

 

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天ぷらうどん3

イェーイ!!エビ天きたーー!!

 

そんでかき揚げもついているのかい。

てっきりかき揚げの代わりにエビ天になっているのが大当たりだと思ったら、両方乗っているのかい!

こりゃ盆と正月が一緒に来た気分ですな!!

 

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天ぷらうどん4

青唐辛子?

ゴメン、そのことはよく覚えていない。

エビに夢中だったのだ。

記憶に残らないということは、そこまで激辛ではなかったと振り返る。

 

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ひもかわうどん1

お替りいきまーす!

群馬といえば、ひもかわうどん

 

レトロ麺類自販機でひもかわうどんが出てくるのなんて、ここだけであろう。

なんだったら僕はちゃんと店舗でひもかわうどんを食べたことがなく、これがひもかわうどんデビュー。

そんな人生にカンパイ!

 

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ひもかわうどん2

なんか『冷やし中華始めました』みたいなテイストで書かれているのもいい。

山菜が入っているのもいい。春だもんな。

 

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ひもかわうどん3

うまー!!

この幅広のもちもち麺よ!

そして油揚げには味がしみっしみよー!

 

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春編4

そよそよと風に揺れる桜を見ながらうどんを食べた。

最高の時間だった。

また新しい年がやってきた。

 

 

【夏】緑のトンネルを抜けて

 

お盆が過ぎた直後、スカッと晴れた灼熱の群馬県

僕はお馴染みの峠道を走っていた。

 

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夏編1

例の丸美屋自販機コーナーを越えて、「足尾銅山」だとかも超えて、日光方面に走って行く予定だ。

 

ちなみに全然腹は減っていない。

今回は群馬県に数多く残るレトロ自販機巡りの旅をしていた。

 

drive-ns.hatenablog.com

 

以前に上記の記事でも書いたが、全国のレトロ自販機保有店舗の54店舗中、11店舗が群馬県にある。(2021年時のデータ)

それらを少々巡っていたのだ。

 

こういうお店っていつなくなるかわからないから、未訪問店を優先して巡ったのだ。

そしたらご覧の通り、既に腹いっぱいというわけよ。

 

だからもう、丸美屋自販機コーナーはスルー… ――

 

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夏編2

…できなかった。

やっぱ寄っちゃった。

 

店内で食べるだけのキャパシティがないなら、持ち帰ればいいじゃない。

いや、麺類はさすがに伸びちゃう上に、そもそも容器は使いまわす貴重なものだから返却しなきゃダメ。

だけどもトーストであれば持ち帰りできる。

 

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夏編3

いつ見てもワクワクする自販機群。

店内の通路が狭いので、この圧巻の陳列風景を正面から撮影するのは困難であり、どうしてもすんごい斜めからの撮影になってしまうが。

 

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夏編4

一番手前がトースト自販機。

前述の通り昭和中期の超レアなものだ。全国で16台しか残っていない。(2021年の情報)

 

ラインナップは、以前にニコル君も食べたツナマヨトーストと、チーズハムトーストだ。どちらも200円。

 

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チーズハムトースト1

60秒ほど待つと、灼熱のアルミにくるまれたトーストが出てくる。

 

ちょっと手で持てないレベルなので、僕は毎回この機種を使う場合はハンカチを使って取り出すようにしている。

店舗によっては専用のトングが備え付けられている。

 

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チーズハムトースト2

本来だったらここに座って、緑あふれる山々を見ながらトーストを食べたい。

だけども満腹なので、このまま立ち去ることにしよう。

 

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チーズハムトースト3

なんとなくトーストのいい匂いのする車内に幸せを感じながら、峠道を疾走した。

 

そして時間は少し経過し、自宅だ。

アルミのままトーストを温め、アツアツに近い状態になったら開封しよう。

 

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チーズハムトースト4

右がハム。左がチーズだ。

チーズのサイズに少々切なさを感じるかもしれないが、「そんなもんだ」。

いつかニコル君に言ったセリフを、今度は自分自身で噛みしめる。

 

ちょっとフニャッとして、あまり腹に溜まらないボリューム。

もちろん多くの自販機を巡ってきたのでそんなことは知っている。

そしてそれも、また1つの幸せのかたちだと知っている。

 

 

1つの時代の終わり

オーナーさんの死去

 

…1月が終わり、2月がやってきたね。

 

僕は、瞬く間に過ぎ去った正月の思い出を振り返る。

…って書くと2022年の正月の話かと思われるだろうが、もう1年前である2021年の正月のことを振り返っていた。

 

あのときは本当にビックリし、そしてショックだったなぁ…。

以下のそのTwitterの内容のリンクを貼らせていただく。

 

 

2020年の大みそかの夜、オーナーさんが亡くなったのだ。

2021年の正月にその情報がWeb上を飛び交い、僕もそれを知った。

 

とても残念だ。

SNS上で情報交換した方の何人かは、このお客さんとのお話が好きだというオーナーさんと交流の経験があった。

それがうらやましい。

僕はオーナーさんに一度も会えたことが無いままだった。

 

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1975年に、この自販機コーナーを創めた人物。

話を聞いてみたかったな…。

きっと自販機愛に満ちあふれ、そしてTwitterの文面からも推測できる通り、お客さんとの交流が好きだった方に違いない…。

 

 

自販機を通じて育んだ交流

 

僕がレトロ自販機店の中でも、このお店が好きな理由…。

のどかな山間部にあるだとか、メニューの種類が豊富だとかっていうのもちろんある。

 

しかしそれ以上に、自販機にベタベタと貼られているPOPが楽しいのだ。

こんなにエンターテイメント性のあるレトロ自販機店は他に知らない。

 

1枚ずつご紹介すると写真の枚数が大変なことになってしまうので、一部だけだがうまいことマージしてお見せしよう。

 

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店内POP1

これは僕個人の勝手な想像ではあるが。

 

オーナーさんは少しでもお客さんが楽しんでくれるよう、アタリつきだとか、季節の具材を入れたメニューを考えていたのだろう。

POPを書きながら、ワクワクする僕らのことを想像していたのだろう。

 

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店内POP2

ちょっとイタズラ心で青唐辛子入りのメニューを開発したが、そのあとふと不安に駆られて「青唐辛子注意」の貼り紙をくどいくらいに作ったに違いない。

 

そんなことを妄想しながらここで麺をすするだけで、幸せを感じる。

「次来たらどんなメニューがあるのかな?新しい楽しみがあるのかな?」って思い、何度も足を運んでしまう。

 

そういう自販機コーナーなのだと思う。

オーナーさんを感じられる自販機だ。

40数年、オーナーさんに愛されていた自販機たちだ。

 

 

次の時代へ…

 

先ほどのTwitterの文中には、『丸美屋自販機については今後もできる限り続けていきたいと思っています』という不穏な文字がある。

 

もしこのお店が無くなってしまったら、この自販機たちや、ここに根付いた文化はどうなってしまうのか…。

 

コロナ禍なのでなかなか行楽もできない時期が続いた。

なおさら自販機コーナーの存続が危ぶまれた。

この1年、僕は結構不安だったりした。

 

だけれども、2022年も元気に稼働しているようだ。

自販機でミニおせちを販売したり、直近ではひもかわうどん自販機が故障したけどなんとか復活したり…。

あのPOP類も健在のようだ。うれしい。

 

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コロナ禍になって以来訪問できていないけど、僕もSNSを通して応援している。

 

願わくば、次の桜の季節にでも訪れたい。

桜の木の下の自販機で、オーナーさんの想いをもう一度噛みしめたい。

 

以上、日本6周目を走る旅人YAMAでした。

 

 

住所・スポット情報

 

  • 名称: 丸美屋自販機コーナー
  • 住所: 群馬県みどり市東町花輪1973
  • 料金: 唐揚げラーメン¥300他
  • 駐車場: あり
  • 時間: 24時間

 

No.166【島根県】ガッカリ系世界遺産と言われる「石見銀山」!なぜ!?実際行ってみた!

「石見(いわみ)銀山」。

 

世界遺産というワールドワイドな評価をされているスポットなので、あなたも名前くらいは聞いたことがあるだろう。

 

では、「石見銀山最高だったよ!」という声は聞いたことがあるだろうか?

…国内にある他の世界遺産と比べると、そういう声はちょっと控えめかもしれない。

ガッカリ系世界遺産っていう声も聞こえてくるかもしれない。

 

僕はガッカリ系観光地も好きな人間だ。

日本三大ガッカリも全部大好きだ。

 

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札幌時計台」は、栄えある三大ガッカリの1つ

なんだったら僕自身が、ガッカリ人生を歩むガッカリ人間だ。

え?そんなに自分を卑下するなって?

そうか!ありがとな!!

 

とりあえず、僕は今までに石見銀山を2回訪問している。

胸を張って語れるような訪問回数ではないが、感じたままを書く。

 

ただ、百聞は一見に如かずといういい言葉がある。

もし僕の記事で石見銀山が期待以下だったとしても、現地で1回ガッカリするのはとっても貴重な体験だからな。

それだけは覚えておいてほしい。

 

 

アイツ世界遺産に登録されたってさ(日本3周目)

 

石見銀山世界遺産に登録されたのは、2007年夏のことだ。

当時まだヒヨッコレベルの観光知識しかない僕が、さっそく現地を目指したのは同じ年の秋のことだ。

 

どんな場所か知っているかと言われれば、なんにも知らねー。

ただただ、世界遺産という言葉に釣られてホイホイやって来ただけのチョロい人間だ。

 

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島根の深部へ1

15:00過ぎ、海沿いの国道9号から一気にハンドルを切って山道に入る。

この時間だったら間に合うだろうな。すっごく楽しみ。

 

しかし、山間部に集中して雨雲が出てきた。

この時間なのにもう辺りは暗くなり始めている。

うわー、雰囲気が出るけど、なんかヘコむなぁ。

 

標識に沿ってズンズン山奥に走っていると、『混雑時はここから駐車場まで1時間』という看板とか出てきた。

なかなかにえげつない時間だ。きっと週末なんかは大混雑するんだろうな。

しかし今はスイスイだ。むしろ他の車全然いない。

 

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島根の深部へ2

いきなり青天の写真で恐縮だが、これは後年訪問したときの写真だ。

初回訪問時の写真がないから止むなく持ってきた。

 

雨雲が立ち込める中、「石見銀山→」の標識を見ながら僕がが辿り着いたのは、石見銀山世界遺産センター」という新しくて綺麗な建物であった。

それが上の建物だ。

 

時刻は15:35。

海沿いの国道からここまでノンストップで35分だった。

そしてここの駐車場に着くと同時にザーッと凄まじい豪雨になった。

なんてこった。

 

とりあえずこの石見銀山世界遺産センターの施設内に飛び込んだ。

あれ?なんか案内所みたいで予想と全然と違う。

どんなのを想像していたのか、って??

 

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これは足尾銅山

僕、こう見えて全国の金山や銀山はそれなりに観光してきたの。

上の写真は栃木県の「足尾銅山」。

 

こういった金や銀は山の中に坑道を掘って採掘するから、洞窟系の観光スポット。

もちろん石見銀山もそうだと思ってた。

 

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これも足尾銅山

しかしピカピカのホールだけの建物。

なんか受付の横に『バスはこちら』みたいなことが書いてある。

バス??

なぜゆえにバスに乗るのか。

 

ひとまず受付の人に「観光に来たんですけど、どこに行けばいいですか?」と聞いてみた。

受付の人、時計を見ながら「うーん…。この時間だと…。」とか言ってる。

え?何??

 

話を聞くと、どうやら石見銀山最大の名所である「龍源寺間歩(りゅうげんじまぶ)」っていうところへは、バスを使わないと行けないらしい。

ここからもバスが出ているそうだけど、本数が少なくて今出たばかりなので、次のバスを待つと、ここに戻ってくる頃には真っ暗になってしまうそうだ。

 

「ここから車で10分弱のところにある●●から15:50に出るバスに乗ればいろいろ行けて…。普段は凄く混んでて駐車場にすら入れないんだけど、平日の夕方でこの雨だったらきっとあそこの駐車場も空いているから…。」


と言いながらMAPを出してくれたんだけど、もう僕自身の理解度のキャパシティがいっぱいいっぱい。

バス停まで車で10分だと言うが、次のバスの出る15:50まであと10分しかないぞ。

 

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後々に振り返ると、僕が案内されたバス停というのは、上の地図の「羅漢寺」である。

 

僕は大田市中心地方面から「石見銀山→」の標識を見ながら来た。

きっと駐車場の広さとかの関係で、この標識は龍源寺間歩ではなくって世界遺産センターを示していたのだろう。

結果的にかなり遠回りしてしまって、内心「チッ!」って思ってしまったが。

 

とにかくMAPを片手にダッシュでまた車に戻り、速攻で教えてくれた駐車場に向かう。

 

およそ8分後、羅漢寺前の駐車場に到着。

ガラ空きだった。

案内人の人に聞き、雨の中ここにあるバス停でバスを待つ。

バスは30分に一本くらいのようだ。

 

看板に世界遺産に登録されて銀山は大混雑です。でも環境に配慮してバスを増便するつもはありません。乗り切れないことも多いので、なるべく45分ほど歩いて龍源寺間歩まで行ってください』みたいなことが書いてあった。

 

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島根の深部へ3

いや、僕ならこの土砂降りの夕方の時刻に45分歩いたら心が折れるね。

上の写真はこの後乗るバスから実際に撮影した写真だ。

なかなかヘビーである。

 

こうして僕はなんとか15:50、龍源寺間歩に向かうバスに乗れたのだ。

小さいシャトルバスであった。往復料金400円。

乗客は僕のほかに熟年夫婦一組だけだった。


10分ほどの乗車時間の中で、運転手さんは窓から見える様々な遺跡や歴史について説明してくれた。

なんだか薄暗くてよく見えなかったけど。

 

バスは、擦れ違いはおろかバス自体がギリギリで通れるくらいの狭い山道を進む。

ここに休日大勢の観光客が押しかけたら、そりゃ恐ろしい事態になるよな。

 

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島根の深部へ4

 

なんか、暗い。

 

 

僕が念願の石見銀山を代表する、龍源寺間歩の前に立ったのは16:13だった。

バスを降りてからも300mほど歩いたのだ。

もう周囲は暗くなりかけていた。

 

…という初回アプローチ。

実は2022年現在はアプローチが少し異なるので、次の項目ではその後のアプローチエピソードを書こう。

もうちょっとラクになっていることを期待しているかい?

 

でも残念!

もっとハードになっているよ!!

 

 

銀山見たいなら己の筋肉を信じろよ(日本5周目)

 

広くて大混雑した駐車場に、ご綺麗な建物。

 

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春の挑戦1

うーむ、石見銀山ってこんなだったっけ?

世界遺産センターという建物の前。

しばらくぶりの石見銀山に、僕の頭はまだ混乱していた。

 

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春の挑戦2

とりあえず、悩むより動いたほうがいい。

世界遺産センター内に入り、スタッフさんに「石見銀山の坑道ってどう行けばいいんですか?」って聞く。

 

そしたらスタッフさん、「はにゃ?何言ってるの?」的な顔で隣の従業員さんと顔を見合わせた。

アメリカ人だったら大げさに肩をすくめそうな、そんなテイストだった。

 

いやいや、僕そんな変なこと聞きました?

スタッフさんのリアクションの真意は現在も不明だが、とりあえずその後いろいろ教えてくれた。

 

どうやら石見銀山最大の名所である龍源寺間歩に行くには、大森っていうところが拠点になるらしい。

そしてここから大森へはバスか車で行くことになるんだけど、かなり駐車場のキャパが少ないので停められるかどうか微妙らしい。

 

さらに、その大森から龍源寺間歩までは2.3kmあり、交通手段は歩いていくか、もしくはレンタサイクルショップで自転車を借りるかのどちらかしかないそうだ。

 

マジですか!?

そんなハードル高かったっけ!??

 

従業員さんは時計を見ながら「バスは15分間隔で、そろそろ出てしまいますよ」と言っている。

 

ちょっ、考える時間、考える時間 ― !!

 

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春の挑戦3

 ― ― バス乗ってた。

 

バスに揺られていたら、何となく前回の記憶が蘇って来た。

似たようなことでドタバタしたな、過去。

 

そんで前回も今回もドタバタしすぎて、世界遺産センターとやらがどんな施設か全く知らないままだな。

前にも同じこと考えたけど、石見銀山の標識見ていたら全員ここに来ちゃうわけで、これは狙っているのかな?

こうやって来た人をレシーブするのが本業だったりするのかな?

 

あ、バスは有料だった。片道200円。

 

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改めて地理をご説明しよう。

僕は世界遺産センターからバスで大森バス停までやって来た。

 

前回羅漢寺の前から龍源寺間歩までシャトルバスに乗ったが、その羅漢寺の前というのが今回と同じ大森バス停だったのかもしれない。

あのときは時間ギリギリだったし夕暮れだったし雨だったので、よく覚えていない。

 

ちなみに大森バス停近くの駐車場は数台だけ空きがあった。

しかしバスを使って正解だと思っている。

今はかなり観光客の多いシーズンである。もし満車だったときのダメージが大きいから。

 

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春の挑戦4

レトロな大森バス停の周囲には田園が広がり、そして少し歩いたところには「大森の町並み」という江戸時代からの面影が残るかつての通りが残っている。

そこも世界遺産の一部だ。

 

町並みを歩き、そしてカフェしたりランチしたりと楽しむのも良いだろう。

しかし僕は1人旅。なんかそういうシャレたことをしたい気分でもない。

龍源寺間歩を目指すのみよ。

 

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春の挑戦5

バス停から龍源寺間歩までは2.4㎞だ。

ここから先は公共交通機関はない。

 

50分近く歩くか、レンタサイクルで自転車を借りて漕いでいくかだ。

どうやら季節によってはベロタクシーが出ているそうだが、このときは見かけなかった。

 

バス停のすぐ横にあるレンタサイクル屋さんに入る。

料金は普通の自転車で500円、電動自転車で700円だそうだ。

 

僕は普通の自転車を選ぶ。

さすがに歩くつもりはないが、これ以上石見銀山関連でお金をかけるのはなんか悔しい。

せめて自転車のグレードは抑えようと思ったのだ。


レンタサイクルのおじさんは「普通の自転車はオススメできませんよ。2.4kmずっと登り坂なのですよ?」と脅してくる。

 

でも僕、負けない。

おじさんにも坂道にも負けない。

不要なところでお金を使いたくはない。そこは筋力でカバーするよ。

グッと力こぶを作った。二の腕のぜい肉がタプンと揺れたが、気のせいだ。

 

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春の挑戦6

こうして大森の町を自転車で走り出した。

 

ただ、自転車はなんだか楽しいぞ。

このポカポカの春の日差しの下、見知らぬ集落の中を自転車で走るのだ。

八重山諸島の「竹富島」とかを自転車で走り抜ける快感を思い出した。

 

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春の挑戦7

序盤はローカルな農村地帯。

ゆるーい登りなので、ここいらは普通の自転車でも余裕。

すぐ脇には八重桜が咲いていてテンションも上がる。

 

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春の挑戦8

ところでさ、以前はここから龍源寺間歩まで無料シャトルバスだったのに、なんでなくなっちゃったんだろう?

 

実はさっきバスに揺られている間にネットで調べてみたんだ。

そしたら、やっぱ騒音や排気ガス問題、そして「待っていてもバスが来ない」という問題があったからだそうだ。

そんで2008年で既にバスは廃止されたんだって。

あー、かなり昔に廃止されていたのだね。残念無念。

 

中盤以降の道は、ずっと登り坂。

そして不安になるくらいに周囲には何もない、まさに山の中。

 

でも、稀に歩いている観光客の人もいたね。

でも、みんな疲れ切っていたよ。生気を失った顔してトボトボと歩いていた。


僕も電動自転車じゃないから負担は大きいんだけど、徒歩よりはマシ。

気合いで乗り切った。

 

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春の挑戦9

終点の自転車置き場までやってきた。

しかし、どうやらここから龍源寺間歩まではまだ300mあり、そこは歩かないと行けない模様。

長い、長いぜ!!

 

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春の挑戦10

ようやく龍源寺間歩の受付が見えてきたよ。

ここで410円を払い、ようやく坑道内に入れるのだ。

 

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春の挑戦11

石見銀山世界遺産センター到着からここまで、40分。

そして費用1110円。

なかなかのスケールですな。時間もお金も。

 

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春の挑戦12

「そうそうこんなだったな、懐かしいな」と呟きながら、僕は龍源寺間歩の前に立った。

 

 

ハイライト、龍源寺間歩で160mの奇跡を見よ

 

ここまで2回分のアプローチを書いてきた。

それぞれに違う苦労はあったが、ようやく世界遺産石見銀山のハイライト、龍源寺間歩の前に立つことができたのだ。

 

石見銀山と言えばここ。

みんなヘロヘロになりながらここを目指してきたのだ。

 

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龍源寺間歩1

これぞ、僕のイメージしていた鉱山観光スポットに近しい。

山肌にポッカリ空いた坑道。

今からそこに潜入して中を観光できるのだ。観光というより探検だ。

ワクワクが満ち溢れる。

 

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龍源寺間歩2

-*-*-*-*-*-*-

ありのまま、今起こった事を話すぜ!

 

「僕は、龍源寺間歩に入った思ったら、いつのまにか出ていた」

 

何を言っているのかわからねーと思うが、僕も何が起こったのかわからなかった… 。

頭がどうにかなりそうだった…。

 

催眠術だとか超スピードだとかそんなチャチなもんじゃあ断じてねえ、もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…。

-*-*-*-*-*-*-

 

はい、落ち着こう。

そして少し時間を巻き戻そう。

 

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龍源寺間歩3

間歩(まぶ)っていうのは採掘するための坑道でのことをさすらしい。

石見銀山にはこの間歩が無数にあるんだけど、その中でも最大規模なのがこの龍源寺間歩。

全長は600mほどあるとのことだ。

 

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龍源寺間歩4

2回目の訪問時には世界遺産センターにはあれだけ車が停まっていたし、サイクリングしているときも結構な人数の観光客を見かけた。

にもかかわらず、間歩の中を見渡すと視界に入るのはわずか1組。

 

ガラガラだ。すごくラッキー。

みんなどこで脱落したのだ??

 

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龍源寺間歩5

すぐに坑道内は誰もいなくなって、悠々と自撮りもできた。

 

この間歩、観光客が歩くメインの坑道は高さが2m程はあり、楽々通行できる。

まぁところどころは頭をこするんじゃないかってくらいに天井が低いのだが、チビのYAMAさんはそういう心配するだけ人生虚しくなるので、ズンズン進むのだ。


そのメインの坑道の途中途中に支道があり、そこは縦横が数10cmしかなかったりする。

 

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龍源寺間歩6

そういった支道はライトアップされている。

入ったら2度と出て来れないんじゃないかってくらいの絶望的なサイズだ。

こんなのが無数にポコポコ開いている。

 

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龍源寺間歩7

これら全て、銀脈を求めて掘り進んだ跡なのだ。

銀の採掘は江戸時代がメインだ。

当時は全部手掘りだ。メインの坑道もこれらの支道も、壁や天井のボコボコは全て手掘りのノミの跡だ。

 

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龍源寺間歩8

これらの支道はもちろん、一般観光客は入れない。

ライトで照らされた様子をちょいちょい覗き込み、当時に思いを馳せる。

 

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龍源寺間歩9

銀山の歴史には全く関係ないけど、個人的にツボったのがこれだ。

 

支道を照らすライトの光で、もっさりと植物が育ったりしている。

永久に日が差さない漆黒の坑道で、人工的な灯りで偶然育ったグリーンに癒された。

 

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龍源寺間歩10

1本道のメイン坑道を進む。

土砂降りと夕暮れの中での1回目の訪問の際も、坑道内はガラガラだった。

行きのシャトルバスで一緒だったご夫婦と、洞内にいたどこぞのTVクルーだけだった。

 

そんなこんなで、一区切りとなる地点がやって来た。

 

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龍源寺間歩11

メイン坑道が突然狭くなる。

もうこの先は一般客は進めない。

ここで綺麗に整備された新しい坑道を歩きながら地上に戻るのだ。

 

さて、長々と説明してきたが、ここでクエスチョンです。

僕が"メイン坑道"と呼んできた坑道跡を、ここまで何m歩いて来たでしょうか。

 

 

 

答え:

160m。

 

(…短い)

 

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龍源寺間歩12

正直、紹介は驚いた。

想像を絶するショートドラマであった。

 

サクサク歩けばものの3分で完結する物語。

2回目はそれを知っていたのでジックリと周囲を見ながら歩みを進めたが、僕の前にいた他のお客さんは早々に視界から消えていた。

きっと出口でかつての僕のように、キョトンと白昼夢を味わったに違いない。

 

 

ガッカリの分析・ガッカリしない心構え

 

僕は石見銀山を否定するわけでもないし、かといって必死に擁護したいわけでもない。

損得勘定なしにありのまま、多様性を受け入れて自分の糧にするのも、旅人として大事なことだと思っている。

 

偽善者?もしかしたらそうかもしれない。

まぁただ、ガッカリする人の気持ちはわかる。

少し話を整理していこう。

 

 

ガッカリポイント

 

  1.  アクセスが悪い。
  2.  龍源寺間歩が小規模。

 

この2点に集約されるだろう。

前者の「アクセスが悪い」については、ホント大量のお客さん来たらどうするんだろうって感じだ。自転車屋さんを増やすのか…?

 

そもそも僕が訪れたときは暑くも寒くもない季節で晴れていて、とても気持ち良かった。だけども冬だとか雨の日、お年寄りや小さい子供の場合は大変だ。

 

さらに僕はマイカーだったので駐車場まで容易にアプローチできてまだよかった。

公共交通機関だったら、島根の主要駅からの往復で半日は容易に潰れるであろう。

 

後者の「龍源寺間歩が小規模」については、苦労してアクセスした見返りがあまりに少ないことで、よりダメージを助長している。

僕らが思い描く、海外の名だたる世界遺産

それと比較すると、「あれ?これが世界遺産?なんで?」と、期待を大いに裏切られるのだ。

 

 

リカバリポイント

 

では、どうすれば評価を向上させられるのか。

僕はコンサルタントではないし、コンサルするつもりもないので、主に訪問者側に対して言及したい。

 

まずは事前に知ること、予測すること。これに尽きる。

僕個人は行き当たりばったりの旅でハプニングに見舞われるのも好きだ。

ただ、前述のようにお年寄りや子供連れでハプニング耐性が低いのであれば、事前に情報を収集して事態に備えるのも旅人としての心構えであろう。

 

「え?野生のキタキツネにエサをあげてはダメなの?」・「富士山にTシャツ&短パンで挑むのは無謀なの?」と同様なレベルにもなりかねない。

石見銀山に行くだけの知識と準備が必要なのかもしれない。

 

 

前者の「アクセスが悪い」については、何も「世界遺産は万人に対して快適に来訪できるようにすること」みたいなルールがあるわけではない。

文中で少し触れたが、環境汚染や地元の方への配慮も必要なのだ。

 

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だとすれば。

変わるべきは石見銀山側ではなく、我々訪問者側なのだろう。

世界遺産である富士山の山頂に万人が到達できないように、石見銀山の龍源寺間歩に到達できる人も万人ではない…と考えざるを得ない。

 

せめて快適に到達できるようにするならば、「季節を選ぶ」・「時間をかける(余裕を持つ)」などの方法がある。これも登山と一緒。

 

 

後者の「龍源寺間歩が小規模」についても、銀山側が対応するのは困難であろう。

観光客が立ち入れる範囲を広げることも不可能ではないかもしれないが、基本的には狭い狭い坑道なのだ。

維持管理や安全管理、訪問者をさばくのが極めて困難だ。

これもまずは理解・納得しかない。

 

そして歩けるのは旧坑道160mと、地上に出るための新坑道80mくらいだけだ。

 

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国内の金山・銅山などいろいろ行ったことがある方はイメージ着くかもしれないが、坑道内で当時の作業を再現した人形が動いていたり、音声での説明があったり、面白い仕掛けがたくさんあるスポットも多い。

 

でも、石見銀山はそんなのないからな。そういうスペースもないからな。

ただ洞窟歩いて似たような支道をチラ見して、3分でオシマイ。

乱暴な書き方をしてしまうとそうなる。

 

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これの対策も、やはり知ることであろう。

この160m、感受性を最大にしてかかるのだ。どんな細かいことも見逃さないように。

 

そして、それを達成するためには石見銀山の歴史を少々学んでおいたほうがいい。

僕がダラダラ書いてもアレなので割愛するが、世界の銀の3分の1をここで賄っていた時代もあるのだ。

 

世界にとって、この島根の山奥の銀山がどれだけ大事で注目を集めていたのか。

そんな目で見ると、ノミの跡の1つ1つにも興味を持てるかもしれない。

 

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もう1つ。

石見銀山=龍源寺間歩」ではない。

石見銀山の間歩は600以上あるが、その中で通年で入れるのは龍源寺間歩だけ。

 

付近の山肌には、上の写真のように洞窟がたくさんあり、ナンバーが記載されたプレートが掲示されている。

ちなみに龍源寺間歩は「500」だった。

「僕らが見ているのは無数にある坑道のほんの一部」っていう理解がまず必要。

 

さらに、世界遺産登録名称は石見銀山遺跡とその文化的景観なのだ。

ふもとの大森集落なども合わせての世界遺産

これまた理解しておく必要がある。

 

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まぁでもそこいらの知識は、2007年から現在に至るまでで随分国民に浸透してきたような気配も感じる。

国内にレトロブームがやってきて、こういう街並みが好きな人が増えてきたのも大きいだろう。

 

 

…最後に。

なんか僕「あれもこれも観光客側が知るべきだ」とか書いてきたけど、そりゃ無茶ってヤツだ。かつての僕自身が出来ていない部分もある。

 

…であれば。知識を伝授する場を担えるのは世界遺産センターしかないであろう。

僕は全く中身を知る機会もなく、むしろ龍源寺間歩へのアプローチで厄介な存在にもなりかねなかった世界遺産センター。

 

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いや、今更ながら調べると、すごい展示や説明が充実しているのよ。

しかもそれなりに楽しそうなのよ。有料だけど。

 

だけど残念ながら僕は現地でそれを知る機会がなかった。

なんだろう、「石見銀山世界遺産センターの展示がすごいよね」とか「まずは世界遺産センターで学んで、龍源寺間歩はその復習として最後に見るべき存在」、みたいだったらいいのだろうか?

もし万人に満足感を与えるとしたら、まず切り口はそこなんだと思う。

 

ヤベ、結局石見銀山側にも言及してしまった。

 

 

-*-*-*-*-*-*-

 

正直、少し扱いの難しい世界遺産である石見銀山

坑道自体の印象であれば、国内の他の鉱山観光スポットにも大きく劣りそうな石見銀山

 

…それでもね。

ドタバタしながらアプローチした思い出は、旅のいいスパイスとなった。

 

そして、春うららかな日に自転車を漕いだあの思い出は、一生忘れられない。

 

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以上、日本6周目を走る旅人YAMAでした。

 

 

住所・スポット情報

 

 

No.165【兵庫県】日本のへそは兵庫県の公園内!?へそ公園駅から2つのへそを巡ってみた!

僕は新聞社の方の取材に対し、電話口でこう言った。

 

「あそこは数ある日本の中心の中でも、かなりメジャーなところです。公園として綺麗に整備されていますし、時間を忘れて楽しむことができますね。」

 

全国の日本の中心を巡っている人間の批評としてこの言葉は新聞に掲載された。

その新聞は僕にも届いたが、「まぁ大した記事じゃないし」と思い、誰にも報告することなくそのうち廃棄してしまった。

 

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あえて画質低めで掲載しよう

…というスポットではあるが…!

僕のコメントはもちろんウソではなくって本心だ。

 

日本の中心を示す「日本のへそ」がある、「日本へそ公園」。

 

今回はそこを訪れたときのことを語りたい。

 

 

日本の中心はたくさんある

 

さて、いきなり冒頭から混乱させてしまったら申し訳ない。

日本の中心は1つしかないと思われるのが一般的な思考であろう。

 

ただ実は中心の定義って曖昧で、定義次第で日本の中心も無数に乱立しているのが実状だ。

ぶっちゃけ30箇所くらいある。

 

drive-ns.hatenablog.com

 

詳細については上記リンク先の【特集】をご覧いただきたい。

そしてこの無数の日本の中心を全部巡ってみたいと夢見ているのが、この僕だ。

今回の記事は、その日本の中心の1つである兵庫県西脇市日本のへそにスポットを当てる。

 

兵庫県と言えば、一般的な概念では「え?中心なの?もっと西(左)寄りじゃない??」みらいに思われるであろう。

ここが日本の中心、つまり日本のへそと言われているのは一体なぜなのか。

 

 

それぞれの緯度経度の中間は、北緯35度・東経135度の地となる。

それを日本のへそと呼ぶことにしたのだ。

 

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公園内の説明板

この情報の出典は、現地西脇市日本へそ公園の中に立っている説明板だ。

説明部分の写真は撮り損ねてしまい、手元に写真として残っているのは地図部分のみであるが、説明部分に記載されていた文面を以下にご紹介する。

 

ようそこ日本へそ公園

 

みなさん、どうして西脇が日本のへそなのか知っていますか。

左の地図をよく見て下さい。

 

日本の北の端は、北海道の宗谷海峡で北緯46度、南の端は、沖縄県八重山諸島波照間島で北緯24度、東の端は、北方領土択捉島で東経147度、西の端は、同じ諸島にある与那国島で東経123度です。

 

日本の中心がどこか計算してみて下さい。

わかりましたね。東経135度・北緯35度の交差する地が日本の中心です。

その地がここ日本へそ公園です。

 

日本の中心の概念が正しいとか正しくないとかについて、僕個人はどうでもいい。

なんなら全部正しいと思っているから、こうして日本の中心を巡り歩いているのだ。

ただ、「おや?」と思ったのもまた事実なので、その違和感を書こう。

 

日本の東端を「択捉島」としている。

2022年現在において北方領土択捉島が登場するということは、「一般人が行ける行けない・住める住めない」とかではなく、正式な日本の領土を持ち出してきたということだ。

 

その理論で行くのであれば。

 

drive-ns.hatenablog.com

 

以前に上記の【特集】でも書いたが、日本の東西南北端は以下のようになる。

南鳥島」と「沖ノ鳥島を持って来ざるを得なくなるのだ。

 

なんだか少し混乱してしまうが、日本の中心は「考えるのではない、感じるのだ」が鉄則である。

決して否定しているわけではない。

好きじゃなきゃ、わざわざ時間かけて調査し、こんなブログを書いたりはしない。

 

冒頭からグダグダ言ってしまって恐縮だが、現地を訪れたときのことをご紹介しよう。

ちなみに、僕が実際に現地訪問をしたのは少し過去のことだ。

2022年現在は記載内容からちょっと変わっている点もあるかもしれないが、ご容赦いただきたい。

 

 

へそ駅&へそ公園

 

兵庫県の内陸部、西脇市へ。

真冬ではあるが雪や凍結の心配もなく、快晴の中をスイスイと愛車は走っていた。

最高の冬ドライブ日和だ。

 

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西脇市

西脇の中心地を通り過ぎ、牧歌的な「加古川」の流れるすぐ脇の広場にやってきた。

 

目印は「日本へそ公園駅」だ。

日本の中心は数多くあるが、その名前を冠した駅まであるのは、僕が知る限りはここだけである。

 

日本のへそがあるから、駅を造ろうとなったのか。

はたまた駅の近くに日本のへそがあるから、こういうネーミングにしたのか。

 

前者だったらなかなかの強気なメンタルだなって思って調べたら、やっぱ前者だた。

日本のへそを大々的にアピールしたい意図はビンビンに伝わる。

へそ愛に溢れている。

 

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日本へそ公園駅1

その駅がこれだ。

ホームは一面のみ。3両編成の電車が停車したらもうキツキツという、小ぶりな駅だ。かわいい。

 

Wikipediaさんの情報を調べたら、1日の平均乗車人数は2000年で32人、2019年で8人だった。

うわぁ、切ない。もっと盛り上がってほしい。

 

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日本へそ公園駅2

駅舎のタイルもなかなかに劣化しているが、とてもかわいいのだ。

ファミコン時代みたいなドットのタイルで日本列島と駅名を表現している。

 

この解像度の荒さ、いいではないか。

最新ゲームのリアルで滑らかなCGもいいけど、ドットを見ると落ち着くことあるでしょ?

 

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日本へそ公園駅3

話反れるけどさ、日本へそ公園駅の右隣の「比延(ひえ)駅」のふりがなを「びえ」にしちゃったのは誰かな?

 

…とりあえずだ、公園内にあるという日本のへそを見に行こう。

 

この公園はなかなかに広大だ。

1㎞四方は余裕である。

その敷地の中には、美術館・科学館・アスレチック・レストランなどなど、いろんな施設がある。

駅の利用客こそ少ないものの、みんな車だとか徒歩で来ているに違いない。

 

www.city.nishiwaki.lg.jp

 

そんなステキな公園内の風景を写真に撮っていなかった。失敗した。

なので西脇市の公式Webの中の、園内MAPのリンクを貼っておくのでお手すきで見てもらえると概要を掴んでいただけると思う。

 

 

大正時代の測量結果

 

僕はMAPを確かめた後、公園内の一角に向かう。

公園の北の端、なんかもう子供たちの喧騒なんかも1ミリも聞こえない、公園内の盲腸みたいな場所だ。

 

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日本のへそ1

日時計越しに撮影した石柱。あれが日本のへそである。

かなり古めかしいデザインだ。近づいてみよう。

 

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日本のへそ2

『東経百三十五度北緯三十五度交叉點海抜六十三米標識』って書いてある。

生まれて初めて見る漢字もあってテンション上がったなぁ。なんだよ、"點"って。カッコ良すぎだろ。

 

さて、この歴史を感じさせる石柱。

実際になかなか古いものである。

大正12年(1923年)に建てられたものだそうで、およそ今から100年前だ。

 

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日本のへそ3

すぐ前には説明板がある。

 

「日本のへそ」(経緯度交差点)

 

この地は東経一三五度、北緯三五度の経緯度交差点で、海抜六三米です。

大正十年、検察省国土地理院の前身である陸軍参謀本部陸地測量部によって計測されたもので、標柱の文字は終戦時の首相で、時の呉鎮守司令長官鈴木貫太郎海軍大将の書です。

 

東経一三五度は日本標準時を表す子午線で日本の東西の中心であり、北緯三五度も日本国土が二五度から四五度にわたるのをみますと正に南北の中心でもあります。

これを「日本のへそ」と愛称しています。

 

なるほど混乱した。

さっきの駅前の概念では『北海道の宗谷海峡で北緯46度、南の端は、沖縄県八重山諸島波照間島で北緯24度』と書いてあったのだが、1度ずつズレた。

 

北緯25度だと八重山諸島は軒並み外れてしまう。

まぁ「~に渡る」という書き方なのでそこは巧妙にボカされている気もするが。

そして東西の概念は「標準時子午線が日本の中心」と、潔く言って来た。

なるほど、少なくとも大正時代の概念だとこうなのかな??

 

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日本のへそ4

とりあえず、嬉しいぞ。

石柱の文字が元総理大臣の鈴木貫太郎さんのものであることもスゲーって思った。

 

うん、ここはすごい日本の中心だ。

国家権力がバックについている。

変に穿った見解をすると消されかねない。

 

 

平成時代の測量結果

 

…前項までは、大正時代の測量に基づく北緯35度・東経135度地点の話をした。

日本測地系と呼ばれていた測量法に基づく方法だ。

 

しかし1994年、GPSに基づく測量法が一般化された。当然精度も格段に上がる。

こうして改めて測量した北緯35度・東経135度地点、それもこの公園内にある。

 

そう、日本のへそはこの公園内だけで2つあるのだ!

盛り上がってきたな!

 

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日本のへそ5

このへそもとんでもないところにあるぞ!

大正のへそは僻地だったが、平成のへそは山頂だ!!

 

Webを調べたところ、子供たちがワイワイしているエリアから平成のへそまでは、徒歩で10~15分だという。

このときは日本の中心なんて全然興味のない同行者と来ていたので、ここから先は僕1人で行く。

「5分で往復してやるわ、こんな山!」と僕は豪語した。

 

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日本のへそ6

丘の上に聳える4本のポール。

あの中心が平成のへそだ。

僕はダッシュした。上着なんていらない。

 

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日本のへそ7

…もうすっごい階段急だよ、ゼーゼー言ってきた。

ふくらはぎパンパンだ。

 

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日本のへそ8

ようやく山上に着いたら、あんまり見栄えが良くない。

近すぎてカメラのフレームに4本の柱が全部入らないのだ。

4本の柱に囲まれた中心部分の紋様も見えない。

 

下界の景色だけは綺麗だった。

こんなに高くまで登って来たのだ、僕は。

 

少し歩きながら角度を変えたけど、イマイチ。
調整を繰り返していたら、そのうち反対側から丘を下り始めてしまったので、慌てて山上に戻る。

 

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日本のへそ9

まぁなんだかんだで自分的に一番綺麗に撮影できたと思った写真が、これだ。

4本のポールの中央が平成時代の日本のへそである。

 

そして、4本のポールの内側には紋様が描かれているが、僕がチビすぎて全容を把握できる高さから見られない。

もしかしたら山頂側にキチンと見えるポイントがあるのかもしれないが、わからないし時間もない。

 

フラフラになって丘を降りる。

汗かいたわー…。

 

 

方位の広場

 

公園内にいくつかある小さな広場のうち、「方位の広場」と名のついたところにやってきた。

 

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方位の広場1

西脇市を中心とした世界地図が地面に描かれている。

こういうのがとても好きなのだ。

長崎県にある日本本土最西端の「神崎鼻」の日本地図を彷彿とさせる。

 

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ちなみにこれが「神崎鼻」の日本地図だ

まぁ、そこで2つ上の写真の通り寝そべって日本列島と一体化したのだ。

同行者に「汚い!やめて!」と怒られましたな。

 

この広場は真ん中で声を出すと反射する造りになっているらしい。

「汚い!汚い…!汚い…!

あぁ、すばらしい反響だ。

 

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方位の広場2

すぐそばにネコがいた。

なぜネコは同じことをしても怒られないのだろうと、ちょっとだけ考えた。

 

-*-*-*-*-*-*-*

 

「あそこは数ある日本の中心の中でも、かなりメジャーなところです。公園として綺麗に整備されていますし、時間を忘れて楽しむことができますね。」

 

要約するとこうなる。

全国の日本の中心を巡っている人間の批評としてこの言葉は新聞に掲載された。

 

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美術館・科学館があり、駅がある日本のへそ。

散歩したりピクニックする人々もいた。

 

へそから始まったアミューズメント。

地域起こしの大成功事例ではないだろうか。

そんなスポットに来れたことが嬉しいし、でも機会があったら今度はもっといっぱい写真を撮ったり、見栄えのいい展望ポイントを探したい。

 

ありがとう、日本のへそよ。

 

以上、日本6周目を走る旅人YAMAでした。

 

 

住所・スポット情報

 

 

No.164【埼玉県】巨大な地下神殿に潜入!!「首都圏外郭放水路」の超スケールに震えろ!

「首都圏のどこかの地下には、地上が災害にあったときでも大丈夫なように、超巨大な地下空間があるんだってさ…」

 

まことしやかに囁かれる、そんな都市伝説じみた話があったらワクワクしないだろうか。

だが、これは本当である。都市伝説ではない。

 

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首都圏外郭放水路」。

通称"地下神殿"。

 

 

この圧倒的スケールの地下帝国にずっと前から行ってみたかった。

そして2021年、ついに念願が叶った。

そのときのエピソードを語りたい。

 

 

地下神殿に導かれし者、招かざる者

 

「約束の時間に間に合わねぇ…」

ハンドルを握る僕の手は、焦りで汗ばんでいた。

 

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龍Q館1

僕は今、地下神殿に向かっている。

この神聖なる地下神殿に入るには、鉄の掟(おきて)があるのだ。

 

汝、14:00から地下神殿に入りたければ、13:50までに禊(みそぎ)を済ませること。

これで晴れて信者となり、地下神殿への礼拝を許可され…。

…いや、なんかトリッキーな書き方をし過ぎて怪しい施設だと思われそうなので、もう辞める。

 

とりあえず予約時間に遅れそうで焦っている。それだけ。

 

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龍Q館2

14:00~の見学の部を既に予約済みである。

その10分前までに受付を済ませるように、Webに書いてあった。

 

でも僕、いろいろあって2分遅れた13:52に現地の駐車場に滑り込んだ。

ちょっとここに来るまで遊び過ぎた。

大体僕の人生ってこんな感じ。

このハプニングが楽しいんだけど、そういうことを表立って言うと怒られるのでナイショにしてくれ。

 

目の前の建物は「龍Q館たつきゅーかん)」という、受付を兼ねた施設だ。

なんだそのネーミングは。

 

ここからは忙しいので時間を5分ジャンプさせる。

 

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龍Q館3

ハァハァハァ…。

300mほど後ろの龍Q館を振り返っている。

実に濃密で有意義な5分間であった。

 

なんとか受付は通してくれた。

2分遅れたもの、慈悲深い心をお持ちのスタッフ様だったために救われた。

…てゆーか、僕は車を駐車しており、受付には同行者にダッシュで特攻してもらったので受付でのやりとりは詳細不明であるが。

 

14:00~の部なのだから、13:50までに受付を済ませるにしてもみんな受付周辺で待機していると思っていた。

しかし「みんなもう移動し始めたので着いて行ってください」とスタッフさんに言われ、見ると草原の彼方にゴミみたいに小さく人々のシルエット。

 

慌てて追いかけ、その途中で焦り過ぎて愛用の靴がブッ壊れて大変なことに。

そしてなんとか追いついたとこ。今ココ。

 

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龍Q館4

ちゃんと受付をした者かどうかを判別するためのシールを渡された。

ハァハァ言いながら上着に貼った。

 

「防災地下神殿」のシール。かっこいい。

わりと生地がしっかりした布みたいなシールなので、記念に持ち替えて2022年現在書斎のデスクに貼ってある。イイ。

 

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龍Q館5

そしてさらに受付でもらったという2枚のカードを手渡された。

で、なにこれ?何に使うの?

 

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龍Q館6

しかし慌ただしい受付だったので同行者も詳細な説明を受けておらず、真実は永遠に闇の中だ。

解明は後の世の考古学者に委ねたい。

 

…で、靴壊れたりシール貼ったりカードもらったり、そもそも遅刻して合流したこともあり、僕ら集合した見学者に対し説明してくれているスタッフさんの話を全然聞いていなかった、ヤバい。

こんなグダグダな感じで始まるこの観光スポット紹介ブログ、もっとヤバい。

 

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龍Q館7

聞こえた限りだが、スタッフさんが説明した内容は以下の通りだ。

 

◆116段の階段を自力で昇り降りできる人だけがこの先に進むことができる。

⇒ これは問題ない。

 

◆サンダルやハイヒールは不可で、汚れてもいいしっかりした靴が条件。

⇒ 僕はこっそりと壊れた靴を紐で縛った。

 

◆中にトイレはない。

⇒ 知っていたけどね、事前に行きたかったけどね。

神殿で祈る内容、確定した。「どうか人間としての尊厳を保った状態で地上に戻れますように。」

 

◆今日はTV局の撮影クルーも同行し、インタビューさせてもらうが良いか。

⇒ ここで撮影クルーの人が主旨を話し、僕は元気よく手を挙げて了承した。

だけどもな、結論クルーは僕のところなんぞに来ないぞ。キッズ中心にインタビューするのだ。

うん、知ってた。そしてそれは正しい選択だ。

 

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龍Q館8

地下神殿への入口はここだ。

なるほど、外敵にバレぬように簡素な外観だ。隠れキリシタンの気持ちが理解できた。

後ろに聳える茶色い施設が、受付した龍Q館だ。

 

では参ろう、地下帝国。

 

 

神秘の地下世界にようこそ

巨大地下空間

 

コロナ対策として、ここに1グループずつ間隔を開けつつ入らされた。

お化け屋敷と同じスタンスだな、なるほど。

 

そしてカツーンカツーンと音をさせて無機質な階段を延々と地下へと降りていく。

ここでの写真撮影は禁止だ。きっとコケたりスムーズな移動の弊害になるからだ。

 

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地下神殿1

もらったパンフレットには、この階段から撮影したと思われる写真が掲載されていた。

そう、こんな感じだ。

僕らの眼下に広大な地下空間が姿を現した。

 

階段を降り始めて数分後、僕ら30名ほどの見学者は全員地下空間に辿り着いていた。

 

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地下神殿2

ここで再度みんな集合し、スタッフさんの説明を聞いた。

TVカメラも回り始め、僕ら見学者全体の様子の撮影が開始された。

僕はカメラを意識して大げさに「ふんふん」と頷いた。ちなみに内容はたぶん半分ほどしか理解していない。

 

数分の説明タイムが終了すると自由時間だ。

ある程度の範囲を動き回れ、思い思いの撮影ができる。

時間は20分以上あるから焦る必要はない。

 

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地下神殿3

改めてご紹介しよう。

これが地下神殿だ。

 

巨大な石柱が乱立しており、さなばら古代神殿のようである。

このインパクトから、ドラマや特撮番組、プロモーションビデオ等で近年何度も使われている。

 

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地下神殿4

どこまでも奥に行けるわけではない。

上の写真で最奥にいる人のあたりが限界点だ。目印としてロープが張られている。

 

でも逆に奥まで行けないからこそ、ギリギリのところでさらに奥側を撮影すれば、全く人のいない地下神殿を撮れるぞ。

 

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地下神殿5

…カッコ良すぎる!

震える!!

 

 

なんのための施設なのか

 

では、この地下神殿はいったい何のための施設なのかをご説明しよう。

聡明なあなたなら薄々気付いてらっしゃるかと思うが、決して宗教的なものでは無いのだ。

 

冒頭でも記載した通り、これを含む施設の総称かつ正式名称は首都圏外郭放水路

世界最大級の規模を持つ、川の水を地下に放水するための施設である。

…といってもピンと来ないに違いない。

少なくとも僕はピンと来なかった。

 

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イメージ1

前提として、ここいらの土地は周囲に対してくぼんだ地形である。

そしてそのくぼみの中を何本も川が流れている。

これで大雨が降ったらどうなるか。

 

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イメージ2

はい、すぐに洪水になる。大変だ。

昔からこの地域は洪水に悩まされてきたのだ。

 

ではどうするか。

神殿を造って神頼み…するのではない。

ハイテクな設備を造ったのだ。

 

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イメージ3

川の水が増えてきたら、地下に排水する。

その水をどうするかというと、くぼみの外を流れるデカい河川である「江戸川」に放出する。

そのための超巨大なパイプ、それが首都圏外郭放水路だ。

 

僕が今いる地下神殿は、その設備の1つ。

上の図の右下に描いたのがそれだ。

正式には調圧水槽という設備で、集められた水の勢いを殺し、スマートに江戸川に流し込むための巨大プールである。

 

同じく、上の図の右下に立坑と書いた設備がある。

 

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立坑1

それがあれだ。

地下神殿から見えている。

地下深くを走る排水パイプの中の水流と、調圧水槽である地下神殿を結ぶ巨大な縦型の穴だ。

直径30mもある。深さは70mと聞いている。

 

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立坑2

僕の申し込んだプランではこれ以上接近することはできないが、プラン次第ではあの階段を下ったりキャットウォークを歩いたりして、立坑周辺を存分に見学することができる。

 

ただ、その一端を見れただけでも感動ものであった。

 

 

神殿内を散策する

 

自由時間で僕が写真を撮りながら散策した様子をお伝えしよう。

 

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地下神殿6

この地下神殿のシンボルである柱は、全部で59本。

幅は2m✕7m、高さ18m、そして1本あたりの重さは500t。うむ、全然想像がつかないスケールだ。

 

とりあえずこの柱の長さ、つまりここの天井まではビルの5~6階に相当する高さ。

自分が小人になった気分である。

ただでさえ僕はチビなのに、だ。なんてこった。

 

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地下神殿7

みんな思い思いに散らばり、記念撮影したり柱を見上げたりしている。

左の柱には、白いプレートが2枚掲示してある。

それぞれポンプ停止水位と定常運転水位を表していた。

 

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地下神殿8

先ほど記載の通り、全く人がいない光景を撮影したいのであれば、奥の方の立入禁止ギリギリまで行けば余裕だ。

ただ、ダイナミックな空間を表現するのであれば人間が入っていた方が良いようにも思われる。

 

尚、上の写真を見ての通り柱は円柱ではない。

かなり幅広な構造だ。

より神殿らしさを出すのであれば、円柱っぽく見える角度での撮影がいい。

 

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地下神殿9

それはつまり空間の中央だ。

パンプレットやポスターに使われるのも、ここからの構図だ。

目の前に柱を1本入れると、より神殿らしくなる。

 

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地下神殿10

TVクルーもお客さんたちの間を巡回している。

「『神殿みたいでスゲー!』…みたいに言ってくださいね」的なアドバイスが聞こえる。

 

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地下神殿11

インタビューされたら「僕は今日からこの神殿の主だ、ハッハッハー!」みたいにコメントしようと思っていたけど、そういう考えの人の元にはクルー来ないのね、うん知ってる。

 

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地下神殿12

しょうがないので地べたに這いつくばって、「ウユニ塩湖」みたいな写真が撮れるかなって頑張ってみたりしていた。

 

この地下神殿にはところどころに水たまりがあるのだ。

しかし基本的にはピカピカで石ころ1つ無かった。これはすごいことだ。

 

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地下神殿13

前述の通り、大雨が降るとここには水が流れ込んだりするのだ。

もちろん土砂も一緒だ。

 

他の施設ではブルドーザーで土砂を撤去したりするのだが、ここは一般客も来る空間なので、人の手で毎回きれいに掃除をしているそうだ。

スタッフの方がそう説明してくれた。

 

なんとありがたい対応だ。

これも神殿が神殿たる所以であろう。

 

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地下神殿14

「でも端っこの壁の上にはちょっと土砂があるのですよ」と教えられてやってきた、神殿の隅がここだ。

 

なるほど、土砂が堆積している。

これが地下パイプを通してやってきたのだな。これも貴重なワンシーンだ。

 

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地下神殿15

さぁ、間もなく自由時間も終了だ。

記念撮影しておこう。

 

そうそうまたここに来ることは無いであろう。

一生に一度っきりの体験かもしれない。

出来る限りいろいろな写真を撮っておいた方が良いと思う。

 

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地下神殿16

そしてまた階段を昇って地上へと戻るのだ。

 

正面奥に見えているコンクリでガチガチの階段。

あそこが地上と繋がる階段だ。あのもっと上まで昇れば、久々の大地。

トイレ、僕ちゃんとガマンできたよ。

 

 

そして最後は江戸川へ…

 

地上に出た時点で解散となった。

14:00~15:00の1時間コースだと聞いていたが、13:55~14:40くらいの時間帯でのイベントだった。

 

1日数回、予約制でこうして地下神殿見学ができる。

料金は1000円。

値段以上に貴重な体験ができたと思った。

 

また、2022年現在では他に3つのコースがあり、排水ポンプを見学したり(2500円)、立坑に降りて行ったり(3000円)だとか、神殿奥の巨大プロペラを見に行ったり(4000円)というプランもある。

 

gaikaku.jp

 

あなたも興味を持っていただけたなら、ぜひ上記公式Webサイトで調べてみたり、予約してみると良いだろう。

 

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龍Q館9

再び龍Q館

中を覗いてみると、説明パネルやパンフレット類があった。

床には埼玉県の巨大MAPがあって楽しかったが、これは写真を撮り損ねた。

 

ここの2階にはいろいろ展示物があったり操作室をチラリと覗けたりする、無料の施設があるらしい。

ちょっと興味があったが、このときは入れなかった。

コロナ禍ということもあり、大人数になるときには立ち入りを制限しているらしい。

 

もう15:00で日も傾いて来ていることから、お客さんもほぼいない気配だったのだが。

おかしいな。

でも、1階にはもうスタッフさんすらいなくなっているので確認するすべがなかった。

 

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江戸川へ1

まぁよい。

ちょっと行きたいところがあるので歩く。

 

龍Q館の前にはオブジェがある。

地下の排水パイプを掘るときに使ったシールドマシンだ。

 

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江戸川へ2

巨大な円形のカッターだ。

これが回転しながら地盤をゴリゴリ削ってトンネルを造る。

 

よく見ると時計のように文字盤がついていた。

でも時計の針は無いし、日時計でもなさそうなので謎だ。

 

さらに脇の土手を登る。

 

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江戸川へ3

江戸川だ。

これを見ておきたかった。

 

低地を流れるいくつもの川の水が、地下神殿を通って最後はここに排水されるのだ。

茨城・埼玉・千葉・東京を流れ、「利根川」に合流する川だ。

そして今回の物語の最後となる川だ。

 

この川あっての首都圏外郭放水路だ。

ありがとう。

 

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江戸川へ4

愛車に乗り込み、しばらくは江戸川の土手を走りながらドライブする。

 

右手には江戸川だ。

左手には、一段低いところにどこまでも関東平野が続いていた。

なるほど、さっき習った地形のことが、今ちゃんと自分の目で見て理解できたよ。

 

どこまでも延々と続く平野の向こうに「富士山」。

そして沈みゆく太陽。

雄大な大地とその平和を、人知れず地下で支えていた神殿があった。

 

以上、日本6周目を走る旅人YAMAでした。

 

 

住所・スポット情報

 

 

No.163【滋賀県】雪原に2.4㎞続くメタセコイア並木!!インスタ映えの聖地は冬も美しい!

関西地区のライダーさんや車乗りの人たちの間で近年人気の絶景スポットがある。

マキノ高原」にあるメタセコイア並木だ。

 

SNSなどで多く広まっているから、知っている人も多いかもしれない。

春から夏は緑が目に眩しく、そして秋は赤く紅葉する並木道が美しい。

 

そして冬は…。

 

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うおぉぉぉ、寒いな冬の高原は!!

絵に描いたような冬景色だ!!

 

こんな中、メタセコイア並木は一体どうなっているのだーー!

 

…というわけで今回は、有名なメタセコイア並木にあえて真冬に訪問したときの話をしたいと思うのだ。

 

 

雪原ドライブ

 

まずは「道の駅マキノ追坂峠」。

メタセコイア並木にほど近い道の駅だ。

越坂峠は"おっさかとうげ"と読む。なんだかカッコいいネーミングの道の駅である。

 

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道の駅

ここが気温マイナス5℃だと言ったら、あなたは信じてくれるだろうか?

信じてくれなかったら、僕の心の温度がもうちょっとマイナスになるので、ここは信じてほしい。

寒い。とりあえず寒い。

 

ここからメタセコイア並木に向かう。

 

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雪原1

もしかしたら関東だとかに住んでいる方は「えっ!滋賀県って雪が積もるの!?」って仰るかもしれないが、ドチャクソ積もる。

 

琵琶湖の東側にある「伊吹山」近辺とか、結構積もる。

11m82cmも積もって、世界一の記録となった。

さらに琵琶湖東岸の長浜町は、西日本で唯一の特別豪雪地帯だ。

 

そんなこんなで、琵琶湖北部は雪がすごいと覚えていただけると幸いだ。

 

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雪原2

ここから目指すのはメタセコイア並木のある「マキノ高原」。

高原というからには、高所にあるのだ。

そして高原っていうのは町から遠く離れているイメージがある。

 

ここからさらに標高が上がり、だだっ広いところに行って大丈夫なのか?

ただでさえ豪雪地帯なのに、さらにヤバくないか?さらに人家も少なそうなイメージだし。

 

前方から吹き付ける吹雪が答えてくれた。

「ナメるな」と。

 

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雪原3

僕は寒いのが大の苦手であり、そして冬が苦手である。

 

例えば東北が快適だと感じるのは7月中旬から9月中旬のみであり、それ以外の10ヶ月間は「寒い寒い、心が折れる」とグチるような人間である。

日本の北半分では心折れっぱなしの人間である。

 

そんな僕ではあるが、ホンキ出すとそこそこ強い。

旅や遊びであればかなり耐えることができるし、実は雪道や凍結道路の運転はそこそこ慣れている。

 

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雪原4

だから内心結構ウキウキしているの、この壮大な景色に。

 

今は朝だ。

まだ太陽が充分に照っていない時間では、木々の枝に霜が張り付いて真っ白になっている。

これを樹霧(じゅそう)という。

 

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雪原5

大阪や東京の都心部ではまず見れないこの現象。

それをこうやって眺められるのも、滋賀県北部のいいところだと思う。

 

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雪原6

白亜の絨毯。そしてその向こうの雪の山脈。

何気ない風景1つ1つが心に沁みる。

 

車道以外はほとんど雪に埋もれているので車を停めてゆっくり撮影できるようなロケーションは少ない。

だけども窓に流れるこれらを景色を見るだけでも、日常で心にこびりついた黒い何かが洗い流されて純白になる。

幸せである。

 

では、間もなくハイライトのメタセコイア並木である。

 

 

メタセコイアを走れ

 

メタセコイア、見えてきたー!

高原を北側からアプローチする僕の前に、メタセコイア並木が出現した。

 

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メタセコイア1

周囲のあらゆるものよりも、ダントツで高い。

樹高は大体30mほどあるらしい。

このメタセコイアの並木道がここから直線で2.4km続いているのだ。

 

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メタセコイア2

うむ。枯れている。知っている。

 

11月下旬から12月上旬は鮮やかに紅葉し、ここはオレンジ色のトンネルとなる。

観光客が押し寄せて、この並木道で思い思いの写真を撮るのだ。

 

だが僕は今回は、雪原のメタセコイアを見てみたかった。

白いキャンバスにまっすぐに聳えるこの姿もカッコいいだろう。

1月・2月のメタセコイア並木はこうなる。

 

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メタセコイア3

上の写真と、さらにもう1枚上の写真との区別がつくだろうか?

間違い探しのようになってしまった。

 

僕、あとから気付いたのだ。

並木道の写真を真ん中から撮り続けていても全然変わり映えがしないのだと。

 

現地にいる僕は楽しくって「わー!わー!」とか言いながらハイテンションにシャッターを切っているのだが、帰宅してから見ると同じ写真の羅列だ。

こんな写真の連続をあなたにも見せていいものかを不安になっている矢先だ。

 

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メタセコイア4

ま、見せるけどな。

他に見せるモンないし。

 

その代わりこのメタセコイア並木について、僕のつたない知識を少しだけ語らせていただこう。

 

このメタセコイア並木が誕生したのは、今から40年ほど前の1981年。

「マキノ土に学ぶ里」っていう学童農園の整備事業の1つとして、メタセコイアの木が植えられたのだ。

ちなみに2022年現在も「マキノ土に学ぶ里研修センター」が現存している。

僕らはまだまだ土から学ぶことが多いようだ。

 

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メタセコイア5

その後、地域住民だとか町だとかも協力して、「もっと植えちゃう?もっと延ばしちゃう!?」みたいなテンションとなり、今の通り500本、2.4kmも続く壮大な並木道となった。

 

最高だな、メタセコイア・プロジェクト。

 

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メタセコイア6

そもそもなんでメタセコイアを植えたのか。

 

それは防風林としての目的があったのだそうだ。

なるほど、高原に吹く風は強い。僕もさっき吹雪を食らったのでとても理解が早い。

こうして一列に並んだ木々で、風を食い止めようと考えたのだな。

 

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メタセコイア7

メタセコイア並木の外側をちょっくら覗いてみた。

なるほど、一面の雪原だ。

こんな雪原(マキノ高原)を突っ切るように、この並木道が形成され、風を防いでいるのだ。

 

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メタセコイア8

メタセコイアはヒョロっと長いイメージがあるが、よく見てほしい。

根元は相当太くてガッチリしている。

お相撲さんがガチで激突しても、きっと倒れはしない。

 

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メタセコイア9

どうやらこの防風林というのが、メタセコイアを選んだ理由の1つでもあったそうだ。

 

実は最初の候補は桜並木だったらしい。

だけど、ここからほど近い琵琶湖の北端に「海津大崎の桜並木」っていう有名な桜並木があるのだ。

日本のさくら名所100選にも選ばれている。

 

だからこのマキノ高原に桜を植えたところで、格上のセンパイにケンカを売っているような構図になっちゃうので辞めたのだ。

 

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メタセコイア10

こうして生まれたマキノ高原メタセコイア並木。

 

上の写真を見てよ。

秋はこれが全部真っ赤になるのだよ。想像しただけでも鳥肌でしょ。

 

1994年に新・日本の街路樹百景に選ばれた。

2010年には日本紅葉の名所100選にも選ばれた。

 

他ではちょっと見れないようなこのダイナミックな並木道は、どんどん知名度を上げていった。

 

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メタセコイア11

そして近年SNSブームの波に乗って、インスタグラム等で爆発的に人気となったのだ。

 

いやぁぶっちゃけね、僕も随分前から琵琶湖界隈は走っているし、冒頭の道の駅マキノ追坂峠も何度も立ち寄っている。

でもメタセコイア並木の存在を知ったのはここ数年だ。

 

ウカツだったなぁ…。

まだまだリサーチ力が不足していたよ、当時の僕は。

 

でも、こうして未踏のスポットを探し出すのがとても楽しい。

 

SNSで新しい人気スポットがどんどん生まれて、行きたい場所がどんどん増えて。

そんなドライブ人生を続けられたら最高だ。

 

冬、一番寒い時期に差し掛かろうとしている。

またコロナ感染者が増えて動きにくい世の中となってしまったが、冬には冬だけの素晴らしい世界がある。

機会があれば、あなたも厳冬の世界に一歩踏み出して見てほしい。

 

*-*-*-*-*-*-*-

 

愛車、日産パオはメタセコイア並木を駆け抜けた。

暖房をつけるとエンジン音がやたらと響くので、その音はマキノ高原に反響したかもしれない。

 

とある年の冬の寒い寒い朝の物語。

 

以上、日本6周目を走る旅人YAMAでした。

 

 

 

住所・スポット情報

 

 

No.162【岩手県】10段ソフトクリームは割り箸で食え!昭和のデパート食堂は賑やかで愉快!

昭和時代のデパートの最上階には、食堂があったらしい。

そこは連日家族連れで賑わっていたらしい。

 

ナポリタン・クリームソーダ・ハンバーグ・カレー・ラーメン・ソフトクリーム…。

なんでもござれだ。

 

そんな熱気を帯びていた昭和の時代は遠く過ぎ去り、想い出はセピア色に…

 

いや、セピア色になんかならねぇよ!

まだ早ぇよ!!

 

令和の現代においてもドカンドカン盛り上がっているデパート食堂がある。

ソフトクリームだって、親の仇(かたき)のように渦高く盛っている。

 

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「マルカンビル大食堂」

ぜひ実際に発音してみてほしい。

お口が楽しくなるフレーズだ、マルカンビル大食堂。

 

さぁ、メシ食いに行こーぜ、デパート最上階へ!!

 

 

昭和レトロなデパートで

 

今回は、マルカンビルに2回訪問した記録をミックスしてお届けしよう。

場所は花巻!

目指すは「マルカン百貨店」!!

 

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マルカン百貨店1

これだ!

武骨でノッペリしていてカクカクしていて、なんのオシャレ感もない!

それが最高な気がする!

 

見よ。最上階だけ窓があるであろう。

それが僕が"楽園(エデン)"と呼ぶマルカンビル大食堂だ。

ウホホ、もうヨダレ止まらんね。

 

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マルカン百貨店2

このあたりのデザインも秀逸だ。

カッコいいとカッコ悪いが絶妙に交じり合った世界。

それを"昭和"と呼んでもいいのかもしれないし、ダメなのかもしれない。

 

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マルカン百貨店3

ただね、西の山脈に沈んでいこうとする太陽に照らされたマルカンビルは、そりゃもう美しかったよ。

憧れてきたこの食堂に、日本6周目にして僕はようやく来れたのだ。

 

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マルカン百貨店4

ちなみにビルの裏側に駐車場があるのだがね。

そのコンクリートに直で打ち付けられている、お店のロゴを見てほしい。

 

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マルカン百貨店5

昭和時代じゃないと生産できないような、かわいらしいロゴだ。

これを見れただけでも僕は「勝った!」って内心ガッツポーズを決めたよね。

 

さてさて、マルカン百貨店についていろいろ語りたいところではあるが、あなたももう空腹だと思うので、まずは最上階に行っちゃおう。

まずは腹ごしらえしちゃおう。

 

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マルカン百貨店6

1階のエレベーター前にはマルカンビル大食堂の顔出しパネルがある。

もちろん、これを使って撮影もした。

 

左、スタッフさんはガチでこの格好をしているぞ。昭和レトロだ。

そして右、巨大なソフトクリームが割り箸を持っている。これはネタバレになってしまうから忘れてくれ。

 

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マルカン百貨店7

エレベーター内部だ。

ここから6階に上がる。

 

ボタンをよく見ると7階があるし、なんだったらさらにその上にもう1つボタンが隠れているように見える。

しかしさっきの外観の写真の通り、建物の面積の大部分にとっての最上階は6階だ。

だからこの記事では"最上階"ってことにしておいてほしい。

 

エレベーターのドアが開く…。

 

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マルカン百貨店8

ようこそ、食のワンダーランドへ。

 

 

マルカンビル大食堂、入店!!

ショーウィンドウ編

 

エレベーターを降りるとすぐに、マルカンビル大食堂のエントランスだ。

その左右には神々しいショーウィンドウが広がるのだ。

 

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大食堂1

ちょっと角度的にショーウィンドウ2つを同じフレームに入れられなかった。

だが上の写真、ショーウィンドウに向かい合うように右手前(アルコール消毒液の奥)にもショーウィンドウがある。

これがすごくワクワクするのだよ。

 

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大食堂2

なんでもある、と言ってもいいかもしれない。

少なくとも昭和の時代にここに来た家族連れは、とっても楽しかったのだろうなぁと想像する。

 

だってさ、これを見ている僕自身、頬が緩むのを抑えるのが大変なくらいだ。

そんなにも胸躍る。

 

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大食堂2

ショーウィンドウにキチッと配列された食品ディスプレイの数々。

まさにこれそのものがメニュー表なのだ。

 

この大食堂では着席してからメニューを開いて選んだり…という工程は基本的にはない。

まずはここで自分が食べたいものをチョイスする。

 

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大食堂3

ときどき3Dのディスプレイの中に2Dの写真があったりして、脳がバグるのもご愛敬だ。

 

さぁ、あなたは食べたいもの決まったか?

僕は初回入店のときには閉店間際だったのであまり迷う時間もなく、本能に任せてカツカレーにしたのだ。

 

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大食堂4

2回目の入店の際には、向かい合ったショーウィンドウを交互に見ながらウロウロした。

だけどもショーウィンドウの真ん中ってお店に出入りする通路だから、往来のジャマになってしまってアタフタした。

 

もちろん、そういうのもいい思い出だ。

 

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大食堂5

デザートも圧巻の品ぞろえ。

普段はデザートなんぞ食べない僕も、さすがにここでは目を凝らす。

後述するが、名物はソフトクリームだ。

ここでイメージトレーニングだ。

 

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大食堂6

あと、お子様メニューも充実だ。

昭和時代は家族みんなでデパートに来たのだ。そりゃ子供の喜ぶメニューは必須だ。

 

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大食堂7

では、メニューが決まったら写真中央(ショーウィンドウの奥)にある食券売り場にGOだ。

そこでスタッフさんにメニューを告げて食券を購入するのだ。

 

そしていよいよ食堂客席ゾーンに突撃!そして着席!

 

 

カツカレー編

 

まずはこの食堂のスケールを感じ取ってほしい。

なので人の少ない時間に入店したときの記録を最初にご紹介する。

 

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カツカレー1

 

広ーい。

 

 

これでフレームに収まっているのは3分の1くらいだろうか?

学生時代の学食を彷彿とさせるような広大な空間だ。580席あるらしい。

これが休日の昼間などは結構ギュウギュウに人が入り、すごく賑わうのだ。

 

奥の方には開閉可能なシャッターもある。

チラリと見る限りでは常時使用されるような空間ではなさそうな気配だったが、繁忙期やイベント時などはさらに拡張できるのかもしれない。

 

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カツカレー2

席は自由だ。

ほとんど誰もいなかったので、選びたい放題だ。

 

窓の外に絶景に向き合えるような席に座った。

すぐにスタッフさんが来て、僕の購入した食券の半券を持って行った。

 

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カツカレー3

窓の外、地方都市ならではの山々の絶景よ。

ここより高い建物なんてそうそうないから視界を遮るものもない。

 

そして山の上には無数のUFO…。

いやこれ違うな、窓に映った店内の照明だ。

 

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カツカレー5

間もなくカツカレーが出てきた。

ラストオーダー4分前だったのでロクに考えずにオーダーしてしまったのだが、一目見て僕の判断に間違いはなかったと確信した。

 

かなりのボリューム。カツも標高の高いところに盛られている。

 

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カツカレー6

そんなありがたきカツカレーを、こんな夕景を見ながら1人でゆっくり食べることができるのだ。

これを贅沢と呼ばずして、何が贅沢か。

 

揚げたてカツはもちろんサクサクであった。

大食堂にサクサク音が響いてしまうことを心配するくらいに。

 

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カツカレー7

箸立てがレトロだ。

うまく説明できないが、頭頂部のポッチを上に引き上げるのだ。

そうすると中の割り箸が花開くように飛び出るのだ。

Web検索で「昭和_割り箸立て」とかで入れると出てくるので、気になる方は調べてほしい。

 

今回はカツカレーで、割り箸は不要。

もし次来る機会があったら、割り箸を使うメニューも良いかもしれない。

 

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カツカレー8

こうして大満足の元、僕は夕闇の中マルカンビルを出発する。

 

 

ソフトクリーム編

 

僕はまたマルカンビル大食堂にやってきた。

今回はソフトクリームを食べるのだ。心に決めている。

 

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ソフトクリーム1

週末の昼時で、すごい賑やかな店内であった。

しかしコロナ対策はしっかりしており、お客さんはみんな来店時間や緊急連絡先を紙に書いて提出するシステムとなっていた。

 

まずはソフトクリームだ。

スタッフさんに「最初にしますか、食後にしますか?」と聞かれたので、「最初」と回答した。

最大瞬間風力、まずは体験してやろうぞ。

 

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ソフトクリーム2

 

デカッ!!

 

 

スタッフさんがシルバートレイにいくつも載せて慎重に運んできたソフトクリーム。

そのうちの1つが目の前に置かれた。

怒涛の10段巻きのソフトクリームだ。バケモンだ。

 

…で、これな、悪いけど2人で挑戦させてもらうわ。

僕、大食いチャレンジャーじゃないし。

このあとメインディッシュあるし。

 

今回はソフトクリーム対策として、2名で来店したのだ。

 

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ソフトクリーム3

ここで登場するのが、割り箸だ。

割り箸で食べるのが、このソフトクリームの正式な礼儀作法だ。マジで。

こんなソフトクリーム、手で持って傾けたら一気に倒壊するからな。デリケートなのだ。

 

はい、これで冒頭の顔出しパネルの謎、そして昭和レトロな割り箸立ての伏線をまとめて回収できたな。よかったよかった。

 

…ところでだ。

ソフトクリームには物理的・化学的な弱点がある。

 

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ソフトクリーム4

これらだ。

あなたも大人になるまでに学んできたであろう。

すぐ溶けて崩れる、ウィークポイントがこれらだ。

改めて弱点だらけのなんて儚い物体だよ、ソフトクリーム。

 

もちろんこのウィークポイントから先に、割り箸でそっと摘み、あるいはこそぎ取るのだ。

 

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ソフトクリーム5

こうなった。

道具を使ってソフトクリームを食べたからこその造形だ。

 

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ソフトクリーム6

中央には縦に穴が開いている。

これも割り箸でそっと食べ進めているからこそ発見できるレアな穴だ。

なんだこれ、まるでちくわぶのようになったぞ。

 

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ソフトクリーム7

「上から食べる」⇒「側面を削り取る」を交互に繰り返し、ソフトクリームを食べ進めていく。

途中でメインディッシュが来たようだが、チョット待ッテロ今僕ハ忙シイ。

 

通常の3倍ほどはあったソフトクリームだが、終わりが見えてきた。

 

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ソフトクリーム8

さぁもうあとちょっと。

そして完食。

結論、おいしい・楽しい・2人でシェアしたのに腹いっぱい。

 

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ソフトクリーム9

同じ大きさと料金で、カップに入ったカップソフトというものもある。

そして、わずかに安いが普通の大きさ(今回のソフトクリームの3分の1)のミニソフトもある。

 

…だがね。

ワーキャー言いながら食べたソフトクリームは、最高だった。

これは「ソフトクリーム」という名の競技であり、それと同時にエンターテインメントなのだ。

 

あなたにもぜひ、この10段巻を味わってみてほしい。

ただ、半分でかなり満腹だ。1人で食べて、さらに食事メニューもあるのだとしたら、大変なことになるかもよ…。

 

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ソフトクリーム10

さて、目の前にはドカンとメインディッシュが来た。

どうする!?さて、どうする!??

 

 

Aセット編

 

何を食べようか迷った僕は、Aセットというメニューにした。

なんだか昭和の定食セットのような懐かしさを覚えたからだ。

 

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Aセット1

ショーウィンドウを見ても、アホみたいな盛り方である。

 

だけども選ぶ際に僕は「ふーん」としか思わなかったのだ。

なぜなら、その直前にショーウィンドウの10段巻ソフトクリームを見たので、大きさに対するバロメータが完全に壊れたからだ。

ダメだコイツ、って感じだ。

 

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Aセット2

運ばれてきた。

ソフトクリームをこそぎ取る手が一瞬止まったほどの衝撃であった。

 

ハンバーグ・エビフライ・グラタン…。

メインが3つあるぞ。ケルベロスか。

こんなのをこの後食べられるのか、僕は。

 

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Aセット3

スマホを横に置いてみたが、僕の絶望はあなたには届かないであろう。悔しい。

 

まずはご飯は、お茶碗2杯分はあると思われる。

そしてハンバーグは通常サイズより大振りだ。

普段の僕ならこれだけで満腹MAXだ。

 

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Aセット4

しかしこれに大きなエビフライが2本。最高かよ。

それとアツアツのグラタンだ。

サラダも茶碗1.5杯分くらいで、こんもりとした森が形成されている。

 

「いただきます」とより先に「ヤバいです」が出てしまった感じだが、とりあえず頑張る。

 

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Aセット5

うん、うまい。

もちろんデパートの食堂なので、専門店のようなクオリティではないよ。

 

しかし、ハンバーグのテリッテリのソースはご飯が進むし、エビフライも揚げたてのカリカリだ。

そしてグラタンは全人類に愛されてもいいようなマイルドな味わいだ。

これ、令和時代の三種の神器って呼んでいいか?

 

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Aセット6

だが、苦しいのだ。

半分でいい。なんなら、半分もいらない。

これは、3人家族くらいでシェアしてもいいレベルのボリュームだ。

 

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Aセット7

現実逃避をしたくて、ときどき遠くも見た。

しかしみんなファイターだ。ソフトクリームなり、ナポリカツなりと格闘している。

ここは戦場だったのだ。

僕も頑張らねばならない。

 

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Aセット8

同行者はハンバーグに別注の半ライスをつけていた。

半ライスって言っても、お茶碗1杯分あるけどな。

 

振り返ると大きな作戦ミスを2つ犯していた。

  • 僕のAセットとハンバーグが被る。シェアして違うものを食べることで舌をリセットできない。
  • なんで半ライスオーダーしたのよ。こっちは大盛りライスに埋もれて死にそうなのに。

 

とりあえずこっちのハンバーグも少し食べさせてもらった。

僕は1口食べて「うん、こっちと同じ味」と言い、そして目玉焼きと一緒に食べて「濃厚で余計に腹に溜まるわ」と文句を言った。

 

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Aセット9

…完・食!!

 

死にそうです。お腹パッツパツです。

ぶっちゃけ同行者にかなりヘルプしてもらったけど、全ての皿は空になった。

 

なんて楽しい食事時間だったのだろう。

ちょっと脳裏にお花畑がチラついたぜ。

ごちそうさまでした。

 

 

レトロ食堂、奇跡の復活劇

 

冒頭であんな書き方をしたけどね、このマルカンビル大食堂が2022年現在も存続しているのは、本当に奇跡なのだ。

ここまでの道のりは、なかなかに大変だったのだ。

 

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マルカンヒストリー1

1973年、今から50年ほど前にこのマルカンビルが誕生し、マルカン百貨店が始まった。

40年以上が経過し、付近の商店街がシャッター街となっても、最上階の大食堂は昭和レトロなことで注目を集め、賑わいは続いていた。

 

しかし2015年、耐震検査でNGが出たのだ。

既にビルはかなり老朽化しており、このままの存続は困難だと判定された。

さぁ、どうする?

 

ビルの改修には数億円はかかる。

でもビルを建て直したら、そんなレベルじゃないくらいにお金がかかる。

止むなく閉店することとなったのだ。

 

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マルカンヒストリー2

閉店間際の大食堂は、最後の思い出造りをする人が多く訪れて、とんでもない賑わいだったそうだ。

ずーっと昔から地元の人々に愛されてきた食堂だもの。閉店の衝撃は相当なものだったと聞いている。

 

こうして2016年6月7日、マルカン百貨店はその長い歴史に幕を閉じた。

 

 

…しかしだ!!

地元の高校生を中心に、復活のための活動が巻き起こる。

 

何とか食堂だけでも存続させたいと署名活動をしたりして、人口10万人のこの花巻市で1万人もの署名を獲得したりした。

 

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マルカンヒストリー3

そして精鋭たちが立ち上がった。

まぁ僕もそんなにここいらの話は詳しいわけではないけれども、資金調達から耐震工事まで、いろんな人が尽力したのだ。

 

ビル自体は建て直さなかった。

しかし耐震のためにビル自体を軽くしようと、7・8階部分を撤去する案などが出ていた。

現在見る限り7・8階部分は往時と変わっていないようだが、屋上設備などは撤去されたようだ。

 

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マルカンヒストリー4

さらに、3階~5階の床を撤去したようだと聞いている。

これもビルを軽くするためだ。

だから、エレベーターも3階から5階までは存在しない。

 

こうして2017年2月、マルカンビルの大食堂が最OPENしたのだ。

 

地元の人たちは、そりゃもう喜んだそうだね。

僕もニュースで見て喜んだよ。

 

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マルカンヒストリー5

再OPEN当初は大食堂だけだったけど、2017年6月に1階フロアが大幅リニューアルを施した上で営業再開したとのことだ。

 

もともと1階は化粧品売り場や婦人服売り場だったそうだが、今はオシャレな小売店がひしめいている。

 

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マルカンヒストリー6

続けて2020年には、2階に「花巻おもちゃ美術館」という施設がOPENした。

テーマは『0歳から100歳まで楽しめる、多世代交流の体験型木育施設』なのだそうだ。

行ったことないけど、興味ある。

 

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マルカンヒストリー7

こうして、地域住民の熱意が生んだ奇跡の復活劇。

花巻市のシンボル的存在のビル。

 

そんなドラマを知ったからには、Aセットを残すわけにはいかないでしょう?

食堂にいる家族連れの笑顔をチラリと見るだけで、ただの部外者の僕までが、なんだか胸が熱くなってしまうの、わかるでしょう?

 

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マルカンヒストリー8

きっと昭和の時代の人たちも、エレベーターのドアが開いた瞬間のあの光景に胸を躍らせたのだ。

 

昭和時代はずいぶん遠くなってしまったようだ。

僕自身もデパートの屋上の食堂に行った記憶などはないのだが、なぜか「懐かしい」と感じてしまうのは、日本人としてのDNAなのだろうか?

 

次に訪問してくれるあなたも、そんなワクワクとノスタルジックな気持ちを胸に、エレベーターに乗り込んで「6階」のボタンを押してくれると嬉しい。

 

以上、日本6周目を走る旅人YAMAでした。

 

 

住所・スポット情報

 

  • 名称: マルカンビル大食堂
  • 住所: 岩手県花巻市上町6-2
  • 料金: ソフトクリーム¥230他
  • 駐車場: 有料駐車場あり
  • 時間: 平日11:00~14:30 土日祝11:00~18:30 

 

【特集】日本の中心はどこ!?実は30個近くあって個性豊か!だったら全部行ってみよう!

日本の中心に立つことができたのだとしたら、それはどういう気分なのだろう?

 

狭いようで広い日本。

「その真ん中に自分はいるんだ!」って思えたとき、僕の人生は変わるのだろうか?

試してみるのも悪くない。

 

…だがしかしだ。

調べてみて気付くんだけど、日本の中心って1つじゃないのだ

 

「Aという定義で考えたらここが中心です」

「Bという定義で考えたらここが中心です」

「Cという定義で考えたら …

「Dは …

 

あ、メンドくさい。

そいつら片っ端から連れて来い。面談してやる。

…じゃなかった。僕の方から行くしかないな。

 

壮大なる冒険が、今幕を開ける!!

 

 

日本の中心リスト

 

まずは、日本の中心を一覧化してお見せしたい。

 

ただしアレだ。概念がかなり難しいからさ、否定を前提に突っかかって来てほしくはない。

必要なのは優しい心だ。はい、深呼吸ー。

 

 

まずは28箇所書き出してみた。

幸運なことに名称は1つも被らなかったな、紙一重で。

 

留意点がいくつかある。

 

  • 網羅性を高めるため、広義の日本の中心も含めている。"広義"なのだから異論は認める。
  • ちゃんと"ポイント"があることを条件とした。冒頭記載の通り、僕は中心に立ちたいのだ。だから「静岡県は日本の真ん中の県だよ」みたいのはエントリー対象外とした。
  • 記載されていない日本の中心があったら教えてほしいです(たぶんまだあるよね?)。ブログのコメント機能でもいいし、Twitterのメッセージでも良いですので。

 

では、実際にご紹介していこう。

 

 

地理的観点からの日本の中心

日本列島中心の地(栃木県佐野市

 

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日本列島中心の地1

佐野市の旧田沼町からずーっと北上した、なかなかの山奥にある。

「蓬山ログビレッジ」という施設の敷地内だ。

ここまで来たところで基本的にはまた引き返さざるを得ないような、エスケープルートほぼ皆無の地。

 

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日本列島中心の地2

本土最北端の「宗谷岬」と、本土最南端の「佐多岬」。

日本海側の海岸線を経由して結ぶ場合の中間距離(x)、太平洋側の海岸線を経由して結ぶ場合の中間距離(y)を求める。

その2つの地点のさらに中間距離にあたる「(z)」がここだ。

 

さぁ、いきなり飛び道具的な理論が出てきたな。

そして沖縄県は泣いているかもしれない。

しかしこのくらいで驚いていては、心臓がいくつあっても足りないぞ。

 

詳細は以下の記事を読んでほしい。

 

drive-ns.hatenablog.com

 

 

日本の臍中心標(群馬県渋川市

 

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日本の臍中心標1

超メジャーな日本の中心だ。

"へそ祭り"という祭りもあるし。

 

街中にある「寄居町会館」の前。渋川駅からも近く、とてもにぎやかな街中だ。

アプローチは全ての日本の中心の中で、もっとも楽かもしれない。

ただし大きな道路がすぐ背後にあるので写真が撮りづらいし、人通りが多いので少し恥ずかしいぞ。

 

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日本の臍中心標2

本土最北端の宗谷岬と、本土最南端の佐多岬

それら2点を円で結んだ中心がここだ。

 

上記概念は渋川市のWebサイトにも記載されている。

…しかしだ。これまた沖縄県民が泣く。

 

そして少し考えればわかる通り、特定の2点を通過する円のサイズはいくらでも書きようがある。

あ、これ以上を書くと…「おや、こんな時間に誰か来たようだ

 

詳細は以下の記事を読んでほしい。

 

drive-ns.hatenablog.com

 

 

日本列島の中心地(山梨県韮崎市

 

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日本列島の中心地1

少なくとも僕の訪問時点では、アプローチは困難を極めた。

なんの目印もない果樹園の中を1時間ほどグルグルし、地元の方に場所を聞いたりしてようやく発見できた。

 

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日本列島の中心地2

概念の読解も困難を極める。

以下は僕の推測も含めた。

 

  • 経度… 本土最北端稚内市と、本土最南端佐多岬を経由する円の、0時と6時を結ぶ直径の中心点(y)
  • 緯度… 日本最東端の「南鳥島」と日本最西端の「与那国島」の経度の中間地点(x)

 

上記の交差点がここだ。

ただ、そうだとしても「佐多稚内市・〇〇」という概念のブレ、円を使ったり経度を使ったりのブレ。

なにがなんだかよくわからないので、自治体に問い合わせしたりもした。

 

詳細は以下の記事を読んでほしい。

 

drive-ns.hatenablog.com

 

 

日本列島の臍(山梨県韮崎市

 

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日本列島の臍1

ここは前項の「日本列島の中心地」と同じ概念の地だそうだ。

日本列島の臍の正確な場所が非常にわかりづらい上に駐車場すらない果樹園の中なので、ここ大草町の中心的存在の場所に仮の石碑を置いたとのことである。

 

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日本列島の臍2

だから定義の図も前項と一緒。

日本の中心を示す碑や看板があるたびにこの項目を増やしていったらキリがないんだけど、"日本列島の中心地"と"日本列島の臍"と名称が違うので、特別に別項目とした。

 

詳細は以下の記事を読んでほしい。

 

 

 

日本列島ここが中心(石川県珠洲市

 

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日本列島ここが中心1

かなりのメジャースポットだ。知っている人も多かろう。

僕も数ある日本の中心の中でのヘビーリピーターとなっている。

 

能登半島最北端である「禄剛崎」の灯台のすぐそばにこの石碑がある。

 

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日本列島ここが中心2

日本の国土が真っ平らなプレートだと仮定する。

それを1点でバランスが取れるように支えるとしたらどこになるか…。

このポイントを"日本の重心地"という。

 

国土地理院は、日本の国土(陸地部分)の重心地は能登半島沖だと発表した。

そこに一番近い陸地として、能登半島最北端の禄剛崎を日本列島の中心と定義付けた。

 

詳細は以下の記事を読んでほしい。

 

drive-ns.hatenablog.com

 

 

ここが日本の重心地(石川県珠洲市

 

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ここが日本の重心地1

能登半島最北端の禄剛崎の近くにある「みさき小学校」の敷地内にその碑は立つ。

すぐ脇は海で眺めがいい。

このときは休日だからか校庭が解放されており、中に愛車を停めることができた。

 

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ここが日本の重心地2

名称からしても、前項「日本列島ここが中心」と定義は同じと考える。

最近「ウチが能登半島の最先端だ!」とアピールをしている「珠洲岬」と同じ三崎町にあるため、ここにも重心地をアピールする碑があるのではないかと考える。

 

だから定義は日本列島ここが中心と一緒ではあるが、名称も違う上に水面下での闘いの気配を感じたため、別項目とした。

 

詳細は以下の記事を読んでほしい。

 

drive-ns.hatenablog.com

 

 

日本のへそ(兵庫県西脇市

 

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日本のへそ1

はい、お待たせ。

関西地区の方々が狂おしいほどに愛する日本の中心だ。

 

大々的にアピールしており、「日本へそ公園駅」という鉄道駅まである。

僕もここを訪問したときのことを新聞社に取材されて掲載されたこともある。

 

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日本のへそ2

 

それぞれの緯度経度の中間は、北緯35度・東経135度の地となる。

ただね、日本の概念に「択捉島」を含めるならば、日本の北端も択捉島だ。

そして、一般人到達困難で居住も不可能な択捉島を"東端"とするならば、南鳥島沖ノ鳥島の立場はどうなる…というツッコミもしたい。

 

まぁそういうことを言うと僕の存在が消されてしまうので(以下略)

 

詳細は以下の記事を読んでほしい。

 

drive-ns.hatenablog.com

 

 

日本列島中心点(徳島県三好郡)

 

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日本列島中心点1

四国のとんでもない、本当に大変なレベルの山間部に、そのモニュメントはある。

延々続く狭路と激坂の連続で、訪問当時は2度と行きたくないレベルで大変だった。

 

だが、旅人という人種は…!

いいか、よく聞いてほしい。

旅人という人種はね、そういうところに行くのを至上の喜びとしてしまう変態なのだ。

 

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日本列島中心点2

日本国内の陸地が存在する地において、緯度経度の下2桁が同一の地の北端は北海道常呂町(北緯44度・東経144度)。南端は沖縄県竹富島(北緯24度・東経124度)。

この2つの地点の真ん中、つまり北緯34度・東経134度の地点がここだ。

 

ちなみに「なんで緯度経度の下2桁が同一の地にこだわるの?」とか、賢い大人はそんな発言はしない。

 

詳細は以下の記事を読んでほしい。

 

drive-ns.hatenablog.com

 

 

日本中心の標(長野県辰野町

 

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日本中心の標1

標高1200mの山の中、王城枝垂栗林道沿いにある。

一部マニアが大好きな日本の中心であろう。

 

道路は激狭かつなかなかの激坂。

路面はガレていて四駆やオフロード車でないとやや厳しいであろう。

だけども眺めは最高だ。

 

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日本中心の標2

日本には、端数の無い緯度と経度が、本土の陸地上で交差する点が40個ある。

頑張って上の地図を作ってみたが、いかんせん手造りなので少し歪んだ部分は寛大な心で許してほしい。

 

その40個の中心に当たるのが、日本中心の標だ。

…だが、なにをもって中心と呼ぶのか。

南北に分けても東西に分けでも真ん中にはならない。

だけども脳内でそれらを優しい気持ちでミックスすると、確かにここが日本の中心になりそうな気もする。

 

ちなみにジャストの地点は深い山間部でとても碑などは作れない。

従い少しずらして「北緯36度00分47秒・東経137度59分36秒」を日本中心地としている。

 

詳細は以下の記事を読んでほしい。

 

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日本の地理的中心"00ポイント"(長野県辰野町

 

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日本の地理的中心"00ポイント"1

前項の「日本中心の標」を緯度経度のジャストポイントに作れなかったことをずっと後悔していた自治体が、2011年に本気出してジャストポイントに作った碑。

 

2021年現在はある程度整備されていると思うが、僕は2011年の碑の誕生を喜びすぎて、まだ整備前に出かけた。

道なき道を進み、全スポットの中でダントツ厳しいアプローチとなった。

 

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日本の地理的中心"00ポイント"2

定義も日本中心の標と同様である。

だが名称が異なることと、前項の日本中心の標が長らく市民権を得てきたことから、別項目とした。

 

詳細は以下の記事を読んでほしい。

 

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日本のおへそ(長野県南佐久郡

 

日本のおへそ1

正式名称を「平面直角座標系第Ⅷ系原点」という。

 

国道141号沿いにある、かなりアプローチが容易なスポットだ。

清里や野辺山といった信州の高原地帯の観光に絡めて訪問することができる。

 

日本のおへそ2

球体である地球を平面に表し、そしてその位置情報を簡単に示すには、緯度経度ではなくって"平面直角座標系"っていう手法からX軸・Y軸で表現するのがいいらしい。

その平面直角座標系っていうのは、地球をある程度狭い範囲ごとに切り取って計算するのがいいらしい。

 

日本を19個に切り取り、そのほぼ真ん中に位置する、上の図での「8」。

それが平面直角座標系第Ⅷ系だ。

その第Ⅷ系内の位置基準となるスポットが、平面直角座標系第Ⅷ系原点。

 

詳細は以下の記事を読んでほしい。

 

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日本土真ん中(長野県塩尻市

 

日本土真ん中1

塩尻市の「紅葉山」という、山間ののどかな地にある。

付近は森林浴・散策・デイキャンプなどできそうな立地だ。

"土真ん中"と書いて"ど真ん中"と読む。緑豊かな大地にこのスポットがあるため、とのことだ。

 

最後の200mほどは擦れ違い不可能であるが、日の目の前までマイカーで行けるのはありがたい。

 

根拠は、以下の2段階となっている。

  1.  長野県が、日本のほぼ中央だから
  2.  塩尻市の塩嶺高原紅葉山が、長野県を人体に例えたときのへそ、つまり中心にあたる地だから

 

…けっこうアバウト?僕によるこれ以上の解説しようがない。

従い、自治体にも問合せをした。

 

詳細は以下の記事を読んでほしい。

 

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伝承に基づく日本の中心

日本中央の碑発見地(青森県上北郡)

 

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日本中央の碑(発見地)

青森県の内陸部、かなりわかりづらいところにある。

2021年訪問時には遊歩道の整備もおざなりになっている様子でアプローチはやや困難。

上記の碑も劣化が進んでいた。

 

 

この項目では定義を地図上で図解する必要が無いので、Googleマップから地点をご紹介する。

 

ここが日本の中心とされた経緯は奈良時代にまで遡る。

奈良時代坂上田村麻呂蝦夷遠征の際、大きな岩に弓の先で「日本中央」と彫った。

「ここは自分らの概念的にはぶっちゃけ東の果てだけど、このさらに東にも陸とか島とかあるし、そう考えるとここを日本の中央と考えてもいいんじゃない?」と言ったのだ。

 

ここから現代に至るまでは胸が熱くなるすごい物語があるのだが、スペースの関係上割愛しよう。

 

詳細は以下の記事を読んでほしい。

 

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日本中央の碑保存館(青森県上北郡)

 

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日本中央の碑(保存館)

コントラストをいじったが、岩に彫られたあなたに「日本中央」の文字は見えるだろうか…?

定義は前項の「日本中央の碑発見地」と一緒である。

坂上田村麻呂が刻んだ岩がこれだ。

発見地から数㎞離れた保存館で、大事に管理されている。

 

 

休館日や時間に気をつけてアプローチしてみてほしい。

きっとそこにロマンがあるから。

 

詳細は以下の記事を読んでほしい。

 

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日本中央(長野県上田市

 

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日本中央1

生島足島神社」。

この神社には、生国魂大神と足国魂大神の2人の神様を祀っている。

 

どちらも古くから日本の政治の中心となる地に祀られてきた神様だ。

それがなぜ長野県で祀られているのか。

ここだけ例外的に、政治の中心ではなく地理的な中心に祀られたからに違いない。

 

そんな伝承が古くからこの地に受け継がれているという。

 

 

どちらかと言えば知名度の低めな日本の中心であるが、アプローチは比較的容易だ。

覚えておけば何かのネタになるに違いない。

 

詳細は以下の記事を読んでほしい。

 

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広義の日本の中心

本洲中央の地(長野県松本市

 

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本洲中央の地1

「浅間温泉」の、下浅間地区の薬師堂敷地内にこの碑がある。

浅間温泉には薬師堂が複数あるので、間違えないように事前にしっかりと場所を確かめると良い。

僕はそれで泣きながら出直すことになったぞ。

 

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本洲中央の地2

定義は、本州の地理的に中心の県だから。

そのまた地理的中心が松本市だから。…という説を過去に見たことがある。

 

…ここまではまだわかるが、なぜそこから浅間温泉の薬師堂となったのかは不明である。

松本市は非常に広大であり、その地理的中心は浅間温泉とは程遠い。

政治の中心としてもズレている。

 

さて、どういうことだろう。根拠について、切り込めるだけ切り込んでみたい。

 

詳細は以下の記事を読んでほしい。

 

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本州のHESO(長野県上水内郡

 

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本州のHESO1

「道の駅おがわ」から山間部にグイグイ入って行った谷間にあるスポットだ。

2004年に発見された、比較的新しい日本の中心。

 

少なくとも僕の訪問時は遊歩道整備がイマイチであり、草ボウボウだし蚊が多くてちょっと大変であった。

 

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本州のHESO2

本州が真っ平らなプレートだと仮定する。

それを1点でバランスが取れるように支えるとしたらどこになるか…。

このポイントを"本州の重心地"という。


2004年、とある測量会社が調査をし、ここがの本州の重心地だと発見したのだ。

ちなみに街中にも「この町の中に本州重心地があるよ」という碑があるので、それをもって満足することも可能である。

 

詳細は以下の記事を読んでほしい。

 

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日本で海岸線から一番遠い地点(長野県佐久市

 

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日本で海岸線から一番遠い地点1

読んで字のごとくの定義である。

Webサイトで調べたら、山道を徒歩で2時間と書いてあった。

僕は猛ダッシュで行ったのでそれより遥かに短い時間で到達したが、非常にキツい道のりであった。

 

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日本で海岸線から一番遠い地点2

 

それぞれ近い海までの距離は上記とのことだ。

いい感じにそれぞれの距離を揃えて来た感もあって微笑ましい。

 

詳細は以下の記事を読んでほしい。

 

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日本人口重心地点1995(岐阜県郡上市

 

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日本人口重心地点1995_1

人口重心系の日本の中心はいくつかあるが、まずは最もインパクトのある1995年版をご紹介しよう。

 

日本人が全員同じ体重だと仮定して。

日本人全員の体重のバランスが1点で釣り合うポイントは、日本のどこだろうか?

…それを日本の人口重心と呼ぶ。

 

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日本人口重心地点1995_2

「日本まん真ん中センター」という、1995年時点の巨大施設が日本の人口重心だ。

まぁ日本の人口や居住地の傾向は年々変わるから、大層な施設を作ったところですぐに過去の栄光になってしまうのだが、とりあえず1995年の国勢調査の結果はここであった。

 

詳細は以下の記事を読んでほしい。

 

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日本人口重心地点2000(岐阜県関市)

 

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日本人口重心地点2000_1

武儀町の山深くにこの球形モニュメントはある。

まずは「水成林道」という舗装されていない林道をを終点まで上り詰めるのだ。

四駆が良い。

 

林道の終点からは「水晶山」の登山だ。

10~20分ヘロヘロになって急勾配の山を登ると、このボールが現れる。

 

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日本人口重心地点2000_2

日本人口重心地の定義は前項と同じだ。

ただし、5年ごとの国勢調査で少しずつ地点は東京側に移動している。

2000年ではこのように山の中となったのだ。

 

詳細は以下の記事を読んでほしい。

 

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日本人口重心地点2005(岐阜県関市)

 

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日本人口重心地点2005_1

小さな集落で地元の方に道を聞きながら、ようやく発見したモニュメント。

急勾配の林道を延々歩いて登って行くため、かなり大変だ。

 

僕はここを2回訪問したが、2回目は林道の整備もできておらず、碑もかなり劣化していた。

この碑の存在自体に危機感を覚えてしまったほどであった。

 

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日本人口重心地点2005_2

日本人口重心地の定義は前項と同じだ。

5年ごとの国勢調査でさらに場所は移動した。

 

…しかし、僕の知る限りでは次の2010年以降は碑を作っていない。

5年ごとにお金をかけてモニュメントを作る意味を見い出せなかったのだろうか…。

(私有地に重心地が出来たせいもあると思う…)

 

詳細は以下の記事を読んでほしい。

 

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日本人口重心地点1990(岐阜県郡上市

 

日本人口重心地点1990_1

国道156号に近い神社、「小安神社」。

その境内に立派な石碑が立ち、『日本人口重心の地』と書かれている。

ありがたいことにアプローチは非常に容易である。

よくぞ国道付近に人口重心が定まってくれたものだ、って僕は思った。

 

日本人口重心地点1990_2

日本人口重心地の定義は前項と同じだ。

 

5年ごとの国勢調査で場所は移動する。

先ほどの項では1995年をご紹介したが、さらにその前の1990年がここだ。

神社の境内にふさわしい重厚な石碑。

数ある日本重心地のオブジェの中で、一番後世に残るのがこれなのではないかなって、僕は考えている。

 

詳細は以下の記事を読んでほしい。

 

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日本人口重心地点1980(岐阜県郡上市

 

日本人口重心地点1980_1

国道156号沿いにある「吉田小学校」。

その校庭に隣接するように、この不思議なかたちのオブジェが立つ。

国道沿いだしちょっとの間であれば駐車もできるし、目の前はバス停だし(ただし本数は1日2~4本程度)、アプローチは容易だ。

 

日本人口重心地点1980_2

日本人口重心地の定義は前項と同じだ。

 

5年ごとの国勢調査で場所は移動する。

先ほどの項では1995年をご紹介したが、さらにその2つ前の1980年がここだ。

「あれ?1つ前の1985年分は?」と思われるだろうが、僕は知らない。

もしあなたがご存じなのであれば、僕に教えてほしい。

 

詳細は以下の記事を読んでほしい。

 

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日本標準時シンボル(兵庫県明石市

 

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日本標準時シンボル

日本の標準時子午線、東経135度線の通る明石市の「天文科学館」。

子午線のライン上の科学館には"Japan Standard Time Meridian"の略称が書かれた大きなSEIKOの時計がついていて、時間を刻んでいる。

 

 

正確に言うと、日本の時計は別にここの時計に合わせて設定されているのではない。

ただし、イギリスの「グリニッジ天文台」をもとに設定されている日本の時間の概念の中枢となるのは、確かにここなのだ。

 

詳細は以下の記事を読んでほしい。

 

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日本国道路元標(東京都中央区

 

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日本国道路元標

東京の「日本橋」に、このシンボルは埋め込まれている。

日本橋は1603年の完成。
翌1604年に五街道が確立されて以来、現在に至るまで日本の道路の中心だ。

 

 

明治時代には改めて日本橋の中央を国内諸街道の起点とすることが定められたんだ。

道路あってのドライブ、道路あっての僕のドライブ人生。

この存在を無視はできまい。

 

詳細は以下の記事を読んでほしい。

 

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日本水準原点(東京都千代田区

 

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日本水準原点

「国会議事堂」の正面には道路を隔てて2つの庭園がある。

散歩に最適だ。僕も正月から散歩したりした。

その北側のちょっとした丘の上に建つ、なんだか小さな神殿のような建物がこれだ。

 

 

日本の高低の測量の基準となる点。

絶対にズレたりしないよう、この「日本水準原点標庫」は地下10mのガッチリした地層から築き上げられている。

 

この中に原点があるのだ。

当然それを見ることはできないけど、この標庫だけでも非常に歴史的価値がある。

 

詳細は以下の記事を読んでほしい。

 

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日本経緯度原点(東京都港区)

 

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日本経緯度原点

「東京タワー」から西に数100m。

都心にしては周囲に駅が少なく、結構歩くポイントだ。

そして大使館の乱立地帯。

 

 

そこにあるのが、日本の測量の基準点。

北緯35度39分29秒1572・東経139度44分28秒8759地点である。


ここはかつて子午環っていう、いわゆる上下にしか動かせない天体望遠鏡が設置されていて、それでグリニッジ天文台との時差計測をしていたんだ。

でも子午環は関東大震災で壊れちゃったので、この場所を経緯度原点としたというわけだ。

 

詳細は以下の記事を読んでほしい。

 

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日本の中心の中心_チコちゃんポイント(長野県辰野町

 

日本の中心の中心_チコちゃんポイント

あなたは2022年現在も絶賛放映中の、NHKの「チコちゃんに叱られる」という、雑学TV番組をご存じだろうか?

 

この番組内で「日本の中心ってどこ?」というテーマがあった。

28個の日本の中心があり、主張はてんでバラバラ。これはここまで読んでくれたあなたも重々ご承知のはずだ。

そこでチコちゃんは「28個の中心のさらに中心を求めれば、そこが本当の日本の中心では?」と言ったのだ。

 

日本の中心の中心_チコちゃんポイント2

それがここである。

奇しくも場所は前述日本の地理的中心"00ポイント"からの10mほどの場所である。

一緒に視界に入る。

 

ただし、算出元の28箇所の中には「福井県は日本の真ん中」のようにかなりザックリしているものもあるようだ。

28箇所の選定基準はわりとアバウトなのかもしれない…。

 

詳細は以下の記事を読んでほしい。

 

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*-*-*-*-*-*-

 

さぁ、どうだろうか?

いろいろあって楽しいな。まるで祭りのようだ。

 

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おまけ:名古屋の「にっぽんど真ん中祭り

あなたもユルい気持ちで巡ってみてはいかがだろうか。

 

あくまでユルい気持ちでいいと思うんだ。

だって、あなたの人生の中心は、いつだってあなた自身なのだから。

 

【コラム】古い車は壊れやすい!それが引っ越し直前だとパニックになる!実例知りたいか?

こんばんは、【週末大冒険】のYAMAです。

そして2022年、新年あけましておめでとうございます。

 

drive-ns.hatenablog.com

 

さて、当ブログ開始から3番目の特集である「極地&八方位の突端」の全執筆が完了したので、ここで再びコラムのコーナーを開催しようと思います。

 

 

ところで、旧車好き・レトロカー好きにとっての一番の恐怖は、車が故障することですよね。

それが遠方であれば、絶望もまたひとしおだと考えます。

 

正月から縁起でもない話で恐縮です。

ラジオ番組の1コーナーで突端岬についてトークをした話とかしてもいいのですが、ここはあえて、昨年2021年の大イベントである引っ越し直前の車トラブルについてご紹介します。

(…僕、泣くかと思ったよ。)

 

 

愛車と共に引っ越したい

 

僕の愛車は日産パオである。

旧車に含まれるかは微妙かもしれないが、昭和時代の最後に発表され、平成元年に製造されたという、旧時代の車である。

 

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日産パオ1

窓はハンドルをグルグル回して開けないといけないし、三角窓がついているし、オーディオはカセットテープしか聞けない仕様だし、ドアの施錠も1つ1つドアごとにやらねばならない。

 

こんなヴィンテージスタイルな車で日本6周目に挑む僕。

そんな僕にとって、2021年は手に汗握るトラブルがあった。

しかもそれは、引っ越しの直前であった。

 

車に対し技術的なスキルを持たない僕。整備も改造もできない。

もうほとぼりが冷めたからこそ書ける、波乱の半月であった…。

 

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日産パオ2

ここでちょっとあなたに断っておかねばならないが、僕がどこからどこに引っ越したのかはナイショにさせていただきたい。

及び、2021年の引っ越し日の詳細もここでは表記しないこととしよう。

 

この記事では引っ越し日(Xデー)を「X」と表記する。

引っ越し1日前は「X-1日」だし、9日前は「X-9日」だと思っていただきたい。

 

引っ越し日程はズラせない。

お仕事の都合もあるし、引っ越し業者との予定合わせもあるからだ。

 

ちなみに車は陸送などにはせずに、貴重品等(PC・観葉植物・お土産などなど)を積み込んだ上で自走で引っ越し先に向かう。

車は絶対に必要なのだ。

 

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日産パオ3

 

 

引っ越し前に車検を通す(X-15日~13日)

車検依頼(X-15日)

 

引っ越しまであと15日となった。「X-15日」だ。

僕は愛車を車検に出すことにした。

間もなく車検の満了日まで1ヶ月となるのだ。

 

前述の通り、パオは古い車だ。ちゃんとこのパオのことを知っている人に検査してもらいたい。

それに、引っ越し直後はドタバタして車検している余裕が無いかもしれない。

 

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車検1

僕は車屋おっちゃんに電話をした。

今回の記事の最重要人物だ。いやむしろ、もう1人の主人公だ。

前からパオを整備してくれ、臨機応変な数々の提案もしてくれる、凄腕の人だ。

 

しかも毎回車を自宅まで取りに来てくれるし、整備が終わった後も自宅まで持ってきてくれる。

おかげで僕、こんなにお世話になっているのにおっちゃんのお店に行ったことが一度もない。

 

そんなおっちゃんに車検をお願いした。

実はちょっとでサヨナラなので、その前に信頼できるおっちゃんに車検整備をしてもらいたいし、最後に会う理由も欲しかったから、って伝えた。

 

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車検2

おっちゃん、「まかせとけ!」みたいなテンションで引き受けてくれた。

 

 

車検完了(X-13日)

 

「X-13日」だ。

自宅にはダンボールがドサドサっと届いた。本格的に荷造り開始だ。

 

同時にパオの車検が無事に完了した。

たった2日で愛車が自宅に戻ってきた。

ちょこちょこ整備をしていることもあって、スピーディだったし安価に済んだ。よかった。

 

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車検3

これで…、おっちゃんともお別れだね。

おっちゃんは「じきにエアコンが故障するから、そういうときはこういうお店でこう頼むと安くやってくれるから…」とか、タイヤの溝を入念にチェックしていろいろアドバイスをくれた。

 

「でも、まだまだこの子は走れるからね。大事にしてね。」とおっちゃんは言い、笑顔で帰って行った。

 

 

青森で事件は起きる(X-12日)

スモーキー・パオ

 

愛車が車検から帰ってきた翌日の午後のことである。

僕は青森県にいた。

 

まぁとりあえず僕の自宅から見て青森県は"相当な遠方"だと言っておこう。

あと、ヤボ用があったのだがその内容についてはここでは語らないこととしよう。

ここで事件は突然起こるのだ。

何の前触れもなかった…と思う。

 

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トラブル勃発1

 

ボンネットから煙が「ボワーッ」とね…。

 

 

うん、実際は撮影している心の余裕なんてなかったから、これはイメージね。

青森の市街地、ちょうど大きな交差点の赤信号で停車したときであった。

視界のすぐ前にある自分の車のボンネットから、もうもうと蒸気が上がっていたのだ。

これ尋常じゃねぇ。

 

信号が青になると同時にハンドルを切り、真横にあったファミレスかなんかの駐車場に停めてエンジンを切る。

これきっとオーバーヒート傾向だよね?

だったらエンジン切ったほうがいいよね?

そう思ったのだ。

 

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トラブル勃発2

それからボンネットを開けた。

煙を吐くほど熱いのであれば、通気性を良くして冷ますべきだと考えたのだ。

 

そしてすぐにおっちゃんに電話をする。

車検翌日にこんなことになっているのは不運だが、前日におっちゃんが実際にこの車を見てくれているのは幸運だ。

きっと話が早かろう。

 

僕はおっちゃんに事の経緯を話した。

おっちゃんは「水温計の表示はどうだった?」と聞いてきた。

 

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トラブル勃発3

ちなみにこれが水温計だ。

 

あー、しまったな…。

僕はあまりに慌てており、水温計の表示を見ていなかった。

 

水温計はエンジンの温度を示すメーターだ。

冬場はなかなかエンジンが温まらないので注視しているが、このときは冬ではない。

走行中は気にしていなかったし、煙を確認してからはそれどころではなかった。

なので正直に「見ていないのでわからない」と回答した。

 

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トラブル勃発4

おっちゃんは「ガンガン走った後はすぐにエンジンを切ってはダメ。しばらくエンジンをかけっぱにすることで、ファンが回ってエンジンが冷却されるから。」と説明を始めた。

 

「なんの煙かわからないけど、まずはもう一度エンジンをかけて水温計を見てほしい。そしてエンジンをしばらくかけておけば、ファンが回ってそのメーターが下がるかもしれないから、一度確認して。」…とのことであった。

 

エンジンかけた。

ノロノロと2kmほど運転してみた。

 

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トラブル勃発5

 

また「モワ~」だ。

 

 

ついでに水温計もグングンとメーターが上がるぞ!!

ここままだと最高レベルに到達するぞ!

 

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トラブル勃発6

これヤバい。このままではヤバいと判断。

ちょうど見つけた駐車場に愛車を停めてエンジンを切った。

 

 

ラジエーターホースが!

 

まだまだ僕は焦っているが、さっきよりかは少し冷静だ。

改めてボンネットの中を見てみよう。

 

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トラブル勃発7

うん、なんだこれ。

まぁなんとなく想像はつくのだが、ラジエーターホースかな?

それが破裂したかのように縦に裂けている。

 

さすがに昨日や一昨日の時点でこんなだったら、おっちゃん気付いていたよね。

つまりこの破損はつい今しがた起きたことであり、煙が出るのもここが原因であろう。

すぐにまたおっちゃんに電話した。

 

やっぱラジエーターホースだった。

ラジエーターホースとは、エンジンを冷やすための冷却水の通り道だ。

これが破損したらエンジンを冷やせない。つまりエンジンが高温になって煙を噴く。

 

おっちゃんはこうアドバイスをしてくれた。

「ゆっくり水温計を気にしながら最寄りのガソリンスタンドへ。そこで相談すれば、きっとビニールテープとかでホースをグルグル巻きにしてくれる。そうすれば今日1日くらいは走行できるだろうから、無事に帰ってきてほしい。」

 

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トラブル勃発8

なるほど、がんばる。

検索すると、ここから300mほどのところにガソリンスタンドがある。

トラブル勃発までは山間部の何もないところを走っていたのだが、ちょうどその数分前に町中に出たのだ。

 

再びノロノロとガソリンスタンドまで走った。

そしてベテランそうな店員さんに事情を話す。

 

「そういう問題じゃないね。この車、冷却ファンが回っていないんだ。ガソリンスタンドじゃどうしようもないし、もう走れないね。

 

あ…れ…。

 

 

冷却ファンが!

 

ガソリンスタンドの店員さんに「もう走れないね」とドライに死刑宣告されたところで、こちらもリアクションに困る。

この近くに日産のお店は無いか質問してみた。

すると、1㎞ほどのところにあるという。うおぉ、ラッキーだ。そこ行く。

 

日産のお店に電話して事情を伝えた後、再びノロノロと運転してお店に行った。

早速整備担当の人が見てくれる。

 

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トラブル勃発9

冷却ファンとは、ボンネットの中についているこの扇風機のようなパーツだ。

これはラジエーターを冷やす際に作動する。

つまりは間接的にエンジンを冷やすための装置。

これがないと、やっぱりエンジンはオーバーヒートするのだ。

 

作業担当の方の見解はこうだ。

  1. ファンが作動しなくなる
  2. ラジエーターが高温となってホース破裂
  3. ラジエーターが機能しなくなってエンジンが煙を噴く

 

では、どうすればいいのか。

パッと見たところなぜファンが作動しないのかわからないそうで、新しいファンに付け替えてまたどうなるか確認…となるそうだ。

 

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トラブル勃発10

しかしファンの取り寄せには数日はかかる。

この時点で、パオと共に自宅に帰れないことが確定したな。

1泊程度であれば近くに宿を取ってもいいのだが、それ以上はダメだ。

 

さて…、ここから先は保険会社だな…。

日産のお店の客席を借りて、保険会社に電話報告した。

 

まぁここからも結構大変でね。

最初は窓口で「異変を感じたところから車を移動させてしまっては保険対象外です!何もできません!」って言われて。

 

なのでいつもお世話になっている代理店の担当さんに相談したら、その人が憤慨して闘ってくれて。

なんだかんだでちゃんと保険対象となった。

 

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トラブル勃発11

保険会社にて対応可能なのは、以下の部分だ。

  1. ここから自宅までの交通費
  2. 車が直るまでのレンタカー
  3. 車を自宅付近まで送り届けるための陸送費

 

「3」については、結構悩んだ。

「①ここの日産で修理してもらい、後日僕が電車等で取りに来る」のか、「②ここでは何もせずに自宅付近に陸送してもらい、おっちゃんに修理してもらう」かの2択だ。

 

僕には仕事もあるし引っ越しもある。

超タイトスケジュールなので「②」を選んだ。

保険会社の人もそれを薦めていたし。

陸送の日程は、保険会社にて追って調整してくれるらしい。

 

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トラブル勃発12

…というわけで、しばらくお別れだ、パオちゃん。

必ず一緒に引っ越ししようね。

 

 

青森から自宅への旅路

 

― いまだかつて、こんなにも切ない旅があっただろうか…

 

そんな、映画のキャッチフレーズにできそうな思いが脳内を渦巻いていた。

日産のお店でなんやかんや各所をやりとりをするのに2時間を要した。

アイスコーヒー2杯をごちそうになり、打ち合わせスペースをお借りし、おまけに後日陸送業者が回収に来るまで愛車を保管しておいてもらい…。

 

にもかかわらず1円も落とさないという、申し訳ない結果となってしまった。

でも、みんないい人だった。感謝。

最後はタクシーも呼んでくれたし。

 

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失意の旅路1

タクシーで新青森駅に着いた。

新幹線の時刻まで1時間ある。

 

チケット購入などをしていると、保険会社から再び電話が来た。

「陸送先として、普段使用している整備工場等を教えてほしい」とのことだった。

うむ、おっちゃんのところにしよう。

おっちゃんに許可を取ろう。

 

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失意の旅路2

ここまでずーっと保険関連の電話していてバタバタだったので、ここで改めておっちゃんに電話を入れた。

 

おっちゃんは「ビニールテープグルグル巻き作戦で大丈夫だったかー?」みたいなテンションだったので、事の顛末を話したところショックを与えてしまった。

とりあえず、陸送先はおっちゃんのところで承諾を得た。

後日頼むよ、おっちゃん!!

 

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失意の旅路3

駅構内にねぶたの飾りがあるのを、うつろな目で眺めた。

 

一番右、七夕的なものなのか「いえがほしい」と書いてあってウケる。

そうなんだよ、僕も家が欲しいんだよ。

12日後に新しい家に引っ越しするんだよ。でも移動に使う車が間に合わなかったらどうしよう…。

 

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失意の旅路4

新幹線を待つ時間で、コーラを買い、駅弁を買った。

コーラを飲んだら少しだけ元気になった。

コーラって万能薬だよな。滋養強壮とか、お手の物なのだ。

 

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失意の旅路5

日没近くに新幹線に乗り込んだ。

今日中には自宅に帰れるであろう。

 

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失意の旅路6

買ったのは鰺ヶ沢弁当と言うそうだ。

ちょっとリッチなメニューが並ぶ。

 

でも悲しいかな、あまりおいしいという記憶が無いんだ。

以前の記事でも書いたが、味はシチュエーションに大きく左右されるのだ。

 

 

陸送を待ち焦がれる日々(X-11日~5日)

日程はギリギリなのか(X-10日)

 

翌日の「X-11日」、昼前にレンタカー業者の人がウチに代車を届けに来てくれた。

最大2週間、保険会社持ちで代車を使用できるのだ。

 

フハハ、2週間後なんて僕はこの地方にいませんよ。

遠い地で笑っていますよ。余裕余裕。

 

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代車

「X-10日」保険会社から連絡が来た。

「陸送ですけど、なかなか手の空いている業者がいなくて…。最短で「X-5日」出発、自宅付近到着は「X-4日」です」って言ってた。

 

おいおいおいおい、ヤバいぞこれ!!

ただ陸送だけでこれだけの日数を消耗してしまうのかよ!

そこからの修理開始なのだよ?

部品の調達が必要だったらそこからの発注なのだよ?

 

これは、引っ越しに間に合わないパターン…!!

 

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青空とは裏腹の絶望

 

悪あがきチャレンジ(X-9日)

 

「X-9日」、おっちゃんに電話してみた。

 

ちょっとだけ期待してた。

「大丈夫さ!直前まで俺がパオを見ていたんだから、1日で直せるさ!」、みたいに言ってくれることを祈っていた。

 

だが違った。

おっちゃん、「俺にも保険会社から電話来たけど、その日程は正直厳しい…!もっと陸送の日程を早めてくれって言ったんだけど、跳ねのけられちゃって…!」って言ってた。

 

緊張感が高まって来たぞー!チクショウ!!

 

だがおっちゃんは、「徹夜してでも「X-0日(Xデー)」の朝には仕上げるからさ」って付け加えてくれた。

めんぼくねぇ!めんぼくねぇ!!

 

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泣ける夕日

保険会社には、僕からの電話してみた。

青森でサポートに回ってくれた代理店の担当者にも電話し、引っ越し日が迫っていることを熱弁の上、なんとか調整できる案は無いか聞いてみた。

 

だけどもダメだった。

悪あがきは失敗だった。

待つしかないってツラいな、これ…。

 

とりあえず電気ガス水道などの停止や、新居での開通の手続きを進める。

もう、引っ越し日まであと数日なんだぞ…!

 

 

エンジンは無事なのか!?(X-5日~3日)

デッドorアライブ(X-5日)

 

引っ越しまであと5日となった「X-5日」の夕方ことだった。

おっちゃんから電話が来た。

 

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夕日に希望を

「パオが届いたぞー!」って言ってた。

おぉ、予定よりも1日早いご到着だ。

 

しかもおっちゃん、ラジエーターホースやファンは取り替えられるように部品を既に調達してくれていた。

交換して動くのであれば解決だ。

 

だが、「エンジンにダメージがあったらヤバい。そうなったら廃車かもしれん。」って言ってた。

 

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エンジンルーム

うん、わかってはいたけど聞きたくなかったセリフ第1位だ。

 

エンジンの温度が高い状態で相応を続けると、エンジン壊れる。

エンジンは車の心臓だ。

壊れたら基本オシマイだ。

 

煙が出てからちょっとだけだったら、きっと走ってもセーフ。

でも、長い距離走ってたらアウト。

 

「あれ?でも煙が出てすぐに車を駐車したよね?」ってあなたは思われるかもしれない。

ちょっと違うんだ。

「煙が出ていたのに気付いていなかった」という可能性もあるのだ。

 

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バイパス1

煙は静かに上に登る。

時速20㎞で走行したら、もう横に流れてしまって運転席からは気付かないのだ。

 

そして、僕は煙に気付く数分前までは、30㎞ほどノンストップで快走路を走っていた

この時点で実は煙が出ていたら、もうエンジンはオダブツだろうよ…。

 

さぁ、生か死か。

結果はきっと明日にわかる。

僕は寝れない夜を過ごす。

 

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バイパス2

 

そして奇跡は…(X-4日)

 

「X-4日」だ。僕の職場勤務最終日であった。

大勢から「おつかれー!」とか言われて寄せ書きとかプレゼントをもらって、とりあえずニコニコしていた。

 

だが、心ここにあらずだ。

職場を出発すると、適当なところで代車を停め、おっちゃんに電話した。

 

おっちゃんは「おぉ、ちょうどこっちから電話しようと思っていたんだけどさ。エンジン無事だったよ。」って言った。

 

 

やったー!!

僕は!!パオに!!

また会える!!

 

 

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愛しきパオ1

 

明日には修理が完了し、また届けてくれるそうだ。

待ち遠しいぜ。

 

 

パオの帰還(X-3日~2日)

 

翌日の「X-3日」、おっちゃんがパオを届けてくれた。

はからずも、おっちゃんとはまた会えてしまった。でもこれが本当のサヨナラだ。

 

おっちゃんは「YAMA君が引っ越す地、ほんの15分ほど走ったところに自分の師匠がいる。困ったことがあったら訪ねてみてほしい。」と言ってくれた。

数100㎞離れた地、僕の引っ越し先に偶然に師匠がいたのだ。

なんという奇遇。

 

おっちゃんにお礼を言いお別れする。

 

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愛しきパオ2

「X-2日」、レンタカー業者が代車を引き取りに来てくれた。

自分で返す必要がなくって良かった。

なぜなら引っ越し準備で死ぬほど忙しいからだ。

 

こうして一連の対応は終わった。

いっときは「新幹線で引っ越し、後日新居からここまでパオを取りに来て…」とか考えたり、「もしパオが廃車となったら…」みたいに考えていたが、杞憂に終わった。

だが、どちらもギリギリでの回避だったのであろう。

 

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愛しきパオ3

*-*-*-*-*-*-

 

振り返ってみれば…。

たぶん快走路の途中でファンは壊れていたのかもしれない。

しかし、エンジンに北東北の爽やかな風が当たり続けていたので、エンジンは高温になっていなかったのだ。

 

街中に出るとともに、信号が登場した。

つまり車は停止することとなる。

ファンが作動しないため、ラジエーターホースが破裂した。

 

僕は街中に入ってすぐに煙に気付いた。

最初に「中華屋さんみたいな香ばしい匂いがするな、さすが町。」って思い、その100m後くらいに「これは中華屋さんじゃねー!ウチのパオちゃんだ!」って叫んだ。

まさに直後に気付いたのではなかろうか。

 

偶然なのか必然なのかはわからないが、とりあえず迅速に気付けて良かった。

 

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愛しきパオ4

そして反省点だ。

 

◆走行中

  • 暑い日にほとんど停車させずにで結構走り続けていた。
  • 水温計を気にしていなかった。

 

◆トラブル時

  • 写真を撮っていればおっちゃんにもっと詳細な連携ができた。
  • 陸送は日数がかかるので慎重に。
  • 異常を検知したら車は動かさずに保険会社連絡が賢明だったかも。

 

まぁ、いろいろあるよな。

40万㎞(地球10周分)走ってトラブルは数えるほどではあるが、より謙虚に丁寧に、日本6周目の相棒である日産パオと、残りの日本を走っていきたい。

 

 

引っ越し日(Xデー)

 

「元気でなー!」と、お世話になった裏のおじいちゃんが手を振る。

僕はパオに乗り込んで手を振り返す。

 

近所にいる、やたら僕にジャレついてくる柴犬。

これがお別れとも知らずにワンワン言っている。

車を降りて、最後に頭を撫でた。

 

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愛しきパオ5

ありがとう、今まで過ごしてきた地。

そしてありがとう、青森の日産の皆さん、そしておっちゃん。

 

僕は夕日の中、新天地へと旅立った。

 

 

P.S.

おっちゃんの師匠にはその後、お世話になっています。

 

 

*-*-*-*-*-*-

 

twitter.com

 

さて、そんなヘッポコな僕が毎日Twitterで呟いているそうですよ。

5500人ちょいの方々と楽しく交流していますので、ぜひぜひあなたも飛び込んでみて下さい。

 

2022年、あなたにとって良い年になりますように!!

No.161【鹿児島県】本土最南端「佐多岬」!!リニューアル前の、あの日の姿も忘れるな!

佐多岬に行く手段がこの世から消滅する!?」

新聞を読んだ僕は絶叫した。

 

*-*-*-*-*-*-*-*

 

本土最南端の「佐多岬」。

この岬は2018年9月に大規模リニューアルされて生まれ変わった。

 

それはそれで良いことだ。

僕は懐古厨ではない。人工的な施設や設備は、どれも進化するのだ。過去を振り返ってばかりでは文明は前へは進めない。

 

…しかしだ。

2018年9月以降の新・佐多岬も最高なのだが、それ以前の佐多岬もちょっとボロくて旅情あふれていいスポットだった。

それが僕がかつて佐多岬を目指した原点なのだから、旧・佐多岬の思い出も大切にしたい。

 

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僕は少し考えた。

それを胸の奥にしまっておくのも良いだろう。

だけども、なぜ僕が佐多岬を好きなのか。それは、最初に佐多岬のことを知ったときからの壮大な物語があるからだ。

 

あなたにはあなたの物語があるだろうが、僕には僕の物語がある。

それを共有し合えれば、もっともっと僕らは分かり合える。

 

よし、書こう。

 

drive-ns.hatenablog.com

 

ちなみにだ。

新・佐多岬については上記に執筆済みなので、2021年現在のロケーション等を知りたい方については、リンク先に飛んでほしい。

 

では、よみがえれよ我が青春の日々!!

 

 

【日本1周目】:遥かなる旅路

 

佐多岬に行く手段がこの世から消滅する!?」

2003年12月5日、新聞を読んだ僕は絶叫した。

 

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佐多岬灯台1

いや、別に僕は佐多岬に深い思い入れのある人間ではない。

 

なんだったら、佐多岬が本土最南端の地であると知ったのも、ここ1・2年の話である。

日本本土最北端の「宗谷岬」とかだったら知っているし行ったことあるけど、佐多岬はよく知らない。

だけども、由々しき事態だということだけは理解した。

 

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佐多岬灯台2

事の概要をご紹介しよう。

 

大正時代に設立された、「岩崎産業(現在の名称)」という企業がある。

九州南部を中心とした観光業・交通事業、その他さまざまな分野で地域を盛り上げてきたすんごい企業である。

 

この企業が佐多岬まで通じる道路佐多岬ロードパーク」を造ったのは、1964年のことであった。

これで一般人が佐多岬を訪問できるようになった。ドッカンドッカン盛り上がったらしい。

 

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ロードパーク1

だがちょっとほとぼりが冷めた頃、民衆は我に返り、そしてブチ切れた。

 

「そういや佐多岬ロードパークの通行料高くね?たった数㎞で1000円はヤバくね?そのあとの遊歩道でまた100円通行料が掛かるって何それ?バブル既に崩壊しているんですけど??」

…みたいなことになったのだ。

 

あと、車専用道路なのでチャリダーとか徒歩ダーの日本縦断の人や突端マニアは到達できず、トラブルだらけであった。

 

南九州観光ブームも去り、客離れは止まらず、岩崎産業はこの道路の維持管理に苦しむこととなる。

 

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ロードパーク2

「もうダメ…。管理限界。辞める。」

 

岩崎産業がそう発言したのが、2003年12月4日のことである。

3ヶ月後の2004年2月末で、もう佐多岬ロードパーク閉鎖するの。無期限閉鎖にするの。」ってコメントした。

 

岬の先端まで行ける道は、岩崎産業の開拓した佐多岬ロードパークしかない。

つまりそれは、佐多岬に行く方法が無くなるということなのだ。

そりゃ新聞読んだ僕もビビッてカフェオレ噴きますわ。

 

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ロードパーク3

「ちょっと行ってくるわ、九州。」

 

母親にそう発言したのは2004年の年明けすぐのことで、そりゃ僕の毎度無茶な行動に母親もそれなりに慣れているんだけど、やっぱ心配はされた。

自宅から佐多岬までは、片道1500㎞はあるからな。それを全部自走で行く。

ついでにせっかくなので南九州をグルリと観光したいので、総行程4000㎞はくだらない。

 

さて、ガキに毛が生えた程度の僕が、これを完遂するのは至難である。

まずは仲間が必要だ。

友人の中で既に免許を取得しているメンバー、そしてナビや宿や食事処調査などのサポートができるメンバーを集めた。

 

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ロードパーク4

ステップワゴンという車をレンタルした。

大きいが運転しやすく、なかなかに快適であった。車中泊もしやすい。

 

阿蘇を走り、高千穂を走り、青島や堀切峠に感動し、そして本土最南端へ…。

すっごい楽しかったさ。何もかもが、初めてだった。

 

ただね、正直予定よりもかなりの時間を要してしまった。

僕も当時はドライブ経験が未熟であり、見通しも甘ければ仲間のコントロール力も甘かったのだ。

なんだったら、道も間違えて非効率なルートを走っていた。

 

忘れもしない、夕暮れの佐多岬ロードパーク第2料金所。

僕らの乗った車が近付いてきたことを確認した料金所の人が、大きく腕で「✕」を作った。

 

 

通行時間に数分間に合わなかったのだ。

 

場所はここである。

岬の駐車場まであと2㎞。

1500km走ってきて、あと2㎞のところでの挫折であった。

しかも、1ヶ月後にはもう閉鎖されるかもしれない岬への道にて。

 

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遥かなる旅路1

料金所脇の集落の小道から岬に行けないかちょっと試そうとしたりもしたけど、道が狭すぎだし岬までは行けないと判断して断念した。

 

…まぁでもね、みんな若いのでそんなに落ち込まなかった。

「でも楽しいからいいさ!」というノリであった。

 

すぐ近くの観光船(これも岩崎産業運営)の「さたでい号乗り場」の駐車場にて、「これが僕らの本土最南端だ!」とみんなで祝福し合った。

 

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遥かなる旅路2

…確かに楽しい。最高だ。

だが僕は、この人生において一度も佐多岬に立つことなく終わるのだろうか…。

 

 

【日本2周目】:立ち上がれ、旅人よ

 

2004年~2005年も、佐多岬ロードパーク絡みのゴタゴタは続く。

 

「もう辞めます!」って言い放った岩崎産業だけど、それに対し国土交通省が「許可しない!観光に与える影響大きすぎ!せめて佐多岬に繋がる唯一の道を今後どうするのか考えろ!」と言う。

岩崎産業、「なんで早く許可してくれねーんだよ…」と言う。

 

誠にカオスである。

とりあえず、内心「国土交通省がんばれ」って思った。

こんな崖っぷちの状態が1年ほど続く。

こちとらストレスでハゲるぜ、まったく。

 

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ロードパーク6

事態が大きく好転したのは、2005年3月末のことであった。

 

岬の先端部分数㎞(第2料金所から先)を残し、佐多岬ロードパークを岩崎産業から県や町が買い取るというものだ。

これで、佐多岬ロードパークが閉鎖されることはなくなったわけだ。

一安心だ。

 

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ロードパーク7

…ただ、やはり僕の心の中には前回の直前挫折の悔いが残っている。

 

朗報を入手した2005年、僕は再び佐多岬を目指して車を走らせる。

この1年半で僕も随分成長した。

 

仲間はいない。僕1人で行く。

車もちゃんと自分のものがある。あの日の思い出を胸に、ステップワゴンを買ってある。

目指すは佐多岬だけではない。九州一周する。5000㎞以上の道のりだ。

全部車中泊、そして車中自炊をしながら行く。

 

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ロードパーク8

こうして僕は、初めて岬の先端を踏めたのだ。

 

第2料金所で通行料1000円を払い、駐車場で大ガジュマルを眺め。

そしてその先の遊歩道で100円を徴収され、15分歩けば岬の先端だ。

 

しかし湯歩道は半分ジャングルだし、アップダウンで階段多いし、猛暑で汗だく。

なんかレストランの廃墟まで出てきた。

果たして道はこっちで合っているのか…。

 

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廃レストラン1

廃レストランの裏で擦れ違った、1人旅のお姉さんに道を聞いた。

どうやらこれが正規のルート。

 

さらに歩き、階段を登り、ようやく本土最南端の碑の前に出た。

ちなみにさらに先には展望タワーがあるが、老朽化して登れなかった。

至るところがボロボロだな、この岬…。

 

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本土最南端の碑1

しかし、南国植物に囲まれた本土最南端の碑の前に立てて、感無量であった。

このロケーションを、僕は一生忘れないであろう。

 

ここで出会った「R君」という北海道の旭川からやってきたライダー君と共に写真を撮った。

駐車場まで戻り、さっきのお姉さんとおしゃべりし、東京から1人で車旅をしていることを聞いた。

その後、数10㎞連なって走った後にクラクションを鳴らし合ってお別れをした。

 

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ロードパーク9

1人旅をしていても、1人ではない。同じく1人旅の人と多くの交流が持てるのだ。

そんなことをたくさん感じた旅となった。

 

…ねぇ、僕も旅人を名乗っていいかなぁ…?

 

 

【日本3・4周目】:誰にも負けない経験値を

 

2007年のことだ。

いよいよ岩崎産業が、佐多岬ロードパークを町に寄付した。

1000円かかっていた通行料がなくなったのだ。

 

…ただね、第2料金所から先はまだ岩崎産業であるらしい。

2007年4月時点では、駐車場から先の遊歩道にて入園料300円がかかってしまうのだそうだ。

なんとも複雑なシステムよ。

 

 

突端マニアの車中自炊

さぁ、時代時代の節目で、僕は佐多岬に現れるのだぞ!

 

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旅人は南を目指す1

再び僕は本土最南端にやってきた。

日本3周目だ。車中泊&車中自炊で西日本を一気に回る旅のハイライトだ。

…てゆーかですね、前項の写真も大体この日本3周目の写真を使わせてもらっていたのだ。

 

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旅人は南を目指す2

佐多岬ロードパークは無料となっており、快適に走行できた。

 

上記写真は終点の駐車場にある大ガジュマルの木だ。

すぐ下に車を駐車することもできる。

 

新・佐多岬では周囲をしっかりバリケードで囲まれており、愛車と共にギリギリまで接近することは不可能となっている。

 

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旅人は南を目指す3

灯台型の電話ボックスだ。

『日本本土最南端の応手電話ボックスです 旅の思い出に声の便りを伝えてください』 と書かれている。

 

この時代に電話ボックスが使われることはそうそうないだろうが、ロマンあふれるシチュエーションだ。

 

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旅人は南を目指す4

駐車場から遊歩道に入るには、このトンネルをくぐらなければならない。

ここはまだ岩崎産業のテリトリーだ。

トンネル内の小屋で300円を支払うこととなる。

 

あと、ステッカー類が売っていたりするので2枚購入した。

本土最南端到達証明書も購入した。

 

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旅人は南を目指す5

ここから先は、南国植物がモジャモジャに生い茂ったジャングルだ。

相変わらず汗の噴き出る行程だ。

だが、それがいい。本土最南端に来ているからには南国を味わいたいのだ、僕は。

 

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旅人は南を目指す6

お馴染みの廃レストランの裏を通り、ボロッボロで朽ちかけた展望タワーを目印に最後の階段を上る。

そうすれば、本土最南端の碑の前に出ることができる。

 

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旅人は南を目指す7

今回ももちろん、展望タワーは立入禁止であった。

岩崎産業にこれを立て直すだけの余裕は既に無いのであろう。

タワーの先行きが心配だ。

 

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旅人は南を目指す8

日本の本土最東西南北端を示した立て札もあった。

 

最東端は「納沙布岬」・最西端は「神崎鼻」・最北端は「宗谷岬」だ。

もちろん全て踏んでいる。僕は突端マニアなのだ。

 

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旅人は南を目指す9

車に戻った後は、遅めの朝ご飯を車内で作ってから岬を後にした。

最南端の絶景を見ながらの朝食は格別であった。

 

 

朽ちゆくタワーに登れ

 

「ここでは500円。そのかわり岬の駐車場から先で支払う必要がなくなったからね。」

 

日本4周目の話だ。

なぜか復活した第2料金所のおばちゃんにそう言われた僕は、「はい?」と内心で青筋を立てていたと思う。

 

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旅人は南を目指す10

「前回は駐車場から先で300円だったろうが。1人旅の人間にとっては200円の値上げだ。」・「あのときはよくも✕マークを出しやがって!」…と、そんな感情が渦巻いた。

 

しかしそれらはお門違いな怒りだ。

とりあえず、苦い思い出を持つ第2料金所を初めて写真に収めた。

てゆーか、来るたびに料金システムが変わって混乱だ。

 

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旅人は南を目指す11

終盤に出てくるガジュマルの木。

車道にカーテンのように垂れ下がっているのが特徴で、テンション上がる。

新・佐多岬時代の現在もあるので嬉しいイベントである。

これは大好き。

 

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旅人は南を目指す12

僕が大好きだったこの場所は、新・佐多岬においては「北緯31度線展望広場」という、さらなるステキスポットとなっている。

 

旧・佐多岬では駐車するのも困難であったが、大変居心地のいい撮影スポットになって嬉しい限りだ。

ライダーさんたちはここで愛車と共に記念撮影するのが定番だ。

 

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旅人は南を目指す13

駐車場では大ガジュマルの近くに駐車できた。なんとも幸せだ。

 

岬の先端へと繋がる遊歩道は、例のトンネルから始まる。

さっき500円払った第2料金所が復活したから、このトンネルでの入園料を支払う必要はない。

だけどもトンネル内の小屋の中には従業員の人がいて、ヒマそうにしてた。

 

うん?てゆーかなんで人がいるの?

料金取らないんだったら数種類しかないお土産を売るくらいしかやることないよね。そりゃヒマだわ。…って思った。

 

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旅人は南を目指す14

遊歩道は相変わらずの絶景だ。

ホントここ好き。

 

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廃レストラン2

でも、廃レストランも好き。

 

…ねぇ、こんなこと言っている僕は変ですか?

自分でも最近変だと思うのです。廃墟とかに心惹かれるのです。

このまま廃墟マニアとかになったらどうしましょう?

 

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廃レストラン3

2021年の僕は知っている。

このあたりのタイミングから僕が廃墟趣味にのめり込み、手に汗握る数々の廃村探訪や廃墟攻略をしていくことを。

 

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旅人は南を目指す15

今日も最高の景色をありがとう。

これまでも全部快晴だったけど、今回は一番空気が澄んでいる。

屋久島」も見える。

 

…だがな…。

今回気になるのは…。

 

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廃墟ギリギリタワー1

 

佐多岬展望タワー!!

 

 

過去にここを訪れたときには老朽化により立入禁止であった。

しかし、今回はどうやらOPENしているそうなのだ。

 

なぜ?リフォームしたの?そうは見えない外観だけど?

でも、行けるなら行くしかないだろ、旅人よ。

 

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廃墟ギリギリタワー2

ちなみにタワー近くにもう1つの本土最南端の碑がある。

このタイミングで初めてこれを撮影することができた。

 

さて、展望タワー内部であるが…。

1Fはガランとした広い空洞。そこから階段で上ヘと登るみたい。

 

1Fの入口近辺には簡素なオフィスデスクが置かれ、そこで土産物を売っていると思われるおばちゃんが爆睡してた。

まぁ土産って言ってもステッカーやキーホルダー数種類程度だ。

 

…ここにも人がいるんだ。

トンネル内の小屋といい、ここといい、なんか人件費無駄使いの気配を感じる。

 

おばちゃんを起こさないように息を殺して前を通り過ぎて階段を登り始めるんだけど、ゴリゴリのコンクリートのタワーだからすっごい足音が響く。

ホラー映画であれば僕は真っ先に敵に殺されている。

たぶん起こしちゃったよね、うん。

 

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廃墟ギリギリタワー3

5Fくらいまで登り、ようやく展望スペースに着いた。

景色は確かに下界で見るよりいいが、着目すべきはそんな部分じゃなかった。

 

当時の僕の言葉を借りるなら、「バッカじゃないの!?」って感じだ。

 

この展望台、壁がねぇ!窓もねぇ!

最初からそういう設計なのではない。壊れて無くなっている!!

 

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廃墟ギリギリタワー4

天井もベリベリ。ナイスだ。

 

場所によっては窓が無い、ガラスも無い、手すりもない。ダイレクトに太平洋。

あるのは本当に簡素なネットだけ。こんなもん、台風一発で壊れるかもよ。

 

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廃墟ギリギリタワー5

確かにリニューアルOPENしていたわ。しかし内容がこれか。

ずいぶんとワイルドな設計だ。

 

東日本大震災の後だというにこれでいいのか。

風が無駄に気持ちいいーー!

 

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廃墟ギリギリタワー6

海も綺麗だし岩礁も美しい。水平線の「開聞岳」も雄大だった。

それを演出する舞台である展望台が、スーパーダメージ加工だった。

 

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廃墟ギリギリタワー7

階段を降りたら、おばちゃんはやっぱり起きていた。

アンニュイな目をしてイスに腰掛けていた。

ちょっと世間話をし、ついでに本土最南端ステッカーを購入した。

 

 

【日本5周目】:さよなら激動時代

 

2012年の10月、佐多岬ロードパークは完全に町道となった。

もう岬の先端まで行くのに料金を徴収はされないのだ。

また、佐多岬展望タワーは2012年の年末から撤去工事が始まり、完全な更地となった。

 

まだまだ整備には時間がかかるだろうが、佐多岬岩崎産業の手を離れ、これから生まれ変わるのだ。

 

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佐多岬の最期1

はい、また来た。

そして因縁の旧第2料金所で突然止められた。

 

ゲート警備の人が話しかけてくる。

「GW中でこの先は混雑するので、四輪車の方はここまでの通行となります。車を駐車場に停めて、有料のシャトルバスで岬の先端まで行ってください。」


ガーン…!愛車と共に「佐多岬」に行けないのかよ!

この先の道も運転していて最高なのに!

こんなに天気がいいのに、マジ残念すぎるぜ!!

 

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佐多岬の最期2

シャトルバスは30分に1本とのことだ。

タイミングを逃すと旅の日程に少々影響を及ぼすな…。

 

しかし、ちょうどシャトルバスが来ている!乗り込む!

シャトルバス料金の100円を支払い、乗り込んだ。

 

なんだか悔しいね。

岬の駐車場までわずか3kmほどとは言え、自分で運転したかったよ。

ちなみにバイクは自走していいんだぜ。羨ましい。

 

バスの座席は敢えて左端を選んだ。

そして、あるタイミングでカメラを取り出して窓の外にレンズを向ける。

うん、わかっているんだ、タイミングは。

 

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佐多岬の最期3

いつも撮っている恒例の31度線が近付いてきていることを体が覚えているから。

他の観光客は、それは現れるまで「なんでカメラを用意しているの?」って不思議そうだけど、それが見えてからではもう準備が間に合わないんだよね。

 

今まで歴代の愛車と共に撮影していたスポットなので、今回の愛車と一緒で撮影できなかったのが悔しいけど、とりあえず撮影成功。

 

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佐多岬の最期4

いつも車を駐車している駐車場に到着した。

なんか模擬店のテントとか立っていて、ワイワイした雰囲気だった。

ん?なにこれ?

 

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佐多岬の最期5

しかし僕は特に興味はなかったし、先を急ぎたかったのでそのままスルーした。

今から思えば戻ってきたタイミングで覗いて見てもよかったな。ただ、そうはしなかった。

 

いつもの遊歩道のトンネルは、もう料金小屋が無くってガランとしていた。

 

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佐多岬の最期6

遊歩道はいつものモジャついたジャングルであった。

この雰囲気は今後も残してほしいな。

 

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佐多岬の最期7

あ、廃レストランが無い。

この鉄柵で囲われたところがレストランだったのだ。

そして、写真に向かって右側のレストラン裏と崖の狭間を歩いて岬の先端に向かっていたのだ。

いつまで営業していたのかわからないレストランも、これでサヨナラだ。

 

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佐多岬の最期9

いつもの本土最南端の碑は、いつもの場所にあった。

これは今後も残ってほしいものだ。

 

さて、展望タワーの跡地はどうなったのであろうか?

気になったのでさらに登ってみた。

 

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佐多岬の最期8

うおぉ、なんだこのノッペリしたフィールドは!

 

こには2・3人の観光案内のおじさんがいた。

僕は「タワーなくなっちゃったみたいだけど、ここは今後どうなるのですか?」と質問してみた。

おじさんは「新しいタワーを作るよ。2・3年でできると思うよ。」って言っていた。

 

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佐多岬の最期10

「ところでどこから来たの?」みたいな話になった。

僕は「今回は名古屋から宮城まで向かう。ただし鹿児島を経由地としている。」みたいに答えておじさんを混乱させる。


「以前の岬のことをずいぶんよく知っているんだね。過去にも来たことあるの?」って言われ、「好きな場所なので4・5回来ています。」って言って、さらに混乱させてしまった。

だが事実だ。

 

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佐多岬の最期8

「記念に写真を撮ってあげよう」って言われたので、お言葉に甘えた。

タワー跡地の海ギリギリのところには、真新しい本土最南端の碑ができていたので、その前で。

 

いずれまたこの地に来るころには、きっと新しいタワーができていることだろう。

その日が楽しみだね。

 

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佐多岬の最期11

もう1つの本土最南端の碑、かろうじて残っていた。

相当にボロボロになりつつも存在していた。

 

ただこれ、たぶん新時代には生き残れないだろう。

引っこ抜かれるのも時間の問題だ。これが最後の撮影になるのだろう。

 

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佐多岬の最期12

駐車場まで戻ってきた。

ここの大ガジュマルは引っこ抜かれないだろうか?

それが気がかりだ。

 

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佐多岬の最期13

灯台型の電話ボックス。

コイツはもうダメだろう。以前よりずいぶん朽ちてきているし。

今回が見納めになると確信した。

 

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佐多岬の最期14

こうして僕は佐多岬を後にする。

 

さよなら、僕の憧れた佐多岬

さよなら、岩崎産業が開拓した激動の歴史。

 

 

【日本6周目】:そして伝説へ

 

これでシナリオは繋がる。

 

 

上記に繋がる。

僕はリニューアルした佐多岬に立つ。

 

面倒くさいかもしれないが、もしお時間に余裕があるのであれば、ぜひ上記リンク先もお読みいただきたい。

きっと僕の想いがリンクする。

 

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新・佐多岬1

第2料金所については以下のように記載してしまった。

 

ピッカピカの真新しい駐車場やトイレがある。
まぁこの場所もいろいろ語りたいことがあるのだが、今はスルーしよう。

 

かつての冒険を以下のように振り返った。

 

遠い昔、仲間と交替でハンドルを握り、真冬に目指した佐多岬
若かりし日の僕が、カーナビもないステップワゴンに荷物を積んで、1人車中泊をしながら九州を一周した思い出。
日産サファリをうならせ、車中泊での西日本一周をしたときの思い出…。

 

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新・佐多岬1

あとね、本土最南端の碑はすっかり変わってしまったけど、駐車場の大ガジュマルにかつて同じデザインの碑がくくりつけられていて、泣きそうに懐かしくなった。

 

全部ね、繋がっているんだよ。

過去から未来へ。

 

2021年現在の佐多岬は素晴らしい岬だ。

別にそれ以前の姿なんて知る必要はない。

だけども、以前のことを知ると、ちょっとだけ冒険に深みが出るのもまた事実なのだ。

 

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新・佐多岬2

ここまで読んでくれたあなたも、そういうのちょっとだけ好きでしょ??

 

僕もまだまだ若輩者だけど、自分の経験は大事にしたい。

それはきっと未来への宝物だ。

 

では、そんな思いも込めて、2022年もよろしくお願いします。

 

 

以上、日本6周目を走る旅人YAMAでした。

 

 

住所・スポット情報

 

  • 名称: 佐多岬
  • 住所: 鹿児島県肝属郡南大隅町佐多馬籠417
  • 料金: 無料
  • 駐車場: あり
  • 時間: 特になし