週末大冒険

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ちょっと出かけてみないか。忘れかけていた、ワクワクを探しに。

【コラム】古い車は壊れやすい!それが引っ越し直前だとパニックになる!実例知りたいか?

こんばんは、【週末大冒険】のYAMAです。

そして2022年、新年あけましておめでとうございます。

 

drive-ns.hatenablog.com

 

さて、当ブログ開始から3番目の特集である「極地&八方位の突端」の全執筆が完了したので、ここで再びコラムのコーナーを開催しようと思います。

 

 

ところで、旧車好き・レトロカー好きにとっての一番の恐怖は、車が故障することですよね。

それが遠方であれば、絶望もまたひとしおだと考えます。

 

正月から縁起でもない話で恐縮です。

ラジオ番組の1コーナーで突端岬についてトークをした話とかしてもいいのですが、ここはあえて、昨年2021年の大イベントである引っ越し直前の車トラブルについてご紹介します。

(…僕、泣くかと思ったよ。)

 

 

愛車と共に引っ越したい

 

僕の愛車は日産パオである。

旧車に含まれるかは微妙かもしれないが、昭和時代の最後に発表され、平成元年に製造されたという、旧時代の車である。

 

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日産パオ1

窓はハンドルをグルグル回して開けないといけないし、三角窓がついているし、オーディオはカセットテープしか聞けない仕様だし、ドアの施錠も1つ1つドアごとにやらねばならない。

 

こんなヴィンテージスタイルな車で日本6周目に挑む僕。

そんな僕にとって、2021年は手に汗握るトラブルがあった。

しかもそれは、引っ越しの直前であった。

 

車に対し技術的なスキルを持たない僕。整備も改造もできない。

もうほとぼりが冷めたからこそ書ける、波乱の半月であった…。

 

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日産パオ2

ここでちょっとあなたに断っておかねばならないが、僕がどこからどこに引っ越したのかはナイショにさせていただきたい。

及び、2021年の引っ越し日の詳細もここでは表記しないこととしよう。

 

この記事では引っ越し日(Xデー)を「X」と表記する。

引っ越し1日前は「X-1日」だし、9日前は「X-9日」だと思っていただきたい。

 

引っ越し日程はズラせない。

お仕事の都合もあるし、引っ越し業者との予定合わせもあるからだ。

 

ちなみに車は陸送などにはせずに、貴重品等(PC・観葉植物・お土産などなど)を積み込んだ上で自走で引っ越し先に向かう。

車は絶対に必要なのだ。

 

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日産パオ3

 

 

引っ越し前に車検を通す(X-15日~13日)

車検依頼(X-15日)

 

引っ越しまであと15日となった。「X-15日」だ。

僕は愛車を車検に出すことにした。

間もなく車検の満了日まで1ヶ月となるのだ。

 

前述の通り、パオは古い車だ。ちゃんとこのパオのことを知っている人に検査してもらいたい。

それに、引っ越し直後はドタバタして車検している余裕が無いかもしれない。

 

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車検1

僕は車屋おっちゃんに電話をした。

今回の記事の最重要人物だ。いやむしろ、もう1人の主人公だ。

前からパオを整備してくれ、臨機応変な数々の提案もしてくれる、凄腕の人だ。

 

しかも毎回車を自宅まで取りに来てくれるし、整備が終わった後も自宅まで持ってきてくれる。

おかげで僕、こんなにお世話になっているのにおっちゃんのお店に行ったことが一度もない。

 

そんなおっちゃんに車検をお願いした。

実はちょっとでサヨナラなので、その前に信頼できるおっちゃんに車検整備をしてもらいたいし、最後に会う理由も欲しかったから、って伝えた。

 

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車検2

おっちゃん、「まかせとけ!」みたいなテンションで引き受けてくれた。

 

 

車検完了(X-13日)

 

「X-13日」だ。

自宅にはダンボールがドサドサっと届いた。本格的に荷造り開始だ。

 

同時にパオの車検が無事に完了した。

たった2日で愛車が自宅に戻ってきた。

ちょこちょこ整備をしていることもあって、スピーディだったし安価に済んだ。よかった。

 

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車検3

これで…、おっちゃんともお別れだね。

おっちゃんは「じきにエアコンが故障するから、そういうときはこういうお店でこう頼むと安くやってくれるから…」とか、タイヤの溝を入念にチェックしていろいろアドバイスをくれた。

 

「でも、まだまだこの子は走れるからね。大事にしてね。」とおっちゃんは言い、笑顔で帰って行った。

 

 

青森で事件は起きる(X-12日)

スモーキー・パオ

 

愛車が車検から帰ってきた翌日の午後のことである。

僕は青森県にいた。

 

まぁとりあえず僕の自宅から見て青森県は"相当な遠方"だと言っておこう。

あと、ヤボ用があったのだがその内容についてはここでは語らないこととしよう。

ここで事件は突然起こるのだ。

何の前触れもなかった…と思う。

 

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トラブル勃発1

 

ボンネットから煙が「ボワーッ」とね…。

 

 

うん、実際は撮影している心の余裕なんてなかったから、これはイメージね。

青森の市街地、ちょうど大きな交差点の赤信号で停車したときであった。

視界のすぐ前にある自分の車のボンネットから、もうもうと蒸気が上がっていたのだ。

これ尋常じゃねぇ。

 

信号が青になると同時にハンドルを切り、真横にあったファミレスかなんかの駐車場に停めてエンジンを切る。

これきっとオーバーヒート傾向だよね?

だったらエンジン切ったほうがいいよね?

そう思ったのだ。

 

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トラブル勃発2

それからボンネットを開けた。

煙を吐くほど熱いのであれば、通気性を良くして冷ますべきだと考えたのだ。

 

そしてすぐにおっちゃんに電話をする。

車検翌日にこんなことになっているのは不運だが、前日におっちゃんが実際にこの車を見てくれているのは幸運だ。

きっと話が早かろう。

 

僕はおっちゃんに事の経緯を話した。

おっちゃんは「水温計の表示はどうだった?」と聞いてきた。

 

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トラブル勃発3

ちなみにこれが水温計だ。

 

あー、しまったな…。

僕はあまりに慌てており、水温計の表示を見ていなかった。

 

水温計はエンジンの温度を示すメーターだ。

冬場はなかなかエンジンが温まらないので注視しているが、このときは冬ではない。

走行中は気にしていなかったし、煙を確認してからはそれどころではなかった。

なので正直に「見ていないのでわからない」と回答した。

 

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トラブル勃発4

おっちゃんは「ガンガン走った後はすぐにエンジンを切ってはダメ。しばらくエンジンをかけっぱにすることで、ファンが回ってエンジンが冷却されるから。」と説明を始めた。

 

「なんの煙かわからないけど、まずはもう一度エンジンをかけて水温計を見てほしい。そしてエンジンをしばらくかけておけば、ファンが回ってそのメーターが下がるかもしれないから、一度確認して。」…とのことであった。

 

エンジンかけた。

ノロノロと2kmほど運転してみた。

 

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トラブル勃発5

 

また「モワ~」だ。

 

 

ついでに水温計もグングンとメーターが上がるぞ!!

ここままだと最高レベルに到達するぞ!

 

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トラブル勃発6

これヤバい。このままではヤバいと判断。

ちょうど見つけた駐車場に愛車を停めてエンジンを切った。

 

 

ラジエーターホースが!

 

まだまだ僕は焦っているが、さっきよりかは少し冷静だ。

改めてボンネットの中を見てみよう。

 

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トラブル勃発7

うん、なんだこれ。

まぁなんとなく想像はつくのだが、ラジエーターホースかな?

それが破裂したかのように縦に裂けている。

 

さすがに昨日や一昨日の時点でこんなだったら、おっちゃん気付いていたよね。

つまりこの破損はつい今しがた起きたことであり、煙が出るのもここが原因であろう。

すぐにまたおっちゃんに電話した。

 

やっぱラジエーターホースだった。

ラジエーターホースとは、エンジンを冷やすための冷却水の通り道だ。

これが破損したらエンジンを冷やせない。つまりエンジンが高温になって煙を噴く。

 

おっちゃんはこうアドバイスをしてくれた。

「ゆっくり水温計を気にしながら最寄りのガソリンスタンドへ。そこで相談すれば、きっとビニールテープとかでホースをグルグル巻きにしてくれる。そうすれば今日1日くらいは走行できるだろうから、無事に帰ってきてほしい。」

 

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トラブル勃発8

なるほど、がんばる。

検索すると、ここから300mほどのところにガソリンスタンドがある。

トラブル勃発までは山間部の何もないところを走っていたのだが、ちょうどその数分前に町中に出たのだ。

 

再びノロノロとガソリンスタンドまで走った。

そしてベテランそうな店員さんに事情を話す。

 

「そういう問題じゃないね。この車、冷却ファンが回っていないんだ。ガソリンスタンドじゃどうしようもないし、もう走れないね。

 

あ…れ…。

 

 

冷却ファンが!

 

ガソリンスタンドの店員さんに「もう走れないね」とドライに死刑宣告されたところで、こちらもリアクションに困る。

この近くに日産のお店は無いか質問してみた。

すると、1㎞ほどのところにあるという。うおぉ、ラッキーだ。そこ行く。

 

日産のお店に電話して事情を伝えた後、再びノロノロと運転してお店に行った。

早速整備担当の人が見てくれる。

 

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トラブル勃発9

冷却ファンとは、ボンネットの中についているこの扇風機のようなパーツだ。

これはラジエーターを冷やす際に作動する。

つまりは間接的にエンジンを冷やすための装置。

これがないと、やっぱりエンジンはオーバーヒートするのだ。

 

作業担当の方の見解はこうだ。

  1. ファンが作動しなくなる
  2. ラジエーターが高温となってホース破裂
  3. ラジエーターが機能しなくなってエンジンが煙を噴く

 

では、どうすればいいのか。

パッと見たところなぜファンが作動しないのかわからないそうで、新しいファンに付け替えてまたどうなるか確認…となるそうだ。

 

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トラブル勃発10

しかしファンの取り寄せには数日はかかる。

この時点で、パオと共に自宅に帰れないことが確定したな。

1泊程度であれば近くに宿を取ってもいいのだが、それ以上はダメだ。

 

さて…、ここから先は保険会社だな…。

日産のお店の客席を借りて、保険会社に電話報告した。

 

まぁここからも結構大変でね。

最初は窓口で「異変を感じたところから車を移動させてしまっては保険対象外です!何もできません!」って言われて。

 

なのでいつもお世話になっている代理店の担当さんに相談したら、その人が憤慨して闘ってくれて。

なんだかんだでちゃんと保険対象となった。

 

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トラブル勃発11

保険会社にて対応可能なのは、以下の部分だ。

  1. ここから自宅までの交通費
  2. 車が直るまでのレンタカー
  3. 車を自宅付近まで送り届けるための陸送費

 

「3」については、結構悩んだ。

「①ここの日産で修理してもらい、後日僕が電車等で取りに来る」のか、「②ここでは何もせずに自宅付近に陸送してもらい、おっちゃんに修理してもらう」かの2択だ。

 

僕には仕事もあるし引っ越しもある。

超タイトスケジュールなので「②」を選んだ。

保険会社の人もそれを薦めていたし。

陸送の日程は、保険会社にて追って調整してくれるらしい。

 

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トラブル勃発12

…というわけで、しばらくお別れだ、パオちゃん。

必ず一緒に引っ越ししようね。

 

 

青森から自宅への旅路

 

― いまだかつて、こんなにも切ない旅があっただろうか…

 

そんな、映画のキャッチフレーズにできそうな思いが脳内を渦巻いていた。

日産のお店でなんやかんや各所をやりとりをするのに2時間を要した。

アイスコーヒー2杯をごちそうになり、打ち合わせスペースをお借りし、おまけに後日陸送業者が回収に来るまで愛車を保管しておいてもらい…。

 

にもかかわらず1円も落とさないという、申し訳ない結果となってしまった。

でも、みんないい人だった。感謝。

最後はタクシーも呼んでくれたし。

 

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失意の旅路1

タクシーで新青森駅に着いた。

新幹線の時刻まで1時間ある。

 

チケット購入などをしていると、保険会社から再び電話が来た。

「陸送先として、普段使用している整備工場等を教えてほしい」とのことだった。

うむ、おっちゃんのところにしよう。

おっちゃんに許可を取ろう。

 

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失意の旅路2

ここまでずーっと保険関連の電話していてバタバタだったので、ここで改めておっちゃんに電話を入れた。

 

おっちゃんは「ビニールテープグルグル巻き作戦で大丈夫だったかー?」みたいなテンションだったので、事の顛末を話したところショックを与えてしまった。

とりあえず、陸送先はおっちゃんのところで承諾を得た。

後日頼むよ、おっちゃん!!

 

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失意の旅路3

駅構内にねぶたの飾りがあるのを、うつろな目で眺めた。

 

一番右、七夕的なものなのか「いえがほしい」と書いてあってウケる。

そうなんだよ、僕も家が欲しいんだよ。

12日後に新しい家に引っ越しするんだよ。でも移動に使う車が間に合わなかったらどうしよう…。

 

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失意の旅路4

新幹線を待つ時間で、コーラを買い、駅弁を買った。

コーラを飲んだら少しだけ元気になった。

コーラって万能薬だよな。滋養強壮とか、お手の物なのだ。

 

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失意の旅路5

日没近くに新幹線に乗り込んだ。

今日中には自宅に帰れるであろう。

 

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失意の旅路6

買ったのは鰺ヶ沢弁当と言うそうだ。

ちょっとリッチなメニューが並ぶ。

 

でも悲しいかな、あまりおいしいという記憶が無いんだ。

以前の記事でも書いたが、味はシチュエーションに大きく左右されるのだ。

 

 

陸送を待ち焦がれる日々(X-11日~5日)

日程はギリギリなのか(X-10日)

 

翌日の「X-11日」、昼前にレンタカー業者の人がウチに代車を届けに来てくれた。

最大2週間、保険会社持ちで代車を使用できるのだ。

 

フハハ、2週間後なんて僕はこの地方にいませんよ。

遠い地で笑っていますよ。余裕余裕。

 

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代車

「X-10日」保険会社から連絡が来た。

「陸送ですけど、なかなか手の空いている業者がいなくて…。最短で「X-5日」出発、自宅付近到着は「X-4日」です」って言ってた。

 

おいおいおいおい、ヤバいぞこれ!!

ただ陸送だけでこれだけの日数を消耗してしまうのかよ!

そこからの修理開始なのだよ?

部品の調達が必要だったらそこからの発注なのだよ?

 

これは、引っ越しに間に合わないパターン…!!

 

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青空とは裏腹の絶望

 

悪あがきチャレンジ(X-9日)

 

「X-9日」、おっちゃんに電話してみた。

 

ちょっとだけ期待してた。

「大丈夫さ!直前まで俺がパオを見ていたんだから、1日で直せるさ!」、みたいに言ってくれることを祈っていた。

 

だが違った。

おっちゃん、「俺にも保険会社から電話来たけど、その日程は正直厳しい…!もっと陸送の日程を早めてくれって言ったんだけど、跳ねのけられちゃって…!」って言ってた。

 

緊張感が高まって来たぞー!チクショウ!!

 

だがおっちゃんは、「徹夜してでも「X-0日(Xデー)」の朝には仕上げるからさ」って付け加えてくれた。

めんぼくねぇ!めんぼくねぇ!!

 

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泣ける夕日

保険会社には、僕からの電話してみた。

青森でサポートに回ってくれた代理店の担当者にも電話し、引っ越し日が迫っていることを熱弁の上、なんとか調整できる案は無いか聞いてみた。

 

だけどもダメだった。

悪あがきは失敗だった。

待つしかないってツラいな、これ…。

 

とりあえず電気ガス水道などの停止や、新居での開通の手続きを進める。

もう、引っ越し日まであと数日なんだぞ…!

 

 

エンジンは無事なのか!?(X-5日~3日)

デッドorアライブ(X-5日)

 

引っ越しまであと5日となった「X-5日」の夕方ことだった。

おっちゃんから電話が来た。

 

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夕日に希望を

「パオが届いたぞー!」って言ってた。

おぉ、予定よりも1日早いご到着だ。

 

しかもおっちゃん、ラジエーターホースやファンは取り替えられるように部品を既に調達してくれていた。

交換して動くのであれば解決だ。

 

だが、「エンジンにダメージがあったらヤバい。そうなったら廃車かもしれん。」って言ってた。

 

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エンジンルーム

うん、わかってはいたけど聞きたくなかったセリフ第1位だ。

 

エンジンの温度が高い状態で相応を続けると、エンジン壊れる。

エンジンは車の心臓だ。

壊れたら基本オシマイだ。

 

煙が出てからちょっとだけだったら、きっと走ってもセーフ。

でも、長い距離走ってたらアウト。

 

「あれ?でも煙が出てすぐに車を駐車したよね?」ってあなたは思われるかもしれない。

ちょっと違うんだ。

「煙が出ていたのに気付いていなかった」という可能性もあるのだ。

 

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バイパス1

煙は静かに上に登る。

時速20㎞で走行したら、もう横に流れてしまって運転席からは気付かないのだ。

 

そして、僕は煙に気付く数分前までは、30㎞ほどノンストップで快走路を走っていた

この時点で実は煙が出ていたら、もうエンジンはオダブツだろうよ…。

 

さぁ、生か死か。

結果はきっと明日にわかる。

僕は寝れない夜を過ごす。

 

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バイパス2

 

そして奇跡は…(X-4日)

 

「X-4日」だ。僕の職場勤務最終日であった。

大勢から「おつかれー!」とか言われて寄せ書きとかプレゼントをもらって、とりあえずニコニコしていた。

 

だが、心ここにあらずだ。

職場を出発すると、適当なところで代車を停め、おっちゃんに電話した。

 

おっちゃんは「おぉ、ちょうどこっちから電話しようと思っていたんだけどさ。エンジン無事だったよ。」って言った。

 

 

やったー!!

僕は!!パオに!!

また会える!!

 

 

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愛しきパオ1

 

明日には修理が完了し、また届けてくれるそうだ。

待ち遠しいぜ。

 

 

パオの帰還(X-3日~2日)

 

翌日の「X-3日」、おっちゃんがパオを届けてくれた。

はからずも、おっちゃんとはまた会えてしまった。でもこれが本当のサヨナラだ。

 

おっちゃんは「YAMA君が引っ越す地、ほんの15分ほど走ったところに自分の師匠がいる。困ったことがあったら訪ねてみてほしい。」と言ってくれた。

数100㎞離れた地、僕の引っ越し先に偶然に師匠がいたのだ。

なんという奇遇。

 

おっちゃんにお礼を言いお別れする。

 

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愛しきパオ2

「X-2日」、レンタカー業者が代車を引き取りに来てくれた。

自分で返す必要がなくって良かった。

なぜなら引っ越し準備で死ぬほど忙しいからだ。

 

こうして一連の対応は終わった。

いっときは「新幹線で引っ越し、後日新居からここまでパオを取りに来て…」とか考えたり、「もしパオが廃車となったら…」みたいに考えていたが、杞憂に終わった。

だが、どちらもギリギリでの回避だったのであろう。

 

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愛しきパオ3

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振り返ってみれば…。

たぶん快走路の途中でファンは壊れていたのかもしれない。

しかし、エンジンに北東北の爽やかな風が当たり続けていたので、エンジンは高温になっていなかったのだ。

 

街中に出るとともに、信号が登場した。

つまり車は停止することとなる。

ファンが作動しないため、ラジエーターホースが破裂した。

 

僕は街中に入ってすぐに煙に気付いた。

最初に「中華屋さんみたいな香ばしい匂いがするな、さすが町。」って思い、その100m後くらいに「これは中華屋さんじゃねー!ウチのパオちゃんだ!」って叫んだ。

まさに直後に気付いたのではなかろうか。

 

偶然なのか必然なのかはわからないが、とりあえず迅速に気付けて良かった。

 

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愛しきパオ4

そして反省点だ。

 

◆走行中

  • 暑い日にほとんど停車させずにで結構走り続けていた。
  • 水温計を気にしていなかった。

 

◆トラブル時

  • 写真を撮っていればおっちゃんにもっと詳細な連携ができた。
  • 陸送は日数がかかるので慎重に。
  • 異常を検知したら車は動かさずに保険会社連絡が賢明だったかも。

 

まぁ、いろいろあるよな。

40万㎞(地球10周分)走ってトラブルは数えるほどではあるが、より謙虚に丁寧に、日本6周目の相棒である日産パオと、残りの日本を走っていきたい。

 

 

引っ越し日(Xデー)

 

「元気でなー!」と、お世話になった裏のおじいちゃんが手を振る。

僕はパオに乗り込んで手を振り返す。

 

近所にいる、やたら僕にジャレついてくる柴犬。

これがお別れとも知らずにワンワン言っている。

車を降りて、最後に頭を撫でた。

 

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愛しきパオ5

ありがとう、今まで過ごしてきた地。

そしてありがとう、青森の日産の皆さん、そしておっちゃん。

 

僕は夕日の中、新天地へと旅立った。

 

 

P.S.

おっちゃんの師匠にはその後、お世話になっています。

 

 

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