週末大冒険

週末大冒険

ちょっと出かけてみないか。忘れかけていた、ワクワクを探しに。

No.201【兵庫県】日本の時刻の中心、明石市の超巨大な時計台!見上げるだけでワクワクだ!

現代日本人は、時間に縛られて生きている。

 

束の間の安眠を妨げる目覚ましのアラーム。

一堂に人が動く通勤ラッシュ。

会議、締め切り、昼休憩。


チャップリンの「モダンタイムス」のように、人が時間を支配しているのか、時間が人を支配しているのか、うやむやな世の中だ。

 

だからといって、僕らはもう時計を捨てることはできない。

人生とは時間であると言っても過言ではない。

 

てゆーか、そもそもなんで今は21時なのか。

誰がどのように21時だと決めたのか。

 

 

兵庫県明石市

本の時間のシンボルが、そこにある。

 

 

本の時間の中心

 

…というわけで、今回の議題は、日本の時間の中心についてだ。

そのシンボルが、「明石市立天文科学館」の時計塔だ。

 

時計塔1

僕は日本の中心と呼ばれるところが大好きである。

かつてはその日本の中心をいろいろ巡った。

 

こう書くと、あなたは「えっ?日本の中心っていろいろあるの!?」と思われるかもしれない。

うん、実は日本の中心というのは日本各地に無数にあるのだ。

ぶっちゃけ30箇所くらいある。

 

drive-ns.hatenablog.com

 

詳細については上記リンク先の【特集】をご覧いただきたい。

そしてこれら無数の日本の中心を全部巡ってみたいと夢見ているのが、この僕だ。わりとアホでしょ。

 

日本の中心というと、大体が地理的な中心となる。

そんな中でもちょっと異質な時間の中心

 

ピンと来ないかもしれないが、時間の概念も大事だからね。

いくら「渋谷のハチ公前で会おうぜ!」と言ったところで、時間がズレていたらその2人は邂逅できない。

物事は常に四次元で考えねばならないのだ。

 

渋谷駅前

だからこそ"待ち合わせ"という。

待って合わせるという、時間の概念がここにある。

 

さて、そんな日本の時間の概念だが、それは標準時子午線をもとに定められている。

誰もが小学校時代に習ったであろう、懐かしい単語だ。

 

この標準時子午線が明石市を通っている。

日本全国、この標準時子午線に合わせて時間が決定しているのだ。


例えば、夏至近くの本土最東端「納沙布岬」では深夜3時台に日か昇った。

冬至近くの日本最西端「与那国島」では、朝7時の朝食を真っ暗な中で食べた。

日本も地域で随分と日の出・日の入りが違う。

 

時計塔2

だけども時間は1つ。

21時だと言ったら21時なのだ。

東の果てだろうと西の果てだろうと、標準時子午線に合わせるしかない。

 

「すげーな、標準時子午線!!」ってなるわけだ。

まさに時間の中心だよね、これ。

 

 

僕は時計台を見上げる

 

僕はこの明石市が大好きである。

かつては3ヶ月に一度は明石市に泊まりがけでドライブ旅行をしていたほどだ。狂っていた。好きにもほどがある。

 

時計塔3

だからもちろん、明石市立天文科学館も幾度となく眺めている。

国道2号線からも良く見える、いい立地なのだ。

 

6月10日。

それはかつて初めて国内で時計が使われたのと言われている日。

西暦671年6月10日、天智天皇の指示で水時計が造られたのがこの日だそうなのだ。

そんなことから6月10日は時の記念日と呼ばれている。

 

時計塔4

それを受けて1960年6月10日、日本標準時子午線の真上に建設されたのがこの科学館。

時と宇宙をテーマにした博物館である。

 

そんな科学館のシンボルの時計塔。

そこに設置されている時計は直径6.2mもあるそうだ。

 

時計塔5

青と白のクールなデザインだ。かっこいい。

そんで、この時計をさらによく見てほしい。

 

時計塔6

SEIKO TIME」と書かれている。

セイコーさんの時計だ。セイコーホールディングスがここに寄贈したのだ。

セイコーさんすごい。

 

そしてその上には「J.S.T.M」の文字。

これは「Japan Standard Time Meridian」の頭文字である。

訳すと日本標準時子午線。

まさにまさに、この時計の12と6の間を子午線が走っている。

 

別にこの時計が日本一正確なわけでも、日本中の時計がこの時計の時刻に合わせているわけでもないが、時間のシンボルがこの時計塔なのだ。

 

時計塔7

とても好きなので、何度も見に行っている。

ただ恥ずかしながら、僕はこの科学館の中には一度も入ったことが無い。

 

冒頭で「無数に明石に来ている」と書いたのに、シンボルの科学館の敷地には足を踏み入れたことがない。

内部のご紹介ができなくって申し訳ないが、まぁいつか中に入るさ。

その際は別途執筆するから楽しみにしておいてほしい。

 

ちなみにだが、上の写真でもわかる通り、時計の直下には展望台もある。

あそこから眺める「明石海峡大橋」は最高の眺めなんだろうな…。

 

 

科学館付近の子午線標示

 

時計塔付近のスポットを3つほどご紹介したい。

いずれも、せっかくあなたが興味をもって明石の科学館を訪れたのであれば、もう少し足を伸ばしてほしい場所だ。

ちなみに、いずれも科学館からは徒歩5分以内とお気軽な距離。

 

人丸前駅

 

1つ目は「人丸前駅」。

科学館の最寄りの無人駅だ。

この駅は国道2号と科学館の間にある。むしろ、この駅の高架下を潜らないと国道から科学館に行けない。そんな立地である。

 

ja.wikipedia.org

 

申し訳ないが、ここの駅舎は写真に撮り損ねた。

だからWikipediaさんへのリンクを貼っておく。

 

人丸前駅

この駅の改札前にあったのが、この看板だ。

標準時子午線を示す記載がある。こういうのを見られるだけで幸せなんだな、僕は。

 

なお、この駅のホームを標準時子午線が通っている。

ホームの路面に子午線が描かれているのがこの駅の特徴だ。

見てみたいが、駅への入場料をケチってしまい、僕は未だにそれを見たことがない。時間訪問時こそ、見ねばなるまい。

 

ところで人丸前駅って、おもしろい名前だよね。

これ実は、"人丸"って柿本人麻呂を指すのだそうだ。

飛鳥時代のすごい歌人だ。平安時代以降は人丸っていうあだ名で呼ばれていたりする。

彼、ここに所縁があるそうですぜ。

 

 

柿本神社

 

2つ目、時計塔の裏に回ってみよう。

ここからは直近である日本6周目の写真だ。

 

柿本神社1

神社がある。

その名は「柿本神社」だ!

うおぉ、柿本人麻呂さん、うおぉ!!

 

雨の降りそうな、いや、なんか嫌なもんポツポツ首筋に当たり始めたけども、きっと気のせい。かまわず行こう。

 

柿本神社2

階段を登り、境内に着く。

柿本さんも好きだけど、今回の目的は標準時子午線の標柱を目的にここまで来た。

だから参拝とかはサクッと済ませる。柿本人麻呂さんゴメン。

 

柿本神社3

ここは時計塔の裏側だ。

神社の燈篭と時計塔という、異色のコラボレーションを楽しめる立地である。

ここからもうちょっと進み、完全に時計塔の真裏まで行ったところに目指すモニュメントがある。

 

柿本神社4

これがそれ。

ドロドロの天気で見栄え最悪だけど、これを見たかった。

「トンボの標識」と呼ばれている、子午線標示柱だ。

その通り、柱の一番上にトンボがとまっているのだ。わかるかな??

 

柿本神社5

はい、拡大してみた。トンボが良く見える。

その下の球状のモニュメントには、十二支のアニマルたちがいるね。

 

子午線って、子(ね)・午(うま)だもんね。

古い時代の方位では子(ね)は北、午(うま)は南を表すから、南北に走るこの緯度を子午線と呼んだのだね。

 

柿本神社6

子午線標示柱についての説明板も掲載しておく。

興味があるのであれば読んでみてほしい。

 

 

明石子午線郵便局

 

3つ目は「明石子午線郵便局」だ。なんてナイスなネーミング!

国道2号沿いにあるぞ。

ここもお気に入りスポットだ。

 

子午線郵便局1

国道2号から撮影するとこうなる。

手前の看板の縦の赤い線が標準時子午線だ。

 

郵便局をぶった切り、その後ろに少し見えている人丸前駅のホームを通過し、さらに後ろの時計塔にぶつかるのだな。

 

標準時子午線2

目に見えるかたちで標準時子午線が書かれた看板もあるから、記念撮影にもオススメだと思う。

 

そして僕はWeb上でしか見たことが無いが、ここの風景印も科学館と子午線がプリントされたカッコいいものだ。

もしあなたがこの郵便局を訪れるのであれば、ぜひ風景印を押してもらってほしい。

 

子午線郵便局3

 

 

子午線の概念と明石の隆盛

 

最後に、標準時子午線と時のシンボル明石市との関連を改めてご説明したい。

 

まずは、なんで標準時子午線を明石市のこの地を通る場所に定めたのか。

これは東経135度がここを通っているからである。

 

じゃあなぜ東経135度を日本の標準時としたのか。

これはイギリスの「グリニッジ天文台」に由来する。
この世界の時間の中心は、グリニッジ天文台を通る経度0度だ。


地球は丸いし、1日は24時間だ。

じゃあこの丸い地球を24等分すれば、「そこはグリニッジから○時間ズレた世界」って定義付けられるでしょ。

円の360度を24で割った15度ずつ、1時間の誤差が生まれる。

 

 

そうやって考えたら、明石市を通る東経135度が、ちょうどグリニッジから9時間の時差のポイントだったのだ。

では、東経135度は点ではなくて線なのに、なんで明石市だけが時のシンボルなのか。

明石市以外にも南北の都市が標準時子午線上にあるのに。

 

 

これね、端的に言うと明石市が最初に時間のシンボルの街として名乗りをあげたからだ。

 

前述の通り、明石市は子午線ピッタリに時計塔を建てたり、グリニッジ天文台になぞらえて天文科学館を造ったり、町起こしを頑張ったのだ。

 

だから別に、国際的にとか国の指針として、明石が時の街というわけではない。

だが地域の人が盛り上げ、街のイメージを作り上げたのだ。素晴らしい。

 

…とはいえ、他の町だってちゃんと子午線モニュメントあるぞ。

かなりある。ほとんどが兵庫県だが、10数箇所ある。

僕も全ては踏めていないが、その中でも奇をてらって京都府の2箇所にちょっとだけ触れよう。

 

その他のモニュメント1

1つ目は、国内の陸地では子午線の最北端に当たる地。

スタイリッシュなモニュメントだ。

京丹後市網野町にあるのだが、網野の「A」をモチーフにしたデザイン。

 

その他のモニュメント2

太陽光パネルを備え付けており、そのエネルギーで世界標準時日本標準時のデジタル時計を動かすという、テクニカルなモニュメントだ。

 

その他のモニュメント3

2つ目は、一転してかなりダメージの蓄積された、傷んだミカンのようなビジュアルのモニュメント。しかしそれがいい。

これも京都府京丹後市で見つけた子午線塔だ。

 

その他のモニュメント4

ちょっとボロい木の杭には「ありがとうございます。みんな明るく幸せに。」と書かれていた。

何に「ありがとうございます」なのか謎だが、ありがとうと言われて嫌な気持ちにならないよね。ハッピーだ。こちらこそ、サンキュー!

 

…というわけで、ここでご紹介するのはごく一部ではあったが、もしあなたが興味をお持ちであれば子午線モニュメントを巡るドライブなんていうのも面白いかと思う。

 

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時間は大事だ。

時は金なりだ。

 

忙しい中でも1日1日を大切に、人生を歩んでいこうじゃないか。

気づけば2022年も半分終わりつつある事実に驚愕しつつ、僕は明石を懐かしむ。

 

以上、日本6周目を走る旅人YAMAでした。

 

 

住所・スポット情報

 

  • 名称: 明石市立天文科学館
  • 住所: 兵庫県明石市人丸町2-6
  • 料金: 時計塔を見るだけなら無料
  • 駐車場: あり
  • 時間: 時計塔を見るだけなら特になし