週末大冒険

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ちょっと出かけてみないか。忘れかけていた、ワクワクを探しに。

No.189【長野県】本州を一点で支えるとしたらどこ!?それこそが本州のHESO(へそ)だ!

僕が「本州のHESO(へそ)」と呼ばれるスポットを探訪した記録をご紹介したい。

 

へそ、つまりは本州の中心に当たるスポットであり、それすなわち日本の中心とも言える場所だ。

なんで"HESO"ってローマ字表記にしたのか甚だ疑問であり、もしカッコつけようとしたのであれば「逆にダサくなってますよ」ってアドバイスしたいところだけど、もう遅い。

 

でも、実際に訪問したらべらぼうにカッコいいスポットで、「これこそHESOだな」って、僕は感嘆するかもしれない。

 

 

何を言っているのかわからないかと思うが、すまない僕自身もわからなくなってきた。

あと道、狭い。

 

 

本州のHESOの定義

 

最初の項目だけ、ちょっと真面目な話をさせていただきたい。

日本4周目において本州のHESOを目指すYAMAさんが狭路でワタワタしている間に、本州のHESOの定義を掘り下げておきたい。

 

これ驚愕の事実なのだが、日本の中心ってたくさんあるのだ。

そのうちの1つが、今回ご紹介の本州のHESOなのだ。

何言っているんだかわからない方も多いと思うので、リンクを貼ろう。

 

drive-ns.hatenablog.com

 

詳細については上記リンク先の【特集】をご覧いただきたい。

実は日本の中心というのは日本各地に無数にあるのだ。

ぶっちゃけ30箇所くらいある。

それぞれ定義が異なるので、どれが正しくてどれが間違っている、とかはない。

 

そしてこの無数の日本の中心を全部巡ってみたいと夢見ているのが、この僕だ。

アホでしょ。

でももうほとんど踏破してしまったので、いまさらやめられない・止まらない。

 

では本州のHESOは、なぜ日本の中心と言えるのか。

 

 

これだ。

本州が真っ平らなプレートだと仮定する。

それを1点でバランスが取れるように支えるとしたらどこになるか…。

このポイントを"本州の重心地"という。


2004年、とある測量会社が調査をし、ここがの本州の重心地だと発見したのだ。

「本州の重心地=本州のHESO=日本の中心」。

広義の日本の中心と言えるだろう。そういうことだ。

 

美しい村1

本州のHESOは、上水内郡小川村にある。

日本の里100選にも登録されており、日本で最も美しい村とも言われる、小川村だ。

 

美しい村2

「道の駅おがわ」という道の駅もある。

本州のHESOの最寄りの休憩スポットなので、僕もここを中継地として使わせていただいた。

 

あともう1つ、ここで見たかったものがあったのだ。

道の駅の建物の、向かって左側にそれはある。

 

美しい村3

本州はここで吊り合う 本州の重心地 小川村

 

…このように書かれたモニュメントがある。これを見たかったのだ。

正確な重心地、つまり本州のHESOはすんごい山奥なので、一般人が気軽に立ち寄ることができるここにモニュメントを置いたのだろう。

 

見てほしい、このモニュメントのデザインを。

尖っているだろう。

この先端に、プレート上の本州が乗っているのだ。

 

美しい村4

そう、さっき図解した上の図のようにだ。

これを見たくって、この道の駅に来た。

では、目線を少しだけ上に移動させてみよう。

 

美しい村5

 

うん、本州のヤツ、どこに行った?

 

 

以前はここに本州をかたどった巨大なプレートが設置されていたはずなのだよ。

なんで無くなっちゃったのー?

壊れたのー?危険だから撤去したのー?

それとも盗まれたのー?

ダメだよ、本州を盗んだら!美しくないよ!

僕らは取り戻そうよ、あの頃の日本を!

 

…ちょっと僕はパニックになりかけた。

2022年現在は本州があるのかどうか知らないが、Webを見る限りたぶん無いままだ。

 

美しい村6

もうね、行くしかないよな、本丸へ!

本州のHESOへ!!

 

 

HESOは聖地だ

 

県道31号線をちょっと反れた道から、さらに反れて山奥に突撃する。

 

 

なかなかにローカルだぞ。ワクワクがノンストップだ。

こういう信州の山間部を夏に走るのって、最高に好きなのだ。

 

山間部を進む1

実際に僕が撮影した写真だ。

ここは落合という集落だそうだ。Googleマップには載っていないが、そう書いてある。

そして目指す本州のHESOは法地という地区にあるそうだ。

 

ちなみに看板の下に映っている、セピア色のサビッサビのバス停がエモい。

このバス停はこの後、2つに折れ曲がって朽ちる。

 

山間部を進む2

本州のHESOって、聖地なのか。へぇー…。

 

誰目線の何の聖地なのかわからないが、僕目線は日本の中心である時点で、それはエルサレムと同義ではある。間違ってはいない。

とりあえず行こう、聖地。

 

山間部を進む3

まぁまぁ狭くてワイルドな道が6km続く。

人家も施設も何もない、ただただ山の中の道だ。

 

県道36号と並行する道だが、県道の方が広いしクネクネもないので、こちらを常用する人はほぼ皆無であろうと推測する。

 

山間部を進む4

右側に唐突に小さな空き地が出てきた。

本州のHESOだ。

ここにあるってことを知らなければ、ヘタすちゃ素通りしちゃうかもなって思った。

 

山間部を進む5

一応道端には"本州のへそへようこそ"と描かれた木の立札があった。

ただし、僕の訪問時には結構老朽化して読みにくい上、木々で半分隠れていた。

車の走行中に読むことは結構に難易度高いぞ、これ。

 

山間部を進む6

そして説明板だ。

 

二〇〇四年十二月十一日 

ここ信州・小川村、法地の里「宮の入」の地に、本州の中心地点があることが確認されました。

 

東経 一三七度五八分四〇.二七〇八秒
北緯 三六度三九分一七.七五七三六秒

 

この地点は、標高差を無視した本州の平面図において、均衡を保てる点(=重心)に当たります。

中心のことを一般に「臍」と言いますが、「臍(へそ)」は「臍(ほぞ)」とも呼ばれ、母と子の命を結ぶ絆です。

 

へそを大切にすることは父母や先人の恩を忘れないこと…。

そう考えた法地の人々は二〇〇五年十一月二七日、この地に柱を建て「恩柱」と命名しました。

柱の高さは十一メートル。

以来、聖地「本州のHESO」は、いやしの里・法地会の皆さんによって守られています。 

 

何が聖地なのかはよくわからないが、僕にとっては価値があるスポットだ。

今日、ここに来れて嬉しいぜ。

 

 

本州のHESOを堪能しよう

鳴るへそ玉手箱

 

本州のHESOには一体何があるのか、詳細をレポートしよう。

尚、このレポートは西暦何年とは明記はしないが、ちょっとだけ過去のものだ。

2022年現在はバージョンUPしていると思われるので、参考程度としてほしい。

 

鳴るへそ玉手箱1

大体これが全容だ。

深い谷間に張り出すように、ベニヤ板と鉄骨で組まれたデッキがある。

 

そこに"鳴るへそ玉手箱"と書かれた木のプレート。

少し右には台座があり、ギラギラしたアルミが巻かれ、ウネウネと伸びる謎のオブジェがある。なにこれ。

 

鳴るへそ玉手箱2

それぞれのウネウネの登頂には、不思議な顔がついている。

シーサーのようでもあり、そういう表現をしたら沖縄の人に怒られそうでもあり…。

なにこれ。

 

すぐ下のベニヤ板に説明用の貼り紙があったんだけど、これは恩柱神だ。つまり神様だ、へぇー…。

そしてこの神様の口は賽銭箱のお金投入口になっている。

 

ここに硬貨を入れると、キラキラしたパイプの中を硬貨が落ちていく。

その長さはなんと21m。

硬貨は落下しながら、パイプに仕掛けられた鐘を鳴らす。

その音色の数で運勢を占うこともできるのだそうだ。

 

鳴るへそ玉手箱3

なるほど、本州のHESOで鐘が鳴るから"鳴るへそ玉手箱"というネーミングなのか…。

うん、ちょっとそのセンスに言及したいけど、面倒ごとは嫌なので口を閉ざす。

 

でも、こういうアクロバティックなアイディアは大好きだ。

小学生が夏休みに作りそうなこのクオリティを、大人になってからもずっと大事にしているここが好きだ。

 

鳴るへそ玉手箱4

上2つの首が最高だ。

こういうユルさを失ってはいけないよ、日本は。

 

 

絆のロープ

 

前項でご紹介したのは、あくまで賽銭箱だ。

肝心の本州のHESOと呼ばれる本州の重心地は、一体どこにあるのか。

 

絆のロープ1

あそこだ。

見えるかな?谷を隔てた対岸の崖の中腹に柱が立っている。

赤と白のおめでたいストライプがひときわ目を引く。

 

あれがさっき説明板を引用した『この地に柱を建て「恩柱」と命名しました』、の恩柱なのだ。高さは11m。

 

普通は"柱"って書きたいところだけど、このスポットにおいてはこれまた説明板に合った通り『へそを大切にすることは父母や先人の恩を忘れないこと』とのことで、あえての"柱"と表記するのだそうだ。

 

しかし僕の立つ鳴るへそ玉手箱のデッキから、あの恩柱までは直線距離で100mほど。

ちょっと遠いし地理的に厳しそうだ。

 

絆のロープ2

そんな心身弱き者に朗報である。

まずはさっきの写真を拡大した。恩柱からロープが伸びている。

どこまで伸びているのかと言うと…。

 

絆のロープ3

現地の図解を見てほしい。

鳴るへそデッキのすぐ後ろの柱にロープが結ばれている。

 

図解によれば、これが「恩柱に通じる綱」であり、軽く引くことで本州のHESOとの絆を確かめることができるのだそうだ。

そう、僕らはこのロープを引くことで、間接的にHESOとコンタクトが取れる!

 

絆のロープ4

ロープをグイグイと引いてみた。

100m先の恩柱とを繋ぐロープがたわみ、柱に設置された鐘がかすかな音を立てた。

なるほど、ちょっとおもしろい。

 

絆のロープ5

そのすぐ横には古い電話ボックス台のようなものがある。

そこには来訪者ノートと記念スタンプが設置されていた。

うむ、スタンプ押してみるか。

 

絆のロープ6

恩柱をかたどったデザインですな。

遠近法を活かし過ぎてすんごい三角になっているし、微妙にグネっていて不気味さも感じさせる、良いデザインだと思った。

 

さて、これでミッション終了…とはならないな。

やっぱ恩柱に行かないと。踏まないと。

 

 

目指せ恩柱

 

やっぱり、ここまで来たんだからジャスト中心のポイントに立ちたい。

危険を冒してまでは行きたくないが、道があるなら進むべきと思ったのだ。

 

恩柱1

空き地を出て、柱へ続くと思われる小路に入る。

えっと、こっちでいいのかな…??

恩柱まで歩く人をあまり想定していないのか、明確な案内が無い。

 

恩柱2

手掛かりはさっきも掲載した上図だ。

チープなデザインであるが、赤い線が柱まで行く道のりなのだろう。

なんとなくその方向に歩いた。

 

恩柱2

道はあまり整ってはいない。

こんな道をまずは谷底に向けて下がって行く。

 

どんどん道はワイルドさを増していく。

ここは整備が追いついてないな。

相当に草が生い茂ってきた。しかも朝露でベチョベチョだ。

 

恩柱3

途中には小さな木の橋もあるけど、腐りかけている。

おまけに苔が生えて滑る滑る。なんだこの冒険。

 

さらには小さい虫がたくさん辺りを浮遊している。

僕が歩いても虫はそれにあわせて僕についてくるという、望まないモテ期。

 

ただでさえ相当マニアックなスポットなのに、さらにマニアックな柱そのものを目指す人はほぼいないだろうからね、荒れちゃうのも納得ではある。

 

恩柱4

ようやくゴールが見えてきた。

恩柱をここまで運んだ人もすごいよな。

 

緑の中に埋没している階段を踏みしめ、最後の登りだ。

足元はもうグチャグチャだし、汗もかいた。

朝7時のさわやかな信州の朝のハズなのに、僕は1人さわやかから随分遠のいてしまった。

 

恩柱5

触ったぞ、恩柱!!

 

だからなんなのか。自分でもわからん。

感動も達成感も爽快感もあまりないが、触ったというステータスが大事なのだ。

 

恩柱6

恩柱を見上げ、僕は小さくガッツポーズをした。

小さな虫たちがそれを祝福するように、僕の周りをブンブン飛んでくれた。うるさい消えろって思った。

 

恩柱7

こんな日本の中心があるのだ。

こんな聖地が2022年現在も信州の山奥にあるのだ。

なんだったら、鳴るへそデッキには東屋もできていると聞いているから、より盛り上がっているのだ。

 

物好きな方がいたら、これからやってくる2022年ゴールデンウィークのプランにでも組み込んで見てほしい。

そのとき、本州の重心はあなたを中心に吊り合いが取れるのだ。

 

狭い

以上、日本6周目を走る旅人YAMAでした。

 

 

住所・スポット情報

 

  • 名称: 本州のHESO
  • 住所: 長野県上水内郡小川村高府1502
  • 料金: 無料
  • 駐車場: あり
  • 時間: 特になし