週末大冒険

週末大冒険

ちょっと出かけてみないか。忘れかけていた、ワクワクを探しに。

No.169【長野県】道がない!遭難危機!日本の中心「辰野ゼロポイント」を目指した冒険!

道なき山中を、GPSを握りしめて彷徨っていた。

 

とりあえず帰り道を見失わないように、木々には持参したスズランテープを巻き付けつつ歩いてきた。

心もとないが、それでも僕は前進したいのだ。

 

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目指すは北緯36度00分00秒・東経138度00分00秒の交会点!!

それは「辰野ゼロポイント」と呼ばれるスポットだ。

 

そしてさらに、そこは ― …。

 

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少なくとも僕の訪問時のGoogleEarthの日本版初期画面においての初期位置であったポイントだ。

 

時は2011年春。

 

ひと昔前の話で恐縮ではあるが。

当時の僕は、設立されて間もない辰野ゼロポイントの標柱を踏破し、観光客として最初にここを訪れた記録をWeb公開するという野望を抱いていた。

 

そんな若き日のチャレンジを振り返って行こう。

 

 

日本の中心に立ってみたい

辰野ゼロポイントとは

 

今回の舞台である辰野ゼロポイントとは、たくさんある日本の中心の1つである。

あと、「日本の地理的中心"00ポイント"」とも呼ばれている。

 

おっと、「いきなり何言い出すんだコイツ」みたいに思わせてしまって申し訳ない。

確かに日本の中心は1つしかないと思われるのが一般的な思考であろう。

 

ただ実は中心の定義って曖昧で、定義次第で日本の中心も無数に乱立しているのが実状だ。

ぶっちゃけ30箇所くらいある。

 

drive-ns.hatenablog.com

 

詳細については上記リンク先の【特集】をご覧いただきたい。

そしてこの無数の日本の中心を全部巡ってみたいと夢見ているのが、この僕だ。アホでしょ。

 

今回のターゲットの場所は以下の通りだ。

 

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北緯36度00分00秒・東経138度00分00秒。

 

日本には、端数の無い緯度と経度が、本土の陸地上で交差する点が40個ある。

(頑張って上の地図を作ってみたが、いかんせん手造りなので少し歪んだ部分は寛大な心で許してほしい。)

 

その40個の中心に当たるのが、辰野ゼロポイントだ。

…だが、なにをもって中心と呼ぶのか。

南北に分けても東西に分けでも真ん中にはならない。

だけども脳内でそれらを優しい気持ちでミックスすると、確かにここが日本の中心になりそうな気もする。

 

 

爆誕した日本の中心

 

あれは忘れもしない、2011年の1月のことであった。

僕はWeb上で1つのニュースを仕入れたのだ。

これ、2022年現在も残っているのでリンクを貼ろう。

 

www.town.tatsuno.nagano.jp

 

以下のように記載されている。

 

 辰野町と下辰野区は平成23年1月11日、北緯36度と東経138度が0分00秒で交差する大沢地籍の区有林内にある通称・ゼロポイントに「日本の地理的中心」と記した、高さ2mの標柱を建立しました。

 この地点は大城山山頂の北約1キロ地点にあり、上平出地区からは湖北衛生センターのほぼ西約500mの山中にあります。

設置作業には区役員と町産業振興課職員らが参加して行い、位置の特定はハンディタイプのGPS装置を使用しました。

 

(引用元:辰野町 Webサイト)

 

僕が、もうPC画面に穴が開くほどに何度も読み返し、咀嚼した文章だ。

だから10年以上経った今でも鮮明に覚えている。

 

さて、この記事から読み取れる辰野ゼロポイントとは、どこか。

 

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ツーリングマップルを開いた。

「湖北衛生センター」と「鶴ヶ峰」、「ゼロポイント」については少なくとも当時のツーリングマップルには掲載が無いので、僕が追記した。

 

あと、「日本中心の碑」というのが気になるかと思うが、これは別物だ。

また機会があったらこれについても語りたい。

 

上記の通り、ツーリングマップルには緯度や経度の線が縦横に薄く入っている。

従い、ポイントだけはすぐにわかった。

 

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すげー行きたい。誰よりも早く行きたい。

…ただ、どうやって行けばいいのか。

車道もないし、点線表記の歩道もそこまでは伸びていない。

 

そして、東から攻めるべきなのか、西から攻めるべきなのか。

これは等高線を見て西からの攻略がいいだろうと判断した。

 

すぐにでも行きたいが、長野県の山間部はドチャクソに雪が積もる。

ゼロポイントの標柱の設置作業も、雪の中ヒーヒー言いながら行われたそうだ。

春になったらすぐに行こうと思っていたら、東日本大震災が起きた。

 

drive-ns.hatenablog.com

 

そんなこんなで僕は被災地に複数回ボランティアに行くのだが、今回の冒険はボランティアの合間で行われたものだ。

被災地でガレキやヘドロ撤去してからわずか数日後の、まだ筋肉痛も言えない状態でのアプローチとなった。

 

 

第1次攻略戦

林道を走れ

 

 僕は辰野の町にやって来た。

実は過去に複数回、前述の日本中心の碑を攻略しているので、この付近の土地勘は多少ある。

 

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林道攻略1

まずはお馴染み、日本中心の碑を踏んでこうと思う。

景色が良くて好きな場所という理由もあるし、もう1つの理由もあるが、それは後述する。

 

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林道攻略2

狭い狭い住宅の中の狭路を抜けると、「林道王城枝垂栗線」に入る。

結構ガレガレのダートだ。

そして道は狭いし登り坂も急だ。

 

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林道攻略3

こうして日本中心の碑に到着した。

今回の記事の主役ではないから敢えて詳細は書かないが、でも実は僕の思い入れのある、大好きな日本の中心だ。

 

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林道攻略4

ここで着目頂きたいのが、碑に刻んである緯度経度である。

  • 北緯 36度00分47秒
  • 東経 137度59分36秒

 

僕は、自分のガラケーを取り出す。GPS機能があるのだ。

ガラケーGPSで緯度経度を測れば、全く同じ表示になるに違いない。

実は初めて使用するのだが、精度確認だ。

 

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林道攻略5
  • 北緯 36度00分58秒
  • 東経 137度59分26秒

 

うわっ、違う!しかもそれぞれ10秒も違う!!

これって痛くない?ヤバくない?

もー、盛り下がるわー、これーーー!!

 

でもここまでもう来ちゃったんだからしょうがない。

脳内で補正しながらゼロポイントを探すしかない。

 

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林道攻略6

プランは上記の通りだ。

現在地は左上の「絶景」と書いてあるところなので、しばらく車で移動する。

駐車予定ポイントにそこそこの広さの空き地があることは知っている。

 

そこからは徒歩だ。

上の図の青い矢印を見てほしい。

前半は点線の遊歩道がある。後半は遊歩道も無いが、等高線が右に突き出しているので傾斜は緩やかだ。

きっと尾根沿いに歩けば、ゼロポイントのすぐ近くまで行けるであろう。

 

では、行こう。

 

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林道攻略7

印象深いすんごいヘアピンカーブ。

そこに広場がある。何度も走ったことのある道だからな。

 

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林道攻略8

愛車のパジェロイオを停めた。

そして、今まで気にも留めていなかったのだが、ここから始まる獣道みたいな遊歩道がある。

今回はそこに入っていくのだ。

 

いざ!

 

 

たった1人の捜索戦

 

僕はもう20分歩いている。

変わり映えもしなければ、展望も効かない獣道がずっと続いている。

 

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山間部捜索1

誰もいない。全く人の気配がしない。

右も左も注意しながら進み、なんらかの手がかりを得ようとしているんだけど、何もない。

 

僕はさらにこの先、どこかしらから遊歩道を反れなければならないのだ。

その目印もないだろうから、とても不安だ。

ときどきGPSで現在地を確認してみる。

 

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山間部捜索2

なんとなく近付いていることは確認できた。

ただ、この先どうすればいいのかは示してはくれない。

 

ちょっと辰野の町役場に電話してみるか。

山の中から電話する。

どうやら週末だから観光担当の人はいないみたいだけど、代わりに出た職員のおじさんが「私にわかることであれば…」と言ってくれた。

 

「ゼロポイントを探しているのですが」と僕は言う。

おじさん自身は行ったことはないけど新聞等々で情報は僕よりも得ている様子であった。

  • 「車で行けるようなところではなくてね…」
  • 「大城山から天竜川方面に下った沢の近くの斜面だと聞いていますが…」
  • 「まだこれから遊歩道を作るので、かなり行きづらいと聞いていますよ…」

 

あまり有力な情報は得られなかった。

だけども行こうと思えば一般人でも行けることだけはわかった。

 

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山間部捜索3

数分歩くと「水晶岩」に続く分岐と鳥居が出てきた。

こんなところに神社があるのか…。

 

さらに進むと遊歩道は左右に分岐した。

そんなにはツーリングマップルには記載が無いぞ。

とりあえず右にも左にも行かず、直進して道なき道に入った。

GPSによれば、たぶんこっちなのだ。

 

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山間部捜索4

途中で腹が減ったのでランチにした。

 

食後、さらに道なき道をガンガン歩く。

ここは左右共にも比較的フラットなので、目指すゼロポイントの標柱が見えたりしないか周辺にを配りながら進んだ。

 

GPSから現在地を割り出すと、当初のゼロポイント想定位置とかなり近い。

しいて言えばここからもう少し北か。

 

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山間部捜索5

なんか周囲にロープが出てきて、「キノコ山だから入山禁止」と貼り紙が出てきた。

僕はその境界線を越えないように気をつけて捜索する。

 

そのうち、入山禁止ロープに阻まれて進みたい方向に行けなくなってしまった。

ゼロポイントがあったとしても入山禁止エリアでは標柱を立てられまい。

つまり、この付近にはゼロポイントはないのではないか。

そう判断し、僕は来た道を遊歩道まで戻る。

 

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山間部捜索6

遊歩道に戻り、来た道とは違う方向に歩きながら周辺をキョロキョロ見渡すと、綺麗で広い山道を発見。

方角を調べると大城山に向かいそうな気配だ。

 

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山間部捜索7

写真の下部に大城山の存在が見て取れる。

一旦向かってみるか。

 

町役場の人が「大城山から天竜川方面に下って…」って言っていたのを思い出したのだ。

大城山まで行くことでまた新たな手掛かりを得られるかもしれないし。

 

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山間部捜索8

大城山の近くまで来たら、林の中に廃ホテルがあった!

 

すげー!この向こう側には車道はあるものの、さっき僕が走っていた荒れ果てたダートだぞ。

そんな道を走らないといけない山深くにこんなホテル!

 

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山間部捜索9

そして大城山の山頂!!

 

すっげー絶景!!

初めて展望が開けた!!

僕は眼下の町から、ダートを延々登ってここまで来たのだ!

 

とりあえず、スカッとした気持ちになった。

ゼロポイントを発見できていないのに。

 

 

考えろ、推理しろ

 

「大城山から天竜川方面に下った沢の近くの斜面」。

僕は役場のおじさんの言葉を反芻した。

 

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推理1

少なくとも、ここ大城山からいきなり天竜川に下るポイントではないな。

天竜川は眼下に見えているが、緯度経度的にも違い過ぎる。

 

そういえば、よく聞き取れなかったが、おじさんからは「岡谷側」っていうフレーズも出ていた。

つまり、ここから北東側ってことなのだろう。

とりあえずそれらを総合すると今まで僕が歩いてきた遊歩道が、一番妥当性の高い近いルートってことだ。


もう一度注意しながら戻ってみるか。

 

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推理2

遊歩道の東側って、軒並みすっごい崖なのよ。

斜度50~60度とか、そんなレベル。


しかし冒頭の引用文の通り「大城山の北1km・衛生センターの西500m」とすると、この遊歩道から300~500mは東に行かないといけないと思うのよ。

それが可能なのか。

いや、あのキノコバリケードエリアを除いては難しいと思う。

だったら、むしろ「衛生センター」からの方が無難にアプローチできるのではないだろうか。

ずっと考えていたんだけど、標柱を立てた人たちも、大城山側・衛生センター側のどちらから標柱を立てに向かったのかニュース記事に書いていない。

 

もしかしたら後者なのかもしれないね。

さっきの町役場のおじさんのコメントも正しいとは限らないし。

じゃあこのあと衛生センターに向かってみましょうかね。

 

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推理3

いや、違うな!!

その判断は間違っている!!

 

あぶねー、マジで衛生センターに行こうと本気で考えてしまった。

Webの引用文には、実は続きがある。

 

同地点から北西の鶴ケ峰には、昭和45年(今から約40年ほど前)に建設された「日本中心の標」と展望台があります。

地元と町では、両地点を結ぶトレッキングコースを整備し、小野のしだれ栗森林公園と併せて「塩嶺王城県立公園」の誘客強化を図りたいと考えています。

 

(引用元:辰野町 Webサイト)

 

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推理4

冒頭の地図を再び引用しよう。

鶴ヶ峰とゼロポイントを結ぶトレッキングコースを作るのだ。

多少階段などはあるかもしれないが、人が歩けるレベルの道を作れるのだ。

 

さらに僕は、この遊歩道の規模を推測できる情報をWebから見つけた。

遊歩道の予算だ。

  • 案内板の設置:20万
  • 遊歩道の整備:25.5万
  • 技術者等謝礼:3.6万

 

遊歩道、安いな!!(謝礼、もっと安いな!)

この予算は、大掛かりな階段など作れるようなものではあるまい。

 

つまり、僕の今歩いている点線遊歩道のどこかからか、必ずゼロポイントに行ける!!

 

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推理5

…いや、そんなこと言っておいて、見つからなかったんだけどな。

延々引き返し、また愛車の元に帰ってきてしまった…。

 

僕の孤独な捜索が終わった。

僕の負けだ。見つからなった。

 

悔しい。

でも、実際歩いて推理したことは無駄にはならない。

次こそは…!!

 

 

第2次攻略戦

必ずリベンジするために

 

辰野ゼロポイントめ、待ってろコノヤロ。

僕が踏むまで、誰にも踏まれるんじゃねーぞ、コラ。

 

まだWebにゼロポイント踏破の記録は皆無。

僕はまだ"1人目"を狙える。

 

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リベンジ戦1

あれから11日後、僕は再び辰野町にいた。

この11日間、ちょっと別の冒険もしていたりしたんだけど、ゼロポイントリベンジ作戦ももちろん考えていた。

 

まずは、辰野町役場の人と何度か電話でやりとりをした。

今度は実際にゼロポイントの標柱を設置した人と会話ができたのだ。

 

  • 大城山の駐車場からスタートしたほうが早い。
  • 水晶岩の正面から歩道を反れる。
  • しかし尾根沿いなので比較的歩きやすい。
  • 最後の数10mはすさまじい傾斜。ここが非常に見つけづらい。
  • 明確に場所を知っていれば、大城山から徒歩で30分。
  • 実はGoogleEarthの初期画面を拡大すると辰野ゼロポイントなんだよ。

 

わー、めっちゃありがたい。具体的な情報だ。

 

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水晶岩

水晶岩ね、前回見つけていたのよ。

ちょうど遊歩道を反れて尾根道に入るんじゃないかと予測していた当たり。

てゆーか、実際にそうやって尾根道に入ってパン食ったし。

やはり僕はかなり近づいていたのだ。

 

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GoogleEarth

GoogleEarth情報も嬉しいね。

実際に僕もGoogleEarthを起動させ、初期画面がゼロポイントであることを確認して、さらにリベンジの想いを募らせた。

 

あと、ゼロポイントを示した地形図を町役場が持っているとのことだ。

「それ、欲しいんですけど。日曜日にもらいに行ったら誰かいますか?」って尋ねた。

だけど、当然土日市役所はやっていないのでダメだった。

 

「仮にあげたところで、しっかり現地の実際の地理が頭に入っていないと難しいよ。だけども頑張ってくださいね。」って言われた。

 

うん、ありがとう。

地図が無いのはちょっと残念だけど、これだけ情報があればたぶん到達できる。

心当たりのルートが想像できた。

 

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リベンジ戦2

今度は役場の人に言われた通り、大城山近くの廃ホテルの駐車場に車を停める。

そして南側から徒歩でのアプローチだ。

 

仲間も2人誘った。

ちゃんとGPSを持っているメンバーもいる。

複数名であれば心強い。

 

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リベンジ戦3

わずか11日間ではあるが、季節は進んで山は少し緑が見えて来ていた。

最初に大城山から絶景を眺め、テンションMAXになってから捜索開始だ。

さぁ、がんばろうぜ!

 

 

ダブルGPS作戦

 

あのあといろいろ試してみたけど、ガラケーGPSはこういう山の中だと受信状況が悪くて、あまり精度の高いデータが出なかったりするようだ。

ちょっと位置を変えて何度か計測することで、かなり精度の高い位置情報を割り出す
ことができる。

 

今回は僕と仲間のぐちくんGPSを持っている。

この2台を同時使用し、適宜中間地を割り出すことで誤差を少なくしようと思う。

 

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リベンジ戦4

緯度や経度についても、ちょっと確認してきた。

前回はボランティアでパツパツで、本当に何も調べずに前日に行くと決めて突撃しちゃったので、ありゃあ準備不足だったよな。

 

緯度は地球上どこでも「1秒=31m」。

経度は地球が球状の都合上、赤道付近になるほど間が開いちゃう。

じゃあ今回僕らの目指す北緯36度だとどうなのかというと、たぶん計算式は以下の
通りだ。

 

2*π*r*cos(36)/360*60*60*1000

うん、全然わからね。

 

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リベンジ戦5

ま、結論は以下の通りだ。

 

◆1秒あたりの距離

  • 緯度 31m
  • 経度 25m

さて、これをもとに上の写真の位置情報とゼロポイントの乖離を算出してみよう。

ゼロポイントは「北緯36度・東経138度」なので、こんな感じだな。

  • 緯度: 7.5秒不足 = 7.5*31 = 北に232.5m
  • 経度: 19秒不足 = 19*25 = 東に475m

 

この計算をGPS2台で誤差を埋めながら着実に進んでいけば、かなりの精度を保ちつつゼロポイントを目指せるんじゃなかろうかね。

 

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リベンジ戦6

前回も見かけた「一杯水」という標柱を通り過ぎ、そして目印となる水晶岩の前までやって来た。
ここの判断、重要だぞ。

 

改めて、ツーリングマップルを目いっぱい拡大した地図を掲載する。

 

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リベンジ戦7

うん、ここで間違いないはずだ。

 

前回リポートした通り、東側に行こうとするとここ以外はは相当な急斜面。

人が歩けるようなロケーションじゃない。

町役場の人も"尾根"と表現していたし、消去法でここしかない。

 

問題は、GPSによればゼロポイントの緯度がここよりさらに北を指し示しているという点。

東には行けそうだけど、どうやって北に行くのよ。

かなりの急斜面を降りなければいけないことが、上の等高線からも予想できる。

 

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リベンジ戦8

わずかに残った道らしき形跡を踏み間違えないように進む。

しかし道に誘導されないように、ところどころでコンパスやGPSを見て現在地をチェックする。

 

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リベンジ戦9
  • 緯度: 4秒不足 = 4*31 = 北に124m
  • 経度: 9.5秒不足 = 9.5*25 = 東に238m

 

前回の僕のお昼スポット辺りまできた。

 

しかしここで懸念していたもう1つの問題が浮上する。

前回の僕が書いた通り、ここから先の入山禁止エリアについてだ。

前回の僕は引き返した原因の1つもこれ。その場所まで、今回の僕らは到達した。

 

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リベンジ戦10

前回の僕は、ピンクの矢印の通り、南側を向かされる下り斜面に対して「こりゃ違うわ」って思って引き返してしまった。

そこ以外にはもう道と呼べるようなものも存在していなかったし。

しかもキノコバリケードが北東方面を塞いでいたので、なおさらそっちには行けなかったのだ。

 

今回、僕は見つけてしまった。この入山禁止テープの切れ間を。

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リベンジ戦11

もちろんお読みのあなたは「開いているからと言って入っていいの?」と眉をひそめるだろう。

 

大丈夫。それを見越して調査済みだ。

役場の人に確認してもらってある。

キノコのシーズンは7~11月。春である現在は入山禁止ではなく、そして巡視もないとのことだ。

「ちゃんと合法的に辿り着けるよ」とコメントもらっている。

 

行こう。入ろう。

ゴールまではもう少しだ。

僕は新たなる一歩を踏み出す。

 

 

激坂の果てに見たもの

 

ここからはかなりの急斜面。

たぶん尾根沿いの道を外れ、北東部に向かっている状況なんだと思う。

道、無いです、わからないっす。

 

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ゼロポイントへ1

同行メンバーのぐちくんとさかもとに、軍手装備を薦めた。

これを想定し、あらかじめ準備してもらっておいたのだ。

 

木々に捕まらないと歩きにくいほどの急斜面だし、地面に手を付いたほうがいいような箇所もあるからだ。

 

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ゼロポイントへ2

キノコバリケード後はもう道が無いので、僕はそこから先は目印を設置していっている。

今回はスズランテープを一巻き持ってきたのだ。


それを10m間隔くらいで木々に巻きつけながら歩く。

これを辿ればきっと戻って来れるはず。

ちなみに、帰るときにはちゃんと自分で設置したテープは回収していく所存。

 

水晶岩で遊歩道を外れてから、20分ほどが経過した。

ぐちくんが、「緯度経度両方とも1秒切った!」と言って立ち止まった。

 

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ゼロポイントへ3
  • 緯度: 0.77秒不足 = 0.77*31 = 北に23.87m
  • 経度: 0.03秒不足 = 0.03*25 = 東に0.75m

 

うおぉ、近いな!!

もう付近に起伏が無くて木々もなかったら、確実に標柱が見えている距離だ!

 

さぁ探せ!

ここのちょっと北側だ!

栄光はもう、すぐそこにあるんだ!!

 

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ゼロポイントへ4

で、結果的に僕が一番最初に見つけた。

このすさまじい斜面の下の方にチラリと見えているのを発見したのだ。

 

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ゼロポイントへ5

この状態で僕は写真を撮り、「あったぞー!!」と咆哮した。

 

さぁ、あなたには標柱がどこにあるかおわかりだろうか?

我ながらよく見つけたと思っている。

 

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ゼロポイントへ6

同じ写真にて、標柱の部分を丸く囲った。

これでギリギリわかるだろうか?

 

僕が一番最初に目ざとく発見できたのは、とにかく全神経を標柱の発見に集中させていたからだ。

思いがハンパない。

 

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ゼロポイントへ7

そして、ぐちくんとさかもとには協力いっぱいしてもらっておいて恐縮だが、やはり自分が最初に発見したかったのだ。

 

この物語の主人公は、やっぱ僕なのだ。

だから発見できて感無量だ。

 

これが夏場であれば、葉が生い茂ってさらに発見は困難であっただろう…。

 

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ゼロポイントへ8

この先、傾斜は50度くらいだろうか?

さかもとは「こんなところ降りるの?」って言ってきているけど、降りる。

そのために来た。

 

しかも設置者のおじさんたちはこの標柱を担いだり作業用具を持ってここを降りたのだ。

重装備のおじさんにできたのに、軽装の僕らができないはずはない。

 

だから降りる。

まずは僕が先頭切って斜面にダイブします。

転げ落ちたほうがラクなぐらいだけど。

ちゃんと2人がついて来て来れているか後ろを振り返ると、2人とも後ろというより「上」にいたけど。

 

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ゼロポイント到達1

着いたー!

斜面を駆け下りてその標柱にタッチしたら、若干「グラッ」っとなってスゲー焦った。

ヤバ、これまだちゃんと基盤を固めてない。壊すところだったよ。

 

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ゼロポイント到達2

 

日本の地理的中心 "00(ゼロゼロ)ポイント"

 

 

立ててからあまり期間が経っていないから、まだ真っ白で綺麗だ。

裏側には『二○一一年一月十一日 辰野町下辰野区』って書いてあった。

 

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ゼロポイント到達3

事前調査によると、2011年1月11日の11時11分を目処に立てたらしいよ。

 

1並びにこだわりましたか。

こだわるあまり、えらく寒い時期に頑張りましたな。

そういう無駄な努力、スゲー好き。

 

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ゼロポイント到達4

標柱の横に寝転んで、空を見上げてみた。

 

GoogleEarth初期画面の空。

この空の上からこっちを見下ろした人は何100万・何1000万人といるかもしれないが、逆にこっちから向こうを見上げたことのある人は、おそらくいても10数人なんだろうな。

 

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ゼロポイント到達5

いやぁ、感無量だなぁ。

そして寝転んだので背中、すっごい汚れました。すみません、土を払ってください。

 

たぶん、ここには2011年中にそこそこの遊歩道ができるであろう。

町役場の人も「雪が降り出す前に頑張って道を作ります」って言っていたし。

 

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ゼロポイント到達6

しかし、僕が求めていたのは道じゃなかった。

せっかく早期にキャッチした情報なので、今しかできない冒険をしたかった。

今しか見れないゼロポイントを見たかった。

 

僕だけの物語だ。

 

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ゼロポイント到達7

最後にぐちくんがを取り出す。

  • 北緯 36度00分00秒
  • 東経 138度00分00秒

 

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ゼロポイント到達8

ピッタリだ。

 

こうして僕らの冒険は終わる。

 

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2022年現在。

ちゃんと遊歩道もできたし、台座の上に碑が置かれているけど、この辰野ゼロポイントはまだまだマイナー観光地だ。

ま、僕はこのとき以来再訪していないので詳しくは知らないが。

 

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TV番組「チコちゃんに叱られる」では、数ある日本の中心…の中心を求め、それがこの辰野ゼロポイントの数m隣となったらしい。

「日本の中心チコちゃんポイント」の碑が建てられたそうだ。

 

これはいつか行ってみたい。

 

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大好きな日本のことが、またさらに好きになった。

だから元気出せ日本。

 

帰り道、東日本大震災の被災地の話を2人に語った。

さかもとが次の南相馬ボランティアに同行したいと言ってくれた。

おぉ、じゃあ一緒に行こう。

 

drive-ns.hatenablog.com

 

こうしてまだまだ、僕の冒険は続く。

 

以上、日本6周目を走る旅人YAMAでした。

 

 

住所・スポット情報

 

  • 名称: 辰野ゼロポイント(日本の地理的中心 "00(ゼロゼロ)ポイント")
  • 住所: 長野県上伊那郡辰野町平出
  • 料金: 無料
  • 駐車場: 大城山付近にあり
  • 時間: 特になし