「石見(いわみ)銀山」。
世界遺産というワールドワイドな評価をされているスポットなので、あなたも名前くらいは聞いたことがあるだろう。
では、「石見銀山最高だったよ!」という声は聞いたことがあるだろうか?
…国内にある他の世界遺産と比べると、そういう声はちょっと控えめかもしれない。
ガッカリ系世界遺産っていう声も聞こえてくるかもしれない。
僕はガッカリ系観光地も好きな人間だ。
日本三大ガッカリも全部大好きだ。
なんだったら僕自身が、ガッカリ人生を歩むガッカリ人間だ。
え?そんなに自分を卑下するなって?
そうか!ありがとな!!
とりあえず、僕は今までに石見銀山を2回訪問している。
胸を張って語れるような訪問回数ではないが、感じたままを書く。
ただ、百聞は一見に如かずといういい言葉がある。
もし僕の記事で石見銀山が期待以下だったとしても、現地で1回ガッカリするのはとっても貴重な体験だからな。
それだけは覚えておいてほしい。
アイツ世界遺産に登録されたってさ(日本3周目)
当時まだヒヨッコレベルの観光知識しかない僕が、さっそく現地を目指したのは同じ年の秋のことだ。
どんな場所か知っているかと言われれば、なんにも知らねー。
ただただ、世界遺産という言葉に釣られてホイホイやって来ただけのチョロい人間だ。
15:00過ぎ、海沿いの国道9号から一気にハンドルを切って山道に入る。
この時間だったら間に合うだろうな。すっごく楽しみ。
しかし、山間部に集中して雨雲が出てきた。
この時間なのにもう辺りは暗くなり始めている。
うわー、雰囲気が出るけど、なんかヘコむなぁ。
標識に沿ってズンズン山奥に走っていると、『混雑時はここから駐車場まで1時間』という看板とか出てきた。
なかなかにえげつない時間だ。きっと週末なんかは大混雑するんだろうな。
しかし今はスイスイだ。むしろ他の車全然いない。
いきなり青天の写真で恐縮だが、これは後年訪問したときの写真だ。
初回訪問時の写真がないから止むなく持ってきた。
雨雲が立ち込める中、「石見銀山→」の標識を見ながら僕がが辿り着いたのは、「石見銀山世界遺産センター」という新しくて綺麗な建物であった。
それが上の建物だ。
時刻は15:35。
海沿いの国道からここまでノンストップで35分だった。
そしてここの駐車場に着くと同時にザーッと凄まじい豪雨になった。
なんてこった。
とりあえずこの石見銀山世界遺産センターの施設内に飛び込んだ。
あれ?なんか案内所みたいで予想と全然と違う。
どんなのを想像していたのか、って??
僕、こう見えて全国の金山や銀山はそれなりに観光してきたの。
上の写真は栃木県の「足尾銅山」。
こういった金や銀は山の中に坑道を掘って採掘するから、洞窟系の観光スポット。
もちろん石見銀山もそうだと思ってた。
しかしピカピカのホールだけの建物。
なんか受付の横に『バスはこちら』みたいなことが書いてある。
バス??
なぜゆえにバスに乗るのか。
ひとまず受付の人に「観光に来たんですけど、どこに行けばいいですか?」と聞いてみた。
受付の人、時計を見ながら「うーん…。この時間だと…。」とか言ってる。
え?何??
話を聞くと、どうやら石見銀山最大の名所である「龍源寺間歩(りゅうげんじまぶ)」っていうところへは、バスを使わないと行けないらしい。
ここからもバスが出ているそうだけど、本数が少なくて今出たばかりなので、次のバスを待つと、ここに戻ってくる頃には真っ暗になってしまうそうだ。
「ここから車で10分弱のところにある●●から15:50に出るバスに乗ればいろいろ行けて…。普段は凄く混んでて駐車場にすら入れないんだけど、平日の夕方でこの雨だったらきっとあそこの駐車場も空いているから…。」
と言いながらMAPを出してくれたんだけど、もう僕自身の理解度のキャパシティがいっぱいいっぱい。
バス停まで車で10分だと言うが、次のバスの出る15:50まであと10分しかないぞ。
後々に振り返ると、僕が案内されたバス停というのは、上の地図の「羅漢寺」である。
僕は大田市中心地方面から「石見銀山→」の標識を見ながら来た。
きっと駐車場の広さとかの関係で、この標識は龍源寺間歩ではなくって世界遺産センターを示していたのだろう。
結果的にかなり遠回りしてしまって、内心「チッ!」って思ってしまったが。
とにかくMAPを片手にダッシュでまた車に戻り、速攻で教えてくれた駐車場に向かう。
およそ8分後、羅漢寺前の駐車場に到着。
ガラ空きだった。
案内人の人に聞き、雨の中ここにあるバス停でバスを待つ。
バスは30分に一本くらいのようだ。
看板に『世界遺産に登録されて銀山は大混雑です。でも環境に配慮してバスを増便するつもはありません。乗り切れないことも多いので、なるべく45分ほど歩いて龍源寺間歩まで行ってください』みたいなことが書いてあった。
いや、僕ならこの土砂降りの夕方の時刻に45分歩いたら心が折れるね。
上の写真はこの後乗るバスから実際に撮影した写真だ。
なかなかヘビーである。
こうして僕はなんとか15:50、龍源寺間歩に向かうバスに乗れたのだ。
小さいシャトルバスであった。往復料金400円。
乗客は僕のほかに熟年夫婦一組だけだった。
10分ほどの乗車時間の中で、運転手さんは窓から見える様々な遺跡や歴史について説明してくれた。
なんだか薄暗くてよく見えなかったけど。
バスは、擦れ違いはおろかバス自体がギリギリで通れるくらいの狭い山道を進む。
ここに休日大勢の観光客が押しかけたら、そりゃ恐ろしい事態になるよな。
なんか、暗い。
僕が念願の石見銀山を代表する、龍源寺間歩の前に立ったのは16:13だった。
バスを降りてからも300mほど歩いたのだ。
もう周囲は暗くなりかけていた。
…という初回アプローチ。
実は2022年現在はアプローチが少し異なるので、次の項目ではその後のアプローチエピソードを書こう。
もうちょっとラクになっていることを期待しているかい?
でも残念!
もっとハードになっているよ!!
銀山見たいなら己の筋肉を信じろよ(日本5周目)
広くて大混雑した駐車場に、ご綺麗な建物。
うーむ、石見銀山ってこんなだったっけ?
世界遺産センターという建物の前。
しばらくぶりの石見銀山に、僕の頭はまだ混乱していた。
とりあえず、悩むより動いたほうがいい。
世界遺産センター内に入り、スタッフさんに「石見銀山の坑道ってどう行けばいいんですか?」って聞く。
そしたらスタッフさん、「はにゃ?何言ってるの?」的な顔で隣の従業員さんと顔を見合わせた。
アメリカ人だったら大げさに肩をすくめそうな、そんなテイストだった。
いやいや、僕そんな変なこと聞きました?
スタッフさんのリアクションの真意は現在も不明だが、とりあえずその後いろいろ教えてくれた。
どうやら石見銀山最大の名所である龍源寺間歩に行くには、大森っていうところが拠点になるらしい。
そしてここから大森へはバスか車で行くことになるんだけど、かなり駐車場のキャパが少ないので停められるかどうか微妙らしい。
さらに、その大森から龍源寺間歩までは2.3kmあり、交通手段は歩いていくか、もしくはレンタサイクルショップで自転車を借りるかのどちらかしかないそうだ。
マジですか!?
そんなハードル高かったっけ!??
従業員さんは時計を見ながら「バスは15分間隔で、そろそろ出てしまいますよ」と言っている。
ちょっ、考える時間、考える時間 ― !!
― ― バス乗ってた。
バスに揺られていたら、何となく前回の記憶が蘇って来た。
似たようなことでドタバタしたな、過去。
そんで前回も今回もドタバタしすぎて、世界遺産センターとやらがどんな施設か全く知らないままだな。
前にも同じこと考えたけど、石見銀山の標識見ていたら全員ここに来ちゃうわけで、これは狙っているのかな?
こうやって来た人をレシーブするのが本業だったりするのかな?
あ、バスは有料だった。片道200円。
改めて地理をご説明しよう。
僕は世界遺産センターからバスで大森バス停までやって来た。
前回羅漢寺の前から龍源寺間歩までシャトルバスに乗ったが、その羅漢寺の前というのが今回と同じ大森バス停だったのかもしれない。
あのときは時間ギリギリだったし夕暮れだったし雨だったので、よく覚えていない。
ちなみに大森バス停近くの駐車場は数台だけ空きがあった。
しかしバスを使って正解だと思っている。
今はかなり観光客の多いシーズンである。もし満車だったときのダメージが大きいから。
レトロな大森バス停の周囲には田園が広がり、そして少し歩いたところには「大森の町並み」という江戸時代からの面影が残るかつての通りが残っている。
そこも世界遺産の一部だ。
町並みを歩き、そしてカフェしたりランチしたりと楽しむのも良いだろう。
しかし僕は1人旅。なんかそういうシャレたことをしたい気分でもない。
龍源寺間歩を目指すのみよ。
バス停から龍源寺間歩までは2.4㎞だ。
ここから先は公共交通機関はない。
50分近く歩くか、レンタサイクルで自転車を借りて漕いでいくかだ。
どうやら季節によってはベロタクシーが出ているそうだが、このときは見かけなかった。
バス停のすぐ横にあるレンタサイクル屋さんに入る。
料金は普通の自転車で500円、電動自転車で700円だそうだ。
僕は普通の自転車を選ぶ。
さすがに歩くつもりはないが、これ以上石見銀山関連でお金をかけるのはなんか悔しい。
せめて自転車のグレードは抑えようと思ったのだ。
レンタサイクルのおじさんは「普通の自転車はオススメできませんよ。2.4kmずっと登り坂なのですよ?」と脅してくる。
でも僕、負けない。
おじさんにも坂道にも負けない。
不要なところでお金を使いたくはない。そこは筋力でカバーするよ。
グッと力こぶを作った。二の腕のぜい肉がタプンと揺れたが、気のせいだ。
こうして大森の町を自転車で走り出した。
ただ、自転車はなんだか楽しいぞ。
このポカポカの春の日差しの下、見知らぬ集落の中を自転車で走るのだ。
八重山諸島の「竹富島」とかを自転車で走り抜ける快感を思い出した。
序盤はローカルな農村地帯。
ゆるーい登りなので、ここいらは普通の自転車でも余裕。
すぐ脇には八重桜が咲いていてテンションも上がる。
ところでさ、以前はここから龍源寺間歩まで無料シャトルバスだったのに、なんでなくなっちゃったんだろう?
実はさっきバスに揺られている間にネットで調べてみたんだ。
そしたら、やっぱ騒音や排気ガス問題、そして「待っていてもバスが来ない」という問題があったからだそうだ。
そんで2008年で既にバスは廃止されたんだって。
あー、かなり昔に廃止されていたのだね。残念無念。
中盤以降の道は、ずっと登り坂。
そして不安になるくらいに周囲には何もない、まさに山の中。
でも、稀に歩いている観光客の人もいたね。
でも、みんな疲れ切っていたよ。生気を失った顔してトボトボと歩いていた。
僕も電動自転車じゃないから負担は大きいんだけど、徒歩よりはマシ。
気合いで乗り切った。
終点の自転車置き場までやってきた。
しかし、どうやらここから龍源寺間歩まではまだ300mあり、そこは歩かないと行けない模様。
長い、長いぜ!!
ようやく龍源寺間歩の受付が見えてきたよ。
ここで410円を払い、ようやく坑道内に入れるのだ。
そして費用1110円。
なかなかのスケールですな。時間もお金も。
「そうそうこんなだったな、懐かしいな」と呟きながら、僕は龍源寺間歩の前に立った。
ハイライト、龍源寺間歩で160mの奇跡を見よ
ここまで2回分のアプローチを書いてきた。
それぞれに違う苦労はあったが、ようやく世界遺産の石見銀山のハイライト、龍源寺間歩の前に立つことができたのだ。
石見銀山と言えばここ。
みんなヘロヘロになりながらここを目指してきたのだ。
これぞ、僕のイメージしていた鉱山観光スポットに近しい。
山肌にポッカリ空いた坑道。
今からそこに潜入して中を観光できるのだ。観光というより探検だ。
ワクワクが満ち溢れる。
-*-*-*-*-*-*-
ありのまま、今起こった事を話すぜ!
「僕は、龍源寺間歩に入った思ったら、いつのまにか出ていた」
何を言っているのかわからねーと思うが、僕も何が起こったのかわからなかった… 。
頭がどうにかなりそうだった…。
催眠術だとか超スピードだとかそんなチャチなもんじゃあ断じてねえ、もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…。
-*-*-*-*-*-*-
はい、落ち着こう。
そして少し時間を巻き戻そう。
間歩(まぶ)っていうのは採掘するための坑道でのことをさすらしい。
石見銀山にはこの間歩が無数にあるんだけど、その中でも最大規模なのがこの龍源寺間歩。
全長は600mほどあるとのことだ。
2回目の訪問時には世界遺産センターにはあれだけ車が停まっていたし、サイクリングしているときも結構な人数の観光客を見かけた。
にもかかわらず、間歩の中を見渡すと視界に入るのはわずか1組。
ガラガラだ。すごくラッキー。
みんなどこで脱落したのだ??
すぐに坑道内は誰もいなくなって、悠々と自撮りもできた。
この間歩、観光客が歩くメインの坑道は高さが2m程はあり、楽々通行できる。
まぁところどころは頭をこするんじゃないかってくらいに天井が低いのだが、チビのYAMAさんはそういう心配するだけ人生虚しくなるので、ズンズン進むのだ。
そのメインの坑道の途中途中に支道があり、そこは縦横が数10cmしかなかったりする。
そういった支道はライトアップされている。
入ったら2度と出て来れないんじゃないかってくらいの絶望的なサイズだ。
こんなのが無数にポコポコ開いている。
これら全て、銀脈を求めて掘り進んだ跡なのだ。
銀の採掘は江戸時代がメインだ。
当時は全部手掘りだ。メインの坑道もこれらの支道も、壁や天井のボコボコは全て手掘りのノミの跡だ。
これらの支道はもちろん、一般観光客は入れない。
ライトで照らされた様子をちょいちょい覗き込み、当時に思いを馳せる。
銀山の歴史には全く関係ないけど、個人的にツボったのがこれだ。
支道を照らすライトの光で、もっさりと植物が育ったりしている。
永久に日が差さない漆黒の坑道で、人工的な灯りで偶然育ったグリーンに癒された。
1本道のメイン坑道を進む。
土砂降りと夕暮れの中での1回目の訪問の際も、坑道内はガラガラだった。
行きのシャトルバスで一緒だったご夫婦と、洞内にいたどこぞのTVクルーだけだった。
そんなこんなで、一区切りとなる地点がやって来た。
メイン坑道が突然狭くなる。
もうこの先は一般客は進めない。
ここで綺麗に整備された新しい坑道を歩きながら地上に戻るのだ。
さて、長々と説明してきたが、ここでクエスチョンです。
僕が"メイン坑道"と呼んできた坑道跡を、ここまで何m歩いて来たでしょうか。
答え:
160m。
(…短い)
正直、紹介は驚いた。
想像を絶するショートドラマであった。
サクサク歩けばものの3分で完結する物語。
2回目はそれを知っていたのでジックリと周囲を見ながら歩みを進めたが、僕の前にいた他のお客さんは早々に視界から消えていた。
きっと出口でかつての僕のように、キョトンと白昼夢を味わったに違いない。
ガッカリの分析・ガッカリしない心構え
僕は石見銀山を否定するわけでもないし、かといって必死に擁護したいわけでもない。
損得勘定なしにありのまま、多様性を受け入れて自分の糧にするのも、旅人として大事なことだと思っている。
偽善者?もしかしたらそうかもしれない。
まぁただ、ガッカリする人の気持ちはわかる。
少し話を整理していこう。
ガッカリポイント
- アクセスが悪い。
- 龍源寺間歩が小規模。
この2点に集約されるだろう。
前者の「アクセスが悪い」については、ホント大量のお客さん来たらどうするんだろうって感じだ。自転車屋さんを増やすのか…?
そもそも僕が訪れたときは暑くも寒くもない季節で晴れていて、とても気持ち良かった。だけども冬だとか雨の日、お年寄りや小さい子供の場合は大変だ。
さらに僕はマイカーだったので駐車場まで容易にアプローチできてまだよかった。
公共交通機関だったら、島根の主要駅からの往復で半日は容易に潰れるであろう。
後者の「龍源寺間歩が小規模」については、苦労してアクセスした見返りがあまりに少ないことで、よりダメージを助長している。
僕らが思い描く、海外の名だたる世界遺産。
それと比較すると、「あれ?これが世界遺産?なんで?」と、期待を大いに裏切られるのだ。
リカバリポイント
では、どうすれば評価を向上させられるのか。
僕はコンサルタントではないし、コンサルするつもりもないので、主に訪問者側に対して言及したい。
まずは事前に知ること、予測すること。これに尽きる。
僕個人は行き当たりばったりの旅でハプニングに見舞われるのも好きだ。
ただ、前述のようにお年寄りや子供連れでハプニング耐性が低いのであれば、事前に情報を収集して事態に備えるのも旅人としての心構えであろう。
「え?野生のキタキツネにエサをあげてはダメなの?」・「富士山にTシャツ&短パンで挑むのは無謀なの?」と同様なレベルにもなりかねない。
石見銀山に行くだけの知識と準備が必要なのかもしれない。
前者の「アクセスが悪い」については、何も「世界遺産は万人に対して快適に来訪できるようにすること」みたいなルールがあるわけではない。
文中で少し触れたが、環境汚染や地元の方への配慮も必要なのだ。
だとすれば。
変わるべきは石見銀山側ではなく、我々訪問者側なのだろう。
世界遺産である富士山の山頂に万人が到達できないように、石見銀山の龍源寺間歩に到達できる人も万人ではない…と考えざるを得ない。
せめて快適に到達できるようにするならば、「季節を選ぶ」・「時間をかける(余裕を持つ)」などの方法がある。これも登山と一緒。
後者の「龍源寺間歩が小規模」についても、銀山側が対応するのは困難であろう。
観光客が立ち入れる範囲を広げることも不可能ではないかもしれないが、基本的には狭い狭い坑道なのだ。
維持管理や安全管理、訪問者をさばくのが極めて困難だ。
これもまずは理解・納得しかない。
そして歩けるのは旧坑道160mと、地上に出るための新坑道80mくらいだけだ。
国内の金山・銅山などいろいろ行ったことがある方はイメージ着くかもしれないが、坑道内で当時の作業を再現した人形が動いていたり、音声での説明があったり、面白い仕掛けがたくさんあるスポットも多い。
でも、石見銀山はそんなのないからな。そういうスペースもないからな。
ただ洞窟歩いて似たような支道をチラ見して、3分でオシマイ。
乱暴な書き方をしてしまうとそうなる。
これの対策も、やはり知ることであろう。
この160m、感受性を最大にしてかかるのだ。どんな細かいことも見逃さないように。
そして、それを達成するためには石見銀山の歴史を少々学んでおいたほうがいい。
僕がダラダラ書いてもアレなので割愛するが、世界の銀の3分の1をここで賄っていた時代もあるのだ。
世界にとって、この島根の山奥の銀山がどれだけ大事で注目を集めていたのか。
そんな目で見ると、ノミの跡の1つ1つにも興味を持てるかもしれない。
もう1つ。
「石見銀山=龍源寺間歩」ではない。
石見銀山の間歩は600以上あるが、その中で通年で入れるのは龍源寺間歩だけ。
付近の山肌には、上の写真のように洞窟がたくさんあり、ナンバーが記載されたプレートが掲示されている。
ちなみに龍源寺間歩は「500」だった。
「僕らが見ているのは無数にある坑道のほんの一部」っていう理解がまず必要。
さらに、世界遺産登録名称は「石見銀山遺跡とその文化的景観」なのだ。
ふもとの大森集落なども合わせての世界遺産。
これまた理解しておく必要がある。
まぁでもそこいらの知識は、2007年から現在に至るまでで随分国民に浸透してきたような気配も感じる。
国内にレトロブームがやってきて、こういう街並みが好きな人が増えてきたのも大きいだろう。
…最後に。
なんか僕「あれもこれも観光客側が知るべきだ」とか書いてきたけど、そりゃ無茶ってヤツだ。かつての僕自身が出来ていない部分もある。
…であれば。知識を伝授する場を担えるのは世界遺産センターしかないであろう。
僕は全く中身を知る機会もなく、むしろ龍源寺間歩へのアプローチで厄介な存在にもなりかねなかった世界遺産センター。
いや、今更ながら調べると、すごい展示や説明が充実しているのよ。
しかもそれなりに楽しそうなのよ。有料だけど。
だけど残念ながら僕は現地でそれを知る機会がなかった。
なんだろう、「石見銀山は世界遺産センターの展示がすごいよね」とか「まずは世界遺産センターで学んで、龍源寺間歩はその復習として最後に見るべき存在」、みたいだったらいいのだろうか?
もし万人に満足感を与えるとしたら、まず切り口はそこなんだと思う。
ヤベ、結局石見銀山側にも言及してしまった。
-*-*-*-*-*-*-
坑道自体の印象であれば、国内の他の鉱山観光スポットにも大きく劣りそうな石見銀山。
…それでもね。
ドタバタしながらアプローチした思い出は、旅のいいスパイスとなった。
そして、春うららかな日に自転車を漕いだあの思い出は、一生忘れられない。
以上、日本6周目を走る旅人YAMAでした。
住所・スポット情報
- 名称: 石見銀山
- 住所: 島根県大田市大森町イ1597-3(石見銀山世界遺産センター)
- 料金: ¥400(龍源寺間歩入洞料)
- 駐車場: あり(石見銀山世界遺産センター他)
- 時間: (龍源寺間歩)3/1~11/30…9:00~17:00 、12/1~2/28…9:00~16:00