"日本の臍(へそ)"、つまりは日本を人体に例えたときの中心点は群馬県の渋川市にある。
日本の中心は渋川市だったのだ。
そこに何があるのかと言うと、日本の臍や日本の中心を示す碑や掲示物があったり、臍地蔵というお地蔵さんがいたり、記念スタンプがあったり、へそ音頭が流れるボタンがあったりと、狭い一角がゴッチャゴチャのカオスなお祭り騒ぎになっている。
そんな愉快なスポットに、僕だって行きたい。
僕も一緒になって日本の真ん中を感じながら、コイツらとわちゃわちゃしたい。
そんな夢を叶えた話を今宵は語ろうか。
日本の臍ってなんだろう?
まずは日本の臍について説明しなければなるまい。
日本の臍は、数ある日本の中心の1つである。
何言っているんだかわからない方も多いと思うので、リンクを貼ろう。
詳細については上記リンク先の【特集】をご覧いただきたい。
実は日本の中心というのは日本各地に無数にあるのだ。
ぶっちゃけ30箇所くらいある。
そしてこの無数の日本の中心を全部巡ってみたいと夢見ているのが、この僕だ。アホでしょ。
その中の1つ、群馬県には日本の臍というスポットがある。
難しい文字だが、漢字で書かねばならない。
なぜなら兵庫県に「日本のへそ」というスポットがあり、そことの差別化を図る必要があるからだ。
兵庫県のほうは、ひらがななのだ。
なんでこんなにも日本の中心が乱立しているのかというと、それぞれ日本の中心の定義が違うからだ。
有史以来「図形の中心とは、このように求めること」ってズバッて定めた人が皆無なので、とんでもなくガラパゴス化してしまっている。
日本の臍は、上記のような定義で日本の中心だとアピールしている。
それらの2点を円で結んだ中心が日本の臍なのだ。
なるほど、我々がイメージする漠然とした日本の中心のイメージに近い場所のではなかろうか。
しかし草葉の陰で円に入れなかった沖縄県民がきっと泣いている。
それにこれは重要なことだが、「宗谷岬と佐多岬を直径とする円」ではない。
これ、1秒考えればわかる話だが、わざわざ円を描く労力すらいらない。
イコール「宗谷岬と佐多岬を直線で結んだ半分の地点」だからだ。
そしてそこは日本海だ。
これじゃあ地域起こしができない。
だからここを日本を中心だとアピールしている人は1人もいない。
かといって、「宗谷岬と佐多岬を経由する円」としてしまうと、実はそんなものは無数にある。
つまりその円の中心も無限にある。
"日本の臍"とは「群馬県が中心となるように宗谷岬と佐多岬を経由する円を描いた」、これに尽きると思う。
Web検索しても誰もこの定義に対する言及、書いていないのな。
コペルニクス的転回??
地動説みたいに唱えたら群馬県民にWebごと存在を抹消される??
もちろん、先ほど書いた通り我々がイメージする漠然とした日本の中心のイメージに近い場所ってのが大事だと思う。
根拠は後付けていいのかもしれない。
みんな違ってみんないいのだ。
グダグダ言っても不条理だ。
臍地蔵との出会い・再会
日本の臍には、臍地蔵というお地蔵さんが立っている。
僕とこの臍地蔵との出会いは古い。
あえて西暦何年…とは言わないが、現在日本6周目をしている僕が、日本3周目時代に初めて訪問している。
日本の中心に興味を持ったのが日本3周目であり、その最初期に訪れたのだ。
「まずはここだ!」という強い決意が僕にはあった。
場所は渋川の街中、かなりの中心地の寄居町というところだ。
その「寄居町会館」の前が日本の臍である。
結構車通りも多いし歩行者も多く、カメラを構えるのも恥ずかしかった。
従い、上の写真はその動揺のせいでちょっとブレたのだ。
しかもあまり多くのバリエーションの写真を撮れなかったことで、悔いが残った。
ちなみにお地蔵さんの向かって右側にはコンクリートで作られた日本の臍中心標があった。
向かって左側には、「ここが日本の中心 日本のまんなか 臍地蔵」という標柱もあった。
ただしこれは老朽化のためか2022年現在は存在していない。上の写真は今となってはなかなかレアだぞ。
*-*-*-*-*-*
そしてしばらく月日は流れる…。
僕は再び寄居町会館前の近くにやって来た。
「懐かしいな、どこだったかな…」と、薄っすら記憶のある町中をキョロキョロする。
そしてとある道路の角を曲がると…。
はい、あったあった。
この建物が寄居町会館である。週末なのでドアは閉まっている。
そしてその建物の側面、一角の色彩がやたらと豊かで目を引く。あそこだ。
お地蔵さんがチラリと見える。
しかしなんだかやたらと賑やかになったなー、これは楽しくなってきたぞーって、気分が盛り上がる。
こうして日本の臍、再訪。
2022年現在の愉快な日本の臍を次項でご紹介しよう。
日本の臍は盛り上がる
冒頭にも掲載したが、上記が日本の臍の全容だ。
しかしアレだな。誰が主人公だかわからねー。
それでも、実は入りきらずにフレームアウトしてしまった要素もあるのだが、それらは追い追いご説明しよう。
まずは日本の臍の由緒が書いてあるので、ザクッと目を通してもいいかもしれない。
記載内容は以下の通りだ。
日本のまんなか へそ地蔵
ここには古くから日本の中心と言われる「へそ石」があります。
それにちなんで、昭和五十九年にこの「へそ地蔵さん」が建立されました。
その名前のとおり、御尊体のまんなかに立派な「おへそ」があります。
「おへそ」は母と子の大切な「きずな」であり人間愛の象徴であります。
お参りの方は「おへそ」をなぜてから合掌し、参拝してください。
必ずあなたの家庭円満、健康、安産、愛情、友情、縁談等、又子供達の学業向上等が願成されるでしょう。
どうぞ「おへそ」にふれて感謝の心で祈念して下さい。
…とのことだ。
そしてこれが臍地蔵である。
コロナバージョンで赤いマスクをしている姿だ。
そしておへそがある。心配なくらいに赤く腫れあがっている。
でべそってヤツだ。なんか死語のような気がするし僕もほぼ使ったことが無い言葉だが、でべそってヤツだ。
服の上だと思うのにどうして…という疑問もあるが、まぁ触れないでおこう。
しかし日本の臍に鎮座する、ありがたきお地蔵さんだ。
記載の通りおへそをなででから参拝した。
これで僕の家庭円満、健康、愛情、友情、縁談の願成が約束された。
ちなみに臍地蔵が立っている台座には日本地図が描かれている。
そしてその日本地図の渋川市に当たる部分にもへそがある。
平面の無機質な日本列島に、立体的な有機物であるへそ。
なかなにシュールだな。これもなででおいたけど。
そしてこれがへそ石だ。
さっきの説明板で『古くから日本の中心と言われる』と書いてあったが、それ以上の説明はなく、よくわからない。
だから調べたことがある。
すると、奈良時代の初代征夷大将軍である「坂上田村麻呂」が、蝦夷(今の東北)遠征から帰る途中で「ここいら辺が都への帰路のちょうど半分だから、ここを日本の中心にしようぜ。はい、この石が中心ー。決めた。」って言ったらしい。
うん、ちょっと待て。
上記で取り上げた「つぼのいしぶみ」。
これも坂上田村麻呂が青森県で「ここが日本の中心だ!」って言って、石に"日本中央"と刻んだことに由来している。
おいおいアイツ、結構アバウトな性格だぜ。
いたるところで日本の中心を作り、そこかしこの石にその大役を背負わせているのではなかろうか。
そういう考え方をすると、なんか坂上田村麻呂に変な親近感を持てるような気がした。
次はそのへそ石の右、渋川へそ祭りについての説明板だ。
もう記載内容を全部転記するのは疲れるのでやめるが、昭和58年から続く「へそ祭り」という町起こしのお祭りについて説明されている。
お腹に顔を書いて踊る祭りだな、知っている。
着目すべきは説明板の左下部分。
『ボタンを押すとへそ音頭が流れます』って書いてある。
よーし、流したい!
この渋川の町に陽気なへそ音頭を轟かせたい!
…で、ボタンはどこだ??
ちょっと迷った。
結論、一番左下の「留め具かな?」って思っていた部分がボタンだった。
押した。
しかし何の反応も無かった。
ちょっと悲しかった。
壊れたのだろうか?
それともこのコロナ禍で、こういう陽気な音楽は自粛しなければならないだろうだろうか?
聞きたかった、へそ音頭。
はい、さらに右。
そこに立つのは「日本の臍中心標」だ。
北緯三六度二九分・東経一三九度〇分という経緯度も書いてある。
まさにここが臍であることを地理的に示している。
さらに右に行こう。
そこには記念スタンプを押せるスタンプ台がある。
えっとー、何かスタンプを押せる紙はあったかな?
バッグの中を探ると僕のバイブル、ツーリングマップルがある。
よし、これに押そう。
スタンプは2種類あったので、両方押した。
ちょっとインクが乾き気味だったのと、スタンプ自体の劣化も少々あったので、少しボケた。だがこれも思い出だ。
どうやらどちらも臍地蔵のイラストのようだね。
ちなみに、さらにその右には「秋葉神社」という神社がある。
小さな社がポツンと置いてあるだけだが。
秋葉神社というのは、防火の神様を祀っている。
日本の臍とはおそらく関係の無いものだが、せっかく隣にあるのでこの場を借りてご紹介させていただいた。
臍地蔵の左側を見てみよう。
まずは小さなお地蔵さんがもう一体いる。
このお地蔵さんについては詳細は不明であった。誰か群馬の詳しい人、教えてほしい。
知らない人は「顔が2つある!手が4本ある!」とビビッてしまうだろうが、本当の顔は上の方だ。
下の顔は前述のへそ祭りのために、お腹にペイントした顔であろう。
手が4本ある理由は知らない。
最後に、写真の左下の赤囲みした部分を見てほしい。
マンホールだ。
日本の臍を表すマンホールだ。
日本列島にクロスするように入った座標時期もカッコいいし、色使いもカッコいい。これは気に入ったぜ。
この狭い敷地に多大なる情報量をごった煮のように集約させ、その頭上にはハンドメイド感の溢れる『日本のまんなか』だ。
いやぁ、楽しい時間を過ごせたなぁ。
大好きすぎるぜ、ここ。
そしてまた時間を置いて再訪したら、どこかしらリニューアルされている気もするぜ。
綺麗に管理され、そして愛を感じるスポット。
これからもずっと、ほのぼのするような空間であってほしいと願う。
(あと、へそ音頭ボタンを直してほしい)
以上、日本6周目を走る旅人YAMAでした。
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