週末大冒険

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ちょっと出かけてみないか。忘れかけていた、ワクワクを探しに。

No.505【福井県】80代のおじいちゃんの純喫茶「珈琲所」!店には大きな夢が詰まっていた!

福井駅の徒歩圏内にある「珈琲所」は、80代の話好きで優しいおじいちゃんが営んでいる純喫茶。

2025年の梅雨入り直前、僕はドライブでそこを訪れて、平和なひとときをすごした。休日に近所の喫茶店でノンビリするのもいいが、せわしない行程の一人旅の中で立ち寄る喫茶店こそが至高だと思っている。ホッとくつろげる貴重なひとときだからだ。

 

 

外界とはちょっと隔離された静かで落ち着いたトーンの照明の店内。純喫茶ならではのオーラ、たまんねぇよな…。

 

 

ランチするなら純喫茶

 

僕はテンション高めで福井市の中心部へとやってきた。なぜならついさっき念願の「福井県立恐竜博物館」を見学できたからだ。

幼稚園児の頃から恐竜好きな僕が恐竜博物館に行っちまったからには、もう気持ちが猛りまくって3日くらい眠れないと思うぜ。そう思うほどに最高のスポットだった。

 

恐竜博物館

…とはいえ、僕ももういい大人なので気持ちを静めなければいけない。なので純喫茶に行くことにした。落ち着いた純喫茶でランチをすることで、ボルテージを下げようと思うのだ。

そんな経緯で検索して行きついたのが福井駅近くの珈琲所であった。

 

福井駅付近へ

お店自体には駐車場はない。県庁所在地の駅付近なのだから、当然のことながらコインパーキングを使用することとなる。ちょうど、お店から10mくらいのところにコインパーキングがあった。

30分で110円だそうだ。なんと良心的な価格だ。東京都心の6分の1とか、それ以下くらいの価格だ。ありがたい。これでゆっくりお店で過ごせるであろう。

 

外観1

これがお店。左奥には僕の愛車が写っている。

テント看板はずいぶんと色あせてしまってしまっているようだが、もとは何色だったのだろう?もしかしたら黄色だったのかもしれない。

テントに書かれている文字も消えかけているが、ギリギリで『●珈琲専門店● 珈琲所』と解読することができる。あと10年後には考古学者じゃないと読み取れないかもしれないけども。

 

外観2

いい店がまえだ。中がよくわからないし入りづらい雰囲気だが、だからこそいいのだ。純喫茶に入るということは、1つの儀式だと思う。

オーセンティックなバーの扉が重厚で店内が窺い知れないのと同様に、この境界線を越えるドキドキ感も演出の1つだ。…それにしても自販機の存在が大きいけど。

 

外観3

しかし気になるのが、ピタッと寄り添うように存在しているインドカレー屋さんのテント看板だ。

立地といいデザインといい系列店のような雰囲気だ。喫茶店も気になるがインドカレーも気になる。胃袋が2つあるなら両方行きたい気持ちだ。

 

外観4

階段部分を見ると、『お2階へどうぞ』・『珈琲所コミュニティ・ルーム』と書かれている。なのでやはりこの2店舗は根っこ部分が繋がっていると理解した。

しかしこの2階部分、見上げると照明もついていなくって暗くって、営業している雰囲気ではない。いきなり突撃してみるよりも、まずは東食目的である1階の喫茶店に入るのがよいと判断した。

 

 

トーストサンドとコーヒーを

 

ドアを開けるとそこは、グッと照明を落とした落ち着く空間の純喫茶。カウンター席のみのお店。優しそうなおじいちゃん店主が「いらっしゃい」と迎えてくれた。1秒でわかる、人当たりのいい優しい人だ。

 

店内はまだ12時台ということもあってか、近所で働くサラリーマン風の人が1人いたけど、ほぼ僕と入れ違いで退店し、そのあとは終始僕1人の空間となった。

 

純喫茶ランチ1

さて、ランチだ。ご飯を食べたいのだ。どんなフードメニューがあるのだろう…。

店外にインドカレーと書いてあったよな。インドカレーのお店と密接な関係がありそうにも関わらず、2階の照明は消えていた。ということは、ワンチャンこのお店でインドカレーを提供している可能性もあるのではなかろうか…?

 

僕はおじいちゃんに「店外にカレーと書かれていましたが、あれは…?」と聞いてみた。

どうやら2階のお店は奥さんが営んでいたそうだが、3・4年程前に奥さんが亡くなり閉店してしまったそうだ。カレーもそれまではこのお店でも出していたそうだが、それもできなくなってしまったらしい。

寂しそうに「すみませんね…」というおじいちゃんに対し、むしろこっちが申し訳ない気持ちになった。

 

純喫茶ランチ2

メニューを見るとサンドイッチがあったのでそれをオーダー。おじいちゃんが「焼きサンドイッチになるけど、いい?」って聞いてくる。全然OKだ。"焼きサンド"っていう言い方、あまり耳にしたことないけど。楽しみ。

 

あとはブレンドコーヒーだな。いろんな専門店だけあっていろんな種類があるけど、まずはブレンドだ。

壁にも『美容と健康のため毎日美味しい珈琲をのみましょう』と書かれているしな。僕もそれを日々実践している。なので美容も健康も維持できているつもりだ。

『当店では女性の方のみ■■■■サービスしております』と、何か塗りつぶしてあるのが時代を反映しているね。今のご時世、性別で対応を変えるのはちょっとアレだもんね…。

 

純喫茶ランチ3

おじいちゃんはカウンターの奥で丁寧に調理をし、まずはサンドイッチが出てきた。いい焼き色だ。芳ばしいトーストの香りが好きだよ、僕は。紙ナプキンをこれでもかってくらいに広げてあるのも、またいいじゃない。

 

純喫茶ランチ4

中身はハムとキュウリだ。

実は壁のメニュー表を見ると焼サンド風トーストというメニューにはハムトースト・玉子トースト・野菜トーストの3種があった。オーダーをするときにおじいちゃんは「3種のうちの何にする?」みたいに聞いてこなかったので、僕はおじいちゃんの作るものに任せていた。

結果として、これはきっとハムトーストなのだろう。シンプルだけども大層うまい。

 

純喫茶ランチ5

そしてコーヒーも出てきた。かなり濃厚で、そして酸味の効いたタイプ。

いいねぇ、普段は深入りで酸味抑えめのコーヒーを好み僕だが、たまに気分転換にこういうのを飲むとスカッとする。

 

モーニングもやっていて、550円でコーヒー・トースト・サラダ・玉子がつくんだって。なんてお得なのだろう。しかも11時までモーニングタイムだというから、かなり対象時間が長いぞ。

 

 

55年間お店を営むおじいちゃん

 

残ったコーヒーをゆっくり飲みながら、おじいちゃんと話した。

1人で福井県を旅しており、さっきまでは恐竜博物館を楽しんだこと、このあとは福井駅の恐竜を見てから海岸線を福井県の北端から西端に向かって走る予定であることを伝えた。

そのあとのことはわからん。滋賀県とか岐阜県とか行くかも。

 

歴史ある店内1

旅をしながら、こういう純喫茶に入るのが好きなことも話した。そういえば今朝も結構年季の入った純喫茶でモーニングを食べたのだ。そこも最高の雰囲気であった。

 

おじいちゃんは、「好きなことを追求するのは素晴らしいことだ。自分もコーヒーが好きで、その道を追求した。で、それを仕事にしたいと思って会社を退職してこのお店を始めた。もう55年ほど前の話で、自分が30代前半だった頃だよ…。」と語った。1970年創業らしい。

 

そうなのか、今は80代のおじいちゃん。50年以上前からこのお店を営んでいたのか…。もう、今とは町の様子もずいぶん違うのだろうけど、このお店は変わらずここにあったのだな…。

 

歴史ある店内2

僕は「店内は、やっぱ創業時から変わったりしているのですか?」と尋ねた。おじいちゃんは「いや、ほぼ当時のままだよ」と答えた。

そうなのか、半世紀以上の歴史が染み付いたお店なのか…!僕はおじいちゃんにお願いし、店内の写真を何枚か撮影させてもらった。おじいちゃんは「古いだけのお店だけども、どうぞどうぞ」と優しく微笑んでくれた。

 

これがいいのよ。傘の付いた照明、金属の一本足のレトロなイス、コーヒーが染み込んだかのように黒光りする壁…。それらが相まって、一朝一夕では醸し出せない雰囲気を演出している。

なんだか天井が一部崩壊しているような気もするけど、気にしない気にしない…。

 

歴史ある店内3

僕は好きなことを仕事にはできないタイプの人間だ。

仕事にするからには儲けを考えたい。そうなると心から楽しめなくなるかもしれない。…であるなら、好きなことはあくまで趣味としたい。100%の力でエンジョイしたい。というわけで、僕の最大の趣味であるドライブは、今後も趣味としておきたいのだ。

 

それであれば、僕だって55年間ドライブを趣味とできる自信がある。

まぁ免許取得からの55年後の未来、運転できるだけの判断力があるのか、免許返納した方がいいのか…って問題はあるけども、精神はずっとドライブ好きのままさ、きっと。

 

歴史ある店内4

若かりし頃からのおじいちゃんの夢が詰まった喫茶店。55年もの夢が今も続く喫茶店。そんなお店にフラリと入れたことは、この上ない幸せだ。これからも無理なく末永く営業してほしいものだな…。

おじいちゃんにお礼を言い、退店する。おじいちゃんは優しく「気をつけて旅を楽しんでね」と送り出してくれた。

 

ごちそうさまでした

もう一度お店を振り返る。

ご夫婦で肩を並べて長年営んできた2つの店舗。おじいちゃんの話を聞いた後では、また違った気持ちで眺めることができた。

 

以上、日本7周目を走る旅人YAMAでした。

 

 

住所・スポット情報

 

  • 名称: 珈琲所
  • 住所: 福井県福井市順化1-12-7
  • 料金: ブレンドコーヒー¥400他
  • 駐車場: なし。付近のコインパーキングを使用のこと。
  • 時間: 7:00~17:00(日曜定休)