週末大冒険

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ちょっと出かけてみないか。忘れかけていた、ワクワクを探しに。

No.499【北海道】レトロフューチャーな「夜明けの塔」!!名前は中二っぽいけど絶景だ!

上ノ国町には「中世の丘」というのがあり、その丘の上には「夜明けの塔」が建っている。

まぁ中二病を引きずり続けている僕なら、ロールプレイングゲームに出てきそうなこのネーミングだけでキュン死するね。めくるめく冒険が始まりそうじゃないか。ロマン感じるいい風が吹いていそうじゃないか。

 

 

そんで名前だけじゃない。ロールプレイングゲームに登場しておかしくないようなロケーションがそこに広がっているんだぜ。

僕は3回ここを訪問しているが、誰にも出会ったことがないほどのマイナースポット。むしろモンスターとか登場しそうな勢いだな。

 

これでは今回は、中世の丘とそこに聳えるダンジョン、夜明けの塔について執筆したい。

 

 

絶景の待つ中世の丘へ登れ

 

このエリアの海沿いの国道は228号だ。北海道を一周走るライダーさんや車乗りの人は、きっとお馴染みの道であろう。

 

丘の上に建つ塔1

あ、いきなり雨の日の写真で恐縮だが、遠望したときの写真がこれしかないので許してくれ。

前方に見えている大地が大体全部中世の丘であり、ちょうどド真ん中にチョビっと夜明けの塔が見えているのがわかるかな?え、わかんないの?じゃあズームすっか。

 

丘の上に建つ塔2

ほら見えた。円錐の塔の途中の部分をズバッと手刀で切り落としてしまったようなデザインだ。まだあなたは「この塔の何がステキなの?」って顔をしているだろうが、それは近付いてからいっぱい話すから待っててくれ。

 

中世の丘を登る1

南から来ると上ノ国町の中心地に入る少し手前に「洲根子岬」っていうのがあるんだけどさ。その付近から「夷王山キャンプ場」方面に、内陸に入る道がある。そこを入ると中世の丘に向かってバリバリ登っていくルートとなるのだ。

 

中世の丘を登る2

青空に向かって突き進む急な登坂。車内でハンドルを握っていると、この写真以上に視界の大半を青空が占めているように感じられる。まるでジェットコースターの巻き上げフェーズのように。たまらなくワクワクっするよな。

 

では、時系列を無視して丘を下るときの眺めもご紹介しよう。

 

中世の丘を下る1

この海を見下ろす絶景ロードよ。窓から吹き込む風が気持ち良すぎるんだぜ。

繰り返し言っちゃうけど、こんななのに全然車もバイクも1台もいないんだぜ。ここを知るわずかな人たちだけのナイショのスポットにしておくルールなんて無いからブログに書いちゃうけど、本当に静かで異世界

 

中世の丘を下る2

僕はキャンプ派ではなく、北海道では車中泊か旅人宿なんだけど、夷王山キャンプ場で1泊したならば、素晴らしい夕日や夜空を眺められるのだろうねぇ…。

 

 

夜明けの塔と回るプロペラ

 

中世の丘の草原を走っていると、いよいよ夜明けの塔が姿を現すんだ。

このあたりはまとめて「中世史跡公園」と呼ぶらしい。さっきから中世中世と連呼しているが、どの辺が中世なのかは後で説明する。

 

夜明けの塔、出現1

夜明けの塔。雨が降りそうな天気であっても、モノクロームなその雰囲気が旅情をそそる。

隣の風力発電プロペラも雰囲気づくりにいい仕事をしてくれている。丘の上には数基の風力発電プロペラがあるのだが、そのうちの1基がこの位置に存在してくれているのが嬉しい。

 

夜明けの塔、出現2

晴れているとこうなる。あぁー、さすがに晴天だと別次元の美しさ。ここをロケ地としてファンタジー系の映画を撮れそうなくらいだ。

車で塔の直下まで行けるのでまだまだゴールは先なのだが、僕はいつもここでいったん車を停めてこの画角の撮影するのだよ。

 

夜明けの塔、出現3

これが、夜明けの塔へと向かう最後の直線道路だ。

擦れ違いは100%不可能だし未舗装だし、ついでに轍以外の部分には草が生えつつあるけども、問題ない。この先は塔の直下で行き止まりなので、対向車が来ることはほぼゼロだ。万が一対向車がくる場合は、この平原だから直線道路に入る前に目視できるし。

あなたはこれを見て「そうは言ってもこの道を運転するのはドキドキしちゃうな」って思われるかもしれない。しかし安心してほしい。

 

夜明けの塔、出現4

なぜならば、時代の流れと共に少しずつ道が整備されてきているのだ。

ほら、なんか道の真ん中と左右の雑草が減ったし、少しだけ砂利の粒が細かくなったでしょ?これだけでどれだけ難易度が下がったのかはナゾだけど。

 

夜明けの塔、出現5

で、これが昨シーズンである2024年。だいぶきれいになったね。これはもうアスファルトと呼んでいい状態だよね?

 

駐車スペース1

ここいらが駐車スペースだ。明確に駐車枠は存在しないけど。これは日本5周目なんだけど、しっかしきったねぇ愛車だなぁ…。

実は北海道上陸直後に巨大な台風激突してさ、そんな中を未舗装路ブンブン走っていたりしたら泥水が放物線を描くように車体に思い出としてこびりついた。

駐車スペース2

でさ、駐車スペースについてはサイドの車道とは反比例して懸念がUPしているのよ。

これ日本6周目を見てほしいんだけど、前回は砂利の見えていた駐車スペースが大体草で覆われた。非力な車でやってきたのでスタックするのが怖くって、あまり深みに入らないように車道のすぐ脇に駐車したんだよ。

 

駐車スペース3

2024年の日本7周目はさらにヤベェ!もう駐車スペースだった頃の名残がほとんどねぇ!ここは四駆じゃないと入り込めない!車道に片輪が残るくらいにギリギリに駐車した。

 

これ、なんとかならんのか?車道整備は嬉しいけど、駐車場は劣化しているぜ。もう少しこっちに目を向けてほしかった。奥の方には綺麗な花畑も広がっているが、まずこっちじゃないかな。

 

 

丘と塔のデザインが秀逸だ

 

そんなワケで、ようやく塔の足元まで到着した次第だ。

 

塔に登れ1

ここから眺める塔のデザインが最高に好きだよ。

高さは約24m。冒頭では「円錐に見える」みたいなことを書いたが、正確には二重八角錘っていう珍しい形状なのだ。鉄骨とメッシュの鉄板を組み合わせた無機質なデザインが中二心をくすぐるじゃないか。

 

塔に登れ2

2024年訪問時には、階段の上側半分がリニューアルされて真新しい木の階段になっていた。朽ちていたっけか、あの部分…?

新しくて安全でいいことなんだけど、下半分とのデザインのギャップがおかしくなったことは否めないかな…。

 

塔に登れ3

これは日本5周目のときの写真。ファンタジックでSFチックな塔を見上げ、僕は大いに興奮したよ。

 

さて、ここいらで夜明けの塔のネーミングの由来について話していこう。

前提として、この塔とその周辺は中世の山城の構成をモチーフに現代的にアレンジしているとのことだ。どういうことか僕にはピンと来ないんだが、塔をお城に見立て、そして土塁や柵が塔を中心に設置しているそうなのだ。

 

塔に登れ4

劣化してかなり剥げてしまっているようだが、これは塔の足元の説明版を撮影したものだ。

わかりづらいかもしれないが、塔を取り囲むように円形の土塁がある。そこには3箇所の切れ目がある。それらが何を指しているのかと言うと、それぞれ塔から見た「夏至」・「春分秋分」・「冬至」の日に太陽が昇る方角を示したものなのだ。

 

正直土塁やその切れ目は、もう草に飲み込まれてよくわかんなくなりつつあるんだけど、それはこのあと塔から見下ろす景色の中でちょっと触れるね。

 

塔に登れ5

そんでね、土塁の切れ目の少し手前には、上の写真の右端のような木の塀があったんだ。あの塀の間の隙間から太陽が昇るのよ。これが「夏至」・「春分秋分」・「冬至」の3箇所にあったのよ。

 

だが、たぶん2020年くらいにはこれらは撤去されている。きっと木製なので朽ちてきたし、お金をかけて補修するほどの魅力もなかったのだろう。みんなここには夏至冬至の日の出を見に来るのではなく、普通に眺めがいいから来るのだろう。

わざわざ説明版を読んで「へぇー、あそこから冬至の日には太陽が昇るんだね」とは、ならないのであろう。僕はなるけど。

 

塔に登れ6

つまりはこの夜明けの塔は、「夜明けを眺めるため」ってのを意識して作られ、ネーミングされたものなのだな。僕はここで夜明けは見たことは無いしそこまでが興味もないが、この塔を語る上ではこの名前の由来くらいは知っておいた方がいいと思ってせつめいした。

 

あ、毎度同じような構図で恐縮だが、これは2024年の日本7周目だ。

 

塔に登れ7

ロケットやミサイルを格納している軍事施設にも思えるような塔の入口から、内部へと入っていく。

ちなみに僕、このリングが横並びにぶら下がった柵も好きだ。日本全国旅しているが、これ系の柵は他で見た記憶があんまりない。

塔に登れ8

ところで、この塔からの下界の眺めも素晴らしいのだが、あえて内部から上を眺めてほしい。この塔構造を堪能するのが僕はすごく好きなので。八角錘、すごくいい…!

そしてこの塔において晴天よりも曇天が勝るポイントの1つが、この構造を見上げる図だと思う。空が白い日の方がマジかっこいい。無駄なものが一切なく、スタイリッシュすぎる。

 

塔に登れ9

これは晴天の日のもの。スカッと爽やかではあるが、曇りの方がやっぱ好き。

 

 

景色を眺めて中世を考える

 

塔の中腹あたりにあると思われる、展望階までやってきた。

 

塔からの眺め1

まずはやってきた方向を振り返る。直下には愛車が停まっているのが見える。

それと、塔を取り囲むような土塁の存在がよくわかる。さっき記述した「夏至」・「春分秋分」・「冬至」に合わせて切れている部分はよくわからないけど。道路に合わせて切れているのは用途が違うし。

 

あっちに見えているのは南側の海だね。

 

塔からの眺め2

そしてこれが北側の海。塔からの眺めはこっちがメイン。

右端には上ノ国町の市街地が見えるし、弧を描く海岸線の向こうには江差町の市街地も見える。さらにそこから海に大きく突き出たカモメのかたちの「かもめ島」も見えているんだけど、わかるかな?スマホから見ている人は拡大してくれ。

 

塔からの眺め3

この夜明けの塔は、ここ上ノ国町の開基800年を記念して建てられたシンボルタワーなのだそうだ。

そこまではWeb検索するとどのページにも画一的な説明文として記載してあったのですぐわかった。しかし"開基800年"の意味がよくわからず、かつてここに初回訪問した際の僕は、さらに上ノ国町の年表を調べてみた。

 

塔からの眺め4

"開基"ってそもそもそんなに使用しない言葉ではあるが、『物事のもとを開くこと。基礎を築くこと。』だそうだ。

どうやら上ノ国町では昭和時代終盤の1988年に、開基800年祭りだとか記念事業だとかいろいろやったようだ。その1つがこの塔の建設だったらしい。

 

塔からの眺め5

つまりは上ノ国町は1988年の800年前、1188年からの歴史があるのだな。うおぉ、上ノ国町すっげー歴史古いのな!

 

さらに調べると、ことの発端は1189年だった。この年、「源頼朝」が奥州藤原氏を弟の「源義経」共々ブッ潰しちゃったじゃないですか。平家を滅ぼした戦の天才の義経であったが、政治はヘタクソだから兄の頼朝の怒りを買って京都を追い出され、幼少期を過ごした奥州藤原氏のところまで逃げたけど、結局やられちゃったじゃないですか。

 

※まぁ今はいろいろ歴史が明らかになって鎌倉幕府の作られた年とかも変わってきているけど、その前の常識の目線から離させてくれ。

 

そのときの戦の影響で、奥州の人がビックリしてここまで逃げて来て生活を始めたのが、上ノ国町の始まりなのだという。

 

この町の夜明けも知ることができた

おぉ、そうなのか。例の兄弟喧嘩が発端なのか。僕は小学生のことから源平時代の騒乱は詳しく知っていたが、上ノ国町の歴史までは知らなかった。これは目から鱗だ。

じゃあこの塔は、この町の歴史の夜明けも意味しているのではなかろうか。そんなところに立ててうれしいぜ。

 

夜明けのゲートは朽ち行く…

塔から見下ろすこの丘には、うっすらと円形の土塁が構成されているのがわかる。

さらい赤く丸で囲った分。よく見ると木製の柵がある。もう夏至なんだか春分なんだかよくわからないけど、3つのうちの2つは撤去されずに残ったものが朽ちてで残存しているのだ。誰にも気づかれずに緑と同化しつつある。

 

だが、この塔が上ノ国町の夜明けのシンボルであることには変わりがない。それを知ることができたし、何よりここは絶景だ。

 

風以外は全てが止まった世界…

以上、日本7周目を走る旅人YAMAでした。

 

 

住所・スポット情報

 

  • 名称: 北海道夜明けの塔
  • 住所: 北海道檜山郡上ノ国町勝山
  • 料金: 無料
  • 駐車場: かろうじてあり
  • 時間: 特になし