週末大冒険

週末大冒険

ちょっと出かけてみないか。忘れかけていた、ワクワクを探しに。

No.256【神奈川県】知る人ぞ知る絶景の梅林!「田浦梅の里」は路地の奥、さらに登山だ!

社会人になったばかりの頃だっただろうか。

ある人がこう言った。

「桜より梅が好き。桜はハデに咲きすぎで少し怖い。梅くらいがちょうどいい。」

 

…ハァ?何言ってるんだ。

咲けば咲くほどいいであろうが。

"花見"という言葉が一般的には桜を指すように、桜が梅に勝っているに決まっているだろうが。

 

こやつとは一生分かち合えない。

そう思った。

 

 

確かに桜は最高であり、その想いは今も変わらない。

しかし梅もまた良いのである。2023年現在はそう思っている。

 

だから語ろう。

外部からの観光客はほとんどいないけど、すごくいい梅林が神奈川県にあるという話を。

 

 

路地を抜けて山道へ…

 

2023年2月1日、青森県

「市内では降り続ける雪の影響… 除雪が追い付かず… 苦情が… 件… ザザ…」

TVがバグった。大雪のせいだ、チクショウ。

 

舌打ちをしてTVを叩いてみたが、なんの効果も無かった。

どうやら今年の青森市の雪は例年よりもすさまじく、町中が混乱しかけているようだ。

僕もTVを見れずに混乱している。

 

そのときの青森

しょうがないのでスマホをいじりだした。

ふと目に入ったのは、神奈川県の「田浦梅の里」。「田浦梅林」とも呼ばれるスポットだ。

 

2月1日の記事で、梅がほんの少しずつ咲き始め、うち1本は早くも満開だという。

マジか。南関東は早くも春の兆しか。

青森は見渡す限り銀世界で、動植物が活動している気配はゼロだというのに。

 

そういえば、1年前の2022年の2月にこの田浦梅林に行ったな…。

僕は回顧する。

およそ1年前のあの日のことを…。

 

-*-*-*-*-*-*-*-*

 

田浦梅林は、住宅地のアホみたいに狭い道の奥の奥の奥にある。

 

住宅地の奥で1

国道16号から山に向かってヒョロヒョロと狭い道が伸び、その道は最後は行き止まりになる。

その道の狭さは、小型な僕の愛車の日産パオでさえ緊張を要するほどだ。

 

このヒョロヒョロ道の両側にビッシリと住宅が立ち並び、途中に1箇所だけコインパーキングがある。

 

 

しかし10台ほどしか駐車できず、梅の時期は当然すぐに満車になる。

しかも梅の時期は狭路から続々と車が現れ、逃げようにも一方通行の道が多かったり、無理矢理横の道に反れたらUターンもできずに行き止まりまで地獄の逃避行が続いたりと、散々だ。

 

近隣には他に駐車場は無い。絶望的なレベルで無い。

国道16号まで戻り、さらに脇道も含め「どこかに駐車場は無いものか…」とキョロキョロしながら走るうちに、梅林から2㎞ほど離れた田浦駅近辺まで来てしまった。

 

住宅地の奥で2

実はここに至るまでもパーキングは1つ2つあったが、全部満車なのだ。

みんな考えることは同じであった。

 

くっそー、歩くか―。

僕は車通りの多い国道16号を淡々と歩き、大きなトンネルを越え、梅林へと続く先ほどのヒョロヒョロ道の住宅地に入る。

ここまでで15分ほど歩いた。

 

ちょうどさっき満車だったヒョロヒョロ道の駐車場から1台の車が出て行くところで、チクショウ!って思った。

悔しいけども、もう遥か彼方に車を停めてしまったのでどうしようもない。

さっきの時点でここに車を停められていたら、25分くらいは時間を有効に使えたのだが、もうどうしようもない。

 

住宅地の奥で3

実は駐車場から、このヒョロヒョロ住宅地のさらに奥の登山道入り口まで、1枚も写真を撮っていなかった。うかつであった。

しかし写真を撮ることすら考えられないほどに、駐車場を確保できなかったことがショックだったのであろう。

 

せっかくなので、この住宅地の奥に忽然と現れる「梅林食堂」の写真を掲載しておく。

ここを訪問したのは別の機会のオフシーズンなのだが、なかなかに昭和レトロないい食堂だったぞ。

 

 

こんな道を歩く。

不安にしかならないビジュアルだが、周囲にポツポツと同じく梅林を目指す人がいるので勇気をいただける。

 

あと、こんな道でも対向からいきなり車が「ブーン」と来たりするので「死」って思う。

 

住宅地の奥で4

愛車を停めた駐車場から20分ほど歩いたところで、いよいよ住宅地が終わる。

じゃあついに梅林なのかというと全然そうではなくって、これから山の中の階段を登る、登山フェーズがスタートする。

この後ご紹介する展望台まで行くには、ゆっくり歩いてあと20分ほどだろうか?

 

上の写真ではかなり綺麗な遊歩道に見えるが、実際はもうちょっとハードな見た目な部分が大半だ。

 

住宅地の奥で5

時系列はジャンプするが、上の写真は最後に山を下ってきたところを撮影した。

こんな道が山間部に続く。

 

これを登山と言っては「おおげさだ」とも言われかねないが、万年運動不足の僕にとっては紛れもなく登山であり、冒険であった。

なんだったらさ、山の登り降りでカロリーを消費し、心なしかホッソリしたように感じたもん。

 

あと、上記2枚の写真、それなりに時間が経過したのに同じカップルが写っているな。

記事執筆時に気付いてなんだか感動した。

 

 

丘の梅園を歩く

 

まずは、田浦梅林の全容をMAPでお見せしよう。

 

梅香る丘1

住宅地から丘を登り始めるのは、MAPの一番右下部分だ。

クネクネと設置された階段を登ると、そこは迷路のような梅林。

 

梅林をずーっと左側に歩いていくと、中央広場・アスレチック広場・展望塔などがある。

右下部分から展望塔までが、ゆっくりと20分だ。

 

梅香る丘2

少し階段を登ると、眼下にさっきまで歩いていたコミカルな住宅地が広がっていた。

 

写真の手前側の日影部分、実は京浜急行という鉄道が走っているのだけれども、ワンサカ枯れ木があってうまく写真に撮れなかった。

肉眼だと多少電車が見えて「いい光景だね」って思えたんだけどな。

 

梅香る丘3

7・8分ほど視界の効かない木立の中を、心臓破りの階段を登り、丘の中腹で一気に視界が開ける。

ここからが梅林だ。

さっそく1本の梅の木が可憐な花を咲かせており、丘を登ってきた人は順番にその花を撮影していた。

 

…なぜみんな1本の木に群がっているのかと言うと。

そりゃ丘の上の日向に出た最初に出会う木だからついつい写真を撮ってしまうというのも要因の1つだが…。

理由はもう1つある。

 

梅香る丘4

梅、あんまし咲いてねぇ…。

 

これが2つ目の要因。

咲き誇っていて、しかも間近にある1本だけの梅の木にみんな密集するのだよ、そりゃ。

 

梅香る丘5

ま、歩いてみようぜ。

梅林は広い。歩いていればいっぱい咲いているエリアに出会うかもしれない。

枯れ木の間をズンズン歩くのだ。

 

ちなみにご覧のように丘の上は綺麗に整備されていてとても快適だ。

枯れ木ばかりで絵的にはちょっと寂しいけどな。

 

梅香る丘6

この写真を見た2023年の僕は、「1年前の僕はなぜこんな写真を撮ったのだろう?」と首をかしげた。

どう見ても写真中央の枯れ木を意識した構図だが、なぜこんな枯れ木を…。

 

よくよく見て気付いた。

これは枯れ木ではなかったのだ。

 

梅香る丘7

わずかだが花が咲き、春を告げていた。

裏を返せば、こんなわずかな花を見つけた喜びでシャッターを切ったのだ。

 

おやおやおや、もう2月も下旬の南関東だというのに、梅の開花が遅すぎやしないだろうか…。今年だけ遅いのか?

 

梅香る丘8

人の背丈ほどの、まだ若そうな梅の木。

遠目で見るとまだ見栄えのするような樹齢ではないが、そこそこ花を咲かせている。

そんな木に、僕はキャッキャと近付いて写真を撮っていた。

 

梅香る丘9

ほら、フォーカスすればファインダーの中は春!

まぎれもない春!!

嬉しいねぇ、おい!!

 

梅香る丘10

ちょっと顔を近づければ、ほのかに梅の香りが鼻孔をくすぐる。

 

長く厳しかった冬は間もなく終わるのだ。

そして草花が芽を出す春が始まる。

 

そのワクワク感を探しにここに来たのだ。

探さないと見つからないほどの、まだほのかな春。

それが梅。

最高じゃないか。

 

 

上皇様の生誕記念の梅林

 

さらに梅林を展望塔方面に登って行く。

チラホラと梅の花が多くみられるようになってきたと感じた。

 

梅の咲く丘1

あ、向こうに紅梅がある。

ビビッドな色でインパクトがあるので、みんな足を止めて見入っていた。

 

梅の咲く丘2

ちょっと僕には強すぎる色合いかな?

かわいいけどな。

 

…さて、ここいらでこの梅林の成り立ちについて語りたい。

この田浦梅林は、1934年にできたのだそうだ。それは、上皇様の生まれた次の年。

 

梅の咲く丘3

実は、上皇様が誕生したのを記念して、地元の人たちが有志で700本の梅の木を植えた。

それがこの梅林の誕生のきっかけだったのである。なるほど、めでたい。

 

その後、1982年に隣接の緑地にもモリモリと梅を植えたりして、今では2700本ほどの梅の木があるのだそうだ。

 

梅の咲く丘4

結果として2023年現在、神奈川県三浦半島にある唯一の梅林だという。

 

そして「かながわ花の名所100選」の1つでもある。

ほぉ、神奈川県には花の名所が100個もあるのか。小さい県なのに、なかなかだな。

 

梅の咲く丘5

あとね、ちゃんとピックアップした写真は撮らなかったのだが、スイセンも名物なのである。

1月から3月はスイセンの花も咲く。

 

上の写真でも、遊歩道のすぐ脇の足元にモシャモシャと生えているのがおわかりいただけるであろう。

しっかり見るとちゃんと白い花を咲かせているのだが、僕は梅の花ばかりを見てしまっていたよ…。

 

梅の咲く丘6

ただ、菜の花の写真なら撮った。

一角に鮮やかに咲いていて、目を奪われたよね。これも春の風物詩。好き。

 

展望塔まで200mくらいの距離に迫った。

梅、かなり咲いてきたぜ。

 

梅の咲く丘7

例年であればこのあたりで梅祭りが行われると聞いている。

しかしコロナ禍になってからはやっていない様子だな。

 

梅の咲く丘8

もともと神奈川県のかなり秘境にあり、駐車場もなければ売店もほとんどないようなロケーション。

この時期に祭りがないと、さらにプライベート感が増すよね。

近所の人くらいしか来ていないんじゃないかな、ここ…。

 

 

展望塔とアスレチック広場

 

梅林深部のアスレチック広場と展望塔がある場所までやって来た。

長い道のりだったぜ。

 

展望塔と広場1

「田浦梅の里」というどでデカい文字が掲示してある。

ハリウッドの山肌に「HOLLY WOOD」って白くてデカい文字が掲示してあるのと一緒だ。

ここは日本版のハリウッドなのかもしれない。違う。

 

展望塔と広場2

気持ちのいい広場が広がり、梅の木の下で花見の宴会をしている人がいる。

いいねぇ、この絵に描いたような宴会。平和の象徴って感じだ。

コロナがちょっとしぶとくて平和とは言い難い世の中だけど、だからこそこういう光景にほっこりする。

 

展望塔と広場3

この長い散歩の1つのゴールとしていた展望塔がある。

登ってみよう。

 

展望塔と広場4

すげーいい…!

梅の咲く丘が広がり、その向こうは横須賀や横浜の海だ。

横須賀も横浜も、海と共に生きる町。それを感じるロケーションだ。かっこいい。

 

展望塔と広場5

左に映っている白いピラミッドのようなものは「八景島シーパラダイス」という水族館&遊園地だ。

あのピラミッドの中は水族館なのだと聞いている。入ったことないのでわからんが。

 

中央奥には「鶴見つばさ橋」の主塔が見えているな。

橋好きなので目ざとく見つける。

 

なんか写真の手前に「俺が主役だろうが…!」って勢いでまだツボミの梅の枝が盛大に写ってしまい、そしてそっちにピントが当たってしまって申し訳ない。

 

展望塔と広場6

さらに遠く、よこはまみなとみらいのひときわ高い「ランドマークタワー」と半月状の「ヨコハマ グランド インターコンチネンタル ホテル」が見える。

梅の枝、ジャマ。

 

展望塔と広場7

しかし遠い横浜よりも間近の横須賀の海。

このバリバリの工場と行き交う船が「横須賀!」って感じだ。

吸い込まれるような青に、しばし見とれた。

 

展望塔と広場8

再び芝生の広場に戻ると、傾斜地を少し下に下がっていく。

そこにはアスレチック広場がある。

子供達がアスレチックに興じていた。

 

子供はこういうの大好きだもんな。僕も好きだったぜ。

 

展望塔と広場8

僕はここ、遠い昔に来たことがあるのだ。

弟や妹と、ここで遊んだのだ。

あまり記憶には無いが、思い出の地なのである。

 

あの頃木製だったアスレチックは、綺麗な鉄製に変わっている。

あのころ遊んだ遊具はとっくに老朽化して引退してしまったのだろう。

 

展望塔と広場9

縦一列に7つほど並んだ遊具。

…こんなに小規模だったっけ…?僕は思った。

 

小さい頃の記憶では、10数種類のアスレチックがあった。

ダイナミックでデンジャラスで、こんな巨大なアスレチックを見たことがなかった僕は目を輝かせた。

 

1つ1つの遊具にはナンバリングがされていたと記憶している。

「No.3」は"クモの巣トンネル"という超巨大なネット上のトンネルだったような気がする。

他にもすり鉢型の巨大な遊具もあった気がする。

 

展望塔と広場10

「規模がかなり縮小されてしまったのだろうか…?」と考えた。

しかしアスレチックがそれ以上広がっていたであろう空間が無いのだ。

 

もしかしたら規模は同じなのかもしれない。

当時子供だった僕の目から見たら、このアスレチック群がとても大きなものに見えたのかもしれない。

 

今も目の前で子供たちがアスレチックで楽しそうに遊んでいる。

それを見て安心するとともに、当時の感覚を失ってしまった自分に少し悲しくなった。

 

 

こうして迎える春が尊い

 

その後も梅園をグルグルと歩き回り、結果としていい感じの梅の写真をたくさん撮影することができ、満足して梅園を後にした。

 

目的は果たした1

最初、「全然開花していない…!」と絶望したのがウソのようだ。

ちゃんと春、見つけられた。

 

目的は果たした2

ところで、2023年を生きるあなたに朗報である。

2023年は、2/10~3/5で梅祭りが開催されるのだ。

なんと嬉しい知らせ!

 

目的は果たした3

新型コロナの5類移行が発表され、世の中はこれで転換期を迎えるのであろう。

 

各種イベント等も開催されるとのことで、昨年そういうにぎやかな光景を見られなくってちょっと残念だ。

今年行く人はぜひ昨年の僕の分まで楽しんでほしい。

 

目的は果たした4

きっと新しい時代、新しい季節は、輝かしいものになるだろう。

 

*-*-*-*-*-*-

 

2月4日は立春であった。

寒さの底を抜け、暦の上では春がやってきたのだ。

もちろんまだまだ寒い日は続くが、これからは徐々に気温も上向きだ。

気持も上向きになれるよう意識したい。

 

春は間近

かつて、ある人がこう言った。

「桜より梅が好き。桜はハデに咲きすぎで少し怖い。梅くらいがちょうどいい。」

 

ハァ?何言ってるんだ。

こやつとは一生分かち合えない。

そう思った。

 

…が、気づけばいつも隣にいて、2022年も一緒にここに梅を見に行った。

 

今年の梅も見れるといいね

だから人生は面白いよね。

価値観も興味も、徐々に変わって行ったりするのだ。

人と関わることで刺激を受け、見聞を広げることで新たな世界が見えてきたりもする。

 

待ちわびた季節

もうすぐ暖かな風が吹く。

その春風は、どんな新しい未来を運んできてくれるのだろうか?

 

以上、日本6周目を走る旅人YAMAでした。

 

 

住所・スポット情報

 

  • 名称: 田浦梅の里(田浦梅林)
  • 住所: 神奈川県横須賀市田浦大作町
  • 料金: 無料
  • 駐車場: なし
  • 時間: 特になし