のどかな津山市に、レトロ自販機を有するお弁当屋さんがある。お店の名は「おかもと」という。
お弁当も気になるが、レトロな麺類自販機から出てくるアッツアツのうどんも気になる。そう思って複数回訪問した思い出を執筆しようと思う。

何はともあれ、ここは肉うどんの肉がうまいのだよ。
では、ごたくはここまでにして本編いっちゃおうか。
日本4周目:夕暮れの小雨の中で食べたアツアツうどん
18:00を回った。いくら日の長い5月中旬とはいえ、雨が降っているとなるとこの時間はもう薄暗い。
僕は岡山県北部の山間部でとある廃校を探していたのだが、状況が悪すぎるのでいったん諦めることにした。来月にでも、必ずや探し求めてやると心に決めたが、ちょっと疲れたな…。

そんな中でやってきたのが、この津山市にあるお弁当屋さんだ。この時間なので既にお弁当屋さんは閉店しているが、軒先にレトロ麺類自販機があるのがわかるかい?僕のお目当てはアレなのだよ。
ただ、お弁当屋さんもかわいい感じだな。屋根に書かれている"おかもと"という丸ゴシックがまずいい。
それから、同じく屋根の『一日一善・一日一弁当・弁当・お寿司・お料理・今日も一日笑顔で。』もいい。"今日も一日笑顔で"の部分で、目的を空振りしたし雨で気が滅入っていた僕に少し笑顔が戻った。"お弁当"が2回登場しているところでさらに笑顔になった。大事なことは2回言うよね。

あぁ、夕暮れに灯る、富士電機製のレトロ麺類自販機のパネルの柔らかい色よ。ランプではなかなかこういう温かい光は出せないかもね。まるで行燈のようだ。本物の行燈、たぶん見たことないけど。
さて、メニューは何があるかな?売り切れていないかな…??

ん、何だこのボタン。ちょっと待て。
- 右 … 「天ぷらうどん ¥250 押す」
- 左 … 「天ぷら 肉 うどん ¥250 おいしい」
なんだなんだ。なんだこれ。主に左、なんだこれ?
デフォルトでは"天ぷらうどん"と印字してあるボタンの余白に、無理矢理手書きで"肉"と追記してある。
それはまだいい。しかし、"押す"の文字があった部分に"おいしい"と上書きしてあるのは、もう本来のメッセージがズレているよ。笑える。
それだけ肉うどんを推しているってことだよね?では、肉うどんにしよう。
もともと肉うどんってさ、レトロ自販機では西日本でしか存在しないメニューだから、あったらこれを選択するようにしているのだ。
ちなみに肉うどんはこれが最後の一杯で、売り切れランプがついちゃった。

自販機の周辺には座って食べるようなスペースがない。どうやら屋内にイートインスペースもあるそうだが、お弁当屋さんの営業時間内だけの開放のようだ。だから車内で食べる。
で、肉うどんうめぇー!肉が特にうまい。コクがハンパないのだ。さすが牛肉のポテンシャルよ。麺も太めでモチモチしていておいしい。心身ともにくたびれていたが、蘇ってきた。
もう1杯くらい食べれそうだな…。では次は天ぷらうどんにしようか。

天ぷらうどんだ。小エビをふんだんに使った天ぷらが乗っているうどんで、贅沢な気持ちになれる一品。
あ、肉うどんとはダシが違うんだね。関東風の濃い醤油味だと感じた。これもおいしい。味が違うので飽きずに食べることができた。
満腹。満足。こうして小雨の中、僕は再び走り出す。
日本6周目:偶然通りかかった思い出の店の前で
あ、この章は閑話休題的な位置づけだからご留意ください。
あれからしばらく年月の流れた日本6周目、僕は岡山県の山間部を走っていたのだ。別におかもとに寄る予定はない。他に行きたい場所が中国地方の山間部にいくつかあり、それらを繋げたときのルートを走っていただけだ。

おかもとを発見したのだ。
通りかかって「おかもと…?なんか聞いたことある…!?あっ、レトロ自販機の!!」って思って、速攻で車を停めた。
あぁ、懐かしいなぁ。あのときは真っ赤だった屋根のテントは新しいオレンジ色になったのだね。これもまたチャーミング。
その屋根には以前の『一日一善・一日一弁当・弁当・お寿司・お料理・今日も一日笑顔で。』は無くなってしまった。
そのかわり、『毎日食べても飽きない、昔ながらの手作り弁当・そうざい・当店自慢のおふくろの味。地元の旬の食材を使った健康メニューを毎日ご提供いたします。(店内でもお召し上がりいただけます)』って書いてある。
1つ1つのフレーズが胸をくすぐるじゃないの。だから文言が長いんだけど、つい全部引用しちまったぜ。

今回はお弁当屋さん、営業している。朝の9時ちょっと前なので、いい時間だもんな。
初めてシャッターが開いている光景をみたが、背伸びしない内装でありいろんなお弁当が置かれていそうな気配だった。

少し気にはなったのだが、このあと朝食を食べたいお店が決まっている。ランチを食べたいお店の候補もある。だからいたずらに店内には入らない方がいいだろうと思った。
また次回ね。そのときにはお弁当を買ってみたいなぁ。

さて、せっかく邂逅したのだからレトロ自販機をチェックしないわけにはいかないだろう。まずはご健在であることに一安心だ。
ただ、右下のパネル部分のサビが進んでいるし、なんかパーツ一部取れたような跡があるのが気にはなったけど。屋外で24時間稼働だから、そりゃいろいろあるよね…。

改めてレトロ自販機と正面から向き合う。
前述の通り今回はここでは食べないが、やっぱメニューと値段も確認しておきたいよね。さーて、「天ぷら 肉 うどん ¥250 おいしい」はどうなっているであろうか…?

リニューアルされちゃってた!!
綺麗にテプラで貼り直され、普通に天ぷらうどんと肉うどんになってたよ。「おいしい」はどこ行っちゃったんだよ。あと、肉うどんと天ぷらうどんのボタンの位置を左右反転させたのはなぜ?
いろいろ想定外の変更があってビックリし、うどんが250円から300円に値上がりしたことを認識するのが遅れた。まぁそれでもこの値段はビックリするほどに安いよね。
では、またいずれ!
日本7周目:建物の裏で噛みしめた肉のうまいことよ
今年、2025年のことである。
ついに戻って来たぞー、おかもとーー!!最高の天気の日に戻って来たぞー!!

ブッホッ!!営業してない!!
調べたところ定休日ではないみたい。でも営業時間は14時までであり、今はその20分前だ。天気もいいしお弁当が飛ぶように売れ、早々に閉店してしまったのだろう。

今回初めて裏手(?)的な駐車場に停めたのだが、初回に見た『一日一善・一日一弁当・弁当・お寿司・お料理・今日も一日笑顔で。』がここに掲示してあった。
懐かしさにほっこりした。道行く車もこれを眺めているのだろうな。"今日も一日笑顔で"。良い。

…ん?自販機の位置が変わったか?以前は両側ドリンク自販機で挟まれていたはず…。
と思ったが、右側の自販機が撤去されたのだった。レトロ麺類自販機自体は動いていない。この子を動かすの、すんごい大変そうだしな。

おっ、綺麗になっていないか!?
…塗装をしたわけではなさそうだな。表面を磨いたのかな?全体的なサビが目立たなくなり、美白されている。でも電光パネル付近にずっと前からあった、ポスターかなんかを貼った跡はしぶとく残っているね。
僕が前回気になった、一番右下の壊れかけていた金属パネルはメッシュの板で補強されている。

メニューと値段は前回と一緒だ。この値段を維持していることがすごすぎる。
今回はここで一杯だけいただこうと思うよ。では、やっぱここは肉うどんといきますか…。
小銭を入れてボタンを押す。ニキシー管がカウントダウンをし、10数秒後に取り出し口からアツアツうどんが出てきた。

さて、このうどんをどこで食べようか…。
自販機のすぐ裏にはイートインスペースがある。そこを覗いてみるのだが、もうお店が閉まってしまっているために、ドアが封鎖されている。またここで食べられなかったー!残念すぎる!!

外も花が多いお店だが、内部も花柄模様の多いイートインスペース。
あぁ、ここで食べてみたかった。給水機も常備されているようだし。今回も窓越しに眺めるだけだ。しょうがない。また次回のチャンスに掛けようではないか。

…ってことで、イートインスペースと店舗の間にある路地裏みたいな空間で食べることにした。ちょうどベンチもあることだし。
前回は雨だから車内で食べたが、なるべくなら外の空間、その自販機が置かれている環境を感じながら食べたいのだ。だからここを選択した。
では、うどんをいただこうか。

あ、なんかダシ汁メイン。一見すると麺がほとんど見えなくって、汁物みたいになっている。そこに牛肉がプカプカ浮いている。
うーむ、どうやら年月の流れと共に麺の量は減ってしまったようだね…。上の写真を見ると麺は全然ないようにも見えるが、底に固まっているので見た目よりかはある。でも量は減ったけど…。

あぁ、こんなだったね。白くて細くて繊細なうどん。つるつるでうまい。
そして甘辛さが際立つしっかりしたダシの味。肉は相変わらずすごい旨味をまとっているし、肉の量だけで言えばなかなか多い。
僕は少し小腹が減っていた程度なのでこの1杯で満足したが、ハラペコな人はきっと物足りないだろう。そんなときは、たぶんお弁当を購入して一緒に食えば大正解だ。汁物としてうどんを食べられるしな。
僕は次回は、そんなハラペコなコンディションで、かつお弁当屋さんが営業している時間に訪問したいぜ。
以上、日本7周目を走る旅人YAMAでした。
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