日本国内に数10店舗が点在する、レトロ自販機を保有する店舗。
その形態はドライブインだったり自販機コーナーだったり、はたまた道の駅だったりと様々。
そして群馬県と島根県の比率が多いけれども、たかだか日本中で数10店舗だからコンビニのように視界に複数店舗が同時に入るなんてことは無― …

あったわ。
「オアシス」と「後藤商店」。家1件を挟んで左右に位置する、日本で唯一1枚の写真に複数のレトロ自販機店を複数店舗入れることのできる奇跡のスポットだ。

レトロ自販機でうどんやそばを食べながらハシゴする趣味の人もいるかと思うが、この距離は腹ごなしすることは絶対にできないぞ。徒歩で20秒ほどの距離だもん。
じゃあ、この2店舗を攻略してきた思い出でも執筆しようかな。
出会いの後藤商店
最初に僕が訪問したのは、もう今から10年以上前の後藤商店であった。

国道187号沿いにたたずむ赤い屋根の商店。梅雨入り直後の曇天ではあったが、このビビッドな色に僕の心は弾んだ。
写真中央部、富士電機のレトロ麺類自販機が3台も並んでいるのがわかるかな?もうこれ、すんごい光景なんだぜ。こんな光景、今の日本ではめったにお目にかかれないよ。

この自販機に狙いを定めた。メニューはラーメンと肉そばであり、どちらも350円。うむ、今の気分は肉そばだな。
コインを入れてボタンを押すと、20秒ほどでアツアツの肉そばが自販機から登場した。

どうだい、力強いビジュアルだろう。肉もかなりボリューミーだ。
正直「肉そば350円は他のレトロ自販機と比べてもややお高めだな…」って思ったけども、この肉の量を見て納得した。これはお得だぜ…!
さらには刻みネギとカマボコ、そしてチラリと黄色いゆずが覗いている。至れり尽くせりってヤツだ。

自販機にはロープで一味唐辛子とコショウがくくり付けられている。お客さんが持って行っちゃったりしないための工夫なのだろうな。なんだかこれもチャーミング。
それではオープンテラスで肉そばを食べるのだ。
ひとくち食べて「うわぁ、うめぇ。」って思った。実はレトロ自販機の肉そばって、これまでほぼ食べたことがなかったのだ。肉の旨味がスープに溶け出していて絶妙だわ。

ときろい大型トラックが前を通過する川沿いののどかな商店の軒先。ちょっと涼しくなった黄昏時にノンビリと自販機そばをすする。最高じゃない。
聞いてくださいよ。これが旅ってヤツですよ。
食べていると近所のおじいさんがやってきた。たぶん「今日のダシの濃さとつゆの量はどうだい?」と聞かれた。
「いや、ここに来るのは初めてなので他の日と比べようがないのですが…。でも、味も量も適量で最高です!」って答えた。
おじいさんは「そうか!喜んでもらえてよかった!」と喜んで、自分の分を買っていた。
10年以上が経った今(2024年)から思えば、もしかしたらおじいさんは「僕がひんぱんにここに来ている」前提ではなく、「自販機そばのダシが日によって変わる」前提で質問してきたのだろう。
まぁでもこんなビミョーに食い違った会話もまた、旅の醍醐味だよね。
国道のオアシス
日本6周目終盤の春。僕はここのエリアを再訪した。

初めまして、オアシス。冒頭にも書いた通り後藤商店から数10mの距離なのだが、前回は後藤商店のみで満足してしまい、ここまで足を延ばすことはなかった。
当時は全国のレトロ自販機店を網羅することにそれほどの意気込みもなかったからだ。そして調査不足だったからだ。
あとから「ハシゴすればよかった」とすごく悔しい思いをしたのだよ。

レトロな自販機店にレトロな車で来れた。とても嬉しい。
さて、今回はおなかのコンディションを整えて来たぜ。3杯くらいならギリギリ食ってやるからよ、かかってこいや。

うわぁ、なんだここ最高だーーッ!!
このレトロ自販機を見てよ。左右にまるで金剛力士像の阿形と吽形のように、あるいは狛犬のように、左右に鎮座している。
そしてこの圧倒的な経年変化。すべてがすばらしい。その奥のポリバケツにモリモリに積まれた食べ終わった丼の量もすごいぞ。

いやぁ、これはいいものを見せていただいたわ。ほれぼれするようなこのビジュアルを何度も左右を行ったり来たりして眺め、そして一礼して店内に入った。
敬意だ。この店には敬意を払わねばならぬ。願わくば賽銭箱が欲しい。

自販機は二段構えであったか!!富士電機のレトロ麺類自販機の後ろには、これまたレトロな汎用自販機群が構えていた。隙が無いな、この店は…!
ただ、ちょっと見てくれ。右側にさっきのレトロ麺類自販機の裏側が写っているのだが、一部が朽ちてなくなっている。かわいそうに…。なるべく元気で今後もがんばってほしい…。

汎用自販機群。スナック菓子などがお手頃価格で売られている。「販売中」の一文字ごとに「◎」をあしらう表現は、もしかしたら小学生ぶりに見たかもしんない。
奥にはカウンターが見えている。そちらに行ってみよう。

うんうん、どんなオシャレなバーのカウンターよりも、今日の僕にはこっちの方が魅力的に見えるよ。
狭くて長くてイス1つという不思議な造りだけど、ここで食べるレトロ麺はさぞかしうまいに違いない。

奥の方にはファミリーブースか!これで一家できても楽しく食事ができるじゃないか!なんて罪なお店なのだよ。名前は"自販機コーナー"なのに、もうこれ自販機コーナーを凌駕したありがたい施設だよ。
これで24時間営業なんだぜ。クラクラしてきた。

窓からお店の裏側を眺めた。ローカルで目に優しいロケーション。まだご飯を食べる前だが、まずは心が満腹になった。

じゃあラーメン食っていいかな?400円。
中国地方のレトロ自販機では肉そばばかり食べ、四国地方のレトロ自販機では天ぷらうどんばかりを食べている傾向がある。そんな常識をちょいと打ち破りたい。

うおぉ!なんだか手に重量感!受け取った瞬間に目に飛び込む玉子のインパクト!!
落ち着け落ち着け…。まずはこぼさないように、さっきのカウンター席に運んだ。僕、あの一目ぼれしたカウンターでラーメン食べるよ。
具の一部は麺の下に潜り込んでいるので、まずは天地返しした。

なかなかにゴージャス!ゆで玉子が丸ごと1個。それから厚切りチャーシュー、キクラゲ・メンマ・モヤシ・ネギ・ナルト。これは手間がかかっていますなぁ…!
味はスッキリ醤油味。チャーシューは柔らかくってプルンプルン。
これは予想以上にお腹にたまるぜ…!嬉しい誤算だ…!!
国道沿いにある24時間営業のオアシス。これはまさに、長距離ドライバーさんたちのオアシス。思い知ったぜ。
再びの後藤商店で
間髪入れず、後藤商店にやってきた。徒歩で。20秒で。

看板には『お弁当・仕出し』と書かれている。今もやってる…?それとも昔はそのような営業もしていたのかな…?
そして見えにくいけども青い屋根の上の看板には『LIQUOR&FOOD GOTO』とポップな字体で書かれている。
ちなみに、初回訪問では赤い屋根だったじゃない。あれは台風の日にビリビリに裂けてしまったようだよ。残念。でも青も好き。

メニューは、肉うどん・ラーメン。天ぷらうどん・スタミナうどん・肉そば・鶏と天ぷらうどん…。
スタミナうどん・鶏と天ぷらうどんなどの、他の店舗では耳にしないメニューが気になる。いや、別にお腹空いているわけじゃないんだけど、せっかくだからオンリーワンな体験したいじゃない。ジレンマ。

いってやんよ。スタミナうどんをいってやんよ。ホントにスタミナをつけてくれるんだろうな?名前負けしたメニューが出てくるのか、はたまたガチなもの出てきて僕の胃袋が破壊されるのか。勝者はどっちだ。DEAD OR ALIVE!?
400円を投入して購入。

ヤッベェ!全部乗せだこれ!!
ゆで玉子・カマボコ・天ぷら・肉・ワカメ・ネギ…。スゲーことになっている。こんなバラエティ豊富な自販機麺、他では見たことないぜ…!

日当たりのいいお店の軒下で食べることにした。ちょっと天気が良すぎて白飛びしちゃっているけど、写真手前のテーブルの上にスタミナうどんがあるのだよ。
3台のレトロ自販機に囲まれてうどんを食う。なんという幸せ。

国道側のロケーションはこんな感じ。素晴らしいでしょ。
オアシスもだけど、後藤商店はさらにひっきりなしにドライバーさんたちが立ち寄っている。自販機でドリンクを買ったり、ササッと自販機麺を食べて行ったり。
このエリアの方々にとっては日常の風景であり、でも無くてはならないスポットなのだろう。

うま!やっぱ西日本の麺類はダシのレベルが違う。
そして具材の織り成すハーモニー。満腹すぎる。誰だよさっき3杯くらい食う的なことを豪語していたヤツは。

食後に店内をいろいろ見て回っていたら、カロリーメイトの自販機あったんだね、ここ。初めて見たかも。しかしもう僕にカロリーは不要。
ごちそうさまでした。
支店の脅威に慄け
最後にエピローグ的な位置付けでご紹介したいお店がある。「後藤商店 支店」。そう、あの後藤商店の支店なのである。
これも国道187号沿い、本店から1kmもないところに存在する。どんだけ密集しているんだよ、このエリア!

しかしここについては、またいつか別記事でご紹介しようと思う。もうあなたも読んだだけでお腹いっぱいになっている頃だと思うしな。
…さぁ、このエリアで何杯の自販機麺にチャレンジできるかな?
一度では攻略しきれないほどの楽しみがあふれている。そして、仮にここの3店舗の麺類を攻略できたとしても、ここから1時間圏内にさらにいろんなレトロ自販機店がひしめいているのだぞ。
僕もまた、日本7周目で訪れようぞ。
以上、日本7周目を走る旅人YAMAでした。
住所・スポット情報
後藤商店 本店
オアシス