「ホテル大津」は、最寄りの駅から直線距離で1.5kmくらいのところにあるんだけど、車を使って峠を越えれば京都の「銀閣寺」とかに20分ほどで行けるような立地だ。
なのに1人1泊3500円だったりする。
このご時世でその価格はブッ壊れすぎだろ…!
僕も2025年のまだ寒い時期ではあるが、3500円で素泊まりしてきた。
もっとも3500円なのは平日だけだったり、予約サイトによっては価格変動があるのでそこは注意してほしい。
この記事を執筆しているのは2025年5月なのだが、ちょいと未来日を検索するとこういう感じだったりする。思った以上に幅がある。僕、最安値で宿泊できてよかったなぁ。
あとね、このホテルにはすんごいアイデンティティがある。
それは元ラブホテルということだ。ラブホをリノベーションして普通のホテルにしているのだ。
そういわれると外観もなんだかそれっぽい。内部もそんな時代の「むふふ」な名残があるのだろうか?こりゃあ単身突撃して捜索しておかないと、胸張って滋賀県を語れないぞ…!
闇の中のホテルは少し違和感が残る
そのホテルは南滋賀駅から見て西側、「比叡山ドライブウェイ」の入口に入って行く道路沿いにある。その道は何度か走ったことあるが、ホテル大津の存在は知らなかったなぁ。
それも無理はない。道沿いにあるラブホ(っぽい建物)をいちいち意識しながらドライブするほど多感でもねーし。むしろニブいし。
ホテル大津へは、結構な坂道を登って行くと聞いている。確かに地方のラブホって、少し郊外にあったりするしな。そんでロケーションのいいところが多かったりするしな。
夜道に車を停めて峠の上方を仰ぐとホテルが聳えているのが見えた。なるほど、あそこかな?
…って思ってそこまで行ったら違った。普通のラブホだった。
いろいろあるのよ、この辺は。間違えて突撃したら恥ずかしい事態になるところだった。あぶねーあぶねー。
これが正解の、ホテル大津だ。とても暗い。灯りのついている部屋がほとんどないが、客がいないのかカーテンが分厚いのか。あとから察するが、たぶん前者だ。
駐車場も敷地も暗くって、懐中電灯がほしいくらいであった。ホントにチェックインして大丈夫なのかな…と、ほんの少し不安になった。
ホテルの30m前の車道にはこんな看板が出ていた。
『休憩¥1500』…!?いや、ちょっと待て。休憩って何なん?ここは普通のビジネスホテルだぞ。休憩ってどういうことだ…??
ところでこの写真はホテルの駐車場に車を停めた後に歩いて撮影しに行ったんだけど、車道も暗いしカーブがキツい上にトラックとかガンガン通るしで、身の危険を感じた。
あちら側から見た僕も、「アイツ暗闇のラブホ前で何やってるんだ…!?」ってなったかもしれないけど。
看板の裏側は宿泊時の最安値の料金が掲載されていた。
しっかし年季の入った看板だな…。ラブホ時代からずっと使っているのかな?もしそうであれば、その時代から料金は一緒なのかな?
SNSで「ずっとラブホだと思っていた」というコメントを数件もらったりした。あの看板でこの外観だと、そう思われてもしょうがないかもしれないな…。
いや、外観のどこがラブホっぽいかと問われても明確には答えられないんだけど、なんか普通のホテルとは世界の違うオーラを感じるんだよね…。
では、ホテルの入口に向かおう。
『ホテル大津』と、ラミネート加工されたコピー用紙っぽいヤツがガラス戸に貼られている。自動ドアではなく手動の観音開きのドアであり、解放感はやや低め。
あとさ、一番左の柱を見てくれ。『休憩¥1500円』とここにも書かれている。マジに今も休憩で入れるの?でもこういうこと書いているから、いまだにラブホと勘違いされているんだぜ、オマエ…。
時間は数分飛んで、チェックイン手続きをした後に、エレベーター前からホテル入口側を振り返った写真である。
一番左には、僕がチェックイン手続きをした受付が少し見えている。
中央左には先ほどの入口が見えている。『ホテル大津』と、ラミネート加工されたコピー用紙っぽいものが、ちゃんと裏側から透けているのでわかるよね。
中央右の白いドアは、バルコニーに出れるようだ。一番右端の黒いドアは、きっと併設の食堂に行くためのもの。食事つきプランを現状提供しているかどうかは確認していないけど。
料金は前払い。普通に鍵を受け取って自室に向かうことにした。
ピンクにあふれる広大な空間
部屋、広いぞ!!もったいぶらずにメインとなるベッドルームからお見せしよう!
なんとも言えない、独特の形状の部屋。壁紙は前面白地にピンクの水玉模様で、実際は写真以上にピンクな空間に感じた。ベッドは2つだ。贅沢。布団も綺麗でフカフカ。
ベッドの対面はこんな感じのくつろぎスペースだ。
黒い革張りのソファ、テーブル、冷蔵庫など。ここいらが一番部屋の形状がガチャついていて、この写真を見返すだけで楽しくなる。特にケトルが置かれていたり冷蔵庫が収納されている部分の壁の造りが秀逸だ。
ソファの横にはクローゼットだ。充分な面積。
壁のそこかしこに縦スリットがあり、その奥に間接照明が仕込まれているため、上の写真ではクローゼットの右側が光り輝いている。
天井の装飾もレトロゴージャスなテイストででオシャレ。装飾的な意味しかないであろう柱の背後にも間接照明がセットされている。ラブホ時代にはこういうのがウケたのかもしれない。
これはベッドサイドの照明。これまたオシャレだ。
…いやしかし、この照明ってどうやって消すの?このあとの話だが、寝る際に消し方がわからなくってさ…。本体にスイッチはない。いろんなところを触ってみたけどもない。かといてコードは壁から直接出ているので、コンセントを抜くようなこともできない。
ベッドのヘッド部分にはこのようなコントロールパネルがある。ここで操作できるのだろうか…。
向かって右側のスイッチ6個は機能していない。
左側はこんな感じだ。「天井」は文字通り天井であり、一番下の白いスイッチは機能していない。
右側の『消灯レバーを下げる』はレバー自体が取れてしまったのか、存在しない…。
…と思っていたが、写真を見返すともともとこういうデザインみたいだ。無理矢理指をツッコんで動かしてみたのだが、それでも反応しない…。
結局明るいまま寝ちゃったよ。フロントに聞くほど深刻な事態ではなかったしさ…。
ところで電話機も平成レトロな感じだったよ。今の時代、家庭内に電話機を置くケースも少なくなってきたよね…。ウチもスマホのみだ。実家にいた頃も、家電が鳴ってもそうそう出なかったしな…。
酒を飲んで風呂に入って寝る
部屋での晩酌
既に夕食は済ませてあるが、ここで晩酌と興じたい。リラックスタイムの始まりだ。
ところでここ、ルームウェアは備え付けられていないよ。忘れずに持参しよう。
カップ類はソファ脇の棚にある。湯呑みとプラスチックのカップだ。
プラスチックの方は学食とかにあるような感じのデザイン。願わくばガラス製のグラスでビールを飲みたいところだったが、まぁいいか。あるだけありがたい。
近くのコンビニに沖縄のオリオンビールがあったので買っておいたのだ。それを飲む。
すごくあっさりしていて猛暑のときに飲むのに最適なビールであり今の気候とは真逆なのだが、気にしない。心は常夏を求めているのだ。
部屋の中で1人カンパイをする図。
奥のカーテンが少し開いているのは、外に何が見えるか気になってさっき開けたからだ。駐車場と木立しか見えなかったな。丘の上だが下界の夜景などは見えぬ。少なくとも2階からでは。もっと上なら見えるかも。
それと、手前の照明の最上部が点いていないね。これも点けようと思ってアレコレしたけども、やり方がわからず断念した。
部屋内には、カラーボックスに乗った小さなTVがあった。それにノートを乗せ換えてソファ手前に持ってきたら、いい作業台になった。
飲みながら、東京五反田の「加藤酒店」が閉店してしまった記事を書いたよ。
はい、これ。この記事が元ラブホで執筆した成果物だ。よかったら読んでほしい。
ホテルにWi-Fi環境はある。…が、案内冊子に書かれているWi-Fiのパスワードを入力しても全然繋がらなくってさ。結論から言うと冊子の書き方がすごく独特で、「えっ?ここに書いてあるのがパスワードだったの!?」って言う感じだった。気付くまで1時間かかった。
ちなみに町を見下ろす丘の上なのに電波は非常に微弱で、Wi-Fiを使わないとほぼ圏外状態であり、非常に不便だった。なんとかWi-Fiが繋がってよかった。
風呂とトイレ
…では、お次は水回りをご紹介したい。
ところでここ、歯ブラシやタオルなどのアメニティグッズもない。お風呂にシャンプーやボディソープはあるが、それ以外は持参の必要があるので覚えておくと良いよ。
ベッドルームから部屋の入口方面を見たのが上の写真だ。
最奥のベージュの扉の向こうが共用部分である廊下だ。そこから入って靴を脱ぎ、ここまでやってきた。水回りは右手に見えているピンクの扉の向こうだ。
水回りへの通路の途中、ここだけ壁紙にバラの花があしらわれているのはなぜ?
しかもどこかの包み紙の一部だけをハサミで切り取ってきたことがバレバレのクオリティ。ここだけ壁紙が破れてしまい、強引な補修をしたのであろうか?
じゃあ次は、右手のピンクの扉を開けた構図いくね。
右手に洗面台。奥のカーテンの向こうにトイレ。左手に浴室。壁も床も薄いピンクだ。
洗面台、シンクとタオルハンガーのフック部分が濃いピンクという奇抜な配色。
ここも配色ヤベーぞ。そしてベッドルームのエアコンの恩恵は最奥部のここまでは届かないので、とんでもなく寒い。水回り全般寒い。
あと、水を流すときのレバーの手ごたえがスッカスカで、全然流れなくってどうしようかと思った。これもコツを掴んだので事なきを得たけど。
風呂。もう配色については触れぬぞ。
タイルでゴチゴチの要塞みたいに固めたスタイル、なんだか昭和時代のお風呂を髣髴とさせる。水道管も丸出しで微笑ましい。
自動湯張りだとか追い炊きだとかっていう便利機能は一切ない。蛇口をひねればお湯が出る。以上。バカでも理解できるシンプルなシステムだ。
ベッドルームでくつろぎつつも、ちょいちょい確認しに風呂にやってきた。懐かしいな。大昔の自宅でこんなことをやっていた記憶があるぞ。
風呂場、究極に寒い。さっさとシャワーで温まらなければならない。昭和や平成初期はきっと多くの家庭や施設でこんなかんじだったのだろうが、とにもかくにもヒートショックに気をつけたいシチュエーションだ。
清潔で居心地は良かったよ。しっかり暖まって快適だ。ドライヤーは備え付けられていた。
では、2パック用意されている茶を飲んで寝るわ。
朝が来て、そしてチェックアウト
さぁ、朝が来たぞ。天気はどうなんだ?窓からの眺めはどうなんだ?清々しいのか?
開けにくい曇りガラスの窓を開けてみる。
うん、曇っているし寒いし眺めも良くない!
ラブホだったことからも、前述の通りそもそも開けることを想定していないのかもしれない。観音開きで開けにくいし。そもそも網戸が存在していないし。だから朝であっても室内の照明は必須だ。
とりあえずコーヒーを淹れた。旅行中は僕、コーヒーのドリップパックを忍ばせていることが多いので。そしてコンビニで買ったパンを食べた。
TVでは、東海道新幹線等で活躍したドクターイエローが昨日引退したとニュースでやっていた。
ピンクの水玉模様のお部屋とも、これでお別れだ。
実に広大な部屋であった。充分にくつろがせてもらえたと思う。コスパはマジ最強。
昨夜は撮影しなかった、部屋の外の共用の廊下は赤絨毯だよ。
結局、ホテル内では誰とも出会わなかった。物音すら聞こえなかった。
でも昨夜チェックインするために駐車場に車で乗り入れたとき、バッグを抱えた人がホテルに入って行くのがチラッと見えたんだ。だから最低あと1人宿泊客がいたのだろうと思う。
部屋番号の掲示の仕方が学校みたいだ。
ところどころの壁にピンクの突起がある。これは間接照明の受け皿的な役目を果たしている。なんだか相変わらず奇妙なデザインだけれども、もう見慣れた。耐性が付いた。
受付は無人であり、鍵返却トレーに部屋の鍵を置いたら勝手に出発してOKなシステムだそうだ。
改めて、明るい時間のホテル外観を見上げる。
オシャレでちょいとアンティーク調な外観。洋館を模して、窓は観音開きだったり出窓っぽい凹凸をつけているのであろう。デザインは嫌いじゃない。
2階は207号室まであった。1階は客室はないであろう。3階建てだから、つまりは14室の客室があったのかな?ゆったりした間取りだから、建物の規模の割には部屋数は少ないような感じだ。
車の中を整えて出発しようとすると、ちょうど朝日が射す時間だった。ホテルが一層白く輝いた。
急な坂道を下って行くと、途中で琵琶湖が綺麗に見えた。空も晴れ間が広がってきた。
新しい1日の始まりだ。
以上、日本7周目を走る旅人YAMAでした。
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