週末大冒険

週末大冒険

ちょっと出かけてみないか。忘れかけていた、ワクワクを探しに。

No.454【北海道】日本最北の無人駅「抜海駅」!2025年3月のダイヤ改正での廃止が悲しい!

北海道のローカル線の駅廃止スピードが加速しているようだな…!

今回ご紹介する抜海(ばっかい)駅は、2025年2月現在は日本最北の無人駅であるが、2025年3月15日のダイヤ改正で廃止になってしまうそうだ。

利用客の減少が原因らしい。

 

ところで同じタイミングで同じ理由から、日本最東端の駅である「東根室駅」も廃止となってしまう。これも残念すぎる。

 

東根室

東根室駅のことを書こうか抜海駅のことを書こうか迷ったが、ひとまず今回は罰牡蠣駅だ。東根室駅についてはまたの機会に必ず触れよう。

 

さて、鉄道には全然詳しくない僕が、どこまでうまく執筆できるか自分自身で不安ではあるが、残り半月の現役生活となった抜海駅訪問記を書いてみるか…。

 

 

稚内駅から抜海駅へ

 

日本最北の鉄道駅と言えば、北海道の稚内駅である。

鉄道オンチであり、車旅しかほぼしない僕だって、稚内駅だけは何度も訪問している。2011年にすんごくリニューアルしてピカピカにオシャレな駅になったが、それ以前の渋い駅舎だって知っている。

 

稚内駅1

昨シーズンである2024年の夏にも、僕は稚内駅を訪問していた。

まぁ駅が好きだから訪問したってわけでは無く、ちょいとしたスタンプラリーイベントでここを踏まざるを得なかったんだけど、その話はまた別の機会に書こうな。

 

ちなみに上の写真に写っているのが日本最北の線路だ。リニューアル前まではリアルにここまで線路が延びていたのだが、今は最後の100mほどは地面のタイルに埋め込まれてしまっている。

以前はここが駅のホームだったんだよね。リニューアル時に駅舎まるごと100mズレたのよ。

 

稚内駅2

この木造のプレートは、以前は最北の線路のポイントに設置されていたもの。今は稚内駅内の現役線路の最北部分に設置されている。

昔は間近に見ることができたのだが、リニューアル後はガラス越しになってしまって少しだけ味気ないな…。

 

利尻富士は雲の中だ…

さて、僕はいつものルートだと、ここから日本海沿いに「サロベツ原野」を疾走する。もちろん今回もそうなのだが、その序盤で抜海駅に立ち寄らざるを得ないだろう。

 

僕は10数回は北海道をドライブしており、稚内も幾度となく来ているが、恥ずかしながら抜海駅に立ち寄ったことはない。そもそも鉄道にほとんど興味がないしな。車旅だと立ち寄る必要もないしな。

 

だが今回は訪問する。

なぜならば、2024年夏の時点で「もう今年度で抜海駅は廃止が濃厚だろう」と巷でささやかれているからだ。現役時代の抜海駅を訪問できるのは、僕の人生でこれが最初で最後なのだ。

 

抜海駅が見えてきた

海沿いを走る道道106号から内陸にハンドルを切って1km弱。正面に抜海駅が見えてきた。

いつも走っている道からわずか1km。時間にして1分ちょい。この片道1分をシカトして、今まで抜海駅を一度も訪問していなかったのだ。今さらながら悔やまれる。

 

…それでも、廃止になる前にちゃんと抜海駅に来れたことを喜ばねば。

 

 

北国の秘境駅を眺めて

 

荒れたアスファルトを走り、最北の秘境駅と言われる抜海駅前に到着した。

 

抜海駅1

これが、駅前にて来た道を振り返ったものだ。割とボコボコで、水たまりもできてしまっている。

だけども綺麗な青空だなぁ。この日は日本最北の「宗谷岬」到着とほぼ同時に快晴になり、すごく気持ちよく最北エリアのドライブを続けられているのだよ。晴れの日の北海道を走るのって、至上の幸せ。

 

抜海駅2

駅の駐車場は、駐車場と呼んでいいものかどうか雲を傾げてしまうほどに空き地っぽい。

僕とほぼ同時にもう1組の人が駅観光に来ていたよ。あちらも抜海駅に名残を惜しみに来ているのかな?

 

抜海駅3

これが抜海駅の駅舎だ。すごくほのぼのした外観。背後の入道雲がほのぼのレベルにブーストをかけているよね。駅舎のドアにと書かれ、そのドアの上に"抜海駅"の駅銘盤がなければ、これが駅とは気づかれないかもしれない。

 

屋根はちょっと傷んでいるが、海の近くにあり、雪も多いこの地域だからいたしかたないだろう。利用客が少ないけれども、関係者の皆さんが愛情込めて今日まで存続させているのだ。

 

抜海駅4

…では、ホームに行ってみようか。

駅舎の脇に砂利の小路があり、駅舎を経由しなくってもホームに行ける。この、オレンジ色のオプション的な小屋に向かう小路だ。「脇がガラ空きですよ」みたいな状態だ。

そこを使ってホームに出た。

 

ホーム1

ホームと線路が見えた。

駅舎は正面から見るとほぼ真っ白っだったが、ホーム側は木の板が貼り付けられているタイプだ。レトロな風合いで胸がキュンとした。

 

ホーム2

稚内方面の線路。ひたすらのどかである。こんな線路の果てを眺めながら、ゆっくりとローカル線に揺られる夏休みというのもステキかもしれない。

だけども車旅が好きすぎる僕は、いつの日か年老いて免許返納するまでそんな電車旅はできないかもしれないなぁ…。

 

ホーム3

1つ南の駅は勇知。1つ北の駅は南稚内南稚内のさらに1つ先が、先ほどの稚内駅だ。

稚内駅とはほんの10kmほどの距離なのに、かたやピカピカの駅舎にリニューアル、かたや廃駅間近の小さな無人の駅舎…。切ないぜ。

 

ホーム4

線路を跨ぐ歩道を渡り、対面のホームにやってきた。こっちには何も設備がなく、ソリッドなホームが夏草をバックに設置されているだけだ。だけども対面の駅舎がよく見えるいいロケーションだ。

しばしこの静かすぎる光景を堪能した。

 

 

開駅100年目の悲劇

 

では、駅舎に入ってみよう。

 

駅舎内1

うん…、入れるんだよな?この駅舎…。

僕と同じタイミングで駅を見学していた人は、ドアを開けようとしていたがうまく開けられずに諦めて帰ってしまった。

 

だけども開かないはずはないと思うのだ。寒い寒い北国で、本数も少ない電車。それを吹きっさらしのホームで待っていたら凍えてしまう。百歩譲って夏だけ閉鎖されているっていう可能性もなくはないが、きっと開く。

 

駅舎内2

普通に開いた。正確に言うと、開くドアと開かないドアがあった。こういうことって、あるよね。何が何でも入りたいときは、すべてのドアからアプローチすることにしているのよ、僕は。

 

駅舎内3

ホーム側から入った最初の空間は風除室のようだ。そのためにとてもシンプルで物が少ない。チリトリは2つあるのにホウキが見当たらない。

壁にはちょこちょこ落書きがあるが、リアルな「夜露死苦(よろしく)」の落書き、初めて見たわ。まだこの地には暴走族が絶滅せずに細々と生息しているのだろうか…。

 

駅舎内4

駅舎のメインルーム。ここもすごくガランとしていた…。

この広い空間で何をすればよいというのだろう。イスが並んでいるならくつろげるが、ホールしかない。ダンスを踊るのには適していそうだが…。

 

駅舎内5

壁には貼り紙や数々のアイテムが展示されている。

『開業100周年 おめでとうございます』のプレートもある。

そうだよね、1924年大正13年)にこの駅は開業したのだ。その記念すべき100年目に廃止されてしまうだなんて、切なすぎるよ…。

 

駅舎内6

1日でこの駅に泊まる電車は上下線合わせて7本のみ。利用者は1日平均2人ほどだという。かつては地元の高校生が通学のために使用していたりもしたそうだが、この本数では通学も辛いよね…。

 

そして抜海の集落も駅から2kmほど離れている上、人口も数10人ほどだ。

イカーがあるのであれば10数分走って稚内の中心部に行った方がずっとラクで効率よく動くことができる。

車を運転できない高齢者の方などに対しては乗り合いタクシーも運行しているそうで、もはや駅の利用者は鉄道好きな観光客の方が多いくらいだという。

 

駅舎内7

付近の観光名所も書かれていた。「抜海岩陰住居跡」・「天然お花畑」。

すまない、北海道にはそこそこ詳しいつもりでいたが、どちらも初耳だった。「オマエの頭の中は天然のお花畑だな」と言われたことあるので、後者は正確に言うと初耳じゃないけどな。

いずれにしても集客力はあまり高そうにないスポットだ。

 

駅舎内8

現役時代としては残り僅かな抜海駅。情緒ある駅なので残念ではあるが、情緒だけで駅1つを維持するのも非現実的なのであろう。

せめてこの駅舎が何らかのかたちで残ってくれればとも思うが、維持が必要である限り誰かの力は必要だし、それにはお金もかかる。

 

だからこそ、この1回きりの訪問の思い出を大事にしなければいけないよな。

 

駅舎内9

100年間、ありがとうございました。

100年目の来客者より。

 

以上、日本7周目を走る旅人YAMAでした。

 

 

住所・スポット情報

 

  • 名称: 抜海駅
  • 住所: 北海道稚内市抜海村クトネベツ
  • 料金: 無料
  • 駐車場: あり
  • 時間: 特になし