週末大冒険

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ちょっと出かけてみないか。忘れかけていた、ワクワクを探しに。

No.273【愛媛県】海を臨む絶景無人駅「下灘駅」!!春うららかな日に佇む姿が最高だった!

「日本の風光明媚な駅を10個あげろ」と言われたら、きっとこの駅はそこに入ってくるであろう。

 

予讃線「下灘駅」。

海と空と屋根しかない、青いキャンバスの上に無造作に置かれただけ、…のような無人駅のホームが有名なのである。

 

 

恥ずかしながら、僕は2022年が初訪問であった。

日本6周も走り、何度もこの近辺を疾走しているが、駅自体には今まで訪問していなかったのだ。

 

行かねば。

青に溢れる世界が僕を待っている。

 

 

海沿いの絶景駅へ

 

愛媛県の西海岸を走る国道378号は非常に快適だ。

ほとんど直線のシーサイドをノンストレスで疾走するのだ。

 

灘駅へ1

こうこれだけで最高だ。

「夕やけこやけライン」という通称もある。

僕も夕暮れの時間に走ったことがあるが、とても幻想的だったぜ。

 

ちなみに下灘駅に行ったことが無い人は「海ギリギリにある」と思い込んでしまっているかもしれない。

実は違うんだ。この国道から一本内陸側なのだ。

だからこそ、僕はこれまで未訪問だったのだ。

だってこんな最高の道、ブレーキかけたり脇道に反れたりしたくないじゃない。

 

灘駅へ2

今回は国道を反れるのだ。

灘駅に行くと心に決めている。

 

見たまえ、こうして国道から一本脇道に反れ、線路を渡る。

この線路の延長線上300mのところに下灘駅がある。

 

そしてゴメン、駅をご紹介する記事なのに線路が写真に登場するのはこれが最初で最後だ。

線路の写真、下灘駅で撮り忘れているので最初に謝っておこうな。

 

灘駅へ3

道はやや狭い。

中央線も無く、対向車とギリギリすれ違える程度だ。

僕は駅の西側からこの脇道に入り、東側から出て行った。どちらも同じくらい狭い道だった。

 

インスタ映えとかメディアに取り上げられたりで観光客もわんさか来るけど、そもそもは地元の人しか利用しない小さな小さな駅なのだろう。

 

灘駅へ4

そんな駅に、ゴールデンウィークということもあり車が連なるようにして狭路を進む。

すまない、僕もまた集落の静寂を破ってしまう一員となってしまった。

 

西側から入ると駅の手前200mほどのところに「市営下灘駅 見学者臨時駐車場」という、まんまなネーミングの駐車場がある。

駅までそんなに距離は無いので、ここに停めておくのが吉だ。無料だし。20台くらい停められるし。

 

灘駅の真横にも駐車場はあるが、5台くらいしか停められない。

週末や祝日はよほどタイミングが良くないと停めるのは難しいであろう。

それに駅真横に駐車場は地元の人の送迎とかに使ってもらうべきだろうしね。

 

レトロ駅舎1

そんなこんなで、数台が連なるように狭路を進んだ先の、小さな下灘駅に初訪問できた次第だ。

 

 

レトロな駅舎と郵便ポスト

 

灘駅の駅舎。

それは海を臨むホームがあまりに有名なために、あまり取り上げられることのないような気がする。

 

レトロ駅舎2

しかし駅舎もとても良い。これもちゃんと写真に収めないと損。

まるでおとぎ話の中から出てきたかのようなかわいさだ。

 

1935年に駅ができた当時のままのデザインの、木造でレトロな駅舎だ。

駅舎の前に立つ、ピカピカだがレトロな赤いポストも良い。

そして手前の花はアヤメだろうかね?

仄かに紫色を添えてくれてアクセントになっている。

 

レトロ駅舎3

置かれているベンチには、四国のかたちの穴があけられている。

こういう地図をかたどったもの、僕は大好きだ。

 

隅々まできれいに手入れされていて、地元の人にも観光客にも愛されている駅だと感じた。

写真には写っていないが、観光客結構いるのだ。50人くらいいる。

みんなホームを見に行っているので駅舎の前には少ないだけだ。

 

レトロ駅舎4

今は全国的な人気でインスタ映えの聖地でもある下灘駅

だが聞いてみると一時は存続の危機ですらあったという。

 

昭和の後半、マイカーが普及したことで鉄道を利用する人が減って。

もともと多くの駅員さんがいた下灘駅も、1986年に規模を縮小して無人駅になって。

さらには草ボウボウでかなり荒れていたそうなのだ。

 

レトロ駅舎5

…なるほど、この駅舎内の小窓が、かつて駅員さんがいた頃の受付や事務室の名残なのかな?

 

無人となって荒れていた下灘駅だが、1998年~2000年ごろに相次いで観光ポスターになり、それを機にドラマやCMなどにも使われるようになった。

こうして景観のいい駅があると知った人々が観光のために訪れるようになったのだね。

 

レトロ駅舎6

観光客が多くなったことで地元の良さを知った近所の人が、荒れていた駅を綺麗にし、花を植え、こうして現在に至るそうなのだ。

そっかぁー、観光で地元に貢献できているのであれば良かった良かった。

 

レトロ駅舎7

時刻表を見てみた。

電車の本数は1~2時間に1本のペースだ。

電車で来るにはなかなか難しい調整もしないといけないかもしれないが、ここに電車で訪れるのもまた風流だろうな。

 

レトロ駅舎8

さて、そろそろハイライトとなるホームをお見せしよう。

ホームが下灘駅を下灘駅として知らしめている要素だもんな。

 

 

青一色の世界を前に

 

駅舎を経由し、その反対側に出た。

 

海を臨むホーム1

 

っごいの。

 

 

1人旅で話し相手もいないけど、この景色には思わず「わぁ!」って声が出るよね。

写真の左上にあえてちょこっと見切れて写したのが、駅舎のひさしだ。

 

つまり駅舎から出た瞬間にこの景色だよ。海だよ。

かつては「日本一海に近い駅」を名乗っていたほどなのだよ。

だからすんごい。

 

海を臨むホーム2

これらの写真を見ると「あれ?やっぱ人が少ないじゃん」って思われるかもしれない。

しかし写真を撮るこっち側は結構ザワザワするくらいに人がいる。

 

みんな交代交代で、ホームに行って被写体になるのだ。

ちょっとした順番待ちみたいなのができている。

カメラをすぐ後ろの人に預けて写真を撮ってもらい…みたいな行儀のいいシステムが構築されている。

 

海を臨むホーム3

だからこそ、その被写体の人の入れ替わりのわずかなタイミングを狙って、無人のホームを撮影することも不可能ではない。

写りたい人、誰もいないホームを撮りたい人、Win-Winの関係だ。

 

そして、悲しいかなこれもご理解いただけたかと思うが、冒頭近くで書いた通り「僕が駅から線路を撮らなかった理由」。

みんなが交代交代でホームに行く、その列に溶け込めなかったんだよ。混ざれなかったんだよ。

 

海を臨むホーム4

僕はシャイ・ボーイだから「自分を撮ってくれ!」って誰かにカメラを預けるほどの度胸は無い。

かといって、みんなのカメラに映ってしまう危険を冒してホームのあっち側に行って線路を見たり海を間近に見たり…ってこともしたくなかった。

 

このホームを駅舎側から眺めるだけで充分すぎるほどに幸せだったのだ。

 

海を臨むホーム5

あと、プチ情報。

このような写真を見ると本当に海の間近のように見え、なんだったらホームから海にそのままダイブもできそうなくらいに見えるだろう。

 

だが、実はそこそこ離れている。

30mくらいは離れている。

だって冒頭でご説明した国道378号がホームの向こう側を通っているんだもん。

昔は国道があっち側に無くって本当に「日本一海に近い駅」だったのだが、今は少し距離が生じてしまったのだ。

 

海を臨むホーム6

…にもかかわらずこんなにも海が広がっているように見える理由。

それは駅舎が海抜11m地点にあるからだ。

国道はホームから見て下を通っている。

駅舎側からは下の国道が見えないため(ついでに線路も見えない)、海がすぐ向こうに広がっているように錯覚するのだな。

 

ただただ雄大に広がる、青い青い海と空。

それを額縁のように取り囲むホームの屋根。

 

キャンバスに即興で書くなら10秒もいらないようなシンプルな世界観。

だが、シンプルだからこそのこの素晴らしさよ。

 

海を臨むホーム7

ホームの端、駅名板を撮影した。

その写真を見返していて気付いたが、この写真にはわずかに国道378号と、そこを走る車が映り込んでいるね。

そうなのだ、こういう立地なのだ。

 

振り返れば僕もかつて国道378号を走っているので、車窓から駅が見えたはずだ。

しかし全く認識していなかった。

きっと海ばかりを眺めていたのだろう。

 

そして北上を続ける

最強のインスタ映えの駅。

写真だけ見ると「あのホームのベンチでノンビリ読書できたらステキだな」とか思われるかもしれないが、実際は写真の行列でホームに数10秒滞在することすら困難なせわしなさを感じる。

 

だけれども、その一瞬を大切にすればいい。

いい景色をちょっとずつみんなで共有するための順番なのだ。

 

ホームに人のいない下灘駅を見られたのはまさに数秒のことではあるが、確かに僕が撮影した写真が手元にある限り、その写真を眺めている限り、この絶景は永遠だ。

思い出も永遠だ。

 

最高の絶景を堪能できた満足感と共に、僕は再び海岸沿いを北上する。

 

以上、日本7周目を走る旅人YAMAでした。

(日本7周目、スタートしたよ)

 

 

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