週末大冒険

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ちょっと出かけてみないか。忘れかけていた、ワクワクを探しに。

No.453【富山県】北陸唯一のレトロハンバーガー自販機「かって屋」!!攻略難易度高いぞ!

2025年現在、北陸地方にてレトロなハンバーガー自販機があるのは「自由空間かって屋」の1店舗のみである。

 

昭和のコンビニのない時代に隆盛を誇り、トラックドライバーや深夜に運転する人たちの小腹を満たしてきた食品自販機。

今ではうどん・そばなどの麺類のものが有名ではあるが、ハンバーガー自販機も当時各所に設置されていたそうだ。

 

京都の「ドライブインダルマ」

今ではレトロハンバーガー自販機は全国でも10数箇所にしか存在しない。そのほとんどが関東に集中しており、北陸地方にはわずか1店舗のみだ。

僕は全国のレトロ自販機を巡る変態ヤローなので、もちろんこのレトロハンバーガー自販機もターゲットだ。

 

主役はこのハンバーガー自販機だ

もともと設置されていた「ドライブイン頼成山」から、それを受け継いだ「自由空間かって屋」まで、時を越えて追いかけるお話をしよう。

 

 

ドライブイン頼成山

 

さて、まずこの章ではドライブイン頼成山編について執筆したい。2018年まで存在していたドライブインで今はない。営業中だった時代、そこに存在していたハンバーガー自販機を求めてドライブした話だ。

 

頼成山1

…というわけで、ドライブインにやってきた。すごく新しく、すごく綺麗だ。なんだか新鮮な野菜を売っている小ぶりのスーパーって感じの外観だ。どうやら2010年に大きくリニューアルされたのだそうだ。

 

中は清潔感のある食堂スペースなどがある。ここまで僕は数店舗のレトロ自販機保有店を訪れたことがあるが、どこも昭和レトロで年季が入っていた。だからピッカピカなこの店舗にはいい意味であっけにとられることとなった。

 

頼成山2

これが探し求めていたレトロ自販機だ。なんだかピカピカっぽく見える。でも1980年代前半の代物だそうなので、昭和時代の骨董品なのだ。

それにしてはデザインも新しいし保管状態もいい。今日まで愛されてきたのだろうな。

 

珍しそうに見ていたら店員のおばちゃんが「レトロ自販機に興味があるの?」と声をかけてきた。僕は恥ずかしながら口ごもってしまった。

まだ数店舗しか巡っていないのに「興味があります」とは言いにくかったのだ。だがちゃんと正直に言えばよかったと、今は後悔している。

 

おばちゃん曰く、レトロハンバーガー自販機は北陸ではただ1つしか存在しないらしい。昔は全国にたくさんあったけど、平成になるにつれて撤退していっちゃったんだそうだ。

「あなたはハンバーガーを買えて運がいい。ここには全国からお客が来て、売り切れになることも多い。残念がって帰って行くお客さんも多いんだよ。」って教えてくれた。

 

頼成山3

売り切れでなかったのはありがたいね。さて、どれを買おうかな。色あせたディスプレイを眺める。

メニューはチーズバーガー・ソースハンバーガー・カレーハンバーガー。どれも230円~250円。ソースハンバーガーは売り切れている。ソースって何?どんなソース??

僕はカレーハンバーガーを選んだ。

 

頼成山4

ボタンを押すと「電子レンジ加熱」のランプがつき、中で数10秒温められる。

そして白い箱に入ったハンバーガーがコロンと登場。中身は対処に困るほど温められて
いるけど、これもご愛嬌だな。

 

頼成山5

早速アツアツのうちに食べてみよう。車に戻り、箱を開けると紙に包まれたハンバーガーがシンデレラフィットしている。

 

頼成山6

ふんにゃりとしたバンズの中にはハンバーグと、カレーソースで炒められたタマネギが挟まれていた。うむ、このカレーソース、なかなかに手が込んでいるのではないかな?

食べてみるとかなりおいしいぞ。ふんにゃりしたパンもなんだか味わい深い。本格的なハンバーガーとは言えないけど、「こういうお手軽ハンバーガーも絶滅しちゃだめだよね」って感じる、身近にいてほしいタイプのハンバーガーであった。

 

頼成山7

…当時の僕は、レトロ自販機初心者であった。

2025年現在で全国の70以上のレトロ自販機保有店を巡っている僕の、7店舗目のアプローチであった。今の僕ならばもう2つはハンバーガーを買い、網羅性を高めているところだが、このときは1つで満足してしまった。

来れたことだけで満足していたし、他のメニューを食べたかったらまた来ればいいと考えていたからだ。

 

甘い。僕がここに来れることは、もう未来永劫ないのだ。

 

 

自由空間かって屋への移設

 

2018年、このドライブイン頼成山が閉鎖されると聞いた。ショックだった。

もっと通っておけばよかった。実は前章以降も前を通りかかったことはあるのだが、素通りしていた。僕のバカバカ…!!

前述の通り2010年にリニューアルしたばかりだったのだが、利用者が減少してしまったことが原因だそうだ。

では、あのハンバーガー自販機はどうなる…!?

 

黒部市にて蘇る1

自販機は同じ富山県内、黒部市の「自由空間かって屋」に引き取られて、新しい人生を歩み出したそうだ。おぉ、めでたい。

 

…というわけで、ここからの写真は2023年にかって屋を下見したときの写真を列挙する。

次の章で詳細を書くが、かって屋でいつでもハンバーガーが売られているわけではない。月1・2回であり、しかも日中の早い時間で売り切れることが多いそうなのだ。

それを知った上で、ハンバーガーの売られていない日の夕暮れ時に向かっていた。お店を一目でも見ておきたかったからだ。

 

黒部市にて蘇る2

「大町中央通り」という、どこかレトロな商店街。夕焼けが綺麗で、頭上を大量の鳥が巣に帰るために飛んでいた。季節は秋の深まるころであり、急に寒さを感じ始めた時間帯だ。

 

黒部市にて蘇る3

あった、かって屋だ。

地元の作家さんによる手作り作品などを販売している地域密着型のお店なのだそうだ。そこにレトロ自販機が置かれており、月に1回ほど専門業者の人がハンバーガーをセットしてイベント的に販売をしているらしい。

 

ドライブイン頼成山時代の終盤、あのハンバーガー自販機は故障して動かなくなってしまったらしいよ。それを業者さんがクラウドファンディングで資金を集めて修理し復活させ、そしてかって屋に設置させてもらったというわけだ。

 

黒部市にて蘇る4

力強くてポップな看板だ。もう今日は店舗自体の営業もクローズしてしまっているようだが、何か情報月負けるかもしれないので、お店の目の前まで行ってみよう。

 

黒部市にて蘇る5

自販機に入っているハンバーガーは、「ファリーヌさんの桜井バーガー」というらしい。

「ファリーヌ」とは「黒部ショッピングセンター」内のパン屋さんであり、そこの協力をもって自販機バーガーが造られているそうなのだ。黒部オリジナルのハンバーガー、いいじゃないか。

 

そしてこの札を見る限り、年内最後の3ヶ月は月1回ペースの販売であり、いずれも日曜日。11時から販売で売り切れ次第クローズだ。以後の販売予定日はSNSでもチェック可能。

 

黒部市にて蘇る6

なるほど、充分な情報を得られたぞ。

これはちゃんと調べた上で、レトロ自販機販売日に合わせて次回の北陸ドライブを企画するくらいの意気込みじゃないと、一生購入できそうにないな…。

この先は寒くなって北陸は雪が降ってしまうので、暖かくなってからまた来るとするか…。

 

そんなことを考えながら、暗くなっていく商店街を歩いた。

 

 

ハンバーガー獲得作戦遂行

僕は泣きながら崩れ落ちた

 

2024年、温かくなったら北陸地方をドライブしつつ、かって屋のハンバーガーも食べたかった。しかし2024年元旦に能登半島地震が発生し、その被害が甚大であったことから、しばらく僕は北陸旅を躊躇することとなる。

 

悲劇のハンバーガー1

冬も間近となったタイミングでようやく黒部市を再訪することができた。ちょうど1年ぶりといったところだろうか?僕は再び大町中央通りのゲートをくぐる。

 

さて、ここで少々の懸念がある。それは現在の時刻が14時であるという点だ。

11時からハンバーガーの販売が開始されているので、既に3時間が経過しているというわけだ。ちなみに販売終了時刻は17時だ。ちょうど営業時間帯の中の真ん中のタイミングでやってきた。

 

悲劇のハンバーガー2

この3時間をあなただったらどうとらえる?

「販売時間の真ん中で売り切れるわけないでしょ?余裕余裕!」って思う?それとも「3時間のうちにお客さんが詰めかけたら、もう売り切れてしまっている可能性もあるのでは…?」って思う?

どっちにしても答えはもうすぐ得られるけどね…。

 

DEAD OR ALIVE…!?

 

悲劇のハンバーガー3



人生終わった…!!

 

 

いやいやいや、前章から、つまりは昨年から積み上げてきた伏線をブチ壊しちゃった。1年かけて周到に準備して、最後の最後でバカやっちゃった。

いや、もっと早くここに来ようとしたさ。昼頃には着く予定で考えていたさ。でもね、朝からここに至るまでのドライブでの立ち寄りスポットが楽しすぎて、時間がかかりすぎて…!

 

今日のここまでのドライブの光景が走馬灯のように巡る中、とりあえず僕は一歩を踏み出してお店のドアを開けた。一縷の望みを懸けて…。

 

悲劇のハンバーガー4

店内にはまだこんなボードが出ている。

チーズバーガー・フィッシュバーガー・てりやきバーガー・ベーコンバーガー・カレーバーガーなどがあったそうだ。全部うまそうだ。どれでもいいから食いたかったなぁ…。

 

スタッフさんと目が合ったので、「ハンバーガー食べに来たんですけど、終わっちゃいました…?」と念のため聞いてみた。

スタッフさんは「はい、残念ながら…」と申し訳なさそうに答えた。

いつ売り切れたのかさらに聞いてみると、「ホントつい先ほど…」とのことだった。なんてこった。「電話してもらえれば取り置きもできなのですが…」と言われたが、取り置きシステムがあるのにノコノコ14時に来たら、そりゃ叶うワケないよなぁ。

 

泣きながら崩れ落ちそうになるのをなんとか踏みとどまり、「じゃあせめて自販機やグッズ等の撮影をさせていただけますか…?」と言って了承を得た。

 

悲劇のハンバーガー5

まずは懐かしのレトロハンバーガー自販機との再会だ。

はるか昔にドライブイン頼成山で使用したのと同一の機種だ。メンテされたのか、ディスプレイパネルが色あせてなくって鮮やかな色になっているような気がするな。

 

悲劇のハンバーガー6

魅惑的なメニューが並ぶが、全部売り切れだ。

そうだよね、月1回のイベントだもん、みんな来るよね。そして家族の分まで買ったり、自分の分を買いだめしたりもするよね。あっという間に売り切れてもおかしくないであろう。僕の見込みが甘すぎた…。

 

悲劇のハンバーガー7

絶望しながらこれらの写真を撮っていたら、先ほどのスタッフさんに声をかけられた。

 

「あのー、実は取り置きしている人の1人が『他に欲しい人がいるなら譲ってもいい』と言っているのですが、どうしますか?」とのことだ。

 

ッ来たぁぁぁーーー!!

 

 

あこがれの自販機バーガー

 

スタッフさんは続けて僕に言った。

「冷凍状態でストックしているのでこれからある程度解凍してから自販機にセットすることになります。なので時間が10分ほどかかるし、急いで回答するので少しムラができてしまうかもしれないが、大丈夫ですか?」と。

 

大丈夫だ、ハンバーガー・ハンバーガー!!僕はハンバーガーというよりバーサーカーのようにうなずいた。取り置いていたのに譲ってくれる人、神だ。ハンバーガーの神。

 

自販機バーガー1

スタッフさんは冷凍庫からハンバーガーのボックスを取り出すと、奥へと消えていた。ちなみにメニューを選ぶことはできずチーズバーガーのみとのことだが、全然いい。何バーガーでも食べられれば優勝。

 

待っている間に冷静になり、「もともとそういう伝言付きで取り置いている人がいるのに一度断られたのはなぜ?」って思った。

考えられる理由は2つだ。1つはハンバーガーの神が「選ばれし者のみに私のハンバーガーを授けなさい」と言っていたケースだ。僕はすぐに帰らずにレトロ自販機愛を見せた。それで合格したという説。

もう1つは、スタッフさん自身が自分の分を取り置いていた。目の前で絶望のために一瞬で白髪になってしまった(ように見えた)僕を憐れみ、「あげてもいいって人がいるんですよ」とうまくストーリーを仕立ててくれたというケース。

 

自販機バーガー2

真実はわからない。でも、真実を知る必要はない。

僕はただただありがたく、ほどこしを受ければよいのだ。あまり突っ込み過ぎると「君のような勘のいいガキは嫌いだよ」という有名なマンガのセリフみたいなことになるからね。

 

自販機バーガー3

待ち時間に売り物などをいろいろ眺めた。

書籍『レトロ自販機を引き取ってみた』は、5巻まで出ているし番外編まであるのか。なんて壮大な物語。全5作と言えば、映画で言えば「アバター」と一緒だ。例えが悪いし僕、アバター見たことないけど。

 

自販機バーガー4

あぁぁ、頼成山!懐かしい!

戻ってきたスタッフさんに、「僕はこの時代にも使っていたんですよ。今回も〇〇県から遥々来ています」と言って驚かれた。

でも、マニアは全国から来るそうだ。そりゃそうだ、僕だって北海道から鹿児島までレトロ自販機を追いかけているしな。

 

自販機バーガー5

改めてスタッフさんに感謝を伝える。

スタッフさんは奥で解凍したバーガーを自販機にわざわざセットしてくれた。では、コインを入れてボタンを押すのは僕の仕事だ…。ワクワクする。

 

こうしてみんなの優しい気持ちの詰まったハンバーガーボックスがコロンと出てきた。

「奥の方のテーブルを使って食べていいですか?」と了承を取った。

 

自販機バーガー6

じゃあここでゆっくり食べるわ。

隣のブースでは大掛かりな鉄道模型が走っており、子供たちがワーキャー言っている。いい空間だ。地域の人たちの憩いの場って感じだ。そこを使わせてもらって飲食できる幸せ。

 

自販機バーガー7

イラストもユニークだ。このアメリカアニメに出てくるような穴ボコボコのチーズが僕は好きなのだ。早速開封してみよう。

 

自販機バーガー8

うわぁ、見えるか、この肉汁でツヤツヤのパティを!!これにこれから力いっぱい噛みつくことができるのだ。今想像できる一番の幸福がそれ。

 

アツアツのハンバーガーはバンズもパティもふっくらしていて食べ応え充分。肉の味がしっかりしていてとにかくうまいのだ。スタッフさんが懸念してくれた通り、確かに温めムラがあってちょっと固い部分もあったけど、そんなのは意に返さない。夢中でむさぼった。

 

自販機バーガー9

店内のポップを見て、ローヤルトップっていうのに興味を惹かれた。

下の方に書いてあるコワップ・ガラナも知っていて久々に飲んでみたいと思ったのだが、気分はローヤルトップだ。せっかくなので買って行こう。

 

スタッフさんに言うと「レトロ自販機が好きな人って、ちょっと変わったドリンクが好きですよね…」とほほ笑んでくれた。うん、なるほどそうなのか。僕は自分以外のレトロ自販機マニアをあまり知らないけど、みんなそうなのか。

 

自販機バーガー10

僕の来店時から見て次の月となる、2024年12月は1回のみの販売。そして2025年1月は休止だそうだ。2025年2月を生きるキミたちよ、今月分は食べられたかい?

 

スタッフさんにお礼を言い、退店した。

いやぁ、いい思い出を作れたなぁ。美味しかったなぁ。

 

自販機バーガー11

ローヤルトップ、駐車場に歩きながら飲んだ。

ハチミツ入りの炭酸飲料だ。「名古屋牛乳」が製造しており、東海地方を中心に売られているらしい。「なぜに富山で?」って思ったが、そういう出会いがまたいいのだ。

それではまたいつか、別の種類のハンバーガーを食べに来れることを楽しみにしているよ。

 

以上、日本7周目を走る旅人YAMAでした。

 

 

住所・スポット情報

 

  • 名称: 自由空間かって屋
  • 住所: 富山県黒部市三日市3309
  • 料金: チーズバーガー¥350他
  • 駐車場: なし。付近のコインパーキングを使用のこと。
  • 時間: 9:00~18:00(日曜定休)