僕は名古屋のバーカウンターにて、バーテンダーさんにこう尋ねた。
「名古屋市内で、なんか穴場的な桜スポットはありますか?」
こうしてバーテンダーさんや近くに座っていたお客さんから得た情報、それが「山崎川四季の道」の桜並木である。
…さて、2022年の春本番がやってくる。
今年の冬は寒かったな。3月下旬にも東京で雪は降ったし、にもかかわらず大きな地震直後で節電を呼びかけられたりと、なかなかシンドかったな。
でも、もう桜前線は南からやって来ている。
あと数日もすれば西日本・首都圏は桜が満開になるだろう。
待ちに待っていた季節だ。
そんな桜シーズン到来を記念し、日本5周目で訪れた山崎川をご紹介したい。
もう今回は桜の写真しかないからな、カクゴせよ。
もう環境BGMみたいな位置付けで、リラックスしながら桜の写真を流し見してほしい。
桜咲く川沿いの道
朝の名古屋市。
天気予報は雨だったはずだが、予想を裏切り快晴となった。
おやおや、僕の日頃の行い、最高かよ。
バーで「雨じゃ桜見ても感動が半減じゃないか」とグチッていた過去の僕を慰めてあげたい気分だ。
そしてこの時期にしてはかなり気温が低い予想だったのだが、実際はそれなりにポカポカの陽気だ。薄手のシャツ1枚で余裕である。
さぁ行こう、山崎川へ。
はい、もったいぶってもしょうがないので、いきなり到着の図だ。
カンペキだなって思った。
なんだこの優しさに包まれる世界は。
桜は優しさの象徴だ。
写真、真ん中の奥くらいにゴミ捨て場があってゴミ袋も見えている。
だけどもそれすら美しいと感じた。それが桜フィルターなのだ。
柵の向こう側が山崎川だ。
Wikipediaさんの情報によれば、山崎川は名古屋市内に源流があり、名古屋港に注ぐ2級河川。長さは13㎞ほどとのことだ。
なかなかに小規模な川ではある。
そしてこの山崎川は、少なくともこの桜並木が続くゾーンにおいては、比較的込み入った住宅地の中を流れている。
周辺は民家だらけだし道はやや細いし、生活感が溢れているエリアだ。
だからだろうか?
僕はこの桜の風景にすごい親しみやすさを覚えた。
誰でも知っている桜の有名なスポットのように、模擬店があるわけでもないしイベントやっているわけでもないし、花見客がピクニックしたり酒盛りをしているわけでもない。
ゴミを出すついでに近所の人同士が「桜が満開になりましたね」とか言い合ったり、通勤途中の人がふと足を停めて上を見上げたりとか…。
もちろん観光目的の人もいるだろうが、こういう雰囲気の桜スポットなのだ。
歩きながら桜を見上げる、そういうスポットなのだ。
それがいい。
日常の中に感動があり、日常の中に春があるのだと、そう感じた。
そんな僕の知らない町の日常風景に、春の陽気につられて僕がフラッと迷い込んでいるのだ。うん、最高かよ。
桜を見上げる僕の頬は緩みっぱなしだ。
桜のシーズン、大好きだ。
川面に架かる桜
さて、山崎川自体を見てみよう。
ところどころに小さな橋が架かっているので、主にそこからの景観をご紹介する。
山崎川はこんな感じだ。
川幅自体は2mもなく、両側をスロープ状のコンクリートでガッチリ固められている。
天然物の土手のような風情は無いが、きっちり設計された美しさがある。
川面に桜がかかる様子がとても好きだ。
一歩足を進めるごとに、その絵が変わってゆく。だから一歩ごとに歩みを止めて写真を撮りたくなる。
うん、永遠に終わらない散歩のようになるけどさ。それがまたいいのだ。
桜の時期は一瞬だ。人生の中で、桜を眺められる日数だってそんなに多いわけではないだろう。
だから、その期間の僕らの歩みくらいはゆっくりでいいじゃないかと。
ひとしきり歩いていると、もっと川を間近に感じたくなってくる。
せっかく川沿いの桜並木なのだから、川の近くに行ってみたい。
それを河川敷って言うのかどうかは知らないが、下に見えている川っぷちギリギリのコンクリの路面を歩いてみたくなったのだ。
しかしどこもキチンとガードレールが設置されていて、下に降りれそうな場所がない。
やっぱダメなのかな、危ないのかな、あそこに行くのは。
しばらく歩いていると、車道から河川敷に降りれる小さな階段があった。
階段に至る部分には、まるで一般家屋に取り付けられている玄関の門みたいな簡素なゲートがある。
試しに押してみると、施錠などはされていなくってギーッと普通に開けられた。
おぉ、これは導かれているのだと理解した。
では下に降りてみるか。ワクワク。
河川敷から見た世界
階段を降りて川の真横まで来た。
なにここステキ。
ちょっと視点が下がっただけで、まるでそこは別世界であった。
頭上全てがピンク。桜のトンネル。
そして足元も桜吹雪が舞い落ちてピンク。
さらには頭上がピンクだということは、川面にも桜が映り込んでピンクなのだ。
ピンク一色のファンシーな世界観だ。
車道からここまで下がると、もう街並みは見えないし、喧騒も遠くになる。
僕と桜だけの別世界。
そんな空間を川沿いにノンビリと歩くことにした。
途中で若干の人はいた。
おじさんが1人、桜の下で読書をしていたりもした。
秘密の空間って感じだ。確かにこんな陽気の日にここで読書をしたら最高であろう。僕も本があれば読んでみたかった。
ところで、後日調べて分かったことなのだが、この山崎川四季の道というのはそれなりに名誉ある称号を持っている道なのだ。
ザッと以下の通りだ。
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日本さくら名所100選(1990年_公益財団法人日本さくらの会による選定)
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まちなみデザイン20選(2013年_名古屋市による選定)
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ふるさとの川モデル河川(1987年_旧・建設省(現・国土交通省)による選定)
なるほどすごい。
確かに桜並木は綺麗だが、住宅地の中なのでそんな高名なスポットだとは思わなかった。
近くにある「鶴舞公園」とかは有名で、僕だって聞いたことくらいはあったけどさ。
ここの桜並木は全長約2.5kmにわたり、そこに約600本の桜が植えられているという。
桜シーズンの夜は、その中でもモリモリと桜が咲き誇っている「かなえ橋」から「鼎小橋(かなえこはし)」までの約120m区間がライトアップされているらしい。
それはそれで、きっとさぞかし綺麗だろう。
(2022年はコロナの影響でライトアップ中止だそうです)
今回僕が歩いたのは、山崎川の桜並木の2.5㎞区間のおける、比較的上流の部分である。
ここはあくまで桜並木の一区間であり、僕が見た部分だけをご紹介する記事に過ぎない。
中流や下流には足を伸ばさなかったが、それらもここと少しテイストが異なり、やや開けた景観を楽しむこともできるそうだ。
もしあなたがここに行き、時間があるならぜひブラブラと全区間を歩いてみてほしい。
僕もいつか、コロナが明けたらまた歩きたい。
短い時間ではあったが、名古屋の桜を見ることが出来て良かった。
情報をくれたバーテンダーさんやそこのお客さんに感謝だ。
ここから今日は、桜を見ながら東の静岡方面に走る予定だ。
幸先のいいスタートとなりそうだ。
ありがとう、名古屋の桜。
以上、日本6周目を走る旅人YAMAでした。
住所・スポット情報