週末大冒険

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ちょっと出かけてみないか。忘れかけていた、ワクワクを探しに。

No.385【大阪府】テントで80代の姉妹が営む「串かつ・どて焼 武田」!立ち飲み最高だぞ!

暮れなずむ町。

そこにポツンと明かりをつけ、串カツを売る1つの模擬店。切り盛りするのは80代の姉妹。お客さんはその店頭で立ち食い・立ち飲みをする。

もう50年以上、この光景が続いているという。

 

 

いいじゃないか、それ。僕もその脈々と続く歴史のひとこまになりたい。地域住民に半世紀愛されるその模擬店を、僕も愛したい。

…というわけで、冬・春・夏と3シーズン訪れてみた体験談をここに執筆しようと思う。

 

これ僕の持論なのだが、お店は3回訪問してようやくなんとなく雰囲気を知り、ブログ執筆できるに値するようになる。

まぁ初回訪問のみで執筆に突っ走れる店もあるのだが、それはある程度お店のインパクトがあったり特異なエピソードがあった場合だ。

だから僕は3回通いたい。今回、3回通えたのでこのお店のことを書こう。

 

おっと、これ以上は前置きが長くなってしまう。名店「串かつ・どて焼 武田」、ここはシビれるぜ…!!

 

 

冬の夕暮れは暖かくて

TVドラマ「孤独のグルメ」を知ってる?アレのシーズン6の第1話のエンディング近くでちょこっと出て来たお店が、この串かつ・どて焼 武田だ。

基本的には1話で1店舗しか出てこないこのドラマにおいて2店目が出てくる理由とは?たぶんだけども「2店目だけでは尺が持たないが、どうにか紹介したい」みたいな制作側の思いがあるのではなかろうか。

僕はこれを見て一目ぼれし、「いつか行きたい!」って思っていた。

 

少し時が流れた寒い寒い季節。僕は初めて武田を目指す。

 

冬は夕暮れ1

「どこかな…?」とキョロキョロする僕の視界に、既にそのお店は写り込んでいたのだがね。写真中央、光を灯すオレンジ色の布がその店舗である。「平野南海商店街」の入口近くに店舗を構えているようだ。

 

冬は夕暮れ2

開店直後なのかな?女性3人がお店の準備を整えつつも、同時に呼び込みをしていた。

これは貴重な光景だ。このお店、誰もお客さんがいない光景を見たのはこの1回切りだからだ。模擬店にしか見えない簡素な店舗なのだが、常にお客さんが途切れないというすごい実力店なんだぜ。

 

さて、お店を独占できる貴重なタイミングなのであるが、このときは僕はお店の前をスルーする。ちょっと先に優先したい用事があるからだ。

 

drive-ns.hatenablog.com

 

上記リンクを貼った「全興寺」ね。ここから数100mの距離にある全興寺に向かっていたのだ。もう夕暮れの時間であり、お寺の方を急がざるを得なかったのだ。

では、全興寺の見学を終えた続きを語ろう。

 

冬は夕暮れ3

紫色に染まる空。「光永寺」というお寺の外壁に寄り添って立つ武田のお店。そこが煌々と光り、数人のお客さんが群がって既に飲み食いしているようだ。ここまでふんわりと揚げ物のいい匂いが漂ってくる。食欲が刺激された。

あぁ、なんていい雰囲気。

 

冬は夕暮れ4

でも、あの4・5人いる中に入っていけるかな?いかんせん小さなお店なので、そんなにキャパシティは多くはないぞ。

でもせっかく武田目当てにここまで来ているのだ。行かない選択肢はない。

 

勇気を出して「1人、行けますか?初めてなのでよくわかんないですけど。」って声をかけてみた。みんな「どうぞどうぞ」とちょっとずつ詰めてくれた。ありがたい。

えっと、まずはどて焼きかな。あとはレモン酎ハイ頼もう。

 

冬は夕暮れ5

情報量の多い写真ですまない。でもいい席だった。

左側に写っているのがどて焼き。まずはすぐに提供いただけるそれを2本オーダーした。トロトロに煮込まれた牛すじ。口の中でとろける。でもガッツリ強い牛肉の味わい。コクのある脂。

これが酒に合わないわけがない!今日、車がなくって本当に良かった!

 

冬は夕暮れ6

お店にメニューはない。さっきの写真にも写っていたけど、カウンターの向こうには揚げる前の食材があってね。それを「〇〇ください」みたいに言うの。

パッと見ではわかりづらいものもあるけど、「それは何ですか?」って気軽に聞いてOKだよ。

 

冬は夕暮れ7

お客さんがオーダーすると、オーナーのおばあちゃんがその場で串カツを揚げてくれるよ。すごいスピードで作ってくれるから待ち時間はほとんどない。

 

ちなみに上の写真、もうどて焼きが空だよね。1つ前の写真からのほんのわずかな時間で、持ち帰りのお客さんが来て8本ほど注文し、なくなった。危ない危ない、いいタイミングだったな。

 

冬は夕暮れ8

シイタケとタコを頼んだ。揚げたてなのでアツアツのサックサクだ。ご覧の通り衣は細かくてフワフワタイプ。個人的にはザクザク系の衣よりもこっちが好き。

なにこれメチャうまい。どうしよう。

 

ところでこのお店、値段表示もない。聞けば答えてくれると思うけど。

イートインの場合は最後にお会計をするんだけど、串の本数でカウントされる。そして上の写真をよく見てほしいんだけど、下側の串カツには串が2本刺さっているよね?これは倍額商品ってことだ。タコは高価なのだ。

 

冬は夕暮れ9

続いてはウズラの卵・牡蠣・紅ショウガ。

ウズラの卵は大好物だよ。紅ショウガは関東ではあまり見かけないよね。揚げるとツンとする刺激も減ってうまいんだよ。牡蠣はジューシー。間違いない。

 

以上で1800円ほどだっただろうか?

すげーうまかった。冬の屋外ではあるが、火を使っているので暖かかった。お客さんと談笑して心も温かかった。

 

冬は夕暮れ10

お店を振り返る。まだまだお客さんはやってくる。

なんてすごい店だったのだろう。ごちそうさまでした。

 

 

まだまだ寒い春の夜に

 

暦上は春になりつつあるのだろうが、19:00ごろはまだまだ寒い時期。その店は暗闇にホタルのように灯っていた。

 

春は夜1

ちょいとこのお店を紹介していこう。

串かつ・どて焼 武田は、2024年時点で創業から55年になるそうだ。すごい長い歴史だ。よほどのクオリティで地域から愛されていないとここまで長続きはしないであろう。

 

創業者の方は途中で病に倒れ、ある時期からはその奥さんと妹さんにて切り盛りすることとなった。今も、80代のおばあちゃん姉妹と女性の方の3人で元気に営業している。

今回は3人の先客がいた。スルリと入り、瓶ビールとどて焼き2人をオーダーした。

 

春は夜2

このお店、営業しているのは1週間のうちでも月火水曜日の3日間だけである。そして営業時間は16:00~19:30の3時間半だけ。

さらに、こういう営業形態なので雨が降る日は営業しない。なので普通にサラリーマンをしているとなかなか行きづらいお店なのだ。こうして訪問できているのはとてもありがたいこと。

 

春は夜3

今回は19時ごろの訪問なので結構ギリギリのタイミングだったかもしれない。

あ、営業しているかどうか微妙なときは、食べログ等に掲載されている携帯電話番号に架けると教えてもらえるよ。僕もやったことある。心配な際には夕方にTELだ。

 

春は夜4

この時間でもどて焼きがたっぷりあって嬉しかったな。でも串カツメニューはやや少なめだった。

 

揚げものやどて焼きの調理を担当するお姉さんに対し、妹さんは下ごしらえなどを担当する。息の合った連係プレーも見ものだ。

お客さんの何割かは持ち帰りであり、地元の奥さんと思われる人が自転車を止めて串を数10本一気に購入したりもしている。大量の購入であっても素早く提供できている。すごい。

 

春は夜5

串カツはエビと牛ヘレにしたんだっけかな?もう気分が良すぎて後者はよく覚えていなくってすまない。

揚げあがったものは上の写真のように金属のバットで目の前に置かれるので、自分の皿に移動させる。ちゃんと火は通っているものの、不要に長い時間をかけていないのでしっかり中に水分が残っていてジューシーだ。エビもプリッとしていて弾ける食感。ビールが進む。

 

春は夜6

2・3種類ほどの巾着系のメニューもあったりする。油揚げの中は納豆であったりネギであったりし、聞けば中身を教えてもらえるよ。あんまりほかの串カツ店では見かけないメニューだよね?

これまた独特の食感でやみつきになる。

 

春は夜7

静かな夜に、カンパイ。

 

 

梅雨入り前の夏空の下

 

最後に最新の、2024年初夏の様子をお届けしたい。

日が最も長いシーズンだよね。本来であれば梅雨入りしている時期なのだが、2024年はなかなか梅雨が始まらない。

そんなこんなで、武田での青空を眺めながらの飲食が可能となった。

 

夏は夕方1

光永寺の壁にはまだ日が当たっている。太陽に照らされている武田、初めて見たわ。

だけども平日の明るい時間からもうお店の前には人がたむろしているぞ。みんな武田、大好きなのだな。何を隠そう僕もだ。

 

夏は夕方2

そういえば今朝はとんでもない豪雨だったのだが、ちゃんと営業してくれていてラッキーだった。驚異的な天候の回復に感謝。

雨上がりとあってか、夏なのだがそこまでは暑くない。夕方で気温も落ちてきて、ちょうどいいすごしやすさの中で串カツを食べられそうだぜ。

 

夏は夕方3

夏だからさ、まずはビールですかねぇ。瓶ビールをオーダーする。

ところでこのお店はアルコール類しか取り扱いが無いが、例えば「ソフトドリンクないですか?」などと一声かければ「あそこの自販機で買ってきて持ち込んでいいよ」などと言ってくれるそうだ。アルコール飲めない人も充分に楽しめるのでチャレンジしてみてほしい。

もっとも、僕はここに来るときにはしっかり飲めるシチュエーションを整えているけどな。我ながら意気込みがすんごい。

 

夏は夕方4

どて焼き3本だ。まずはこれでゆっくりじっくりと場の空気に体を慣らす。

いろんなお店でどて焼きを食べているが、武田のどて焼きはトップクラスだと感じている。お酒にももちろん合うが、機会があれば大量にご飯と共にかっ食らってみたい。絶対に最高。

 

夏は夕方5

まだ明るい時間だからか、食材が豊富だ。

ただしこんな時間だからこそ、商店街での買い物帰りの奥様が大量買いしていったりしている。串の取り合い戦争だ。

レバー・紅しょうが・からあげ・キスの4本を一気に注文した。陸・海・空全制覇してやんよ。

 

夏は夕方6

なんとテンションの上がる絵なのでしょう!今夜はごちそうだ!

持ち帰りのオーダーをして待っているマダムがこちらを見て思わず「揚げたては最高でしょう!?」って声をかけてきた。

太陽が東から昇るくらいに当然のことですが、うますぎなのです…!ここで今、酒と共にこれを食えてよかった!

 

夏は夕方7

冒頭で僕は、「グルメについてブログ執筆するなら3回通いたい」と書いた。

このお店には3回と言わずもっと通いたいけどな。

どて焼きも串カツもうまいし、なにより風情がある。みんなでワイワイしているこの空間が好きだ。

 

夏は夕方8

冬・春・夏と訪問履歴を得られたから、次に行くとしたら秋かな。オールシーズンコンプリートしたい。

まぁ夏もこれからが本番。こういう屋外の店舗で火を使う形態だと、調理側はきっと想像を絶する暑さであろう。おばあちゃんたちには体調に気をつけて続けてもらいたいな。

 

夏は夕方9

ちょいとくたびれたオレンジ色の模擬店。そこに大きく『串かつ・どて焼』の文字。50年以上続けてきた威厳すら感じるビジュアルだ。

 

一見すると入りにくそうだし「なんだこの露店は?」ってなるような店構えだが、とても居心地がよく美味しく、忘れられない空間。屋外だからこその、町との一体感。季節を感じながらの飲食。

遠方に住む僕にとっては、まるでお祭りに来たかのようなフワフワと浮かれる時間であった。

 

夏は夕方10

まだ日の沈まない光永寺沿いを歩きながら、鼻歌でも歌いたい気持ちだった。

 

以上、日本7周目を走る旅人YAMAでした。

 

 

住所・スポット情報

 

  • 名称: 串かつ・どて焼 武田
  • 住所: 大阪府大阪市平野区平野本町1-5
  • 料金: 1本150円前後?
  • 駐車場: なし。付近のコインパーキングを使用のこと。
  • 時間: 16:00~19:30(月火水のみ営業)