神社仏閣にそこまで興味の無かった僕であるが、「ここだけは行っておきたい!」と強く思って日本一周するごとに立ち寄っているスポットがある。それが「鵜戸神宮」。
日本3周目で初めて訪問したのだが、それ以来は皆勤だ。なんで毎回訪問しているのかというと、絶景だからだ。
鵜戸神宮の位置する日向灘は、もちろん他にも絶景ポイントはいくつかあるのだが、この青い海と南国植物と神社という組み合わせが他の追随を許さないアイデンティティだと思っている。これに惹かれるのだ。
では、かつての訪問記をちょいとダイジェストで執筆しようと思う。
【日本3周目】運玉投げてもぜんぜん入らんぞ
季節は11月に入ろうという夜明け前。僕は初めて鵜戸神宮に向かっていた。
まだ薄暗い時間だったのでよくわからんのだが、鵜戸神宮の駐車案内に従って車を進め、出てきた駐車場に愛車を停める。そしてこれまた看板の案内通りに階段をアップダウンすること10分ほどで神社の前に着いた。
本殿に続く大きな鳥居の前まで来たとき、参道からは海が見渡せ、昇ってきた太陽が眩しくって感動した。晩秋の朝日って心に染み入るよなぁ。いい1日の始まりだ。
では、参拝しますか。
…そしたら、アレ?参道にある神門が閉まっているんですけど!?早く着きすぎた?
動揺していたら、門の近くに同じように動揺している人を発見したので声をかけてみた。その人は「おかしいねぇ。6:30から開くって書いてあるんだけどねぇ…」って言ってる。
なるほどー、だとしたら今は6:45だから既に開いてないとおかしいですよねぇ…。
ちょっと僕は自分の目で門の部分の掲示物を確認しに行き、『秋~冬は7:00から』と小さな字で書かれていることを発見。良かった良かった、それならあと10分少々で開門だ。その人とオープンまでおしゃべりしながら待機することにした。
九州内からバイクで来ているライダーの人で、ここには既に何度か来ているらしい。「ここの景観の素晴らしいよ」って話と、「今まで一度も"運玉"が入らないんだよ」っていう話を聞いた。あぁ、なんか聞いたことあるな。玉を投げるんだよね??
7:00頃に巫女さんが門を開けてくれたので、ライダーさんと敷地内に入った。
しばらく進むとこの光景だっ!すごっ!!いや、Webだとかでこれまでも見慣れていた景色だけども、やっぱ自分の目で見ると違うのよ!
暖かい朝日を浴びながら、潮風に吹かれながら、眺めたこの景観。ちょっと写真と言葉だけじゃあなたには伝わらないぜ。
ライダーさんは「この下にある洞窟の中にピッチリと社殿が収まっているのだよ」と言っている。階段を下りて洞窟の中を覗き込んでみた。
おぉ、すごいな。洞窟の岩盤にスッポリピッタリ社殿がある。洞窟の中は思ったより広いけど、社殿も予想以上にデカい。
もうちょっとゆとりをもって社殿を建ててあるのかなって思っていたけども、限界ギリギリを攻めてるぞ、この設計士。
ライダーさんと共に社殿の周りを一周した。裏側は狭いし暗いしで、結構ワクワク。
じゃあ、最後にさっき開門を待っているときに話を聞いた運玉を投げるか。
運玉っていうのは粘土製の玉。5個で100円だ。お手頃な価格。まずは購入。
その運玉を、洞窟の入り口から見下ろす岩のくぼみに投げ入れて、見事に入れば願いが叶うというのだ。
だが、男性は左手、女性は右手で投げなければいけないそうなのだよ。マジか。左利きの男性が有利だなぁ。腕力であれば男性の方が女性より勝っていると思うが、岩のくぼみまでの距離はそこまでの腕力はいらない。必要なのは精密性だ。
…つまりこれ右利き男性の幸福率がなかなかにシンドいよ。
でもまぁ僕ってゆくゆくはプロ野球選手になる人と同じ学校に通っていたこともあるから、なんとかなるかも。野球はしたことないしルールもあんまりわからないけど。
距離は10mくらい?結構強風。チャンスは5回。レッツ・トライ!!
…はい、予想通り全敗ね。左手じゃ無理。かすりもしねぇ。
ライダーさんに「僕も負け組みに入りました。ブハハハハ…。」みたいな報告をし、別れを告げた。いいの、幸運は自分の力で引き寄せるのよ。
【日本4周目】運玉投げなくても結果はわかる
まだ暑さも全く衰えない9月の初旬にも訪れた。
アップダウンの激しい階段をテクテク歩いて社殿に向かった。あぁ、そうだった。こんな感じの長々としたアプローチだったなぁ。暑…。
海際の神門。前回は早朝すぎてここでしばらく足止めを食らったな。
ここからはフラットな一本道が本殿直前まで続くのだよ。こっからの光景、大好き。
海ギリギリの断崖に沿った参道。こんなにも海を感じれる参道ってあんまりないよね。
しかも参道の脇の植物、南国植物なんだよ。松とか風流なヤツではないんだよ。それがいい。宮崎まで来たっていう実感をヒシヒシと感じさせてくれる。
はい、すっごい光景!写真では見切れているけども、このすぐ左側に洞窟がある。
種類としては海蝕洞。つまりは長年の波などで削られてできた洞窟だね。昔はこの写真に写っている部分、全部海だったのであろう。今も大波が来たら飲み込まれそうだぜ…。
そして下り宮っていうらしいんだけど、本殿まで下っていくタイプの珍しい神社。本来は神様は僕らの上の方に鎮座するから参道を歩いて階段を登った先に本殿があるんだけど、ここは逆パターンなんだ。
あぁ、この風景が狂おしいほどに好き。岩礁地帯と南国植物、朱塗りの社殿。こんなにも見事な南国風神社は、ここ以外では同じ宮崎県内の「青島神社」くらいしか思いつかないよ。
この光景を見るだけでも、ここに来れた意味があると深く感じる。
亀岩。これは運玉を投入れるのに利用されているバスケットゴールのような役割の岩だ。
岩に空いた穴の中をよーく見ると、上の写真でも多数の運玉が沈んでいるのがわかる。穴の周辺は夢が散った運玉の破片がいっぱいだ。前回と違い、訪れる人の多い時期・時間帯だからこうなっているのかな?
社殿脇には巨大な運玉オブジェ。力強い「運」のフォント。努力とか成長とか、そういうのは不要なんだよ。「運」なんだよ。…そう言いたげな顔をしている。
「僕も投げようかなー、どうしようかなー」って思ったんだけど、周囲にいっぱい投げている人がいたのでやめた。
だってさ、みんなが「惜しい!」とか「入った!」「頑張ってー!」とか行っている中で1人で淡々と投げるのは寂しいじゃない。1人で黙々と投げて全部入ったら最高にクールだけど、僕ってばたぶん全弾外すでしょ?いたたまれないじゃない。
では、洞窟の中の本殿を参拝しグルッと洞窟を一周しようね。Web情報によるとこの海蝕洞の規模は東西38m・南北29m・高さ8.5mなのだそうだ。
1700年代の最初の頃に建てられたものを何度か改修しているとはいえ、当時のまんまのデザインと造りを維持し続けているので歴史的・文化的価値が非常に高いのだとか。有形文化財にもなっているよ。
そして創建されたのは第10代天皇の「崇神天皇」の時代とも言われているのだ。崇神天皇って、紀元前から紀元後の西暦にまたがるときの人。第9代目の天皇までは実在したかあやふやで、10代目から実在の可能性が高まると言われているくらいの人。
そんな時代からここに神社があったんだね。果てしない。
これは洞窟内の本殿の左側にある皇子神社という社。洞窟内にはこういうのが他に2つほどある。
はい、これにて参拝終わり!夏を感じられるホットな参拝だった!!
【日本5周目】初詣シーズンは気をつけろよ!
まだ正月気分の抜けない1月の3連休のことだった。
国道220号のいつもの道から神宮に行こうとすると誘導員の人がいて、「あっちの道に行くと神宮の近くの駐車場まで行けますよ」って案内してくれる。だからそれに従ってみた。
そのあと「あっ、初詣シーズンで混雑しているのだな。だから誘導員がいるのだな。」ってようやく気付いた。
渋滞エグい。そしてアホみたいに狭い。誘導員の人がキッチリ片側交互通行にしてくれているんだけど、それでも狭い。
これ、今が初詣シーズンだから誘導員の人が交互通行にしてくれているのだろう。普段だったら対向車来るのかな?だとしたら絶対に愛車のHUMMER_H3では入れないぜ。
交互通行のために対向車が待っているエリアとかも、擦れ違いギリッギリ。
狭い狭い。景色だけは最高だけどもな。ここの海岸にも「鬼の洗濯岩」っぽい形状があるのだね。「鵜戸千畳敷奇岩」というらしい。渋滞だからこそ気付いた。
しかし「ここに来たのは間違いだったかな…?」みたいな気持ち。わざわざ初詣に来たいとは思っていなかった。ただ道すがらあるから寄っただけだった。これまでも来ているし、これからも来るだろうから、今回はスルーした方が正解だったかもしれん。
でも思ったほど時間はかからなかったかな?
国道を反れてから10分少々で駐車場に到着した。これまで駐車していたのは「鵜戸神宮観光駐車場」で、今回のここは「鵜戸神宮 参拝者第二駐車場」だそうだ。
広い駐車場は満車に近かったけど、停めにくいような狭さではなくてホッとした。
しかしここから社殿までは徒歩10分ほど。
最初にこの駐車場を案内してくれた誘導員さんは「こっちのほうが近いよ」って言ってたけど、あんまりいつもと変わらんね。気持ちのいい天気だから別にいいけど。
遊歩道や石段をテクテク上り下りし神門の前まで来ると、そこにはいくつかの模擬店も並んでいた。あぁ、食欲が刺激されるぜ…!
続いては桜門。周囲にいる参拝客、過去一多いな。そりゃそうだ。全国的にも知名度の高い鵜戸神宮の1月前半の週末だものな。
みんな「初詣するぞ」っていう確固たる意志を持って歩いているのだろう。「気づいたらここに来ていた」なんていうゆるフワな気持ちで歩いているのはきっと僕だけ。
参道越しの海、綺麗。
この海を眺められただけでもご利益がありそうだ。ここで初詣ができるという引き合わせに感謝しよう。
洞窟を見下ろす最後の階段のところから、まさかの大行列が発生だ。
なるほど、確かに袋小路の洞窟にある鵜戸神宮。そこにあれだけ渋滞作って駐車場をパツパツにしていたほどの人数が来ているんだもんね。そりゃキャパオーバーだわ。
ゆっくりと列が進むのを、この綺麗な海を眺めながら待とうじゃないか。
この写真に写っている人間密集ゾーンが運玉投げポイントだ。みんな運玉を投げるからなおさら周辺が混雑している。
そりゃ新年一発目、運玉チャレンジしたいよなぁ。僕はしないけど。新年から絶望したくないから。
本殿のある海蝕洞の入口までやってきた。うわー、混んでる混んでる!もう入る人と出る人とがゴッチャゴチャになって朝の新宿駅みたいになっている。
でもこういうの、好きかもしれない。なんて活気があるのだろう!みんなで新年を祝おうぜ!いい年になりますように!うん、きっとなる!!
ちょうど昼どきではあるが、冬の低い日差しは洞窟内の本殿をも照らしてくれていた。人込みの中で初詣をし、いつものように本殿の周囲をグルリと歩く。
まぁこんな感じで、ここまで「車が多い」だの「人が多い」だのと言ってきたけど、正月三が日は当然こんなレベルじゃないらしいな。
駐車場まで2時間渋滞とかもありえるらしい。しかも道が狭いから途中でUターンして離脱することもできないしね。立地上ここはしょうがない。断崖の上の神社なのだから。
行くならカクゴしろと。そういうことだね。
腹が減ったので模擬店で宮崎県のご当地グルメの肉巻きおにぎり。明太マヨトッピングバージョンだ。カロリーのバケモンだな、これ。パワーがみなぎるに決まっている。
そして再び駐車場から車で国道に向かうんだけど、行きと同様にキツキツの渋滞。
復路は若干コースが違くって、誘導員に「こっちです」と言われた方に行ったら、小さな漁港みたいなところのすんごい狭い登り坂を通ったりした。僕の大きめの車だとなかなかにスリリング。
そういう、ある年の初詣のお話。
【日本6周目】新時代、猛暑日の青い空の下で
時代が"令和"になって最初の年…。
まだ僕は日本7周目にて宮崎県はあまり走っていない。ちょこっと足を踏み入れただけだ。だからこの日本6周目が、2024年現在で直近の鵜戸神宮訪問だ。
暑い日だ。個人的には今シーズンで一番暑いと感じるくらいだ。まぁ夏休みなのだから暑い方が盛り上がると信じている。
そして前回の初詣シーズンに大渋滞した海沿いのこの狭い道も、今回はスイスイだ。愛車も歴代最小なのでどんな道も怖くない。
鵜戸神宮には、そこまでキャパは広くないけども「鵜戸神宮 参拝者第一駐車場」っていう、一番本殿に近い駐車場がある。
他の駐車場は大体アップダウンが多くって石段を経て行くのだけども、ここだけは完全フラットだ。ようやくここに車を停められる日が来たよ。
何度も歩いて、何度も同じような写真を撮っているこの道だけど、季節が変われば感じる風も違う。僕の感じ方もそのときどきで違う。だから毎回来ちゃうんだね、きっと。
ほら、時代も新しくなったしね。令和時代という言葉にも、最近はずいぶんと慣れてきたよ。
新たな時代を歩み始めた日本。どんな時代になるか楽しみであると同時に、僕ら自身が時代を作っていかねばという思いもある。
強烈な南風が吹いていて、南国植物は揺れ、波の飛沫が参道まで飛んできていた。
今は快晴ではあるが、数日後には災害級の巨大台風がここ宮崎にも襲い来るという…。さて、その後の僕の旅路はどうなることやら…。
巨大な波が迫りくるような雰囲気の本殿海蝕洞。ちょっとドキドキしちゃう構図だよね。今日は本当に風が強い、波が高い。
襲い来る波による泡で、海一面が真っ白になっている。参道内にある玉橋から、このワイルドな光景にしばし見とれた。
階段を下ってきてから、その玉橋を見上げる。36枚の板を釘を使わずにつなぎ合わせて橋にしているそうで、神橋とも呼ばれるそうだよ。実際に橋を歩いているとあんまり存在感を感じないんだけど、下から見上げるとなかなかのインパクト。
運玉の構図を横から撮影した唯一の写真もここでご紹介しよう。
左が投手陣。右端の岩に縄で囲った部分が見えるだろうか?あそこがゴールだ。
こうしてみると割と距離あるよな。コントロールも必要だし、軽い粘土の運玉は風に流されるから、風を読む力も必要かも。いや、やっぱ運も必要だよな。実力だけじゃ人生ってうまくいかないものよ。巡り合わせ。運玉と岩との巡り合わせ。
本殿を参拝するんだけど、もう何度も掲示している写真なので割愛しよう。洞窟内から見た外界の写真だけ1枚UPしておく。
こうして日本3周目から毎回キッチリ訪問している鵜戸神宮参拝、今回もめでたく終了だ。
最後に一箇所紹介したいスポットがある。
鵜戸神宮 参拝者第一駐車場・第二駐車場を使用する際の海ギリギリのルートを使ったときだけ見られる、「鵜戸埼灯台」だ。
ここの灯台がユニークなのよ。上の写真ではわかりにくいかもしれないけど、左側にほんのちょっと空き地があって車数台停められるよ。
すごいでしょ。石灯籠をモチーフとしたデザインの灯台なのだ。
常夜灯みたいなガチな古代の灯台を除き、現代の灯台で灯籠タイプって他には知らない。全国の岬という岬を巡っているけども、これはとてもレアだと思う。
あなたも鵜戸神宮に行くチャンスがあったら、ぜひここも立ち寄ってみて。
日本7周目において、まだ九州南部の多くを走り残している僕。大好きな日向灘沿いを走りながら、また鵜戸神宮の絶景を眺められる日を楽しみにしているよ。
以上、日本7周目を走る旅人YAMAでした。
住所・スポット情報
- 名称: 鵜戸神宮
- 住所: 宮崎県日南市宮浦3232
- 料金: 無料
- 駐車場: あり
- 時間: 6:00~18:00(季節によって変動あり)