九州最大の湖である「池田湖」とその周辺は、芳ばしいスポットがいっぱいで僕は大好きだ。
まずは”イッシー”という未確認巨大生物が生息しているという伝説がある時点でスパイシーな気配を窺い知れるし。さらには今回メインで取り上げたい「黄金の鳥居」は2020年に爆誕したクレイジーな珍スポットだから、たぶんあなたの琴線にもブッ刺さると思う。ブッ刺さって抜けないくらいになると僕も喜ぶ。

「開聞岳」をバックに眺めるととても美しい池田湖。
何度か訪問したことあるが、快晴の中を観光できた2025年の最新情報をメインにご紹介したい。
玖珏神社の池田湖展望台
まずは「池田湖展望台」について触れたい。ここは黄金の鳥居から直線距離で2㎞ほど北に位置する。ちなみに2025年現在Googleマップには存在しないので、行きたいならば「玖珏神社」を目指してもらえれば良いと思う。

黄金の鳥居を目指していたところ、上の写真の"池田湖展望台"の文字が目に入ったので、急遽車を停めたのだ。玖珏神社の敷地内に展望所があるらしい。
参拝がてら池田湖を眺めようじゃないか。

誰もいない草むらが印象的な写真になってしまったが、きれいな神社なので心配召されるな。草もちゃんとカットされているし社もピカピカだ。
説明版を読んでみると、祭神は猿田彦命だそうだ。沿革を読んだら日本書紀までさかのぼる壮大なストーリーとなっていたが、僕の頭ではよく理解できなかったので割愛する。
社殿が建立されたのは1700年代だそうだね。思ったより歴史がある。

いろいろ赤い。賽銭箱も赤い。南国植物がフレームに入るだけで「さすが九州」って感じがする。ここで旅の無事を祈願した。
では、本題の池田湖展望台だ。実はここは高台に位置しており、敷地の一番端の崖っぷちから池田湖を臨む構図のようだ。

木のベンチしかない簡素な展望台である。…が、眺めはなかなかだ。
"池田湖展望台"という名前ではあるが、池田湖自体は木々に隠れてそんなには見えない。むしろ開聞岳の眺めがいい感じだよね。
あ、この眺めを見てピンと来た。財布から旧1000円札を取り出した。

これはーー!!ドンピシャ!!1000円札の風景画のもとになった場所はやはりここだったか!!
…っていうのは冗談だ。この風景画は「本栖湖」から臨む富士山であることを知っている。だが、開聞岳は"薩摩富士"と呼ばれている山。見方によってはこの1000円札の構図に近しい写真を撮れるのではないかって思ったのよ。

山から湖に至るまでの横のストライプにちょいとシンパシーを感じたものの、やっぱ本場の富士山の風景画には及ばなかったかもな…。
でも、開聞岳と池田湖のコラボも素晴らしいのは事実。ここに来れてよかった。
珍スポット、黄金の鳥居
黄金の道と転がるコイン
改めて黄金の鳥居を目指す。湖畔に向かってどんどん坂道を下る。

あー…。察しが悪い人でも察してしまうほどに、B級テイストのあふれる看板だ。『パワースポット』・『伝説の昇龍』、中二は喜びそうなワードであるが、大人はこれにきな臭さを感じてしまう。
いや、失礼。ワクワクはしているのよ。何事も自分の目で見ないと判断できないってのはわかっているのよ。でもなんか脳の片隅でパトランプが回っているだけ。ただそれだけ。

開聞岳を正面に、ローカルな道を進んでいく。
結論から言うと、この道は黄金の鳥居に行くためだけの道であり、鳥居のところで行き止まりになる。だから今後同じ道をたどるであろうあなた、ちょっと不安になるだろうけども信じて突き進め。

着いた。景色はすごくいいのだが、「最高ですね」とシンプルに口にはできない事情がある。
スポット名の通りなのだが、黄金の鳥居がズドンズドーンとそびえているからだ。なんか大小でいくつかの鳥居がある。キラキラしすぎてて逆にありがたみが控えめというか奇妙というか、もしかしたら僕、眉間にほんの少しシワが寄っていたかもしれない。
…とりあえず冷静に見学してみっか。

巨大な鳥居が2つ、重なるように配置されている。一般的には神社の名前が記載される"神額"の部分には、いずれも『金豊龍』と書かれている。
あ、これね、ネタバラししちゃうと製作者のおじいちゃんの名前”豊”から取ってこのように表記されている。ここはユニークな思考のおじいちゃんが1人で作り上げた”黄金の鳥居”という名前のテーマパークだと思って、この先を見ていただくと話が頭に入ってきやすいと思う。
だから本物の神社ではないよ。ありがたいものかどうかも、個人個人で判断すればいいと思うよ。

巨大鳥居の左側には小さな鳥居がある。
上の写真、向かって左は"黄金の道"と名付けられている。中央の核弾頭みたいなものは"かいもん岳"というらしい。てっぺんのシルエットは開聞岳をモチーフとしているのだろう。

小さい鳥居と、その先の核弾頭に空いた穴をくぐり、さらに横にあるブースに設置されている打ち出の小槌でプレートを叩くと、金運に恵まれるのだそうだ。
小さい鳥居はくぐることが容易だが、核弾頭の方はなかなかに狭くて万が一にも詰まってしまったらヤバいことになる。周囲には誰もいないし。なのでリスクを鑑み核弾頭はくぐるのをやめた。

条件は未達成だが、念のため打ち出で小槌で黄金プレートを叩いておいた。金運には恵まれたいし。ポチョンポチョンと頼りない音が鳴った。よろしく、金豊龍。

巨大鳥居の右側には、"金豊龍川"というギミックがある。
右手の金の壺の中のレールに、小銭を立てた状態でセットして手を放す。その小銭が倒れることなくレールの上の転がりながら進み、左のアクリル板の隙間から下に落下すれば、『自分にも大金が流れ込んでくるでしょう』とのことだ。
アクリル板の隙間に落下してしまったら、僕らはもうお金を回収できない。回収できるのはオーナーであるおじいちゃんだ。『自分にも大金が流れ込んでくるでしょう』って、まさかおじいちゃんのことか?
何度かチャレンジしてみたが、非常に難しい。小銭が倒れることなく1mほど転がるなんて、数%レベルの奇跡だろう。なので僕は良くも悪くもここではお金を失わずに済んだ。
湖畔のドラゴンと玉入れギミック
前章の写真を見てあなたがお気づきになったかどうかは知らないが、実はさらに湖畔に接近できるんだ。湖畔まではあと100m弱くらいあるんだ。

湖畔までやってきた。相変わらず池田湖と開聞岳の眺めは最高だ。
黄金の鳥居はさらに2つ登場した。ちょっと手前の鳥居の上の部分を見てほしい。気になるものが乗っているんだ。ちょっとズームしてみようか?

わわわ…。ザルだ。3つある。そして中には茶色くて丸いものがワラワラと入っているようだ…。
これが何かというと、玉入れだ。そしてザルじゃない、"黄金かご"という名前だそうだ。いや、全てに"黄金"とか"金"とかってネーミングすんなや…。
…という話はさておき、玉をあそこに投げ入れ、1発で入ったら金運が爆上がり。そしてたぶん3つのザルには大吉・中吉・小吉という設定があり、それぞれに応じた量だけ金運が上がるのだそうだ。

その玉がどこにあるかというと、すぐ近くに無人販売ブースがある。100円で5つを購入できるぞ。これ、おじいちゃんが夜なべしてこねたのかな?
で、なぜ玉を買うのかというと、現金を投げてザルに入っちゃったら、おじいちゃんが回収するのが大変だからだろうな。それがさっきの小銭コロコロレールとの違いよ。僕の妄想だけど。

コイのエサやり場もある。エサももちろん有料だ。
僕はやらなかったが、池田湖ってコイもいるんだね。イッシーだけじゃなく。

これまたさっきの玉を使ったアトラクションがあった。
玉を投げて、鳥居の上の輪を経由させつつ湖上のプレートに命中できたら、災難を免れるのだそうだ。鳥居ってホント、何にでも使える便利なツールなのだなぁ…。

これは説明書きを読む限りだが、パイプで角度を定めつつ、その中に玉を入れるんだと思う。パイプの反対側の湖上にはカゴがあり、そこに玉が入れば金運UPとのことだ。
ここまでのアトラクション全部成功したのなら、たぶんアラブに行けば確実に油田を掘り当てられるくらいの金運を得られていると思うよ。

いろいろ情報が多すぎて触れるのが遅くなってしまったが、鳥居の向こうにいた黄金のドラゴン2体についても触れないわけにはいかないよね。
これは龍噴水といって、口から水を噴射する装置のようだ。マーライオンのドラゴンバージョンだ。傍らに100円を入れると動く機械があるので、見てみたいのであればお金投入だ。ごめん、僕はやらなかったのだけど。

この龍だけクオリティが高いな。噴水機能を持っているということもあり、おじいちゃん自身が作ったのではないように思える。
…せっかくだから起動させてみればよかったな。またいつか行ったらジャンジャン金使おうかな。

湖畔については以上だ。
実はさらに奥の方、今は立ち入り禁止なんだけどもあれこれ造作されつつある。僕の訪問時にも遠くでオーナーのおじいちゃんらしき人が作業していた。
ここ数年でどんどんこういうアトラクションが増えているそうなので、あなたが訪問した際には億の新エリア、OPENしているかもしれないよ。

湖畔から振り返った、前章での巨大鳥居だ。
あ、これでお話はおしまいではないぞ。平地エリア、湖エリアをご紹介してきたが、次は上の写真の奥に見えている山エリアに行ってみるんだからね。
オーナーのおじいさん、バイタリティすごすぎだな。もう80代だそうなのに。
洞窟の龍の巣と金豊龍神社
次は駐車場~山の斜面にかけてのエリアを見ていこう。

もうすっごい小屋がある。温泉黒にんにくの自販機があったり龍のたまごを売っているとの札が出ている。右端にはもはやおなじみの金の鳥居がチョコンだ。
2階には軽食を売ってそうなブースもある。ソフトクリームのオブジェがあることから、夏場はソフトクリーム販売しているのかな?あと、Webを調べたら黄金うどんっていうメニューもあるそうだ。この時間はやってなかったけど。
おじいちゃんが販売するのかな?それともスタッフさんを雇うのかな?気になる。

販売所の中を覗く。キーホルダーが売られていたり、金ピカの燻製たまごが売られていたりだ。
もう幅広く何でもやっているのだな。オーナーのおじいちゃんのバイタリティがすごすぎる。3歳くらいの子供がハサミの使い方や図画工作を覚えると無制限にカオスなアートを製造し続けるが、それのおじいちゃんバージョンって感じだ。ブレーキ、ブッ壊れてやがる。好き。

販売所2階のカフェエリア手前まで来た。金のアーチの頭頂部にはいびつなハートが鎮座し、その足元にはチューリップが植えられている。
「どうだ!SNS映えするだろう!女子どもはここで写真を撮れ!」というおじいちゃんの心の声が聞こえてきそうだ。本来は鳥居にしたいところを、カフェなのでここだけはアーチにしたのかもしれない。そういうところも好き。

『洞窟の中おこへた龍の巣』。
僕も人間界に降臨してそこそこの年数が経つのだが、この札については何が言いたいんだがよくわからない。でも坂道の先に洞窟があるってことはなんとなくわかったので、そちらに行ってみよう。

金豊龍神社だ。洞窟の中を神社に仕立て上げているようだ。ここにもオシャレな金色アーチが見えている。鳥居はどうした?神社だぞ。
で、さすがに中は真面目な感じかなって思ったら、ここも遊び心と商売っ気に満ち満ちていたぞ。

金豊龍お守りの無人販売。5円玉がくっついている。先の見える5円玉からあなたの未来を覗くのだそうだ。僕は未来どころか現在も見えていない。なのでお守りはいらないかも。

なんか本格的なギミックがある。
100円機械に入れて急いでハート形の穴を覗くと、暗闇の中にいる龍が15秒ほど動くという仕組みのようだ。そういえば洞窟の入り口にも『動く龍の巣』って書いてあったな。それはこれを指していたのか。

100円を入れない限りは、この穴の向こうは真っ暗で見えない。少し気になるが、100円を捧げるほどではないかなって思って、この時はやらなかった。今から思えばたかが100円、ここで使うべきだったかもしれない。
それと、一瞬「フラッシュとか使えば内部がわかるかな?」って思ったけども、止めておいた。いつかちゃんとお金を払って中の真相を知るのが筋ってもんだよね。

あと、金の小槌を使って鐘を叩いたりした。僕の手を見てほしいのだが、盗難防止用のためかアクリルボードに穴が開けられており、そこに手を突っ込んで鐘を叩くのだ。
だが穴の開け方がワイルドなので、雑に手を動かすと手首から先を持っていかれるぞ。

なんだかよくわからないご本尊。左は招き猫か?こんなにも邪悪な笑みを浮かべた招き猫は初めて見たよ。お金への執着心がすごそうだ。

さて、これで大体全部だ。
チープかもしれないし、くだらないかもしれない。そういう意見もあるだろう。だけども、こういうのを愛でる心の余裕が現代人には必要なんだよ。
さらにここ、珍スポットのお手本のようにその要素のすべてを兼ね備えていると感じた。それをつらつら書くと記事が長くなりすぎるからやめるけど。
しかもここ数年で誕生した上、どんどん進化しているんだ。ここは押さえておいた方がいいぞ。人生の糧になるぞ。

最後に、晴れやかな景色を眺めながらベンチで持参したお茶を飲んだ。ようやく普通の展望スポットとしての楽しみ方をできたかもしれない。
池田湖パラダイスのイッシー
最後に池田湖のイッシーについて触れていこう。もちろん「ネス湖」のネッシーが名前のモチーフだ。1960年代初頭に最初の目撃談があったらしい。
湖畔にはそのイッシーの巨大な像がある。過去にも何度か訪れて記念撮影しているが、今回再び見に行こう。

これだ。イッシーは10mとも20mともいわれる恐竜の生き残りのような存在。そしてラクダのように背中に2つのコブがある。
だけども実際は「大ウナギの見間違いでは?」とか言われているよ。池田湖には2mにも及ぶ大きなウナギがいるので、それとイッシーの背中を混同したという説が有力だ。真相は知らんけども。

1970年代くらいに流行った"〇〇ッシー"という各地の湖の未確認生物だが、もう流行も去って久しいね。このイッシーも劣化が目立ち始めている。
僕、イッシーの実在にはあんまり興味はないけど、このオブジェは好きだよ。また会えてうれしいよ。

このイッシー像は「池田湖パラダイス」というドライブインの駐車場にいる。とても年季の入ったレストランだ。
僕はこのレストランを眺めながら、同行者に「このお店も昔からあるが、ずいぶん古びてきたので次に来るときはないかもしれないな…」と呟いた。本来はこんなことブログには書けない縁起でもないことだが、事実2025年の8月末、つまり半月ほど前にここは閉鎖してしまった。
なんてこった。この写真を撮ってからわずか5ヶ月後だ。

1950年代にOPENし、イッシーブームの時には多くの観光客が訪れ、そして池田湖名物の大ウナギも数匹飼育していたというドライブインだ。会長が春に亡くなり、副社長もケガで動けなくなってしまったことが閉鎖の原因だという。
イッシー像はどうなる?撤去されてしまわないかが気がかりだ…。

生まれるスポットがあれば滅びるスポットもある。だから同じスポットでもまた訪れたいと思うんだけどね。
あ、レストランの対面の花畑、とても綺麗だったよ。
以上、日本7周目を走る旅人YAMAでした。
住所・スポット情報
- 名称: 黄金の鳥居
- 住所: 鹿児島県指宿市池田3146-8
- 料金: 無料
- 駐車場: あり
- 時間: 特になし