青森の市街地。
そこには「ここはホントに令和かな?昭和じゃないのかな?」みたいな雰囲気と価格設定の惣菜屋さんがある。
僕は何度も訪問しているが、一食で350円以上を使ったことが無い。
そしてここ、店内でイートインができるのだ。
その場で選んだ惣菜を山盛りご飯でムシャムシャ食べられる幸せ。
この幸せ、あなたにコッソリ教えたい。
いいか、ここだけのナイショだぞ。
「惣菜田中」。
郷愁と共に母親の背中を思い出すような、暖かいお店だ。
ぜひ心に刻んでくれ。
- ノスタルジックな惣菜屋さん、見つけました
- ガッツリしょうが焼きご飯、350円
- 好きな惣菜を選んでみよう、350円
- 木枯らしの中で再会、ブタ丼は300円
- 青森の寒さが牙を剥く、カレーは200円
- 春の兆しの惣菜田中、ずっと350円
- 住所・スポット情報
ノスタルジックな惣菜屋さん、見つけました
まだ残暑が厳しい季節の昼間のことであった。
僕は青森の町中を歩いていた。
昭和通りだかニコニコ通りだが、そんな感じの路地のようだが、ここはノスタルジックな風景が多く見られるなって思った。
文字通り昭和っぽいぞ。
物心がつくギリギリ前くらいに住んでいた小さな町。
その町も路地が多く、小さな商店がところどころにあったような気がする。
左側の服屋さんの雰囲気がいいな。
今回ここにやって来たのには目的がある。
冒頭で店名をご紹介した惣菜田中を目指していたのだ。
昭和レトロでいい感じの総菜屋さんでイートインもできるというから、興味本位で覗いてみようとなったわけ。
もうその惣菜田中が見えてきたぞ。
右手奥の「珈琲舎」の1つ奥だ。
なかなかである。
スーパーの惣菜コーナーには慣れている僕ではあるが、そんな僕が今まで経験したことのない惣菜屋さんだ。
入るのに勇気が必要な方もいるんじゃないかと思う。
この店、看板すらない…と思いきや、店舗左側の「それはどういうスペースかな?」って部分にちゃんと『惣菜田中』と書かれている。
わりと控えめな店名アピールだ。
これ、萌えポイントだからよく見ておけよ。
店頭のメニュー板。
松ぼっくりやドライフラワーやツタでデコレーションされ、店主の趣味の良さがうかがえる。すげーかわいい。
『がっつり食べたいあなたにしようがやきごはん セットで350エン』
『少食なあなたに300エンからお食事できます』
ガッツリ食べて350円かよ!どうなってるんだ!
…って思った。
木曜日には野菜の巾着が登場し、金曜日はシーフードカレーやスパゲッティがあるらしい。
その他の日は日替わりでいろんなものがある。
いずれもワクワクするラインナップだ。
縦の木札で書かれた『がんばるあなたに応援』の文言も嬉しいね。
店主さんは聖人かな?
では、初入店してみよう。
近所の人しか来なさそうなこのビジュアルにちょっとだけドキドキしながら、僕は店のサッシを開けた。
ガッツリしょうが焼きご飯、350円
わぁ、なんてステキな空間だ。
一歩店に足を踏み入れた僕の視点が、以下の写真だ。
4坪ほどの狭い店舗。
そこの中央にテーブルが置かれ、大皿に数種類のおかずが乗っている。
見ただけで体が喜びそうなラインナップだ。
早速だが、このお店での過ごし方、イートイン編をご説明しよう。
平たく言えばバイキングスタイルである。このテーブルにあるもの、好きなものを好きなだけチョイスできる。
お店の壁際にはこのようにお皿がたくさん置いてあるから、まずはここから好きなお皿を手に取る。
次に好きな惣菜をお皿に盛りつければいいのだ。
盛りつけたら店内にいる店主のおばあちゃんに「これ、中で食べたいからご飯もよそってもらえますかー?」みたいに言えばいい。
おばあちゃんはお皿を見て値段を教えてくれる。
後払いの人と先払いの人がいるが、僕は最初に払うことにしているよ。
そしたらイートイン用の席が数席あるので、そこで食べればよい。
お茶は入口脇のポットに入っている。
食べ終わったら食器を下げるコーナーがあるが、ちょっとわかりづらい。
おばあちゃんに気軽に「食器どうすればいいですかー?」って言えば受け取ってくれるだろう。
さて、偉そうに常連っぽいことを書いてしまったが、初回の僕はアワアワしている。
「えっとー、惣菜を選ぼうかなー…」とオドオドしていると、おばあちゃんが「もう今日は惣菜少ないから、良かったらしょうが焼きを作ろうか?」って言ってくれた。
あの店頭書いてあった『がっつり食べたいあなたにしようがやきごはん セットで350エン』のことだ。
惣菜を選んでみたい気持ちもあったけど、ガッツリしょうが焼きも食べたい。
では、作って下さい。
すぐにアツアツのしょうが焼きが出てきた。
ご飯とセットで350円だ。汁物はないが、すさまじいコスパである。
「安い!」と驚くと、おばあちゃんは「若い頃に稼いだからね、今はみんなに恩返しをしているのよー」と穏やかに答える。聖人か。
しょうが焼きというより、回鍋肉に近いかもしれないな。
タレは甘めで多め。お肉はジューシ―。
ご飯が進むぞ。てゆーかご飯、大きめの茶碗にかなり豪快に盛ってある。
まだ暑い日、店内の扇風機の風を浴びながらしょうが焼きを食べる。昭和の風景みたいだなって自分で思った。
お腹いっぱい。
ガッツリの名に恥じないランチとなった。
おばあちゃんにごちそうさまと言い、お店を出た。
「ありがとねー」とおばあちゃんが優しく微笑む。
次に機会があったら、今度は惣菜を自分で選んでみよう。
好きな惣菜を選んでみよう、350円
野望を叶えるべく、僕は惣菜田中を再訪する。
今日もいい天気だ。
田中総菜のピンク色の屋根が目に眩しいね。
店内には2人ほど先客がいた。常連さんかな?黙々と食べている。
さらには持ち帰りの人もきた。
大皿の脇に積み重ねてあるパックに自分でおかずを取り、おばあちゃんに会計してもらうシステムのようだ。
惣菜田中の営業時間は11:00~14:30。
ただし経験上、13:30を過ぎるともうおかずはかなり少ない。
いろいろ選ぶのであれば12:30くらいまでに入りたいところだ。
さて、今日はいろいろあるぞ。目移りするなぁ。
皿を手に取り、何種類かを盛りつけた。
サラダと玉子の炒め物と、からあげみたいなものと、エビフライと、ダシ巻き玉子みたいなものと…。
たぶん聞けば教えてくれるのだろうが、チョイスする材料は料理のビジュアルだけだ。
どんなものか、どんな味かちょっと想像しづらいものもある。
だがそれが楽しいのだ。
おばあちゃんに「これでお願いします!」と言う。
おばあちゃんは「ふんふん、1・2・3…」と品数を数えだし、4くらいでもう数えるのをやめ、「じゃあ350円ね」と言う。
このあと何度も通うことになるのだが、毎回そうなのだ。
料理数、最後まで数えていない。そして僕の場合必ず350円になる。
たぶんカウントはすごくおおざっぱだ。なんて優しいお店。
ちなみにこのときは小銭がなく、1000円札しかなかった。
おばあちゃんはたぶんどっか近所の商店かなんかに行き、お金を崩してきたようだ。
これはこれから行くあなたへのアドバイスだが、なるべく小銭を持って行ってほしい。
おばあちゃんは万札でも嫌な顔1つしないが、小銭の方が良いと思うだ。
どれもおいしい。
「メッチャうまい」というより、「ほっこり安心する」って感じのおいしさだ。
お客さんのことを思って作っている、等身大の味って感じ。
それがありがたいじゃないか。体の中に染みわたるわ。
店内には"オブラティオブラダ"の曲ががかかった。
おばあちゃんはゴキゲンそうにそれを鼻歌で歌っていた。
重低音の鼻歌で音程もズレていたが、それが心地よかった。
ちなみにこの店、入口の脇にテラス席もある。
なかなかワイルドな立地だ。
お客さんのおじいちゃんとかが、食後に一服するのに使っているケースを何度か見た。
僕はいつかこの席で食べてみたいと思っている。
それではごちそうさまでした。
木枯らしの中で再会、ブタ丼は300円
青森の冬は厳しい。それを身をもって体感している。
凍えながら向かった先は惣菜田中だった。
地面には若干雪の粒が舞っているのがおわかりいただけるか?
この日は寒かったなぁ…。
店内に入るとおばあちゃんが「あら…?3ヶ月ぶりくらい?」って微笑んだ。
そうなんです!3ヶ月ぶりくらいなんです!覚えていてくれて嬉しい!
「忙しく日飛び回っているのね…」みたいに言われた。
僕を待っていてくれたのは、テーブルいっぱいの惣菜だった。
すげーや。
手羽がある。アレはカレイのフライかな?
早速僕は思い思いの惣菜をお皿に取る。
これだけいろいろ取ってご飯も付けて350円だ。やっぱりだ。
手羽先もフライもうまい。
ついでにナスも食ってやったんだぜ。
僕はナスが苦手な人生を歩んできたが、ここいらでハードルを乗り越えてやりたいと思ったのだ。
これ、実家の母が聞いたら僕の成長に嬉し泣きする案件だな。
いよいよ本格的に雪が降り出す青森。
多い日には数mもの雪が積もるらしい。
大都市としては世界一の積雪量を誇るそうだよ、青森市って。
とても寒い。
雪道を歩くと足の裏側から冷気が襲い掛かってくる。
空中を歩くわけにはいかないので、逃げ場がない。つらい。キツい。
そんな僕には惣菜田中がある。
おばあちゃんが「さすがに今日は寒いねぇ…」と言っている。
青森の人でも今日は寒いと感じるんだ。なんだか安心した。僕の感覚は正常だった。
盛大にブレた。
もう手の感覚が無かったのだ。手袋を持って来るべきであった。
だが店内はストーブが焚かれてポカポカだ。蘇る。
僕は惣菜を選ぶと「ふぅー…」とマフラーを取って席に座った。落ち着く。
350円セット。
僕が取る量が毎回大体350円分なのかもしれないが、400円とか300円だとどのくらいの量なのだろう…?
ポットからついだお茶はアッツアツだ。それがありがたい。
お茶を3杯おかわりして身も心も温まった。
おばあちゃんはフンフン鼻歌を歌いながら常に惣菜をチェックし、綺麗に並び変えたりしている。
いいお店だ、ここ。
*-*-*-*-*-*-*-*-*-*
いよいよ12月も後半である。
とんでもない雪だな!もう路面が全て真っ白だ。
これ、春まで路面出てこないんじゃないかなってくらいの気温。青森ヤバい。
ねぇぇぇーーー!!
なんもねぇーー!!
僕は目の前一面に広がる白いお皿に一瞬硬直した。
まだ12:20だぜ。この時間で完売かよ。どんだけデリシャスなラインナップだったんだよ、本日は!
しかし僕にはまだ奥の手がある。
一番右上を見てほしい。
『ブタ丼300エン 11月~3月まで』と書かれている。
「はて?豚丼って冬の季語だったかな?」って思うけど、冬季限定でブタ丼を作ってくれるそうなのだ。
このウェーブに乗るのはいつだい?今だろ!
イスに座り、お茶を飲みながら奥でおばあちゃんがブタ丼を作ってくれるのを待つ。
温かいご飯、ありがたいなぁ…。
出来た。
わっ、なんか想像と違うビジュアルのブタ丼だ。平皿に盛り付けてある。
タマネギ多めだ。飴色タマネギうまそう。
さっき看板を読み上げた通り、これで300円。すばらしいな。
すっげぇつゆだく!!
でもつゆだく好きなんだ、ありがたい。
味付けはかなーり甘めだ。これはこれでうまいじゃないか。
後からお客さんが来て、空のお皿を見てショックを受けたりしていた。
おばあちゃんに「年末年始の営業は?」などと話していたが、どうやら正月の三が日以外は営業するそうだ。
なんて元気なお店だ。
「良いお年を。またいつか。」とおばあちゃんに言い、お店を後にした。
青森の寒さが牙を剥く、カレーは200円
1月末から2月頭にかけて、大寒波が青森を襲っている。
うおぉ、こんなときこそ惣菜田中だ!吹雪の中で惣菜を食べたらきっとエモい。
ここからの話は上記リンク先の裏番組みたいな感じでもある。
リンク先の記事内の『僕は再びお店を覗き、「お店の名前はなんですか?」と聞く。
「奈良商店よ」とおばちゃんが答えた。』の、ほんの3分後くらいの光景だ。
惣菜田中、屋根の上がやたらもっさりしている。
崩れないかな、大丈夫かな…。
とりあえず道路で滑らないように気を付けながら、店内に入った。
「あらあら、いつもありがとうね」とおばあちゃんが笑顔で迎えてくれた。
「もう雪ばかりで嫌になっちゃうわ」とのことだ。
僕はフォローの意味も込めて「でも青森の雪ってフワフワでとっても綺麗ですよ。ちょっとワクワクしちゃいます。」って答えた。
「住んでみるともう珍しくもなんともないし、毎日大変なのよ…」と言われた。
そりゃそうなのだろうな。
現に今日、都市機能が少しマヒしている。
今日は麻婆豆腐があった。
それと、竹輪の中に納豆を入れて揚げたものとかもあった。
面白そうだ、食べてみよう。
このお店のメニューは毎回全然違う。おばあちゃんのレパートリーはいったい何種類なのだ。
毎日来てもきっと楽しめるだろう。
おばあちゃんにお皿を見てもらうと、「ふんふん、1・2・3…」と呟き、「じゃあ350円ね」と言う。
「うん知ってた」って思った。こちとらもう財布の中に350円を用意済みだ。
あ、座席の前に惣菜田中について書かれた新聞の切り抜きと惣菜を並べた写真が掲示してある。
これは前回あったっけ?
おばあちゃんに聞くと、「昨年(2022年)の秋くらいに取材を受けたのよー」って言ってた。
許可を得て撮影させていただいた。
77歳のおばあちゃんが、もともと花屋だったこの店舗で惣菜を始めたお物語が書かれていた。
食材も暖房費も高騰する中、お客さんをガッカリさせないために頑なに値上げをせずに日々美味しい惣菜を作るお話。
そんなおばあちゃんを慕い、世間話をしたりグチを聞いてもらいに来る常連さんも多い。
そうだな。
もしかしたら、もう僕もその1人なのかもしれない。
こんな厳しい寒さの青森の豪雪を分け入って、かれこれ何度このお店に来たっけ??
その理由は安くておいしい惣菜を食べられるっていう点もあるけど、半分はおばあちゃんの笑顔に会いに来るためだろう。
ちょっとした世間話程度だが、心が安らぐのだ。
顔を覚えられ、お店に入ると「遠くから来る忙しい人」みたいに言ってくれる。
そんなおばあちゃんにこれからも会いに来たい。
ところで、海上自衛隊では毎週金曜日にカレーが出るという。
曜日感覚を忘れないようにするためのものだ。
ここ惣菜田中でも、金曜日限定でシーフードカレーが出るという。
店頭の看板にそう書いてあった。
今日は金曜日。カレーを初めてオーダーしてみることにした。
たっぷりよそわれたカレー。
辛すぎず甘すぎず、家庭の味だ。全てにおいてちょうどいい。
ただ、シーフード?
直接おばあちゃんには聞かなかったが、これはシーフードではないような…。
豚肉のカレーに変更したのかな?
普通にありえることだと思う。そして僕はO型だからそんな細かいことは気にしない。
惜しむべくは、カレーが大量過ぎたことだ。
おかげで横のテーブルには魅力的な惣菜が並んでいるのに、一切食べられない。
こういうお店のナポリタンを食べてみたかったし、あの三角形は僕の大好物のハンペンフライだ。
カレーと一緒に食べたかったが、満腹なのだ。
しかも聞いてくれ。
最後に会計しようとしたら200円だというのだ。
看板には『200エン・300エン』と記載してあった。
200円のものはかなりのミニサイズであり、デフォルトは300円だろうと思っていた。
しかし期待をいい意味で裏切られたぜ。
こんな豪雪ではあるが、続いて屈強な男性が3人来て、それぞれカレーの持ち帰りをオーダーしていた。
男性も元気だし、お店も元気だ。いいことだ。
僕もまた春先に訪れよう。
春の兆しの惣菜田中、ずっと350円
もうすぐ春がやってくる。
雪続きだった青森も、青天の日が多くなったようだ。
そんな青森に再び僕がやって来た。
道の脇にはまだうずたかく雪が詰まれており、建物の屋根からも雪解け水がひっきりなしに滴っている。
だけどもアスファルトの路面が見えている。青森のアスファルト、久々に見たなぁ。
もう春なんだ。
確実に季節は巡っている。
惣菜田中にやってきた。
もはや実家かなってくらいのリピート率である。
ピンク色のひさしの上の雪は無くなったが、空きに見た頃よりも一層ボロボロになっているような気もする。
青森の冬は厳しいのだな。
左端にある『がっつり食べたいあなたにしようがやきごはん セットで350エン』の看板が、かなり劣化してきてしまった。
ちょっと悲しい。
おばあちゃんは「また来てくれたのね、ありがとう」と迎えてくれた。
相変わらずに笑顔にホッとする。
Webを見てやって来たという1人での来店の女性もいた。
ステキな趣味をお持ちの女性だと思う。
もっといろんな人にこのお店を知ってほしいが、広まり過ぎるとおばあちゃんが大変になるというジレンマ。
さて、今日は何にしようかな。
かき揚げのようなものがある。アレは絶対にうまい。
それと麻婆豆腐がうまいことも知っている。
いつも通り、350円だ。
ありがとう、おばあちゃん。
いつ来てもこのお店はおいしいし楽しい。
入店したらイートインスペースがギュウギュウだったときもあった。
「うわぁ、じゃあ外の席で食べようかな…」と言うと、惣菜の並ぶテーブルの脇にある小さな机で食べるように案内してくれたこともある。
ここ、本来はコーヒーとかお茶ポットとか置くところだ。
それらをどけて席にしてくれてありがとう。特等席だな。
このときは金曜日だったのカレーをオーダーし、さらにお腹のコンディションを整えてきたのでさらに総菜コーナーからナポリタンとサラダを取った。
カレーはご覧の通りジャガイモがゴロゴロ入っているぞ。
最高だ。
合計で300円。
目の前にはコーヒーコーナー。
コーヒーは100円だったかな?
いつもコーヒーが温められているが、僕はオーダーしたことないし、飲んでいる人も見たことないな。
いつかチャレンジしてみてもいいかな…。
「こんな普通のお店なのに、毎回来てくれてありがとうね。」
誰もいなくなったタイミングでおばあちゃんが僕に言った。
僕は答えた。
「そんなことはないです。外出先の外食って、どうしても栄養が偏ってしまう。そんな中でもこのお店は家庭的だし栄養バランスが良さそうで。だから通ってしまうのです。」と。
おばあちゃんはとても喜んでくれた。
「ただの家庭料理だけどね、体にいいものを出そうって思っているの。だからそう言ってくれると本当に嬉しいわ。」
ゆっくりランチを終えると、僕はおばあちゃんにお願いし、ブログに掲載することを前提に店内の写真を何枚か撮らせてもらうことにした。
これがイートインスペースの全景だ。
詰めて座っても3席ほどの空間。
なんだか情報量が多いが、おばあちゃんの趣味が詰まった、とても安らぐ空間。
右手には惣菜のテーブル。
おばあちゃんが毎朝愛情をこめて作っている。同じラインナップは二度とないだろう。
通った回数だけ、新しい出会いがある。
右手前に見切れているのがポットとコーヒーのコーナー。
臨時の座席にもなるヤツだ。
そして左側。
イートインスペースと、こちらにもお茶ポット。
イートインスペースの上に取り皿が詰まれているので、もし人がイスに座っていたら「ちょっとすみませーん」と言ってお皿を取らせてもらうのだ。
…あぁ、思い出の詰まった空間。
またいずれ訪問しよう。
この記事の執筆時は7月の中旬。もうすぐ青森最大の祭り、ねぶただ。
もし行かれる方、その会場から歩いてすぐだから惣菜田中にも顔を出してみるといいよ。
*-*-*-*-*-*-*-*-
店内に"オブラティオブラダ"の曲ががかかった。
僕との会話が終わったおばあちゃんは、ゴキゲンそうにそれを鼻歌で歌っていた。
重低音の鼻歌で音程もズレていたが、それが心地よかった。
…僕と惣菜田中のおばあちゃんのお話は実はまだ続くけど、ひとまずここまで。
外は快晴。
積もった雪もわずかとなってきた。
青と白の美し世界の中、僕は新しい季節に向かって歩きだす。
以上、日本7周目を走る旅人YAMAでした。
住所・スポット情報