太陽の降り注ぐシーサイドを運転するのが好きだ。
頭上にヤシの木なんて生えていたら、さらにステキだ。
あなたが乗っているのが車なのかバイクかは存じ上げないが、あなたもきっとそんなシチュエーションが好きであろう。
そうだと信じて、「堀切峠」を執筆する。
峠という名前ではあるが、海沿いの絶景景勝地なのだ。
うん、結構有名なスポットかもしれない。
しかし、普通に海沿いの国道を走っていては辿り着けない。そして、あらかじめ立地を知っておかないと駐車も困難かもしれない。
そんなスポットだ。
アプローチには県道を辿れ
まぁなんと素敵なことだよ、宮崎は。
僕はそう呟きながら、宮崎県の海沿いを疾走していた。
これだもんな。
超巨大なワシントニアパームだ。
"宮崎観光の父"と言われる「岩切章太郎さん」が「南国っぽくしたいので植えよう」と仰ったのだ。
最高の案だ。ありがとう、宮崎ダディ。
このテンション高めの道は、北から表記するなら宮崎駅前くらいから始まり、有名な観光スポット「青島」を通り過ぎて堀切峠や「道の駅 フェニックス」あたりまでミッチリ続く。
そんな中でのお気に入りが、堀切峠なのだ。
正確に言うと、堀切峠から道の駅フェニックスだ。
もう狂おしいほどにこの2箇所が好き。
九州一周ドライブをするなら、ここと本土最南端の「佐多岬」、そして阿蘇山だけは死ぬ気で調整して快晴の日に走れるようにするからね。
おかげで、僕は曇りや雨の堀切峠を知らない。
さて、アプローチ方法である。
堀切峠も道の駅フェニックスも、なかなかエグい立地にある。
海沿いの国道をただただ走っていては、快適にトンネルを通過してしまい、堀切峠にも道の駅フェニックスにも、一生到達できないのだ。
途中で県道377号に意図的に入る必要がある。
これね、以前は堀切峠も道の駅フェニックスも国道220号だったのだ。
しかし2008年に上図のトンネル(堀切峠トンネル)が開通したことで、海沿いの道は県道に格下げになったのだ。
ちなみに直後にこの区間をボンヤリ走っていた僕は、「あれ?堀切峠も道の駅もない!?」とパニックになった。
従い、ここまで日本6周しているが、1周分だけこの海沿いを走れていないのだ。残念無念。
あとね、駐車場に入る際にも注意が必要だ。
北から来るならこのタイミングだな。
ここで左ウインカーを出さないと、駐車場に入れない。
このポイントもカーブの直後に出てくるから、判断は一瞬だ。
ちなみに一番奥に小さく見えているのが堀切峠だ。
知っていれば「はい、見えてきたね」で済むが、ここに絶景スポットがあることを知らないと悲劇だ。
「あ、いい景色だな」と思うポイントに着いたときには、もう駐車場に入れない。
逆に反対車線の南側から来ると、黄色い中央線を乗り越えて反対側の駐車場に入ることとなる。
ちょっとだけ面倒だ。
そんな時空のポケットのような堀切峠。
南国のポケットパーク:堀切峠
魅惑のカーブ
では、お見せしよう。堀切峠を。
あんまり以前の画像まで並べてしまっては写真の枚数が多くなりすぎてしまうので、日本4周目から6周目のものをミックスさせてご紹介としたい。
まずは駐車場からだ。
駐車場から峠のハイライトまでは少々距離がある。
しかしズームを工夫して撮影すれば、愛車とヤシの木(フェニックスの木)がうまく一緒にフレームに入る。
「南国に来ました」とインスタグラムに書くと効果的かもしれない、素敵なアングルだ。
東海岸なので、午前中は逆光だ。
まぁこれはこれでアリだろう。あたたかい光あふれる峠だ。
そしてこれが、峠のハイライトから駐車場を振り返って撮影したものだ。
なんでこんな写真を撮ったのか、覚えていない。
HUMMER_H3が駐車場で1台、寂しそうにポツンとしている。
HUMMER_H3もフェニックスと一緒に映りたかっただろうけど、そんな写真はない。すまぬ。
では、峠に近づいてみよう。
このバス停・ワインディングロード・フェニックスの三重奏が、僕的にはたまらない。
この峠の魅力の全てがここに詰まっている。
あ、そして今さらのご説明であるが、堀切峠は一般的な人が想像するような山間部のグネグネした峠ではない。
北側からだと、とてもゆるやかなカーブが2・3現れた先のこのカーブが峠なのだ。
ここから南側はほぼストレート。
運転していてとても快適だ。
コーナーを曲がっていくバイクがカッコいい。
ビギナーは「あ!景色がいい!でも駐車場がない!」って顔をしながら過ぎ去っていくのですぐわかる。
主にタイとかでタクシーとして使われている車だ。これが走っているだけで、南国レベルが30くらい一気に上がるな。
これは1月の半ば、1年の中でもトップクラスに寒い時期の写真。
しかしどうだろう。このフェニックスの木と海が見えているだけで、なんとなく温かく感じることができる。
よく見ると芝生は茶色で冬パワーに完全に屈しているんだけど、それでも堀切峠は南国テイストを失わないのだ。
フェニックスの下で
峠からは日南海岸の海が一望できる。たまらん。
この絵に描いたような南国テイスト。
宮崎県の絶景スポットと言えば、僕はここを思い浮かべてしまう。
小さな公園ではあるが、一枚絵として最強だ。100点だ。
もはや説明する言葉もいらない。
写真を見ていただければ、視覚的な部分は全てがわかるだろう。
これに加えて潮騒・風の音、そしてときおり峠を通過する車やバイクのエンジン音。
それら全部、旅のワクワク度がアップする要素だ。たまらん。
南国の日光は強烈だ。
「景色はいいけど、さすがに眩しいな。日焼けしちゃうな。」ってあなたは思うかもしれない。
安心されよ。
天然のパラソルが日差しを遮ってくれる。
まぁ天然というか植樹ではあるが。とりあえず宮崎観光の父、岩切章太郎さんにもう一度ありがとうを言いたい。
直近の日本6周目では、僕はこのフェニックスの木陰で読書した。
最高だった。5分くらいは。
ちょっとそれ以上は暑すぎた。どんでもない猛暑日だったので、デリケートな僕はすぐにヘロヘロになったのだ。
てゆーかそもそも、愛車の日産パオもクーラーあまり効かないからな。どんどんスタミナ奪われる。
ロンギヌスの槍
堀切峠に行ったことある人、以下のオーパーツに気付かれただろうか?
ほらほら見て、写真右端の海面を…。
気になる?もっとズームしてみる??
ポッキーだろうか?お箸だろうか?
海の中に2本の棒が刺さっているのだ。僕は毎回これを見るのも楽しみにしている。
ちなみにこれは通称ロンギヌスの槍と呼ばれている。
中二か。
ヱヴァンゲリヲンか。
…で、これの正体なのだが、難破船だ。
あれは2010年10月のこと。
浚渫船っていうのは、海底の泥とかを救い上げる作業をする船。
5910tもあるそうだ。デカい。
山口県からタグボートに牽引されつつ中国に向かっていたら、日向灘でタグボートと繋いでいたロープがブッツリ切断。
無人の浚渫船はフラフラと8時間漂流し、そしてここで沈んだのだ。
おいおい、困った事件ですな。
そして船体は徐々に沈み、トップマストにあたる2本の棒だけが水面上に残ったのだ。
賠償金だとか引き上げだとか、数年はドタバタもめていたそうだが、近年はあまりその話を聞かない。
難破船、今後どうするのだろう…。
幸いにして見えているのは2本の棒だけであり、気付かない人は気付かない。
景観にはあまり影響していない。
しかし、海の資源としても国際問題としても、そのままにしておくのはよろしくないのだろうな、きっと。
夜にも珍しいロンギヌスの槍、僕は今後も情報を追いかけよう。
道の駅フェニックス
トロピカルな道の駅
堀切峠からほんの1㎞弱南に行くと、それはそれはテンションの上がる道の駅がある。
道の駅フェニックスだ。
道の駅フェニックスにはいろいろグルメ的な名物もあるらしいが、残念ながら僕はそれらを味わったことは無い。
あくまで景勝地として立ち寄ってしまっている。ゴメン。
だからあんまりめぼしい情報は無いかもしれないが、せっかくだから道の駅フェニックスもご紹介したい。
堀切峠から道の駅まで、こんな緩やかな下り坂をスイーっと降りていくだけだ。
この道も最高。
そして一瞬で道の駅フェニックスだ。
いやぁ、いい雰囲気だねぇ。
濃いピンク色の花はブーゲンビリアだろうか?これも南国テイストバツグンだ。
この道の駅は、眺めのいい海側ではなく、道路の反対側の山側に造られている。
道の駅になる前、「フェニックスドライブイン」と呼ばれていた時代から、山側にあった。
ちなみに僕、フェニックスドライブインをかつて一度だけ見たことある。
しかしドライブイン、普通であれば海側に造るのが好ましいのだが…。
実は、これまた宮崎観光の父である岩切章太郎さんの意向だ。
「この最高の眺めを一企業が独占してはいけない、みんなの日南海岸だもの!」って仰ったのだ。
…確かにね。
飲食店とかの敷地内に展望台があり、お客さん以外の人は敷地に入ることもままならず、ちょっとモヤったことなら僕にもある。
いいか悪いかは置いておいて、気持ちはわかる。なるほど。岩切章太郎さん、またまたありがとう。
これに伴い、海側はフェニックス並木を植えるのみとなり、山側にドライブインの建物ができた。
でも、上の写真の通り山側もすごいステキだけどね。
フェニックスの間に僕の愛車の日産パオがいるのがおわかりだろうか?すっごいかわいよ、パオ。
HUMMER_H3で訪問したのは真冬だ。
しかしそうは感じさせないこのオーラよ。フェニックスのせいで季節感が狂う。写真を見ていて脳がバグる。
では、駐車場に車を置いたら道路の対岸に行ってみようか。
日南の海と鬼の洗濯板
道の駅の、道路を挟んだ反対側。
ぶっちゃけどこに立っても眺めは最高なんだけど、バルコニーみたいになっている展望台がきっと一番メジャー。
紺碧の海を真下に臨むことができる。
北国の海も沖縄の海もいいし、荒々しい日本海もかっこいい。
しかし、この日南海岸の海もそれらとは全く違う魅力がある。
なんだか生命力・活力がすごい。
南側を眺める。雲1つ無い晴天だ。
冒頭で書いた通り、僕は快晴のときしかここに来たことがないのだ。
ここ、曇ったり雨降ったりすることもあるんですか?
そう問いたい。
白波が立っている部分をよく見てほしい。あそこが「鬼の洗濯板」だ。
ズームしてみた。
波に浸食されて線状にギザギザになっているのだ。
有名なのはもうちょっと北に行った青島の鬼の洗濯板で、あっちのほうが板の彫りが深い。だけどもこっちも鬼の洗濯板だ。
鬼だって選択する場所が一箇所しかないと不便なのだ。こっちで洗濯することも許容いただきたい。
干潮のときに撮影するとこうなる。
こんなところで服を選択したらボロボロになるよな。全部ダメージジーンズになっちゃうよな。
少しだけ鬼が不憫だが、彼らはワイルドさがウリなのでそれはそれでいいのかもしれない。
ベンチに腰かけ、そんな絶景を堪能しようじゃないか。
日南海岸のシーサイドは、全国の海岸を日本6周するほどに走ってきた僕から見ても、充分にTOP5に入る。
大好きなエリアだ。
宮崎県の"県の木"って3つあるんだけど、そのうちの1つであり最初に決定したのがフェニックス。
名前の由来は、もちろんあの不死鳥だ。
寿命も長いし病気や虫の害に強いのが、その名前の由来である。
宮崎観光への想いの詰まったこの並木、あなたも走り抜けてほしい。
これから冬だけど、それでも最高だ。
そして、僕もまた行くから。
何度でも走るから。
以上、日本6周目を走る旅人YAMAでした。
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