茨城県と千葉県との県境、利根川の河口近くにあり、太平洋にググッと鋭く突き出すのが「犬吠埼」だ。
そのインパクトはなかなかのものなので、この犬吠埼が本州の本土で最東端だと勘違いしてしまう人もチラホラいて、そういう勘違いしてしまったコメントを注意するためにSNSを巡回する人もいたりするくらいで、もうなんだかよくわかん。
とりあえず愉快な気持ちになってきた。
確かに、本州本土の最東端は岩手県の「トドヶ崎」なのだ。
僕が狂おしいほどに好きな岬だ。
しかし日本地図で見て、本州の東側に出っ張る綺麗な形の岬といえば、犬吠埼だ。
さぁ、今宵は犬吠埼について語ろう。
関東地方最東端に朝日が昇る
僕が初めて犬吠埼に行ったのはいつだったろう?
小学生だっっけか?
とにかく物心つく頃には日本地図を眺め、犬吠埼の存在も知っていた。
このわかりやすい形が好きだった。
何度行ったか数えきれないが、早朝・朝・昼・夜の犬吠埼をそれぞれご紹介したい。
まずは朝日だ。
いきなり犬吠埼のとんでもないアイデンティティをバラしてしまうが、日本の本土では1番早く初日の出を見られるのがここだ。
島を含めるとさすがに日本最東端の「南鳥島」とか小笠原諸島のほうが早い。
本土であっても富士山の山頂とかのほうが早いんだけど、凡人は元旦の未明に富士山頂には100%到達できない。
というわけで、一般人が普通に見られる日本本土最速の初日の出スポットがここなのだ。
その時刻は6:46。
ちなみに日本本土最東端の北海道「納沙布岬」の初日の出は6:49、先ほどチラッと出てきた本州本土最東端のトドヶ崎の初日の出は6:52だ。
地軸の傾きとかなんやかんや複雑化大人の事情で、犬吠埼の方がこの時期は少しだけ早く日が昇る。
一刻も早く太陽の恵みを受けたいなら、そりゃ犬吠埼に行くこった。
ところでバラしてしまうが、僕は犬吠埼で初日の出を見たことはない。
じゃあこれらの写真は何なんだというと、そのちょっと前に予行演習的に犬吠埼で日の出を見たときのものだ。
なーに、元旦だろうとその数週間前だろうと、見える景色は変わらないって。(ご利益はずいぶん変わりそうだけどな)
なぜ僕が犬吠埼の初日の出を目指さないかというと、それは人ゴミで大変なことになるからだ。
本当に大変だそうなのだ。
神々しい初日の出を浴びながら、数時間は渋滞にハマることを覚悟しないとね。
めでたいやら、めでたくないやら。
僕はそのちょっと南の「九十九里浜」であれば初日の出を見たことがある。
岬という「点」ではなく、浜辺という「線」を選択するだけで、人ゴミは大きく緩和するよ。
九十九里浜だって絶景だし。ただ、帰りの車はやっぱ渋滞した…。
これが九十九里から見た初日の出だ。
水平線の向こうから上がる太陽は、なんとも言えない荘厳な気持ちになるね。
そして弧を描く飛行機雲。奇跡だった。
…というワケで、犬吠埼からの初日の出を成しえてない僕にかわり、あなたはここからの実質日本一早い初日の出に挑戦できるか?
2024年、ぜひチャレンジし、感想を聞かせてほしい。
とても貴重な登れる灯台
そういう灯台のことを”参観灯台”っていうんだけど、この参観灯台は日本でたった16基しかないのだ。
気になる方は上のリンクから僕の書いた【特集】を見てほしい。
全16灯台を実際に見てきているから。
僕がこの犬吠埼灯台に登ったのは、ある冬のよく晴れた強風の日のことだった。
お金を払い、灯台内部に入っていく。
2023年現在では300円が必要だ。これはもっと前の写真だけど。
いずれにしても、この物価高の時代に貴重な灯台に300円で登れると思うと安い。感謝。
すごく歴史のある灯台なのだ。
灯台の説明板には『国産レンガで造られた初の灯台』と書かれているしね。
純粋な日本産まれの洋式灯台。
そんなこんなで歴史価値があるので、Aランク保存灯台に登録されている。
そして国内人気が高いので、日本の灯台50選にも登録されている。
まだまだすごいことに、世界灯台100選のも登録されている。
これは「世界各国の歴史的に特に重要な灯台100選」という定義だ。
日本の灯台はここに5つも選ばれていて、他には「出雲日御碕灯台」・「美保関灯台」・「姫埼灯台」・「神子元島灯台」だ。
さすが島国。
さらにさらに特徴がある。
それは第1等灯台だということだ。
これはとんでもなく巨大な第1等レンズレンズを有する灯台ということあり、日本ではこれを持つ灯台は5つしかない。
犬吠埼以外では、「経ヶ岬灯台」・「出雲日御碕灯台」・「角島灯台」・「室戸岬灯台」がこれにあたる。
とりあえず言いたいのはね、こんな価値のある灯台に登れて幸せだってことよ。
螺旋階段が終わると、鉄ハシゴの階段となる。
頭頂部までもう少しだ。
あ、ちなみに螺旋階段は99段だったんだけど、「九十九里浜」にちなんで99にしているのだそうだ。なるほどユニークな発想。
こうして小さな鉄扉から外に出ると、猛烈な吹きっさらし。
当たり前だが、改めて思い知った。
すっげー強風!!
マジでハンパない強風!!
数時間前に東京湾の「海ほたる」をドライブしていたんだけど、その時点で相当な強風だったのだ。
犬吠埼は立地的にもそれの数段すごい。ヤバい。寒い。
海が波立っていて全部白い。
写真の右下部分、岩肌にグルッと遊歩道が取り付けられているけど大丈夫か?
波をモロに被っているし、なんだったら水没しているし。
まぁ真冬のあんなところを散歩する人はいないか…。
アホみたいな強風なので、飛んでしまいそうだ。
それに灯台バルコニーの風上部分に行けない。風圧で風上に歩けない。
第1等レンズをなんとか見上げて写真を撮りたいと思い、決死の覚悟で上を向いた。
青空はすんごい綺麗だったな。怖かったけど。
それから灯台を降り、かじかんだ手を温めて、グッチャグチャになった髪の毛を整えながら、併設の小さな灯台資料館を見た。
あなたもこれを見れば、第1等レンズがいかに巨大かわかるだろう。
だから機会があればあなたも灯台に登って間近で見てみてほしい。
でも冬の強風の日はおススメしない。
日本7周目、初夏の朝の訪れ
2023年の初夏、本当に夏がこれから始まるぞっていうタイミングである。
日本7周目をスタートさせたばかりの僕が、新しい愛車の「フレンチ君」に乗ってやってきた。
朝の6時ちょっと過ぎ。
まだ昇ったばかりの太陽だが、元気に光り輝いていた。最高の快晴だ。
そろそろ暑くなってきそうだな?今年の夏もまた暑くなるのかな??
灯台に続く通りのお店はまだ開店前だ。
あと数時間したらこの通りもきっと賑やかになるのだろう。
この芝生の上から、岬全体を眺めるのが好き。
こう見ると犬吠埼って穏やかなロケーションみたいに見えるかもしれないけど、実は三方位を海蝕断崖に囲まれた険しい立地の岬。
その崖の高さは20mもあるんだ。
ここのちょいと南には「屛風ヶ浦」っていう、断崖が屏風のように連なる景勝地があるんだけど、そこまで行くとこのエリアが以下に険しいかよくわかる。
灯台に近づいてみた。
高さ52mの灯台の後ろに太陽が隠れ、まるで灯台が後光を放っているようになった。
神々しい。
まだ朝の6時台なので、再び灯台に登ることはできない時間だ。
またいつか、次は温かい季節に犬吠埼灯台に登りたいと思っていたが、日本8周目以降に持ち越しになるかもな。
灯台の前には白い郵便ポストがあった。珍しいね。
2012年のホワイトデーから使用開始されたものだ。
当初は赤いポストにする予定だったが、「灯台と一緒の白にしたらクールじゃない?」みたいな意見が海上保安部からあり、このようになったそうだ。
「願いが叶うポスト」とも言われているそうだよ。
何か投函してみたら面白いかも。
灯台の敷地の周囲をグルリと歩く。
北側は比較的なだらかな地形で、「君ヶ浜」と呼ばれている。
昔々、日本2周目のドライブではあそこから曇天の岬を眺めた。
あえて曇りの写真を掲載してもな…って思うので今回はご紹介しなけど、絵になる構図なのだよ。
こんな風も少ない穏やかな朝なのに、打ち付ける波で白く泡立っている。
それだけ地形が険しいのだ。
古くから海難事故の絶えない、「海の三大難所」の1つらしい。
振り返る灯台がすごく美しかった。
ギリシャの「サントリーニ島」の、真っ白い建物が立ち並ぶ島みたいなイメージだよね。
改めて好きだ、犬吠埼。
難所だからこそ、日本の灯台の歴史の初期に、立派で高性能な灯台が建てられた。
高性能で強い灯台だからこそ、140年間倒れることも壊れることも無く、今日も関東の最東端で海の安全を守ってくれている。
日本7周目の序盤の序盤、晴れた朝にここにまた来れて嬉しいぜ。
あ、でも静かな夜にランプの回る灯台を見るのも雰囲気バツグンなんだからね。
いつ行ってもいい岬だ。
以上、日本7周目を走る旅人YAMAでした。
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