沼津港には「びゅうお」という名前の巨大な水門がある。
どうやら国内でも随一の大きさらしい。その上部には展望台があるのだが、展望台までの高さは30m、そして水門の門扉に当たる部分の重さは406tもあるという。
重さについてはピンと来ないくらいのスケールではあるが、震度5以上の地震を検知すると5分で閉門し、沼津港を津波から守ってくれる頼もしい施設なのである。
2004年から稼働しているが、2022年にリニューアルしたんだって。
僕も訪問したことはあるが、下から見上げるばかりで展望台まで登ったことはない。ましてや2022年のリニューアル後の姿なんて知らない。
…というわけで、今からおよそ1年前である2023年の初冬にアプローチしてきたので、そのときのことを語ろうと思う。
ちなみに入場料金は100円なんだぜ。安ッ!!
でも100円以上の価値はあるからさ、あなたも100円玉を握りしめて沼津にGoだ!!
眺望バツグンの展望台
水門というものはその役割上、港口・川・水路などをまたぐように設置されている。もちろん、びゅうおも例外ではない。
…ということでまずはイメージを掴んでいただこうと、Googleマップを掲載させていただいた。ちなみに正式名称は「沼津港大型展望水門 びゅうお」というのだな、まずはネーミングからして強そうだ。
そして、沼津港の港口を南北にまたぐように存在しているのがわかる。北側には「港口公園」があり、南側はこの縮尺だと見えないんだけど、「沼津魚市場INO」っていう、セリとかやっているガチな漁港施設がある。
賑わっている方でいえば後者の沼津魚市場側なんだろうけども、僕は前者の港口公園側にやってきた。
なぜならびゅうおは南北どちらからでも入ることができる。…であれば、より喧騒を避けた港口公園側の方がよいだろうと考えたのだ。南側は以前来たときに駐車場がギュウギュで停めるのに苦労した記憶もあるからさ。
目論み通り、港口公園にはすんなりと車を停めることができた。
海側を見ると、ちょうど港口から漁船が入ってきた。
それを見ているだけでもなんだかテンションが上がる。漁港ってナゾのワクワク感がある。いや、まだ全然魚市場の方面には行っていないんだけどもさ。
そしてこれが水門びゅうおだ!!デカい!かっこいい!!
向かって右側が港口公園。左手にチラッと見えているのが「沼津水産開発センター」で、さらにその隣に前述の沼津魚市場INOがある。奥側が港口であり、その向こうが太平洋だ。
では早速あそこに見えている水門の展望台に向かってみよう。
入口の券売機で100円払ってチケットを買い、自動改札みたいな入口を入る。
ところでこのチケットは、当日内なら複数回利用できるんだよ。なぜなら水門を跨いだ反対側の市場などを観光し、また水門を経由して戻ってきたりもできるようにするためだ。ありがたいシステム。それ、このあとやってみよう。
エレベーターを降りた、地上30mの展望スペース。ご覧のように広々としていて、窓に沿ってカウンター席もある。一番奥には僕が下りてきたエレベーターもちょっとだけ写っているね。
展望スペースをもう1枚。日の当たるエリアに行ってみたらさ、すごい解放感だよね、ここ。季節が初冬だったから、この日差しがたっぷり差し込む空間がありがたい限り。
では、気になるここからの眺望だ。
青空のスッキリ具合が素晴らしい。足元の芝生の空間が港口公園であり、その向こう側に愛車を停めた駐車場も写っている。
…が、1つだけ残念なのは富士山が雲に隠れてしまっている点だ。奥に見えている山、富士山なんだぜ。でもよりによって富士山の頭にだけ雲が出ている。他はこんなにも青空なのに。
悔しいので、その約1時間前に撮影した富士山の写真を掲載しておくね。
まぁこのときもちょっと雲が浸食していたけど、それでも雄大さは伝わるであろう。個人的には夏の富士よりも冬の富士の方がダイナミックで好きだ。
参考までに、展望台に掲示してあったここからの眺望説明パネルをご紹介しておこう。
さすが地上30m。ビルでいうと7~8階分の高さがあり、近くにはこれを超える高さの建造物もないので、遠くまでよく見えるよね。
海とは逆側の展望がこちらだ。
右手には沼津魚市場INOが見え、正面には観光客向けの食事処や観光スポットがワチャワチャ並ぶ賑やかなエリアが見えている。あとであそこまで歩いて往復してみようと思うよ。
展望台内部の設備
展望内部にはいつかの観光客向けの設備があるので、この章では主にそこに着目してみようと思う。
まずは「深海スカイエリア」と言われているゾーン。南北を繋ぐ渡り廊下の部分の床に、深海の様子がペイントされている。
沼津は間近に深海を臨む駿河湾に位置しているから、深海魚の宝庫なのだ。深海に関するネタが豊富。この写真ではちょっとわかりにくいかもしれないけど、海の中を歩いているような感覚を味わえるよ。
沼津の海の20種類ほどの魚もペイントの中にいるぞ。それらを探してみるのも楽しいと思う。
夜にはここをライトアップして、また昼とは違う趣があるそうなんだけど、僕は夜は行ったことないので知らない。機会があったらあなたが代わりに行ってみてほしい。
続いてはトリックアートゾーンだ。
深海魚がデカデカと数匹いて、食べられそうな構図や釣りあげる構図で写真を撮れる。
トリックアートは人間と一緒に撮影してこそ面白い写真になる。だから僕も人間を入れて何枚も写真撮ったけどね、ここではあえて魚単体のご紹介にしておこう。
ちなみに魚はラブカ・チョウチンアンコウ・リュウグウノツカイ・シーラカンスの4種類がいるぞ。僕は全部好き。深海魚特有の、ワイルドなお顔立ちや唯一無二のボディラインが好き。
ガラス越しに水門を管理しているであろう機器類も見られた。
何がなんであるかはわからないし知ろうとも思わないが、漠然とカッコいいのだ。それだけでいい。このようなギミックを見られるだけで感謝なのだ。
他には壁面掲示の、びゅうおの歴史や機能説明のパネル、そして沼津の町中にあるオーセンティックバーの紹介MAPなんていうユニークなものもあった。
沼津ってバーを推しているみたいね。オーセンティックバーが好きな僕としては、いつか沼津で宿を取るような機会があるならぜひとも巡ってみたい思いだ。
じゃあ展望台を反対側から降りる前に、その直前に撮影した外の景色をもう少しだけ掲載する。
港口と、その向こうの大海原。あぁ、冬の太平洋って穏やかで晴れていて最高だね。寒いことと日が短いことを除けば最高。
もう11時を回って昼どきだというのに、この太陽の低さよ。夏場の17:30くらいの太陽高度。だが日中の時間が短いからこそ、その時間が尊いのだろうね。
水門の向こう側の世界
北側の港口公園から水門に登り、反対側の南の埠頭方面からエレベーターを降りた。ちょっと南側を探索しようと思うのだ。
びゅうおを見上げる。あの渡り廊下部分が、さっきご紹介した深海風の床ペイントの部分だよ。
ところでこう見ると、水門の門扉にあたるギロチン部分の迫力がすごいな…。あれが406tもあり、津波すら食い止めるというのだね…。強すぎる。
少し引いて見た構図。こちら側の南側の入口と、あちら側の北側の入口の立地がよくわかる写真だ。
びゅうお、改めてデカいしカッコいい。そして100円で観光できる水門という位置づけがありがたい。
歩き出したところ、すぐ脇のフェンスになんだか乾燥フカヒレみたいなものが大量に絡まっていたんだけど、なにこれ?漁業関連の人が魚の部位を意図的に乾燥させているにしても、なかなかにワイルドな手法を取っているよね?謎。
港の内部の景観。正面に見えている沼津魚市場の奥に、食事処がひしめき合っているのだよ。
沼津港は静岡県内では第2位の漁獲量なのだそうだ。伊豆半島も含め、海岸線の非常に長い静岡県において第2位ってなかなかすごいよね。駿河湾の恩恵だね、きっと。
沼津魚市場INOに入ってみた。営業している食事処を物色しながら、セリをやっているゾーンも覗いてみた。
一般人は2階の見学者用通路から1階のセリゾーンを見下ろすかたちなのだが、セリってやっぱ早朝とかにやるもんだよね。調べてみると5:45~7:00までで、土曜日は休業とのことだった。
うむ、昼間に行っても何もないわ。でもこのスケールの大きさを体感で来ただけでもありがたいわ。
壁にはセリの様子を写した写真が掲示されていた。
ここから地元の魚屋さんや食堂に行ったり、全国に出荷されたりするのだなぁ。また機会があったらセリを見学してみたい。
さて、食事処が立ち並ぶエリアだ。
この正面の道沿いだけでなく、裏に行った道にもビッシリと食事処や海産物のお土産処があり、歩いているだけでも楽しいし、食事をしたらもっと楽しい。僕も何度もこのエリアは訪問している。
その中でもとりわけ有名なのは、「沼津港深海水族館」だろう。世界で唯一の深海専門水族館であり、さらに世界で唯一冷凍されたシーラカンスを展示している。しかも2匹。
ここはいつか個別の記事で執筆したいところだ。
深海魚をウリにした食事処もあり、僕はかつて深海魚丼を食べたこともある。ちょいと見た目がファンキーなヤツらが、ご飯の上に勢ぞろいしているよね。
既に閉店してしまっているので店名はここには書かないが、似たようなお店は他にあるであろう。気になるなら検索してみてほしい。
インスタ映えするようなお店も増えてきているぞ。
直近で行ったのは、このマグカップ海鮮丼を出してくれるお店。好きな種類の海鮮丼を数種類選べるので、少しずついろいろなものを食べられて楽しかった。
…こうして沼津港の観光エリアを楽しんだら、また水門を経由して港口公園の駐車場に戻る。
どうだい、たった100円で水門からの展望のみならず、市場への架け橋としていろいろ楽しめただろう。登って下がって終わりではなく、ルートの1つになることもびゅうおの魅力だよね。
沼津港、いいところだな!
以上、日本7周目を走る旅人YAMAでした。
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