2024年のエイプリルフールの日にこんにちは。
2年ぶりに【終末大冒険】をやろうじゃないですか。
今回、僕が調査する対象をご説明しよう。
香川県のとある山間部に、平成時代初期に所有者のもとから逃げ出して野生化したゲームボーイがいるという。それの生態を確認してきてほしいという依頼が舞い込んだのだ。
あぁ、なるほどゲームボーイね。家庭で飼育している限りは従順だし両手に収まるサイズだけども、本来はかなりの大型で凶暴な種もいると聞いたことがあるね。
僕も最近はゲームボーイを目にすることが少なかったので、事前情報収取を兼ねて電気街の古い商品を取り扱うお店に足を運んだ。
そして撮影したのが上の写真だ。養殖ものなのでサイズは小さい。
これが何10年も野山で過ごし野生化したらどうなるのか。ポメラニアンだってオオカミのようになるであろう。
しからばゲームボーイはいったいどうなる??
調査員は山奥へと車を走らせる
調査員である僕は、「そのゲームボーイは香川県の山で野生化している」という目撃情報だけを頼りに四国へと渡った。
今回は助手TVクルーもいない。何かあって凶暴化したゲームボーイに襲われても、僕には彼らの身の保証はできないからだ。
Webで調べても詳細な情報なんぞないが、チラホラと目撃談を投稿してくれている人がいるので目星はつけてある。
とある集落で情報収集を行ったりもした。
道が死ぬほど狭い。車を擦ってしまうのか、はたまた田畑に転落してしまうのかのギリギリの攻防であった。
この先はどん詰まりの集落の一般家屋で、戻るときにも数回の切り返しを余儀なくされ、変な汗をかいたりした。
四国を走り回っている方であればご存じだと思うが、四国の内陸部は国道であっても延々にクネクネした狭い道が続き、擦れ違いすら困難であったりする。一部は未舗装部分もあったりする。
日本三大酷道の1つである439号(ヨサク)などがその代表だよね。僕もかつて制覇したよ、ヨサクの最難関区間。
だが、今回僕が進む道は国道ではない。県道ですらない。
その時点で道の過酷さは折り紙つきだ。いろいろヤベェぞ、この案件。
最初にネタバラシをしてしまうが、僕はふもとの集落から山の中のゲームボーイさん策をしてまた下界に戻ることとなる。その工程において、車にも人間にも全く出会うことはなかった。
そういうロケーションだ。静けさしか感じなかった。
蛇行するように道が山深くへと続く。標高もそれなりに上がってきたのだろう。
道路の凍結を少々心配してきたのだが、それはなさそうであったことだけが救いだ。凍結したり積雪があったら、もう調査は打ち止めにしなければならなかったところだ。
隣の山が近くに見えだし、そして空も近くになってきたように感じた。
そんな奥山にて、唐突に視界にアイツが入ってきたのだ。その違和感に、全身鳥肌が立ったよね。
野生化・巨大化したゲームボーイ
ついに対峙した巨大ゲームボーイ
お目当てのゲームボーイ、道端にたたずんでこっちを見ていた。
都市伝説ではなかった!巨大な野生のゲームボーイは確かに実在した!
デカい。僕の肩くらいの高さは余裕であるだろうか?ちょっとした小型冷蔵庫を見ている気分だ。
これが野生のゲームボーイ…!!
まさに豚に対するイノシシだな。ワイルドさが段違いである。
調べたところ、この初代ゲームボーイは1989年に発売された。
1998年に後継機種のゲームボーイポケットの生産が開始されるまで、携帯ゲーム機の首位を確保していたらしい。
その初代ゲームボーイが巨大化したのがこれなのだね。
苔に覆われて経年変化しつつも威風堂々と立つ姿。なんだか「ラピュタ」のロボット系兵を髣髴とさせる姿だな。
ゆっくりゆっくり、ここで朽ちていくことだろう。この子があと何年ここに立っていられるかは不明だけども、今回これを見ることができてよかった。
興奮した僕は、ぐるぐるとこのゲームボーイの周囲を回ったさ。
…ということで邂逅には成功した次第なのだが、次章からもう少し深堀してみよう。
なぜここに?何のために?
ぶっちゃけ、なんなのこれ?いや、大きめのゲームボーイってことはわかるんだけど、なんでここにあるの??
…という点について少し真面目にご紹介していこう。
実はこれ、巷では「ゲームボーイ型のポストを発見」みたいな感じで都市伝説的に取り扱われることが多い。つまりはキーワードは「ポスト」なのである。
ちょいとさっきの写真を再掲しよう。
ズルズルに剝がれてしまっているが、正面と側面に赤く「〒」のマークがビニールテープで描かれていた痕跡が見える。数年前はちゃんと〒マークだったのだが、近年劣化が顕著なようだ。
これがポストと呼ばれる所以であろう。
だが、これは本当にポストなのか。答えはNOである。つまりはここに郵便物を投函したところで郵便局員さんが回収に来ることはない。
ではなんなのか。なんでポストと呼ばれてしまっているのか。
この部分をよく見てほしい。本来のゲームボーイであればここは液晶画面であり、ゲーム画面そのものが写っているはずだ。
しかしこれは液晶画面がない。くりぬかれている。その代わりにはめ込まれているのは…、これ自宅用の郵便受けだ。
郵便受けを"ポスト"って表現する人、いるよね。僕もそう言ったりする。
しかもこの巨大ゲームボーイ自体が郵便受けというより正規の赤ポストみたいな形状をしている。だから「ゲームボーイ型のポストを発見」って感じに扱われてきたのだろう。
定かではないが、数年前までは郵便受けの中央部分に持ち主と思われる人の名前プレートも設置されていたようだ。
なんてユニークな発想なのだろう。僕もこんなことをやってみたい。
いや、しかし自宅用の郵便受けがなぜこんな山間部の道路沿いにポツンとあるのだ?
その答えもお教えしよう。
普通に道路を走っているとほぼ見えないが、ゲームボーイポストの少し先には車道から分岐する未舗装路があり、その先には家屋がある。ずっと前から廃屋のようだけれども。
つまりは、あの家の持ち主が昔リアルで使っていたユニークな郵便受け。
空き家となってしまってもずっと立っていた郵便受け。それが数年前に見つけた人によってまことしやかに語られ、一部界隈で有名になったということだろう。
ボタンに触れてみたが、これはフェイク。実際にボタンとして押すことはできない。
どうやらこれは、ゲームショップなどの店頭に展示し、販売促進用に画像などを流すために任天堂が作ったものらしい。
その名前を「ビッグゲームボーイ」という。
この家の主は、そのビッグゲームボーイを何らかの方法で入手して、液晶画面をくりぬき郵便受けを入れて二次活用したのだろう。
…では、このようにカスタマイズされる前のビッグゲームボーイってどんなものだったのだろうか?気になってきた。
ビッグゲームボーイを追い求めて
おそらくは平成初期に作られて各ショップに配布されたビッグゲームボーイ。今もこれが稼働していて店頭に展示されている可能性はあるのだろうか…?
日本一の電気街である秋葉原にやってきた。ここになかったらもう結構絶望的だよねって感じだ。久々だな、秋葉原。
ほとんど事前調査をせずに秋葉原にやってきてしまった。どっかにビッグゲームボーイ、あるだろうか?到着してからスマホで調べ出すという無計画さを露呈する。
「ラジオ会館」。少なくとも数年前に、ここの中にあるとある店舗の店頭に稼働筐体が設置されていたようだ。
頼む、残っていてくれ…。祈るような気持でその店舗があるという2階へと登って行った。
…まぁ結論から言うと無かったよ。店舗ごとなくなっていた。
2階はいろいろなアニメフィギュアであふれていて人もあふれていて、特に外国の人がとても多くって、日本のサブカルチャーがいかに世界に影響を与える魅力的なコンテンツ化を間近で感じ取れてほっこりしたけどもさ。
他に調べ、近くだと神田の完全予約制の店舗に稼働筐体があるという情報も仕入れたけど、ビッグゲームボーイを一目見るためだけに予約するにも迷惑かもしれないしなぁ…とか思ってやめた。
日本のどこでもいいから、ビッグゲームボーイの稼働筐体の情報が欲しいと。
するとレスポンスがあった。
秋葉原にある「スーパーポテト」というレトロゲームを取り扱う店舗に稼働筐体が展示してあるとのことだ。
なんだよ、やっぱ秋葉原にあったんじゃないかよ!完全に調査不足だったよ、反省…。
しかしもう一度秋葉原に行くのもシャクだなぁ…。
調べるとスーパーポテトは他にも店舗がある。じゃあ他の店舗にもビッグゲームボーイの稼働筐体があったりしないかな…?調べてみるとあった。
大阪の「でんでんタウン」の店舗にあるらしい。でんでんタウンは関西で最大級の電気街だ。まさに西の秋葉原。
じゃあでんでんタウンのスーパーポテト、行ってみるか…!
…って思って大阪にやってきた。寒い。さっき雪が舞っていたし。大阪って寒いね。
スーパーポテトのオタロード店、ここにビッグゲームボーイがあるという。早速入ってみようぜ。
ちなみに入口の左には、赤い帽子のヒゲの中年が鎖で電柱に繋がれていたよ。すごい仕打ちだ。
店内は懐かしのファミコンソフトがズラリだ。じっくり見ていけばかつて僕も触れたことのあるソフトがあるのかもしれないが、今の目的はビッグゲームボーイだ。サクサクと店内の奥へと進む。
あった、現在も稼働するビッグゲームボーイ!!
これが本当の姿だ。ちょっと感動して涙出そうになったわ。
平成初期からずっと大事にされ、令和時代の今日もこうして動いているのだね。アンティークレベルの一品ではなかろうか。
もちろんだが液晶画面もしっかりはまっていて稼働している。正しい姿はこれなのだ。こうやってお店の中を物色する人に、オススメのゲームの画像を見せているのだ。
「星のカービィ」だ。初代ゲームボーイなので色はついていない。
1992年と書いてあるので、もう今から30年以上も前のゲームなのだね。その映像をこうやって大画面で見ることができるのも、ビッグゲームボーイならではなのだろう。
これを一目見れて僕は満足した。
これで一連の調査活動も無事に終了だ。
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誰も知らない山奥に野生のゲームボーイが生きていた。
それは嘘か真か…。
記事の後半はちょっとリアル寄りの話になっちゃったけど、もし本当にこんな不思議な構図が四国の山奥にあったら面白いよね。
記事内容の100%が真実なのか、それとも一部が創作なのか、実在するとしたらそれがどこなのか…、などは言えません。
真冬から一気に初夏の陽気となった2024年のエイプリルフールシーズンは、この陽気の中で少しだけフワフワと、夢と現(うつつ)の間を楽しめばいいと思う。
以上、日本7周目を走る旅人YAMAでした。
住所・スポット情報
- 名称: 野生のビッグゲームボーイ
- 住所: 非公開
- 料金: 無料
- 駐車場: なし
- 時間: 特になし