僕は日本を巡るのが好きだ。つまりは日本列島が好きだ。
日本地図を手元で眺めるだけでワクワクするし、オブジェだとか壁画で巨大な日本列島を模したものがあれば、それが遠くても足を運んでみたくなる。
そんな僕が目を付けたのは、「日本列島公園」である。
公園は日本列島をイメージしており、その中には都道府県各所をイメージしたアイテムが設置されているという。
おいおいおいおい、それって僕にピッタリのスポットじゃねーかよ!
ただ、なんかおかしいなぁー!すごくおかしいなぁー!
僕らの住む日本列島ってこんなだったっけ?北海道が小さくって小顔な感じで、山口県がやたらとマッチョで九州がかわいそうなくらいにプレスされているような感じだけど、これでいいんだっけ??
ま、いいのでしょうね。
そういうちょっとしたパラレルワールド的な日本なのだろうね。
そんじゃ、僕と一緒に行ってみますか。
もう1つの日本列島へ。
日本上陸、そしてTOP3
こっちの日本列島も、海に浮かんでいる。
西側の駐車場に車を停めてから橋を渡って日本列島に上陸しような。東側から行こうとすると…。
…すんごいスリリングな道を通らされることになる上、ロクな駐車スペースもないんだからな。ビックリしたわ。このナビ、気は確かか??
やってきた日本列島公園のゲートである。
明確な説明書きはないが、このゲートは本州と九州をつなぐ関門橋を模したものだそうだ。なるほど、言われてみればそんな気もする。
かなり経年劣化が進んでいるし渡れないけども、確かに関門海峡だ。
ちなみにこれは公園内でも余裕でTOP3に入るほどダイナミックな日本モチーフの建造物だ。どれもがこのクオリティだと思うと火傷するからな、そういうナメた輩は今のうちにオロナイン買っておけよ。
それから、どこが何をモチーフにしているかの説明もほぼないからな。
ファミコン時代のクソゲーくらいに攻略のヒントが少ない。攻略サイトでしっかりとした対策を練れなかった連中は、ただただフィールドをさまようのみの運命だ。
今しがたTOP3の話をしたが、1番は何なのかというとある程度予想してしまった方もいたかもしれないが、日本のシンボル富士山だ。
高さは18mあるのでなかなかだ。「こんな富士山知らん。頂上に煙突みたいなものがあるし。」とかボヤいているあなた。この世界の富士山はこういう感じなんだから口を慎めよ。
早速僕も久々に富士登山しようとしたんだけど、閉山中みたいでロープが張られていた。そっか。冬だもんな。オフシーズンだったわ。
(ちなみに夏も閉山されている。危険なのかな?)
個人的にナンバー3だったのがリンゴ型のベンチ。リンゴの産地青森県をイメージしたものだそうだ。
リンゴが色あせてちょっとシワがあって鮮度が気になるけど、いかんせん公園全体が古いんだからリンゴが古くてもいいじゃない。
以上がTOP3だ。
ちょっと不安になって来たでしょ。この後この記事、(紹介するオブジェのクオリティは)盛り下がる一方だよ。
こじつけもまた正義だ
では、この章ではややダイナミックだが首をかしげざるを得ないモチーフをご紹介していこう。好きだぜ、このギリギリのヒリついた世界観。
さぁさぁ、これがどこの何かわかるかな?
答えは大阪府。大阪の河内長野市の特産物である爪楊枝を模しているのだ。
よーし、わかりづらいし「大阪といえば?」でいきなり爪楊枝をブッ込んでくるその心意気が僕の予想の斜め上だ。河内長野市には失礼だけども、もうちょっと大阪らしいものがあったのではないかと思ってしまう。
兵庫県にあたる部分には時計が立っている。
おそらくは標準時子午線を通る明石の時計台をイメージしているのだろう。何の説明もないので地理の知識の引き出しを総動員だ。
福井県の東尋坊!文字が彫り込まれていて親切でわかりやすいけども、ずいぶんとデフォルメしちゃったのね。
柱状節理をかたどったのだろう。世界初となる柱状節理のゆるキャラだ、これ。
ちなみに新潟県の親不知も同じ形状だった。刻印された文字が"親不知"な点だけが相違点だった。
東京は西新宿の高層ビル群だな、これ。
温かみゼロのソリッドなデザインのビルだ。東京の人間には血が通っていないと思われてしまいそうな無表情なビルだ。なんてこった。
おっ、これは珍しくハイクオリティじゃねーか。
兼六園の徽軫(ことじ)灯籠という2本足の灯篭だ。デザインも本物にかなり寄せているな。
おっかしいな。日本列島公園ってこんなんじゃないだろ。もっとアクロバティックな造形で攻めるべきだろ。クレイジーな世界にいきなりまともなもんを見せられて、逆に戸惑うわ。独創性をどこに置いてきてしまったんだい?
これは高知県の"日本三大ガッカリ"で有名なはりまや橋らしいぞ。橋のくせに繋がっていなくってブツ切りになっているけども、ベンチだからそれは許す。
しかし本物よりも大規模なんじゃなかろうか。本家ほどガッカリしないんじゃなかろうか。…って言ったら高知県の人に殺されるのでこの辺にしておきます。
愛媛の特産物、ミカンのベンチだ。これはわかりやすいほうだ。ベンチシリーズに外れなしって感じだ。
山形県は将棋の駒のかたちのベンチだったが、あれは将棋の駒で有名な天童市を意識したのだろう。そのチョイスも良いと思った。
たぶんここは北海道。そしてこの看板を両側から支えているのは、デザインが相当に剥げてしまっているけどもトーテムポール。
他にも正体不明なオブジェなどがいくつかある。
しかし調べてもどこの都道府県をイメージしているのか、はたまた全然イメージしていない無関係のものなのかわからなかった。
いつか全ての謎を解き明かしてWeb公開してくれる猛者の登場を待つ。
ワンプレート・ラッシュ
では、次はオブジェにすらしてもらえなかった悲しき都道府県のお話をしてまいりましょう。
このワンプレートが地面に埋め込まれている。これで終了だ。他にネタがないのか、それともオブジェを作る金がないのか、ちょいと渋めの扱いよ。
もう都道府県の3分の1くらいはこのお手軽花プレートなんじゃないかってくらいに、バッサバッサと切り捨てられて花化している。
広島県だってきっといろいろネタはあるんだどうけど、『もみじ』の3文字でフィニッシュだ。
たぶん、この世界の日本列島には明確なヒエラルキーがあるのだ。この栃木県のプレートのように、花化都道府県はきっと最下層。歩道で踏まれて暮らせ。
そういうこった。
北関東の扱いはこんな感じなのだ。現実世界でもパッとしないとイジられる北関東、この世界での扱いもしょっぱい感じだ。誰か、救ってあげてほしい…。
いや、僕は好きだぜ、北関東。
ワンプレートタイプには、もう1つジャンルがある。それがこの歌プレートだ。
これは岩手県。『南部よしやれ節』の歌詞が書かれている。正直知らない。歌詞だけ見ても戸惑うばかりだ。
僕が戸惑っているのにテンション高めに『ヨシャレサアンヨ、ヨシャレサアンヨ』と繰り返されても、さらに戸惑うばかりだ。転校初日で全然文化に馴染めない生徒の気持ち。
神奈川県は『赤い靴』である。確かに知っているし有名な歌だが、これはこれで感情をどこに持っていけばいいのか戸惑うな…。
せっかく都道府県紹介をするのであれば、気持ちが上向きになる歌をチョイスしてほしいものだぜ。
岐阜県からは『ずいずいずっころばし』来た!またかなりの飛び道具的な選曲だ!でも歌碑が結構ボロボロだ!
「へぇ」とは思うが、岐阜県の人はこれを取り上げられて胸を張れるのかどうか不明。でも知名度は高いだろう。
宮城県は『斉太郎節』。初めて聞いた。知らない。
あ、だけども斉太郎といえば石巻港に「斉太郎食堂」っていうなかなかのデカ盛のお店があるよね?僕も行ったことがある。あのお店の名前って、もしかしてここから取っていたりする??
佐賀県は『岳の新太郎さん』。誰だ?斉太郎といい新太郎といい、どなた?
『アラヨーイヨイ』が繰り返され、メロディは全くわからないがなんだか楽しくなってくる。仕事で行き詰ったときにこのフレーズを叫びたい。
茨城県は『雨降りお月』。これは自分的には割と有名な童謡だと思う。なるほど、茨城の歌であったか。
岡山県は納得の『桃太郎』なのである。
…という感じで、一部は正体のわかりづらいオブジェ、その他の多くは花と歌のプレートで構成された公園なのである。ある意味どちらもイバラの道よ…。
楽しみは自分で掴み取れ
この日本列島公園は、「三河臨海緑地」の一部である。
1993年に21億円をかけて造られたそうだ。
ミニ日本列島として、日本列島のミニチュアを庭園風に表現し、各地の地形・植物・人文・風俗などの特徴のあるものを各所に配置した公園なのだそうだ。
コンセプトはいいのかもしれない。ただしやるならばもう少し日本列島のかたちを精巧に表現した方がよかったかもしれないね。冒頭の写真で示した通り、ちょっと歪み過ぎている。
日本列島のかたちを綺麗に表現しただけで、インスタ映えなどのスポットになったかもしれないのに。
あと、これだけの規模の公園を維持するのは大変なのか、各看板や設備が老朽化してきている。
富士山も閉山していたし、前述の東屋もイエローテープで囲まれて入れなかったし。僕が訪れたのは冬なので雑草は少なかったが、夏場は草ボウボウだったというコメントも見たことあるし。
そのためか、「ガッカリした」という声をよく耳にする。珍スポット好きな人であってもガッカリするケースが散見されているようだ。
いかんせんオブジェの説明が少なすぎたり、都道府県によっては扱いが雑だし。
気持ちはわかるが、ちょっと切ないね…。
僕はガッカリはしなかった。少なくとも僕の訪問時にはそれなりに清掃されており、ご覧の通り落ち葉すら少ない状態だったし。
それに、僕はこの公園は例えるとクソゲーだと思っている。
「難易度が高すぎ」・「意味不明」・「ちゃちだ」と罵られながらも、それをネタに知っている人たちの界隈で盛り上がり、攻略に向けて必死に談義をする。
先ほども書いたが、まだ謎のオブジェは多い。
何がモチーフであるか気にも留めていなかったようなベンチなどが、実は何かのモチーフだったりするのかもしれない。
Webで検索すればなんでもわかるような時代であるが、このように「あぁでもない、こうでもない」と頭をひねって考察する余地を、この公園は残してくれているのではないだろうか。
いいか。人生の楽しみなんて、お膳立てされているだけのものじゃあないんだぜ。
ディズニーランドみたいに人を楽しませることに100%心血を注いでいるスポットに行くのもいいだろう。確実に楽しめる。
だけどもさ、ノートとペンだけ、紙とハサミだけの状態で、それらを使ってどのように楽しめるか。それこそが人生を楽しく過ごせるかどうかだと思うのよ。
僕は自分の旅を後者の視点で見ていたいし、その視点からブログを書けるよう心掛けている。
だから、難問を投げかけてくれたこの公園にも感謝だ。そう思って再びドライブを再開した。
…いや、ちょっと待て。
最後に1つ。ちょいと許せないことがあったわ。そんな美しくこの記事を終わらせるわけにはいかなかったわ。
冒頭でもお見せしたが、これが日本列島公園である。ここではよりリアリティを追求するためにGoogleマップからの図を掲載している。
何度かお伝えの通り、歪んでいるしデフォルメされている。これはしょうがないことだと思う。
でも、ちょっとこれをズームしてみような。
愛知県だけやたらクオリティ高くないか!!?
露骨な地元ひいき!ウケる!!
以上、日本7周目を走る旅人YAMAでした。
住所・スポット情報