「大阪城公園」。その敷地内には梅林があり、1200本以上の梅の木が植えられている。
梅の種類は複数あるために開花時期が異なり、1月下旬から3月中旬までの長い期間、梅の花を楽しめるという。
さて、2024年も本格的に春の足音が近づいてきた。
「もう梅見には遅すぎるかな?」って思っている方もいるかもしれないが、大阪城公園であれば大丈夫だ、きっとまだ梅の花はあなたの来訪を待っている。
ところで僕は2月の中旬に実際に見に行ったので、そのときのことをご紹介しようと思う。
春の香る梅林散策
2月中旬のある日。それは全国的に季節外れの暖かさであり、関東も関西も気温20℃を超えるところが出たという。4月下旬並みの陽気なんだって。
札幌も55年ぶりに2月の気温が2桁に行ったとかなんだで、日本列島全体が春に覆われた日。
これは梅見にうってつけだな。僕はルンルン気分で北外堀のさらに外側に足を踏み入れた。
もうこの辺から大阪城公園っていう位置づけでいいのかな?多くの人がのんびりと散策をしている。左手にはどうやら「大阪城ホール」があるそうだ。
あれは青屋門。外堀と内堀の間のゾーンに入るための門だ。
これをくぐった瞬間、内堀越しに大阪城の天守閣がドーンと目の前に現れた。
こんな感じだ。写真で見ると「いや、天守閣遠くね?まだ迫力を感じられなくね?」って思われるかもしれないが、肉眼で見るとそんなことないのだ。
高く高く積み上げられた美しい石垣、その頂(いただき)に鎮座する天守閣は荘厳で目を奪われる。写真よりももっともっと存在感を感じる。
現にここの位置で記念撮影をしている人がたくさんいたわ。
梅林は青屋門をくぐって左に行ってすぐである。徒歩で1分足らずで上の写真のような、梅林の入口を示す石柱が登場する。
すでに向こうの方にピンク色の木々が見えており、心なしかふんわりといい香りがここまで漂ってきているぞ。ワクワクしてきた。
天守閣はあとで行くし後でご紹介するので、まずは梅林な。天守閣はいつでも見れるけども、梅は梅の時期だけだから優先してご紹介な。
梅林の中は、遊歩道が縦横無尽に張り巡らされており、みんな思い思いにそこを散策している。
外国人の人も多いぞ。日本へようこそ。日本の春はステキでしょ。
人々は花の写真を撮ったり記念撮影をしたり。冬が終わって春が来て。そんな陽気の中でみんなの笑顔もほころんでいるようだ。
僕は梅の種類はよくわらない。木の根元付近には種類を示すプレートが設置されていたりもしたが、正直そこを注視もしなかった。頭上の花ばかりを見ていた。
梅の名前を知りたいのではないのだ。春の訪れを感じたかったのだ。
さぁさぁ、怒涛の勢いで梅の写真をUPしていくぞ。
冬枯れの世界に初めて色が付くのだ。それを目に焼き付け、写真に撮らない理由はない。春の訪れは、1年で最も尊いイベント。
これを執筆しているのは2024年の2月の半ばを過ぎたころなのだが、105品種ある梅の101品種が解かした状態という。
ちょうど最盛期であり、これらの見ごろは2月の末くらいまで続くそうだ。
残りの4種が遅咲きなのだろうな。遅咲きの品種は全部で218本あり、それらが3月中旬まで咲き続けるのだそうだ。
200本以上あるのだから充分に華やかだろう。あなたもこれから大阪城に足を運んでも充分に楽しめる算段だ。
ところでこの大阪城の梅の花、古来から楽しまれているわけではなく、割と近代に始まったものだ。
始まりは1963年、「大阪府立北野高校」の同窓会が、開校から100周年の記念イベントとして22新種880本の梅の木を大阪市に寄贈したことによるものなのだそうだ。
その2年後の1965年、寄贈された梅を梅林として整備して植樹し、開園したらしい。
その後、現在に至るまで品種を増やしたり本数を増やしたり…。なんだなんだあったが、つまるところ歴史は60年ほどなのだ。だけどもその間に、関西でも有数の梅のスポットとなったのだな。すごい。
梅の本数や品種もさることながら、大阪のシンボルである大阪城を臨む立地に作られたことがポイントの1つであろう。
梅越しに見上げる大阪天守閣は、そりゃもう立派でかっこよくって。
では、次はあそこに見える大阪城天守閣を目指すお話をしよう。
大阪城天守閣を目指せ
梅林もいい。ほのかに香る梅は、1年で最も寒い時期を脱して季節がだんだんと春に向かう様を象徴しているようであった。
だけどもやっぱ大阪城に来たら天守閣が気になるよね。シンボルだもん。
話は青屋門まで戻る。梅林に向かう際には門をくぐって左に行ったが、天守閣は右だ。
あの日本一高いと言われる石垣の上にそびえる天守を目指そう。
今回のメインターゲットは梅林なので天守閣内部の見学まではするつもりはないが、あの天守の足元までは行きたい。
あ、御座船だ。大阪城の内堀をおよそ20分かけて遊覧する、優雅なクルージングだ。
そのデザインは、この大阪城を築城した「豊臣秀吉」が朝鮮出兵のときに作った軍艦”鳳凰丸”をモチーフとしているんだって。
迫りくる石垣を間近に見ながらの航行はさぞかし迫力あるだろう。石垣は30mもあり、さっき触れたとおり高さは日本一。
これをしっかりと組んでいった当時の職人さんの腕がすごすぎだよね。僕だったら頭大の石1つ持ち上げて腰を壊して、初日にリタイアするもん。無駄に現代に生きているだけで、古来の人に勝てる要素が何1つとしてないもん。
あ、今度はSLか…?
いや、写真ではよく見えなくって恐縮だが、先頭車両は煙突もあってSLを模しているものの、普通の車だ。ロードトレインという名の、城内を観光客を乗せて移動してくれる便利な乗り物らしい。
「ポエェェ~!」とバリバリ電子音の汽笛を響かせると、向こう側に去っていったのでこんな写真しか撮れなった。
極楽橋という名の、天に召されてしまいそうな名前の橋を渡って内堀の向こう側に渡る。そうすれば後は石垣の間の坂道を上るだけで天守だ。
平日だというのに、ここも非常に多くの人が往来していた。にぎやかだ。
途中の道すがら、横笛を吹いている渋いおじいちゃんがいた。風流だ。それぞれの方法で春の到来の喜びを表現すればよいと思う。
ところで2月中旬だというのに暑すぎる。
冒頭に書いた通りこの日は20℃ほどの気温だった。一応コートを着ていたのだが、そんなものは坂道を登るのにはいらぬ。
むしろ薄手のシャツ1枚で全然OKだ。暑ィ。
石垣の間の坂道を上り、いよいよ天守閣の全容が見えた。
ただ、後から気付くんだけども近づきすぎないくらいの位置が一番天守がきれいに見える。ちょうど上の写真のあたりだ。
坂を上り切った、天守と同じ標高の舞台に到達すると天守閣が近すぎてなんだか全体が把握しきれなくなった。天守は巨大すぎたのだ。
…こんな感じに。「お、おぅ…」ってなった。
しかし立派な天守だ。大阪城は戦国時代の前半からなんやかんやあったけども、豊臣秀吉が築城したっていう見方が一般的だね。
大阪の陣で徳川と戦ってボコボコになったけど、江戸時代に徳川家がまた復活させた。その後に明治維新で燃えたりして、今僕らが見えている施設はすべて近代になってからの代物だ。
天守閣は豊臣時代・徳川時代・現代、と3世代に渡って造られている。
今のものは昭和時代の初期に大阪の人たちが寄付したお金で建てられたもの。昭和時代とはいえ再建から90年以上も経っているし、国の登録文化財になっているよ。
ところで2024年現在の天守閣への入場料金は600円。だけども2025年の春からは一気に倍額の1200円になることが2024年2月中旬に発表された。
日本一高い入場料のお城となるらしい。
理由は「豊臣秀吉の時代の石垣を展示する施設も一緒に見学できるから」というものらしいけど、なかなかにブルジョアな価格だよね。過去も現代も、庶民は城主に年貢を献上しないといけないのだね。なるほど納得。
天守閣の脇の石垣の上に登り、下界を見下ろしてみた。
一段下の芝生はまだ冬色だかポカポカと暖かいこの陽気に触発され、多くの人がひなたぼっこしていた。なんとも平和な景色だ。
その向こうに立ち並ぶビル群は大阪ビジネスパークと呼ばれるエリアかな?
過去と現代が、こんなにも近くに同居している。どちらも時代の象徴として青空にそびえていた。
城内の期間限定ローソン
この最終章では、ちょいとユニークな切り口から大阪城を語りたい。それは城内にあるローソンだ。
うん、大阪城の中にはローソンがあるのだ。たぶん豊臣の時代や徳川の時代にはなく、現代になってからの施設だとは思うけど、たぶん。
これは前述の御座船のチケット売り場だ。しかしよく見るとローソンの看板が掲げられている。
ここではいったい何を売っていたのだろう?足を踏み入れたら強制的に船に乗せられてしまうかもしれないのでビビってしまい、中は覗けなかった。
しかしローソンの看板を掲げている以上、御座船のチケット販売だけということはないのであろう。あぁ、気になる。気になって夜しか眠れない。
次はこれ、「ローソン S青屋門下店」だ。
日中だけの営業であり、普通のローソンと比べると4分の1くらいの大きさしかない。店舗の外に置かれているアイスのケースがなんだか平成初期みたいな雰囲気だ。昔の駄菓子屋さんとか、お店の外にこんなケースがありそうだよね。
中を覗いてみるとまだお昼なのにおにぎりやパンが軒並み売り切れ。最後に残っていた鶏の炊き込みごはんのおにぎりを1つだけ買ってみた。
ちなみにからあげくんや肉まんならそこそこあった。
振り買って撮影。「トイレかな?」って感じの大きさの建物にローソンの看板がくっついている違和感よ。だけどもここ、年中無休なんだぜ。大阪城の人気がうかがえるな。
さて、最後に一番ときめくローソンをご紹介しよう。
梅林の中にある、梅の時期の1ヶ月ちょいだけしか営業しない、期間限定の激レアなローソンだ。
正面に見えるかやぶきの建物。アレがローソンだ。世にも珍しいガチなかやぶき屋根のローソン。梅林に自然に溶け込んでいるコンビニ。
「ローソン S梅林店」。
以前はローソンではなく、お土産や甘酒などを売っている商店だったらしい。だがそれが2017年にローソンになったのだそうだ。
梅に囲まれたローソン。そこに多くの人が群がり、買ったものを近くのベンチや石段に腰かけて食べている。こんなにほっこりするローソン、なかなか見ないぜ。
店頭では梅関連のお菓子やお土産なども売られている。
では中はどうなっているんだろう。入ってみた。
中は普通のローソンとは違い、たぶんかつての商店だったころの名残がある、少しレトロな雰囲気だ。
ただし売っているものは間違いなくローソン。いつものローソン。
僕は思わずホットコーヒーとハッシュドポテトを買ってしまった。いつも屋外でちょこっと一息つきたいときにローソンで購入する黄金セットだ。
いつもの味だけど、梅の下で食べるとまた格別だよね。
春のポカポカしたこの雰囲気の中で、多くの観光客と一緒に食べるローソン飯は、僕をこの上なく幸せな気持ちにしてくれる。
でもホットコーヒーが熱い。この陽気ではアイスコーヒーでもよかったほどだ。体が必要以上に火照ってきたぞ。
忘れてはいけない、さっきもう1つのローソンで買ったおにぎりだ。
おにぎり、うまい。梅の花、綺麗。これぞ日本の春よ。
2024年春、幸先のいいスタートだな。
以上、日本7周目を走る旅人YAMAでした。
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