週末大冒険

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ちょっと出かけてみないか。忘れかけていた、ワクワクを探しに。

No.336【京都府】千本鳥居で有名な「伏見稲荷大社」!!夜はダンジョンっぽくてドキドキ!

京都について常識的な知識を持つ人々よ、申し訳ない。

今回は、千本鳥居として世界的に有名な、あの「伏見稲荷大社」に何の事前知識もない僕が突撃する話をさせていただきたい。

恥ずかしながら、この年まで伏見稲荷大社についてほぼ知識ゼロのまま過ごしてきたのだ。

 

遠い異国の地に住む人が「日本には赤い鳥居が無数に連なっているスポットがあるんでしょ?」って、どこかで見た1枚の風景写真を元に語る。そういう次元の知識しかない僕が、ふと思い立って伏見稲荷大社を目指すのだ。しかも夜に。

 

観光情報としてはほとんど参考にならないと思うので、あくまでエピソード紹介として執筆するぜ。

刮目せよ、これがレベル1の京都観光だ!

 

 

伏見稲荷大社って夜でも行けるの?

 

2023年の年始のことだ。日が暮れてずいぶんしてから、滋賀県を経由し京都府に足を踏み入れた。

 

古都を走る

今夜中に大阪府に行きたい。しかし京都府を素通りするのは失礼だ。どこか観光したい。夜でも観光できるスポットは無いものか。

そして行き先を鑑みると京都駅よりも南がいい。

 

拝観料がかかるスポットは夜はもうクローズしているだろう。

京都駅の南で夜間も解放されていそうで京都っぽいスポットと言えば…。

伏見稲荷大社だ。今行くしかない。かつては毎年のように秋に京都一人旅をしていながら、一度も行ったことのないこのスポットに今こそ行かねば。

 

ナビに伏見稲荷大社を入力し、それに従って車を進める。

 

京都タワー見えた

右手の彼方に「京都タワー」が見えた。妖しく光っている。

ちなみに僕、あのタワーの中に入っていたレトロ浴場「京都タワー大浴場」にだって入ったことあるんだぜ。2021年のコロナ禍に、57年の歴史を閉じてしまったよね、悲しい。

 

伏見稲荷大社が近づいてきたようだ。

しかし道は住宅地っぽいところに入りアホみたく狭くって不安になる。あれ…、伏見稲荷大社ってこんなところなの?道を間違えていない?ナビ入力を間違えていない??

しかも周囲は真っ暗だ。ワクワク感がゼロ地点まで乱降下する。

 

伏見稲荷駅

路地の途中、いきなりピカピカに明るい駅が現れた。伏見稲荷駅だ。なるほど、目的地は近いと判断で来たぞ。

まだチラホラと電車から降りてくる人もいるし、駅前の食堂も営業している。すごく安心した気持ちだ。

 

こうして伏見稲荷大社の目の前まで来たが、駐車場はどうしようか。

とりあえず鳥居に向かって数100m左に進んだらコインパーキングがあったのでそこに停めた。

有名スポットだし正月だからか、すんごい割高。ガラガラなのもうなずけるくらい高い。まぁしょうがない。出費を抑えるためにも30分で観光してここまで戻ってこよう。

 

参道を行く

暗い参道だが、ほのかに明かりが灯っている。歩いている人もいる。

よしっ、これは大丈夫だ。この時間の訪問でもOKだと確信したぞ!僕はルンルン気分の小走りで鳥居をくぐった。

 

 

千本鳥居って夜でもくぐれるの?

 

いきなり明るくて広い空間に飛び出した。横から。

 

楼門登場

どうやらこれは楼門らしい。そして僕は拝殿に対して正面にあたる表参道ではなく、一本左手の裏参道である神幸道というところを歩いていたらしい。

まぁいいけど。駐車場が神幸道側だったから、自ずとそっちを選ぶことになるよね。

 

しかし20時過ぎのこの時間でも明るく、数人の観光客が写真を撮っている。さすが伏見稲荷大社、この時間でも観光客がいるのだ。

 

楼門を正面から

楼門がカッコいいので正面に回って撮影もした。

よい。さっきまで滋賀県にいたしこれから大阪府に行く僕だが、ちゃんと京都観光をしているぞ。そんな自分を褒めてあげたい。

 

外拝殿は暗かった

楼門の後ろにあるのは多分外拝殿。

暗い。なんでか知らないけどここだけ暗い。なんで?

 

ギャンギャンに明るいエリア

その横のブースは目がくらむくらいに明るいのに。

これは日中であればお守りとか売っている場所かな?もう夜だと何が何だかわからんよね、これはこれで楽しい。

 

改めて外拝殿

感度のいいカメラにチェンジしてもう一枚外拝殿を撮影した。

外拝殿をグルリと一周してしまっているのだが、高額なコインパーキングのためにも早め観光が必要な僕がなんでこんなことをしているのかというと、千本鳥居の場所を見つけられてないからだ。

 

千本鳥居ってどこにあるの?なんかこう、もっと目立つところにあるのか、看板とかでデカデカと示されているのかと思った。

もっと言えば、伏見稲荷大社って千本鳥居だけで出来ているのかと思っていた。もう何もわからん。

 

本殿が現れる

階段の上に本殿が現れた。本殿は明るくてかっこいいな。しかし千本鳥居はどこだ。

キョロキョロすると本殿の後ろの方が少しだけ明るい。あっちかな?

 

そうだな、冷静に考えればなんとなくわかるハズだったのだ。千本鳥居は奥の院へと続く参道であり、本殿の後ろにあるということを。

すっかり舞い上がって冷静な判断力を無くしていた。

 

玉山稲荷社の横から入る

暗いしデカいし怖い。

あれ?千本鳥居ってこんなだったっけ?僕の記憶がおぼろげなのかもしれないけど、鳥居がすんごい連なっているのって伏見稲荷大社で間違いないよね?

そして千本鳥居ってもっとこう、赤くって小さくなかったっけ?


僕の前に暗がりの鳥居に吸い込まれるように入っていった人がいるので、僕も続いてい見ることにした。ほぼ真っ暗だが先人がいるなら一握りの勇気を持つこともできる。

 

念願の千本鳥居

千本鳥居だ!!念願の千本鳥居だ!!

メッッチャ暗いけど!!!

 

 

赤くて暗いダンジョンの中で

 

暗い。僕が泣き出さないギリギリ限界まで暗い。

 

左右の分岐

序盤でいきなり左右の分岐が出てきた。そんなの聞いていない。

どっちも暗くてほとんど見えないくらいだ。怖い。でも前にいた人が右の道を選んだので僕もそっちに行った。

 

しかししばらく鳥居の中を歩いていたのだが、前にいた人が消えた。

「おかしいなー、なんだろなー、怖いなー。」って思っていたら、鳥居の隙間からいきなり現れたので心臓止まった。

 

暗闇に連なる鳥居

前の人は別に僕を驚かそうとして鳥居の陰に隠れたわけではない。

このほぼ真っ暗な中で写真撮影をすると、どうしても手ブレする。手ブレを抑えるには腕を固定する必要がある。腕を固定できるようなところは、ここには鳥居の柱しかない。

だから柱に腕を密着させてシャッターを切るのだ。自分で撮影してその理由に気づいたわ。

 

おかげで上の写真のようにそこそこ明るい写真が撮れるのだが、実際は死ぬほど暗い。

てゆーかこの写真、全然鳥居に見えないよな。赤くて怖いダンジョン。

 

なんか広いところに出た

いきなり鳥居が途切れた。一瞬だけだけど。

ここは奥社奉拝所というところ。ダンジョン内の序盤に出てくるセーブポイントみたいなところだと思う。知らんけど。

 

境内MAP

ここに境内MAPがあった。

なんだよ、もっと序盤にこれを見せてほしかったよ。

いや、たぶん序盤にもあったのだろうが。暗くて気づかなかったか、裏参道を歩いたので見れなかったのかのどっちかだ、きっと。

 

この地図で千本鳥居を辿ると、メッチャ距離が長いのな。稲荷山って山の山頂まで行っているじゃないか。

これ登山じゃないか。何分かかるんだよ。真冬の夜に登って遭難しないか?他に登っている人はいるのか?

 

そもそも観光気分でフラリと来た人って、山頂まで登るのが正解?途中で引き返すのが正解?引き返すとしたらどこいらへんで?

 

赤の洞窟1

まだ周囲に何人かの人のシルエットが見えるので、もうちょっとだけ進んでみようか。

僕は再び赤いラビリンスに突入する。

何もない赤い空間。進んでいるのか進んでいないのか、感覚がマヒする。昼間であればもっといろんなものが見えてそうは思わないだろうけど、夜はわからんのだ。無限ループに吸い込まれていないだろうな、これ。

 

新しい鳥居

平成後期の比較的新しい鳥居もある。

どうやらこの稲荷山には1万本の鳥居があるらしい。全然千本鳥居じゃないじゃん。1万本鳥居じゃん。こんなの全部くぐっていられないよ。ありがたみが深すぎるよ。

 

赤の洞窟2

連なりすぎる赤い鳥居。

なんだかもう内臓の中を進んでいるような、グロテスクな気分にもなってくる。…そんなこと考えるヤツにご利益なんてないですよね、すみません。でも不安なんです。

 

こういうとき、僕は芥川龍之介の「トロッコ」という小説の少年の気持ちにメチャ共感してしまうのです。

旅が好きだけども、遠くに行きすぎてふとした瞬間に泣きたくなるくらいに不安になる気持ち、わかるのだ。あ、読んだことない人、ごめん。

 

赤の洞窟3

鳥居に導かれてゆるゆると山を登っていた。

しばらく歩くと再び鳥居が途切れて山のふもとに降りていけそうな歩道があったので、そこから帰ることにした。

後日ふりかえると、たぶんそこは熊鷹社のあたり。

 

暗い道を歩く

そしてこれも後日ふりかえってわかったのだが、稲荷山には1万本の鳥居があるものの、その中の"千本鳥居"と呼ばれているのはふもと付近のみらしいね。

鳥居がギュウギュウに密集していて絵になるスポット。僕らが想像する千本鳥居がまさにそこ。

 

そして僕が今回歩いたのも、ちょうど千本鳥居部分の最初から最後付近だったらしい。

偶然にも初心者として一番適切な部分だけを歩いていたらしい。

 

あ、京都タワー

道すがら、すごく遠くにまた京都タワーが見えた。うんとズームさせて撮影した。暗闇を照らすロウソクのようだと思った。

 

こうして本殿脇まで続く遊歩道を降りてこれた。帰りは表参道を歩いてみたよ。

 

表参道に建つ鳥居

表参道を最後まで歩いて気付いたんだけど、鳥居の右側に参拝者用の無料駐車場あるじゃないか。しかもガラガラじゃないか。なんてこった。

 

まだ初詣シーズンだから日中はきっと満車だっただろうが、この時間は空いているのだ。知っておけば有料駐車場に停めて焦って観光することもなかったな。

まぁいいけど。これも思い出だ。これを人生唯一の伏見稲荷大社観光にするつもりはないからな。初回はこんなもんでいい。

 

 

エピローグ:メシと風呂を求めて

 

駐車場に戻る前に、目の前にある伏見稲荷駅を再び訪問してみた。

さっき車窓からチラリと見えた駅前の食堂、雰囲気がよさそうだったな。まだ営業しているなら立ち寄ろうか。

駐車場代は増えるけど、それだけの価値があるなら別にいい。何より僕は腹が減っているのだ。

 

再び伏見稲荷駅

しかし駅前食堂はちょうどおじさんがシャッターを下ろしているところだった。

しょうがない、縁がなかったと思おう。

 

駐車場に戻ると近くの入浴施設を検索し、そこに向けて車を発進させた。

夜になったら飯食って風呂入って寝る。でもあてのない車中泊旅だと、都度ご飯を食べるところもお風呂も寝る場所も探さないといけないのだ。

大変だし疲れるけど、これがとても楽しい。アドリブは楽しい。1分先どうなるかわからんから。

 

たこ焼きナイト

だから、庶民的な雰囲気のたこ焼き屋さんをふと見つけたときはうれしかった。

そこで買ったたこ焼きが「あれ?関西圏のたこ焼き屋さんって、もれなくおいしいんじゃないの?あれれ?」ってレベルだったんだけど、それもまた楽しい。

 

伏見温泉

車も入れないような狭い道の先にあった「伏見温泉」という激渋銭湯に入ったが、ここもよかった。地元の人とゆっくり熱いお湯に浸かった。

寒い夜、千本鳥居を歩いた後に最高のお湯。

 

またいつか、千本鳥居

次は明るい時間にいこう、伏見稲荷大社

そして右側通行で正解だったんだな、左右分岐ゾーン。知らず知らず歩む道は大体正しい。今後もそう思える人生でいたい。

 

以上、日本7周目を走る旅人YAMAでした。

 

 

住所・スポット情報