週末大冒険

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ちょっと出かけてみないか。忘れかけていた、ワクワクを探しに。

No.236【東京都】手動販売機!ハンバーガーと餅!「立石バーガー」の迷走に翻弄されたい!

東京の下町、葛飾区の堀切菖蒲園という駅からの徒歩圏内に、一時期バラエティー番組でしばしば取り上げられた「立石バーガー」というお店があった。

 

ハンドメイド感が満載のハンバーガーの手動販売機がユニークだとか、そんな取り上げられ方だった記憶がある。

 

 

ちょっと調べてみたら、「出没!アド街ック天国」という情報番組にこの店が出たのが2005年。

その後も2010年前後までちょこちょこメディア露出があったみたいだ。

 

さて、その後はこのお店はどうなっているのだろう?

 

これは、ブームが冷めきった頃にようやく動きだし、その後2022年秋までこのお店を追いかけるという、熱しにくく冷めにくい僕によるお店訪問レポートである。

 

ちなみに最後の章で詳細を明かすが、もうこの「立石バーガー」という名のお店は存在しない。

…おや、これは悲しい結末の物語なのか?

念のためみなさん、どうぞ厚手のハンカチあるいはバスタオルを用意しておくのです…。

 

 

自販機永久廃止宣言

物語は絶望から始まる

 

2015年の冬のクソ寒いある日、僕は立石バーガーを初訪問する。

 

下町とスカイツリー

TVやWebを騒がせた、あの話題の手動販売機のお店に行けるのだ。

世間がざわついてから既に数年が経ってしまったけど、だから何だというのだ。

そこに立石バーガーと手動販売機がある。それが大事なのだ。

 

初・立石バーガー1

うおぉ!結構ボロい!

…すまない、あまりの衝撃で心の声が漏れてしまった。

 

ハンバーガー屋とは思えないほどの、年季の入った建物。

ガラスサッシから見える店内は真っ暗。生存反応ゼロ。

 

事前にどんなお店か、今も営業しているのかなど、ろくに調べて来なかった。

これはもう閉店(廃業)しちゃったのか?

 

初・立石バーガー2

一瞬とはいえ、そう思った僕は実におろかだ。

 

バカ野郎、立石バーガーさんは今日も元気に営業中だぞコラ。

地面に立て掛けた「営業中」の朽ちた板が見えねぇのか。

ドアには「節電中」と貼ってあるから暗い理由も察しろやオラ。

 

初・立石バーガー3

ドアには「ようこそ」と書かれているが、店内のあまりの暗さに「ようこそしちゃいけないタイプのようこそ」なんじゃないかと危機感を覚えてしまう。

ホラー映画で真っ先に犠牲になるキャラクターでも、こんな貼り紙にホイホイだまささるようなヤツは最近見かけない。

 

とりあえず朽ちた木札を信じるならば、店は営業中である。

そしてこれは朗報なのだが、僕はこの仄暗い店内に入る必要はない。

なぜなら、このお店の名物であるハンバーガーの手動販売機は、店の外壁に設置されているからだ。

 

さて、本題の手動販売機… ー

 

初・立石バーガー4

 

無 い

 

 

商品が無いのでは無いよ。自販機自体が無いの。

ここに手動自販機があったはずで、お金を入れると店内にいるオーナーのおじさんがそれに気づいて手元のロープを引っ張り、それがピタゴラスイッチみたいに作動して自販機にハンバーガーが落ちるギミックだったの。

 

自販機とはいいつつ、お客さんが従業員に会わなくていいだけの用途で、ハンバーガーも1つ売れたらオーナーのおじさんがまた新しいものをセットしないといけないんだけどさ。

 

初・立石バーガー5

こっちの手動自販機もダメだ…。

  • 「自販機手わたし」… あらかじめゴム手袋の上にセットされたハンバーガーが出てくる、人の手から購入できるハートフルな自販機
  • 「気球的自販機」… 気球が吊り下げたハンバーガーを運んできてくれる、メルヘンな自販機

 

初・立石バーガー6

それぞれ、上記のようなイメージだったと聞いている。

いずれも小学生が図工で作るような、手作り感あふれるテイストだったそうだ。

 

これらの自販機、使ってみたかった…。

大人の都合で楽しみを奪われた子供のような気持ちになった。

 

しょうがない。

手動販売機が無いなら、直接店内で買おう。

思い切って、深淵への扉を開ける…!

 

 

仄暗い店内、ハンバーガー2つ

 

ホントに営業しているのか疑わしい、初見で入る勇気は極めて湧きづらい店舗へ入ってみた。

 

イートイン1

優しそうな笑顔のおじさんが「いらっしゃい」と言ってくれて安堵した。

 

だがしかし、もちろん店内は暗い。

物が多くて雑然としており、飲食物を扱っている店舗には似つかわしくない。

てゆーか、古びたパソコンとかも売り物になっていたしな。

 

古びてヒビ割れたショーケースはあるものの入っているハンバーガーは2つだけだ。

ウォーマーで温められているわけでもなく、ケースの中にポツンと置かれており、その広すぎる空間がシュールであった。

 

イートイン2

僕はおじさんに「自販機はどうしちゃったんですか?」って聞いてみた。

 

そしたら、「TVとか取材を受けてもう充分にやったと思うから、つい最近廃止したよ。100円のハンバーガーも辞めたんだよ。」とのお返事。

そうなのだ。手動販売機では100円バーガーを扱っていたのだ。

安くてうまいと聞いていたので、廃止されたのは無念。

 

さらにおじさんは「もう自販機は再開するつもりはないよ。」と言う。

マジですか。

TVで有名になったのをチャンスにしてさらに高みを目指すのではなく、「有名になったから満足して辞めた」のか。

"静かに暮らしたいタイプの人"だ。

 

イートイン3

じゃあ、店内販売のハンバーガーを買おう。

 

今までこのお店に訪問した人は手動販売機ばかりに注目していた。

店内のリポートは少なくとも僕の初回訪問時点ではかなり少ないぞ。

考え方を変えれば、これこそ貴重な体験!

 

イートイン4

僕はこのとき3人で訪問していたので、まずはショーケースの2つのハンバーガーを買う。

300円の"ロイヤル立石バーガー"というものだ。

3人いるので足りない1個分はオーダーしたらおじさんが暗い厨房で素早く作ってくれた。

 

ちなみに店内のメニューにはポテトやサラダもあるが、訪問時点では提供していないとのこと。ロイヤル立石バーガーのみだ。

 

イートイン5

店内は雑然としているけど、厨房の前にカウンター席が2席分、そして少し離れた壁際に1席分ある。

カウンターには無料のお茶もあるので、それと共にいただこう。

 

おじさんが「ショーケースから買った2つは冷えているから、横の電子レンジで温めてくださいね」とアドバイスを送ってくれた。

そうしよう。せっかくだからアツアツを食べたい。

 

イートイン5

うん、うまいよ。かなりうまい。

正直ね、店の外観も内装もアレだし、手動販売機という飛び道具で有名になったお店だから、「味は期待できないかもな」って思っていた。

 

だけどもうまい。

電子レンジで温め直したにもかかわらず、だ。

パンも生地がしっかりしているし、ハンバーグもふっくらしていてしつこくもなく、食べやすい。

これ、出来立てだったら相当においしいと思うよ。

 

イートイン6

聞いたところ、バンズ・パティともに手作りとのことだ。

腕は確かだ、オーナーのおじさん。

 

だけども店舗が外も中もことごとく変だ。

照明もBGMもない暗い店内で、無言でハンバーガーをモソモソ食べる3人。

これはゾンビ系映画のグロテスクな捕食シーンではないかと、自問自答してしまう。

 

イートイン7

おじさんにお礼を言ってお店を出る。

2015年を強烈な思い出と共に締めくくってくれたこのお店。

 

最後の振り返った特徴的なこの看板を、僕が再び見ることは二度となかった…。

 

 

再び自販機でハンバーガーを売る

 

少し時代は流れた。

あの立石バーガーは、翌年2016年には自販機どころかハンバーガーすら辞めてしまったらしい。

これまで築き上げた実績を全部無にしたのか。なんてエキサイティングな人生。

 

これと共に「モッチーピザ」という意味不明な店名になった。

何かというと、生地に小麦粉のかわりにお餅を使ったピザなどを販売するお餅屋さんになったとのことだ。

 

理由は「お餅はおいしいから」らしい。

アメージング!

シンプルな動機にぐうの音も出ないわ!

 

自販機復活1

「お餅を売り出したところで、わざわざ再訪するほどではないかな」と思っていた僕だが、2018年に再びそのお店を目指すことにした。

 

なぜか。

それは2018年に入ってから手動販売機を復活させたとのウワサを聞きつけたからだ。

2年半ぶりの手動販売機復活のニュースに、僕はときめきを隠せない。

 

自販機復活2

懐かしい。あのときと同じ佇まいの店舗。

交通量の多い道路の交差点に面しており、こうして撮影するだけでも道行く車が不思議そうな顔でこちらを見てくる。

そんな店舗である。

 

自販機復活3

だが、前回と決定的な違いが1つある。

看板が立石バーガーではなく「モッチーピザ」になったことだ。

 

なんか看板に余白が多いが、これはアート的な意味なのか。それとも印字サイズの限界がこれだったのか。

微妙に文字がズレているところに手作り感を感じさせる。

 

自販機復活4

待て待て待て待て!

なんかおかしいぞ、この看板。

 

『&立石バーガー』の文字が亡霊のように浮き上がって来ている。

以前見た立石バーガーのロゴとは違うものなので、モッチーピザになってから新たに書き加えたのだろう。そして消したのだろう。

僕の推理だと、看板の遍歴はこうだ。

 

  1. 立石バーガー (前回訪問時)
  2. モッチーピザ
  3. モッチーピザ&立石バーガー
  4. モッチーピザ (今回訪問時)

 

オーナーのおじさんに何が起こり、この激動の人生となったのか。

このとき突撃してヒアリングすればよかったが、残念ながらこのときはしなかった。

今となっては後悔している。

 

自販機復活5

あと、お店の顔とも呼べる大事な部分に、デカデカと便利屋さんの広告が貼ってあったな。

部屋の片づけ・お掃除などをバッチリやってくれるらしい。

これ、皮肉かな?店内に対する皮肉かな??

 

…それはまぁよい。

今回僕とあなたが着目すべきは… ―

 

自販機復活6

― もちろん手動販売機だ。

 

前回の「もう自販機は再開するつもりはないよ。」発言は、どこにいったのだろう。

 

しかし『誰でも立石バーガー自販機』。夢見た手動自販売機。

僕は小躍りで交差点を渡り、お店の前に駆け寄った。

 

自販機復活7

手動販売機はとてもチープな造りではあるが、温かみのあるデザイン。

 

どうやらハンバーガーは4種類あり、どれも100円のようだ。

ボタンの下からハンバーグが覗いていることから、4種類どれも在庫ありと確認できる。

 

自販機復活8

チキンカツバーガー・牛すじバーガー(しかも和牛)・ハムカツバーガー・立石バーガー…。

2つ買おう。どれを買おうか、とても悩むな。

 

まずは王道の立石バーガー。

それから「しかも和牛」とアピールしてくる牛すじバーガーにしよう。

 

100円を入れてボタンを押すと、ハンバーガーを乗せているプレートが外れ、ハンバーガーが取り出し口まで落ちてくる仕組みだ。

 

自販機復活9

外れたプレートの裏には『ありがとうございました』という文字と共に、イラストが描かれていた。かわいい。

 

すぐさまハンバーガーを補充するオーナーのおじさんの手が、アクリルパネル越しに一瞬見えた。

今回はテイクアウトなので店内には入らない。

おじさんとの接点は、この手のみであった。

 

自販機復活10

ところで、昔のバージョンの手動自販機は、オーナーのおじさんが「お金を入れた音を聞きつけてロープを引っ張ると、ハンバーガーが出てくる」という仕組みであった。

欠点は2つあった。

ロープを厨房まで張り巡らせるため、セットできるハンバーガーは1つが限界であったこと。

音で判断するので、100円玉ではなく10円玉だろうとコインだろうとロープを引っ張らざるを得ないという点だ。

 

自販機復活11

今回のバージョンは、ご説明の通りボタンを押すことでハンバーガーを乗せているプレートが外れる仕組みなので、わざわざおじさんがロープを引っ張る必要がない。

おじさんが不在だったり手を離せない状態でも、僕らはハンバーガーを購入できるのだ。

これでようやく、本当の自動販売機!

 

ただし、気付いてしまったのだが100円入れなくってもボタン押せば落ちてくるよね?

昔のバージョンと同様、10円入れても判別できないよね?

 

今も昔も、このお店は【信頼】で成り立っているのだ。

大事。そして美しい。

 

自販機復活12

相変わらずふっくらしっかり、もちもちの美味しいバンズ。

立石バーガーの中身は、シンプルにパティとレタス、それと少しのオニオンだ。

前回食べたロイヤル立石バーガーとの違いは、パティの厚さ・ハムやトマトが無いことのようだ。

 

しかしこれで100円だぜ。ありがたすぎる。

 

自販機復活13

牛すじバーガーは、ボリュームは豊富とは言えないが牛肉・レタス・オニオン。バンズは入っていない。

ほのかに肉じゃがを思い出させる、醬油とみりんの懐かしい味付けだった。

 

…店名がモッチーピザである以上、店内に入ればお餅を購入できたのだろうか?

いろいろと確認不足な点があったが、手動販売機を体験できたことで満足した。

僕は意気揚々と、長旅の続きを楽しむ。

 

 

餅屋?ピザ屋?ハンバーガー屋?

 

またしばらく時は流れる。

 

黄昏のモッチー1

コロナ禍と呼ばれる時代になったが、モッチーピザ(立石バーガー?)は変わらずボロっちいままで堀切菖蒲園に佇んでいる。

 

コロナのせいでどんどん変わりゆく世界。

そんな中でもこのお店がちゃんと存在していることに安堵した。

 

黄昏のモッチー2

…ただ、看板無くなっちゃったけどな。

一瞬嫌な意味でドキッとしたが、もう詳細説明するまでもない「営業中」の木札が店頭に置いてあるので大丈夫だ。

 

しかしこのお店を何と呼べばいいのかわからない。

前回モッチーピザだったのだから、今回もモッチーピザに違いない。そう呼ぼう。

 

黄昏のモッチー3

もし赤い『誰でも立石バーガー自販機』がなかったら、何屋なのか、そもそも店なのかもわからない外観。

知らずにやって来てこのドアを開けられるような人は皆無であろう。

 

あ、今「何屋なのかわからない」と書いたが、僕自身もわからなかったや。

ハンバーガー屋?餅屋?

 

黄昏のモッチー4

お店の窓ガラス、ヒビ割れているな…。相変わらず中は暗いな…。

一瞬中を覗き込むと、オーナーのおじさんと目が合ったので、軽く会釈をした。

 

中に入って久々におじさんと会話もしてみたかったけどね。

ちょっと個人的すぎる事情で恐縮だが、このときは同行者とやや険悪な雰囲気だったのだ。

それを押してここにやって来ていたので、ゆっくりするような時間的・心理的余裕はなかったのだ。残念。

 

…ま、でも人生そんなこともあるさ。

あなたには僕に対し、そう言ってほしい。

 

黄昏のモッチー5

店内のショーケースは、なかなかに賑わっている雰囲気だった。

商品は上の写真で確認できるだけでも4つあり、商品名のポップはその倍はある。

さらに、なぜかマグカップが2つ置かれている。

 

店内に入ればいろいろとこのあたりを確認できたのだが、とりあえず謎のままだ。

 

黄昏のモッチー6

今回もメインターゲットは手動販売機である。

前回同様4種類。

チキンカツバーガー・ピザパン・ハムカツバーガー・立石バーガー。

つまりは牛すじバーガーがピザパンにチェンジされたのだ。

牛さん、どちらへ?

 

そしてハムカツバーガーが既に売り切れていた。

 

黄昏のモッチー7

では、ニューフェイスのピザパンにしようかな。

ディスプレイ写真を見るとピザパンというより目玉焼きパンのようなビジュアルだが、このあと答え合わせをしようじゃないか。

 

黄昏のモッチー8

買った。

アルミホイルとラップに包まれた四角い物体。家庭的な包装でほっこりする。

ちなみに冬の冷気に当てられて結構ヒエヒエだ。

 

黄昏のモッチー9

あ、さっきの写真は裏側だった。

取り出し口に落ちてきたのを拾ってそのまま撮影したので、表裏の区別がついていなかった。

 

これが表側。なかなかに食欲をそそられるビジュアルである。

ザ・ピザパンって感じの王道のビジュアル。

夕日に当たってさらに美味しそうに見える。

目玉焼き?そんなものは乗っていない。

 

黄昏のモッチー10

味もオーソドックス。

きっとあなたが想像したピザパンの味、そのままだ。

ボリュームも小腹を満たすのにちょうどいいレベル。

 

餅との出会いが無いまま2回訪問したモッチーピザ。

看板すらなくなりその真相は謎だが、ごちそうさまでした。

 

 

名乗る名前の無い餅屋

激レア、もち自販機

 

2022年の秋。

「『誰でも立石バーガー自販機』が餅自販機になった!」という衝撃のニュースが飛び込んできた。

 

餅屋の本領発揮1

あなたもカタルシスを感じてほしい。

モッチーピザという店名になったのはもう結構昔だが、今まで僕は餅には全くご縁がなかったのだ。

そして今回は餅自販機に出会えるというのだ。餅屋の本領発揮である。

 

…で、やって来た。

すごく寒くてすごく雨の降る日であった。

 

餅屋の本領発揮2

もう僕もあなたも、4点確認できるよね。

電車の車掌さんみたいに指さし確認してみよう。

 

看板(無し!)・店内(暗い!)・営業木札(あり!)・自販機…。

うおぉ、自販機!!

 

餅屋の本領発揮3

自販機が僕らの知っているものとは違う。

なんだかオレンジ色だ。目を凝らすと「もち自販機」と書いてある。

 

日本中、ここ以外にお餅の自販機がどれだけあるだろうか?

僕は今、すごい体験をしようとしているぞ!!

雨の中、交差点を渡ってあそこに駆け寄れ!

 

餅屋の本領発揮4

もち自販機!

メニューは、もちザラニア・もち黒あん・もちピザ・もちハムである。

あんまり耳馴染みが無いよね、うん僕もだ。

もちラザニアは売り切れていた。

 

もちピザを買おう。

…とうとうバレてしまいましたね、実は僕はピザが好きなのです。

今回は初めて動画撮影もした。

手動販売機のギミック、あなたも体感してほしい。

 

では、買ったもちピザをどうするか。

すぐにでも食べたいが、ここはザーザー降りなのでカサをさしたままは食べづらい。

店内で食べさせてもらおう。

 

僕は久々に、暗い空間へのドアを開ける。

 

 

オーナーのおじさんと語る

 

「すみませーん、自販機で買ったヤツ、雨が激しいので店内で食べていいですか?」とオーナーさんに話しかけた。

おじさんは以前と変わらず優しい雰囲気の人で、快くOKしてくれた。

 

店内で餅食う人1

2015年以来の店内。

だけども何も変わっていないなぁ。今が令和時代だってこと、このお店は知っているのかなぁ。

 

店内で餅食う人2

「お餅は温めたほうが美味しいよ。そこのレンジで20秒ね。」とおじさんが言う。

レンジの目の前のカウンター席に座り、さっそく温めさせてもらう。

 

レンジの上には水のピッチャーがあるので自分で水を用意しようとすると、おじさんが慌てて「そこの水は古いから!こっちで用意するから!」と、厨房から出してくれた。

イートインの人が絶望的に少ないのだと認識した。

 

店内で餅食う人3

もちピザ。いい感じにアツアツになった。

ビジュアルは以前に食べたピザパンとほぼ一緒だが、土台がトロンとしたお餅である。

 

うむ、うまい。

お餅はしっとりではなくふんわりって感じ。味は余計なものが入っておらずシンプルに「米!餅!」って感じだ。

具材が載っているのでそれでバランスが最高になるのだと思う。

 

店内で餅食う人4

少しだけ店内をご紹介しよう。

これは僕の座っている席の後ろ側。

骨董品みたいなパソコンがあるが、どうやら売り物らしい。

2015年にも同じのを見た記憶がある。ずっと売れていないのだろう。

 

店内で餅食う人5

右から順に、僕が座っているカウンター、ショーケース、もう1つのカウンターである。

そのもう1つのカウンターの隅に、もち自販機が備え付けられている。

 

店内で餅食う人6

カウンターの左側に、もち自販機の裏側が見えている。

とてもシンプルな構造だ。

カウンターには餅が1つポツンと置かれているが、補充待ちの在庫だろうか?

 

店内で餅食う人7

よし、店内でもう1つ餅を買うか。

自販機でも買い、店内でも買う。両方できたらステキじゃないか。

 

割れまくったショーケースを覗く。

 

店内で餅食う人8

さっきの自販機のラインナップと一緒だ。

もちラザニアがなく、もち黒あん・もちピザ・もちハムが1つずつある。

 

あとはもちカレーともちしるこのポップがある。

この2つはオーダーすれば作ってもらえるイートイン専用メニューかな?

 

では、もちハムをいただこう。

 

店内で餅食う人9

ついついひとくち食べてしまった後の写真で申し訳ない。食欲にブレーキが利かなかった。

厚切りハムのカケラが2募つ載ってっている。

その塩味がお餅にちょうどよかった。

 

僕はおじさんに聞く。

僕:「いつもち自販機を設置したのですか?」

おじさん:「大体1ヶ月前だね」

僕:「店内にも無いけど、ハンバーガーはもう作らないのですか」

おじさん:「うーん、わからないけど、今のところは作る予定はないね」

 

店内で餅食う人10

僕:「なんで餅屋にしたのですか?」

おじさん:「おいしいし、うーん。なんとなく」

僕:「看板無いしハンバーガー無いけど、今の店名ってなんなんですか?」

おじさん:「店名…。ないんだよね、エヘヘ」

 

 

店名、ないのか。

 

 

店内で餅食う人11

こうやって書き起こすと、僕が怒涛の質問ラッシュをしているように見えてしまうが、実際は暗い店内ののらりくらりとした感じの会話であった。

 

もちろん登記されている店名はちゃんとあるのだろう。

そして僕がチラリと見た店内にて、2019年時点では世間的には『立石バーガー』として認知されている根拠をしっかりと確認しておいた。

 

店名で餅食う人12

僕にとっても、ここは今でも立石バーガーである。

 

自由気ままに迷走を楽しんでるようなおじさんは、またいつかきっと立石バーガーを作ってくれると信じている。

 

「客は来ない。ハンバーガーも餅も売れない」と苦笑いをしながら言うおじさん。

だが、厨房の中で筒状の機械をゴウンゴウン動かしながら餅を作っているその横顔は職人のものであり、嬉しそうであった。

 

では、またいつか会える日を楽しみにしてます!

土砂降りの中、僕は外に飛び出す。

立石バーガー、フォーエバーー!!

 

以上、日本6周目を走る旅人YAMAでした。

 

(ずぶ濡れになったので、冒頭でご用意いただいた厚手のハンカチあるいはバスタオルは僕宛に…)

 

 

住所・スポット情報

 

  • 名称: 立石バーガー
  • 住所: 東京都葛飾区堀切3-17-15
  • 料金: もちピザ¥100他
  • 駐車場: なし。近所のコインパーキングを使用のこと
  • 時間: 11:00~19:00(水曜定休)