週末大冒険

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ちょっと出かけてみないか。忘れかけていた、ワクワクを探しに。

No.365【徳島県】世界で2台のみ稼働のボンカレー自販機!「コインスナック御所24」で堪能!

レトロ自販機はいくつか種類があり、全国にポツポツと100台ほどあるあるみたいだが、今回はその中でも激レアなものをご紹介したい。

ボンカレー自販機。稼働しているものは2台しか存在してない、まさに骨董品自販機なのである。

 

 

今でこそ徳島県の「コインスナック御所24」、神奈川県の「中古タイヤ市場 相模原店」の2店舗に存在しているが、後者に登場したのは確か2019年くらい。

それまでの長らくは、コインスナック御所24に世界唯一の稼働筐体があったのみだったのだ。

 

だからマニアはこぞって徳島を目指す。そう、もちろんかつて僕も目指した。

2024年の最近も訪問した。それらの思い出を執筆させてもらいたい。

 

 

まだここが日本唯一であった頃

 

まずは僕の初回訪問時のエピソードだ。

2011年の暮れにレトロ自販機というものが存在すると知った僕は、全国のレトロ自販機巡りに乗り出す。

 

初訪問1

それからおよそ1年後の2012年の晩秋、僕はこのコインスナック御所24を初訪問していた。

この世で1つしか稼働していないという、ボンカレー自販機でカレーを食べるためである。そうなのだ、2012年は中古タイヤ市場 相模原店がレトロ自販機運営に乗り出す遥か前だから、ボンカレー自販機はここにしかない。

 

初訪問2

自販機がズラッと並んでいて壮観だ。その中にひときわ目を引くレトロな食品自販機が2つある。カレー専用のボンカレー自販機と、富士電機の麺類自販機。

 

両方食べたい。だけどもボリューム的に大丈夫かな?片方だけで限界が来ちゃうかもしれないだ。だとしたら、まずはここにしかないカレーを食べるっきゃないよね。

 

初訪問3

これが、最後の1台のボンカレー自販機。

もう壊れて動いていないバージョンであれば、千葉県の「オートパーラーシオヤ」にもあるんだけどね。アレはもう復活することはなさそうだよね。

 

初訪問4

僕、思ったんだけどさ。やっぱ稼働している自販機は"目"が違う。魂がこもっている。

「いや、顔パネルだから当然じゃないか」という声も聞こえてきたが、まぁその通りだな。しかしこれだけ顔の圧力の強い自販機もそうそう無いわな。

 

この方は「笑福亭仁鶴さん」。存じ上げなかったが、初訪問時にWebで調べて知った。笑福亭仁鶴さんがボンカレーのTVCMをしていたのは1973年。だからこの自販機もきっとその時代のものなのだろうね。

 

余談なんだけど、笑福亭仁鶴さんが2021年に亡くなりニュースになったとき、「むぅ…?知らない人だ」って思った。

そのあとしばらくして「え…?もしかしてボンカレー自販機の人!?うわぁ自販機の人!!悲しい!!」ってなった。僕にとってはボンカレー自販機のみで接点のあった方だ。

 

初訪問5

何をもって「新発売」なのかわからないけど、新発売らしい。

メニューボタンはすり減ってほとんど見えないが、甘口と辛口がある。値段はどちらも300円。僕は辛口にしてみよう。

ボタンを押すとすぐにカレーが取り出し口に出てきた。

 

初訪問6

ご飯・カレーがそれぞれパックに入ってる状態なのだが、包装紙でひとまとめになってアツアツの状態で出てきた。

自分でご飯の上にカレーをかけて完成、というシステムだ。

自販機コーナーには長細いテーブルとイスの1セットがあるので、そこでいただこう。

 

初訪問7

味はいたって普通のボンカレー。だけどもこういうロケーションで食べるとうまいわ。

 

自販機コーナーにはもう1人、カレーを食べているガテン系のおじさんがいた。「キミ、写真を撮っているということは県外から来たのかい?」みたいに聞かれた。

遥々数100㎞を走りつつドライブで来て、ここにはレトロ自販機目当てで立ち寄ったこととか、これが最後のボンカレー自販機であることを話した。

 

おじさんは「へぇー、ここにはよく来ているけど、これが最後の1台だったのかい!」って驚いていた。

「だけど心配ない。ここのオーナーさんはすぐそこに住んでいるんだけどね、これらの自販機が壊れた場合の交換用のパーツをまだまだたくさん持っているんだよ。」って教えてくれた。

 

初訪問8

そうなのかー、よかった。

ならばボンカレーの自販機は、まだしばらくこの世に存在していられそうだね。

最後の1台だもん、これがなくなったらもう二度とボンカレー自販機のカレーを食べられなくなっちゃうんだもん。今後もずっと、人々から愛される自販機であってほしい。

 

初訪問9

続いては、うどん食べよう。四国まで来たらうどんでしょ、やっぱり。

カレーを食べた時点でそこそこ満腹だが、なんとか入る。うどんはだし汁があるし、麺もツルツル飲み込めるから、位置付け的にはドリンクだもんね。ドリンクならいけるいける。

 

初訪問10

天ぷらうどんときつねうどんの2種類があり、値段はどちらも250円。天ぷらうどんを選んだ。

きつねに比べてカロリー高そうで腹にもたまりそうなに、なんでこっちを選んだのかは謎。でも天ぷら好きなんだよ。

 

初訪問11

おぉぅ!これはさぬきスタイルと呼んでいいものか?超極太麺じゃないか。存在感がすんごい。食べてみるともっちもちだ。うめぇなぁ!

ダシはすっきり薄めの味付けで、これぞドリンクだって思った。

 

…こうして大満足でガテン系おじさんに挨拶をして店を出る。

まぁこの後ここの麺類自販機を二度と食べられなくなるとは思っていなかったよね…。

 

 

2024_コインスナック御所再訪

 

2024年、ずいぶんと間が空いてしまったが、久々に訪問した。

 

御所再訪1

あぁ、久々にやってきたコインスナック御所24。

その数字はかつてから増えることもなく、また減ることもなく、令和の今も安定"24"だった。ありがたき幸せ。

 

インナーバルコニーのような構造の軒下には、ズラリと自販機が並ぶ。

かつてと比べてリニューアルされたものもあるのだろうが、チラホラとレトロなものもあるので全体的なテイストはかつてのままだ。

 

御所再訪2

前回は自販機に夢中で気づかなかったが、この建物はL字型であり、その短辺部分が屋内ゲームコーナーになっている。

 

ガラスドアからチラリと内部を覗いてみたが、なかなかにディープな空間のようだ。

オーナーさんと数人の常連らしきじいちゃんがゲームをしながら話し込んでいた。両替とかトイレなどの理由があれば僕もここに突撃するが、興味本位で入ってもお互いの空気を崩してしまうだろうなって思って止めた。

 

御所再訪3

では、これらの整然と並んだ自販機群を眺めていこうか。

ぶっちゃけ言うと僕の食べるものは今回もカレーであり浮気する気はさらさらないのだが、それでも他の自販機も少々気になるしね。

 

御所再訪4

「アトム手袋」という、ゴム手袋の自販機と思われるものは故障中だった。

からし色の、デザインに全く無駄のないシンプルな自販機。どういう層にニーズのある自販機なのか、ちょっと気になる。


ガムの自販機もきっと年々減ってきているよね。

中身は板ガムなのかな?板ガムは随分見かけなくなってきたな。板の方が粒上のものより個人的には好きなのだがね。

 

御所再訪5

コカコーラの瓶を売る自販機。

ボタンを押した場所の瓶のロックが外れるので、ガラス戸を開けてその瓶を自分で引き抜くんだよね?

自販機の中央付近にある黒いくぼみが栓抜きなんだっけ?一度だけこのタイプのもので購入したことあるのだが、もううろ覚えだわ。

 

御所再訪6

レトロな汎用自販機。

レトロ自販機好きな僕ではあるが、なぜか僕の食指は動かない自販機。

まぁレトロな自販機なんていろんな種類があるからね。その全部を愛せ、なんてルールはないわけで。人それぞれ好みはあるのよ。

 

スナック菓子やのど飴などが入っている。だいたい100円だ。

ボタンを押すと該当商品の扉のロックが8秒だけ解除される。この8秒以内に商品を出さないと、お金だけ吸収される仕組みだよ。

 

御所再訪7

カップ麺自販機は、ディスプレイされている商品がとんでもなく日焼けして色落ちしていた。もうほとんど純白。ウエディングカラー。

 

御所再訪8

気になったのがこの自販機。「中止」という貼り紙がされていて非稼働だったのだが、なんとなくデザインは昭和ではなく平成中期ぐらいな気がする。

 

しかし中身の奇抜さは昭和のノリだ。

まずは自販機名が『王様の宝箱』の時点でボルテージMAX。さらに貼り紙は『一夢1000円 貴方の夢が叶うかも!』・『お宝ザクザク』・『素敵な雑貨やブランド品・家電・ゲーム機など豪華賞品が入っています』など、バブリーな文言が渋滞している。

昔々コスモス自販機というチームなおもちゃの自販機があったそうなのだが、その大人版って感じかな?

 

御所再訪9

悲しむべきは、富士電機のレトロ麺類自販機が故障中であるという点だ。

これは知っていたのだが、どうやら2019年からこの状態らしい。ってことは、もうこのお店の独力での修理は難しいのかもしれないなぁ…。

 

御所再訪10

以前常連さんから聞いた「部品取り用の予備自販機もあるんだよ」というコメント。

予備があるのはカレー自販機だけだったのか、それとも富士電機自販機の予備もあるけどもそれを使うことで復旧するような事象ではなかったのか…。

いずれにしても悲しい気持ち。

 

 

ちっちゃいスプーンでカレー食う

 

それでは食事タイムだ。

 

カレー食う1

いつまでたっても「新発売」の、レトロボンカレー自販機。

麺類自販機とは違って中は既製品だが、ここでカレーを食べたいがゆえに徳島まで足を運んでいる。

 

カレー食う2

メニューはカレーライスの中辛のみで、お値段は変わらず300円。もう1つあったボタンは金属プレートで封印されてしまっていた。

コインを入れてボタンを押すと、取り出し口にゴトンと商品が落ちてくる。

 

カレー食う3

取り出し口に落ちてきたのは、パックライスとレトロとカレーをひとまとめにし、黄色い包装紙でくるんだもの。

シンプルな包装紙のデザインがいいね。さっきのゴム手袋の自販機と兄弟みたいなデザインだ。手に持つとアツアツ。うれしい。

 

カレー食う4

食べるのはここだ。以前と同じロケーション。

基本的にはインナーバルコニータイプで壁のない建物なのだが、一部にのみ壁があり、その内側がご覧の通り細長いカウンターとなっている。

 

カレー食う5

カウンターの上で包装紙を解く。

ご飯にはセロファンがかぶせてあり、やたらと小さいプラスプーンが備え付けられている。あれ?前回よりスプーン小さくないか?こんなので食えるのか??

 

カレーはボンカレーではなくプロクオリティ・ビーフカレーだ。僕もときどきスーパーでお徳用5個パックとかになっているのを買う。レトルトパックの状態でレンチンできるから便利でいいよね。

 

さて、画面の前のあなた。僕はこのあと、このご飯とカレーをどうすると思う??

 

カレー食う6

はい、ご飯にカレーをかけますね。正解です。

もっとも、ご飯はパックにギッチリと詰まっているので一気にカレーを掛けてはだめだ。まずは半分弱くらいをかけるのだ。

こういう知恵、関東甲信越の人は義務教育前に信玄餅の黒みつをかけるタイミングで学んだと思うが、他の地域の方はどうだった?

 

カレー食う7

あ"ーー!! もうこれだよ!

スプーン小さいし、すくいあげた写真を撮りたいなんていう気取った野望を持つから、カレー垂れたじゃないか!

まぁでもそういうところだよね、YAMAさんがみんなから愛されるのは。

 

カレー食う8

なんか悔しかったからなのか、カレーリフトの写真がもう1枚カメラロールにあったのでUPしておく。

なんでこんな小さいスプーンをチョイスしているか知らないけど、この小さいスプーンでチマチマ食うカレーがうまいんですよね。よく知っている味のカレーなのだがね。

 

ちなみにご飯はほとよくやわらかくてうまいよ。保温されっぱなしの状態にもかかわらず、炊きたてみたいなおいしさ。

 

カレー食う9

なかなかのボリュームだったな。カレーを2・3回に分けて掛けたからかもしれないけど、コスト以上の満足感。満腹だ。ごちそうさまでした。

ちなみに今回は僕の滞在中、他のお客さんは誰も来なかった。

 

いつまでも頑張ってほしい

この侘び寂びすら感じる渋いドライブインで、またカレーを食べられたことが嬉しいよ。日本で2台しか稼働していないこの貴重な貴重な自販機、これからもずっと稼働させてほしい。

そして願わくば、富士電機の自販機が復活してくれますように。

 

以上、日本7周目を走る旅人YAMAでした。

 

 

住所・スポット情報

 

  • 名称: コインスナック御所24
  • 住所: 徳島県阿波市土成町吉田原田市の一
  • 料金: カレー¥300他
  • 駐車場 :あり
  • 時間: 24時間