あのブサカワ犬として有名な「わさお」が死んだ。
2020年6月9日、YahooのTOPニュースで報じられ、それを知った。昨日(6/8)の夕方、眠るように息を引き取ったとのことだ。
今年4月に老衰で足腰が立たなくなったと聞いて以来、カクゴはしていた。
しかし、とうとうこの日が来てしまったか…。
今回は、僕とわさおの最初で最後の出会いをご紹介したいと思う。
そもそも僕は有名人に会いたいと思ったことなんぞほぼないし、なんだったら芸能人の顔と名前すら一致しない。それは有名な動物・ペットであってもほぼ同様だ。
しかし、今まで全然興味のなかったわさおに、ふと会いたくなったことがあった。
粉雪舞う日に
あれは確か2年半前、2018年の正月明けのことだった。
肌を突き刺すような寒さの、東北地方日本海側。津軽を中心にドライブをしていた僕が、わさおの住む鰺ヶ沢の町に足を踏み入れた。
うん、すっごい寒い朝。
なんかさっき天気予報を見たら、青森の積雪は昨年度は2cmだったところ、今年は39cmだとか言っている。ドカ雪か。
しかしここはまだ中で、除雪されているので走りやすいわ。
津軽半島北端付近のツルッツルぶりはヤバかった。スタッドレスタイヤなのに結構滑るし。北東北の冬、ヤバすぎる。
北風が「ヒャオォォォーー!!」と吹き荒れ、粉雪がアスファルトの上を舞い踊るんだよ。オーロラみたいにクネクネと地面の上を踊るんだよ。
うわっ。寒っ。
こっちは凍えるような寒さに踊るどころか委縮の極み。
日本海ギリギリのこの道路は、積雪がない。その理由はもしかして、この強風なのかな。
だが、もうすぐだ。あとちょっと走ったところにわさおがいるのだ。
着いたぞ。ここがわさおのいる場所、「きくや商店」だ。
このあたりってイカ漁が盛んであり、イカ焼きを商売にしている店もある。このきくや商店もそんなお店の1つだ。
…今日はまだ…営業前かな?朝だからかな?
画像が粗くて申し訳ないが、正面から撮った写真がなかったので、斜めの写真のアップ。
『志村けんさんが来た店』という立て看板と、わさおと奥さんのつばきの顔はめパネルがある。顔はめ部分は…、これ、飼い主のおばあちゃんだ!!おばあちゃんになれる顔はめパネル!
※ …しかしね、この記事を執筆している2020年6月現在、わさおもつばきも、おばあちゃんも志村けんさんもこの世にいない。
志村けんさんは、新型コロナウイルスで3月29日にこの世を去った。くっそー、コロナウイルスめ。書いていて切なくなるぜ。
店舗の横に回ってみた。軽トラに乗ったわさおの顔はめパネルがあった。
そして、わさお一家がいるのは、この横にある犬小屋だ。
ちょうどお店の人が出てきたので、挨拶しつつわさお撮影の許可をもらい、犬小屋に足を運ぶ。
わさお一家に会う
わさおだー。
小屋には犬が3匹いる。その中で一番モフモフで貫禄があるのが、ブサカワ犬として一世を風靡したわさおだ。
わさおについて、Web等から学んだ知識を少し紹介させていただきたい。
わさおは秋田犬の長毛種だそうだ。なのでこんなにモッサモサ。
2007年夏ごろの誕生と言われており、その年の秋に捨てられているところを拾ったのが、飼い主となる「菊谷節子ばあちゃん」だ。
2008年にはネットでブサカワ犬として有名となり、その年のうちにTVでも取り上げられるほどの人気者となる。2011年にはわさお自身が主演した映画「わさお」も公開された。
前述の志村けんさんのTV番組「志村どうぶつ園」にも出演していたそうで、志村けんさんとはそんなことから縁があった。
しかしわさお、テンションが控えめである。
朝だからなのかもしれないし、寒いからなのかもしれないけども。
でも、心当たりのある大きな要因がある。
飼い主のおばあちゃんがこの1ヶ月ほど前に亡くなったばかりなのだ。
わさおはおばあちゃんが大好きであり、おばあちゃんが入院したりして不在だと、ストレスで食欲不振になったり毛が抜けるほどであった。
おばあちゃんを亡くして意気消沈している、そんな時期での邂逅であった。
生前おばあちゃんは、自分がいなくなったときにわさおがヘコみすぎないように、先手を打っていた。
それが、上の写真右手に映っている奥さんのつばきだ。2014年に迎え入れられたらしい。
しかし2019年5月、つばきは突然の心臓発作で亡くなってしまったという。
わずか6歳だった。
尚、わさおには娘がいた。それが上の写真の左手、ちょめだ。この子も長毛種だね。テイストがわさおと一緒。
ちょめは2016年に迎え入れられた、わさおやつばきとは直接の血縁のない子犬。でも3匹仲良く暮らしていたそうだ。
僕は最後にわさおと記念撮影をし(1人なので自撮り)、そしてここ鰺ヶ沢の町を発った。
2020年6月時点で、わさおは推定13歳。人間でいうと90歳くらいだったそうだ。
志村けんさんの亡くなった直後の4月1日、高齢に伴い足腰が弱まって立ち上がれなくなり、そして6月8日の午後5時54分に息を引き取る。
ブサカワの走りであり、ブサカワの代名詞ともいえる存在。
彼は確実に、1つの時代を築いたのであろう。
今まで、本当に頑張った。大好きなおばあちゃんやつばきと、あっちで再会できるね。
最後に、わさおにも通じるように手向けの言葉を言おう。
ワンワン!ワンワンワン!ワオーン!!
… キューン … 。
以上、日本6周目を走る旅人YAMAでした。
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