週末大冒険

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ちょっと出かけてみないか。忘れかけていた、ワクワクを探しに。

No.325【高知県】西日本で唯一のトースト自販機!!「コインスナックプラザ」は超貴重だ!

今、全国で静かなブームであるレトロ自販機。

まだ日本にコンビニが普及する前の昭和後期に、昼夜を問わず走り続けるトラックドライバーが夜間でも温かい食事にありつけるよう登場したのが始まりだそうだ。

 

こういったレトロなマシーンがまだ日本に少しだけ存在する。

麺類の出てくる自販機はまだ数10台は稼働しているものがあるが、トースト自販機はなかなかにレアだ。10台前後しか存在しないのではなかろうか。

しかも東日本に集中しており、2023年現在は西日本には1台しかない。高知市に1台あるのみだ。

 

貴重なトースト自販機

そんな貴重な自販機から出てくるちょっとチープなトーストを食べるためなら、どんな犠牲だって払う覚悟だよ、僕は。

では行こうじゃないか、四国へ。「コインスナックプラザ」へ。

 

 

麗しき黄色い空間

 

なんかつい最近行って来たかのような出だしだが、僕が最初にこのコインスナックプラザを訪問したのは、もう今から10年近く前のことだ。

この世にレトロ自販機というものがあると知って間もなく、早速高知を訪れていたのだ。

今回はその10年ほど前の訪問記と、昨年である2022年の訪問記を織り交ぜて執筆しようと思う。

 

プラザ訪問1

高知駅からもやや近い大通り沿い。そこに目を引く黄色い建物がある。それが目指すコインスナックプラザだ。

空は白いがお店は黄色い。映える。

 

レトロ自販機店としてはとても綺麗で、昭和から続いてきたお店っぽくない。携帯電話とかを売っていそうな綺麗な店舗だ。

 

プラザ訪問2

前面ピカピカのツヤツヤだ。特にフローリングが美しい。むしろ麗しい。

 

どうやら2007年くらいにこの店舗の前に設置されている産業道路が拡張され、その際にこの店舗も建て替えられたそうなのだ。

レトロ自販機保有店って昭和テイストなお店が多いのだが、このお店が新しい理由がわかった。

 

プラザ訪問3

そしてこれは直近である2022年訪問時に撮影したものだ。近くに宿を取り、朝ごはんの時間に散歩がてらここまでやってきた。

もうなんか10年前とほとんど同じアングルで、しかも空が白いことまで一緒で「何なの?」って気持ちだ。ただ、よく見るとちょっとだけ建物の色がくすんでいるような気がする。さすが10年。

 

プラザ訪問4

違う角度からの一枚。なんだかこっち側の側面を見ると途端に庶民感を覚える。

ちょこっとだけ残した意味が気になるブロック塀に、アメリカのダウンタウンの路地裏みたいなくすみのある青い壁、そしてゴミ箱と水道がそんな庶民テーストを与えてくれているのだろう。

あ、ちなみに左端に見切れているのがこのコインスナックプラザの駐車場ね。

 

プラザ訪問5

意図せず撮った写真が、これまた10年前とほぼ一緒という奇跡よ。僕の脳味噌って10年で1ミリも成長していなんじゃないかと不安になる。

 

店舗は10年前と変わらずピカピカなのである。嬉しいね。

よーく見ると、10年前にはアルミの灰皿がカウンターに並んでいたが、今はかわいいバケツのようなものが散見されている。

 

「えっと、これはなんだったっけ?」って思って先日X(旧Twitter)で質問したら、調味料の袋などを入れるためのミニゴミ箱だと教えていただいた。そっか、おそらく僕も使ったのだろうが、なんだったのかすっかり忘れていたわ。

10年の月日の流れが、灰皿をゴミ箱に変えたのだな。

 

プラザ訪問6

扉を隔てた奥のエリアはゲームコーナーとなっている。

僕はゲームは詳しくないのでよくわからないが、きっとこの手のドライブインによくある、ちょっとレトロなタイプのゲームなのであろう。

 

では、いよいよ次章でレトロ自販機に触れよう。

 

 

豊富なレトロ自販機メニュー

3連自販機

 

ここには3つのレトロ自販機が並ぶ。

 

3連自販機1

左2つは富士電機の麺類自販機だ。

うち左の方はラーメン専用となっている。ちなみにだけどもラーメンを食べられるレトロ自販機はここが四国で唯一だからな。結構貴重なのだよ。

そして右のほうは天ぷらうどんと天ぷらそばだ。

一番右は太平洋工業トーストサンド自販機。稼働しているのは国内で10台ちょいと言われているほどに貴重であり、西日本では唯一のものだ。

 

3連自販機2

この3つが揃うと壮観だよな。もはや”食べる世界遺産”だよな。

どれも古さは感じさせるが、パネルは綺麗に磨かれてピカピカなのである。昭和に作られたと思われるこれらの自販機が3つも並んでこうして動いているのは、奇跡なのだ。

ほれぼれした。思わず手を合わせたくなった。

 

3連自販機3

10年後、またまた意図せずにほぼ同じ構図の写真を撮っていた。

間違い探しかと思われるほどの似た写真だ。だけどもそれは裏を返せば10年経っても3台のレトロ自販機が変わらず元気だということ。素晴らしい。

 

ただ、よく見ると値段表記が違っていて時代の流れに伴う物価上昇を感じさせる。

あと、見切れてしまってはいるが、四角い時計が丸い時計に変更されている。

フハハ、ちょっと聞いてくださいよ。昭和のレトロ自販機は変わらずに頑張っているのに、時計は壊れちまったそうですぜ。(普通に取り換えただけかもしれないけど)

 

では、ありがたくいただくとしますか、自販機メシ。

 

 

天ぷらうどんとチーズトースト

 

まずは10年前編だ。

最初はラーメン自販機に惹かれた。だけども気分的にはうどんだった。四国に来たからにはうどんだって思った。調子に乗って1日に2・3食はうどんを食べているにも関わらずだ。

 

富士電機麺類自販機1

天ぷらうどん・天ぷらそば、当時はどちらも230円。うどんボタンを押す。

すると液晶パネルでカウントダウンが行われ、20数秒で取り出し口からアツアツのうどんが現れる。

 

富士電機麺類自販機2

あぁ、僕はいつだってこの瞬間が大好きだ。自販機から麺が生まれる瞬間。こぼさないように細心の注意を払いつつ、丼を自販機から出す瞬間。

…つーか、取り出し口の周囲に書いてある「上」とか「右」とかって何?いや、たぶんメンテのときに取り外して再装着する際に方向を間違えないためのものだと思うが、ファミコンゲームの裏コマンドみたいな感じでちょいとウケた。

 

富士電機麺類自販機3

美しいビジュアルのうどんだ。上の写真ではわかりづらいけど、具は油揚げ・天ぷら・ネギだった。

間髪入れず、次はトースト自販機に向かう。

 

太平洋工業トーストサンド自販機1

トースト自販機。この朱色のボディがエモくってたまらない。もしかしたら近々西日本からは消滅してしまうかもしれないこの自販機をまじまじと眺める。

 

太平洋工業トーストサンド自販機2

黄色だか緑色だかのチェックのテーブルクロスに、コーヒーとトーストとパセリ、そんでグラスに活けてある花。

「あぁ、はいはい、昭和の人の思い描くパン食ってこんな感じだったのですね」って思ってほんわかする。いつか自宅でこれをまんま再現してみたい。

 

太平洋工業トーストサンド自販機3

メニューはチーズトーストとハムトースト。どちらも200円だ。

イメージとして掲示されている写真は日に焼けてほぼ真っ白になっており、まるで生クリームを塗りたくったパンにナッツを散らしているような絵面になっている。恐ろしい…。

 

僕はチーズトーストのボタンを押した。

そう、"押す"のだ。もう最近は駅の券売機も携帯電話も物理ボタンが少なくなってタップするだかクリックするだかであろう。

物理ボタンを押すのは貴重なのだ。しかもこれ、滑らかなタッチだしすんごい"押してる感"の強いボタンだぞ。いい具合にめり込んでくれる。

 

太平洋工業トーストサンド自販機4

ボタンを押すと数10秒トーストが中で温められ、そして死ぬほど熱くなって取り出し口から出てくる。包装してあるアルミの熱さが触れないほどの殺人級の熱さ、それが醍醐味。

 

太平洋工業トーストサンド自販機5

あぁ、この熱さが自販機トーストの証。

もっとも、2012年くらいまではいくつかの店舗では自販機トースト専用のアルミってのがあって、それは分厚くてなめらかで袋状ですごくいい感じだったんだけど、もう業者もいなくなってこの世から消えてしまったのだ。残念。

 

夢のコラボ1

トーストとうどん。ワクワクする食卓の完成だ。

トーストはなかなかにウェルダンなんだな。良く焼けている。いいぞ、僕好みだ。

 

うどんは薄くて上品なダシに、太めでツルツルの麺。ノンストレスで喉から食堂までを通過する。うめぇなぁ!

 

夢のコラボ2

チーズトーストの真髄を見よ!!

この糸を引くチーズ!たっぷりめのチーズ!そしてマスタードが適度な酸味を与えてくれ、食欲を倍増するのだ!恐ろし!

夢のコラボ3

自販機コーナーのカウンターに座り、前の産業道路を走る車を眺めながらランチタイム。なんて優雅な光景。

しかも滞在時間中は誰も来なくってゆうゆうと食事ができた。大満足なのだ。

それではコインスナックプラザ、またいつか。

 

 

ラーメンとハムトースト

 

2022年、コインスナックプラザ再訪時の食事風景をリポートしよう。

 

富士電機麺類自販機4

前述の通り、今回はどれもが少しずつ値上げされたことに気付いたよね。

  • ラーメン… ¥250 ⇒ ¥330
  • うどん・そば… ¥230 ⇒ ¥300
  • トースト… ¥200 ⇒ ¥250

 

比率だけ見てしまうとなかなかのUP率だけど、そもそもが安いのだ。今も充分にお得な価格だと僕は考える。

 

富士電機麺類自販機5

まずは、僕が今まで全国のレトロ自販機のどこで何を食べてきたのか全てわかる手記を確認する。そしてなるべくなら前回と違うものを食べて網羅性を高めるのが僕の作戦なのである。

 

ふふふ、そうなのです。今回はラーメンなのです。四国にはここにしかないという自販機ラーメンを今、食すのです!

 

富士電機麺類自販機6

ラーメーン!嬉しくって写真ブレた。

現在の時刻は朝の7:30なんだけど、朝からラーメンを食べるという背徳感がまたスパイスになるのよ。悪いことってのは、楽しいことなのよ。みんな知ってる。

 

太平洋工業トーストサンド自販機6

すぐさま僕は、太平洋工業トーストサンド自販機に鋭い視線を向けた。

わかるだろ?食うに決まっている。西日本で唯一のトースト自販機を前にして、何も購入しないのは冒涜に値するとすら、僕は個人的に考えている。買うのだ。

 

太平洋工業トーストサンド自販機7

ボタン部分に掲示してあるサンプル写真も昔のままだ。真っ白の美白トースト、久しぶり。

今回はハムトーストのボタンを押す。そして数10秒後、灼熱のようになったアルミに包まれたトーストを取り出し口から回収する。

 

夢のコラボ4

ワンパクな朝定食の完成なのである。

ラーメンにライスをセットで注文する人は多いだろうが、ラーメンとトーストのセットは珍しかろう。それを実現できてしまうのがここのお店なのである。

ラーメンをすすり、そしてパンをかじる。いいじゃないかと思うんだ。

 

夢のコラボ5

…ちょっ、待てよ、このトースト…!

僕はトーストを食べようとして手を止めた。このトースト、不自然に分厚いのだ。

自販機トーストと言えば経験者の皆さんはご存じだろうが、16枚切りだか20枚切りだか、「パンってこんなに薄く切れるのか!」みたいなペラペラのヤツなのだ。

しかし今回のここのはそうじゃない。少なくとも片側だけ分厚いのだ。マッチョなのだ。うわ、嬉しいぞ。そして前回に比べて焼き色が優しい。

 

夢のコラボ6

初めて対面するハムトーストの中身。

普通にロースハムが1枚…。と思いきや、これまた違和感があるぞ!よく見るとこれ、重なってないか…!??

 

夢のコラボ8

まさかの3枚重ねだ!!マジか、全国のトースト自販機は制覇しているが、こんなのは初めてだ!

2枚重ねであれば、「本来は1枚だがミスして重なってしまった」ということもあろう。だが3枚は偶然じゃ起こりえない。偶然だったら相当なおっちょこちょいだ。つまりはこれは意図的なサービスだ!

YES!僕は誰もいない店内でガッツポーズをした。

 

朝から至福のひとときを過ごせた。

コインスナックプラザ、またいつか来るときも黄色く元気な姿を見せてほしい。次は天ぷらそばと…。

僕はそんなことを考えつつ、また散歩しながら宿に戻り、そして元気一杯でチェックアウトすることとなる。

 

以上、日本7周目を走る旅人YAMAでした。

 

 

住所・スポット情報

 

  • 名称: コインスナックプラザ
  • 住所: 高知県高知市比島町3-16-17
  • 料金: ハムトースト¥250他
  • 駐車場: あり
  • 時間: 6:30~24:00