週末大冒険

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ちょっと出かけてみないか。忘れかけていた、ワクワクを探しに。

No.357【広島県】レトロ自販機店、廿日市に2024年1月下旬に爆誕!「M's cafe」に行こう!

2024年の初頭を飾った大事件といえば、広島県にレトロ自販機保有店が誕生したことだよな。

既存店舗にレトロ自販機が置かれたんじゃないんだぜ。新規開店に合わせてレトロ自販機を置くお店が現れたんだぜ。誠にめでたい。

 

 

40年だか50年だか前の気難しい自販機を目玉として新しいお店を始めるのって、きっとすごく難しいしリスクがある。

だから世の中のレトロ自販機保有店はどんどん減っているのだ。そこに来てこの朗報である。

 

もう行くしかないよな!

2024年1月26日OPENの「M's cafe」に行ってみよう!!

カフェ&レトロ自販機、もうワクワクが止まらねぇーー!!

 

 

場所は峠道、わかりづらいぞ

 

その日の広島市は雪だった。粉雪がしんしんと降っていた。

あれ?今日の天気って雪だっけ?むしろ晴れじゃなかったっけ?…って思った。

 

M'sカフェへ1

現場は峠の向こうだ。「本当にこんなところにカフェなんてあるのか?」っていう感じのハイスピードな峠道。

その頂上付近でいきなり道路左側に「CAFE」の巨大看板とレトロカーのオブジェが出てきたのでビックリした。

 

「これがM's cafeか!住所も"峠"ってフレーズ入っていたしな!まさに峠だぜ!」って思ったら、どこにも店舗本体がなくって、廃墟みたいなものなら一軒だけあったけどそのまま道路を走るしかなくって、気づいたら峠を下った先のドッグランでキョトンとしていた。

ドッグランのスタッフさんもキョトンとした顔でこっちを見ていた。

 

んー、たぶんだけどもあのCAFEの大看板はM's cafeではない。

ついでにM's cafeの実店舗はほんの少し前に通過してしまったはずだ。戻ろう。

 

M'sカフェへ2

着いた。ここだ、窓にレトロ自販機のパネルデザインもされているし。

…って、店舗そのものの写真でなくってすまねぇ。これ、店舗の前から峠の頂上方面を撮影したものだ。

さっきはあっちから高速でこっち側にダウンヒルして、目立たないM'sカフェの前を音速で通過してしまったのだな。

 

M'sカフェへ3

これが店舗の外観である。普通の一軒家のようにも見えるし、新しく開店して1ヶ月という時期なのにずいぶん古びてしまっているようにも見える。

まぁ、リノベーションしたのだな。好きなタイプの外観だ。

 

しかし普通にドライブしている人がここをカフェあるいか店舗だと気づき、「ちょっとお茶していこうか」とはなりにくいエクステリアだ。

まずは峠道で目に入りづらいし、目に入ってもカフェだと気づくには大リーガーの4番バッター並みの動体視力が必要。

 

M'sカフェへ4

実はこれらの写真は退店時に撮影したもの。僕が来店したときにはお店の前には一台も車がなくって、このお店の風貌に入っていいものかどうか若干逡巡したものだ。

 

M'sカフェへ5

ただし軒先に吊るされたUCCコーヒーの看板が僕に勇気を与えてくれた。

あとでマスターと話した際に「あれは今朝取り付けたんだよ」と言っていた。ね、こういうスペシャルな偶然が僕の人生をさらに色濃いものにしてくれるんだよ。

 

M'sカフェへ6

先ほども触れたが、これがレトロ自販機のパネルを模したものだ。

暖簾にはラーメン・うどんと書かれているが、実際のメニューはうどん2種類だけどな。

 

『レトロ自販機店内稼働中』の極太の文字に心が躍り、そしてその上に小さく書かれた『24時間やってません』の文字にクスっとくる。

営業は金・土・日の日中帯だけなのだ。貴重だぞ。

 

 

うどんはワンパクに登場する

 

店内に入った。なかなかオシャレな空間でキュンと来た。

 

麺類自販機でうどんを1

ピカピカのカウンター。真っ赤なハイチェア。まるでバーのようではないか。

しかしカウンターにはサイフォンが見える。カフェなのだ。もうコーヒー飲みたくって。朝からずっとコーヒー飲みたい。

 

マスターに「設置されたばかりだというレトロ自販機を求めてやってきました」と、サラリと動機を白状した。

 

麵類自販機でうどんを2

店の奥には富士電機のレトロ麺類自販機。木目調で渋いヤツだ。

しかしわりとピカピカだ。聞いてみると昨年フルレストアしたのだそうだ。

 

もちろん自販機うどんは食べるとして、コーヒーも気になるなぁ。マスターに「コーヒーも欲しいぃ…」と言ったら「でもうどんと同時は食べ合わせ悪いでしょ。食後ですね。」とクールに諭された。

そうだった。生き急ぎすぎた。否、別に食事と一緒でも全然いいタイプの人間なのだが、1つ1つ味わったほうが長い時間楽しめるよな、そっかそっか。

 

麵類自販機でうどんを3

自販機本体のパネルデザインは、うどん・そばだ。

この温かみのあるオレンジのパネルに、僕の人生はいったい何回救われてきたのだろうか…?

そんな富士電機のレトロ自販機に新たに出会えて幸せだ。

 

麵類自販機でうどんを4

メニューは肉うどんと天ぷらうどんである。どちらも400円。

僕は肉うどんをチョイスした。関西でしか基本販売されていない肉うどん。一杯しか食べるキャパがないのであれば、なるべくレアな方から攻めていきたいのだ。

 

コインを入れてボタンを押すと、ニキシー管が25秒のカウントダウンを始める。

そして25秒後。

「シャバダァーー」みたいな清涼感のあるせせらぎと共に、取り出し口から結構な量のだし汁が床にこぼれた。

 

古い筐体では時々見かける事象とはいえ、ピカピカの屋内スペースのこの店舗で漏水事故が起きたことに僕は少しビックリし、「豪快にあふれましたよ!豪快にあふれましたよ!!」とマスターに報告した。

マスターは慣れているのだろう、こちらも見ずに「そんなもんですから」と回答した。

…ですよね。なるほど、自販機の下のミニカーペットは、尿漏れ用のものだったか。

 

麵類自販機でうどんを5

おぉーっと!

しかし次はどんぶりから麺が飛び出してきているぜ。しかもよく見てほしい、少なくとも2本ある。

内部の湯切り機構がパワフルすぎて遠心力で吹っ飛んだのかな?

 

そーっと取り出そうとするんだけど、うどんの向こう側の端っこが自販機内部に挟まっている様子で、僕の手元のどんぶりと自販機の間でうどんが引っ張られてビニョーンと伸びている。なかなか取れない。

これ、コシの強いいいうどんだ。食べる前に判明した。

 

マスターに「今度はうどんがワンパクすぎてー!はみ出ているし取り出せなくてー!」って報告した。

さすがにマスターにも焦りの色が見えて、「え!えっ…!とりあえず、取り出してもらって結構です」って言われた。

僕は「いいですね!じゃあ構わず抜き取りますよ!」って宣言して丼を引っ張った。

 

麵類自販機でうどんを6

2・3本のうどんがベチベチッと床に落ち、1本だけはダラリとした状態でテーブルに着陸した。

あ、そういえばテーブルはレトロゲーム機なのである。これまた貴重だよね。ちなみに僕が入店したときはマスターご自身でゲームに興じていたし。ステキ。

 

麵類自販機でうどんを7

マスターは「あぁぁ、今までこんなことなかったのになぁ…、ショック。そしてわざわざこんなところまで来ていただいたのに、こんなことになってしまって本当に申し訳ない…。」と謝られた。

僕は「いえいえ、レトロ自販機ですもん。こういうハプニングも含めて個性です。」って正直に言いながら、取り出し口でプラプラ揺れるうどんを眺めていた。

 

麵類自販機でうどんを8

マスターが「七味もありますよ。カウンターからご自由にどうぞ。」と言ってくれたので、これを拝借した。準備は整った。

 

麵類自販機でうどんを9

肉うどん。やや肉が少なめに見えるかもしれないが、うどんに絡まって水中に埋もれているから気にするな。

そして肉うどんの真髄は肉そのものではない、肉のうまみの溶けだしたダシなのだ。これをひとくちすすれば、粉雪舞うこの寒々しさも吹っ飛ばしてくれるのだ。

 

うめぇ。ホント体にも心にも沁みる。

さっき出てきたときにダシがこぼれた通り、どんぶり並々と表面張力のようにダシが入っているのだ。それをしっかり飲んで温まれるのだ。

 

 

食後にはビターなコーヒーを

 

食後にコーヒーを飲もう。マスターは僕の頃合いを見て「そろそろですね?」と絶妙なタイミングで声をかけてくれた。

コーヒーは朝煎りと深煎りの2種類があり、どちらも500円だ。僕は深煎りが好きだよ。

 

コーヒータイム1

こういうコーヒーを待つ時間が好きだよ。漂ってくる香ばしい香りが好きだよ。

 

マスターに「このあとどちらに行くのですか?」と聞かれた。

「んー、よくわかりません。下関を回り込んで山陰に行こうかと思っていたんですけど山陰は雪のようなので、だったら広島東部まで行った後に四国に渡ろうかなぁ…。コーヒー飲みながら考えます。」と、ふわふわした人生設計を述べた。

 

コーヒータイム2

マスターは、「西に行くのだとしたら観音茶屋からの長沢ガーデンという、レトロ自販機王道コースですかな?」と聞いてきた。

おぉ、さすがマスターだ。中国地方のレトロ自販機に精通していると見た。

 

コーヒータイム3

しかし、どちらも何度も行っているし僕はもう満腹だしな。どちらも今回は行かないかな。むしろ愛媛県ソウルフード焼豚玉子飯を食いてぇな。

そんな適当な話をマスターとしている時間が心地よかった。

 

コーヒータイム4

深煎りコーヒーが出来上がった。

コーヒーをオーダーするとチロルチョコ2つをカウンター脇から自由に取っていいのだと言う。チョコ、ありがたい。

 

コーヒーは量は少なめだが、ガツンと来る濃厚さで好きなタイプだ。この量でちょうどいい。そしてチョコにすごく合うよね。

 

コーヒータイム5

穏やかなひとときを過ごせた。

僕のタイミングで麺類自販機が壊れてしまったのかもしれなくって少々気になるが、今後多くの人に食べてもらえるお店になるのだろう。その歴史の序盤に訪問できたことを光栄に思う。

 

コーヒータイム6

マスターにお礼を言い、お店を出る。

さて、山口県まで突っ走った後にUターンして四国を目指そうかな…。旅人は自由奔放なのだ。

 

以上、日本7周目を走る旅人YAMAでした。

 

 

住所・スポット情報

 

名称: M's cafe

住所: 広島県廿日市市峠61-5

料金: 肉うどん¥400他

駐車場: あり

時間: 11:00~18:00(金土日のみ営業)