山あいの、緑に囲まれたのどかなロケーション。横には川が流れている。
そんな"日本昔話"みたいなスポットに、昨今話題のレトロ自販機が設置されているドライブインがあるという。
…行くしかねーだろ、そんな素敵ドライブイン!
そう思って僕が「コインレストランかわもと」に向かったのは日本6周目の終盤のことである。
あれは気持ちのいい春の朝のことであった。
2024年もいよいよ春になったがまだちょっと寒いよね。ほんの少し季節の進んだ春爛漫を夢見て執筆している。
さて、これがコインレストランかわもとの、富士電機製のレトロ麺類自販機だ。
『ラーメン』・『うどん』と書かれたパネルの自販機。丼の絵も2つ描いてあるが、どっちがラーメンでどっちがうどんかわからないよな。謎の遠近感がベリーGoodだ。
…とまぁ語り出したら止まらなくなってしまうので、いったんここは刀を鞘に納めよう。
でも、この自販機からどんな麺類が出てくるのかあなたも気になるよね。それでは本編にいこう。
山と緑と、川とドライブイン
時刻は朝の6時台。車中泊から目覚めた僕は、朝ご飯を目指してハイテンションで疾走していた。
こんなにもキラキラして空気の澄んだ朝。春のちょっとだけヒンヤリした空気が最高。そしてこの交通量の少ない山間部の適度なワインディング。これから向かうドライブインへの期待。
そりゃ1人旅だけども、これだけのステキ要素が一気に押し寄せてきているんだからハイテンションにもなりますって。
コインレストランかわもとに到着。
こっち側の側面に「ドライブスルー📞」って書いてあるけどどういうこと?あと「コインキャプテン」・「ファックス」って書いてあるけどどういうこと?
ドライブスルー📞はギリギリ想像できるし、ファックスはかつてお客さんも使えるサービスがあったのかなって想像できる。
だけどもコインキャプテンはわけわからん。この人生でいろんなキャプテンには会ってきたが、コインキャプテンにはまだお目にかかったことがない。誰か教えてくれ。
あまりにも清々しいので、ちょっと離れたところから建物と愛車を撮影した。
上の写真に写っている地面は全部このドライブインの駐車スペースだ。駐車線などはなく、フリーダムに駐車できるぜ。
これはドライブインから眺める国道261号だ。川は「江の川」。川に沿って国道も緩やかに湾曲している様がわかる写真だね。
いいだろ、こんな道を快晴の朝に走れているんだぜ、僕は。リバーサイドドライブ、楽しかった。
さらに別角度から1枚。新緑がまぶしすぎる。ウグイスの鳴き声も聞こえる。
控えめに言っても100点満点の朝なのだ。そんな日にここに来れたことが嬉しい。
ここの営業時間は7:00~22:00。以前は24時間だったそうだが、僕の訪れた2022年現在はこうだ。
そして現時刻は7:05だ。これに合わせて車中泊から目を覚ましたんだよ。僕の本気度、わかっていただけたかな?
クラシック・ジャパンな空間へ
開店直後なので店内は誰もおらず、ガランとしていた。だけども演歌がかかっていて早速クラシックな雰囲気がバツグンだ。
左の壁一面に自販機が並んでいる。その上には『音楽の里 かわもと』の文字。
なぜ音楽の里なのだろう?調べてみるとこの町内の「川本高等学校」がたびたび吹奏楽の全国コンクールで優勝していたんだって。
だから1985年に音楽の里を名乗るようになり、町内の施設は音楽をアピールしたものが多かったり、音楽系のイベントに力を入れたりしているんだって。
あと、右手前の侘び寂びあふれる植木が気になる。
なかなかモダンな感じのタイルとテーブルとイス。ヨーロッパのカフェのようではないか。行ったことないけど。
でも天井の草花をまとめたボール(照明か?)が異次元な存在感を放っている。
そしてそこに、この生け花を彷彿とさせる植木群。どう見ても和、だね。演歌もノリノリでかかっているし。
レトロフューチャーな日本がここにあるぞ。なんだかおもしろい空間だ。こういうのを雅(みやび)というのだろうな、うむ。
壁際には日本人形もいた。なかなかに世界観が仕上がっている。なんだかおばあちゃんの家にやってきた気分になってきた。誰もいないのだけがちょっと不思議な世界だ。
ところでさ、ここまでの一連の写真であなたもお気付きになったかと思うが、ここメチャクチャ綺麗で掃除が行き届いているぜ。治安もすごくよさそうだ。
こんな朝から22時まで、基本無人で運営していてここまで綺麗で小物などにまで管理が行き届いているのがすごい。
オーナーさんも利用客も、きっと素晴らしい人ばかりなのだろうなぁ…。
今度は自販機群をお店の奥側から撮影してみた。
富士電機製のレトロ麺類自販機が手前に見えているが、ちょっともったいぶらせてくれ。次章で紹介するから。
まずはその他の装備品をご紹介したいのだ。
電気ポット。これから僕が購入しようとしているうどんはアツアツのダシが入った状態で出てくるが、右に見えているカップ麺自販機は自分でお湯を入れる必要がある。
カップラーメン自販機には専用のお湯の出てくるノズルがあるんだけど、それが壊れてしまっているようなのだ。だからそのための電気ポット。
着目すべきはそのポットの下の「どんぶり入れ」。
全国のレトロ自販機スポットを巡ったが、こんなキチンとした専用投入口は初めて見たかもな。しかも注目してほしい、投入口のかたちが逆台形で、どんぶりのかたちを模しているのだ。
なんと愛らしい。早くどんぶりをここに投入したいわ。
オレンジの壁に埋め込まれた電子レンジ。ギラギラのシルバーが昭和家電って感じがする。
下のゴミ入れの投入口のかたちがユニークで、何を意図してこのかたちになったのが滞在中にずっと考えていられて退屈しない。あなたにはわかるか?
僕の推測は、左の空き缶・空き瓶と同じように丸い穴だったところ、ゴミが入るように無理やり広げた説だ。
トイレの脇にはティッシュの自販機がある。
こういうの、昔々の駅のトイレに売っていたよな。駅のトイレにはトイレットペーパーがついておらず、自分でこれを買う必要があったんりしたんだよな。お金入れてレバーを「ぐいーっ」と下に引くと出てきたんだっけかね?
では、待望の朝ごはんタイムといこうぜ。
日本唯一のかしわうどんと鴎外先生
富士電機のレトロ麺類自販機の前に立つ。
遠近感があるんだか無いんだか、どっちがラーメンでどっちがうどんなんだか謎多きパネルがいい味をかもし出している。
お店ごとにオリジナリティのあるパネルも存在しているから面白いよね、富士電機の自販機は。
メニューはパネルに記載の通りラーメンとうどんだ。
ただちょっと待て、ただのうどんじゃあねぇ、かしわうどんだ!
実はかしわうどんを販売しているレトロ自販機って、2024年現在ここにしかないのだよ。これ、初訪問の僕としてはかしわうどん一択だろうよい。
あ、麺類自販機の左側を見てくれ。レトロではないが紙コップ式のドリンク自販機があるぞ。
こういう蓋無しの紙コップ自販機も最近ちょっと見なくなってきたよね。近い将来これも"レトロ自販機"と呼ばれる日が来るのかもしれないな。
「鴎外先生の珈琲」ってのがある!気になる!
現は郷愁に満ちている津和野に生まれ、若き日、ロマンと歴史に彩られたドイツへの留学…。
鴎外先生の人生の旅路の原点に触れる深みと真摯な味わいのオリジナルヨーロッパコーヒー。
魂を揺さぶる本物の味と香り…。
時空を超えてお届けします。
おいおいおい!なんだよこのポエムは!!僕のハートを鷲づかみしてくれるじゃないか!
使用している単語1つ1つが中二心をくすぐるし、締めの「時空を超えて」で完全ノックアウトだね。買うよ、買う。
かしわうどんと鷗外先生の珈琲。ワクワクセットが出来上がった。
ところであなたはかしわうどんをご存じ?
かしわっていうのは九州北部の言葉で鶏を指す。かしわうどんは、甘辛く煮つけた鶏肉の入ったうどんなのだよ。九州北側で発祥したものだけど、今は本州などでも"かしわうどん"って単語を聞くこともあるね。
あぁ、幸せを感じる温度。もちもちのうどんにスッキリしたダシ。ぷにぷにのかしわ。朝でも胃腸に負担を掛けない良いチョイスだ。
途中でとろろも出てきたぞ。全国のレトロ自販機うどんの中でもほんの一握りにしか実走されていないレアアイテムだ。うま。
山椒の葉も入っているぞ。これまたオシャレアイテム。いいアクセント。
食後の鴎外先生もいい仕事してくれた。最高の朝だ。
こうして幸せいっぱいでドライブを再開するのだ。
いい朝だろ?だから春は楽しい。
そんな季節の訪れに、カンパイ。
以上、日本7周目を走る旅人YAMAでした。
住所・スポット情報