雪深い青森の町で、24時間営業するパワフルなレストランがある。
そのお店の名前は「エンデバー」。
店内はちょっとレトロで、昭和時代にスペースインベーダーとかができて大ブームとなったテーブル型のゲーム機がいまだに多数現役で、地元のおじいちゃんやおばあちゃんがずーっとそこでゲームに興じているんだよ。シニアの楽園だね。
ただ、当然シニアじゃなくっても気軽に入れるし、いろんなフードメニューがあってボリュームもそれなりで、かつ24時間なのだから覚えておくと確実に人生お得になれるお店なのである。あなたも今のうちにブックマークしとけよ。
だからもちろん僕も気になってちょいちょい行っちゃいますわ、エンデバー。
今宵はそんなお店をご紹介したい。
豪雪でも決して消えない光
1月末から2月の上旬って、一番雪が降りやすい気候ではなかろうか?少なくとも青森市においては。
あたり一面真っ白で、ゆっくりゆっくり車が走る。
ちなみに歩く場合についてだが、首都圏のように雪はベチャベチャしておらず滑りにくい。まぁ滑ることもあるけど雪がフカフカだから別に痛くもない。
エンデバーがあるのは、ちょっとオトナなお店の立ち並ぶエリアだ。
向かっているときに何名ものお兄さんに勧誘の声掛けをされた。全部断ったけど、寒い中お疲れ様ですって思った。
こういう界隈だから、エンデバーも24時間営業なのかもしれないね。
あ、エンデバーを発見。その看板は少し雪に埋没してしまっている。『エンデバー』と書かれたのトゲトゲしい字体に、このお店のやる気を感じる。
看板には『軽食喫茶』とも書かれているが、めちゃガッツリメニューもあるからな、ハラペコの諸兄よ、早まってページを閉じることなかれ。
どうやらこのお店の看板のすぐ後ろが入口のドアのようだが、そこに至るまでの歩道が雪でモッフモフだよ。スブスブと靴を埋没させながら歩くべきか…。
…と思ったんだけど、反対側にもお店の入口がありそうなのでそちらを目指す。
はい、青信号のすぐ後ろで輝いているのがお店のメインゲートだ。
雪に埋もれていたのは向かって右奥の部分。こっちも普通に使えることは使えるけど、券売機が遠くってうろたえると思うので、初回は正面を使うのをおススメする。
この店の光は、24時間消えない光だ。豪雪だろうと吹雪だろうと、灯台のように僕らの進路を照らしてくれるのであろう。
窓やドアからは内部が一切見えない。この界隈の雰囲気も相まって「大丈夫なお店かな?普通にご飯食べに入っていいのかな?」って思うかもしれないけど、大丈夫だ。エンデバーはあなたの食欲に正面から答えてくれるから。
ただしエンデバーはマスク着用に若干厳しい。
上の写真は1年前、つまりまだコロナウイルスが5類に移行する前のものなのでしょうがない。5類移行後もマスク着用をやんわりお願いする旨の貼り紙がしてあったから、これから行くあなたも一応ポケットにマスクを忍ばせておこう。
では、全く想像の付かないこのドアの向こう側の世界に行こうか。
トイレ以外はいたって落ち着く空間
正面から入ると、まずはそのすぐ左手に券売機があるので食券を買おう。このお店は食券制なのだ。
見切れてしまっているが、一番左が僕の入ってきたドアだ。マスク着用をうながす貼り紙があったドアの裏側だ。
これが魅惑のメニューだ。目が泳ぐね。全部食べたい。
そしてどれも良心的な価格。モーニングもある。朝限定でこれを食べることができるのだろう。それも気になる。
あと、アルコール類はない。健全なのだ。
食券を購入したらカウンターに持っていこう。お店の中央にカウンターがあり、大体スタッフの方がそこにいるからすぐに気づくはずだ。
バッチリとカウンターが写った写真は手元にはないが、上の写真の左奥がカウンターだ。
ここに座れる勇気があるのは常連さんだけだろう、きっと。
店内はおそらく70席分くらいあるが、僕の訪問時のお客さんは大体3~7名程度だ。だから1人であっても悠々と4人掛けテーブルに座れるのだ。
カウンターはスタッフの方とおしゃべりする目的がないと座りにくい。常連さん以外が座っているのを見たことがない。
食券をスタッフの方に渡したら、好きな座席を選ぼう。
店内は広々としていて、そして落ち着いた空間。お客さん同士の距離感も適度な感じに取られていて、そして各所の観葉植物がオシャレで、ついつい長居してしまいそうな世界である。
あ、ちなみにだが喫煙はOKなのでそこだけ苦手な方は注意ね。
あぁ、いい眺め。僕はちょっと奥まったスペースであり、内窓越しにカウンターが見えるこの席が好きだよ。最多回数座った。
8人ほどが座れる巨大なボックスシートもある。
ただ、印象としては1人できている人が大多数だった。後述するゲーム機で遊ぶおじいいちゃんおばあちゃん、あるいはご飯を食べにくる老若男女様々な年代の人たち。その中には近所で働いていると思われる夜のお仕事関係のお兄さんもいたな。
そんな方々を相手に24時間、このお店は家族経営で回していると思う。たぶんだけどもホール1人、厨房1人とかそんな感じだ。すごい。
こういう落ち着く純喫茶風のテイストのお店だけなのだが、トイレだけは異次元だから気をつけろよ。
赤い!! 広い!!
どうしてトイレだけデザインが突き付けてしまったのか、すごく謎だ。入った瞬間に圧倒されること間違いなしである。
個人的に厄介だったのが上の写真だ。
ドアが2つある…のではない。鏡に映り込んでいるのだ。ドアは1つだ。しかし鏡がピッカピカに磨き上げられているので、あたかもそこに世界があるように感じる。
だからね、まずはトイレに入った瞬間に鏡に映る自分にビビり、そして出るときにもう一度ビビる。
背景が赤でいきなり人影がトイレの中に写り込むんだから、そりゃ心臓も止まりますわ。
トイレ以外は落ち着くけど、トイレは落ち着かないお店。
「ご飯の紹介の前にトイレの紹介かよ!」って思われるかもしれないが、最後は平和に物語を締めくくりたいからこのタイミングで書いたのさ。
どれもボリューミーで満腹・満足
では、満を持してエンデバーのメニューの一部をご紹介していこう。
まずはこれが僕のスペシャル・チェアだ。
初回入店時は「1人席がいいのかな…」と思ってキョロキョロし、壁に向けて設置してある昭和時代のゲームテーブルを見つけたのでそこに着陸した。
写真をよく見てほしい。テーブルの中でお姉さんが「いらっしゃいませ」的な顔をしてくれている。これで注文もできたら一気にモバイルオーダー確率で令和時代に追いつく。
すぐに冷たい麦茶が出てきて、そしてオーダーした焼うどんも出てきた。
吹雪にもかかわらず冷たい麦茶なのだが、店内温かいので全然気にならない。むしろシャキッとする。
でもテーブルの液晶画面の切り替わりが若干チカチカする。
極太麺の焼うどんの上でカツオ節が踊っている。味はややあっさりめで、ノンストレスでスイスイ食べ進めることができる一品だ。
あぁ、雪の夜に焼うどん。なんて心安らぐチョイスをしたのだろう、僕。自分で自分を褒めたい。
ホットコーヒー。なになになに?なんか目線を感じるんですけど!
恐ろしいなゲーム機テーブル。昭和のみなさんは落ち着いてご飯食えていたのか、こんなもので。
普通のテーブルとゲーム機テーブルのハイブリッドみたいな座席もある。
真ん中に座るとご覧の通りガタついて具合が悪いので、どっちかに寄るような感じで座ろうね。
親子丼。隣のお味噌汁と比べてわかる通り、丼はかなりのジャンボサイズだ。
スプーン付き。「ガッツキたければ遠慮なく飛び込みなさい」というお店からのメッセージを感じる。まぁ僕は育ちがいいからお箸使いますけど。
程よい固さの玉子。大ぶりだけどもちゃんと火が通って甘味があふれるタマネギ。鶏肉も噛み応えがあって旨味あふれる。
「もうちょっとお茶が欲しいな」って思うといいタイミングでスタッフの方が麦茶を入れてくれる。最高だ。
500円のモーニングが気になったので朝も来てみた。巨大なプレートでモーニングが登場した。これでコーヒー付きで500円。
見えにくいけどもサラダはなかなかの量で、キャベツの山の向こう側には厚切りトマトも2つある。トーストは4枚切り程度の厚みがあり、2段に重ねられている。
なかなかのコスパではないか。
醤油さしがセットで出てきた。目玉焼きにかけろということだね。普段は塩コショウ派の僕だけど、醤油もいいよね。
目玉焼きに、慎重にちょこっと醤油をかける朝のひとときが尊い。
ナポリタンいくぞ!
店の看板には『軽食喫茶』と書いてあった。たてつけは喫茶店風のお店なのだろう。だとすればナポリタンを食わないわけにはいかない。喫茶店と言えばナポリタンだからだ。
これも大皿で来た。タバスコ・チーズをお好みでかけられるのもうれしい配慮だ。
これでもかってほどに刺激的な赤い色のナポリタンがうまい。細切りピーマンがアクセントになっている。
今回は裏山のトマトもちゃんと激写してやったぜ。
しょうが焼き定食。ご飯はなかなかの大盛だ。
昭和の時代、ゲームテーブルでカフェメニューを食べた人は多かろう。でもこんなガッツリした定食を食べられるようなお店にゲームテーブルが置いてあるケースはあまりなかったんじゃないかな。もしそうであれば貴重な絵だ。
思っていたのとちょっと違うビジュアルのしょうが焼き。とりあえず野菜がとても生き生きした色彩だし、ひと口大で食べやすい。
ただ、ものすごくおなか一杯になるぞ。これで850円。この令和のご時世、これだけ食べて1000円行かないのはありがたいと感じる。
からあげ定食頼んじゃった!しょうが焼きで若干いっぱいいっぱいだった時点で、同じことになるだろうと結果は見えていたのに!むしろしょうが焼きよりもハードル高いくらいなのに!
でもあなたもわかるよね?どうしてもからあげを食べたい夜もあるじゃない!
見てご覧なさい、これ。カリッと揚がっていて、噛めば肉汁ジュワーですぞ。たまらんて。誠に罪深き食べ物ですって。
正直ボリューミーなので終盤は食べ飽きてきたが、幸せは勝ち取れた。
みんな大好きカレーライスだ。なるほど付け合わせは紅ショウガなのか、珍しい。
キーマカレーのように挽き肉を使っている様子。そんなに辛くもなくって食べやすく、そして「カレーだったらこのくらいご飯があっても普通だよね」みたいな感覚で、スイスイと食べることができた。うまかった。
まだまだラーメンとか気になるメニューもあるのだが、ひとまず今回はこのへんまでとしておこう。
シニア世代のゲームセンター
エンデバーはご飯を食べても満足なところだが、多分もう1つの魅力はレトロゲームが現在も稼働しているという点。
僕はそこそこレトロ好きで、これまでもゲームテーブルの設置してある喫茶店などはそこそこ行ったことがある。
ただ、ゲームテーブルってたぶん全盛期は1970年とかそのくらいでしょ。40年も50年も経過すると、それがキチンと稼働しているケースは非常に少ない。非稼働の筐体が1つ置いてあるだけでも「おぉ!」ってなるレベルなのだから。
それなのにこのお店はこれな。
ラーメン「一蘭」の"味集中カウンター"みたいなテイストで、ゲーム集中エリアが設けられているのだ。
もちろんゲームテーブルは全部動く。このエリアだけではなく、見た感じ店内の10基ほどあると思われるもの全部だ。そんなの初めて。ここは昭和かな?
だからか、店内にはゲームに興じるシングルのお年寄りが散見される。
どうみてもご飯を食べ生きているとかお茶を飲みに来ている雰囲気ではないので。とにかく真剣なまなざしでゲームに夢中になっている。
ゲームがメイン。喉が乾いたらドリンクを頼み、腹が減ったらフードを注文しているのかもしれない。
残念ながら僕はゲームそのものにはあまり興味がないので、どんなゲームが内蔵されているかとか、そのゲームがレアなのかどうかとかはわからないのだが、骨董品レベルのものであることは間違いないだろうと考えている。
あ、でもたぶん大半が麻雀ゲームなのであろう。上でご飯食べていてなんとなくそう判断した。
店内にの壁にはいたるところに『当店のゲームは換金できません』という旨が書かれている。
こんなにも書くということは、「これだけ勝ったのだから金くれ。食事をタダにしてくれ。」という人がチラホラいるのだろうか…。それって普通の感覚なの?昭和はそうだったの??
でもゲームは頭も使うし手も使うし、高齢者の脳の活性化に最適だという話も聞く。
お年寄りたち、みんな元気に日々通ってゲームテーブルにお金を投入していれば、このお店も安泰だよね?
そんな24時間レストランのエンデバー。
Webを見ても驚くほど詳細情報や口コミが少ないお店。入りづらいからかな?
勇気を出してドアを開ければ、なかなかいいお店なのだがね。
あなたも青森に行く際には、ちょっと立ち寄ってみてほしい。
そしてトイレのデザインに驚愕してほしい。
以上、日本7周目を走る旅人YAMAでした。
住所・スポット情報