2020年夏にSNSで大いにバズった美しすぎる泉、「出流原(いずるはら)弁天池」。
バズッたから行った、というわけではないのだが、付近をドライブ旅行している際に僕も立ち寄った。
あれは確か2021年。ちょうど今と同じくらいに秋が深まる季節だったな…。
出流原弁天池はもちろん神聖なまでに澄み渡った綺麗な泉であったが、すぐ隣にある「赤見温泉フィッシングフラワーパーク」の「大池」もとても綺麗であったし、反対側の隣の丘を登った先にある「磯山弁財天」からの眺めも最高だった。
出流原弁天池だけを見るのであれば、池の周囲をグルリと歩いても数分だが、上記の2スポットも絡めれば1時間ほどはノンビリと過ごせる充実した時間となるであろう。
では、日本6周目後半である2021年の11月にジャンプしてみよう。
出流原弁天池
まずは本丸だろ、そうと相場は決まっている。
名水100選の1つである、湧水が作った池なのだそうだ。
佐野市観光協会などのWebサイトを見ると、この出流原弁天池などに代表される佐野市の綺麗な水を使って小麦粉を青竹で打ったから、佐野ラーメンはあのコシ・あの味になるのだという。
なるほど、ありがたい泉。生命の泉。
敷地への入口はこんな感じの鳥居だ。
「湧釜神社」という神社の境内であり、上の写真のように鳥居から真っすぐに奥に向かうと小さな太鼓橋を経由した先のお社が見えている。
その太鼓橋の左右に広がるのが弁天池なのである。
はい、これがそれのほぼ全容だ。
均一に平たい池に、どこまでも澄み渡った水が湛えられている。1日に2400tもの水が湧き出しているそうなのだ。すごい。水温は常に16度とのことだ。
そして中央には円形の島があり、そこに小さな祠があって絵になるぞ。
この巧みにグネッた木と一緒に池を撮影するのが定番の構図だったりする。
池であり、日本庭園であると感じた。詫び錆がここに詰まっているのだな。
池にはコイが優雅に泳いでいる。
ちょっと風が強かったので水面が波打ってしまっているが、無風のときには水が無いかのように澄み渡っていて、そんな図からここはしばしば"栃木のモネの池"と称されるそうだ。
この時期だからこその感動、それは池の頭上に真っ赤な紅葉が広がっていることである。その落ち葉がヒラヒラと水面に落ちる様子は、マジで風流なのだ。
僕が平安時代の歌人であれば一句したためたいところなのだが、何の教養も無い一介の旅人なので「すっげ!」しかリアクションがでてこない。残念。
ぶっちゃけね、少し彩度を上げて撮影したりもしている。
だけども気分はは正にこんな感じの絢爛豪華な景色の中。まだ空気の澄んでいる朝の時間に来ることができて幸せいっぱいだ。
実は、冒頭で鳥居をくぐった先の太鼓橋に向かって左に広がるのが、この一番池。
他にも二番池と三番池がある。二番池は太鼓橋の右側の小さな池。三番池はほんの少しだけ離れており、駐車場に車を停めた後に足早に歩いている脇にチラリと見た程度であった。
二番池も三番池も写真には撮らなかった。一番池のインパクトが大きすぎたからであり、普通出流原弁天池と言えば、この一番池を指すからだ。
ちなみに池の向かいには「一乃館」というレトロテイストなホテルがあり、その入口脇には湧水を汲めるスポットがある。ペットボトルに名水を汲んでおいた。
では、次の章ではこのホテルの裏側に行ってみよう。
すっごいんだ、そこが。
赤見温泉フィッシングフラワーパーク
ホテル一乃館の裏側に回ってみた。
そこには、この出流原弁天池の水を引いて作った赤見温泉フィッシングフラワーパークという名前の釣り堀がある。入場は無料だ。
まだうすら寒い朝ではあるが、ファミリーやカップルが釣り堀に興じている。
楽しそうだ。僕は子供のとき以来釣り堀で遊んだことが無いのでちょっとだけうらやましいぞ。
だが、僕の目的はこの釣り堀ではない。敷地内には大きな池があり、そこを一周する散策路もあるので、そこを歩いてみたいのだ。
その池の名はなんだろうって思っていろいろWebを調べてみたが、なかなか名前がわからなかった。
しかし一部Webサイトでは”大池”と記載されていたので、僕もその名前で呼ぶこととする。
足漕ぎボートや手漕ぎボートが停泊していた。まだこの時間は稼働していないのかな?
でも停泊しているだけで絵になるな。かわいいボートよ。
それでは、池を一周する遊歩道に入って行こう。
するとすぐに周囲は紅葉に包まれる。いいねぇ、心が満たされるねぇ。命の洗濯だ。
こんなにも気持ちのいい散歩道なのに、一周していて誰にも会うことはなかった。出流原弁天池は人であふれていたのにもかかわらずだ。
それだけここがマイナーなのだろう。
ちょっともったいない。せっかく出流原弁天池まで来たのであれば、あと5分歩いてここも散策すれば最高なのに。
ちょうど池を半周した、入口から見ると反対側に当たるところでハイライトが現れる。
すっごいのだ。錦絵図とはこういうことを言うのであろう。
大池の周囲は紅葉で彩られ、さらにはそれが池に反射して映り込むので2倍すごい。
池の中には草が固まってできたであろう小島がプカプカと浮いていて、これまたなんとも言えない優雅な演出をしてくれている。
手前には『磯山弁財天絶景スポット』と書かれている。
磯山弁財天とは次の章でご紹介する、池の反対側、つまりは出流原弁天池の背後に聳える丘のことだ。そこがよく見えるという意味でこの立て札(?)が設置されたのだろうが、池の眺めもここが随一だ。2つの観点からの絶景スポット。
個人的にはこの昭和レトロな手書きの立て札がキュンときたよね。
ささやかなひさしは、たぶん今流行りの自撮りのためのスマホやカメラを置く台ではない。きっと雨の直撃を受けて立て札が痛むのを防止する目的なのだろう。それがかわいい。
そこから頭上の紅葉を撮影した。
この写真、後から気付いたが背後の丘にチラリと磯山弁財天が映り込んでいる。拡大してみよう。
丘の中腹に懸け造りのようなスタイルで、空中に飛び出すように造られた磯山弁財天の弁天堂。このあとはあそこまで登るのだ。きっといい眺めが期待できる。
こうして大池の一周が終わる。
ゆっくり歩いても10分ほどであっただろうか?なんとも有意義な10分だ。この紅葉の真っ盛りに来れたことがなによりラッキーだ。
磯山弁財天
出流原弁天池の駐車場のすぐ向かい(あるいは横)に、磯山弁財天への上り口がある。
まずはこのラブリーなハートのゲートはなんだね?恥ずかし嬉しい。
さて、これから弁天堂まで登るわけだ。
さっき赤見温泉フィッシングフラワーパークから眺めるとかなり激しい登山路のようにも思えるが、ゆっくり5分ほど歩けば到達できるので、ぜひあなたも出流原弁天池と絡めてアプローチしてみてほしい。
登り口の脇に大きな白い蛇がいた。
弁財天は蛇の化身とも言われているもんね。だから境内の随所に白蛇の像があるのだよ。
下から登り口を見上げた図がこれだ。
朱塗りの楼門の内部に小さな太鼓橋みたいなのが架かっているのが見えるだろうか?これは独特のデザインだね。すごくいい。
そして楼門の背後、小さく弁天堂が見えている。前章で池越しに眺めたヤツだ。あそこまで登っていく所存。
はい、割とすぐに弁天堂の前まで来た。
途中には鐘撞堂があって鐘をつくことができたりだとか、またまた白蛇がいたりするのだが、とりあえず割愛するね。
さっきも触れたけど、懸け造りという張り出しステージ風の造りになっているのがよくわかる1枚。みんな知っている代表的な懸け造りが、京都の「清水寺」にある"清水の舞台"ね。
釘を全く使わわない古来の方法で建てられているよ。
もともとは平安時代である948年に「藤原秀郷」が創建したそうだ。1000年以上の歴史があるのだ。
この弁天堂はさすがにその当時のものではなく、鎌倉時代に再建されたものらしい。とはいえ、800年ほども経過しているのだ。すごい歴史。あ、あとここにも白蛇いる。
一面が鮮やかな朱色である。不適切な表現をするとファンシーなピンク一色で、少しドギマギしてしまう。
それでは目指す張り出しステージに行ってみようか。
この少し引いた構図が好き。
弁天堂の屋根や柱は、この風景を絵画のように切り取る額縁なのだ。その向こうには佐野市郊外ののどかな田園地帯が広がっている。
ここまで歩いて少し体がほてっているので、秋風が気持ちいい。
中央に見えているのが、さっきの赤見温泉フィッシングフラワーパークの大池だ。あそこを一周散策した。
そして写真の一番右下に小さな池があるのが見えるだろう。あれが三番池。最初の章でご紹介した一番池とその隣の二番池は、位置的には右下あたりなのだが木々が生い茂って見ることはできない。
しかしなんとも充実した秋の朝よ。
こんな優雅なひとときを過ごすことのできた出流原弁天池に感謝だ。
丘を下り、汲んだ水の入ったペットボトルを車のドリンクホルダーに差し込み、快晴の空の下のドライブを再開した。
以上、日本7周目を走る旅人YAMAでした。
住所・スポット情報
- 名称: 出流原弁天池
- 住所: 栃木県佐野市出流原町1117
- 料金: 無料
- 駐車場: あり
- 時間: 特になし