週末大冒険

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ちょっと出かけてみないか。忘れかけていた、ワクワクを探しに。

No:022【三重県】日本唯一の松阪牛の駅弁「モー太郎弁当」!!弁当箱は音楽を奏でるぞ!

僕は駅弁に興味を持ったことがほとんどない。

鉄道で旅をしたことすら、ほぼゼロである。

 

そんな僕が思わず目を停めた駅弁がある。

それが、松阪駅の「モー太郎弁当」という、松阪牛をこれでもかと詰め込んだ弁当だ。

それだけで、僕のテンションはマックスだ!

 

さらにこの弁当箱、音楽が流れるというハイテク装置を実装しているらしい!

そうきたらもう、見るっきゃない!食うっきゃない!そして歌うっきゃない!

この弁当1つあれば、そこはもうパーリーナイッ!!

 

じゃあ、行こう松坂!ウェイウェイ!!

 

 

駅弁の「あら竹」

 

キンキンに寒い2月のある朝、僕は松阪駅前にやってきた。

駅前にて駐車場をうまく発見できなかったので、愛車のHUMMER_H3は300mくらい離れたところに置いてきた。

 

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松阪1

試しに、松阪牛の匂いが漂っていたりしないか、鼻をクンクン言わせた。

牛肉の匂いはしないが、かわりにどことなく昭和の香りがする駅だ。

 

お目当ての駅弁を売っているお店の名前は「あら竹」。

明治28年創業とのことで、もう120年以上も営業している老舗中の老舗だ。

その店舗は駅構内ではなくって少し離れた駅前商店街と聞いている。

 

まぁ駅構内にも駅弁販売ブースがあるのかもしれないが、別に駅で買うことが僕の目的ではない。弁当を手に入れられさえすればよい。

そういった魂胆から調査していたので、本店というか総本山というか、そんな位置づけの場所が必然的に僕の目的地となったのだ。

 

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松阪2

商店街も昭和テイストを感じさせるものだ。

飾らない、気取らないその雰囲気が僕は好きだ。その一角を見たとき、僕の目は獲物を狙う鷹のように鋭くなった。

 

あったぜ、あら竹。

あれが今回の僕のターゲットだ。

 

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松坂3

…おっと。

思ったよりも渋めなテイストで攻めてこられたよ。

 

弁当屋さんだというから、もっとオープンな感じで入りやすい雰囲気を想像していた。しかしこれは、一昔前の金券ショップみたいな店構えだぜ。

 

もっとも、昭和時代とかのお弁当屋さんってこんな感じなのかもしれないけどさ。

僕がお弁当屋さんで想像しちゃうのは「ほっともっと」的なお店だったので、そのギャップに思わず身構えた。

 

ちなみに僕は「ほっともっと」ですら入ったことも買ったこともないという、弁当界のルーキーだ。今回、いきなりハードル高いぞ。

 

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松坂4

看板にちゃんと僕の目的のモー太郎弁当も掲載されている。

 

遠目から見るとイタリアンカラーだが、実態はガチガチに弁当屋だ。

さぁ、待ってろモー太郎。

 

なんか急に雪も降ってきたので、躊躇している暇はない。

木枯らしに背中を押されるようにして、僕は店内に突撃した。

 

 

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あら竹1

 

わー!押し寄せる情報量に酔う! 

 

 

カウンターの周辺は情報の坩堝(るつぼ)よ。色紙・掲載新聞・土産・宣伝のPOP…。

あまり脳に一気に情報を流し込むと、頭が発火するよ?

インディ・ジョーンズ」の「クリスタルスカルの王国」で、そんな感じになっちゃった方がいらっしゃるよ?

 

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あら竹2

ニヤニヤしながら伊勢うどん伊勢うどんを売っている人のパッケージ。

僕は正直、伊勢うどんは苦手だが…。

そして、パッケージとPOPがズレているような気もするけど、まぁいいや。

 

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あら竹3

日本一多くのメディアに取り上げられている、的なことを宣伝していたりも。

ただしなんだか情報が古そうな気もするが。

 

…って言っている場合じゃない。

僕は駅弁を買わないと。

モー太郎弁当っていう、日本で唯一松阪牛をふんだんに使った駅弁。

松阪市に来たなら食べないと後悔する。そう思った。

 

しかし店員さんが僕の視界にいない。

「すみませーん!」って呼んだ。

反応がないのでもう1回呼んだ。

 

そしたら奥からおばちゃん登場。

早速モー太郎弁当をオーダーした。

 

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あら竹4

壁に飾られ、黒光りするアイツ。

あの、牛のデスマスクみたいな弁当をおひとつ僕におくれ、とオーダーした。

 

「日本初のメロディー駅弁」と気になる文言が躍っているが、それは後で触れるから、もうちょっと楽しみにしてくれ。

 

するとおばちゃん、「ちょっと今は在庫がないので奥で詰めてくるわね。そこに座って待っていて。」と言ってくれた。

展開撮影の許可をいただき、僕は2人掛けくらいの狭いベンチで弁当完成を待った。

 

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あら竹5

まさに今頃、奥の調理場でおばちゃんが松阪牛を操っているのだろう。

あの、日本三大和牛の1つである松阪牛を。

 

壁には日本地図と世界地図が掲示してある。

ひょっとして世界進出しているのか?モー太郎、守備範囲広いな。グローバル化がとどまるところを知らない。

 

5分ほど待ち、僕はモー太郎弁当をゲットした。料金、1350円。

よーし、今日のランチは松阪牛だ。

ウヒャヒャヒャ…と喜び笑いをこらえきれずに、僕は粉雪の中をダッシュで愛車のもとへと走った。

 

 

モー太郎弁当

 

実食だ。

僕は逸る気持ちを落ち着け、深呼吸してから弁当を取り出した。

 

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モー太郎弁当1

おぉ…、紙のパッケージに包まれていて、まだモー太郎の素顔は見えないぞ。

もどかしいが、神々しい。

 

古代中国や平安時代の高貴な女性などは、普段は御簾(みす)の奥にいて姿かたちが見えにくいばかりか、顔を扇で隠していたという。

下々の民には決して素顔を晒さないのだ。

そういうオーラを感じた。ま、このあとむしり取るけどな、それ。

 

松阪名物

黒毛和牛

蓋を開けると ♪ふるさと♬ のメロディーが流れます。

 

モー太郎弁当

 

電子レンジOK 温めると出来たての美味しさ!!

メロディセンサー付のフタ・中台紙は必ず外して下さい

 

パッケージにはそのように書かれていた。

 

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モー太郎弁当2

じゃーん。

御尊顔を拝しまして、恐悦至極に存じます。

 

 右を見ても左を見ても、ゆるキャラであふれかえる昨今において、なんとう武骨な顔だよ。夜、子供がこれを見たら恐怖におののくかもしれない。

しかしこれは、ゆるさで媚びを売るのではなく、黒毛和牛としての確固たる威厳やブランド力を意識した結果のデザインとのことだ。

 

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モー太郎弁当3

蓋をパカッと取ると、蓋の裏側のオルゴールが光を感知して「故郷(ふるさと)」の音楽を奏でるぞ。

音を奏でる駅弁は、日本初だぞ。

 

バリバリ単音だけどな。

誰もが知っている曲で、そして旅情感を味わってほしいとの意図からの選曲なのだそうだ。

 

故郷(ふるさと)

 

うさぎ追いし かの山
こぶな釣りし かの川
夢は今も めぐりて
忘れがたき ふるさと

 

作詞: 高野辰之
作曲: 岡野貞一

 

 …これね。

作詞者・作曲者共に1940年代に亡くなっていることで、死後50年保持される著作権も既に消滅している。従い、ここに歌詞を掲載させてもらった。

 

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モー太郎弁当4

…しかしさ、駅弁というからには電車内で食べることを想定しているんでしょ?

 

電車内でふるさと流れたら、近所の人たちに「あ、あの人モー太郎弁当食べている!」ってバレちゃうよな。

車内いたるところでふるさと鳴っているのかな、松阪って。

 

でも、僕は小心者だから、きっとメロディが鳴り響かないように必死になって食べることとなると思う。

 

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モー太郎弁当5

メロディセンサーは、剥がして二次利用もできるぞ。

つっても、単音でゴリゴリの電子音だから、あまり心は安らがない。しかも結構音も大きいから、使いどころには工夫が必要だ。

 

このセンサーは、2000回使用できるだけの持久力があるらしい。

僕もこの記事を書きながら、久々に手元の弁当箱をパカッと開いたら、元気にふるさと流れたよ。

 

では、さんざん引っ張ったが弁当食べよう。

 

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モー太郎弁当6

はい、肉の大海原

副菜とか漬物とか、そういうのはもうかたちだけ。

肉・メシ。基本的にはそれのみだ。潔く、そしてそれが正解だ。

「この海原で、好きなだけ泳ぎなさい」という、あら竹からのメッセージと受け取った。

 

これは黒毛和牛のA5ランクを使っているとのこと。贅沢の極み。

タレのベースは醤油で、やや甘辛く、そして濃厚。

僕がよく行く牛丼チェーンを、神々の領域まで昇華させたような感じだ。

 

お弁当を温めていないのに、この柔らかさと芳醇さ。

一切ごまかしのない、ストレートなうまさだ。

 

正直、弁当箱自体がやや小ぶりなので、成人男性としては少々ボリュームは物足りないだろう。(一般的な駅弁もおおかた小ぶりなイメージだが)

しかし、この容器・このご飯の量に対する肉のボリュームは充分と感じた。

 

 

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モー太郎弁当7

 モー太郎弁当は、五感に響く弁当だそうだ。

 

  • 視覚…目に飛び込むのは、黒毛和牛のパッケージ。
  • 聴覚…ふたを開ければ、動揺「ふるさと」のメロディが流れます。
  • 嗅覚…ふたを開ければ、メロディと共に、美味しい香りがします。
  • 味覚…松阪名物のすき焼きに、生姜の香りを加え、駅弁ならでは、個性ある味わいに仕上げました。
  • 心…駅弁の持つ郷愁と、牛匠の真心をお届けできれば、幸甚でございます。

 

うん、ところで五感の触覚はどちらに行かれましたか?

まぁいいけど。

 

 

父方の祖父の家には、壁に黒い観音の顔だけのオブジェが飾られている。

子供の頃、すごく怖かった。 

 

実家には、壁に黒いアフリカ原住民の仮面が飾られている。

子供の頃、すごく怖かった。

 

…であるなら僕の取るべき道は1つ。

自宅の壁に、このモー太郎弁当を    ← 全力却下されました

 

 

 

さて、コロナウイルスで冷え込んだ観光業界を盛り上げるための「GoToトラベルキャンペーン」が 、2020年7月22日の今日から施行される。

 

首都圏なんてコロナの第2波でそれどころじゃないし、それ以外の地域も大手を振って出かけられる状態ではないから、世間ではすさまじく悪評が飛び交っているけど。

GoToトラベルが、むしろGoToトラブルになっているけど。 

 

せめて松阪に安全に行ける方、駅弁なら三密を避けてコソコソ食べられるだろう。

よろしければ、松阪へ…!

 

以上、日本6周目を走る旅人YAMAでした。

 

 

住所・スポット情報

 

  • 名称: あら竹 本店
  • 住所: 三重県松阪市日野町729-3
  • 料金: モー太郎弁当1500円(2020年現在)
  • 駐車場: なし。近隣のパーキング利用のこと。
  • 時間: 7:00~17:00(無休)