渋さあふれる良い景観だと思う。うん、みんな知っている。
僕はここを何度訪問したかは覚えていないが、5回は確実、10回には少し届かない程度ではないかと記憶している。
ところで天橋立には、絶景展望台が2つある。
北の「傘松公園」、南の「天橋立ビューランド」だ。
どっちも僕は複数回登っているし、そのどちらも素晴らしい眺めだった。
「これぞ日本三景!これぞ日本の誇る景景観!」とか思った記憶がある。
…ただしだ。
今回はそういう高尚な話ではなく、目線のレベルをググッと落として書きたい。
ご紹介するのは前述の天橋立ビューランド。
これは実はミニ遊園地なのだ。
そして今回は、天橋立を眺めるための展望台としての天橋立ビューランドではなく、"遊園地"としての天橋立ビューランドに重きを置いてご紹介したい。
つまりは「いい大人なのに、ここで遊んだら楽しかったぜ」と、言いたいことはこれだけだ。
では日本6周目前半戦、天橋立ビューランドを訪れた思い出を語ろう。
山の上は遊園地でした
それはサラリーマンにとってゴールデンな連休であるだけではなく、気候も快適だし新緑もワサワサ伸びて、なんか世界が幸せ色に包まれるシーズンではないかと思う。
僕は天橋立にやって来た。
実は3日前にも天橋立に来たのだが、既に夜でね。なので戻ってきた。
ちなみにここに戻るまでの3日間に、中国地方の東側半分を走ってやった。
まずはビューランドに向かうには、モノレールorリフトだ。
往復で850円。
行き・帰りのそれぞれ好きな方を選べる。当然往復共にモノレールだとか、往復共にリフトも可能だ。
ちょうどモノレールが来ていたので、モノレールに乗ることにした。
1時間に3本のみの運行なので、比較的レアだ。
しかも今は朝の9:30。ゴールデンウィークとは言えこの時間はまだ空いている。
このあと大混雑するかもしれないから、今のうちにモノレールの方がいい。
では帰りはリフトにしようかな。
モノレールはこんな感じ。
非常に短い2両編成のケーブルカーと言ったほうがいいかもしれない。
リフトはちょっとスリリングで小さい子やお年寄りには不向きかもしれないが、モノレールは万人に優しい。
後ろ…というか下を見ると、このように天橋立の絶景が広がる。
モノレールの進みに合わせて徐々に見え方が異なって行くのがまたいい。
これご存じでない方も多いかもしれないが、上に登るケーブルカーやロープウェイの類は、必ず最後部を陣取るのがいい。
テンションに任せて一番前に行っても、見えるのは空ばかりだったりする。
後ろの方がマジ盛り上がるからな。
こうして7分で山頂駅に着く。
ちなみにリフトだと6分なのだそうだ。
はい、モノレールを降りたら秒で遊園地だ。
ワイワイガヤガヤ、気分も盛り上がる。
サイクルカーから天橋立を見る
天橋立ビューランドは、一歩敷地に橋を踏み込むと、もう目の前には観覧車があるし、頭上にはサイクルカーというモノレールの自転車版のようなアトラクションのレールが通っている。
「サイクルカー…、乗っちゃうか?」と僕は呟いた。
自分でも驚いた。
このときの旅は、同行者がいた。
とはいえ、天橋立をサクッと見たらすぐに山を下りてドライブを再開するつもりでいた。
今日はこのあと900km近く車を運転する予定がある。
ぶっちゃけ時間も体力も、そんなに使いたくはなかったのだ。
だけども、乗る。
幸いにして乗り場は全然混雑していなかったし、ここで1人ではやりにくい体験をすることも重要だ。
何より、この平和すぎる雰囲気に流された。
映画館でついついポップコーンを買ってしまうように、サービスエリアでソフトクリームを買ってしまうように。
あえて流されるのも人生には必要なのだ。
はい、気付けば2人乗りサイクルカーのコックピットに収まっていた。
2人乗りのものは500円だ。
スタッフのおじさんに送り出されて、いざ出発!!
うわー、なんかふんわり動くーー!!
完全に人力のアトラクションだが、動きはメッチャ滑らかだ。
小学校低学年の子でも動かせるようなペダルの軽さ。
この目線も相まって、まさに空の上を進んでいるような気分になる。幸せ。
このレール越しに見える天橋立がたまらんです。
一般の人々よりも高い目線でゆっくりと推移する天橋立。
気分はさながらVIPだ。
はい、これぞ優越感。
足元では長い行列ができている。
人々が待っているのは”股覗き台"からの記念撮影だ。
天橋立の"股覗き"をご存じない方に説明すると、自分の股越しに天橋立を眺めるという行為。
下手な絵を描くと、こんな感じな。
そうすると天橋立が逆さまになる。
ここ天橋立ビューランドからの眺めは、それがまさに天に飛び立つ龍のように見えるとのことで、"飛龍観"と呼ばれている。
眼下の行列は、このポーズでの記念撮影している行列なのだ。
…そんな股覗きの人々を悠々と眺めながらサイクルカーは走る。
下界の人々は「あれが天橋立かー」みたいなことを思っているのだろうが、我々は「左をご覧ください。あれが股覗きでございます」みたいなアナウンスが脳内再生されている。
人々を含め、1つの景観だ。
手っ取り早く飛龍観を再現する方法。
それはカメラだけ逆さまにして撮影するか、普通に撮った写真を上下反転させればいい。
さて、あなたには空に飛び立つ龍が見えるかな??
…という感じで、おそらく250mほどの空中散歩なのだがとても爽快で楽しめる。
まもなくゴールが見えてくる。
童心に返るとは、まさにこのことであろう。
短い時間だったが、いい思い出となった。
その他のアトラクション
結論から言うと、僕が実際に乗ったのは前項のサイクルカーだけだ。
なのでその他のアトラクションについては多くを語れない。
しかし、乗らずともこの景観に華を添えてくれているのは事実。
実際、僕はこれらのアトラクションをニコニコしながら見て回った。
それらをご紹介したい。
まずは冒頭でも掲載したミニSL。
SL弁慶号という名前で、敷地中央を2周回る。
地表を走るので眺めはサイクルカーの方が上であろう。
しかし間違いなくチビッコのテンションがトップギヤに入るヤツである。
音楽が流れ、ときどき汽笛が聞こえ、そして子供たちの歓声も聞こえる。
平和の象徴みたいな乗り物だ。
そして遊園地と言えばこれだよね、シンボリックに聳える観覧車だ。
あまり大きくはないが、そもそもここが山の上なので天橋立の眺望は最高であろう。
公式Webサイトによれば、どうやら丹後半島の先の方まで見えるらしい。
メリーゴーランドもあるぞ。
小さい遊園地ではあるが、遊園地の要素は大体つまっている。
これらの乗り物が、大体それぞれ300円ほどで利用できる。
あとは、写真右手に見えている建物。この後ろにはゴーカート乗り場がある。
ライド系のアトラクションとしては以上であろうか。
ちなみに建物内にはアーチェリーや射的などの遊具がある。
これはこれで面白そうだった。
飛龍観回廊&敷地内からの眺望
次に、天橋立ビューランドの誇る展望台をご紹介しよう。
これ、2012年に完成したのだそうだ。
うわわ、僕はこれを初めて見た。つまり前回の訪問から結構な年月が経っていたということだ、うわわ。
これが飛龍観回廊だ。
なんか複雑でユニークなデザインだ。ワチャワチャしている。
どうやら龍をイメージしているらしい。なるほど。そう言われればそうも見える。
らせん階段をグルグルと上る。
そして龍の背のような回廊に乗る。
普通の展望台と比べて、ポジションイングの優劣が少ないように感じる。
回廊のどこであっても同じように最高の絶景が見えるつくりだ。
そしてこの写真、撮影者は隣の龍の背にいるのだが、ここもここでよい。
人が入っている状態での展望ってのも臨場感があるものだ。
だから他の展望所でも、僕はあえて人を入れて写真を撮ったりすることが多い。
グニャグニャ展望台、良いな。
しかし高所恐怖症の人は注意だ。足元の風通しはバツグンなのだ。
展望はもちろん申し分ない。
むしろ、ビューランドに上がってきた時点で基本的に全員勝ち組だから、あとはもう好みの問題だと思っている。
天橋立ってのはもともと土砂が堆積した砂州なのだが、その砂浜が綺麗にギザギザになっている部分が好きだ。
まぁこの天橋立そのものにフォーカスした記事については、いずれ別の記事で書こうと思っている。
モノレールを降りたすぐそばにある、この2本のポールを使った眺望も好きだ。
記念撮影に使える場所だと思う。
山頂からリフト乗り場には少し歩て下がって行く必要があるのだが、その途中での傾斜地の眺めもいい。
ここマジでなかなかの穴場だと思う。
綺麗に整備されており、それぞれに良さがあるのだ。
みんな違って、みんないい。
それがビューランドの眺望だ。
名前の通り、本当にビューするためのランドだ。
ピザフリッタの思い出を胸に
小腹の減った僕らは、遊園地内のカフェで何かを買うことにした。
ピザフリッタをオーダーすることとした。
『4種のチーズとハムが美味しい揚げピッツァ』と書かれていて、価格は300円。
これだ、って思った。
カフェの前にはこのように広いウッドデッキのスペースがあり、パラソルつきのテーブルとベンチのセットがある。
そのうちの1つを確保することができた。
ピザフリッタ、うまかった。
中身のトロトロチーズの写真は、顔面と共に撮影したものしかないのでここに掲載することは控えよう。
お見せできなくって残念だが、最高だった。
正確に言うと、味が良かったから「最高だった」と表記したのではない。
この世界全部がステキだったからだ。
最高に気持ちのいい、5月上旬の新緑の時期。
穏やかな朝で、暑くも寒くもなくほど良い陽気。
旅先というだけでちょっと気分が高揚してしまうのだが、さらにここは展望のいい遊園地。
プカプカした感じの平和なBGMが流れ、みんな笑顔だし子供の歓声も聞こえる。ウグイスの鳴き声も聞こえる。
…そんなロケーションで、思いつきで「サイクルカー乗ろうか」、「ピザフリッタ食べようか」みたいになり、どちらもアタリだったのだ。
これを幸せと言わずして、いったい何が幸せか。
僕は言った。
「何10年後かにボケたとしても、今日ここでサイクルカー乗ってピザフリッタ食べたことは忘れたくないよな。」と。
そういうことだ。
だから冒頭に書いた通り、今回の主役は天橋立ではない。
あくまでビューランドなのだ。
そんな思い出があってもいいと、そう思う。
以上、日本6周目を走る旅人YAMAでした。
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