旅の朝は、その町にある小さな喫茶店でコーヒーを飲みながら迎えたい。…それが最近の僕の唯一無二の望みだ。これが叶うのであれば、僕の人生には他には何もいらない。
まぁお金は欲しいし仕事でも成功したいし美味しいものもっと食べたいし身長あと20cmほしいし字を書くのがうまくなりたいけど。
…という余談はさておき、今回語りたいのは鶴岡駅にほど近い「向日葵(ヒマワリ)」という喫茶店のお話である。

ここで朝ごはんを食べた、短いけどもほっこりした思い出のことを語りたいのだ。
それは2025年の初秋、ちょうど雨の上がった静かな朝のことだった…。
そのお店はヒマワリ色
朝の7時過ぎ。昨日の深夜に山形道にて山形県に足を踏み入れていた僕は、車中泊から目を覚まし、日本海を目指していた。その過程で朝ごはんを食べたいって考えていた。

Webで朝の7時台から営業しているお店を探し、その中で見つけたのがこの向日葵という喫茶店だ。
旅先での朝ごはんっていろんなパターンがあるけれども、僕は純喫茶でモーニングを頼むのが好きだ。無類のコーヒー好きなので、おいしいコーヒーを飲めるお店がいいのだ。そしてレトロ好きなので、地域に根付いた喫茶店にはワクワクするのだ。

お店の駐車場に車を停め、外に出た。
気温は15℃。2025年の夏は梅雨すらほぼ無く、ずーっと地獄のような猛暑が続いていた。しかし東北の朝は爽やかな空気に包まれている。外界が寒いと感じたのはいつぶりだろう。
さっきまで小雨だったけども、どうにか止んでくれたのも良かった。

これは入口付近の画像。
歴史を感じさせる建物ではあるが、茶色い瓦屋根と黄色い建物がメルヘンチックに感じさせる。"ヒマワリ"という店名だから黄色なのかな。かわいい。そして看板の"向日葵"の字体がレトロかわいい。
お店の前には無数の植木鉢。オーナーさんはヒマワリを始めとした植物が好きなのであろう。僕の経験上、食事処の店頭の植木鉢の数は、そのお店の味と比例する。

植木鉢の列は、駐車場方面までズラーッと続いていた。そんな静かな住宅地のお店。近所に住んでいると思われるおじいさんが自転車でゆっくりとお店の前を通過していった。のどかでいい風景だ。
…では、店内に入って行こうか。
まるでピザトースト懐石
店内に入った。オシャレなおばあちゃんが1人で営んでいるようだ。笑顔で「いらっしゃい」と言ってくれた。どうやら僕以外にお客さんはいないようだ。朝早いからな。
店内は大きく2分割されていて、厨房やカウンター席のあるエリアと、テーブルやイスの席のあるエリア。僕は後者を選択した。
店内の風景は後述するね。まずはご飯食いたいんだよ。だからご飯の話をする。

これがメニューだ。
焼うどん・牛丼・ピラフ・ドリア・カレー・パフェ・冷やし中華・トースト・サンドイッチ・パスタ…。なんでもあるぞ。『ハムトーストト』の誤字もかわいい。
それに、左上にヒマワリの絵もある。おばあちゃん、やっぱヒマワリ好きなんだね。
これらのメニューがあるということは、朝からこれらの食事を提供してくれるということだろうか?あのおばあちゃん1人で…?すごい。

580円のピザトーストと、ホットコーヒーをオーダーした。
朝はパンを食べたい。コーヒーと合うし。しかし、より元気の出るパンがいい。つまりはピザトーストなのだ。僕ったら、ピザもピザトーストも大好きですし。
こうしてやってきたのが上記のピザトーストだ。オシャレとは、ちょっと違う。だがゴロッとしたウインナーが豪快に乗っていて、タマネギもたっぷりで、そしてチーズが中心部に固まっている。家庭的なピザトーストの最上級、って感じだろうかね?

さぁピザトースト食おう…と思ったら、他にもワラワラ出てきた。
いや、コーヒーが出てくるのは知っている。オーダーしたから。でもそれ以外は、これなんなんだ?ミニサラダ・きんぴらごぼう・フルーツ…。すごいすごい、これで580円かよ。
カトラリーもキチンとフォーク・ナイフ・箸がある。フォークとナイフはピザトースト用であろう。僕は手で食っちゃうけども、その気遣いが嬉しいよね。

綺麗でちょっとレトロな店内で1人。こんなステキな空間で、目にも楽しいピザトーストセットを食べられる幸せよ。
これは昨夜に始まった、僕が東北地方の海岸線を一周する車中泊中心の旅の、最初の朝であり最初の食事なのだ。これは幸先のいい旅の幕開けではなかろうかね。これこそ真のハッピーセット。
いただきます…!うん、ピザトーストうめぇ。素朴だ。感動的なうまさとはちょっと違うが、お母さんが作るような家庭的なおいしさ。こういうのがいいんだよな…!

きんぴらごぼう、実は数年前まであまり食べられなかったのだ。しかし近年はむしろ好きになってきている。うまいよね。酒にも合うし。
ピザトーストにきんぴらごぼうが出てくるというシチュエーションが、おばあちゃんの営む喫茶店ならではって感じでほっこりする。
サラダのアスパラも普段は絶対に食べないものだが、フレッシュでうまいと感じた。東北の野菜は大体おいしいと思っている。

おばあちゃんがニコニコしながら、オシャレな小鉢に入れたカボチャの煮物を持ってきた。「カボチャの季節になって来たわね。今朝はカボチャを煮たの。食べてみる?」って言ってくれた。
もう、いろいろ出てくるのね。ピザトースト懐石みたいになってきている。
実は僕は、普段はカボチャも食べないのだ。しかしこれはおいしかった。甘いダシで煮込まれ、少し煮汁も入っている一品。ジューシーで青臭さも無い、上品な味。

あぁ、大満足。満腹。
ところでお皿もコーヒーカップも、全てかわいいね。お店の印象がさらに底上げされるよ。空になったたくさんの皿を眺め、しばし余韻を味わった。
このお店はWebを見る限りは定休日は無く、毎日7:00~16:00まで営業しているという。毎日そんな朝の早い時間からこのクオリティは、神としか言いようがないぜ…。
少し芸術的で落ち着く店内
それでは最終章では、ちょいと店内の様子をご紹介したい。

これが僕の座っていたテーブルと椅子のエリアの全景だ。
シンプルで落ち着いたデザイン。絶妙な配置の観葉植物。そしてたくさんの額縁が掲示されている。僕はこれを見て「なんだかここは美術館のようだな…」って感じた。まるでこじんまりとしたアートハウスのようじゃないか。

壁に掲示されていてひときわ目を引く大きなヒマワリの額縁は、ジグソーパズルであった。
これさ、作成するときに脳味噌バグるよね。ひまわり畑の部分、ほとんど似たような黄色いピースじゃなかろうか。完成させるには狂気のような精神力が必要だぞ、きっと。

風景の写真の額にフォーカスした。日本海、そして花の写真。ピザトーストをオーダーした後にそれらが出てくるまで、僕らはこれらの額縁を眺めて過ごしていたのだ。
灯台はどこのだろう?このお店になるということは山形県内のどこかなのだろうけども、僕は岬マニアにも関わらず、ちょっとピンと来ないのが悔しい。もしわかる人がいたら、こっそり僕に教えてくれ。

これは同じエリア内にある、ゆったりした低い椅子の席。地元マダムが2人とかでカフェだけしながら長時間語り合うのであれば、こういう席がバッチリであろう。

これは、僕は座っていたテーブルのすぐ脇の窓枠。
貝殻とガラス細工が、曇天に華を添えてくれていてウキウキしてきて、思わず写真を撮ったのだ。
良い。旅は景勝地もいいしグルメもいい。でも、こういう何気ないひとこまがね、後年写真を見返してグッと来たりするのだ。

これはカウンター&厨房のエリア。
僕が退店する直前のタイミングで1人の常連さんと思わしき人が入ってきて、カウンターに腰かけた。常連さんはおばあちゃんと話しながらコーヒーを飲むのが日課なのだろう。そんな想像をした。そういうの、すごくいい。
最後に会計の際に、おばあちゃんに「おいしかった。特にカボチャが絶品だった。旅の最初の食事がここで良かったです。」と伝えた。おばあちゃんは「あらそう、上手に煮れてよかった。これからの旅を楽しんでね。」と言ってくれた。
お店を出た。空は曇天だが、心は晴れやかだった。野原に咲く、輝かしい向日葵の花のように。
以上、日本7周目を走る旅人YAMAでした。
住所・スポット情報
- 名称: 喫茶 向日葵
- 住所: 山形県鶴岡市山王町13-24
- 料金: ピザトースト¥580他
- 駐車場: あり
- 時間: 7:00~16:00