1台のレトロなハンバーガー自販機。だが、そこにはドラマがあった。
オーナーさんにとってはもちろんだろうが、10数年前からそれを追いかける僕にも、そしてお店を支える関係者の方々にも、きっと。
…今回はそういう話だ。パンとパンの間に挟んであるのは肉だけじゃないぞ。"夢"も挟まっているんだぞ、きっと。「そうだ、そうに違いない」とうなずきながら、僕は車のアクセルを踏み、快晴の富山県内に足を踏み入れた。

その日は2026年5月30日。
この日の11:00に、一店のレトロ自販機のお店が産声をあげる。僕はその時刻には間に合わないけども、数10分以内にはそこに到着してやる所存だ。
ところで上の写真は11時ちょうどに撮影した。まだお店は遠いけど、「開店おめでとうーー!」
紆余曲折を経て、自販機と僕は再び邂逅する
向かっているお店の名は、「三日市BASE」。
始めていくお店なのだが、僕はこれから会うレトロ自販機をかつて2回、それぞれ違う場所で利用している。お店のオーナーさんにはかつて1回、別の場所でお会いしている。
今回の記事は、上記リンクの物語の続編なのだ。簡単にご説明しよう。
2012年、僕は富山県の「ドライブイン頼成山」にて1つのレトロハンバーガー自販機に出会った。そこでハンバーガーを購入した。

2018年、このドライブインは閉鎖されることとなった。閉鎖の少し前にレトロ自販機も壊れてしまい、そのまま廃棄される運命であった。
だが、それを引き取りクラウドファンディングで修理する人が現れた。今回の記事でご紹介するオーナーさんだ。オーナーさんは再稼働した自販機を、公民館的な施設「自由空間かって屋」に設置し、月に1~2回そこで自販機バーガーの提供を行った。
ここで上記リンクの僕の訪問時の記事に繋がるわけさ。

で、前回の記事の後日談…っていうか裏話も合わせて書こう。
僕が訪問するほんのちょっと前に、自販機バーガーは売り切れてしまったろ?絶望で昏倒したろ?そしたらオーナーさんから「1つ譲ってくれるという人がいるよ」というお言葉をいただき、在庫を自販機にセットして提供してもらったろ?
一体なんでそんなナイスタイミングで、棚からぼたもち…じゃなくてバックヤードからハンバーガーが出てきたのかっていう話。僕は前回の記事内であれこれ推理していたが、その後に真相がわかった。

キャー、恥ずかしい。普通に見られていた。
でも、その節はありがとうございました。あなたの提供してくれたハンバーガーは僕の血肉となって今日を生きています。…ということだ。
なんにせよ、ハンバーガーを与えてくれた上、その直前にはハンバーガー食えずにメガネずれるくらいショック受けてたカッコ悪すぎる僕なんかのブログを見つけてくれた「HRさん」にはダブル感謝だよねぇ。

少し時が流れ、HRさんから情報をいただいた。
自販機のオーナーさんが自由空間かって屋から独立し、自分の店舗を持つことになったそうだ。
Webを調べ、いろんなことがわかった。
自由空間かって屋は老朽化が進み、自販機オーナーさんは新天地を求めてクラウドファンディングを再度実施し、なんと自販機とイートインスペースを1階に設置した新築の家をブッ建てたというのだ。1台の自販機と共に寝食をし、共に人生を歩むプロジェクトか。なんてアツいのだ。
ここで冒頭の写真に舞い戻る。

その日は2026年5月30日。
この日の11:00に、一店のレトロ自販機のお店が産声をあげる。
僕は向かうのだ。オーナーさんやHRさんへの感謝の気持ちから、初日に訪問できるように日程を調整した。さらに、前回みたいにのんびり到着して売り切れ…ということがないように、開店間もない時間には到着できるようにしている。
どうやら新店舗にも鉄道模型があるそうで、HRさんもいるのだろうな。どんな人だか知らないし探すつもりもないし、僕も名乗るつもりはない。だけども、前回お世話になった人たちと同じ空間にいられるって考えるだけで、なんだかワクワクするよな。
古い自販機は新しいお店にあるのだ
三日市BASEの開店は、2026年5月30日の11:00だという。僕はその開店時刻には間に合わなかったものの、開店から1時間以内には到着した。
…というより、あまりに開店と同時ではガッツキすぎだと考え、少しずらしたのだ。ま、冷静に考えると、それでも充分にガッツいてるんだけどね。

わぁ、最高にピッカピカ。ガチ新築。お店も敷地の駐車場も、そして空も緑もピッカピカの最高の日にやってきたじゃないか、僕。
駐車場がない or 狭いことを考えて近くに車を停めてきたのだが、充分な広さがありそうだね。

ところで、満車の際にはすぐ近くに市営駐車場もあるそうだよ。ありがたい。あなたもこのこと、今のうちにメモしておけよ。

これが入口だ。『自動販売機ハンバーガー』の黄色い幟が目にまぶしい。看板には『おもしろ自販機と鉄道の遊び場』と書かれている。そうなのだ、後述するけれども内部には鉄道模型もあるのだ。
さらには右手にはちょっと変わった自販機コーナーがある。

自販機にフォーカスしよう。コカ・コーラやミネラル麦茶といった定番もあるが、なんだか異色の存在もある。ドクターペッパー・コアップガラナ・ルートビアといったクセ強な炭酸飲料、僕が前回自由空間かって屋で飲んだローヤルトップもある。
つまるところ、全国のユニークな飲料が大集結なのだ。これは見ごたえあるし、飲みごたえあるね。

2026年6月の営業カレンダーだ。基本的に水曜・木曜はお休みだが、その他の日は営業している。土日は鉄道模型で遊ぶこともできるっぽい。
これまでの自由空間かって屋は、いかんせんハンバーガーの販売日が少なくって、月1~2回だったのだ。遠方からアプローチするマニアにとってはそれがとんでもないハードルでね。でも、これからは気軽に訪問できそうだ。ステキ。
では、ワクワクしながら店舗に入るぞ。なんだかあんまり"店舗"って感じがしなくって、普通の人の家みたいな雰囲気で、ちょっとドキドキするけどな。
レトロ自販機のハンバーガーを食う
ペパロニバーガーと自販機
店内に入った。まずは入った瞬間、右手に例のレトロ自販機がドーンと鎮座していた。

あぁ、久しぶり。3度目の邂逅。まるで時を超えて級友に出会ったときのような懐かしさを覚えた。実際そうだよね、「ドライブイン頼成山」の頃から14年くらいこの自販機を追いかけてきたからねぇ…。
自由空間かって屋のときに僕を救ってくれたオーナーさんが、僕の来店に気付いてやってきてくれた。
もちろんオーナーさんが僕を覚えているわけはないけども、こうして来客に声をかけてくれるアットホームさが心地よい。知人の家のホームパーティにおじゃましたときのようなシチュエーションだ。

その横にはチョコボールの自販機と桜井バーガーのグッズ自販機もあった。
桜井バーガーっていうのは、このお店のオリジナルのブランドだそうだよ。黒部市内にあるパン屋さん「ファリーヌ」が開発した、おのお店オリジナルのハンバーガー。"桜井"っていうのは、ここ黒部市中心地の昔ながらの呼び方らしい。

ハンバーガーは、うま辛ペパロニバーガー・てりやきバーガー・チーズバーガーの3種類。うま辛ペパロニバーガーだけちょっと高くて450円、他の2つは400円だ。どれも気になるー…。
自販機では今まさに購入している人がいたので、並んでいる間にオーナーさんに写真撮っていいか断り、ついでに買ったものは店内のテーブル席で食べてもいいものか、確認しておいた。
では、僕の番だ。まずはペパロニでいこうかな。

レトロ自販機使用時の注意書きも貼ってあったので、参考にご紹介するね。
使えるのは10円玉~100円玉の現金のみだ。実質、豊富な100円玉が無いと詰むぞ。僕は1000円札しかなかったので、早速オーナーさんに両替してもらったという事態だ。両替機は無いので、オーナーさんの力を借りたのだ。
そしてボタンを押すと内部でハンバーガーが温められ、およそ1分で取り出し口から登場する。

イートインスペースへは、靴を脱いで入る。もう一度言うけど、まさに知人宅みたいな雰囲気だ。
でもな、店内すんごい混雑している。おそらくは10席ちょいはあるのだろうが、全部埋まっている。
オーナーさんが申し訳なさそうに「すみませんね、混み合っていて…」と言って、予備の椅子をテーブルにセットしてくれた。いや、むしろオープン直後のこの喧騒を体感できるのが貴重で嬉しいぜ。大盛況だ。

うま辛ペパロニバーガー。箱のデザインが早速レトロでかわいい。
箱に描かれているのは桜井バーガーの看板娘「りっちゃん」だ。店内のいたるところにりっちゃんはいるのだぞ。自由空間かって屋時代に店内に描かれていたのは、りっちゃんの原型?

んで、せっかく中身が見えやすいようにパカッてやったのに、あんまりペパロニらしさがわからん写真ですまぬ。早く食べたくって焦っていたのだ。
アツアツでフカフカのバンズ。この手の自販機バーガーのバンズはシワシワになってしまうことが多いのだが、ここのはフカフカだよ。そしてゴマがふんだんに散りばめられているのが嬉しいね。味はピリ辛。パティは柔らかいけども分厚くて重厚感がある。
素直にうまい。結構な勢いで食べてしまえるクオリティだ。
てりやきバーガーと鉄道模型
ハンバーガー、もう1つ食べられそうだな…。
ちょうど店内のお客さんも捌けてきた。たぶんだけども、11時の開店ピッタリに来た人々がそろそろ帰りだす時間なのだ。最初の宴が終わりつつあるのだ。
であれば、もう1ついこう。何よりも僕はまだ、この空間にいたいのだ。

それではこのタイミングで、少しだけ店内をお見せしていきたい。お客さんがかなり少なくなったので、後半はこういう写真も撮れるようになった。
綺麗だけどもいろんなレトロなグッズや貼り紙にあふれるにぎやかな空間。オーナーさんや関係者の人たちも談笑していて活気がある。

開店祝いの花も飾られている。そう、開店直後は今の時期ならではのこれを見られるから、いいよね。華やか。こっちまで幸せな気持ちになる。
ところで、写真の右手の大きなガラスの向こうは鉄道模型のある広いフロアなのだよ。そこについては終盤に少しだけ触れよう。

ハンバーガー自販機の近くにも花がある。ここのハンバーガーを作っているパン屋さん、ファリーヌさんのものだ。ステキ。
では、2つ目のハンバーガーを買おう。次はてりやきバーガーにした。
自販機はエントランス部分にあるので、自販機を使う際には都度靴を履かないといけないのがちょっとだけ面倒かな…。でも、それが1つの儀式なのだと、僕は捉える。参拝の際に鈴を鳴らして手を叩くのと同じように。

そして、追加注文しちゃう。店内でオーナーさんに声をかければ購入できる、瓶コーラだ。160円。栓を抜くときにやたらといい音のする栓抜きでフタを取って提供してくれた。
ハンバーガーとコーラ。もうこれでここはアメリカ合衆国なのではなかろうか。

てりやきバーガーももちろんうまい。和風テイストの甘辛のタレは、アメリカと日本の架け橋になっているのではなかろうか。コーラとの相互作用で瞬く間に食べ終わった。幸せ。

そして大きなガラス越しに鉄道模型スペースを見る。
自由空間かって屋時代にもあったね。あれを引き継いだのかな?確か「レンタルレイアウトさくらい駅」という名前で、鉄道模型が好きな人たちが列車を持参して交流できる場を作っていたのだよね?
オーナーさんが鉄道好きだから、ここと鉄道模型は切っても切り離せない関係だね。

僕は電車のことは全然わからないが、ただただグルグル走り回る列車を見ているだけでなんだかワクワクするし、目が離せなくなる。子供の頃に眺めていたおもちゃ屋さんのプラレールを思い出す。
…さて、そろそろ出発するか。ごちそうさま。
まだチーズバーガーは食べていないし、新しいメニューも出てくるかもしれない。だからまたいつか僕はここを訪れるだろう。そのときを楽しみにしているよ。

出発するとすぐに雪の山々が眼前に広がる。あぁ、なんて美しい町なのだろう。満腹になったし清々しい気持ちだ。この後のドライブも充実しそうだな。
以上、日本7周目を走る旅人YAMAでした。
住所・スポット情報
- 名称: 三日市BASE
- 住所: 富山県黒部市三日市3177ー1
- 料金: うま辛ペパロニバーガー¥450他
- 駐車場: あり
- 時間: 8:00くらい~16:00くらい(水木定休)