三重県にはメッチャうまいあんころ餅がある。
伊勢土産の王道で全国的な知名度を誇る赤福。たまーに「聞いたことがある」とか「赤福、名前変わったんか?」という人に出会うお福餅。三重県民でも「なにそれ知らん」という声が多く聞かれる伊賀福だ。

これがその3つの見た目。実に美しい三重奏だね。(←三重県だけに)
同じような違うような、いずれにしても誤差の範囲みたいな感じで、並べれば違いは分かるものの単体で買ったらわからなくなるかもしれない。

じゃあ今回は、そんな3つのポテンシャルに迫ってみようか。
※ところで赤福と伊賀福は2022年に同時購入、お福餅は2026年に買ったで時差があります。写真が分断されているのもそのためです。
赤福と伊賀福については、少し年月が経ったことで2026年現在は記事の内容とは異なっている可能性があります。
Ⅰ. よしっ、まずはカッチカチに分析しようぜ
1. エグゼクティブサマリ
・赤福は「圧倒的ブランド力と観光土産の王者」
・伊賀福は「地域密着型の隠れた名品」
・お福餅は「赤福の代替ではなく、品質重視の実力派」
市場全体では、赤福が知名度・観光価値で突出している一方、伊賀福とお福餅は餅の食感や地域性で差別化を図っている。
2. 評価データ
項目別評価

単純平均スコア

分析
赤福は全項目で高水準を維持しており、特に「知名度」・「観光地らしさ」・「なめらかさ」が強みとなっている。
一方、お福餅は突出した項目はないものの、全体的なバランスが良い。
伊賀福はブランド力では劣るが、商品力そのものは決して低くない。
3. ポジショニング分析
ブランド力 × 商品力
赤福
ブランド力:★★★★★
商品力:★★★★☆
「伊勢土産の代名詞」
消費者は味だけでなく、「伊勢神宮参拝の記念」として購入する傾向が強い。
伊賀福
ブランド力:★★☆☆☆
商品力:★★★☆☆
「伊賀地域限定のローカルブランド」
観光客認知は低いが、地域性を武器に差別化可能。
お福餅
ブランド力:★★★☆☆
商品力:★★★★☆
「知る人ぞ知る実力派」
赤福よりやや甘さ控えめで、餅のコシが感じられる。地元リピーター評価が高いポジション。

4. 項目別分析
知名度
赤福が圧倒的優位。
赤福:10 伊賀福:4 お福餅:7
赤福は全国ブランド。お福餅は三重県内では認知されているが全国では限定的。伊賀福は地域ブランドの位置付け。
食感(なめらかさ+コシ)
なめらかさ… 赤福:9 伊賀福:7 お福餅:8
コシ… 赤福:6 伊賀福:7 お福餅:7
赤福はあんのなめらかさが突出。伊賀福はなめらかさとコシのバランスが良い。お福餅はやや餅感が強い。結論、赤福は「口どけ」、お福餅・伊賀福は「餅の存在感」が特徴。
観光価値
赤福:10 伊賀福:5 お福餅:8
赤福は商品そのものが観光資源化している。伊賀福は地元色が強く、観光ブランドとしては発展途上。お福餅は伊勢観光との結びつきがあるが、赤福ほどのブランド象徴性はない。
入手性
赤福:7 伊賀福:3 お福餅:5
販路の広さでも赤福が優位。
5. SWOT分析
赤福
- Strength:圧倒的知名度 伊勢観光との強固な結びつき
- Weakness:餅のコシはやや弱い
- Opportunity:インバウンド需要
- Threat:類似商品の増加
伊賀福
- Strength:地域限定性 バランスの良い品質
- Weakness:知名度と流通
- Opportunity:ご当地グルメ需要
- Threat:販売チャネル不足
お福餅
- Strength:地元ファンの支持 餅の食感
- Weakness:ブランド認知
- Opportunity:食べ比べ需要
- Threat:赤福との比較による埋没
6. 最終提言
- 観光客向け:赤福 「三重県を代表する定番土産」
- 味・品質重視層向け:お福餅 「最もバランスの良い選択肢」
- ご当地・希少性重視層向け:伊賀福 「見つけたら買う価値のある地域限定銘菓」
Ⅱ. 旅ってよぉ、そういうもんじゃあないだろ
前章では、カッチカチに分析した。ぶっちゃけ調査はAIにも手伝ってもらった。
3つの名物の特徴の違いはご理解いただけただろう。定量化されているとわかりやすいよね。でも、それは「ふーん」で終わる知識。旅ってのはよぉ、人生ってのはよぉ…!そういうもんじゃあねーだろがい!!
後半では、エピソードを交えて「わかりづらいけどもハートフル」な評価をしていきたい。
入手自体にドラマがあるんだぜ
赤福、こいつは簡単だ。伊勢はもちろんのこと、東海県内の土産物屋・百貨店・SAなどなど結構よく目にする。山積みされているのが飛ぶように売れていくライヴ感はなかなかであり、「僕も急いで買わねば…!」という購買意欲を煽ってくる。

「伊勢神宮」の本店でも何度もイートインしているし、いろんなところで購入している。
でも検証で使用した赤福は「名阪上野ドライブイン」で購入した。55年の歴史に幕を閉じる数日前のレトロドライブインに飛び込んだのだ。
閉店日を告知するニュースでもピックアップされていた、長年勤めている一番声の大きいおばちゃんのレジで買った。「赤福2つーー!!!」みたいに叫んでいた。よかった、恥ずかしいものを買ったわけではなくって。

そして次は伊賀福の話をしよう。どう見ても赤福のネーミングを意識した一品だ。
SNSで知り合った人から「名阪上野ドライブインで買えるよ」と言われたので行ってみたのだが、なかったのだ。だから前述の通り赤福を買ったのだ。
店内をグルグル回ってもなかったので、店員さんにちゃんと「伊賀福ありますか?」って聞いたんだよ。するとちょっと困った顔をした後「赤福ですね?あちらです」って言われたの。あ、この人は伊賀福を知らない。でも説明するのは面倒だ。

Webで調べ直してやってきたのは「伊賀ドライブイン」。ここと名阪上野ドライブインはゴッチャになりがちなのだ。どっちも忍者をモチーフにしている、伊賀エリアのドライブインだし。
各所に忍者の絵が描いてあるし、レストランは「満腹の術」であり、トイレは「厠の術」と書かれている。おいおい知ってたか、あなた、排泄行為は忍術だったそうだぞ。アツいぜ。

祈るような気持ちでここのお土産コーナーを覗いた。
あったあった!あまりに赤福に似たパッケージなので一瞬「あぁ、ここも赤福だけだったか…」と落胆しそうになったけども、確かに伊賀福だ。

赤福の10数分後に伊賀福を購入。ルンルンで遥か彼方の自宅を目指してアクセルを踏むこととなる。
…で、最後のお福餅の話をしよう。この話は、日本7周目を走る旅人としてはかなり恥ずかしいエピソードだからな、恥を忍んで書くけども、ここだけのナイショにしておいてほしいぞ。
まずはお福餅の存在を知ったのが結構最近だったのだ。日本6周目終盤だったのだ。「二見夫婦岩」の近くにお福餅の本店があるそうで、「じゃあ日本7周目で立ち寄ったら買おうかな」って思っていた。

日本7周目では伊勢を2回訪問しており、1回目はお福餅のことはすっかり忘れていた。2回目に訪問したのが2026年の春のこと。雨の降る夫婦岩を眺めた。
そして「雨に濡れるのは嫌だからさっさと出発しよう」と思い、車に乗り込んで二見岩を後にした。
出発して3分後、ふと思い出したのだ。「確かお福餅って夫婦岩のわりと近くにお店があったのではなかったっけ…?」って。近くの路肩に駐車してWebで調べると、まさに夫婦岩の駐車場のすぐ手前にお店があったのだね…!"わりと近く"ではなく、まさに夫婦岩の脇だったとは…。事前調査不足であった…!

あぁ、この写真に見えるくらいの位置にお福餅のお店があったのに…。
これまで夫婦岩には5・6回は訪問しており、その度に車でお店の前を通過しているのに、全然存在を認識していなかった…。
もちろんUターンして戻る選択肢もあった。しかし僕はそれをしなかった。晴れていれば戻ったかもしれないが、雨でそこまでのバイタリティが湧かなかったのだ。先を急いでいたし。
「またいつか機会があるさ」って思って前を向いた。
そのおよそ2ヶ月後、結構最近のことだ。首都圏の百貨店のデパ地下を歩いていたら、ふとお福餅が目に留まったのだ。伊勢から遠く離れた地で。しかも赤福ならまだわかるが、お福餅だ。

ここで買わねば、いつ買えば良いのだ?
僕は速攻でお福餅を手に取った。パッケージの笑顔が優しかった。
パッケージデザインは大体一緒
食べる前にパッケージを見比べてみよう。

どちらもほんのりピンク色。紙の素材も絵のタッチも似ている。
赤福に描かれているのは伊勢神宮だね?手前は「宇治橋」の欄干なのではないかと思われる。サブタイトルには『伊勢名物』と書かれている。
伊賀福に架かれているのは「伊賀上野城」と「松尾芭蕉」かな?芭蕉さん、伊賀出身だしね。サブタイトルには『伊賀名物』と書かれている。
そしてどちらも『たいらにお持ちください』の注意書きが添えられていた。"たいら"の部分に強調する「・」が打ってある点も同じだ。

お福餅は文字が少なめでシンプルだが、ピンク系のパッケージである点は一緒。赤福と同様に『伊勢名物』と被せてきた。熾烈な争いに飛び込んでいる。このおたふくの笑顔で。
風景は二見夫婦岩。その岩の向こうに富士山が見えているね。すんごい稀に見えることあるそうだからね。『たいらにお持ちください』の注意書きはない。とは言っても逆さまにしたりシェイクはしない方が賢いと思う。

外側の紙をひん剥いた。
赤福は上品そうな帯を締めており、説明書やヘラがそこに挟まっている。伊賀福はシールのみでシンプルだが、ヘラなどのアイテムは箱の中に入っていたぞ。

お福餅は中もデザイン、かわいい。中箱は密閉性のあるセロファンで封がされているのだが、そのセロファンにデザインされている夫婦岩とその周囲の波の描き方が秀逸だ。

ついでにヘラも見比べてみよう。赤福と伊賀福、どちらも木製で先端が広がっているデザイン。赤福側には『あかふく』という刻印がされているが、伊賀福は無地だ。

お福餅も同様だ。心なしか丸みがあり、刃の部分にエッジがついていない感じがする。そしてお馴染み、おたふくの刻印がされている。
…とはいえ、これら3種の使い勝手にはあまり優劣は無いように感じた。

ところで余談なのだが、2023年くらいから赤福のヘラが紙製になり、賛否両論が巻き起こっていたね。僕も紙製になってから一度購入したことがある。
でも、紙製ヘラは記念に手元に置いてあって使ったことは無い。従い、ここで感想は書けない。Webを見る限りでは使いづらくなったそうだけど、どうなんだろ??
見た目と味、これが結局全てだね
さぁ、食うか。中蓋も取り去った。

まずは赤福と伊賀福。内箱は伊賀福の方がちょいとチープに感じた。
内容物は並べるとかたちはほぼ同じだけども、あんの色やなめらかさの違いがわかる。実は赤福は機械で作っているので極めて綺麗なのだ。あんこもツヤツヤ。
伊賀福はザラッとした感じに思える。
しかし味はほぼ一緒で甲乙が付けられない。しいて言えば見た目通り赤福が口当たりが優しい。そして甘味がしっかりしている。伊賀福はザラっとしていて素朴。どっちがおいしいとかおいしくないとかではなく、好みの問題だと感じだ。
赤福は創業1707年、伊賀福は2000年ごろから販売開始と聞いている。つまり伊賀福は創業1707年の、300年以上の歴史を持つ赤福に匹敵しているのだ。スゲーぞ伊賀福!
義父にも赤福と伊賀福を食べてもらった。そして感想を聞いた。「どちらも大変おいしゅうございました」と言っていた。

お福餅だ。セロファンを中途半端に剥がした状態で撮影してしまったが、赤福や伊賀福と同じく8つ入っているから、まずはご安心いただきたい。
容器はプラスチックで風情は無いけどもセロファンの密閉もあって賞味期限は長かった。
お福餅は1738年に発祥したそうだ。赤福のほんのちょっと後ではあるが、同等の歴史。僕から見れば大先輩だ。ずっと赤福のライバルのように生きてきたのだろうか?
赤福がバッキバキに強いにもかかわらず、300年近く消えずに残っているの、素直にすごいよね。
実はこれは手作りだそうで、伊賀福と同じく表面はザラリとしている。食べた最初の印象は、お餅がしっかりしているという点。比べてあんこはそこまで主張はない。お餅に比重を置いた食べ物なのだなって感じた。
義父にもお福餅を食べてもらった。そして感想を聞いた。「大変おいしゅうございました」と言っていた。
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…って感じで、カチカチの分析とエピソード中心の感想、2つの方法で書いてみた。
世間の知りたい情報はきっと前者なのだろうが、記憶に残るのは後者だと信じている。そして、僕はニーズは少ないだろうけども後者の人にアプローチできるような記事を書き続けていきたい。

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最後に恐縮だが、重大なお知らせがある。
実は伊賀福、2023年か2024年ごろに販売終了してしまったそうなのだ。製造していた企業が伊賀福作るのをやめちゃったそうなのだ。
なんてこった、この記事を書き始めるまで知らなかった…!ただでさえ幻のお餅だったのに、マジに入手不可能になってしまった。

…でもね、あの日、助手席に赤福と伊賀福を置いてニコニコしながら夜の高速道路を走った思い出。
伊賀福は無くなってしまったけども、あの日の思い出は永遠なんだよ。