レトロ自販機。昭和に栄華を極めた、麺類やハンバーガーやトーストが出てくる自販機が、そのように定義されることが多い。昨今のレトロブームでそれなりに人気で知名度も高くはあるが、徐々にその数は少なくなってきていると感じている。
…そんな中、2025年の秋の終わりに新たなレトロ自販機スポットが誕生した。スゲーことだ。「絶滅間際で20頭にまで激減したシロサイに、一気に5匹の子供が生まれた!」くらいのインパクトに僕は感じた。

春うららの最高の天気の日、僕はここを訪れて爽やかな風を感じながら自販機のハンバーガーを食べ、瓶のコーラを飲んだ。うめぇ。
これから長く続いてくれるであろうレトロ自販機スポット「オートパラーつるや」のオープン半年後の訪問。そのときのことをちょいとご紹介したい。
田んぼの中に現れる自販機小屋
「本当にこんなところにレトロ自販機スポットがあるのか…?」って感じの、水田の広がる光景の中を疾走していた。民家もポツポツとしかなく、空はどこまでも青い。最高のドライブ日和であった。

あらかじめカーナビに登録しておいたオートパーラーつるやの場所を告げるアナウンスが流れた。
マジか!どこにある…?うん、あそこしか考えられない。店舗っぽくない外観だが、敷地の隅にハンガーが―の幟が立っているのが何よりの証拠だ…!

少なくとも僕が見る限りは、看板なども出ていないお店。頼りは幟だけ。ほぼほぼ、ここがお店だとあらかじめ知っていないとたどり着けないスポットなのではないだろうか?
ただ、このお店は常時開店しているわけではない。2人のサラリーマンが本業の傍らで営業開始したので、基本的には平日は営業しない。週末にポツポツ稼働する程度だ。…であれば、看板は返ってミスリードになるのかもしれないね。

改めてよくよく見れば、牧草ロールがギッチリと積まれた倉庫。
何の事前情報も無い状態でこれを目撃したなら、その正体は作業小屋以外の何物でもない。しかしこの倉庫の右端が、例の自販機スポットなのだ。この意外性、いいじゃないか。

反対側からお店を眺めると、違和感はほんの少しだけ緩和される。小屋の上部に取り付けられているコカ・コーラの看板のお陰なのだろうか?
そういや開店準備中にお店の人が看板って設置したって、どこかで読んだ記憶があるな。

店舗のすぐ前までやって来た。少なくとも僕の訪問した春の午前中は、ベンチがいい感じの日陰になっている。テーブルもあるので、ここで田園地帯を眺めながら自販機メシを食べたら居心地がよさそうだ。
窓ガラスに貼ってある『二輪→』はバイクの駐輪場を意味するのだろうか?建物側面についている別の入口が、バイク専用の車庫になっているのだろうか?
僕はバイクじゃないこともあるし、そこまで探索する必要はなかったのでわからずじまいだ。

この写真だと反射で見にくいけども、店舗のガラスドアには次回の営業日が書かれている。
このときは『5/5』と書かれていたのだが、まぁそれって、実は今日なんだよね…。更新されるタイミングは不明。ちなみにこのときは5/6も営業予定、そして少し売れ残りがあったので5/7も営業したと聞いている。3日連続営業は珍しいよね。
それでは、ワクワクしながら店舗内に入ろう。
つるやの店舗内はこんな感じ
店舗内をご紹介しよう。

右から、コカ・コーラのレトロ自販機だ。瓶タイプのものを購入できる貴重な自販機。
そして富士電機製のレトロ麺類自販機。これが正直一番インパクトがあるのだが、残念ながら稼働はしていない。年単位のメンテナンスを要するそうなので、そのうち稼働開始する日を心待ちにしている。
そして中央が今回の主役となるレトロハンバーガー自販機だ。ある程度以上の遠方からここに来る人はみんなこれを目当てにしていることであろう。
そしてカップ麺自販機、UCCのドリンク自販機。ここいらは詳しくないが、これもレトロなものであったと記憶している。

これは麺類自販機のメニューボタン部分だ。
どこかここにやってくる前の別店舗で稼働していた頃は、250円だったらしいね。さすがにこのご時世では、再稼働した際に250円ってのは難しいかと思うけども、倍額でも購入する所存だ。

自販機群のご紹介の続きといこう。アイスクリーム自販機・カップ麺自販機・HI-C自販機・お菓子等の自販機・ガム自販機。お菓子等の汎用自販機以外はレトロなものだよね、これ?
すごい密集度合い、そして貴重なものがこれでもかってくらいに並んでいるわ。テンション上がる。

ちょいとグニャっている、独特の日本地図が貼られている。自分がやってきたところにシールを貼るタイプのものだ。
多くが関東北部、大体が関東地方。きわめて遠方が愛知県・沖縄県だ。レトロ自販機マニアは全国にいるので、まだまだ開店から日も浅く未訪問の人が多い状態だと判断した。あ、愛知県の人はアレだよね?きっと僕も知っている、ガチなマニアの人だ。

入口付近のガラスケースには、なんらかのメカと、カップ麺や瓶などが展示されている。詳細は正直よくわからないが、オーナーさんの個性を表現できる唯一のエリアであろう。ほんの少し、オーナーさんの人となりがわかった。
あと、ケースの上には来訪者ノートが置いてある。まだ開店数ヶ月なのでページは多くは消費されておらず、開店初日分も容易に閲覧できる。僕も記念にここに書き込みをしておいた。

気になるのはこの、ガラスケースの上に設置されている副店長呼び出しボタンだ。
つまりは営業中に何かトラブルがあったら、すぐに副店長が駆けつけてくれるのだ。ただでさえトラブルの多いレトロ自販機において、副店長が常にスタンバっているのは結構大変だよね。この業界、むしろ自動販売機ではなくって対面販売の方が楽ってくらいだとウワサで聞いたこともあるし。
『気軽に呼び出せる…』とは書いてあるものの、滅多なことで呼んではいけないな…って思ったりする。配慮、大事。

気になるのは、レトロハンバーガー自販機に掲示されている『あたためムラがあります』の貼り紙。
ハンバーガーが一部冷たいケースがあるらしく、その場合は店員さんが温め直してくれるそうだ。これ、後述するけども留意しておくとよいかもしれないぞ。

2026年の春時点んで、店内にあるものは大体以上だ。
さて、ハンバーガーも食べたいしカップ麺も食べたいが、胃のキャパもある。あなたならどうする?僕は貴重かつ目玉であるハンバーガー自販機にて、3種類中2種類を食べる作戦で行きますぜ。
自販機バーガーと瓶のコーラ
レトロハンバーガー自販機にて、ハンバーガーを買うことにした。

- ガーリックマヨ醤油(春限定)
- ハニーマスタードベーコン(春限定)
- チーズバーガー
この3種類で、いずれも400円だ。オールシーズンかつオーソドックスなチーズバーガーはさておき、今回は限定かつ飛び道具的なメニューであるガーリックマヨとハニマスタードを食べたいなぁ。

コインを入れてボタンを押す。
わ、見てくれ。『加熱中』の赤いランプの下に、LEDで残り時間をカウントダウンするパネルが仕込まれている。これはこのお店だけのオリジナルだね。従来の自販機ではあと何秒かわからずに点滅する赤いランプを眺め続けるのだが、ここでは秒数で残り時間がわかりやすい。
そしてゼロになると同時に、取り出し口にコトンと紙のボックスが出てくる。さぁ食おうぜ。せっかくなので外で食おう。

ところで1つ目に選んだのはガーリックマヨ醤油バーガーだ。
見た感じは普通のハンバーガーと大差ないように感じたが、香りも味もまさにガーリックマヨ醤油。洋風とも和風ともつかないそのテイストがクセになりそうだね。

うまいなぁ。ハンバーガーはもとより、この空間・この自販機、全部まとめて味わっている、このシチュエーション。それがうまいと感じさせる。
オートパーラーつるや。前述の通り2人のサラリーマンが趣味でコツコツで造り始め、当初は2025年の春ごろに稼働する予定だったのだが、予想以上に大変だったらしくて半年くらい遅れての開店となった。
その様子はSNSでも見ることができたのだが、僕は「本当に無事に開店できるのだろうか…?」とハラハラしたりもしたよ。そんな苦労を経ての開店であり、僕の初訪問。感無量っしょ。

2つ目のハンバーガー、ハニーマスタードベーコンを購入した。ついでにコカ・コーラ―自販機で瓶コーラを買おう。コーラ以外の商品もあるけども、コーラの気分だ。
100円を示すステッカーもあるけども、本当の値段は160円だよ。わかりにくいけど160円のステッカーも貼ってある。100円ステッカーはきっと自販機製造時のシールだろう。

あなたがどれだけ瓶コーラ自販機に馴染みがあるのかは知らないが、僕にとってはとてもレア。今回の人生ではまだ数回しか経験していないと思われる。
お金を入れるとガラス扉のロックが外れるので、扉を開けて好きな瓶をグイッと引き抜くんだよね?この結構力を入れて引き抜くアクションが、買っている感をすごく味わえる感じがする。

そして自販機内蔵の栓抜きを使い、テコの原理で栓を開けるのだ。なんてことのない作業なのに、なんか楽しくなってきちゃうな。春の陽気と初訪問の高揚が、そう思わせているのだろうな。

それではラウンド2だ。瓶コーラとハニーマスタードベーコンバーガー。田園を眺めながらの最高のロケーション。まずはコーラがうまい。みんな知っていることだけど、コーラはうまい。しかもなぜか瓶だとなおさらうまい。
ハンバーガーは、味付けがハニーマスタードなのでやや甘口のマスタードだ。とはいえマスタード特有の風味が豊か。分厚いミートパティが中心だが、その下に薄いベーコンも入っている。

正直少しだけ気になったのはね、さっきのハンバーガーも今回のハンバーガーも、一部冷たい部分がある点だ。先ほど自販機と共に紹介した通り、機種の関係で温めムラができてしまっているのだ。
店員さんを呼べば温めてくれるのだが、僕はこのままでいいやって思った。手を煩わせるのも憚られるし、ちゃんと調理されたものを自販機内で冷蔵しているので、もともと火は通っているので安全だし。こういう小さなバグも、レトロ自販機の個性だと思うよ。

新しいレトロ自販機スポットの誕生が、心から嬉しい。
この記事を書き始めようとした2026年5月のタイミングで、徳島県の「コインスナック御所24」のレトロ自販機が撤去されてしまったりしたからな。一時期は日本で唯一稼働するボンカレー自販機だったのに。オーナーさんが高齢で引退となったのだ。
これからもどんどん減っていくであろうレトロ自販機。食べられるうちに食べておかないと、気付けば消滅していく存在なのだ。

そんな令和の時代の新レトロ自販機スポット、オートパーラーつるやを応援していきたい。
以上、日本7周目を走る旅人YAMAでした。
住所・スポット情報
- 名称: オートパーラーつるや
- 住所: 栃木県日光市沓掛611-1
- 料金: ガーリックマヨ醤油バーガー¥400他
- 駐車場: あり
- 時間: 9:00~17:00